烏夜

【Tag.3】Ich Esel

ゲルダ・ドレッセル 5月24日13時

【1:1】
先着1名、誰でもOKな1:1RPの場所。

ここは√汎神解剖機関、夜の繁華街のはずだった。
舗装の剥げかけた隘路を私はしるべも持たぬまま只管に走り続けていた。

暗い。昏い、路地裏にて。あなたはこの場を通り掛かったひとかもしれないし、せかいのさかいめから落とされたひとなのかも。どうして今この瞬間にここにいたのかは、あなた次第。
20レス、或いは一週間途絶えたら物語を『おしまい』に導いていくつもり。

それじゃあ……、……『今日も生きたね』って、笑いあえますように。
ゲルダ・ドレッセル 5月24日13時
(月のない夜だった)
(大通りから一本逸れただけで、夜は眩暈がするほどに暗かった)

⋯⋯はあ、はっ⋯⋯、⋯⋯!

(あれが何であったかなんて、そんなもの到底説明の付けようがない。だって、だって、だって、)(あんな風にひとが死ぬすがたを、私は、見たことがない)

(電源を無造作に落としたように膝から崩れ落ちたその人を、大人の男の人を、私は咄嗟に支えることが出来なかった。額を貫かれたその人の口の隙間から脂で真っ黒になった歯が覗いて、直ぐに潰したベリーみたいに真っ赤な血がとめどなく溢れていくのを、私は身体で受け止めることしか出来なかった)

(『神を信じましょう』なんて。よくある言葉。だけどあんまり熱心だったから、ただ話を聞くだけならと思った。それなのに)

(唐突として鼻先に突き付けられた冷たい死の概念に、壊れそうなくらいに鼓動が早まっている。酸素が足りない。肺が爆発しそうだ)
(あれはいったい、なんだったの?)
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戀ヶ仲・くるり 5月24日16時
(大通りを歩いていた。見慣れた繁華街は√汎神の中でも明るくて、少し歩けば固定の扉に繋がる。あまりにも迷子になるから心配されることはあれど、ここは歩き慣れた道だから──)

っ!(背筋に感じたひやりとした気配に足を止めた。あ、これ、|よくないもの《・・・・・・》がいる。かなしいことに慣れてしまった気配に、巻き込まれないように逃げないと。と足を早めようとして、)
(耳にしたか細い悲鳴と必死さの滲む足音に、足が止まる。)

(問:私になにか出来ますか?)

……、……っ、いく!(冷たい怪異の気配を出来るだけ避けながら、けれど危険であろう路地裏に立ち入る。)
あの、あの、だ、大丈夫ですかっ?(回答:怪異を倒すことに関しては、多分なにも出来ない。でも……路地裏に入って見つけた、震える背中を支えることは、多分、出来る)
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ゲルダ・ドレッセル 5月24日16時
(隘路は長くて。気が遠くなるくらいに長くて。どうして、どうして、あかりのある方へ走っているのに、そこまで辿り着けないの)

(おんなの仮住まいにテレビはない。そもそも見る習慣がなかった。だから、ここ最近ニュースで報道されている『無差別連続失踪事件』のことも知らなかった。あなたがもし、人並みにテレビやネットニュースの類に触れているならばその断片を見聞きする機会があるかもしれない)

げほ、ッ……は、……、……!

(逆流した酸素に嘔吐き、足が縺れる。ぐらついた身体を受け止めたのは、雑に結かれた鉄パイプの山であった。がらん、がらんと派手な金属音を立てながら痛みにおんなが蹲ったのは、それとほぼ同時のことだった)

…………、……にげ、て、

(誰かがいることを知る。こちらを案じてくれるあなたの声に、錯乱して散らかった思考が引き戻されていくのを感じた。夜色に身を包んだおんなは、生白い顔をべっとりと血で濡らしていた)
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ゲルダ・ドレッセル 5月24日16時
(――なにかが、いる)
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戀ヶ仲・くるり 5月25日07時
(華奢な肢体がふらつくのが見える。身体だけなく内面も繊細そうな……あ、この人、見たことある。星詠さんで、導いてもらったことがある。そう、確か、名前は──)

ゲ…、ゲルダさんっ!大丈夫ですか!?

