アストライアの格納庫

ワスVS滅美 デモ大会2 決勝戦

マキ・タカミネ 2月27日21時

第一章:煉獄の幕開け

 焦土と化した大地に熱気が渦巻く。「煉獄の審判台」――それはまるでこの戦いを見届けるためだけに存在するかのような戦場だった。

「……始めるぞ、ティンダングル……。」

 弔焼月・滅美の低く、眠そうな声が響く。その巨体が地鳴りを立てながら動き出す。超大型多脚武装型WZ『ティンダングル』。かつての大会覇者、その圧倒的な重量と質量は、敵を粉砕するためだけに存在していた。

「さて……じゃあ行こうか、ウカノミタマ。」

 ワス・レ・ルナが軽く息を吐く。その瞳には鋭い光。高機動四足獣型WZ『ウカノミタマ』が地を蹴り、爆発的な加速を見せる。

 足場が危険なこの戦場では、重量級のティンダングルと高機動のウカノミタマの戦いは、まさに対極の闘争となる。

 最初の衝突が始まる――。

第二章:死線の追走

 ウカノミタマがジグザグに駆け抜ける。戦場の至る所からマグマが噴出し、炎柱が舞う。その間を縫いながら、ワス・レ・ルナは狙いを定めた。

「射て射て射テ射テ!ギャハハハハハッ!」

 無数のミサイルが空を切り、爆音と共にティンダングルへと襲いかかる。しかし、巨体は揺るがない。黒煙の中から、なおも進撃を続ける影が現れる。

「耐えて見せろ……。」

 エネルギーブレードが展開される。巨大な光刃が空を裂き、振り下ろされる。ワス・レ・ルナは間一髪でかわし、遠距離からの狙撃に切り替えた。

「射撃誤差修正……ツラヌケ!!」

 レールガンの弾丸が光を引いて走る。しかし、それすらもティンダングルの装甲には届かない。

 巨大な影が一歩、また一歩と迫る。

第三章:捕食の刻

「……何秒待つかな?」

 弔焼月・滅美の声と共に、ティンダングルが跳んだ。

 信じられないことに、50メートル級の巨体が跳躍したのだ。

「クソッ!」

 ワス・レ・ルナは急旋回するが、巨体の影がすべてを覆う。

 ――ズシャァァァァァン!!

 カーネイジ・スタンプ。まさに圧殺の一撃。地面がえぐれ、炎が舞う。

 しかし、ウカノミタマはその下から現れた。間一髪の回避。

「……おもしれぇな。」

 ワス・レ・ルナの唇が歪む。だが、機体はすでに限界に近かった。

 左脚の駆動系が損傷。警告音が鳴り響く。逃げ場はない。

 ティンダングルが不気味にゆっくりと振り向く。その動きはまるで、
獲物を仕留め損ねた巨大な捕食者のようだった。

第四章:雷神の咆哮

「遠慮は無しだ…食イチギレ!ウカノミタマ!」

 雷神咬が発動する。高圧電磁パルスを纏い、四足獣型の機体が閃光のごとく突進する。

 ティンダングルの足へと食らいつく!

 紫電が弾ける。金属が軋む。

 高電圧が弔焼月・滅美の機体を貫く。巨体が揺らぐ。

「……まだ、だ……。」

 それでも、ティンダングルは動きを止めなかった。

 ワス・レ・ルナの視界が警告で赤く染まる。

 装甲が焼け、制御が乱れる。駆動系が悲鳴を上げる。

 「……この一撃で決める……!!」

 ウカノミタマが渾身の力で噛み砕こうとする。

 だが、

 ――ゴゴゴゴゴッ!!

 ティンダングルが、一瞬で巨体を捩じらせた。

 その圧倒的なトルクが、ウカノミタマの牙を粉砕する。

最終章:煉獄の終焉

 戦場が静まり返る。

 マグマすら息をひそめる中、最後の攻防が始まる。

 ティンダングルが、一歩前に出た。

「引き潰せ……ティンダングル……!」

 ワールド・オブ・カタクリズム。

 圧倒的な重量が全てを呑み込む。

 ウカノミタマはすでに限界を超えていた。

 逃げる術はない。

 ワス・レ・ルナは、ほんの一瞬、穏やかに笑った。

「良くやったよ、ウカノミタマ……。」

 彼の機体が、巨体に飲み込まれる。

 戦場に轟音が響いた。

 そして、勝者の名が刻まれた――。
【試合結果】

勝者:弔焼月・滅美

敗者:ワス・レ・ルナ

試合時間:12分47秒

決まり手:ワールド・オブ・カタクリズム

【試合データ要約】

ティンダロス傭兵団同士の決勝戦。ワス・レ・ルナの『ウカノミタマ』は高機動を活かして戦場を駆け抜け、ミサイルレインやレールガンスナイプによる遠距離戦を展開。終盤には必殺技『雷神咬』でティンダングルに電撃を浴びせ、機体にダメージを与えた。しかし、弔焼月・滅美の『ティンダングル』は圧倒的な質量とパワーを活かし続け、最終的には必殺技『ワールド・オブ・カタクリズム』で戦場ごとワス・レ・ルナを飲み込み、決着した。

ワス・レ・ルナは二度目の準優勝。弔焼月・滅美は連覇を果たした。