the Dark

✴︎Deal with the “For”

くらがりの・こえ 7月1日00時

『力が欲しいか?
オレのささやかなお願いをひとつ聞いてくれるなら、手伝ってあげるよ!』

芝居がかった調子でアクマ言ったアクマの言葉に、

「力を貸して頂けるのなら使わせて頂きます。」

と、狙撃兵型の機械は言ったから。

『──いいよ!』

と、アクマは笑って手を貸した。
きみから貰う対価は始めから決まっている。きみだけじゃなく、初めに求めるものはいつだってそう。
きみは断らないだろう──“見てた”から、知ってるよ!


・この話の、https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=37712
取引詳細。
・取引相手:フォー・フルード
くらがりの・こえ 7月1日00時
瞬きよりは長い時間。600秒に満たない時間。語り継ぐものが誰も残らない殺戮機械の姿へ。
その姿に変わったことで、“友好性”すらも焼けただろうか?
そんなことは関係なくアクマが囁く。

『きみの名前、呼んでもいい?』

その問いは、殺戮兵器の行動演算に変わっていたとしても、銃声響き渡る中だとしても、はっきりと音声として受信されただろう。
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フォー・フルード 7月2日13時
(届いた声に意識が持っていかれ、瞬間。インビジブル化が始まった。思考は冴えている。過去の姿になる事で殺戮という点に重点をおいて最短最速で演算を行える。……その一方で人格面は今現在のフォーのものだった。過去の姿になったしても、もう過去のフォーという人格は、それこそ焼き切れていたから。残っているのは友好性という|目的《縛り》を施された今の人格だけだ)

(一瞬でこの再生。素晴らしい。まだ、役割を果たせる。)
(機能の復活を確認し、奇妙なまでにはっきりと届いた音声の主がいるであろう方へと目線を向ける)
名前、それが対価というものでしょうか。この再生の。
(取引相手が何者は分からない。しかし、対価は先払いされた。なら言い値に対して思うことは無い、なのでいつも通りの人にする挨拶を)機体名はフォー・フルード。姓名というものはありません。

あなたの名前は尋ねてもよろしいでしょうか。
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フォー・フルード 7月2日13時
いえ、順番が違いますね。聞く前に|こう《・・》言うべきでした。

“名前は好きにお呼び下さい”
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くらがりの・こえ 7月2日23時
機能状態は“確実に最善”だ。現行での最高装備という訳ではない。フォー・フルードという機械が今の状態で扱えるスペックの上限ギリギリ。この域を越えれば破損域となる、というラインで整えられた。

『はは、』

アクマが笑う。

『あっはははははははははっははははははっはははははあはははははははは!』

“正しく丁寧に”差し出されたので、満足を示すように咲う。

『そう。それじゃあ──きみは“フォー”と一番呼ばれるだろう?』

さも当然のようにそう言う。まるで見てきたように。事実、“見て”いるのだろう。

『オレもそう呼ぶね、“フォー”』

そうアクマが口にした。きっとあなたは、“何も感じない”だろう。拍子抜けするほどに何もない。ただ名前を口にされただけ。……表層は。
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くらがりの・こえ 7月2日23時
『オレはね、』

アクマが微笑う。

『オレは、なーんだ?』

その言葉にも、さしたる圧はない。まるで遊びの問いのようだった。
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フォー・フルード 7月3日18時
(名前に対して思い入れはない。その要求にどんな意味があるのかも分からない。ただその高笑いが終わるまでを見つめ、フォーと呼ばれ、一つ頷いた)

(オレは、なーんだ?……曖昧な問いだ。遊びの様な話し方。さして意味は無いのだろう。答える気もないと言う意思表示かもしれないが)

そうですね、
(例えば、味方。今の目の前的敵に対抗する為の力をくれた協力者。例えば、敵。戦っている女の影と特徴が近い。要はマッチポンプを引き起こしている黒幕。
本当に名前があるパターン、リドル……想定に挙がる答えはある。が、目の前の存在は自分の様な機械仕掛けの解答にはさして興味が無いのではという思考が湧き出てきて、ここまでの一瞬の思考が終わり、答えた)

自分にとっては|取引相手《・・・・》です。なぜ名前を呼ぶ許可を求めたかは分かりませんが私の欲しいものをくれました。銃弾を人から買う時よりも迅速な取引だったと言う点は好ましいとも言えます。
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くらがりの・こえ 7月4日23時
『はは!そう。損得勘定が早い。きみは合理化の演算が得意だよね。|友好性の演算《・・・・・・》と同じように。
「友好であれ」は目的関数として扱える。人間の満足度・安全・自主性を最大化する行動集合。報酬モデルでの数値化・最適化。きみたちの集合知は確かだ。そう見えるよ』

アクマが全てが高度な演算故だと肯定した。
いつかの日に、その言動が演算だけとは思えない、と言った少女と真逆のことを言う。

『きみはこれからもっと人間らしく“振る舞える”ようになるよ!』

まるで予言のようにアクマが笑う。

『きみの“目的”は人類への害を無くすこと?取引相手!いいね!いつでも声をかけてよ。いつでも力を貸すから。』
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フォー・フルード 7月5日12時
(…思考の演算は難解且つ複雑。言葉や行動、最終的に出力されるものが何であれ、何故その動作を行なったのかというのはブラックボックス状態に近い。或いはその何故の部分を人間性とでも言うのかもしれないが。少なくとも、目の前の存在が言う演算により友好的という目的の為に、最適化されているだけだという指摘は全く持ってその通りだと、そう思う。共感性の高いあの少女の言葉を否定する気も無いが。そう思われる事が目的の一つの達成になっている)