(身体が鉄パイプの山に倒れ込んだのを見て、身体が動いていた。どうして倒れ込んだのだろう?と思うより先に駆け寄る。
蹲った身体に触れて支えようとして、……にちゃ、と馴染まない感触がした。ようやく鼻が追いつき、鉄錆の匂いを感じる。真白な顔は、…濁った赤で彩られていた)

わ、ぁ、怪我っ!怪我して、──っ!

(にげてと言うか細い声に、ざわりと背筋が泡立つような気配に、ほとんど無意識に右手をあなたを庇うように掲げる。EDENになった時から、この力だけはずっと共にあった)

こ、ないでっ、ください…!

(右手に灯る白光。ルートブレイカー。目の前のものが√能力由来であれば無効化する。範囲は右手が触れる限りの、小さな灯火)
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ゲルダ・ドレッセル 5月25日17時
……え?

(己の名を呼ぶ声に漸く顔を上げる。あなたの顔を見て、あ、と掠れる声を溢したのは、おんなの方もあなたをつい先日導いたことに気が付いたのだ)

だいじょ……う、ぶ。私の血じゃ、ないから……、それより、

(呂律が回らない。必要な情報だけを端的に告げなければいけないのに、ことばが喉に閊えて出てこない。己はどうして。どうして、こんなときまで『こう』なのだ)
(逃げてくれと言いたかった。おんなの足を縺れさせた『ほんとうの理由』が明確な捕食の意思を見せた、その瞬間であった)
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ゲルダ・ドレッセル 5月25日17時
『――――!』

(ばちん、と音を立てて弾けたのは膠のように凝った穢らわしい触腕であった。ふたりの娘を飲み込まんとした不定形の前脚が萎縮するようにその動きを止めたのは、あなたの決死の一手が異形なるもののちからをこの一瞬だけ無効化した証左であった)

……、……走っ、て!

(あなたが超常なるちからを――それが唯一のものであったとしても――希望のひかりを見せてくれたのだと、理屈ではなく本能でおんなは理解した。だから、支えてくれるあなたの左手を、かなうならば取って立ち上がろう)
(逃げるのだ。せめて、あなただけでも、逃さなくては――!)
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戀ヶ仲・くるり 5月26日08時
(あなたの言葉に反応する間もなく、ばちん!と右手がなにかを弾く。街灯のない暗い路地裏の中で、一際澱んだ暗さの“なにか”
ぬらりと蠢くなにかを視認して、ひゅ、と息が詰まった。)

っ、ぁっ……は、はい!逃げましょうっ!

(手を取られた左手。立ち上がるように引かれた力。走って、の声。硬直しかけていた頭と身体が動き出す。左手を握り返して、駆け出す。
ずる。にちゃ。べちょり、と音がした。大きいものが擦れる音。粘度と重みのある音はさして離れていない)

(問:走るだけで逃げきれますか?)
(答:おそらく、いいえ。だから──)

──PsychoQuake!!

(指鉄砲の形にした指を後ろに向ける。範囲:20m四方。継続時間:持つ限り。震度:7。対象:後ろにいる“なにか”
走りながらで明確に対象を視認できず、曖昧な指定でどこまで効果があるか自信はない。自信が効果に反映されると知っているから尚更焦る)
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戀ヶ仲・くるり 5月26日08時
げっ、ゲルダさんは!ちょっとだけ、あれの足止めとかっ!私たちを、隠したり、できますかっ!
“ちょっとだけ”の時間は、合唱曲の一番を歌うくらいです!!
(走りながら、PsychoQuakeを発動させながら、息切れしながら、そう叫んだ。|合唱曲の一番分《60秒》の猶予が欲しい。さっきの様子を見ると、討伐は出来なくても、“使えれば”大きく時間を稼げそうだと思って)
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ゲルダ・ドレッセル 5月26日10時
『驕翫⊂縺??蜉ゥ縺代※』

(何処が顔かも分からぬそれが、『ことば』のような何かを発する。音とは似て非なるもの。人間の脳を直接揺さぶる、子どものような無邪気さでもって響き渡る、老人のように嗄れた、不快な記号の羅列だった)

『縺企。倥>谿コ縺励※』

(背後で腐ったトマトが潰れたような音がした)
(がくがくと全身を震わせながら赤黒い泡を全身から吐く異形が目に見えて動きを鈍らせた。あなたのちからが、届いているのだ)
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ゲルダ・ドレッセル 5月26日10時
(『できない』。)

