1
アプリケーションに潜む罠
"そのアプリから届くタスクを達成すれば想い人と結ばれる"。
特に『恋に悩む若者』の間でまことしやかに囁かれる噂話がある。
何ということはない、ポイントを集める系のアプリケーションで、老若男女に人気の、広告もよく見るものだ。
現に、あなたが立っている交差点を見上げれば、そのアプリの広告が電光掲示板に流れ、有名な俳優が起用されたことで芸能ニュースにもなっている。
最近は学生人気が高く、話題にもなり問題にもなっているという話は、あなたも目に耳にしたことがあった。
そのくらい、皆が知っていてインストールもされている、ごくありふれたアプリの話だったはず、なのだが。
その裏で、学生に人気の問題の方向性とは別の噂話が届くようにもなっていた。
『しかしそのタスクは、回をこなす毎に過激で暴力的な内容に変貌していく』
タスクには時間制限が設けられており、これまでは『別の噂話』が流れてくるのにそれなりの期間を要したから、なのかもしれないが……運営会社はこのアプリしか制作経歴がなく、不安に思う声も最近になってやっと挙がっている様子だ。
「不気味なアプリの真相を追う、というのが今回皆さんにお願いしたい依頼なのだけど」
星詠みが√能力者に協力を求める。
「よくある噂話とか、ネガティブキャンペーンだとか、そういう類のものだと思われるけど、調査には時間が必要なこともあって人海戦術を頼みたい。」
勿論能力者に頼るだけあり、危険の度合いも最初からある程度織り込み済みである。
となれば、能力者達は全力でこの案件に取り組むしかない。
「とにかくこんな話に巻き込まれる人が一人でも少なく済んでくれた方がありがたいし、噂が本当だとすれば放っておけない。皆さんの調査能力に期待しています」
これまでのお話
マスターより
ロミナ毅流能力者の皆様、お疲れ様です! ロミナ毅流です。
怪しいアプリに日頃からアンテナを立てている人も多いかと思いますが、思っているよりも流行とは早く広がるもの……そして、アプリを利用した悪事となれば、大変な被害が予想されます。
一章ではそのアプリについての調査を行っていただきます。
二章以降は戦闘となっています……つまり、噂話はほぼ『本当のこと』となりますね。
三章では首謀者が待ち構えています。
アプリを通じて広まっていく事象に歯止めをかけてください、宜しくお願い致します。
9
第1章 冒険 『"ザ・レッドストリング"』
POW
アプリを探して自分でも入れてみる
SPD
実際にアプリを使ったことのある人物に話を聞く
WIZ
アプリ開発者の正体を推測・考察する
√EDEN 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
風待・葵聞いた所、『シロナガスクジラ』の亜種ですか? アプリは……エミュレータでPC上に環境を構築して入れてみましょう。ソシャゲをやるにも便利なんですよ、これ。
他に何も実績のない会社からのアプリ……ならば、実装が雑な可能性もあります。指令がどのように発生しているのか、それを解析してみたいところでしょう。
サーバから送られてきているのであればその情報から何か手がかりがつかめるでしょうし、ソフトに埋め込まれているのなら噂が事実であるかどうかがわかるはずです。
そして、その上で。それで何も分からないのであれば……会社自体を怪しむとしましょう。他に何もない会社……その背景にあるのは、なんでしょう?
(聞いた所、『シロナガスクジラ』の亜種ですか?)
|風待・葵《かぜまち あおい》(|電子の護霊《バーチャル・ハッカー》・h04504)が依頼情報を見て呟いた。
薄暗い部屋に独りで引きこもり、PCのカスタマイズキーボードをカタカタと操り、傍には激辛スナックを共にしていた。
検索結果を多重ウインドウで表示して、ハバネロが効いたドリンクを一口啜る。
運命の赤い糸を謳う、件のアプリの運営会社が展開するサイトを色々見て回ったが、本当に開発実績がこれしかなく、会社概要も裏を取ってみたが今イチ実態があるのかないのか不思議なくらいだった。
普通に検索するだけなら、そんなものか……もっと深く根を張り潜るハッキングをかければわかることもあるだろうが。
「アプリは……エミュレータでPC上に環境を構築して入れてみましょう」
OSをエミュレートさせる一般的なエミュレーターにパッケージファイルをインストールすると、数分かからずアプリ起動まで漕ぎつける。
さて、問題は登録情報の入力だが……葵は普段からいくつか持っているアカウントのうち、一番使用頻度の少ないIDを入力し始めた。
(ソシャゲをやるにも便利なんですよ、これ)
一時期廃人になりかけたゲームのアイコンがエミュレーターにいくつか並んでいたが、今はそちらに用はない。
激辛スナックを三つほど摘まみ上げて、雑に口に放り込み、ハバネロドリンクで流し込む。
辛味は痛覚刺激であり、葵の神経を研ぎ澄ませる常套手段でもあった。
「他に何も実績のない会社からのアプリ……ならば、実装が雑な可能性もあります。指令がどのように発生しているのか、それを解析してみたいところでしょう」
ひとまずアプリ内を歩き回ってみる。
ログインした後のページは今時のSNSといった作りで、ぱっと見UIもシンプルながら良く出来ているように見えるし、薄っぺらかった会社のサイトデザインに寄せられているので、恐らく共通のデザイナーの手によるものであろうと思われた。
「サーバから送られてきているのであればその情報から何か手がかりがつかめるでしょうし、ソフトに埋め込まれているのなら噂が事実であるかどうかがわかるはずです」
試しに登録した『いつもの虚偽情報』でチュートリアルをクリアさせてみる葵。
(そして、その上で。それで何も分からないのであれば……)
5分もかからずマイページの登録データを充実させることで1ポイントという、本当に良くある形のものだ。
そして、マイページの登録データ自体は通常であれば暗号化されサーバー経由でデータセンターに保存されている、はず。
エミュレーターのログ詳細を眺めながら、データの動きを更に詳しく紐解いていく。
ユーザーデータの位置情報と、興味関心のある項目から合致するクエストを選んでいるようで、これは特に不審な動きでもなくごく一般的なものだ。
噂話によればクエストをこなす毎に内容が過激になっていくというものだったが……通常速度で見ている分にはまだ怪しいと思われるレベルには程遠いようだ。
下手に時間操作をかけるとあっという間にBANされる可能性も考えられるので、葵は他に少し時間をかけて経路を探ることにした。
(会社自体を怪しむとしましょう。他に何もない会社……その背景にあるのは、なんでしょう?)
