炬火

《逢》六辺香

トゥバ・コルヌコピア 12月2日15時

『おまたせしました。熱いので、気をつけて』

あなたの注文した料理と何かしらの飲み物が程なくして運ばれてくる。
皮目をしっかり焼いた肉の表面はぱりりとしていて、口にすれば弾けるように脂と肉汁が広がることだろう。付け合わせに熱い鉄皿に乗せられた芋や人参は箸休めがわり。
足りないようなら追加で何か注文をしても良い。店に訪れるのは腹を空かせた冒険者ばかりだから、他の飲食店よりもやや大盛りで食べ応えがありそうだ。

竜はカウンターの中で皿洗いに勤しんでいる。
時々彼から視線を感じるのは、多分気のせいではない。

《1:1》
ファウ・アリーヴェ(h09084)

やりとりは合計10レスまで。
きりが悪かったら、多少伸びても大丈夫。
ファウ・アリーヴェ 12月4日00時
(通していただいたカウンター席へ有難く着席した暫くの後、鉄皿の上で脂が躍る音を鳴らす香ばしいモモ肉と、疲労に効きそうな薬草を煎じた茶が配膳された。小さな店員さんへ、ありがとうと頭を下げて感謝をすると、食事へ両手を合わせて命に祈ってから、フォークを添えてナイフで一口大に切る。頬張ればパリッとした表面を噛むと甘い脂が弾け、香ばしいスパイスが肉の旨味を損なわずに共存していた。また一つ、この界に好きな物が増えた事に感動しながら食べ進め、満たされる程に僅かな疑問が膨らんでいく。無意識に視線を向けては外して──)
ご馳走様でした。 美味かった。
(両手を合わせ、まだ茶が残るカップを両手で包む。)
……あの、少年。 少し、仕事の邪魔で無ければ伺いたい事が……。
0
トゥバ・コルヌコピア 12月4日20時
(ひとを不躾に見るのはよくないことだと、竜はあなたと目線が重ならないように時折逸らしていた。『気配を消して情報収集する』などと言う一人前の冒険者のような振る舞いが一朝一夕で出来る訳もなく、竜から送られる視線は側から見ても気付く程度には露骨であった)

へっ!?

(それでも本人はこっそり見ているつもりでいたらしい。あなたがこちらに声を掛けてくれた事に驚いて素っ頓狂な声を上げ)

……ぁ、は、はい!
お茶のおかわりですか、それとも……、

(視線が泳ぐ。もしかして、もしかして。あんまり熱心に見つめてしまって嫌な思いをさせてしまったかも、と語尾を窄め)

す、すみません。じろじろ見て。
俺で答えられることなら、いいんですけど。

(依頼書の取り継ぎであれば店主を呼んだほうが良いだろうか。洗い物の途中で泡だらけの手を所在なげに彷徨わせ、未だ未熟な竜は思慮を巡らせながらあなたの言葉を待った)
0
ファウ・アリーヴェ 12月6日22時
(偶然にお互い目が合った気がすると、少年が素っ頓狂な声を上げた。嗚呼、気になるからと不躾に見るものでは無かったと内省する事となり、反射的に肩の位置まで上げた両手をぱたぱたと左右に振って、あなたに非が無い事をアピールして見せる。)

否、此方こそすまない……仕事の手を止めてしまい……。
あなたが、少し前に出会ったキャラバンの方々に似ていたものだから、懐かしさで思わず声を掛けてしまったんだ。
確か、|コルヌ《角の氏族》という名だったと記憶しているが……。

(最後は果たして、人の多い場所で口にして迷惑ではないか判断がつかず、少々声のトーンを抑え気味に伝えた。)
0
トゥバ・コルヌコピア 12月7日11時
(無礼を働いたのはこちらなのに。謝罪の言葉をのぼらせたあなたへ、ぶんぶんとかぶりを振って否を示し)

俺が見ていたんです、あなたが、……俺の故郷のものを、身につけていたので。

(石を見れば分かるのだ、と。言葉を重ねたあとに、あなたが声を抑えて紡いだ問いを聞いて竜は目を瞬かせると次には少しだけ照れくさそうに破顔した)

ああ、やっぱり。それで|俺たち《ツノ》を身につけてくれていたんですね。
先日は助けてくださって本当にありがとうございました。ええと、

(おほん、おほん。数度咳払いをして見せる)
(きちんと名乗るのは大事な時だけだから、大人たちのようにまだ格好良くはいかないけれど)

