神隠祇・境華の日記帳
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神隠祇・境華 2月3日02時今日は、哭いている鯨骨に出会った。
声は寂しげで、胸の奥が少しだけきゅっとしたけれど、
不思議と怖さよりも、静かな寄り添いのようなものを感じた。
忘れてしまえば楽になれるよ、と
どこかで囁かれているような気配もあったけれど、
胸の奥に残っているまだ名のない記憶が、
そっとわたしを引き留めてくれた。
あの日から、わたしは少し変わったのだと思う。
記録するだけだった頃にはなかった、
小さな灯りのようなものが胸にあって、
それを手放したくない、と自然に思えた。
鯨骨の声は、誰かを探しているようにも、
誰かを忘れたいようにも聞こえた。
どちらにせよ、今日はただそばを歩くだけにした。
静かに、頁が一枚増えた一日。
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神隠祇・境華 2月7日09時今日は、頁の端がそっと揺れたような一日だった。
戦いの名残は、もう景色からは消えているのに、体には薄い余韻が残っている。
仲間と交わした短い言葉や、守られた静けさの気配が、ふわりと心に触れていった。
ただ、能力の反動は正直で、体のあちこちがじんわりと主張してくる。
歩くたびに、身体が「今日は休んで」と囁くようで、
起きたことを深く考えるには少しだけ重たくて、
でも沈むほど深刻でもない。
そんな曖昧な余白を抱えたまま、
今日はゆっくり頁を閉じることにした。
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神隠祇・境華 2月11日21時今日は、ひとつの縁がそっと形を持った日だった。
長く宙に浮いていた糸が、ようやく同じ高さで結ばれたような、そんな静かな手応えが胸に残っている。
言葉を交わすたびに、小さな灯りがひとつずつ増えていく。
名前をつけるにはまだ早いけれど、確かに“想い”と呼べるものが胸の奥にあって、
それが揺れずに残っていることに、わたし自身が少し驚いている。
まだ何とは言い切れない曖昧な温度。
けれど、否定しきれないほどには確かで、静かに息をしている…と思う。
落としていたボールを拾い上げたとき、胸の奥でそっと「ありがとう」と呟いた。
その小さな仕草ひとつが、わたしにとっては大切な頁の一部になったのだと思う。
“また今度”と笑い合えることが、こんなにも温かいとは知らなかった。
物語以外の続きが自然に楽しみになるなんて、少し前のわたしには想像もできなかっただろう。
今日はこの灯りを抱えたまま、静かに頁を閉じる。
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神隠祇・境華 2月13日23時今日は、川辺の探索に向かった。
冬の色に沈む景観は思っていたより穏やかで、淀んだ空気の奥にも、かすかな営みの温度があった。
気配を辿るのに集中しなければいけないのに──視界の端に積まれた古い書籍の塔が、どうしても気になってしまった。
あの背表紙の風格……少しだけ、ほんの少しだけ覗いておけばよかったのでは、と今になって思う。
でも、依頼が最優先。
あのとき足を止めなかったのは、きっと正しい判断だったはず。
……はずなのだけれど、やっぱり惜しい気もしてしまう。
同行者に声をかけられて我に返った瞬間、胸の奥でさっと葛藤がほどけた。
物語は逃げない。
依頼を終えたあとで、また探しに来ればいい。
そう自分に言い聞かせて、今日は頁を閉じる。
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神隠祇・境華 2月18日23時今日は、胸の奥がそっと甘くなる一日だった。
いろんな人から手渡されたチョコレートやお菓子は、
どれも小さな気持ちの結晶のようで、
包みを開くたびに、ふわりと優しい香りが広がった。
その香りは今もまだ、袖口にほんのり残っている気がする。
ひとつひとつを受け取るたび、
指先に触れた温度や、差し出された時の表情が
静かに胸の中に積もっていった。
甘い味よりも、その“想いのかたち”が
心をあたためてくれたのだと思う。
帰り道、手提げ袋の重さが少しだけ嬉しくて、
歩くたびに揺れるそれが、
今日の出来事をそっと確かめてくれるようだった。
今日は、ひとつではなく──いくつもの“あたたかな甘い繋がり”が増えた一日。
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神隠祇・境華 2月23日01時今日は、一つの静かな厚みを見た日だった。
長く続く歩みとの、滅多に訪れないかもしれない向き合う機会を得た。
本当はお茶でも良かったのだけれど、このような向き合い方も、物語の始まりとしては、面白いものだと思う。
御伽を使う者として、物語に向き合う者として、
精一杯やってみようと思った。
…大丈夫かなぁ。
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神隠祇・境華 2月28日02時今日は、胸の奥がそっとほどけていくような出来事があった。
巨大な猫妖怪たちが道を塞いでいた時、最初は少しだけ身構えていたのに、挨拶を返してくれた瞬間、その警戒がふわりと和らいだ。