『私に出来る範囲で、あの子の真似事を』
√能力|疑似御霊『Agt_Iunius.exe』《エージェント・ユニウス》を発動させる。
9体の【疑似御霊駆動体】を使役する。これらは体高10cmで、手足を持ち、浮遊し、五感を共有し、硬度と弾力を変更でき(盾にもジャンプ台にもできる)、戦闘力は無いが、透明化能力と【弾道計算】技能、【ハッキング】技能を所持する。
疑似御霊駆動体が画面の中に9体飛び込んでいき、運営会社……エミュレーターから起動しているアプリ本体、アプリが通信しているサーバー、クエストポイント登録先をいくつかと分散して調査を始めた。
別々に調べるのではなく、一斉に触れてみたらどうなるだろうか? 普通のユーザーの挙動ではない動きを見せたときに、データがどう返ってくるのかを調べる、いわばソナーを打ち込むのだ。
程なくして、アプリとサーバーの二か所が少しおかしな動きをしていることを突き止めることが出来た。
「この調子で口コミも浚ってみましょう。特に噂話の集まるところに、もしかしたら運営会社から手配された工作員が居たりするかもしれない」
ヘビーユーザーをターゲットにした調査を行い、膨大なログを高速で追いかけながら、葵の調査は進められていく。
激辛スナックとハバネロドリンクはどんどんその量を減らしていった。
🔵🔵🔴 成功
八月一日・圭アドリブ歓迎
「まずは、事実確認からですね」
端末を操作し、噂のアプリを起動。
表示される内容を確認していく。
「構造自体は単純なタスク型……ですが」
次に考えるのは制作意図。
この手のアプリが利益を得るには広告収入、課金誘導、あるいは個人情報の収集。
「ですが、これでは効率が悪い。目的は“収益”ではない……なら」
視点を変える。
条件達成による“願いの成就”という報酬。
「……これは」
一瞬、思考が繋がる。
「おまじないですね」
それをアプリという形で、大量に同時進行させている。
「電子化による儀式の拡散」
仮説を立て、圭は静かに周囲へ意識を向ける。
――呪詛界域
まじないと呪いは同じ起源。
確証は無いが、反応があるか賭けた。
「まずは、事実確認からですね」
|八月一日・圭《ほづみ・けい》(螺鈿を纏う修羅の語り部・h09402)は依頼内容を確認すると、同じ端末で別窓を開いて検索画面を表示させる。
噂のアプリをダウンロード、インストールした後に表示される内容を確認していく。
それ自体は片手で足りる数分で出来た、ここまでは特に問題はない。
「構造自体は単純なタスク型……ですが」
まずは色々と触ってみて、全体の構造を確かめるのだが、これも特に気になる点は見つからない。
次に考えるのは制作意図。
この手のアプリが利益を得るには広告収入、課金誘導、あるいは個人情報の収集だろう。
タスクを提供するスポンサー、短い動画広告による広告はちらほら見受けられるが、どれも良くある形式のものだ。
課金要素は所謂アイテム型というやつだ、広告収入のほうが割合が大きいのか、課金の重要性はあまり感じられない気がした。
個人情報は大いに収集しているであろう、ビッグデータと呼ばれるものも含めて、タスクの提供傾向などに役立てているものと思われる。
一応、長文の利用規約も一通り目で追ってみたが、ありきたりな文章にしかなっておらず、特に怪しむ箇所も引っ掛かる要項もなかった。
「ですが、これでは効率が悪い。目的は“収益”ではない……なら」
圭は捜査の視点を変える。
噂にある通りであれば、条件達成による“願いの成就”という報酬は副産物と言えるだろう。
「……これは」
一瞬、思考が繋がる。
「おまじないですね」
それをアプリという形で、大量に同時進行させている。
アプリの動作自体には問題はなく、使用者に作用するのであれば、それは単純なプログラムで出来ることではない。
「電子化による儀式の拡散」
仮説を立て、圭は静かに周囲へ意識を向ける。
表面上には現れない、目に見えないものが主力であるならば、どうだろうか? その筋が『視えた』ときにわかる、わかってしまう、広大な影響範囲とそれに伴う何とも謂われぬ恐ろしさ……。
『掌握せよ――界域展開』
圭は静かに√能力:|呪詛界域《マレディクト・スフィア》を展開させた。
半径WIZm内の任意の有機物・無機物全てに【魔性の力】を注ぎ、WIZ×1時間活動可能なエネルギーを与える能力である。
注ぐ[魔性の力]を1体(人物・武器・乗騎等)に集中すると、対象を【呪物】化して硬度強化と【呪詛による】攻撃能力を与え、意思を抑え付けて術者の為に戦わせようとする事ができる。
まじないと呪いは同じ起源。
確証は無いが、反応があるか賭けた。
今回は端末のアプリに対して行うわけだが……そこから導かれた先に見えるのは、巨大な呪術に他ならない。
「これは……思念を繋いで経路を作り構築する大きな魔術方陣でしょうか?」
利用者が膨大なだけあって片鱗に触れるだけになったが、全容はかなりのものになるだろう……これを『管理』しているとなれば、相当の使い手が必要になってくるレベルのものだ。
今下手に辿ると気取られるかもしれない、圭は一旦一般ユーザーになりすまして辿れるところまでを目指してみることにした。
利用初期には方陣の外周、ここは綻んでいても問題ないレベルだ。
そこから利用回数と時間を重ねるごとに、中央へと進んでいくタイプの仕組みだろう。
蜘蛛、或いは蟻の巣型だと思えば早いだろうか? 中央に近ければ近い程相手の術中に嵌っているということになり、抜け出すのも容易ではない。
勿論術者は中央で待ち構えている、そこまで一気に飛ぶのは流石に危険か。
とにかく意図あっての代物であることは探ることが出来た。
(このままだと時間が経過すればするほど術が大きくなり、巻き込まれる人が増えるだけだ)
術に対抗する手段を検討、準備するためだ……このアプリを野放しにしてはおけない。
「急ぎ対処法を考えなければ」
圭はまた別の画面を開き、文字入力を始めた。
🔵🔵🔵 大成功
レイ・イクス・ドッペルノインファントム・ビジョンに知らないアプリ入ってる
玲子、何これ
『噂のクソアプリ』
変なの入れないで!しかも消せない!
