【紹介】光速は速度ではなく距離
朝焼けが好きだ。分け隔てない光は混ざり合ったカタチを浮かび上がらせ、個を照らし出す。
光がなければ、生命とは闇にうごめく一個の存在であっただろう。
「しかしまだ朝焼けは遠いねぇ」
一方ここは夜の例えがあるかもしれない謎の建物、世々祇会館デラックス。
いわゆる廃棄されたビルにもかかわらず何故か電気が通っているポップでキュートで時々ノワールな不思議建築物。
そして、今日に限って停電している暗闇の建築物。
「暗すぎるんだよ!」
ふと現れたその声はやや幼さを感じつつ、それでいて力強さを感じる。
苦情を言う訪問者の顔も見えないまま、対して白色という特徴を失った災厄──筺守はケラケラと笑う。
「夜は大体暗いものさ」
「でも、その暗さを克服した存在が人間だよね?」
意外と細かいところを突いてくる訪問者だなと筺守は思った。停電は仕方ないとして、それ以外の光源を手配していないのは確かにこちらの不手際かもしれない。ここに夜を超えるための知恵がないことを、訪問者は詰問しているのだ。
「あー、アタシ人間じゃないからさ」
しょーがないだろ、災厄なんだからさ、と。種族を生かしたウィットに富んだ言い訳。これには相手もぐうの音も出ないどころか──
「行くよ、|無銘輝剣《ストレイライト》!」
間一髪、暗闇の中で横っ飛びになった白色の何かが、魔力の刃──その軌跡が残した霊光に照らされる。
「今アタシのこと斬ろうとした???」
「こんなところにいる人外は大抵敵だよね」
面倒なことになったと筺守は思った。筺守に人間はわからぬ。それどころか暗闇の中、姿も見えぬ相手のことはもっとわからぬ。何より、問答無用で抜刀してくる相手であった。
「私は戦う。闇が邪魔をしてくるっていうならふっとばしちゃうんだから!」
「あのね、アタシは無害で可憐な災厄だから敵じゃないんだよ」
白光が弾け、顔のすぐ隣に風を切る音。
「闇の先にある光、それが私の追い求めるもの!」
「誰が闇だ誰が」
冷光が通過し、少し髪が短くなった気がする感覚。
どうせ不死の身ではあるものの、痛いものは災厄だって嫌だ。
命の危機を前に、待ち焦がれる夜明けへの衝動。
「その先の光を、私は見たい!」
「アタシも生きて朝日を拝みたいねぇ」
時は新月。
朝は遠く、冷たい夜の帳の下。
双方望むものは光で、でもそれは違う光。
すれ違う思いを交えるように、ただ剣舞が続いていた。
【入団者】
|其之咲《そのさき》・|光里《ひかり》(無銘の騎士・h07659)
https://tw8.t-walker.jp/character/status/h07659
はい、遅れてごめんねぇ。入団者のご紹介。
初心者入団してきてくれたツワモノだね。
これで世デラは名実ともに初心者旅団。
自己紹介がてら、好きな空を言っておこうか。
朝焼け。

おお、正体がわかればこれはこれは元気の良い少女。なるほど、これだけ元気が有り余っていれば明け方まで剣も振り続けられるワケだ。
アタシも確実に10 歳ぐらいの女の子だからまあ仲良くしよっか。キミは、成程その先にある光……じゃあヒカリって呼ばせてもらおうかな。
0

うんうん、勢いがあって良いねえ。そうだね、アタシはまあ反対に大体ここでダラダラしているから何かの機会に話してもらえると嬉しいかな。例えば、ここに迷い込んだ経緯とか? ここって意図的に来たのもいれば、完全に迷い込んだ者もいるし、キミの身寄りに似た人も見つかるかもしれないね。
0

元々色々見て回ってるんだよね。
何せ私は過去がわからない。その事は別に良いんだけど、その代わり色んな今を積み重ねて生きたいの。
そんな感じでウロウロしてたらここに辿り着いたの。
居心地が良さそうで嬉しいよ、ノゾミン
0

前向きな考え方、アタシも好きだよ。曖昧に残っていれば手繰り寄せようもあるだろうけれど、スッパリ忘れちゃったならそっちの方が気持ちよく生きられるだろうからね。最終的にどんな新しい記憶を積み上げられるかってところで第二の人生との勝負ってワケだ。アタシも負けてられないねぇ。
自分探しは歓迎しているから好きにくつろいでおくれ。居心地が良いと感じるならばきっとキミにはデラックスな資質があるはずだよヒカリン。そのうち何か好きなことやモノが見つかると良いね。
1