【RP】I miss all of you
あの後、どうやって廃遊園地を出たのか覚えてない。どこをどうやって辿り着いたのか、見え覚えのある扉の前にいた。√汎神解剖機関。沈丁花の花咲く、私の居場所のひとつ。
シンとした空気。人の気配がなく、今日は出払っている日だったかな…とぼんやり考えている間に、ズルズルと足の力が抜けた。
たくさん歩いた気もするし、そんなこともない気もする。ただ、1日があまりに長かった。
しゃがんだ拍子にごとん、とポケットからスマホが滑り落ちて、拾わなきゃと手を伸ばす。のろのろと触れれば、スマホの画面はチャットアプリの会話欄で──思わず画面に触れる。
フリック。タップ。スワイプ。読み込み直しても、会話の数は変わりがない。√能力者になってからの、会話歴だけ。…その事実に、心のどこかが軋んだ。
🌙雨夜・氷月
📗戀ヶ仲・くるり
この話の後▷https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=18780

そ?それは悪かったね?
(露骨なまでに歪んだ表情に何かしらの琴線に触れたことを知る。そんなつもりはなかったので形だけ謝罪のポーズをとって)
(『でも』と続く言葉を興味深げに聞いた。不安の吐露。確かに不確かなモノに縋るのは勇気のいる行動だと知っていた。他√とは無縁に、平穏に生きてきた少女ならば尚更そうかと分析して)
んっふふ、そうみたいだね。そこにあるはずなのに全く触らないし……認知が歪んでるってことなのかな。
(少女の指の動きを見て双眸を細める。滅多に見た覚えの無い事象に興味を惹かれつつ、今続けるべき論点はそこではないと堪えて)
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見えない、居場所があるかわからないって言うけど、まあそれはそうなんだろうね。それでアンタはどうしたいの?|そのままでいいの《・・・・・・・・》?
(不安を口にして立ち止まっている様子の少女へと問いかける。身内の存在に気づいた、メッセージもあるらしい、居場所も残っているかもしれない。これらを踏まえた上で、|何ができる《・・・・・》ではなく|何をしたい《・・・・・》のかと)
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いえ、……、(何か言ってもそぐわない気がして、あなたの謝罪に緩く頷いた。続く言葉にぱちり、と瞬きする。「そこにあるはずなのに全く触らない」…この人にはそう見えてるらしい。どうしても眉が寄った。私には、そう見えない)
どうした、い、って…そりゃ、連絡…したい、です、し、(聞かれた問いに、どうしても言葉が詰まる。したいことはある。このままじゃいやだ。希望することだけは山程ある。)
(でもどうやって?出来る、って期待して 出来ないのは、しんどい。これは、口に出した方が、絶対しんどい。)
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──会、いたい…(それでも、絞り出すような声で言った。だって、この人、ここで逃げたら笑って見送る。問いかけたなら、多分、“私で楽しむ気がある”。自分は楽しくないけれど、今は袖をつかんだ手に力をこめた。涙の浮かびそうな目に力をこめたので、睨むようにも見えただろう)
……がんばる私が、“おもしろかった”ら、…協力して、くれますか(露悪的にも聞こえる質問。でも、この人の性質に合ってる気がした。お金でも価値あるものでも動かない人、…だと思う。短い付き合いなのでなにも確かじゃないけれど)
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(希望を告げる言葉が詰まる、絞り出される。未来に在るかもしれない希望と失望の狭間で揺れる様子が見てとれる。それでも|会いたい《・・・・》と願う強い意志に感心していると、袖を引かれる感覚と鋭い視線がやってきた)
…んっふふ、
(皮肉ともとれるような言葉選びはとても興味を引いたが、それ以上に己に協力を頼む姿勢を見せたことが何よりも|面白いと思った《・・・・・・・》。最初に出会った時とは違う、価値を提示した助けの求め方。自然と口角が上がって)
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そうだね、協力してもいいよ。
たとえアンタのカゾクのメッセージをいつまでたっても認識できなくても、会っている筈なのにわからなくても、その現実を何度も目の当たりにすることがあったとしても。
──それでもなお、諦めないって言うなら。
(そこまで深く関わる気は無かったけれど、面白いと思わせてくれた彼女が、諦めずに進み続けた先には興味があった。だから。)
(その先を見せてくれると言うならいいよと笑った)
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……っ、(そうかもしれない。自分でも薄々思っていた。だから、希望を口にするのがしんどかった。それが正に突きつけられて息が詰まる)…氷月さん、性格悪いって言われませんか…(煽られてる印象を受けても、今度はしっかり睨んだ。怒るだろうと分かっていて、本心で言ってそうだから、この人本当に性質悪い!)