『消すと思ったから一時的にロックかけた、だからそれ調べろ』
アプリがヒットしたら似たパチモンアプリがいっぱい生えてくるよね
『外部にガワ違いを二束三文で作らせて内容詐欺広告打って、アプリストアを蹂躙してるもんさ』
ストアに消された時用の迂回用があるかも
本丸は基盤になっている開発ツールにあるとか?
『こいつだけ潰してもいたちごっこだ。【デバッグモード】起動、新武器入手効果と情報収集とハッキングの併せ技で、こいつと同一開発ツールのアプリからデータ全部ぶっこ抜きな、プログラム記述に共通点あるかもな』
「ファントム・ビジョンに知らないアプリが入ってるんだけど……玲子、何これ?」
|レイ・イクス・ドッペルノイン《 RX-99》(人生という名のクソゲー・h02896)は、Ankerの九十九・玲子と対話しているうち、端末に知らないアプリケーションのアイコンがあることに気付いた。
玲子からすれば、今漸く気付いたの? というところだろうか。
記憶の大部分を失っており、身元不明人として九十九家の居候となったレイ。
落ち着いてお茶でも飲もうとした後に端末を確認すれば、この騒ぎだ。
『噂のクソアプリ』
「変なの入れないで! しかも消せない!」
『消すと思ったから一時的にロックをかけた、だからそれを調べろってのよ』
それが今回受けた依頼なの、と倒置法のように逆順でレイに状況を説明していく玲子。
持ってきたお茶を一口啜り気を落ち着かせると、レイは改めて端末画面に向き直った。
見覚えのないそのアプリは、玲子によれば『よくあるタスククリアでポイントがゲット出来る類のもの』だそうだが、依頼によれば薄気味悪い噂話でもちきりになっている話題のものだった。
アプリ内のタスクは、回数を重ねるごとに暴力的な内容になっていくらしい。
しかし、"そのアプリから届くタスクを達成すれば想い人と結ばれる"とも言われており、恋愛成就を願う年ごろの層に人気が出ているのだという。
(どう考えても怪しすぎるし、自分だったらこんなことに関わり合いを持とうと思うわけがない!)
玲子の勧めが無ければ依頼自体も請けていなかったかもしれないが……導入してしまったからには、やるしかなかった。
レイの持つ高い【ハッキング】技能で対処せよ、ということだ。
「うーん、これが当てはまるかどうかはわからないけど、基本こういうアプリがヒットしたら似たパチモンアプリがいっぱい生えてくるよね」
『外部にガワ違いを二束三文で作らせて内容詐欺広告打って、アプリストアを蹂躙してるもんさ』
アプリストアを検索してみると、確かに似たようなアイコンで誘導するアプリケーションがいくつかヒットして、レイはげんなりした。
「ストアに消された時用の迂回用があるかも。本丸は基盤になっている開発ツールにあるとか?」
『こいつだけ潰してもいたちごっこだ。【デバッグモード】起動、新武器入手効果と情報収集とハッキングの併せ技で、こいつと同一開発ツールのアプリからデータ全部ぶっこ抜きな、プログラム記述に共通点があるかもな』
なるほど、とレイは頷き√能力:|メソッド・デバッグモード《コレガミエルノハオカシイ》を発動させた。
【技能値を合計値内で好きに弄る】か【別人】に変身すると、自身の【身に及ぶ即死級ダメージを無効化、異常耐性】が2倍になり、新武器【本来使えない筈のテストプレイ用武器】を入手することが出来るのだ。
『本番環境に残しておくかどうかはケースバイケースだけど、このアプリにデバッグ出来る要素が残っていれば……ほらコレだ』
玲子がレイに攫うように命じたプログラムの端に、広告に紛れ0/1で表示される小さなコンソールが在った。
(これがデバッグモード……ここから更に【リミッター解除】して【ハッキング】し【情報収集】をかければ……)
テストプレイ用武器でその0/1を抉じ開ける。
すると、見えてきたのは……。
「これは、プログラムじゃ……ない?」
『どっちかっていうと、|呪い《まじない》の類か? だいぶ広範囲に及んでる』
運命の赤い糸の束が方陣を描いており、デコイアプリも含めて人々の情報と意志を繋いでいる片鱗が見えた。
見えてしまった。
レイは慌ててデバッグモードを閉じる。
「これ、見ちゃいけないヤツだった!」
『なぁるほどねえ、そんで、見ちまった以上、もう無関係じゃいられないってワケか』
「えええええええ……」
恐らく術を使っているものが中央に居るだろう、そして今のハッキングに感づかないわけがない。
『これも縁ってやつだ、とことんまで付き合ってやろうじゃないの!』
「うう……わかった、わかりましたよ……」
レイは恐る恐るもう一度デバッグモードを展開させると、【ジャミング】と【認識汚染】で対抗する覚悟を決めていった。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『玩偶服団』
POW
「俺の本当の姿を見せてやろう」
「攻撃を宣言し・防具を脱ぎ・敵の攻撃を弾いた後・正面から・【ハイパワーモードの頭突き】で近接攻撃する」場合のみ、与えるダメージが8倍になる。
「攻撃を宣言し・防具を脱ぎ・敵の攻撃を弾いた後・正面から・【ハイパワーモードの頭突き】で近接攻撃する」場合のみ、与えるダメージが8倍になる。
SPD
「重ね着した俺に死角はない」
【着ぐるみの上に別の着ぐるみ】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ハイスピードモードの頭突き】」が使用可能になる。
【着ぐるみの上に別の着ぐるみ】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ハイスピードモードの頭突き】」が使用可能になる。
WIZ
「怖いか? 可愛さ5割増しになったこの俺が……」
自身の【着ぐるみ】を【淡紅色】に輝く【ハイチャームモード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
自身の【着ぐるみ】を【淡紅色】に輝く【ハイチャームモード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
噂のアプリが呪術的な方法でデータ収集を行っているのを知ってしまった能力者。
そんなあなたの目の前に現れたのは、恐らく術を使っているであろう者が放った使い魔。
見た目に騙されずに落ち着いて対処していかなければ、貴方の日常は戻ってこないかもしれない……!?
