シナリオ

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ふたりは魔法少女!

#√マスクド・ヒーロー #デザイアモンスター #魔法少女現象

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 第1話『変身! ふたりで魔法少女!?』


「新しい学年でも一緒のクラスになれるといいね、|夜空《よぞら》ちゃん!」
「なれるんじゃないかしら? なぜか幼稚園のゆり組から去年まで、ずっと同じクラスだものね、ひかりとは」
「そうなんだよねー、運命を感じちゃう!」
「あら、今更? 感じるの遅くないかしら? ふふ」

 快活な声で楽しげに笑うのは、ひかりと呼ばれたふわりとした栗色のセミロングの少女。そしてその隣で歩く、夜空と呼ばれた鴉の濡れ羽色のロングヘアを靡かせた清楚な少女がくすりと笑みを漏らす。
 冷たかった風も少しずつぬるみ、気が付けば花のつぼみも膨らんでいる。
 もうすぐ春、そして新学期。
「あたしたちにとってはもう人生の一大イベントだもんね、クラス替え。これからもずっと夜空ちゃんと一緒ならいいんだけどなあ」
「じゃあひかりはもう少しお勉強頑張らないとね? 高校とか大学とか」
「うっ、それを言われると……」
 あはは、と二人が笑い声をあげた時。
 ――本当の意味で、彼女たちの人生を変える出来事が始まった。

『希望……希望反応アリ……捕獲セヨ……捕食セヨ……!!!』

 瞬きをしたそのひとときで世界が替わる、そんな体験がありうるだろうか。
 だがそれが事実。二人の周囲は一瞬にして、形ある暗黒を濃厚に塗り固めたような空間に切り替わっていた。
 目を見開いたひかりと夜空の前に、それは滲み出た。
 そう、いずこともわからぬ認識の果て、現実と虚構の狭間から、それはまさしく「滲み出た」のだ、どろりと間断なく溶け落ちながらも再構成を続ける、穢れ切った汚泥が冒涜的にして嘲笑的に人の似姿を取ったような、「それ」は。

「………え………?」
「な………に……?」

 何が起きたかも理解できるはずがなくまたその時間もあるはずがない。ただ立ちすくむしかない二人の少女に、「それ」はゆっくりと手を伸ばした。顔も表情もわかるはずがないその姿から、けれど伝わる明確な悪意を満たして……!
『捕食スル……!』


「ぱんぱかぱーん! パンドラが来ましたよ!」
 集まったEDENたちを前に、星詠み、パンドラ・パンデモニウムは元気に声を張り上げると、おっとっと、と慌てて首を振った。
「あっと、そんなことを言っている時ではありませんでした。今皆さんにお見せした幻は、私が詠んだ星を反映したものです。あの怪物、まあ『デザイアモンスター』とでも呼びましょうか、皆さんにはその化け物から、二人の女の子を助けていただきたいんです」
 EDENたちは頷く。よくは見知らぬ怪異だが、いずれにせよ襲われる無辜の人々を放っては置けない。
 だが、パンドラは少し考え込むように細い首をかしげた。

「……でもですねえ……なぜか不思議な星が見えたんです。彼女たちは襲われた瞬間、――大きく運命が切り替わりました。どうやらただの女の子たちではないようです。何が起きるのかはわかりませんが、大きな変革が起きる可能性があります。彼女たちを見守ってください……!」


 「それ」がひかりと夜空に襲い掛かった瞬間――!
 迸ったのは無惨な血飛沫ではなかった。
 舞い散ったものは……輝き! 二人の内側から放たれた眩くも清らかな閃光であった!
 ひかりの身を覆ったのは純白の輝き、そして夜空の身を包んだのは深い漆黒の光。
 その煌めきに、化け物は一瞬たじろぎ身を引く。
 同時、二人の体を覆った光が彼女たちを鮮やかにして華やかな姿に装っていくではないか!

「心を照らす白き輝き――ピュアリィシャイン!」
「心を癒す黒き煌めき――ピュアリィシェイド!」
「「魔法少女ピュアリィデュアル!!」」

 見よ、ひかりと夜空は今こそ新たな姿を持って運命を描き変える!
 白いドレスを纏ったひかりはその名をピュアリィシャイン!
 黒いドレスに身を包んだ夜空はピュアリィシェイドと名乗って!