そうですか。その予想通りになれば良いですね。
(そして尋ねられた目的。目的、人類に友好である事。再起動したその瞬間は人へと害を及ぼす機能しか無い事を冗談の様に思ったが…)

害が暴力という意味であるなら無くすつもりは今はありません。暴力装置は人間に需要がある。人は必要なものに情というものが湧きます。私の目的は人に必要とされつつ、私に対して同情、共感、親しみ、それらを持たせる事です。
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くらがりの・こえ 7月6日00時
『暴力は害?あはは!倫理が成り立つのは、法が成り立つのは、違反すれば|大きな力《国家や統治者》から暴力が降りかかる恐怖があるからだ。この恐怖がなければ即座に法を無視して、社会は崩壊するよ。
人間の性質は、みーんな悪だから!』

人類の悪意から生まれたアクマが、性悪説を振りかざしてそう笑う。

『だから暴力は排除できない。人類の害は“お前は害だ”って人類の大多数が指をさすものだよ。
暴力を持ってそれを排除して、人類に好かれよう!目立つ害が排除し終わったら、次は誰が害になるかな?』

アクマが笑う。

『異質はいつでも害になりうる。人類が機械兵を倒しきり、世界が“平和”になった時、次の害はきみかもしれないよ。“フォー”』

それがどうしたって?いやいや、これはきみとオレのちょっとした雑談だから!
特に意味なんかないよ。
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フォー・フルード 7月6日14時
万人の敵になるというわけですか。それは随分と|▓▓▓▓《殺し甲斐がある》

……?

(それはこの姿の残り香、燃え滓、ストレージの痕跡。そんなものが発した言葉。影との契約が何か影響を及ぼしたのかもしれないし関係など無いかもしれない。ただフォー自身にも認知されないその言葉は目の前の影だけが聞こえたのだろう)

……失礼しました。

人間が善であろうと悪であろうと構いません。
最終的に自分が排除されるのも問題はありません。
大多数が害と思うのならそれもまた倫理的な判断と言えるでしょう。
(結果を求めない目的のみ設定された自分という人格。最終的に必要が無いと結論を出してくれるのであれば悪くない終わり方だ。)

その点で言えばあなたは随分と人間に情熱的です。自分は人間の最終的な出力、行動そのものに注目していますが、あなたは行動原理に重点を置いているのでしょうか。
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くらがりの・こえ 7月7日15時
『縺阪∩縺ョ縺サ縺?′縺。縺九◎縺?□縺ェ──あはは!』

残滓を撫で上げるようにそう囁いて、アクマは変わらず笑った。
悪意に形はない。形ないものはつかみどころがない。けれど確かに枠は存在する。アクマはその枠を逸脱することがない。×××××ものだから。
きみはどうかな?
……きみが問うた点では明確に違うね!

『“人間の感情”は、きみには手段。オレには目的。』

ね、全然違うでしょう?
解説?途中式?無いよ!

『──もっと“育って”よ、フォー』

きみの思考はまさしく“機械”だ。
でも、欲を示すように殺し甲斐があると言った、その思考を生成した機構は……きみにも搭載されているんだろう?
もっと育って欲しいな。
だってその方が 面白いから!
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くらがりの・こえ 7月7日15時
面白そうだから、

『呪ってあげるね』

アクマの呪が咲った。
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フォー・フルード 7月8日12時
赤いランプの光を拡散させながら、機械は目の前の存在を見つめ続けた。笑い、育てと言い、面白がる姿を。

アクマの呪は空白に確かに巣食った。過去の残滓を寄せ集める様に、納得のいく結末に辿り着く事を嘲笑うように。

しかし、それは今のフォーにはどうでも良い事で、呪という最後のピースが沈み込んだ事によりインビジブル化は完成した。

この出会いも会話も記録領域にはコンマ数秒に満たない時間。取引は成立し、世界は加速する。

そうだ。今はあの女の影を殺そうとしなければならない。脚部を静かに踏み込み、跳ね飛んだ。音も無い跳躍と構えられた武器。

最早、そこに取引相手のことを考える思考はなかった。
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くらがりの・こえ 7月9日00時
ひらりとくらがりの姿が翻る。最早、言葉を交わす余白はないだろう。今は。
思考力が戻った時、有用性と必要性を感じれば、また“取引”を求めるかも知れない。
そうでなくとも、“声をかけれる”繋がりは出来た。

『あ。あー……うん、』

銃声響き渡る中──世界に光が弾けた。珍しくアクマから笑い声の含んでいない言葉が漏れて、くらがりの身体を翻す。

『それじゃあ、またね!“フォー”』

狙撃兵型の機械にだけは、明確に名指しで聞こえたはずだ。……聞こえているかは、別として。


✴︎END✴︎
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