(おんなに戦うちからはない。天球を通じて星を詠む、それだけのちからしか持ち得ない。ちっぽけな存在であるおんなは、あなたを生かすための時間を稼ぐ位は出来ようが――いや、それでいいのか)

……。……わ、かった。

(あんなものが、私たちの日常であるはずがない。あんな理不尽な死が、この世界の『あたりまえ』であっていいはずがない)(こんな私の声を聞き留め、おそれを押してなお駆けつけてくれたあなたを死なせていいはずがない。だから。そのためならこの安いいのちなど喜んで捨てられる)

(折れたヒールを捨てた。自尊心などあってないようなものだった。躊躇うものか)

お願い、どうか。どうか、出てきて……!

(寝しなに子守唄を聴かせてくれる、かわいい金糸雀)
(痛みばかりの冷たい夜を、数えきれないほど越えさせてくれた、あなた。今まで私の意思で呼び出せたことなど、一度も有りやしないけれど――)

(こえが、響いた)
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戀ヶ仲・くるり 5月27日00時
(頭を揺さぶったのは、悍ましい音だった。耳を塞いでも脳に響く、肌が粟立つような恐ろしさ)

っ、ぃゃ、…………えっ?

(『縺企。倥>谿コ縺励※』)
(続く言葉が悍ましいと思うのに、必死で乞われたように感じて、瞬く。)
(──ピィッ!と鳴き声。怪異の声へ意識を寄せる前に、鈴を転がすような声と幾重もの羽音が遮った。小さな影の群。心を慰める柔らかい声と身の金糸雀たち。
戦う力はさしてないのだろう。それでも庇うかのように果敢に怪異へ向かっていく。ピィピィ、と澄んだ声で飛び交う小鳥の声が──にちゃり──触腕が蠢き、びぃ!と濁った声に変わって絶えた。)
(……胸が詰まるような光景だった。けれど、触腕は金糸雀たちに伸びて、2人の元へは伸びてこない)
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戀ヶ仲・くるり 5月27日00時
!……あ、りがとう、ございますっ!!

(今は、憐れむ時でも悔いる時でも謝罪する時でもない。必死で呼びかけてくれたあなたの為にも、その身をもって庇ってくれる金糸雀たちに報いる為にも、終わらせなければ──!
あなたと繋いでいた手を放して、手を組む。明確に信仰しているかみさまがいるわけではないけれど、自然と手が動いた。祈りの仕草。)

(私が…私たちが助かる為に。私が扱える力を使わせてください、と世界に祈ろう。)

(10秒──鳴き声がひとつ潰えた。20秒──羽搏く音がひとつ消えた。30秒──ひとつ、またひとつ、怪異の触腕の手で小さな小鳥が地に落ちていく。
血が滲みそうなほど祈りの形にした手を握りしめる。握った肌感覚でまだ時間が足りない、と思う。あと、もう|少し《30秒》──!)
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ゲルダ・ドレッセル 5月28日11時
『驕翫⊂縺?シ√♀縺?@縺昴≧??』

(おんなの呼び声に応じて姿を現した金糸雀たちはこがねいろの翼を広げて迫り来る死の概念の行手を阻む。攻撃とも呼べぬ決死の体当たりは異形の気を引く程度の役にはたっただろう。それでも――ああ、『たった1分』のなんと長いことか)

『闍ヲ縺励>縲∵ョコ縺励※』

(暗がりからずるりと這いずり出たそれは巨大な蟾蜍を思わせる輪郭をしていた。胴体は異様に膨れ上がり、腹は地を擦るほど垂れ下がっている。その表皮は湿った灰色で所々が爛れて膿んだ火傷のように裂けていた。裂け目の奥では赤黒い肉が粘液とともに脈打ち、時折人間の歯列らしきものが覗いている。まるで取り込まれた者たちが今なお内部で何かを咀嚼し続けているかのようであった)

(それは単なる怪物ではない。人間という形を呑み込み続けた末に、人間そのものを理解できなくなった『飢え』の成れ果てであった)
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ゲルダ・ドレッセル 5月28日12時
(呼吸を忘れた。人間たちが目を逸らし続けていた世界の現実を、おんなは今この瞬間正しく理解しようとしていた)

(金糸雀たちは必死に自分たちを守ろうとしてくれているけれど、きっと長くは持たないだろう。祈るように手を組んだあなたを背に庇うように立ち、――穢らわしき触腕が彼女を狙わんとしたその瞬間。おんなは生まれてはじめて自らの意思で『武器』を手に取った)

……、だめ……!