……俺はトゥバ。角の氏族がひとはしら、『翠嵐』の末息子です。
あの日みなさんが俺たちを救ってくれたから、その、えと……、……俺もみなさんみたいな強い冒険者になりたくて。いまはこうして群れから離れて、修行をしている最中なんです。
0
ファウ・アリーヴェ 12月8日13時
(それは思いがけない邂逅だった。綻ぶあなたの様子を見て、椅子から垂れていた尻尾をゆらりゆらりと大きく揺らす。彼等氏族の大人達と畏まった挨拶を交わす機会が無かったのもあり、少年の名乗りは随分と格好良く見え、独り立ちを目指す心意気は立派な大人だと感じられる。座ったままではあるけれど敬意を持って背筋を伸ばし、深く頭を下げて。)

俺はファウ。 助けた……のはそうかも知れないが、世話になった礼を返したようなものだよ。
あなたが旅に出てくれたお陰で、思い出に触れる事が出来た。 此方こそありがとう。
いつか肩を並べて冒険を出来ると、とても嬉しい。

(ほんの僅か微笑むと、耳飾りを撫でて首を傾げ)

翠嵐の末息子と言っていたけれど、皆あなたのように、個人の名がまた別にあるのだろうか?
0
トゥバ・コルヌコピア 12月8日15時
そんな。俺たちはただ、皆さんの旅路が佳きものになるようにと願うことしか出来ない弱い存在です。それを助けてくれたのは、あなたたちだ。

(胸を張ってください、と。能力者たちの、あなたの勇姿に思いを馳せるようにひとつひとつの言葉を大切に紡ぎながら。齎された言葉に今直ぐには応じることが出来ない未熟な己を恥じるように頭を掻いて)

まだ、……恥ずかしい話なんですが、俺は武器をまともに振るうことも出来なくて。でもいつか、皆さんと一緒に冒険をすることが出来るようにがんばります。きっと、です。

俺たちコルヌの竜は全員が家族です。だから、個人を示す名を幾つか持っていて……ひとつは生みの親から貰ったもの。もうひとつは、先祖の名。最後に、氏族の間で呼び合うあだ名があるんです。

(自分ならば『トゥバ』が個人名。『翠嵐』が先祖の二つ名。最後の愛称は竜によって様々なのだと微笑み)
0
ファウ・アリーヴェ 12月9日19時
ありがとう。

(実直な受け答えをする少年は、空気のように彼方此方へ漂って生きる自分よりしっかりして見える。正確には人間とは異なるのだろうが、愛する人々とよく似た美しさに柔らかく目を細めた。)

飲食店というのは鍛えられるそうだから、真面目なトゥバさんならば、自然と体力もつくだろう。
此処へは時々、依頼の前後に立ち寄るだろうから……手前勝手だけれど、見守っているよ。

(沢山の名を大切に扱うコルヌの文化。また一つ、大切なものにまつわる話が聞けた喜びで、控えめだけれど揺れる尻尾が止まらない。)

全員が家族……なら、ふふ、何時も六花にお世話になっています。
彼のお陰で寒い日も、過日程の悲しさを抱かなくなった。
0
トゥバ・コルヌコピア 12月10日20時
みなさんの戦利品を運んだりすることもあるので、はやく力持ちになりたいです。それで……、……その、……自分で買った武器を、ちゃんと振るうことが出来るようにも。
はい、ぜひ。お腹を空かせてからきてくださいね。ここの料理は、どれも山盛りですから。

(見守っている、と。告げられた言葉に照れくさそうに目を細めて笑い)

彼に、そう名前をつけてくださったんですね。ありがとうございます。
俺たちコルヌの輝石は長く旅を共にすることで持ち主と共鳴していくのだと伝わっています。日毎に厳しくなっていく寒さからも、これからの旅路で出会う困難も、彼はきっとファウさんのことを守ってくれるはずです。

(もっと仲良くなれますように、なんて。自分が言うのも何だが、今この場に居る角の氏族は自分だけだから。あえてそう口にした)

よければ俺にも時々旅の話を聞かせて欲しいです。
みなの手に渡った後の輝石のみちを、俺たちの殆どは知り得ませんから。
0
ファウ・アリーヴェ 12月13日22時
嗚呼。 少しずつ、食事が楽しくなったから……沢山食べてあなたに負けないくらい成長していきたいな。 (くすくす笑い。)
トゥバさんは、どんな武器を扱いたいんだ?

(生前の彼はどんな|竜《ヒト》だったのか、興味が尽きないものであったが、少年が語ってくれる輝石の話は、生きている人と絆を築くのと変わらない。何となく、より身近に思えて輝石に触れた。)

守られるのも、悪くはないけれど……六花と一緒に、沢山の人の大切なものを守っていくよ。

勿論。 ……そうだな……仕事の邪魔でなければ、互いに近況を報告するのも楽しそうだ。
駅で戦ったりお祭りや遊園地に行ったりと、いくらでも話せるけれど、トゥバさんの日常も、立派な冒険の積み重ねだからね。
0