第八汎神資料室

NullData

斎川・維月 9月7日18時

存在しないデータ。
誰も参照出来ないし、何者も認識出来ない。故に何の意味も為さない。

真実なんてものは得てしてそんなものだ。




・怪異『縊鬼』
例えるなら|現象《タスク》としての死が、プロセス終了後にもバグデータとして残存している状態の事。その影響が伝播しエラーを拡散させる為、結果的に周囲の生命を死に引き寄せる事になる。
その姿や、怪異と言う分類、呪い、感情と言った要素はそのデータの残存に対する帳尻合わせとして逆算的に定義づけられているものであり、本質ではない。
情緒や人間性の獲得により『死という現象』から遠ざかる事で、そのエラー伝播は抑制される。が、それは壊れたエラープログラムにプログラムを書き足し増設し続ける事で蓋とし、無理矢理正常状態を維持している様な行為と言って良い。その為、精神状態がネガティブになる事で『|蓋が緩んだ《状態が死に近付いた》』際の悪影響と伝播範囲は寧ろ拡大化する。
|絶対死《強制削除》を迎えた場合の呪いの拡散は、実際には『現象である死が死ぬと言う矛盾』によって発生する|死と生命の管理状態の破綻《タスクがループし完了しない深刻なエラー》であり、逆に言えば特別の強制力は無い。
(例えるなら『死にますか? Y/N』の選択肢に全てNを選び続ければ良いと言うだけではある。逆に言うと、それでもその密度と圧迫の前に弱い者は死ぬ)


・人間災厄『クビレオニ』
上述の怪異『縊鬼』に、情緒、人間性、愛情、幸福感その他の『増設プログラム』を長期的かつ大規模に施した事で、結果的に絶対死の際に人間社会を破綻させる可能性が出るレベル迄その想定被害範囲を広げた個体。
現状、斎川・維月の一体だけとなる。と言うか、その存在が成立した時点から怪異『縊鬼』はほぼ発生しなくなっている(正確には、発生しても斎川・維月に集約される)。
但し、急場しのぎの増設に過ぎずとも、情緒、人間性、そして死とは逆の精神的状態により『蓋』が盤石極まる状態であれば、絶対死の際に世界から『死』と判定されない可能性はある。例えに使われているだけで実際にはプログラムでは無い分、判定されてもエラーの伝播が小規模に納まる可能性は尚高い。よって、『幸福値が高い状態を維持し、その蓄積により絶対死時に発生する被害が小規模~無い状態にまで抑えれる事が確定化した時点で、その状態が変化する前に斎川・維月を絶対死させる』と言う汎神解剖機関と斎川・維月の方針は、公共の利の観点からは至極正しい判断だと評価できる。


・『古霊』
https://tw8.t-walker.jp/garage/item/show?item_id=1545
維月が|古霊《せいれい》さんと呼び良く使役しているインビジブル達。
名の通り古い霊。元はもっと人の形と心をハッキリ維持していたものの、経年劣化により自我が摩滅して行き、本来であれば拡散して海洋生物型のインビシブルと化すか、或いは一足飛びに薄れて消える運命であっただろう存在達。
その状態が言わば混じり気の無い『死』に近いため、『死がカタチを持って残存している』バグである維月の影響を受け、結果的にその存在が補強、再定義されている。雑極まる姿かたちをしている事も、その上で維月を真似たデザインになっている事も、それによるもの。
自我の摩滅自体はそのままである上に、再定義の際に複数が混ざり合っている為、その知見や知識の広さと反比例するかの如くマイペースで感情的で短絡的な……要するに子供の様な性格をしている。お菓子を好むのも、単に甘味と言う娯楽が分かり易く平均的な歓びだからである。


・と金丸
https://tw8.t-walker.jp/garage/item/show?item_id=27484
斎川・大貴の所持品。
茎に刻まれた銘と思しき文字が摩耗し判別不能の為、これは仮の銘。鑑定を依頼した巫覡の『仮にでも銘を付けた方が安定する、出来るだけそぐうものを使用者が付けるのが良い』というアドバイスに従い、辛うじて読めた『と』の一文字から大貴が付けたもの。
薄刃である事と、後述の特性から、恐らく処刑刀として作られた品と思われる。また、妖刀や呪刀の類と言って良いその特性が、作成時に付与されたものなのか、処刑刀として使用される内に生じたものなのかは不明。
その特性は『罪のある存在の首を刎ねて殺す』事に特化している。罪の判定は『刀の所持者の認識』『当人の自認』『客観的な定義』の三つ全てが有効であり、多く重なっている程その効果が高くなる事を確認されている。
そして斎川・維月はその後者二つが高い水準で重なっている。
(※尚、斎川・維月は二つだけでは無く三つ全てがそうだと思って居る)


・K博士
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=20637
ツンデレのおっさん。汎神解剖機関所属の一般人研究者。髭。
科学と言う学問に対する理想と信念が強いからこそ、その科学が娘見たいな(※とは言えこの男は未婚なので子供等居ないが)年頃のガキ一人楽にさせてやれない事にずっとキレている人。そんなキレっぱなしで疲れないのかなって位常時キレてる。もっとカルシウム採れば良いのに。
口にはしないが、最終目標は『80年位後に孫とかに囲まれて幸せに死ね』(※理論上は可能だが、リスクと研究と解明の進捗具合を考えれば現状は全く現実的ではない)。
平時の基本スタンスは『そこ迄ストイックである必要はねえだろうが泣き喚く位遠慮なくしろや。それ位何とかするのが私達の仕事だろうが舐めんな』(※事実、スタッフは抗精神装備等を身に着けている為、機関施設内での維月の多少の暴走は想定リスク範囲内であり、対処が可能ではある。よってそれをも『駄目です』と拒否する維月の頑固さは彼女自身の判断と不安から来るもの(及び、己の絶対死時の兄の安全確保の徹底意識)に過ぎない)。
結果、協力的な被検体である斎川・維月を執拗に泣かせようと事ある毎に嫌がらせや物理攻撃を仕掛ける大変迷惑なモンスター研究者なのだが、罰則や謹慎以上の処分を受けず担当者変更すらされないのは、その能力と適性とモチベーションの高さ故……と、後は何故か、何故だか不思議と人望があるからである。