八月一日・圭アドリブ歓迎
現れたのは、どこか歪んだ愛嬌を持つ着ぐるみ。
圭は一瞥し、僅かに息を吐く。
「……姿がある分、分かりやすいですね」
可愛いとも、不気味とも思わない。
ただ“敵”として認識する。
「感情に訴える手合いには興味はありません」
一歩、踏み出す。
――怪談「雪女」
静かに語り始めると同時に、空気が変わる。
色を失い、温度が落ちる。
「素早く動こうと、ここでは無駄です」
必中の領域。
迫る着ぐるみへ、無駄のない斬撃を放つ。
動きごと凍らせ、砕き、散らせていく。
「何をしようと――意味はありません」
物語の中では関係ない。
攻撃が届く範囲、その全てが死地となる。
淡々と、雪の中で。
圭はただ静かに、現れた異形を消していく。
現れたのは、どこか歪んだ愛嬌を持つ着ぐるみ。
だが、勿論ただの着ぐるみたちではない、その名を玩偶服団と言うが、|八月一日・圭《ほづみ・けい》 (螺鈿を纏う修羅の語り部・h09402)は一瞥し、僅かに息を吐く。
「……姿がある分、分かりやすいですね」
呪術的な形ないものが相手であると少々厄介なのだが、こうして目に見える形で表れてくれると視認がしやすくて助かる、と感じていた。
形のないものを繋ぐ縁が触媒の呪術となると、余計に。
着ぐるみたちはそれそれに低音のボイスで何やら喚きながらこちらを見ている。
「我らを見てもなんとも思わぬのか」
「分かりやすいとは何事か」
「どう見ても恐れを成すべき対象であろう」
圭は玩偶服団を可愛いとも、不気味とも思わない。
ただ“敵”として認識するだけだ。
「感情に訴える手合いには興味はありません」
一歩、踏み出す。
【霊力攻撃】で【居合い】の【先制攻撃】を仕掛けていく圭。
蜘蛛の子を散らすかのように、集団の着ぐるみがわっと逃げていく。
大きさ的に中に人が入っていそうなサイズではないし、ただの敵だ、そして中身がどうであろうと知ったことではない。
片っ端から【切断】してやる、その意志を強く持って斬り込んでいく。
「怖いか? 可愛さ5割増しになったこの俺が……」
自身の【着ぐるみ】を【淡紅色】に輝く【ハイチャームモード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする技を展開してくる玩偶服団。
この効果は最低でも60秒続くようだ。
(元から可愛いと思わないものを、ゼロが5割増しになったところでどうということはないでしょう)
確かに俊敏な動きでこちらに迫ってくるが、【受け流し】で適宜対処していく。
『静かな雪の夜に語られた、ひとつの怪談……どうか、聞いてください。――雪女の物語を。』
――|怪談「雪女」《ユキオンナ》。
圭が攻撃を避けながらも静かに語り始めると同時に、周囲の空気が変わる。
色を失い、温度が落ちる。
モノクロに変わっていく世界がキンと音が鳴るほどに急激に冷え込んで、舞う風は吹雪のように冷たい雪雫を吹きつかせる。
「素早く動こうと、ここでは無駄です」
「むう……着ぐるみでもこれは相当な寒さ……」
『中身』がどうだろうが、知ったことではないのだが、寒さはその装備(?)を無視して【貫通攻撃】として届いているだろう。
【怪談「雪女」】を語ると、自身から半径49m内が、語りの内容を反映した【雪の怪談空間】に変わる能力を発動させたのだ。
この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
そう、必中の領域だ。
迫る着ぐるみへ、無駄のない斬撃を放つ。
動きごと凍らせ、砕き、散らせていく。
低音で喚く玩偶服団が端から黙り込み凍ったところに、圭が一撃を加えればバキンパキンと高音が響いて砕け散っていく……それはまるで音の交換のようでもあった。
逃げ出すものも容赦なく吹雪が追いかけ、凍らせていくので、更にそれを砕く。
「何をしようと――意味はありません」
物語の中では関係ない。
攻撃が届く範囲、その全てが死地となる。
淡々と、雪の中で。
圭はただ静かに、現れた異形を消していく。
この場に使役者の本陣が居ないことが残念でならないと思う……居れば諸共凍らせて砕いてやったのに。
いつしか大量に居た玩偶服団が残り数体となったところでも、圭の攻撃は止むことはない。
助けを乞うても聞き入れる間もない速度で凍っていく奴等を、無感情のままに砕いていくだけだ。
そして音が鳴り止んだ。
辺り一面、玩偶服団であったものの欠片が散って落ちている。
「これで、この物語はおしまいです」
|雪女《圭》が語りを終えると、辺りに色と温度が戻ってくる。
だが、完膚なきまでに破壊された玩偶服団のかしましさが戻ってくることはなかった。
🔵🔵🔵 大成功
風待・葵なるほど、真っ当な解析では分からないわけです。呪術的要素……オカルトは好きですよ。ですが、それをプログラムに仕込むとなると……最近繋がったというあの√ならありうるでしょうか。
などと考察していましたが、ぐえっ、マジですか。押しかけてきますか!?
一見無害ですが、一見はアテになりません。自室でミサイルだの殲滅兵器だのブッパはできませんし、ライフゲームの法則歪曲も機材を巻き込みかねない。デパスザウルスに至っては論外です……! 最悪です、最悪のメタ張ってきました!!
今切れるカードは【梅雨空の憂鬱】ただ一つ。至近距離での接敵。苦手な状況ですが……√能力を切られる前に、迅速に。死なない程度に対処を試みます!