わ、たし、あきらめません…会いたいから、諦めません!(それはもう宣言というより鼓舞に近しいなにか。しゃがみこんでいた足を動かして立ち上がる)
──でもなにが出来るかも分からないので、協力してくれるなら、一緒に考えてください…っ(あなたの袖をつかんだまま、スマホ画面を突きつけた。)
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あっは!『性格悪い』って表現になるならまだ甘い方だよ。
(怒りの滲む視線をからりと笑って流しながら応えた。その手の評価は言われ慣れている。それを承知で発言をしているし、この程度の評価で済んでいるならそれなりに加減はできているようだ。現時点ではこの少女を徹底的に突き放す気はないのだから)
うんうん、いいね!それで立ち上がれるなら期待できそう。
(確と自分の足で立ちスマホを突きつける少女へにこりと笑って自身も立ち上がった。今にも崩れそうな様子から立ち直った姿に、仄かに喜びの感情を抱きつつ)
ならまずは検証から始めようか。現象が分からないことには糸口や抜け穴を探すどころじゃないからね。
ってことで、流石にココじゃ何だから奥に行こうよ。
(現在地は玄関。いつ誰が来るかはわからず、腰を据えて話せる場所でもない。廊下を指し示しつつ腕を動かし、袖を掴む手を軽く引き奥へと促して)
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……えっ、け、検証…?(立ち上がったあなたの言葉に瞬きながら見上げる。話の速さに頭がついていくより先に、あなたに手を引かれるまま足を進めた)
(──事務所隣、休憩室。
仮眠できる程度に大きいソファと、テーブルがあるだけの急拵えの部屋。大掃除の際、事務所で座れなくなって人心地つける場所として整備されたそこは、以降ほぼ使われていない。人の出入りが少ないので、腰を据えて話すにはちょうど良さそうだ。
事務所で話して誰かがきた時、何を話していたのか問われたら。多分、言葉に詰まってしまうから…ちょうどいいかもしれない、と目線を巡らせる)
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あの……検証って、なにするんですか…?(落ち着かない様子であなたを見上げる。一緒に考えて、とは言ったけれど、今すぐなにかするとまで思ってなかった。見上げる目には困惑が滲んでいたことだろう。)
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ハイハイ、本題に入る前にまず座って座って。
(休憩室に入り真っ先に向かったのはソファ。見上げる少女を気にすることなく手を引き、腰を下ろした横に座るように促して)
んで、検証ね。アンタが家族やらを認識できてなかった、さっき思い出せた、でもメッセージとかは見えない、ってトコロまでさっき聞いたけど。それ以上のことを俺は知らなくて、当の本人のアンタは何すれば良いかわからない。
なら、俺が手伝うにしてももうちょい情報が欲しいんだよね。欠落の具合とか、アンタの認知の歪みが|俺の《見えるヤツ》干渉でどうなるか、とか。
ってことでスマホ貸して。ほらほら。
(現状を整理し、得たい情報を列挙していくその様子は積極的に協力する姿勢にも見えるだろうが。瞳に好奇の色を滲ませ、早く寄越せと言わんばかりに掌を上に向けて差し出す姿は、己の興味で動くいつも通りの男の姿と変わりないだろう)
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わ、はい、おじゃまします…(手を引かれるまま、ソファの隣に浅めに座る。なんか隣に座るの、落ち着かないな…と思っている間に立石に水のように話し始めたので、目を白黒させた。頭ついていかないんですけど!?)
…ちょ、まっ、はい、ええと、私のスマホを、渡せばいいです?(手に持ったままだったスマホを、目の前に差し出された手に載せる。電源ボタンを押せば、先ほどまで開いていたメッセージアプリの一覧が表示されるだろう。)
(見識と興味を語り、好奇心で光る目は、どう大目に見積もっても自分本意で「手伝っていただいて申し訳ない」の気持ちが少しばかり薄れた。
この人、絶対楽しんでる…いや、その方が気は楽だけど…。)
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うんうん、それでいいよ!
(戸惑いを露わにしながらもスマホを手渡してきた少女に上機嫌に笑いかける。良識あるニンゲンを装うなら個人情報の観点から『警戒しろ』と忠告するところだが、生憎と今は未知の現象が気になって仕方がない)
(手慣れた様子でメッセージアプリを操作して確認をする。やはり未読のまま通知の残された会話がいくつか存在し、そのうちの一つ──『かぞく』の欄を開いて少女へ画面を見せた)
今、俺の目には「かぞく」って見えるやつを開いてみたんだけど。これ、アンタにはどう見えてる?