(縋るような異形の声を、おんなも確かに聞いていた。助けを求めるような悲痛な響きだった)
(これが最善かどうかなんてわからない。考える余裕さえなかった。この子を守る。たったそれだけの思いを抱いて、折れた鉄パイプを咄嗟に手に取ったのだ)

(無我夢中で振り下ろしたその一撃は異形を怯ませることすら出来ないほどの頼りないものであった。だが、それでも。異形の興味を少女からおんなへ移すことくらいは、今この瞬間、確かに叶ったのだ)
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戀ヶ仲・くるり 5月28日22時
(40秒──もう羽搏きの音が聞こえない。ずるり、ぐちゃりとにじり寄る音。『闍ヲ縺励>縲∵ョコ縺励※』頭の中に響く声。ざり、と胸が引っかかれるような心地になる)

ひっ、ぁ、……っ!

(50秒──ぐちゃ。音が近付く。目線を上げてしまって、姿を直視して……にんげん“だったもの”だ……と思う。血の気がざあっと下がった。ぎゅっと目を瞑って手を組み続ける。祈れ。たとえ囚われても辞めてたまるか!)

(瞼の下の仮初の安寧の中、ひゅん、と風切音がした。続いて、ごす、と鈍い音がした。目を薄らと開くと……じ自分を庇うように鉄パイプを振り下ろしたあなたがいた。そして、触腕があなたに迫り来るのも見えた──60秒)

ゲルダさん、あぶない!!

(右手に光が灯る。先程より、よほど大きな光)
https://tw8.t-walker.jp/garage/gravity/show?gravity_id=33995
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戀ヶ仲・くるり 5月28日22時
(定説:EDEN内で知られる「通称:ルートブレイカー」は√能力を無効化する。)

(問:多種多様で熱量差も異なる現象を、触れるだけで須く無効化出来るのはどうして?)

(判断材料①…全ての生命は死後、「|見えない怪物《インビジブル》」と化す)
(判断材料②…目視したインビジブルをエネルギー源として、万能の力「√能力」を扱う)

(推論:エネルギー源であるインビジブルの変換に干渉し、√能力の顕現を阻害しているから)

(仮説:力を得るために虐殺を起こし、インビジブルを獲得して育ち続けた|怪異《簒奪者》は、ルートブレイカーで√能力だけでなく……肉体にも影響するのでは?)

(確証はない。今まで相対した憑き物の反応からの経験則と、そこからの仮説だけ。戀ヶ仲くるりの頭でここまで理論立てられているかも怪しい。)
(けれど、出来うる最善が、この√能力の発動だと言うことは分かる)
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戀ヶ仲・くるり 5月28日22時
(戀ヶ仲くるりの右手、指先から掌の付け根まで。約18㎝。人間の心身と外界の認識に関する要素の分類の数:18を乗算して──324㎝。)

なっ、なんとかなれ──!!

(世界から見れば些細な大きさ。けれど目の前の怪異を対するには不足ない大きさを、光が焼いた。)
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ゲルダ・ドレッセル 5月31日17時
(おんなの渾身の一撃を絡め取った触腕が、まるで粘土細工でも捏ねるかのように鉄パイプをぐにゃぐにゃに捻じ曲げていく。おんなはそれが、一連の流れが、ひどく――粘っこく、ざらついた、ゆっくりとしたものに見えた)

『蜉ゥ縺代※?∵ョコ縺励※??』

(これが、『死』なのだ)
(嘗て浴びた死の概念とは違う。もっと残酷で、純粋で、直接的な死だ)

――あ、

(わたしの肉や骨など容易くひしゃげてしまうだろう。人間の頭蓋骨を貫通するような腕なのだ)

(涙は、出なかった)