(なるほど、真っ当な解析では分からないわけです)
|風待・葵《 かぜまち あおい》(|電子の護霊《バーチャル・ハッカー》・h04504)は、やっとハッキングデータの解析を終えたところで辿り着いた。
見てしまった。
そのアプリケーションが繋ぐ縁が呪術的な要素に用いられ、方陣を描く奇怪なビジョンは、見た者に衝撃を与える。
(呪術的要素……オカルトは好きですよ。ですが、それをプログラムに仕込むとなると……最近繋がったというあの√ならありうるでしょうか)
巷で噂の、新たな簒奪者の情報が頭を過る。
何でも、インビジブルの枯渇にあえいで、こちらの世界の力を奪おうとしているのだとか……こちら側を豊富な資源先とでも勘違いしているのではなかろうか? 勿論葵はそんな世界のことなど、知ったことではない。
(などと考察していましたが、ぐえっ、マジですか。押しかけてきますか!?)
呪術的要素を見てしまった、視界の端から何やら現れる者どもがいるではないか。
小さな着ぐるみマスコットのような見た目をした、怪しげな集団がどんどん画面から溢れ出してきたのだ。
その者たちは、方陣を仕掛けているであろう術者の放った使い魔的存在である。
(一見無害ですが、一見はアテになりません。自室でミサイルだの殲滅兵器だのブッパはできませんし、ライフゲームの法則歪曲も機材を巻き込みかねない。デパスザウルスに至っては論外です……! 最悪です、最悪のメタ張ってきました!!)
ぽこぽこと画面から現れては、低音ボイスで喚きだす玩偶服団。
「お前か、我々を見てしまった者は」
「生かしてはおけぬな」
「その罪、命で贖わせよう」
見た目に反して物騒なことしか言わない着ぐるみたちを、葵は必死に何とか処理しようと【無差別攻撃】を仕掛けようとしたのだが、いかんせん場所が悪い。
地の利はこちらにあるのだが、平和な自室をめちゃくちゃにするわけにもいかず、葵は慌てふためいた。
今切れるカードは【梅雨空の憂鬱】ただ一つ。
至近距離での接敵。
(苦手な状況ですが……√能力を切られる前に、迅速に。死なない程度に対処を試みます!)
「俺の本当の姿を見せてやろう」
「攻撃を宣言し・防具を脱ぎ・敵の攻撃を弾いた後・正面から・【ハイパワーモードの頭突き】で近接攻撃する」場合のみ、与えるダメージが8倍になる技を繰り出してくるのだから、堪ったものではない。
「わーっ、脱ぐな! 騒ぐな! 散らかすな!(元々散らかってはいるけれど!)」
頭突きを狙ってびゅんびゅん飛んでくる着ぐるみを画面の中に押し戻せればよかったのだが、狭い部屋で飛んでくるのをどうにか出来るほど葵は器用ではない。
頼みの綱は、√能力:|梅雨空の憂鬱《ユニウス・カエルレウス》。
『おいで"ユニウス"、少し頑張りますよ』
【護霊「ユニウス」】を召喚し、攻撃技「【ラス・オブ・フラワー】」か回復技 「【サオール・ドリーム】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。
融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[護霊「ユニウス」]と共に消滅死亡するという特殊な能力である。
「敵との融合」を即座に指示する葵。
ユニウスはどんどん玩偶服団を取り込んでいく。
片っ端から融合させて低音ボイスを吸収していく様は、ある意味滑稽でもあったのだが……これが抜群に効果を発揮したのだ。
ポイポイと着ぐるみをユニウスに投げる端から取り込まれていくのを見て、なんだか部屋の片づけを乱暴にしている気分になってきてしまったが、この作戦は上手く行ったようだ。
「これで、おしまいです!」
最後の一匹をユニウスが吸収したと同時に、周囲が輝きだす。
そして、玩偶服団は何も出来ぬまま、ユニウスと共に消滅死亡していった……。
「はーっ、はーっ、何とかなりました! やった! 部屋はちょっと荒れましたが……大惨事は無事回避! やりました!」
ふーっ、と一仕事終えて冷や汗を拭うと、机の上にあったハバネロドリンクを一気飲み。
葵の自室の平和は、こうして保たれたが……。
「もしかしなくても場所特定なんかされたら大変ですね!?」
慌ててプログラムを構築確認しなおし、セキュリティ強化の追加仕事をする羽目になった葵であった。
🔵🔵🔵 大成功
レイ・イクス・ドッペルノイン『あ、何か出た。着ぐるみパンダっぽいトカゲ?』
ぶっこ抜いて解析してたのバレた?解析対策用かな...
『カウンタープログラム踏んだのかもな、でもそれほど強くはなさそう多分。そいじゃま、【ロックオンハート】でさっさと蹴散らして犯人に出てきてもらおうか』
キリング・アワーのハッキングで敵の挙動を乗っ取って(敵を盾にする)、そいつに自動エイムの誘導弾を撃ち込んで他の個体の群目掛けて突っ込ませばいいんだね?
『他の個体がエイム範囲に入り込んだ瞬間、追尾レーザーのグラビティ・スノウをばら撒いて自動的に撃ち抜いてくれる傍迷惑戦法だな』
『あ、何か出た。着ぐるみパンダっぽいトカゲ?』
居候先の九十九玲子宅でハッキングを進めていた|レイ・イクス・ドッペルノイン 《RX-99》(人生という名のクソゲー・h02896)は、玲子の声で顔を上げた。
するとそこには魔術で召喚されたらしき着ぐるみたちが現れているではないか。
「ぶっこ抜いて解析してたのバレた? 解析対策用かな...…」
レイは慌ててセキュリティプログラムを走らせる。
しかし、着ぐるみパンダトカゲこと玩偶服団は驚くべきことに電脳空間からやってきて実体化しようとしているではないか!