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……、……あっ?(操作を横目で見て、…これ勝手にメッセージアプリ使われてる?と気付いたが、自分で渡した上に先程自分で確認したいと言ったので、飲み込んだ。途中でブツンと画面が|ブラックアウト《・・・・・・・》したのもある。)
っ!(「かぞく」と聞いて身を乗り出したが、すぐに首を傾げる)……?……メッセージ、開いてます…?画面、何も表示されてないですよね、スリープモードじゃないんですか?(淡い紫色の瞳には光る画面が映り込んでいるのに、本人は不思議そうに首を傾げた。嘘をついている様子はない)
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(首を傾げる様子を注意深く見つめる。『スリープモード』に見えているらしく、嘘をついている様子もない。ならば本当に見えていないのだろう)
…ふうん、なるほど。他の何かに見えてるわけじゃなくてしっかり見えてないんだね。今、俺の目からはちゃんと開いてるように見えるよ。
(スマホ操作中に一度も触れなかったことから予想できたことではあるが、改めて目の当たりにして思案するように画面を見つめて。不意に自身のスマホを取り出し操作をし)
……んじゃ、コレは見れる?
(差し出したのは自身のスマホのメモ帳アプリの画面。其の内容は今開いている会話画面に表示されている最新のメッセージだが──その旨は一切告げず、様子を窺うように少女を見つめた)
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え……?だって、なにも表示されてないから、電源押したら、……あれっ?(電源ボタンを押せば、画面は真っ黒なスリープモードに。戀ヶ仲くるりの認識では、ずっと“真っ黒な画面のまま”だ。「かぞく」のグループメッセージが表示されて、消えて、を繰り返す。)
ぇ、と?(見せられた画面を見る。なんの変哲もない、文字が打ち込まれた画面。内容が染み込む前に口に出して読む)
「ツバメ、巣立った」「今年のひまわり」「ボス猫代替わり?」「新刊」…ですよね、これ、な…(なに、と言おうとして、言葉が詰まる。この人、さっき、なんて言ったっけ──“「かぞく」って見えるやつを開いてみたんだけど。”
覚えのある文脈だった。他愛ない、でもつい微笑む写真を送る父と母。山ほど本を買って、読了後、目の前に積んでいく兄。そうした話題にスタンプを送るのが、いつもの、)
(…これ。もしかして。そう思うのに、声が出ない。震える目であなたを見る)
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(画面に表示した文字の読み上げる声から見えていることを識る。思考が巡る。己が干渉すればメッセージを見せる事が可能であるとすれば、欠落により認識できない相手と言葉を交わすことも可能かもしれない。縁のない己を干渉することで相手がどこまで覚えていられるかは不明だが、)
…うん、選択肢はあるかな、…っと、
(不意に己を見つめる少女に気づく。思考に没頭し過ぎたようだ)
ああ、そうそう。アンタの「かぞく」のメッセージ。これが父、母、これが兄かな。……ちょっとごめんね?
(文字を指差しながら告げ、逡巡した後自身のスマホのアプリをカメラへと切り替えた。少女のスマホの電源を入れ表示された会話画面を画角に収めたならばシャッター音を鳴らして)
画面が見えないなら見えないかなって思ってたんだけど、俺の干渉で多少認識できるみたいだし──これ、どう見える?
(己のスマホで撮った、彼女のスマホ画面の写真を少女へ見せた)
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……っ、(向けられた画面を見て、さっき拭ったはずの涙がじわ、と滲んだ。苦しいのとうれしいのが混じり合う。泣きそうな理由が自分でも整理できない)……す……。
っ、見え、ます…(アイコン。変わってない。お父さんのもお母さんのも寿お兄ちゃんのも変わってない。写真、お母さんはちょっと下手。よくブレたり指が入って「撮り直す時間なかったから!」なんて言って。お父さんは凝り性だから毎回上手に撮って、褒めるとうるさい。寿お兄ちゃんは要件だけ言う。でも本の感想言うと、話し出すから……。
記憶の通り、半年ぶりの連絡が写った画面を握りしめる)
……あ、りがと、ございます…っ(──連絡あっても、この真っ黒な画面しか、本当に見れないんだ……苦しい──連絡あった。嘘だと思ってなくとも、形があるのが見れてうれしい。
間違いなく、うれしいが勝った。涙が落ちそうなのを堪えながら、あなたにお礼を言う)
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!("見えた"。検証開始時点の想定とは異なる事実にピクリと反応する。欠落を抱える前の少女と縁の深い人間との直接のパスが途絶えているということだろうか。己の干渉により別のパスが通せる可能性と、元のパスの考察──)
(思考の深みに沈みかけ、少女からの感謝の言葉で現実へと戻る。それもまた想定外、純粋な好意からの行動でないことを少女は感じていただろうに。それでも溢れ出たような言葉は彼女の心のひとひらに違いなく)
…どういたしまして?でもまだメッセージが見れただけ、これからだよ。
(素直に受け取りかけて、戯けるような笑いに切り替えた。誤魔化すように少女の額を指先で小突こうとしつつ、ゴールは程遠いと続けて)
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(少女のスマホへ再度視線を落とすと不意に思い出す。会話一覧では対象が見えておらず、それを|避けるように《・・・・・・》操作をしていた。思考が巡る。今は画面全体が見えてはいないが、|避けようがない筈《・・・・・・・・》だ。スマホの電源ボタンで画面は点滅していた。見えていなくても操作はできるのでは、と)
