【RP】浜辺
幾つの季節が移ろえど、波をうっては青褪せる浜の景色は変わらない。流れ着いた物の多くが柔い砂にうずもれて息を潜めている。
此処がすべての果てなのだと眠るように。
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◯1:1での対話/どなた様でも歓迎
◯都心から離れた海岸、交通の便が悪い為に人通りは少ない
◯お帰りの際は【帰路へ】をご選択ください
𓇼漂流物/1d100
旅路を終えた欠片が見つかるだろう。
気に入って拾うも、ただ眺めるも自由だ。
【赤】 【青】
【0】繊細な 【0】貝殻
【1】美しい 【1】シーグラス
【2】愛らしい 【2】海洋生物の骨
【3】小さな 【3】海辺の植物
【4】大きな 【4】鉱物
【5】欠けた 【5】古道具
【6】脆い 【6】硝子瓶
【7】異質な 【7】流木
【8】滑らかな 【8】陶器片
【9】無骨な 【9】化石
散歩中
帰路へ

(立春を迎えた頃だ。海風はいまだ凍てつくように冷たいが、やがて吹き荒む南風が春のはじまりを告げるだろう。それがもう直ぐなのか、それとも暫く先なのか……予報士とて知り得ない。今はただ、冬の名残を惜しむように歩むだけ。砂浜には細く、細く、消え入りそうな足跡だけが残された)
(散歩中)
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(足を止め、珍しい漂流物を見つけて眺める。比較的大きな其れは古い鏡の一部であった。割れた鏡面は潮風に晒されて黒ずんでいる。メモを取ろうと手帳を開くと、挟まっていた一枚の紙片が風に煽られ宙を舞い、程なくあなたの近くへと落ちた)
――もし、良ければ拾ってくださいませんか。
(あまり執着を持たない声色で男は尋ねる。拾わぬまま紙片が再び風に攫われても、さして気にすることはないだろう)
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(喪服に白いコートを着込んだ男が、波打ち際から三歩離れて立っていた。顔の下半分が奇妙な面具で覆われている。長身を屈め、皴を寄せぬよう加減して拾い上げたらしい、その一片。微かについた砂粒を指腹で落としながら。声の主のもとへ)
――どうぞ。……もし、よろしければ。内容を、伺ってもよろしいですか?
(武骨な手が差し出した落としものは、表を見ぬようにか伏せてある。見知らぬひとへの伺いにしては無遠慮で。けれども、穏やかに)
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(紙片を拾ったのは青年であった。屈んだ姿勢から正しく伸ばされた身丈は、己よりも頭一つ分ほど巨きく思う。どうも、ありがとう――そのようにお礼を述べながら、紙片を受け取りに赴くだろう。男は柔和に目を細めた。雄々しさが滲む風貌でありながらも、紙片を丁寧に扱う青年の仕草からその人柄が窺えたからである。故にその言葉を咎めることもなく、薄く微笑み穏やかに|応《いら》えた)
ええ、構いません。
さして大切なものでもなく……詩のような言葉の切れ端です。
(はて、其れには何が書いてあったろうか。-- 奇数:新規 / 偶数:『覚書』より一編)
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『ドロップ缶を覗き見る 底抜けの明るさに潰されたくらやみ』
手帳に挟んでいた紙片はそれだけですから。
おそらくその様に書いていたはずです。
(伏せた紙片を返すのなら、細い線で綴られた文字がぽつねんと白地に浮かんでいることだろう。元は些細な日常の断片だ。多くは語らず、心象風景をスケッチするように残された言葉のひとつである。紙片に書かれているのは、先日言葉を交わした妖怪のことだったか――などとぼんやり思い返しながら男は手を持ち上げた。節はあれど細く生白い指先は、拒まない限りそのまま紙片を受け取ろうとするだろう)
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(鷹揚をしてくださるあなたへ、目礼を贈り――聞き終えて。言の葉が映す水面に、ゆるやかに瞬いた)
…………大切では、ないのですか。
(抵抗なくお返しした、その|手元《詩片》から、灰青の瞳へ。男の眼差しに責める温度はなく。不思議そうである。……数拍の間は、あなたの裡にあるものへ、砂をかけてしまわないか。案じるもので)
……無粋を申し上げますことを、どうかお許しいただきたく。
……自分には、やわらかな眼差しのように。聞こえました。
潰されては、窮屈だろうと。……ご苦労を想像もするのですが。
(喉奥が笑みを含む。小さなドロップ缶の中の光景。……そのすべてが、なにか、佳いもののように。あなたの詩に感じたのだと、勝手を言う)
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あなたはとてもお優しい方のよう。
どうぞお気になさらず。
(紙片を懐の手帳に仕舞うと共に、不思議そうな視線に男の頬は幽かにほころぶ。言葉の端から香る気遣いと、律儀さ。そして詩片から『やわらかい眼差し』を見出すその心は、午前の淡いひかりのように心地好い。微睡むように疑問を受容し、しかし紡ぐ言葉は決して多くなく)
……ものはいずれ喪われてしまいますから。
(『もの』とは即ち『かたち』のことである。形がある限り、遅かれ早かれ己の手から去ってしまう何かに執着を保ち得ないのだと、言葉足らずに告げていた。灰青の瞳が海を見遣れば、既に大切なものを喪って久しいような、遠い目をして)
(海から意識を戻すように目を伏せる)
詩においては、感じた景色こそが|誠《ほんとう》かと存じます。
それを佳いものと思ってくださることは、物書きの冥利につきます。
紙片もあなたに拾われたくて、私の元から飛び出してしまったのかもしれません。
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