猫耳はもう外していたのに、まだどこか“猫の気分”が残っていて、思わず語尾が揺れてしまった自分に、頬が少し熱くなった。
けれど、お菓子を差し出した時の猫たちの真剣なまなざしや、うねうねしていた身体がぴたりと止まる様子が可愛らしくて、胸の奥が静かにあたたまった。おやつを受け取ってくれた後の、あの緩んだ空気も心地よかった。
言葉に耳を傾けてくれた猫妖怪たちと分かり合えた時、胸の奥にそっと灯るような優しさが積もっていくのを感じた。
信じてもらえるというのは、こんなにも静かに嬉しいものなのだと思う。
猫たちの「気をつけていくニャ」という声が、今もまだ耳の奥に残っている気がする。
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神隠祇・境華 3月1日18時今日は、自分へのご褒美を、手に入れてみた。
闘技場で積み重ねてきた点が形になり、背景を一つ手に入れたのだ。
昼と夜で迷ったけれど、静けさの深い方へ惹かれて夜を選ぶ。
この色が、私の物語にそっと寄り添い、歩みに柔らかな影を添えてくれますように。
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神隠祇・境華 3月2日21時不動院さん、度々ありがとうございます…。そうですね……有難いことは…素直に、喜ぶようにします。
アビィさんも、ありがとうございます。アビィさんも、いつも明るくて、優しいですよ…?
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神隠祇・境華 3月3日20時今日は、沢山の暖かな気配に包まれた一日だった。
新しい√の依頼に応じたことが認められたのか……思いがけず“案内”という大役を仰せつかった。
嬉しさと、少しの恥ずかしさが同時に胸に触れて、言葉にするのが難しいほどだった。
頑張ったことも確かにあるけれど……それ以上に、これまで重ねてきた縁や、そっと支えてくれた人たちの頁が、今日の機会を開いてくれたのだと思う。
声をかけてくれた人の表情や、祝ってくれた言葉の温度が、静かに胸に積もっていく。
そのひとつひとつが、わたしの歩く頁を照らしてくれる灯りのようで。
今日は、ひとつの役目をいただいた日であり、同時に──
皆との積み重ねが形になったことを実感した、特別な日だった。
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神隠祇・境華 3月7日10時白い頁のような世界に、静かな気配が満ちていた。
めくれる音と、インクの香り。
それらに導かれるように歩いていくと──
まだ何も書かれていないはずの場所に、
“誰か”の足跡のような色が、淡く滲んでいた。
その気配は、物語の登場人物のようでいて、
けれどどこか、わたしと同じ“頁の外側”を知っているようでもあった。
言葉を交わすたび、白紙だった世界に
金と紫の光がそっと触れ、
“今まで”と“これから”が同じ呼吸をしているように感じられた。
この出来事は、まだ物語にならない。けれど確かに、ひとつ頁が開いた音がした。
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神隠祇・境華 3月11日10時今日は、夜空に静かな熱が灯る一日だった。
夜の街に降り立った瞬間、
空気の底に沈む“火の気”が、そっと頁を揺らした。
けれどそれは恐れではなく、
整えるべき気配に触れたときの、静かな合図に近かった。
広場の片隅で見つけた古い灯籠は、
まるで忘れられた物語の器のようで。
手を添えると、ふっと応えてくれた。
朱の翼を呼び、夜空へ送り出す。
舞い散る浄火が火の気をさらい、
尾を引く光が花のように弾けた。
その朱の揺らぎが、町の呼吸を少しだけあたためた気がする。
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神隠祇・境華 3月13日01時今日は、胸の奥に春の風が流れるような一日だった。
机に並んだ春の華やぎは、色も形もやわらかく、
まるで季節そのものがそっと頁に触れてきたようだった。
記憶にも、味覚にもその気配は残っているけれど、
撮った一枚を見返すと、
甘やかな香りや、静かに流れていた時間の気配が
より鮮やかに紙片に染み込んでいるようで
写真という記録も、悪くないのだと気づかされる。
日記に言葉を綴るとき、一枚の写真があるだけで、
その日の空気が静かに立ち上がる。
今日のやわらかな色も、心の揺らぎも、
きっと未来のわたしへ届くのだろう。
そう思いながら、今日の頁を閉じる。
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神隠祇・境華 3月15日01時https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=9718
|御伽「忘れ流る水溪」《レーテー》の源流まで拾って書いていただけるとは……ありがたいことですね。
それに、1章もそうでしたが、私の大切にしているものが、しっかりと見えるようしていただけていて、とても好きです。
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神隠祇・境華 3月18日22時今日は、香りの店を訪れた。
扉を開いた瞬間に満ちた柔らかな煙の気配が、まるで深い森の奥へ迷い込んだようで、ふわふわとした感覚に陥った。