……どうなるんだろ。
(思いついたら止まれない。呟き、断りもなく少女のスマホを操作する。淀みない手つきで家族グループの会話でスタンプ一覧を表示、適当に目についた緑のなぞの生き物を選択したならば)
ねえくるり、ココをタップしてみてくれない?見えてなくても操作が反映されるのか見たい。
(指し示したのはスタンプ送信エリア。通常なら触れればそのままスタンプが送信されるが──はたしてどうなるか。興味津々に見つめて)
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はい……これから……でも、うれしい……(額を小突かれても、食い入るようにあなたのスマホの画面を見ていた。ふわふわと返事をしながら、じわりと滲む涙を拭う。今は泣くより、目に焼き付けたい。これ、画像送ってもらったら、自分のスマホでも見れるのかな。頼んでみようか…そんなことを思っている間に、突きつけるように出されたスマホを見て、瞬く)
…え?(画面は|真っ黒《・・・》だ。さっきからずっと変わらない。認識できないまま、問いかけようと相手を見て、その気持ちが折れる。──話を聞く気がなさそうな、なにかに傾倒してるかのような、目をしていた。)
押す、ん、ですね…?(腑に落ちないが、確かに、この人の機転によってメッセージが見れたのは確かだ。言う通り、画面を押す)
【判定:雨夜・氷月により干渉値/50↑で送れる】
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(「ヒャッハー‼︎」場に合わない、底抜けに明るい声がした。“くるりが送った”アニメーションスタンプについている効果音。画面の中には、送られた緑のなぞのいきものスタンプが蠢いている)
あの…なにか…起きました……?(送ったくるりには、何も見えず、聞こえていない。ただ、黒い画面に触れただけの認識だ。眉を寄せてあなたを見る)
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(戸惑う少女を顧みることなくスマホに触ることを要求した。それは容認され、画面に触れるとアニメーションスタンプが送信、愉快な音と動きがスマホの画面とスピーカーを動かした。その事実をじっと見つめて噛み締める)
アンタが触ったことでスタンプが送信されたよ、くるり。認識はできてないんだね?
(確かめるように問いかけながら、自身のスマホを再び操作しシャッター音を鳴らした。怪訝そうに見つめる少女へとスタンプが送信されている事実を画像で見せて示す)
俺がお膳立てをしたとはいえ、くるりが認識できてなくてもスマホ側は動いてアンタの家族の会話にスタンプが送られた。…ってことは、本当にアンタの認知する能力が一部欠落してるって感じなのかな…(あくまで仮定の一つではあるが。こちらからは影響を与えられるが相手からの影響を受けるための受け皿がない、そんな状態に見えた)
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(思考を呟きながら手元の画面に視線を落としたならば、)
あ、既読ついた。
(送信されたスタンプを他者が閲覧した証明──"既読"の文字と数字が表示されているのが視界に入り、半ば反射的に少女へと告げた)
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(あなたが見せた画像を見て、スタンプが押された画像を見て瞬く。自分のスマホの画面を見て、眉を寄せた。真っ黒なままだ)……見えません……(認識できないが、起動されたメッセージ画面があるのも、指示があれば操作は出来ることも分かった。でも、送れたとしても、自分が認識出来ないから、結果が分からない。操作自体がおぼつかないのも想像がつく。意思疎通が成り立たない。ここまで考えて、肩を落とした)
……私からの連絡、難しそうですね……。え、と、認識の?欠落?なのかな、確か…『√能力者になる以前の居場所が“見えない”“分からない”“気付かない”』って、言われました、けど…(それは、この人の考えの補足になるか分からないけれど、そのくらいしか知ってることがないので、アクマが言ったことを繰り返した)
…………え? きどく?(スタンプを送ったら、見る人がいる。ということを思い出して、呆然と呟いた)【既読対象ダイス】
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(ピコン! 「メッセージ:くるり!」)
(ピコン! 「メッセージ:どこに居る?」)
(ピコン! 「メッセージ:無事か?」)
(ピコン! 「メッセージ:病気や怪我は?」)
(ピコン! 「メッセージ:冬からどうしてた、誰かと一緒に、」)
(♪ ピピピピ ピピピピ ピピピピ ♪)
(立て続けに鳴るメッセージ音。いくつかのメッセージが送信された後、通話を知らせる軽快な音楽が鳴った。
通知欄をあなたが見れば、不在着信バッチも3桁を超えていることが見て取れるだろう。
──当然のように、戀ヶ仲くるりはメッセージ音に反応せず、『既読がついた』と言ったあなたを戸惑いと困惑で揺れる目で見ていた。)
(通話相手の名前表記は、“祭お兄ちゃん” 戀ヶ仲・祭。戀ヶ仲くるりに2人いる兄の1人、5歳年上の次兄からだった。)
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ん、そうだね。くるりだけの意思では厳しい、けど、誰かの手助けがあれば間接的には連絡が取れはする。これが今やってみてわかった事実だよ。
(今回の結果判明したことを纏めて全てが不可能ではないと示す。自分一人では難しいが彼女の周りには人が多そうではあるし、定期的な連絡くらいならとれるのではないだろうかと)
『√能力者になる以前の居場所が“見えない"“分からない"“気付かない"』、ね。……、……それ、誰に聞いたの?