これは緊急事態だ、とレイはセキュリティとは別のプログラムを起動させようとした。
【ジャミング】である。
怪しいアプリの解析中に『相手』に知られたとすれば、こちらからも攻撃が可能だろうと即座に判断したのだ。
『カウンタープログラム踏んだのかもな、でもそれほど強くはなさそう多分』
玲子は極めて冷静で気楽に言ってくれる、相手を見た目で判断するのはどうかとも思ったが、レイは改めて玩偶服団を観察した。
見た目に反して渋い低音ボイスで何かを喚いて群がってくる、着ぐるみたち。
言葉遣いは荒くないのだが、いかんせんギャップの凄まじい声色にはどうにも戸惑ってしまう。
とにかく発生源を何とかしなければ、このまま玩偶服団が増え続けてしまう……!
レイはジャミングを強くして何とか着ぐるみたちの数を抑えようと試みる。
『そいじゃま、【ロックオンハート】でさっさと蹴散らして犯人に出てきてもらおうか』
玲子は簡単に言ってくれるが、そうこうしているうちに玩偶服団が敵対認識を定めたようで、攻撃を仕掛けてくる!
「怖いか? 可愛さ5割増しになったこの俺が……」
自身の【着ぐるみ】を【淡紅色】に輝く【ハイチャームモード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。
この効果は最低でも60秒は続くようだ。
60秒……短いようで長いその時間に多段攻撃を喰らうわけには行かない、レイは急いで√能力:|メソッド・ロックオンハート《ペンペンプラントヤケノハラ》を発動させる。
「あっ、あっ、攻撃やめ...なくていいや!」
画面内に向かっての攻撃というのはなかなかに緊張するものだ、何せ外せば居候先の居住区に傷がついてしまう。
指定地点から半径40m内を、威力100分の1の【自動エイム弾】を撃ち、【レーザーの奔流】で300回攻撃する技を画面内に集中して発射していく。
「キリング・アワーのハッキングで敵の挙動を乗っ取って(敵を盾にする)、そいつに自動エイムの誘導弾を撃ち込んで他の個体の群目掛けて突っ込ませばいいんだね?」
『他の個体がエイム範囲に入り込んだ瞬間、追尾レーザーのグラビティ・スノウをばら撒いて自動的に撃ち抜いてくれる傍迷惑戦法だな』
玲子が頷くのを見て、レイは胸を張って攻撃の手を進めていった。
玩偶服団の発生源にレーザーの300回攻撃を喰らわせると、流石にもう着ぐるみが増えることはなさそうで一安心する。
移動速度を速めたとはいえ低音ボイスの着ぐるみたちが次々と撃ち落とされて、何等か呻いて消えていくのを確認し、また発生しようとするのを打ち止めた。
「撃ち漏らしがないように」
『着ぐるみ共を殲滅だ!』
逃げ惑う着ぐるみ、玩偶服団をレーザーで完全に焼き尽くして発生が止まるのを確認すると、それはそれであっけない気もしてしまう。
『逆張りのカウンターとしてはとりあえず的なプログラムだったんじゃないかな、思ったより長持ちしなかったし』
「そうだね……長いこと発生し続けられても困るよ、逆探知の時間稼ぎだとしたらもっと危ないことになる」
それもそうか、と玲子が零したところでレイも大きく深呼吸をし、落ち着きを取り戻した。
🔵🔵🔵 大成功
サリエ・オースティン(サポート)「状況開始。只今より作戦を支援致します」
後方より作戦行動中の皆さんへ通信支援。
・行動
ドローンによるマッピング。
敵勢力の索敵、接近アラート。
味方のナビゲート。情報共有。
ドローンに搭載したツールによる電子機器へのハッキング作業。
部隊の行動方針について意見を求められれば補足致します。
ただし、あくまで決定は現場の皆さんの意思を優先で。
尚、ドローンには通話可能のスピーカーが付いておりますが、
インカム等の通信手段があれば、より円滑かつ迅速に支援が可能です。
※アドリブ可
軽口や談話も嫌いではありません。
気が乗れば冗句くらい飛ばします。笑いはしませんけれど。
「状況終了。各自任意に帰投して下さい。お疲れ様でした」
「状況開始。只今より作戦を支援致します」
謎のアプリをインストールしている画面から現れる、玩偶服団に向けて冷静な声で対処するのは、サリエ・オースティン(アパセティック・h05195)。
【情報収集】を試みたが、やはりただのアプリケーションではなかったのだと思ったときには既に遅く、謎の着ぐるみが群れを成して画面に表示されたかと思えば……端末を荒すだけでは飽き足らず画面外の対象にまで攻撃を仕掛けてくるではないか!
これに対し、サリエは咄嗟に【ドローン操縦】で対抗しようと試みる。
ドローンによるマッピング。
敵勢力の索敵、接近アラート。
味方のナビゲート。情報共有。
ドローンに搭載したツールによる電子機器への【ハッキング】作業を得意としているサリエだが、此度の敵の動きは完全に想定外であった。
(まさか、こんなに早くしかも積極的に仕掛けてくるなんて)
着ぐるみたちは酷く低く落ち着いた声色で、サリエに向けて警告してきた。
「我らのプログラムに介入しようとしているのはお前か、ただで済むとは思うな」
謎のアプリケーションが呪術的意図をもっていたのに気付いてしまったのが運のつきだったのだろう、対象に攻撃を仕掛ける反動プログラムのようだ。
(落ち着いて対処しましょう、恐らく他にも気付いている能力者が戦っているはず)
サリエは能力者ではない。
Ankerとして戦うことは出来る、こうしたプログラム等には特に造詣が深いので、対応にも問題ない……はずなのだが、いかんせん相手が只のプログラムに留まるような代物ではないことが気にかかる。
(反動プログラムにしては芸が細かい、これを組んで操っている相手は相当の腕前を持っていると言えるでしょうか)
「重ね着した俺に死角はない」
【着ぐるみの上に別の着ぐるみ】を纏う。
自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ハイスピードモードの頭突き】」が使用可能になる技を繰り出してくる玩偶服団。
これに対抗するのは徹底したドローン操縦しかない……! サリエは的確な操縦でハイスピードモードの頭突きにドローンの壁を作成することで対応しようとする。
すると、玩偶服団はドローンを敵対視して飛んできた。
それをサリエは華麗な操縦で捌き、同士討ちを狙っていく。
ぶんぶんと飛び回る玩偶服団とドローンによる空中戦が繰り広げられ、そこかしこでドカンドカンと玩偶服団同士がぶつかり自滅していく姿が確認された。
「この調子です、引き続き対処を!」
油断せずにきびきびとドローンを操作するサリエは、至って冷静であった。
この状況は、どう考えても非常事態で異常事態であるにも関わらず。
驚くべき集中力で操縦するその腕前は、目を見張るものがある。
玩偶服団を誘導する動きも、寸でのところで避ける動きも、見事なものだ。
攻撃力は持たないが、それでも十分に渡り合っている。
そしてついに、残り一体の玩偶服団がサリエ目掛けて飛んでくる──!