「……いや『名乗って』じゃないよ!? 夜空ちゃん、あたしたちどうなっちゃったの!? いやでも夜空ちゃんすごい可愛い……似合ってる……」
「ありがと、ひかりもとっても可愛いわ。それはさておき……」
「さておき?」
「逃げるわよ!!」

 何か大きな力がその身のうちに蠢いてはいるが、彼女たちはまだその使い方を知らない。とりあえず今は三十六計逃げるに如かず!
 だが一瞬たじろいだ化け物もすぐに彼女たちに追いすがろうとする。
 EDENたちの出番だ!
これまでのお話

第3章 ボス戦 『『闇の支配人』マリス・ローズ』


POW Spoopy Dominators Ivy
自身のAnkerを1体召喚し、【Ankerに埋め込まれた欲望の種が発芽 】する事で【怪人Spoopy Monster】に変身させる。[怪人Spoopy Monster]は召喚者と同じレベルの√能力者となり、【痛みに呻きながら身体から生やした欲望の茨】で攻撃する。
SPD 君と僕とでお友達……
半径レベルm内の味方全員に【強制的に怪人化する毒素を持つ薔薇の茨】を接続する。接続された味方は、切断されるまで命中率と反応速度が1.5倍になる。
WIZ Spoopy Chaotic Unleash
【仮面を装着し、真の姿たる薔薇の怪人 】に変身する。自身の【全ての能力値とヒーローから受けるダメージ】が2倍になり、新武器【幻奏魔鎌カオティックローズ】を入手する。
イラスト 藍乃らず
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「ごめんね、夜空ちゃん。あたしが悪かったんだ。許してくれるなら……これからも一緒にいてくれる?」
「ひかりの気持ちを考えなかった私も馬鹿だったわ。もう決してあなたを一人になんかしない」
 二人は今、お互いにしっかりと手を取り合い、まっすぐに見つめ合う。その絆は以前よりもさらに強固に結び合わされ、二度と離れることはないに違いない。
 おお、その時!
「なんだか、力が……湧いてくる!」
「私も……自分でわかるわ!」
 頷きあったひかりと夜空の唇が揃って同じ言葉を叫んだ!
『デュアルメタモルフォース!』
 瞬転! 二人の体が強く強く光り輝き、鮮やかに放たれる力の奔流に包まれていく――!

「心を照らす白き輝き――ピュアリィシャイン!」
「心を癒す黒き煌めき――ピュアリィシェイド!」
「「魔法少女ピュアリィデュアル!!」」

 今こそ真なる力の覚醒の時!
 ピュアリィシャインとピュアリィシェイドは、巻き込まれてではなく、自らの意志、そして二人の絆の力で再び魔法少女へと変身したのだ!

 だが。
「ああ、素晴らしい友情だ。思った通り、君たちなら僕のいいお友達になってくれそうだよ」
 揺れる陽炎のように、深い闇の中から華麗な姿を現したものがある。くすくす、と笑いながら、魔法少女二人を興味深げに眺めるものこそ――。

「こんにちは、魔法少女。僕が君たちの新しい友達だよ」

 彼女こそ、デザイアモンスターたちを使嗾し操って今回の事件を起こしたもの、闇の支配人マリス・ローズであった!

「本当に強くて清らかで可愛らしいね、僕のお友達はそうじゃないと。たまたま手に入ったこのおかしな怪物どもは上手く役に立ってくれたね。おっと、そこの君たちもなかなかいい感じのお友達になりそうだ。さあ、一緒に友情を育もうよ」

 ローズは自分の「友達」――すなわち手駒、あるいは道具を増やすために暗躍していたのだ。
 無論ローズのいう「友達」とは、魔法少女たちの尊い友情とは根本的に異なる、ただの支配欲であり自己愛の延長手段に過ぎぬ。
 さあ最終決戦のときだ!
 今の魔法少女たちは真なる力に目覚めており、自分の身は自分で守ることができるため、これまでのように庇いながら戦う必要はない。思い切って戦ってよい! 
 いや、それだけではない。

『ピュアリィバース!』

 二人が叫ぶと同時、周囲が光溢れ輝く華やかで美しい世界に描き変わったではないか! これが覚醒した魔法少女の真なる力、自分と味方の身体能力を大幅に向上させ、体力を回復させるフィールドの展開だ。