(言葉を反芻し己の仮定は合っていそうだと確認しふと我に返る。その言葉が出るということは語った者がいるということ、そしてソイツが今のくるりの状態を知っている可能性。盲点だったなと内心反省をしながら問いを投げかけ――)
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(通知音により意識をスマホに戻された)
!わあうるさい、メッセージめっちゃ来――通話まで掛かってきた。
(連続のアプローチに面倒そうに眉を寄せつつ少女の様子を窺えば変わらず困惑の表情が見てとれ。逡巡した後、通話開始のボタンを押すと通話音の発生口をスピーカーに切り替えようとしつつ)
くるり、“祭お兄ちゃん"とやらから電話掛かってきて今スピーカーフォンしてみるから聞いといて。聞こえない可能性が高いけど。
ってことで、“祭お兄ちゃん"。なんか喋って喋って。
(相手の都合などお構い無し。今は少女の状態確認が優先と言わんばかりに音声を切り替え、こちらの状況も何も知らない通話相手へと雑に発声を促した)
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間接的に、連絡、取れ、……そっか、氷月さんが読めて、メッセージ送れるなら、代理で読んでもらったり、送ったり、出来る……?(あなたの声に、喜色が滲んだ。真っ黒な画面は変わらないけれど、全部真っ黒じゃないんだ、と思えて表情が緩む。)
あ、…えっと、あの、(影を踏みつけるようにしながら言い淀む。もう会いたくない。でも伝えた方がいいとは思った。この人の考えはさっぱり分からないけれど、何かを解き明かす人には、知ってる情報は伝えた方がいいのは、分かる。眉を寄せて、あなたを見上げながら、途切れ途切れに言う)──私に憑いてる、アクマが…言って、ました。
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(繋がった瞬間、キィンと音割れした。スピーカーにしなくとも、怒声に近い声が漏れ聞こえる。)
『──くるり!!お前今までどうしてたんだよ!どれだけ探したと思ってんだ!どんな事情が、っどんな事情でも話してくれれば……は?』
(通話がつながった瞬間、繋がる先の状態の確認もなく、矢継ぎ早に話し出した。が、スピーカーになる前はほぼ声が届いていなかったようで、聞こえ始めたあなたの声に怪訝そうな声音に変わる。)
『なに、男の声……誰?……祭お兄ちゃん?俺をそう呼ぶのか、へぇ…………なんか喋って、ね。くるりと冬から一緒にいたのは、あんた?』
(半年ぶりの妹との通話。聞こえたのは、妹ではない、どこか軽い調子の男の声。その声が妹しか使わない“祭お兄ちゃん”と呼ぶ。どう想像したのか、険の強い問いが投げられた)
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えっ…えっ…えっ?(メッセージがめっちゃ。通話まで。その情報だけで目が白黒する。心の準備なにも出来てない!)