(こんな私を守ろうとしてくれた、あなたが逃げられたらいいと。それだけが不安だった)
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ゲルダ・ドレッセル 5月31日17時
(刹那、ひかりが満ちた)
(逆光はおんなの目を灼くには至らなかったけれど、異形はその鮮烈なひかりを目の当たりにした)

(ぎき、ぎゅピ、)

(歯軋りともつかぬ不快な音。それから、次いで絶叫のようなノイズが耳と脳を支配して、おんなはぐらりとバランスを崩しかけるけれど。唇をきつく噛み締め、裸足の足で地を踏み締めてそれを堪えた。己が盾になっていなければ、あなたを守れない。その信念だけは曲げたくはなかったから)

『縺頑ッ阪&繧難シ?』

(捩じくれた四肢が溶け、『意図的に変状した』部位が力を失って崩れていく)
(急速に異形の動きが鈍る。縋るように伸びた触腕はひかりに弾かれ、じゅう、と焦げ付く不快な悪臭とともに朽ちていく)

(――やがて、その動きが完全に止まる。外殻を捕食した人間の身体で補っていた異形の中心に、昏く濁った心臓だけが残された)
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ゲルダ・ドレッセル 5月31日17時
……、…………、……うごか、……ない……?

(『倒した』という手応えをおんなは知らない。目の当たりにしたあなたのひかりも、何もかもが現実離れしていて咀嚼するのに時間が掛かった。でも、それでも)

……! け、怪我……! 怪我は、していない? こんな、無茶して……!
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戀ヶ仲・くるり 6月2日23時
(白い光。これだけ強く輝くのに熱感はない。ただただ、眩しい。)

(──っぎぎ、ぎゅピ がががピピピピ GrRザザザザPPgGギッギッ───)

っひ、ぅ、────!!

(耳からではなく頭の中に直接響く|ノイズ《悲鳴》。ぐわん、と脳が揺らされる。不協和音が衝撃となり、気持ち悪い。生理的に上がってきた嘔気を飲み下しながら、それでも右手は降ろさない。浮かぶ涙で視界が曇っても、目は閉じない。あなたを守る為に、向ける位置だけは間違えられないから。)

(悪臭。それが人間の肉が焦げつく臭いだと女子高生は知らない。伸びてきた触腕は、触れる前に消えた。……握ってあげたかった、と一瞬でも思ったのは、怪異が惑わしたかもしれない。
大きな怪異の身が小さく小さくなって、動かなくなり、数秒経って、右手を下げた。光の奔流が収まる)

……おわっ、た……?
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戀ヶ仲・くるり 6月2日23時
あっ!け、怪我!ゲルダさん、怪我してないですかっ!?

(声が重なる。それはあなたとほぼ一緒の事を言っていて、続けようと思った言葉もほぼ同じことを先に言われて、)
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戀ヶ仲・くるり 6月2日23時
……ふふ、同じこと言ってる……。

(なんだか笑えてしまった。笑った拍子に肩の力が抜けて、そのままあなたの肩に手を添える)

心配ありがとうございます。怪我、してないです。庇っていただいて、ありがとうございました……!ゲルダさんは怪我してませんか、大丈夫ですか……?
(顔から服まで赤黒く染まっているあなたに、眉を下げて尋ねた。この量の血を流していたら立っていられないだろうから、あなたのではないのだろうけど。心配なことには変わりがない)
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ゲルダ・ドレッセル 6月5日10時
(ビグン、と不自然に引き攣り鼓動を止めたその心臓はやがて黒く焦げ付いた炭へと変じてぼろぼろと崩れていった)(終わった、のだ。戦いに不慣れなおんなにも、それが分かった)

(蛋白質の焦げる嫌なにおい。おんなもそれを知らなかった。『殴ってごめんね』と咄嗟に思ってしまったのは。その断末魔があんまりにも痛々しかったから?)

