宵の涯

【雨の日】あきつくとルクス

千桜・コノハ 6月6日17時

――――ぽつり、ぽつぽつ……ざあぁぁ…………
さきほどまでの晴夜が嘘のように、降り出した雨は世界を雨色に塗り替えてゆく。
突然の雨に傘なんて持っているはずもなく、きっとあなたは雨宿りの先を求めて駆け出すだろう。
そこで出会したのは見知った顔で。
それはたまたま駆け込んだ軒先かもしれないし、
運良く目の前にあった喫茶店等の店内かもしれない。
その出逢いは、雨が上がるまでの数刻を過ごすのに、いい暇つぶしになるだろう。

あるいは、あなたは妖横丁でこんな噂を耳にしたのかもしれない。
“雨の日に桜色の紫陽花を見つけると願いが叶う”
それは雨季の雨の日にのみ現れると噂の紫陽花小径での伝承で。
いつの間にか、そこに迷い込んでいたのか。はたまた好奇心でそこへとたどり着いたのか。
やってきた紫陽花咲き誇る迷路のような小径。きっと、そこで出会うのも見知った顔で。
出口へと向かう散歩ついでに、傘を差しゆるりと語り合いながら、桜色の紫陽花がないか探してみるのもいいかもしれない。

――――そんな、とある雨の日のできごと。


#伽羅崎・あきつく
#ルクス・ナイトシェイド