え、あ、祭お兄ちゃん、から!?(あなたの顔とスマホを交互に見て、混乱が滲む。何も見えない。何も聞こえない。連絡が来たのは嘘じゃないと思っても、それが事実だ)
ええ、と、なにも…聞こえません、けど、……、……(通話がつながっているスマホに、喋っていいのかな、と目が揺れる。聞こえない。こちらが聞こえないなら、話しても聞こえないかもしれない。話したいのに届きようがない会話は──苦しい。スピーカーで拾わない範囲の、小声で囁く)
祭お兄ちゃん、なんて、言って…怒ってますか…?(熱しやすい兄の顔を思い浮かべる。この状況なら、多分、怒ってる。と想像はついた。すぐ想像がつく程度に親しく、関係は悪くない兄だ)
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……憑いてるアクマ、ねえ。ふうん、なるほど。
(言い淀みながらも口にした言葉を復唱する。随分と因縁がありそう、そしてそれ以上に|欠落《この件》に関係がありそう。そう予測はできるがひとまず今は目の前の一本の電話を優先すべきものとして意識を向けた)
うーん、やっぱり聞こえないか。まあそうだよね。
(言いながら自身のスマホを操作する。起動するのはメモ帳アプリと音声入力コマンド。スピーカー音にどこまで反応するかはわからないが、これで幾分か言葉は拾えるだろうか)
(自動文字起こし機能を起動した己のスマホを差し出しつつ小声に耳を傾けて)
怒ってるし、めちゃくちゃ盛大に勘違いしててウケる。まあそれはさておき|俺のスマホ《コレ》持ってて。これで会話内容|見れる《・・・》かも?
(声量を合わせて告げたなら盛大に勘違いしているらしい男へと繋がるスマホへと意識を戻して)
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画面表示された名前でそのまま呼んだだけなのに勘違いしててウケる。そんなことよりとりあえずもうちょっと喋ってよ。俺宛でもくるり宛でもいいからさ。
(直情的な相手とみて軽く煽ってみた。分かりやすい言葉を引き出し少女へと認識させる為でもあるのだが。少女が男の表情を見たならばその顔は愉悦に満ち溢れ、純粋に電話口の相手で遊んでいるように見えるだろう)
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(あなたの意識が通話に向かったのを見て、息を吐く。少しだけ、ほっとしてしまった。アクマの話をしなくていいことに。)
え?盛大に勘違い?なに話して、…えと、これ…?(渡されたスマホを受け取り、眉を寄せて画面を見る。
「おれ」「××」「なんか」「──」「くる」「××××」「いっし」「──」「んた?」
単語は拾えるが、文章の成り立ってない文字列。
点滅するマイク型のアイコンと、光るたびに文字列が増えていくのを見て、やろうとしていることを察する。音声認識からのメモだ。…読めそう、ではある。音声認識さえしてくれれば。何も聞こえない自分のスマホに近付けた。)
『ああ!? “祭お兄ちゃん”で表示されて、──それ、“くるりのスマホ”のままで…あんた、関係は分かんねぇけど、くるりのこと知ってんだな…?』
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(あなたの言葉に、狙い通り熱を上げる声。
けれど、スマホがなんらかの理由で手放されて、別人に使われてるなら、データは消されて使われているはず。
そのスマホは“戀ヶ仲くるり”の使っていたスマホのままで。“くるり宛”とあなたが言う。そう察すれば、通話先の男にはそれだけで食いつく価値があった)
『頼む!くるりと話をさせてくれ!……みんな心配して会いたがってる、お願いだ、頼む、…家族なんだよ…!』
(スピーカーの音が割れそうなほどの声量。懇願。あなたに請うような内容だったからか、話調も少しは緩やかになり──音声認識も、比較的はっきりされた。
「あいたがってる」「たのむ」「かぞくなんだ」の単語が表示されたのを見て、)
……っごめんなさ……私も会いたい……(その言葉を向けられた当人は、何も聞こえないまま、画面にぽたぽたと雫を落とした)
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(電話口の相手が食いつくように喋り出した声。内容は半分聞いているような、いないような。彼が何を話そうと然程興味は無く、視線と意識は少女の方を向いていた。表示される文字列が増えたことに起因する少女反応から、目論見の一つが達成されたことを認識し)
うん、やっぱりこういう形ならくるりもカゾクの言葉を少しだけ認識できるね。さすがに精度はお察しな感じだけど。
(相手に聞かれようとお構いなしに普通の声量で、“会いたい"と願う少女の認識を確認しそのまま口にする。少女の願いが容易に叶えられるモノではないことは想像に難くない。だからこそ、今は其処に触れなかった)