香りを仕立ててもらうという体験は初めてで、
相手の印象を言葉にするのは思った以上に繊細な作業だった。
けれど、ひとつひとつ香を確かめながら選ぶ時間は、
まるで物語の頁をめくるようで心地よかった。
手元に届いた香りは、驚くほど優しくて、
自分が見つめてもらった姿をそっと教えてくれるようだった。
香りは目に見えないのに、確かに形を持つ。
今日選んだふたつの香りも、きっとこれからの出来事と
静かに結びついていくのだろう。
香りという名のかたちが、一つ増えたように思う。
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神隠祇・境華 3月20日14時今日は、春の甘味をきっかけに、ひとつ嬉しい出会いがあった。
少し話すだけのつもりだったけれど、気づけば思っていたより長く、いろいろなことを話していた。好きなもののこと、物語のこと、旅のこと、装いのこと。話題が途切れるたび、また別の頁が開くように、自然に言葉が続いていった。
同じものを良いと思えることや、無理なく次の話題へ移っていけることは、それだけで心地よいものなのだと思う。
穏やかな時間だった。春の気配というものは、案外こういうかたちで胸の内へ積もっていくのかもしれない。
またどこかへ出かける話もした。その時が来たなら、きっと今日とは違う景色が見えるのだろう。
静かに、良い一日だった。
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神隠祇・境華 3月21日23時次回! 魔法少女ピ〼ア퇪ィ⁂ュア!
第x4e話「ふたりの光は、まだ消えない!」
突然はじまった、白と黒の魔法少女物語!
希望にひかれて現れる、こわ~いデザイアモンスター!
追われて、逃げて、それでもふたりはまだ立ち止まらない!
戸惑いながらも誰かを守りたいひかりちゃん!
強がりながらも本当は誰よりやさしい夜空ちゃん!
すれ違って、ぶつかって、それでもきっと、ふたりだから進めるんです!
そこへ現れた、御伽を紡ぐ語り部――神隠祇・境華!
「おとぎ話は、めでたしめでたしで結ばれるべきですから」
その一矢は怪物を貫き、その言葉はふたりの背を押す!
でもでも、この麗しき謎のお姉さん……いったい何者!?
ふたりの味方? それとも新たな魔法少女なの!?
次回も絶対、見逃せません。
めでたしまで、ちゃんと見届けてくださいね!
https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=9816
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神隠祇・境華 3月24日00時今日は、春の灯りに誘われるように、夜の街を歩いた。
賑やかな通りは少しだけ身構えてしまったけれど、
光る飾りや甘い香りに満ちた景色は、どこか物語の幕開けのようで、
気づけば心がゆっくりとほどけていった。
お互いに選んだ甘味はどれも鮮やかで、ひと口ごとに春の気配が胸に積もっていくようだった。
光を宿した菓子の不思議な輝きに反して味わいは優しく、見た目との落差に小さく笑ってしまった。
夜桜の下で飲んだ桜色の飲み物は、しゅわりとした感触が心地よくて、
今日という日の輪郭をそっと柔らかくしてくれた。
光る飾りを付けると、なんだかこの街の彩りの中に溶け込んだようで、少し可笑しかった。
最後に撮った一枚の写真は、春の夜に咲いた静かな記録。
またひとつ、素敵な頁が増えた気がする。
小さな約束を形にした、大切な一日だった。
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神隠祇・境華 3月24日10時本当に筆がお早いのですね……。
https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=9978
……後でゆっくりと読みましょう。
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神隠祇・境華 3月24日18時ふぅ……読み終わりました。
本当にこのボリュームをこの速度で仕上げて頂けたことにまず驚くところですね。
考えてみると、それに対応する依頼文をこのペースで仕上げたのですよね……。
楽しく盛り上がっていたらこうなっていた、という思いですので、本当に有難い事です。
そしてボリュームの中に何の過不足もないのが素晴らしいですね……。
シンシアさんの楽しいお姿が沢山詰まっていて、読んでいて思わず微笑んでしまうような。
本に集中すると大人しくなる私がなんだか客観的に見ると少し……。
アルバムを囲んで盛り上がる仲良しの二人の姿が本当に楽しそうで、これからのインビジブルさん(撮影係)のお仕事に期待ですね。
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神隠祇・境華 3月25日19時私が日記を綴る時……ですが、形にするとなんだかそわそわしますね。
https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=9995
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神隠祇・境華 3月26日09時次回! 魔法少女ピ〼ア퇪ィ⁂ュア!