 さらにこの領域の中では魔法少女たちはいくつかの力を使うことができる。必要ならば魔法少女たちに支援を要請してもよい。

〇ピュアリィシャイン
「スターライトシャイン」:威力は弱いが超広範囲のレーザーシャワー
「シャインウォール」:形状を自在に変化できる光のバリア

〇ピュアリィシェイド
「シェイドバインド」:影を操り敵の動きを封じる
「シェイドブレード」:この世で最も薄い「影」を刃とした鋭利な剣
第4話『いつまでも! ふたりで魔法少女!!』
鬼灯・睡蓮
んにゅ……
仲直りされたみたいで、良かったのです……
さて、黒幕が来たことですし、お二人を守る為にも、もう一踏ん張りといきましょう……
カダス、お二人を守りつつ攻めるですよ……
終わったら、一緒にお昼寝したいですね……

僕にしては珍しく、接近戦なのです……

霊的防護とオーラ防御、各種耐性を付与した後、空中ダッシュと地形を利用して接近
撹乱する様にカダスにも動いてもらいつつ、「スターライトシャイン」と「シェイドバインド」を使ってもらうようにお願いして相手の動きを抑制してもらいましょう
近づいたら夢の刃、焼却、霊力攻撃、催眠術、精神攻撃、精神汚染、念動力と連続攻撃を行うのですよ

アドリブ絡み歓迎

「んにゅ……仲直りされたみたいで、良かったのです……」

 鬼灯・睡蓮(人間災厄「白昼夢」の護霊「カダス」・h07498)は、とろんとしたまなざしで、それでも嬉しそうに二人の少女を眺めやった。ひかりと夜空――いや、今は自らの力に覚醒し、真の「魔法少女」と呼ばれるにふさわしい姿となったピュアリィシャインとピュアリィシェイドの強い絆に結ばれた様子を。
 が、睡蓮はすぐに鋭い瞳を回す。楽し気に聞こえてくるぱちぱちという音のする方向へ。
 それは拍手、それは喝采、純粋無垢にして一切の表裏のない、そして――それゆえに何よりも邪悪で悍ましい歓びの声に。

「うんうん、ほんとによかったよねえ、やっぱり友情っていいものだなあ。さ、それじゃ……僕とも『トモダチ』になろうよ、君たち!」

 くすくす、と笑みを漏らすその声の主は、漆黒のゴシックドレスに身を包んだ、一見可憐な少女。されどその瞳にはどす黒い暗黒の陥穽を宿した「闇の支配人」、その名を――マリス・ローズ!

「むにゅ……まさか、この僕がこんなことを言うことになるとは思わなかったですが……ふみゅ」
 睡蓮はふわりふわりとシーツをたなびかせ、あくまでも柔和に、けれど断固たる口調で、告げた。

「……寝言は寝てから言ってくださいなのですよ」

 それは夢を操り現と幻の間に遊ぶ睡蓮ならではの、あまりにも痛烈に斬り捨てた一言だ!
 だがマリスは白い頬を嗜虐的に歪めて笑う。
「あれあれー、そーんな冷たいこと言うなんて僕は悲しいなあ。ただトモダチになろうって言ってるだけなのにさ。そう――この彼のようにね」
 ゆらりと闇が崩れ影が溶け落ちて、マリスの背後から巨大な痛みが姿を現す。
 そう、それはまさに「痛み」と評するほかはない。
 全身から不規則に無数の茨の棘を生やし……いや「生やされ」、その凄まじい苦しみに鮮血を吹き零しながら呻吟し苦悶し阿鼻叫喚するものは。冒涜的なまでに人に近く、それでいてもう既に決して人ではない、そのものは。
「あははは! 紹介するね。ほら、これが僕の自慢の『トモダチ』だよ! 僕のいうことをどんなことでもしっかり聞いてくれて、僕のために最後の力まで全部振り絞って戦ってくれる感動的なトモダチさ! 素晴らしいだろう!?」

 マリスの哄笑が響き渡る、そう、それは――彼女の能力により、その傀儡とされその玩具とされその道具とされた、犠牲者の慣れの果ての姿!