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じゃあ次はくるり…って言いたいけど大丈夫そ?アンタが喋って向こうがちゃんと聞けるか念の為確認しておきたいんだけど。ついでに、何か伝えておきたい事あるならそれ喋っても良いよ。
(次の試行の段階に入ろうとして漸く涙を認識した。こうなった人間は言葉を話すことに苦労している印象がある。だがそれでも少女には言葉を発してほしかった。それが検証のためでもあり、少女自身の為でもあり――通話後の通知爆撃というイベントを避けるためでもある)
0

『あ……?ちょっと、待、……くるりが喋って、聞ける、か……?』
(通話先の声は、困惑で揺れた。成立してないやり取り。会話相手は自分ではなく、おそらく妹だと分かるが、どうにも腑に落ちない内容だった。通話先の男から、まともな返答がないことに歯噛みする。)
……っ、(ポタリ、ポタリ、と画面が濡れていく。会いたい。さみしい。苦しい。…どうして、私が。ぐちゃぐちゃの気持ち。泣き喚かないだけの理性はあったが、泣き声を飲み込んだせいか声が上手くでない。)
わ、…たし……(大丈夫そ?と問う声に目線を上げる──温度の薄い目だった。観察するみたいな感情に流されない冷静な目で、「聞けるか確認して」と言う。きっと、必要だから。
この人、私のことをかわいそうとか思わないんだろうな。頭の端で感じて、その事実にどこか安堵する。小さく頷いた。…話したい。深く息を吸って、吐いてから、口を開く)
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ま、つりお兄ちゃん……わた、し、(自分のスマホを持つ。どうしても声が震えて湿度が混じる。せめて泣かないよう堪えながら、思ったことを口に出す)
家、かえれ、なくて。今、声、きこえなくて…多分、あっても、見えない……(こんな話、一般人の兄は、忘れてしまうだろうか。欠落の話は、世界によって修正されてしまうだろうか。それでも、)
っ、でも、…会いたい…っ。帰りたい、帰るから、…ごめんなさい、心配かけて、ごめんなさい……待ってて……(伝えたかった。我慢していたのに、ぽたり、とまた画面が濡れる。)
【判定:雨夜・氷月による干渉/50↑で聞こえる】
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(一般人は√能力由来の事柄を認識できない。忘れてしまう。しかし、例外もある。
“Ankerは出来事を忘れない者もいる”
欠落を埋めるべき存在が、欠落によって会えない。歪んだ構造ながら、戀ヶ仲くるりの家族は正しく|Anker《帰るべき場所》だった。)
『……っ、……なんだよ、それ……、本気で言って……、……馬鹿野郎!どんな形でも俺たちは家族だ!いつだって帰ってこい!』
(くるりの言葉をあますことなく受け取って、叫ぶ声。くるりには家族の声が聞こえずとも、通話先の男には聞こえているという証明だった)
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(少女の言葉に対して通話の先の男が反応を示した。感動的な一場面ながら、事実のみを淡々と受け取り思考する。少女側の認知の欠落によるものという仮説が一番近そうではあるが、己が力の干渉による影響という可能性も残っている。間に入る存在を変えて検証するのも良いかもしれない――)
(思考の海に沈みきる前に意識を現実に戻す。いつまでもこの状況を続けるわけにもいかない)
…っと、よかったねくるり。『家族なんだからいつだって帰ってこい』だって。
(涙を流す少女は音声認識で表示される文字を見る余裕もないだろうと、代わりに兄の言葉を要約して口にした。ひとまず現状すぐにやりたかったことは終わり、ここで通話を切るかとアイコンに手を伸ばしかけ――やめた)
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わかったことを軽く纏めるね。
くるりはカゾクを認識できない。スマホのメッセージも、通話の音声も。けど、俺が間に入ったことでメッセージを見れたり、通話の内容もいくらかわかった。一方、カゾク側はくるりからの発信を受け取ることができる。スタンプも、通話音声も…ってところかな。
(少女に話す体で、通話口の男に現状の検証結果を一通り伝える。今回の試行の対価として、相手側の認知に関する今後の検証の種蒔きとして、聞かせることに利があると判断した。――相手が理解できるかは度外視しているが)
こんな感じで色々検証していけば何か道は拓けるかも?次の機会はコッチから電話掛けてみてもいいかもね。
(そう口にしたところで今度こそ通話終了のボタンを押した。もう一度少女の家族と繋がり、話すことがあれば何か有用な情報を得られるかもしれない、その可能性を頭の片隅に思い描きつつ。ここで漸く少女へ意識を向けて)
そろそろ一回休憩する?