第/3o話「まさかの解散!?」
ついに始まるふたりの魔法少女物語!
だけど今度の試練は、怪物よりもやっかいかも!?
守りたい、傷ついてほしくない――その優しさが、まさかのすれ違いに!
「ひどいよ、夜空ちゃん!」
「ひかりに危ない目に遭ってほしくないの!」
想い合っているのに、ぶつかってしまうふたり
その瞬間、変身が解けちゃった!?
そこへ再び現れたのは、御伽を紡ぐ語り部――神隠祇・境華!
「そこでちゃんとお話をしていてくださいね」
ふわりと舞う霊布が、ふたりを優しく結び留める!
敵は引き受けると告げて、境華さんは怪物の群れへ!
「互いを想う言葉まで、奪わせはしません」
華麗に翻る布、響く言葉、ふたりの絆は――?
次回も絶対、見逃せません。
めでたしまで、必ず見届けてくださいね!
https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=9816
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神隠祇・境華 3月27日02時綴りと黒頁に関する記録。関係ありませんが、数字がキレイですね。
https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=10000
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神隠祇・境華 3月29日00時https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=10032
星を見に、ご一緒して下さる方がいらっしゃれば……お知らせください。
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架間・透空 3月29日01時わーい!やった~~~~~!!!!!
ありがとうございます、境華さんっ!
うーん、相談場所ですか……そうですねぇ……
私としましては、比翼の館のシナリオ募集スレを使わせていただくのが一番丸そうな気はしております!
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神隠祇・境華 3月29日17時今日は、花の下で甘味を楽しむという、なんとも春らしい時間を過ごした。
同じものが気になっていたことが、少し嬉しかった。咲く花を閉じ込めたようなお茶も、とろける杏仁豆腐も、どちらも期待に違わず、目にも舌にも心地よいものだった。
特に、お湯の中でゆっくりと花開いていく様子は、見ているだけでひとつの物語のようで、しばらく言葉を忘れてしまうほどだった。
花を眺め、美味しいものをいただき、気になったものを一緒に喜べる。
そういう時間は、穏やかで、豊かなものなのだと思う。
甘味のあと、少し歩いて花を近くで見ることにもなった。
星のようなキラキラとした気配が、花たちにも伝搬しているようで、少し眩しい。
花も団子も、どちらも大切にしたいという気持ちを、今日は遠慮なく肯定してよい気がした。
穏やかで、けれど確かに楽しい一日だった。
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神隠祇・境華 22時間前次回! 魔法少女ピ〼ア퇪ィ⁂ュア!
第k1p話「いつまでも! ふたりで魔法少女!!」
ついに結ばれた、ひかりちゃんと夜空ちゃんの絆!――その時、真なる力が目を覚ます!
ふたりの絆で再び変身した魔法少女たち!
そこへ現れたのは、友情を騙る最悪の敵――闇の支配人マリス・ローズ!
「こんにちは、魔法少女。僕が君たちの新しい友達だよ」
ふざけた言葉で絆を汚そうとする魔女に、境華さんもついに前へ!
「今はもう、誰かが誰かを一方的に庇う時ではありません」
三人で戦う、新たな物語のはじまりです!
シャインの盾!
シェイドの刃!
境華さんは、奇跡の歌で世界を揺らす!?
「その偽りの友情ごと、ここで断ち切ります!」
友情は支配なんかじゃない!
三人は本当の“絆”を証明できるのか――!?