「さあ、トモダチ! そこにいるみんなも君と同じ、僕のトモダチにしておくれ! それが友情ってものさ!」
 マリスの「|友情《命令》」に従い、トモダチは鮮血を涙のように流しながら睡蓮たちに打って掛かった!
 空間がひしゃげ歪むほどの剛腕が唸り、まともに睡蓮に叩きつけられんとした時、しかし。春の霞のごとく睡蓮の姿は揺らいで消え、トモダチの拳はあらぬ場所の大地に深くクレーターを作り出したのみだった。
 ふらりと朧めいて睡蓮の姿はやや離れた場所に再び現れる。一体、いや二体、三体と! あたかもそう、夢幻のごとくに!
 何人もの睡蓮の声が多重に共鳴し戦場を包み込む。

「それはオーラに映し出した僕の幻影なのですよ……ではカダス、今度はこちらの番と行きましょう」

 睡蓮の護霊カダスが風を駆けると同時、睡蓮も無数の幻像と共に虚空を疾駆する。周り灯篭のごとくに周辺を乱舞し飛翔する何体もの睡蓮の姿を、『トモダチ』はおろかマリスでさえ捉えきれぬ!
「うろちょろと! トモダチ、何やってるんだ! そいつらまとめて潰しちゃえよ!」
 苛立ったマリスの声にトモダチは大地を叩き割り巨大な岩盤を持ちあげる。どれが本体の睡蓮か判別できぬなら、まとめて面制圧で叩き潰そうというのだ!
 しかしそのとき。

「スターライトシャイン!!」
「シェイドバインド!!」

 響いた声と共に天空から流星雨のような光のシャワーがトモダチに降り注ぎ、その巨体を揺らめかせバランスを崩させる、そこへ伸びたのは漆黒の、いや影の鎖! 十重二十重にトモダチに絡みつき、その動きを封じ込めた! それこそは魔法少女たちの援護攻撃だ!

「こちらは大丈夫!」「押さえつけるくらいなら私たちでもできます!」
 魔法少女たちの声を背中に受けて、睡蓮は虚空を走りマリスに肉薄した!

「僕にしては珍しく、接近戦なのです……唸れ夢の剣、『|幽夢刃《ユウムジン》』……!」

 抜き放った手の跡も見せず、睡蓮は鮮烈なる刃を奔らせマリスに斬りつけた! それは現実と夢の間に生まれし超幻の剣、白朧の刃!
 歯噛みしつつ何とかこれを受け止めようとしたマリスだが、無数の睡蓮の幻像は多重ストロボのごとくに数え切れぬ刃と化してマリスを襲い続ける無間地獄を現出させた!
 マリスが白熱する剣を辛うじて弾いた次の刹那、しかし終わらぬ! 精神に直接食い込むような斬撃、身を竦ませるがごとき剣斬、空間もろとも圧殺するような剛剣! 尽きせぬ暴風のような連撃が一瞬のうちに叩き込まれたのだ!

「そ、そんな馬鹿なっ!?」
「あなたには悪夢さえもったいないのです……あなたに相応しいのはただ一つ……」

 相手の漆黒のドレスを深々と斬り裂きながら、睡蓮は自らの身を包む純白のシーツをふわりと翻す。

「……完全な消滅、『虚夢』なのですよ」
 断末魔さえ残すこともなく塵と化すマリスと共に、そのトモダチもまた無に帰していた。
 魔法少女たちが笑顔を浮かべ駆けよってくる姿に手を振り、睡蓮は顔をほころばせつつ、小さくあくびをかみ殺す。

「終わりましたね、……むにゅ、一緒にお昼寝したいですね……」
🔵​🔵​🔵​ 大成功

周防・灯真
SPD対応
アドリブ・連携OK
「解散は取り消しか。そいつは重畳だ。じゃ、あのいかにもな悪の女幹部をぶっとばすぞ」
雨降って地固まるってところだな、復活からのボス戦は…とはよくいったものらしいな。
そんなわけで悪の怪人にはご退場願おう。
薔薇の刺は√能力で操らせてもらおうか。
お友達のお友達と遊ぶのはちょっと気まずいかも知れないがそれもそれで運命だ。
薔薇の刺が刺さって服がボロボロ…は良い子の見る魔法少女アニメにふさわしくないかもしれないな。
まあ、アニメでも漫画でもゲームでもないんだから現実を突きつけるだけだ
銃撃や剣戟で動けなくしてから魔法少女にとどめを刺してもらおう。
せっかくだ、派手に決めてくれよ?