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〜〜〜〜〜! き、こえて、ましたか、…わたしの、声、とどいて、…よかったぁ…(あなたの言葉に止めどなく涙が落ちる。それが嘘だとは思わなかった。届いた。よかった。私の声、聞こえないけど、届くんだ…と光るものを抱く。この先への希望。)
(泣きながらもあなたの検証を伝える言葉は、頷く。頷いてはいるが、しっかり内容を把握しているかは疑問を抱く様相だった。)
『ちょ、っ……いや、なに…全然、納得出来ねぇけど、…なんだよそれ、病気?心の?……くるりは、本気で言ってんだな……?それで、あんたは一体──』
(対して、通話先。あなたの検証結果を耳にして、返ってくるのは困惑に塗れた声。言葉が耳に届いたとしても、それを受け入れるかは話が別。まだ問いかけようとしていたが、ブツン、とあなたの手によって通話が切られる。
──爆撃のようにメッセージが送られることは、なかった。通話先の相手にも、思うところが出来たようだった。)
0

……、……きゅう、っ、…けい…?あ、泣いてて、ごめんなさ、だいじょうぶ、…っ、だから…(スマホに触れたあなたと、かけられた言葉に、涙の浮いた目が不思議そうに見る。通話終了の通知音も画面も認識出来ていないので、イマイチ噛み合っていない。あなたと、まだ通話していると思っている兄に向けて、グズグズと鼻を鳴らしながら首を振った)
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ん?ああそっか、画面見えないんだったね。
(不思議そうにこちらを見て懸命に話そうとする少女の姿に初歩的な事実を思い出す。通話が終わり、会話画面を開いていたアプリを操作して少女が見える会話一覧を開いて)
通話は一回切ったよ。俺がやりたいことは終わったし、あんまり長引かせてもしんどいでしょ。一回落ち着きな。
(言いながら周囲を見回し視界に入ったボックスティッシュへ手を伸ばした後、少女の目の前へと差し出し)
また連絡したければ俺が間に入ればできるし、なんなら多分他のヒトに頼んでもできるんじゃないかな?今度俺抜きで誰かに頼んでやってみてよ、それで何か結果が変わるならそれも判断材料になる。
(感情が涙となって溢れる少女に話して今どこまで理解できるかはわからないが。直接認識できなくともやり取りは比較的容易に可能である可能性を改めて提示してみせ)
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通話、切れて……?(あなたの言葉に、実感なくスマホの画面を見つめる。真っ黒じゃなく、会話一覧が見える。この画面が見えるなら通話は終わったんだろう。とゆっくり染み込んだ。沈み込むようにソファの座面へ背中を預ける。)
あ、りがとう、ございます…(湿った声のまま、差し出されたティッシュを受け取って、涙をぬぐって、鼻をかむ。全然かっこうつかない。そんな状態であなたの話をぼんやりとした心地で聞く)
……はい、連絡、つきそう、ですもんね……だれか、たのんで……(事情を知ってる人。知らなくても、手伝ってくれそうな人。そう顔を思い浮かべようとして、)
ごめんなさ、…ちょっと、休んで、いいですか(頭が回らない。…頭、痛い。泣いたからかもしれないし、色々なことがあったからかもしれない。つかれた。ドロリとした疲労感がまとわりつくようだった。申し訳なさそうに目線を向ける。)
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(こちらの言葉を断片的に拾い、鸚鵡返しのような反応が多く見られる。本人も自覚があるようで、休んでもいいかの言葉に一つ頷いて)
ん、なら今日はこれくらいで一旦やめておこうか。俺も考えたいことあるし。また別のタイミングで検証を――うん?
(スマホから通知音。手元ということは少女のものかと視線を落とし、少女を見た。相変わらず通知音には反応していないことを確認するとメッセージを開き)
…ちょっと失礼ー。
(渡していた自身のスマホを返してもらい、画面の写真を撮る。続いて双方のスマホを操作することしばし)
…ん、今日こっちで撮った画像はくるりのスマホに共有しておいたから。コレが見れるかは次回教えて。…ってことでこれで一回解散しよっか。休んで色々整理すると良いよ。
(少女のスマホを返して立ち上がる。己が居ない方が気も休まるだろうと笑って)
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……はい、(一旦やめておこう、の言葉にゆるゆると頷いた。張り詰めていた糸が切れたかのように、頭が働かない。)
……?(なんとなく持ったままだったスマホが、あなたの手に戻っても。自分のスマホを写真に収めていても。自分のスマホが渡されても。ぼんやりと見守るだけで何も尋ねなかった。そのままあなたが去ろうとするのを見て、慌てて立ち上がる)
あっ、あの、氷月さん!ありがとう、ございました…!(歩き出したあなたが見えていなくとも、深く一礼した。)
(欠落の解決はしなかった。するのは程遠いことだろう。けれど、「分からないことが分かった」「分からないなりに手段が出来た」ことが、大きな一歩。)
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(くるりのスマホに届いて、あなたが内容を控えたメッセージ。くるりの家族の1人と思われる名前から来たメッセージは、明らかにくるり宛ではなかった。)
(【くるりがお世話になっております。お時間のある時、話す機会をいただければ幸いです。ご挨拶はその際に。
TEL:0×0‐××××‐××××
mail:〇〇〇〇@××××」】)
通話内容を──グループ通話。グループ内のメンバー全員に通話を通知し、複数人で会話も可能──聞いた上で連絡してきたと、あなたは察せただろう。
この連絡で事態がどう転がるかは、また別の話)
【このおはなしは、これでおしまい】
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