めでたし、のその先は、君たちで確かめよう!
https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=9816
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神隠祇・境華 1月24日18時今日は、棚の奥で眠っていた古い本を開いた。
紙は少し黄ばんでいて、指先に触れると
かすかにざらりとした感触が残った。
物語は、遠い昔の旅の話だった。
登場人物の名前は忘れられてしまったようで、
ところどころ文字が薄くなっていたけれど、
その欠けた部分が、かえって想像を広げてくれた。
頁をめくるたび、乾いた紙の音が静かに響く。
誰かが長い時間をかけて読んできたのだと思うと、
その重みが手のひらに伝わってくるようだった。
読み終えたあと、本を閉じると、
部屋の空気が少しだけ柔らかくなった気がした。
今日は、そんな穏やかな一日。
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神隠祇・境華 1月24日18時今日は、新しい物語の、薄い金色の気配を感じた。
あの温もりは、物語の頁をめくるようにやさしくて、
触れた瞬間、胸の奥のどこかがそっと揺れた。
その場所は、もう空白のままではいられなくなって……
静かな灯りのようなもので埋まった気がする。
名付けられないまま、心のどこかで
その気配を探してしまう自分がいる。
今日は、いつもとは違う一日だったように思う。
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神隠祇・境華 1月24日18時今日は、古書店がいつもより賑やかで、店の空気も、いつもより温かく揺れていた。
皆さんがチョコレートの話をしていて、限定商品や、クレープの名前が
次々と飛び交っていた。
その輪の中にいる人たちの声は明るくて、風に捲られる頁のように軽やかだった。
わたしは少し離れた場所から眺めていたけれど、
小弓ちゃんに名前を呼ばれたとき、胸の奥がふっと柔らかくなった。
輪の中にもう少し踏み込んでみよう…自然に思えたのは、あの瞬間のせいかもしれない。
今日は、静かな場所から、賑やかな色に少し近づいた一日だった。
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神隠祇・境華 1月25日18時今日は、いくつかの旅団を見て回った。
扉の向こうにある空気を、そっと指先で確かめるような気持ちで。
どこも素敵で、どこも少しだけ違っていて、
自分がどこに立てば自然に息ができるのか、まだ掴めない。
賑やかな場所は眩しくて、静かな場所は少しだけ怖い。
それでも、歩みを止めるほどではなくて、
ただ、もう少しだけ考えていたいだけ。
焦らなくていい、と誰かが言ってくれたような気がした。
もう少しだけ、探してみる。
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神隠祇・境華 1月27日01時今日は、新しい旅団の扉をくぐった。
最初の一歩で感じた空気は、どこか童話の頁のようで、
ふわふわとした温もりが足もとに広がっていった。
見上げると、柔らかな色がゆっくりと揺れていて、
まるで物語の中に迷い込んだような気がした。
指先に触れた空気は軽くて、胸の奥がそっとほどけるような感覚があった。
誰かの声が遠くで笑っていて、その響きが、まだ知らない物語の始まりを
そっと知らせてくれるようだった。
ここで過ごす時間が、どんな色になるのかはまだ分からない。
けれど、今日のこの一歩は、薄い金色のしおりのように、そっと胸の中に挟まれた気がする。
今日は、そんな“やわらかい匂い”がする一日。
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神隠祇・境華 1月29日00時今日は、雑貨屋の棚で赤い結び飾りを見つけた。
花のような形をしていて、光を受けると、
まるで静かに呼吸しているように揺れて見えた。
手に取ると、編み込まれた紐の感触が指先にやさしくて、
胸の奥に、どこか懐かしい温度がそっと灯った。
何に使うかはまだ決めていないけれど、
この飾りは、きっとどこかの出来事と
静かに結びつく“しるし”になる気がした。
今日は、ひとつだけ──結び目が増えた一日。
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神隠祇・境華 2月1日03時今日は、ひとつのつながりの形に触れた。
それは空気の中を静かに渡ってきて、
まるで誰かが差し出した頁がそっと揺れるようで、
胸の奥がかすかに温かくなった。
受け止めたあとは、今度は自分から。
その往復のあいだに、
細い糸のような縁が静かに結ばれていくのを感じた。
言葉だったのか、動作だったのか──
どちらとも言えない曖昧さが、かえって心地よかった。
誰かと気配を交わすというのは、
こんなにもやさしく、静かなものなのだろうか。
ほんの一瞬のやり取りが、
知らない頁をそっと開いてくれた気がする。
今日は、そんなやわらかなつながりを胸に覚えた一日。
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