「解散は取り消しか。そいつは重畳だ」

|周防・灯真 《すおう・ひさな》(アウトロー(自称)・h12314)は口元に微かな、しかし柔らかな笑みを浮かべて、二人の少女の姿をちらりと見つめた。魔法少女ピュアリィシャインとピュアリィシェイドは、灯真をはじめとしたEDENたちの後押しもあり、すれ違いかけたその心を再び強い絆で結びあうことができたのだ。

「あ、ありがとうございました、その、御迷惑をおかけして……」
 礼を言いかけた二人を軽く片手を上げて制すると、灯真は踵を返し、そこにいたもう一人に鋭い視線を投げかけながらつぶやく。
「ま、それは後からにしよう。これからが本番だからな」

「あはははは! 今度は僕と友達になってくれるんだよね! いやあ嬉しいなあ、楽しみだなあ! きっと僕たち素敵な友情で結ばれるのは間違いないね!」

 響いた哄笑はあくまでも銀鈴を振るような可憐な声、しかしその音色の中に隠しようもない淀んだ悪意と歪んだ邪念を潜ませるもの。漆黒のドレスに包んだ美しい体の中から悍ましき腐った魂の匂いを感じさせるもの――その名を「闇の支配人」マリス・ローズ!

 冷ややかにマリスに向けて身構えながら、灯真は言葉を吐き捨てた。
「友達とか友情とかお前が口に出すな。それだけでもその言葉が汚れる」
「おっと、酷いなあ。でも、そんな冷たい言葉もツンデレってやつだよね、僕は知ってるよ」
「まともな話は通じないか……」
 灯真は軽く首を振ると、魔法少女たちを振り返り、声をはげました。

「あのいかにもな悪の女幹部をぶっとばすぞ! 雨降って地固まるってやつを見せてくれよ!」
 同時、大地を蹴りたて俊敏に灯真は疾駆する! その手元が僅かに空気を歪ませる、フラッシュハイダーとサイレンサーにより閃光も爆音も封じたニンジャならではの九二式拳銃によるサイレントの一撃! しかしマリスは微かな振動を感じ取ったか、細い身体を捻って跳躍し銃撃を回避した。恐るべき魔女の直感!
 だが――それすらも熟練の忍びにとっては撒き餌に過ぎぬのだ! マリスが飛び退ったその地点に、風を切って抜き放った灯真のニンジャソードが音をも置き去りに叩きつけられていた! 銃撃を囮に相手の動きを完全に誘導した灯真の驚嘆すべきタクティクス!

「くっ!」
 マリスはそれでも瞬時に薔薇の蔦を生やし、眼前に迫った刃を何とか受け止める。勢いに押され大きく後ずさりつつ、魔女は忌々し気に舌を打つ。

「僕の友情を拒むなんてことがあるはずはない。君には僕の真心が伝わっていないだけなんだよね。……なら、少し強引でも友情を育もうじゃあないか! 愛の鞭だよ、文字通りにね!」
 マリスの怒気を孕んだ声と同時、彼女の展開した薔薇の蔦が竜のようにうねり、その恐るべき咆哮のごとくに、豪と何ものかを吐き出した! 咄嗟に飛びのいた灯真の前に突き刺さっていたのは、無数の針! 薔薇の蔦から打ちされる棘の矢の豪雨だ!

「あはは! 避けないでよ、それは『僕の味方』を強くしてくれるんだよ?」
 そう、マリスのその能力は「味方全員を怪人化し強化する」効果を持つもの。だがこれはいかなることか、その棘がなぜ灯真に向かったというのか。灯真はマリスの「味方」ではあるまいに。
 ――否。
 そう、否!
 「味方」かどうかの判断基準はマリスにある! 即ち、魔女が「オトモダチ」だと|本心から固く信じているもの《・・・・・・・・・・・・・》に対してならば効果の対象に取られてしまうのだ! それはマリスが心の底より――壊れている証!

「ここまでイカレてるとはな……やれやれ」
 灯真は呆れつつ、黒い竜巻のごとくうねり聳え立つ薔薇の蔦に対して意識を集中する。その瞳が爛と輝いた時、奇跡の瞬間が訪れる!

「俺の研究成果、とくと味わえ!『|錬金忍法・傀儡舞《レンキンニンポウ・クグツマイ》』!!」

 輝く光が迸り、世界の定めが描き変えられる! それは条理を再定義し法則を読み変える錬金術の奥義たる煌めきだ!
 見よ、灯真に向かって放たれたはずの薔薇の棘は全て勢いを失い大地に落下した。いや、そればかりではない、巨大な薔薇の蔦そのものが、マリス本人に向かって唸りを上げて急襲したではないか! それは力を注いだ対象を制御し、灯真の意志のままに操る錬金術だ!
 だが、薔薇の棘が刺さった相手は怪人化され強化されてしまうはずだ。むざむざマリスを強くさせるだけではないのか?
 