「これで、終わり!」
ドローンの壁に誘導させて、地面に叩きつけてやる!
激しい衝撃波を受けてドローンたちが僅かに揺らぐが、すぐに態勢を立て直す。
対する玩偶服団は……地面に突き刺さったまま動けずにそのまま沈黙した。
(何とかやりましたね……!)
ふぅ、と汗を拭うと、サリエは努めて冷静に宣言した。
「状況終了。各自任意に帰投して下さい。お疲れ様でした」
🔵🔵🔴 成功
第3章 ボス戦 『不空剣派・月仙人』
POW
無空を以て泰山を断つ
【月が出ている間、威力3倍の超巨大な不空剣】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
【月が出ている間、威力3倍の超巨大な不空剣】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
SPD
志を万刃の山に転ず
視界内の全ての敵に、防御不能の【敵にのみ命中する無数の不空剣】を放つ。命中した対象はレベル秒間、発動者が指定した方向が「下」になる(対象毎に異なる方向を指定可能)。
視界内の全ての敵に、防御不能の【敵にのみ命中する無数の不空剣】を放つ。命中した対象はレベル秒間、発動者が指定した方向が「下」になる(対象毎に異なる方向を指定可能)。
WIZ
忘れじの月の香
【この能力以外の精神干渉を解除】して【敬愛】の感情を与える【仙桃の香気】が、全身から溢れ出し続ける。[仙桃の香気]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。濃度が高い程抵抗は困難。
【この能力以外の精神干渉を解除】して【敬愛】の感情を与える【仙桃の香気】が、全身から溢れ出し続ける。[仙桃の香気]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。濃度が高い程抵抗は困難。
謎のアプリケーションに呪術的介入をしていた張本人、不空剣派・月仙人からのメッセージが届いた。
「この謎を暴きし者達よ、わたしへの道を視たものよ、さあ、立ち向かってくるがいい!」
不穏な噂のアプリケーションを使う人々の力を吸い上げている月仙人を倒さなければ、被害は大変なものになってしまうだろう。
相手は強大な力を持つ呪術師だが、能力者達は果敢に挑んでいく。
八月一日・圭アドリブ歓迎
現れた術者を前に、圭は足を止める。
「……あなたが元凶ですか」
状況を確認するように一瞥。
「せっかくのお招きです。始めましょうか」
――修羅顕現
業火を纏う剣鬼をその身に宿し、踏み込む。
一気に間合いへ。
漂う香気に気付けば、風の流れを読みとり、風上へと回り込む。
香気の滞留域の外へ。
「触れなければ、それで済む話です」
長期戦を避け、間合いを詰める。
香気が届く前に踏み込み、濃度が上がる前に決着へ。
「時間は与えません」
最短で間合いに入り、踏み込みの瞬間、内側へ潜り込む。
――霊剣術・夢想修羅
業火を帯びた斬撃を叩き込む。
「終わらせます」
余計な言葉は必要ない。
ただ確実に、術者を断つ為、霊刀を振るう。
現れた術者を前に、|八月一日・圭 《ほづみ・けい》(螺鈿を纏う修羅の語り部・h09402)は足を止める。
「……あなたが元凶ですか」
状況を確認するように一瞥すると、相手もまたこちらを見て表情を変えずに言い放つ。
「我が術を見て尚向かってくる者か、実に勇敢なり」
不空剣派・月仙人が能力者を見定めようと武器を構えたのを見て、圭もまた【覚悟】を決めて身構える。
「せっかくのお招きです。始めましょうか」
二人の間に張り詰めた空気が漂う。
『抑え続けた想いよ……いま剣に宿り、怨敵を討て――修羅顕現。』
【先制攻撃】で動いたのは、圭だ。
【業火を宿す怨念の剣鬼「修羅」】を纏う技を繰り出す。
自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【霊剣術・夢想修羅】」が使用可能になる。
業火を纏う剣鬼をその身に宿し、踏み込む。
一気に間合いを詰め、迫った。
ぐぅ、と直前で息を飲み込んだが、凄まじい速度と威力の霊剣術をまともに喰らってしまい、月仙人は膝を付く。
「やはり、我の術を見ただけのことはある……まやかしなく実力でやってきたのも納得がいく」
そう、その力が欲しいのだと月仙人は気迫で立ち上がった。
そして『忘れじの月の香』を使う。
【この能力以外の精神干渉を解除】して【敬愛】の感情を与える【仙桃の香気】が、全身から溢れ出し続ける。
[仙桃の香気]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。
濃度が高い程抵抗は困難とされる技であった。
漂い始める香気に気付けば、圭は急ぎ風の流れを読みとり、風上へと回り込む。
香気の滞留域の外へと向かうと呟いた。
「触れなければ、それで済む話です」
とはいえ、目に見えるものでなし……甘い桃の香りを吸い込めばたちまち相手の術中に落ちると考えれば、それなりに脅威ではあった。
先の一撃がだいぶ堪えているようで、月仙人がじりじりと様子を見ながら距離を開けようとしているようだった。
可能な限り長期戦を避け、香気を出来るだけ避けて間合いを詰めるにはと考えた圭は、風上から一気に圧を加えるかのように俊敏な動きで【切り込み】、月仙人に迫ることにした。
香気が届く前に踏み込み、濃度が上がる前に決着へと手にした霊刀真黒をしっかりと構えて突撃していく。
「時間は与えません」
剣鬼「修羅」の威圧に乗じ静かに燃える業火で空気の流れをコントロールして、圭は再び得意の間合いへとしっかり踏み込んだ。
「ッ、早い!?」
3倍の移動速度で動く様が瞬間、内側へ潜り込んだと認識されたと同時に放たれる。