(今は深く考えるのをやめよう。彼女の勇気に、この脅威を退けてくれたひかりに感謝を告げる方がよっぽど大切なことだったから)

よかった……。
……お礼なんて、そんな。助けてもらったのは私のほうなのに。

(ことばが重なったことに数度瞬く。ややあって、あなたがちいさく微笑んだのを見て。肩に添えられたてのひらの微かな熱に、急に己の、そしてあなたの生を実感して膝が笑いそうになる。それを堪えるのに結構な労を要してしまった)
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ゲルダ・ドレッセル 6月5日10時
助けてくれて。駆け寄ってくれて、ありがとう。
……ふふ、……私。格好悪かったよね。

(直接的な怪我は。大きな怪我はしていない、と言いたかったけれど)
(破けた靴擦れが、踏み締めた裸足の裏が、熱を持っているのが分かる。遅れて痛覚がやって来た気がして、困ったように眉を下げ)

この血は、……あの子が、ほかのひとを傷付けたときに浴びたものなの。私はなにもできなくて……、その人をそれ以上傷付けさせないように守ることも、できなくて。

(即死だったに違いない。でも、死体を穢すことから守ることは出来たかもしれない。己の無力さを歯痒く思うけれど、おんなはその全てを語るすべを持たなかった)

あなたが助けてくれなかったら。私もきっと、……同じようになっていたと思う。
だから、ありがとう。何度でも、そう言わせて。
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戀ヶ仲・くるり 6月7日22時
え?……いいえっ!格好悪いだなんて……私、庇っていただけたの、とっても心強くて!助かりました!

(あなたの言葉にふるふる首を振って、へにゃりと笑う。暴力に耐性がないので、あの触腕が伸びていたら、祈り続けられたか分からない。あの一瞬があっての今だ)

私、全然戦えないEDENで、あの光も通じるかは結構賭けで、……お役に立ててよかったです!
そう、ですよね……その血を流した人は……、

(──きっともう。そう思うと眉が下がる。人の死にも耐性はない。弔わねばと思ったけれど、死体と冷静に向き合える自信はなかった。
ああこの怪異の残滓もどうしよう……と目線を向ければ、心臓めいた塊がぼろぼろと崩れていく。)

……崩れ、ちゃった。どうしよ、ええと、これは──後のことは専門家に任せましょう!連絡しますね!
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戀ヶ仲・くるり 6月7日22時
(なにをどうしていいのかなにも分からない……ので丸投げすることにした。勢い任せで、たたたんとスマホを操作していく。地図情報と簡単な説明を、連絡先を交換している“カミガリ”や“怪異専門家”の肩書きを持つ人達に一斉送信した。自分が手を出すよりいい。はず。多分!)

はー……これで、なんとか……

(詰めていた息を吐くとどっと疲労感が出てきた。座り込んでしまいたい気持ちが湧いてきたけれど、なんとかぐっと顔を上げる。見ればあなたの身体も震えて見える。)

……、……ゲルダさん、この後、ご予定ってありますか。私、あのですね、迷子になりやすくて。でも、EDENの人といっしょだと……なんだか迷わないんです。
私の家、√EDENで……固定の扉まで、ついてきていただけると、とっても……助かるん、ですけど。

(出来ればその先も。こんなことがあった後、1人でいるのは怖いから。お礼を強請るような形で、あなたを見つめる)
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ゲルダ・ドレッセル 6月10日20時
……私もね。おなじ。
みんなにすこし先のみらいを伝えることは出来るけれど、私自身は……すこしのちからも、なくて。

(『にんげん』の抗い方しか出来ない。そうするための発想さえついさっきまで持ち得なかった。咄嗟にでも動けたことは、きっと奇跡に違いなかったのだ。自分一人であったなら、なすすべもなく殺されてしまっていただろうから)

(静かに首を横に振った。それが答えになるだろうか)

(死体が残っているかどうかさえわからない。この世界では変死体などよくあることなのかもしれないが、おんなも気持ちはあなたと同じだった)

せんもんか? ……あっ、そうだ、おまわりさん……!

(怪異の専門家。民間の窓口も確か存在したはずだ、自分も警視|庁異能捜《カミガリ》査官の知り合いがいない訳ではなかったけれど――あなたの方がずっと素早い。手指が震えて、ろくにスマートフォンの操作なぞ出来はしなかった)
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ゲルダ・ドレッセル 6月10日20時
(あなたの言葉をひとつひとつ噛み砕く。自分を『EDEN』という括りにしてもよいものか、おんなは自信がなかったけれど。恩人であるあなたの、ううん。不安がっているおんなのこを、こんなことがあった直後にひとりで帰すなんて、きっとわるいことだから)

私でよければ。靴も直さないといけないし……、……ふふ、さっき投げちゃったんだった。

(幸い、捨てた片方の靴は瓦礫にぶつかってそのまま地面に落ちていた。折れたヒールはもう使い物になりそうもないが、接着剤で応急手当てすれば自分の帰路くらいまでは持ち堪えてくれるかもしれない。けんけんと器用に片足で跳ねたあと、もたついた所作で以って拾い上げ)

……みちが……、

(顔を上げたさき。あなたの背に、『いつもの大通り』が開けているのが見えた)(さっきまで、路地は永遠と続いていたのに、どうして?)