 否、再び否!
 薔薇の蔦はマリスの体ではなく、そのドレスを引き裂いてしっかりと大地に縫い止めてしまったのだ! マリスの白い肌が黒いドレスの合間から艶めかしく覗き、そしてその美しい顔を醜い憤怒の形相と化さしめる! だがいかにもがき暴れようとも、薔薇に拘束されたマリスはもはや動けぬ!

「はしたないな、服がボロボロじゃないか。良い子の見る魔法少女アニメだったらふさわしくないかもしれないな」
 肩を竦めながら灯真は二人の魔法少女に声を飛ばした。

「だがこれはアニメでも漫画でもゲームでもない。これが戦いの現実だ。さあ、せっかくだから派手に決めてくれよ!」

 それは灯真の最後のアドバイス、ふたりの魔法少女がこれからも戦い続けるための覚悟と決意を与えるための!
 シャインとシェイドは顔を見合わせ、すぐに強く頷く。戦士としてのそれは一歩!
「わかりました……いっけええっ、スターライトシャイン!!!」
「行くわよ、シェイドブレード!」
 
 シャインの声と同時に天空から無数の光の雨が降り注ぎ、マリスを蜂の巣に撃ち抜く。紙屑のように宙に跳ね上がったマリスを、一瞬で間合いを詰めたシェイドの影の刃が真一文字に斬り裂いていた――!

「ぐはあああっ!!!」

 悲鳴を上げ消えていくマリスなどもはや視界の隅にも置かず、灯真は静かに微笑んでいた。
「見事だ。二人の力が化合してより強大な力を生み出す。……ふふ、友情も一種の錬金術かもな」
🔵​🔵​🔵​ 大成功

神隠祇・境華
今はもう、誰かが誰かを一方的に庇う時ではありません。
三人で並び、ともに敵を退ける時です。いざ、参りましょう。
奇跡の歌の物語を声に乗せ、鞘鳴りと共に抜き放った御伽霊刀を手に、敵と切り結びます。
シャインさんには「シャインウォール」を、シェイドさんには「シェイドブレード」をお願いします。
歌いながら、正面を受け持ち、壁で防いだ隙へ影の刃を重ねてもらう形で、三人の流れを途切れさせません。
盾も刃も、形は違えど守るための力です。その絆を、支配の言葉で塗り替えさせはしません。その偽りの友情ごと、ここで断ち切ります。

「今はもう、誰かが誰かを一方的に庇う時ではありません」

|神隠祇・境華《かみおぎ きょうか》(金瞳の御伽守・h10121)の黄金に煌めく澄んだまなざしは、もはやその瞳に映る二人――魔法少女ピュアリィシャインとピュアリィシェイドを庇護対象として捉えてはいなかった。彼女の隣にあるのは既に一人前となった仲間の姿。
「物語は|起《はじ》まり、|承《うけつ》ぎ、転じ、そして結ばれるもの。この戦いの物語を終わらせるために、三人で並び、ともに敵を退ける時です。いざ参りましょう!」

 凛とした境華の声に、シャインとシェイドはしっかりと頷き、強い決意を秘めた面持ちで共に前を見据える。
 そこに立つものこそは、可憐な肢体を優美なゴシックドレスに身を包んでいながらも、溢れ出る邪悪にしてねじ曲がった悍ましさを隠しきれず隠すつもりもない魔女! 「闇の支配人」マリス・ローズと呼ばれるものだ!

「いいなーいいなー、三人仲良しでいいなあ。ね。僕も混ぜてよ、いや混ぜてもらうね、もう決まった、決めちゃった!」
 ニタリと汚泥の蕩け滴るような笑顔を浮かべて、マリスは白い手に鮮やかなマスクを取り出した。薔薇の意匠で飾り付けられたその仮面で、魔女は無造作にその美しい顔を覆い隠す。
 おお、見よ! 次の瞬間、無数の薔薇の蔦がその身を覆い、血のような真紅の薔薇の花と死体のような真っ白い薔薇の花を何輪も咲き乱れさせた異形なる姿が顕現したではないか。これこそがマリスの秘められていた真なる姿に他ならぬ!
「あははは! バラバラにして繋ぎ合わせて僕のトモダチに作り直してあげるよ!」
 狂笑を響かせながらマリスはその手に構えた巨大なる死神の鎌を振り上げ、猛然と境華たちに向かって疾駆してきた! その恐るべき大鎌の刃が振り下ろされるところ、大地すら無窮の深淵に至るまで切り裂かれるであろうことは想像に難くない!