――霊剣術・夢想修羅。
圭は全力で業火を帯びた斬撃を叩き込む。
「終わらせます」
余計な言葉は必要ない。
ただ確実に、術者を断つ為、霊刀を振るう。
黙して刀を振ると香気も揺らぎ薄れていく。
冷たい眼差しのまま、圭が霊刀を素早く動かし最大威力で月仙人を切った。
「これほどの……力のものが……うっ」
まともに威力二倍攻撃を喰らい、月仙人はその場に伏した。
甘い空気が止んだところで圭はやっとふう、と大きく深呼吸出来た。
これでアプリケーションを通じての呪術もじきに消えていくだろう。
🔵🔵🔵 大成功
風待・葵……まぁ、そりゃ特定はされてますよね。
まずは敵周辺の情報を探査。私が構えられる位置を探りましょう。可能であれば風上で。件の√に存在するという「天人」を警戒するに越したことはありません。
今回は殲滅武装がアクティブですが、相手は一人。拡散兵器より単体火力。待ち構えられているなら罠の張りようもなし。なら【E.o.a.S.S.】が最適か。6号から8号、13号から素数番、合計6機出撃します。
このプロトコル、命中に難はありますが……戦闘時間を引き延ばせば学習型火器管制で命中率の向上が望めるはず。的確にドローンで撹乱しながら、タイミングを図りましょう。最悪私自身を照準にして、生命をチップに張るのも手ですね。
「……まぁ、そりゃ特定はされてますよね」
|風待・葵《かぜまち あおい》(電子の護霊バーチャル・ハッカー・h04504)は自室で一人呟いた。
呪術的トラップを発動させた主からのメッセージが既読になったと同時に、特殊空間に召喚されてしまう。
新しい世界からの客人が、怪しげなる力で|こちらの世界《EDEN》を狙っているという図式を脳内で描くと、仕方ないといった体で術者に対峙した。
(まずは敵周辺の情報を探査)
【情報収集】を高速で行う葵。
(私が構えられる位置を探りましょう。可能であれば風上で)
件の√に存在するという「天人」を警戒するに越したことはない、と相手の出方を見る。
「おぬしらの世界には、溢れるほどに力が漂っていると聞く……我らはそれが欲しい!」
成程、呪術で集めようとしていたのはインビジブルの力だったのかと葵はすぐさま敵の狙いを解析したが、ではどう出る? と更に頭をフル回転させていく。
「では行くぞ……無空を以て泰山を断つ!」
【月が出ている間、威力3倍の超巨大な不空剣】が命中した部位を切断するか、一定分数使用不能にする技を繰り出す月仙人。
また、切断された部位を食べた者は負傷が回復するという恐ろしい術でもあった。
(そんなもの、まともに喰らってやるはずがないですよ!)
特殊空間に夜空が映し出され、そこに煌々と輝く月が現れた。
(今回は殲滅武装がアクティブですが、相手は一人。拡散兵器より単体火力。待ち構えられているなら罠の張りようもなし)
高速で打つ手を考えるのと同時に、不空剣の攻撃を避けようと必死に動く葵。
いくら【激痛耐性】があったとしても、出来る限り敵の攻撃は喰らいたくないものである。
【ドローン操縦】で敵の攻撃をなるべく分散させて躱そうと必死だ。
(なら【E.o.a.S.S.】が最適か)
『イクリプス・レギオン、6号機から順に起動……シズリングサン射出、10秒前』
「6号から8号、13号から素数番、合計6機出撃します」
対抗手段を絞り、ここぞとばかりに大技:|E.o.a.S.S.《イクリプスオブアシズリングサン》の能力を発動させる。
6基の【高火力型イクリプス・レギオン】を召喚し一斉発射する。
命中率と機動力が6分の1になるが、対象1体に6の3倍ダメージを与える。
(このプロトコル、命中に難はありますが……戦闘時間を引き延ばせば学習型火器管制で命中率の向上が望めるはず)
この【弾道計算】されたE.o.a.S.S.が月仙人にめがけて照射されると、月仙人も不空剣で薙ぎ払いにかかる。
しかし、巨大なだけあって素早い射撃を全て躱すのは難しかったようだ。
なるほど、これなら行けると踏んだ葵は、ダメージ値でごり押していく戦法に出た。
(的確にドローンで撹乱しながら、タイミングを図りましょう)
「おのれ、小賢しい! そして鬱陶しい!」
月仙人が焦れてくるところを狙い一気に攻めていく。
(最悪私自身を照準にして、生命をチップに張るのも手ですね)
勿論最悪の展開などないほうが望ましい。
葵は【ドローン操縦】を行いながら、E.o.a.S.S.の照射を月仙人に与え続ける。
なかなかに集中力を使う状況だが、ここは何とか踏ん張らなければ。
ダメージが蓄積し、月仙人側も相当苦しい状況に追い込まれているはず……超巨大不空剣は次第に空を切り、強い力で振られる回数も減ってきたように見えた。
「よし、今です!」
【無差別攻撃】で【一斉発射】された【弾幕】が、疲労の色を濃くした月仙人に襲い掛かる!
これは見事に全弾ヒットし、月仙人が地に伏す。
「くっ……我らの野望が……」
術で描かれていたのだろう、特殊空間に浮かんでいた月がその姿を揺らめかせ消えていく。
(ということは、呪術式も消えてくれるのでは……!)
気が付けば自室に戻っていた葵は、すぐさま端末を操作し月仙人からのメッセージを解析する。
探知は空振りに終わったが、同時にアプリケーションにかけていた検知からの通知がポップアップされていた。
あの特大呪術がどうなったかを確認すると、徐々に方陣が綻びている様子が視認される。
「はあー……これにて何とかなりました、というところでしょうか」
問題が一つあるとすれば、此度の戦いに巻き込まれて、余計に散らかってしまった部屋の惨状だ。
現実から全力で目を逸らし、とりあえず机の上にあった激辛スナックを口に放り込んで一息つく葵であった。
🔵🔵🔵 大成功