あの子が、……みちを、繋いでいたのかな。
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戀ヶ仲・くるり 6月13日23時
……でも、私のこと、庇っていただきました。とっても心強かったです。

(同じ言葉の繰り返しになる。語彙はないけれど、それでも、あなたがしてくれたことは自分の救いになったと、あなたが居てくれてよかったと伝えたくて。)

(自分も無理だが、あなたに後始末を押し付ける気持ちにもなれない。どうしもお互い耐性がなさそうだった。
おまわりさんの言葉にうなづいて、おまかせしちゃいましょう、と眉を下げたまま言う。申し訳ない気持ちはあるが、手出しして何かが起きても対処出来ない。
どこか鬱屈とした空気の中、あなたの「私でよければ」の言葉にぱぁっと目を輝かせた)

本当ですか!わぁ、よかった、……道?

(あなたの言葉にきょとんと首を傾げて、後ろを見て、大通りの明かりに道が見えますね、とうなづく。うなづいてから、必死で意識が逸れていたけれど、先程逃げたときは果てがなかったな……と気付いた)
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戀ヶ仲・くるり 6月13日23時
これは、逃げるだけじゃダメで、なんとかしないと出れなかったかもしれませんね……帰れそうでよかった……。
あれ、本当だ、ゲルダさんの足……た、大変!よければ私の腕につかまってください!どこかで靴を買ってもいいですね、あっ、格好も、これとりあえず着てください!着替えも貸しますね!顔もよければ……

(あなたの、折れたヒール。血まみれの服と顔。女子高生は着ていたカーディガンを差し出し、持っていたウェットティッシュを鞄から出し、ヒールを補強できるもの持ってたかな、と鞄を漁り。
最終的にこう叫んだ)

ゲルダさん、私の家まで来てくれませんか!?服も靴も貸しますしお風呂も入っていってください!!
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ゲルダ・ドレッセル 6月14日15時
(言葉に詰まって、うまく言えなくて。自分が如何に矮小な存在であるか、そればかりが喉をついて出そうになるけれど。あなたがそうして肯定してくれることを突っぱねたくはなかったから。ありがとう、とちいさく告げて、おんなは薄く目を細めた)

そうだね。……私たちより、きっと丁寧に弔ってくれるから。

(女ふたりで出来ることは多くないだろう。大柄な成人男性をどこかに運ぶことだって現実的ではないから。あなたの表情がぱっと明るくなるのに、頷くことができてよかった、と安堵を覚えながら)

きっと、そう。……私が逃げていたとき、この路地はもっともっと、ずっと長かったから……。……よかった。

(あなたを帰すことが出来て。自分も、結果的に生き延びて)
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ゲルダ・ドレッセル 6月14日15時
えっ、でも……!

(あなたのカーディガンが汚れてしまう。おんなはそれを辞退しようとしたけれど、手渡されたそれらに目を瞬かせた。だって、全部の出来事があんまり急に押し寄せてくるから。厚意ややさしさを貰い慣れていないおんなはおろおろと視線を彷徨わせていたけれど)

じゃあ、……おことばに、あまえちゃおう、かな。

(返り血まみれのおんなが街をうろうろしていたら職務質問は避けられないし、公共交通機関だって多分使えないだろう。タクシーを拾うにしたって、通報されてしまうかも。であれば、甘えさせてもらったほうが、いいのかも)(おずおずと口にしたおんなの声はちいさかったけれど、あなたのことばをきちんと受け取ることにした)

ありがとう。……、……それじゃあ、いこうか。

(あなたのみちびきに従って、しらない道を歩いていこう。あなたの名前もちゃんと知りたい。――開けた路地の先には、変わらぬ黄昏の街の日常が続いていた)
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ゲルダ・ドレッセル 6月14日15時
【Ende gut, alles gut.】
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