「シャインウォールッ!!」

 だが閃光が煌めいた刹那、一歩前に出たピュアリィシャインの眼前に煌めいた光の壁が、しっかりとマリスの鎌を受け止めていた。光を操るシャインのシールドだ!
「なんだって!? 覚醒したとはいえ、なりたての君が僕の鎌を止められるなんて……!」
「もちろんあたしだけじゃ無理。でも、――あたしには仲間がいるから!」
 シャインは激しく押し立てる鎌に対して頑健にシールドを維持しながら、横を見て微笑む。それは境華、彼女の唇。境華の艶めいた唇から静かに漏れゆき世界に流れ出す美しき調べ!

「物語は我が声に──歌よ、世界の理を揺らし、人々の歩みに光を添えたまえ……『|御伽「カレワラの詩人《ワイナミョイネン》!!」

 境華は歌う、世界の果てなる海に揺蕩い永遠の詩を伝える賢者たる吟遊詩人の力をもって!
 「有り得るならばそれは有る」――それこそが境華の唄の威力。蓋然性を確定事象に書き変える再定義の力! その力が僅かな可能性を押し上げ、シャインのシールドを持ってマリスの兇刃を阻止せしめたのだ!
 一瞬の動揺がマリスの動きを微かに止める、それと同時に。

「シェイドブレード!!」

 躍り出たピュアリィシェイドの刃がマリスの大鎌を跳ね上げていた! 漆黒の影で織り為された闇の剣は、さらに境華の「カレワラの詩人」で強化され、恐るべき魔女の鎌に対してさえも互角に渡り合う!

「友達の僕に対して盾で遮る! 剣で払いのける! あんまりな仕打ちじゃないか! トモダチに! トモダチの僕にぃぃぃぃぃ!!!!」
 仮面の奥から狂猛に叫喚するマリスの表情はマスクに覆われつつも容易く伝わる、明らかに怒り狂い、常軌を逸して醜く歪み果てているであろうと!
 もはや本能のままに荒れ狂うケダモノのごとく、マリスは再び大鎌をデタラメに振り回し滅茶苦茶に斬りつける。だがシャインのシールドとシェイドのブレードはそれらをことごとく拒絶し退けていく、大いなる詩人の唄が響き渡る限り!

「お二人の盾も刃も、形は違えど「守る」ための力です。ですが、あなたの鎌は――「刈る」ためだけのもの。その時点であなたの魂に友情などありはしません……!」
 静かに宣告した境華の手に清廉な光が跳ねる。鞘鳴りと共にすらりと抜き放つは御伽霊刀、その清澄な刃は境華の決然とした表情を鮮やかに映し出し、もう片刃は魔女の悍ましき姿を照らし出す。

「その偽りの友情ごと、ここで断ち切ります!」

 裂帛の気勢と共に大きく踏み込んだ一刀は風を切る膺懲の一閃となってマリスに叩きつけられる! 苦し紛れに高く掲げたマリスの大鎌を、霊刀の聖なる刃は過たずその柄ごと斬り断って、――まっすぐ一文字に悍ましき魔女の姿を両断していた。
 剪断されたマスクが二つに割れ、からりと音を立て大地に落ちる。その仮面の奥の、絶望に満ちたマリスの顔を憐れむように見つめながら、境華はつぶやいていた。

「私の能力は可能性が僅かにでもあればそれを実現します。つまり。あなたと友達になれる可能性など、最初から皆無だった。……あなた自身が本当の意味での「友」の存在を望まなかったから」

 存在しないものを掴み取ろうとしていた愚かな魔女が崩れるように大地に倒れ伏すと同時、静かに霊刀を鞘に納め、境華は流れる射干玉の髪をかき上げた。
 彼女の黄金に澄んだ瞳が、労り笑みあう二人の魔法少女を改めて映し出す。その微笑ましい光景に、境華も表情を和らげ、胸に手を当てて、そっと自らの心に沁み込んだ「物語」を確かめていた。

「素敵な結末でした。やはり最後はめでたしめでたし、ですね」
🔵​🔵​🔵​ 大成功