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神隠祇・境華の日記帳

神隠祇・境華  2月13日22時
不定期で、その時々の日記などを……綴っています。
連絡等でも…利用できますので、お気軽に発言頂いて構いません。

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神隠祇・境華 1月24日18時
今日は、棚の奥で眠っていた古い本を開いた。
紙は少し黄ばんでいて、指先に触れると
かすかにざらりとした感触が残った。

物語は、遠い昔の旅の話だった。
登場人物の名前は忘れられてしまったようで、
ところどころ文字が薄くなっていたけれど、
その欠けた部分が、かえって想像を広げてくれた。

頁をめくるたび、乾いた紙の音が静かに響く。
誰かが長い時間をかけて読んできたのだと思うと、
その重みが手のひらに伝わってくるようだった。

読み終えたあと、本を閉じると、
部屋の空気が少しだけ柔らかくなった気がした。
今日は、そんな穏やかな一日。
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神隠祇・境華 1月24日18時
今日は、新しい物語の、薄い金色の気配を感じた。

あの温もりは、物語の頁をめくるようにやさしくて、
触れた瞬間、胸の奥のどこかがそっと揺れた。
その場所は、もう空白のままではいられなくなって……
静かな灯りのようなもので埋まった気がする。

名付けられないまま、心のどこかで
その気配を探してしまう自分がいる。

今日は、いつもとは違う一日だったように思う。
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神隠祇・境華 1月24日18時
今日は、古書店がいつもより賑やかで、店の空気も、いつもより温かく揺れていた。

皆さんがチョコレートの話をしていて、限定商品や、クレープの名前が
次々と飛び交っていた。
その輪の中にいる人たちの声は明るくて、風に捲られる頁のように軽やかだった。

わたしは少し離れた場所から眺めていたけれど、
小弓ちゃんに名前を呼ばれたとき、胸の奥がふっと柔らかくなった。
輪の中にもう少し踏み込んでみよう…自然に思えたのは、あの瞬間のせいかもしれない。

今日は、静かな場所から、賑やかな色に少し近づいた一日だった。
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神隠祇・境華 1月25日18時
今日は、いくつかの旅団を見て回った。

扉の向こうにある空気を、そっと指先で確かめるような気持ちで。
どこも素敵で、どこも少しだけ違っていて、
自分がどこに立てば自然に息ができるのか、まだ掴めない。

賑やかな場所は眩しくて、静かな場所は少しだけ怖い。
それでも、歩みを止めるほどではなくて、
ただ、もう少しだけ考えていたいだけ。

焦らなくていい、と誰かが言ってくれたような気がした。
もう少しだけ、探してみる。
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神隠祇・境華 1月27日01時
今日は、新しい旅団の扉をくぐった。
最初の一歩で感じた空気は、どこか童話の頁のようで、
ふわふわとした温もりが足もとに広がっていった。
見上げると、柔らかな色がゆっくりと揺れていて、
まるで物語の中に迷い込んだような気がした。
指先に触れた空気は軽くて、胸の奥がそっとほどけるような感覚があった。
誰かの声が遠くで笑っていて、その響きが、まだ知らない物語の始まりを
そっと知らせてくれるようだった。

ここで過ごす時間が、どんな色になるのかはまだ分からない。
けれど、今日のこの一歩は、薄い金色のしおりのように、そっと胸の中に挟まれた気がする。
今日は、そんな“やわらかい匂い”がする一日。
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神隠祇・境華 1月29日00時
今日は、雑貨屋の棚で赤い結び飾りを見つけた。

花のような形をしていて、光を受けると、
まるで静かに呼吸しているように揺れて見えた。
手に取ると、編み込まれた紐の感触が指先にやさしくて、
胸の奥に、どこか懐かしい温度がそっと灯った。

何に使うかはまだ決めていないけれど、
この飾りは、きっとどこかの出来事と
静かに結びつく“しるし”になる気がした。

今日は、ひとつだけ──結び目が増えた一日。
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神隠祇・境華 2月1日03時
今日は、ひとつのつながりの形に触れた。
それは空気の中を静かに渡ってきて、
まるで誰かが差し出した頁がそっと揺れるようで、
胸の奥がかすかに温かくなった。
受け止めたあとは、今度は自分から。
その往復のあいだに、
細い糸のような縁が静かに結ばれていくのを感じた。
言葉だったのか、動作だったのか──
どちらとも言えない曖昧さが、かえって心地よかった。
誰かと気配を交わすというのは、
こんなにもやさしく、静かなものなのだろうか。
ほんの一瞬のやり取りが、
知らない頁をそっと開いてくれた気がする。
今日は、そんなやわらかなつながりを胸に覚えた一日。
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神隠祇・境華 2月3日02時
今日は、哭いている鯨骨に出会った。
声は寂しげで、胸の奥が少しだけきゅっとしたけれど、
不思議と怖さよりも、静かな寄り添いのようなものを感じた。

忘れてしまえば楽になれるよ、と
どこかで囁かれているような気配もあったけれど、
胸の奥に残っているまだ名のない記憶が、
そっとわたしを引き留めてくれた。

あの日から、わたしは少し変わったのだと思う。
記録するだけだった頃にはなかった、
小さな灯りのようなものが胸にあって、
それを手放したくない、と自然に思えた。

鯨骨の声は、誰かを探しているようにも、
誰かを忘れたいようにも聞こえた。
どちらにせよ、今日はただそばを歩くだけにした。

静かに、頁が一枚増えた一日。
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神隠祇・境華 2月7日09時
今日は、頁の端がそっと揺れたような一日だった。

戦いの名残は、もう景色からは消えているのに、体には薄い余韻が残っている。
仲間と交わした短い言葉や、守られた静けさの気配が、ふわりと心に触れていった。
ただ、能力の反動は正直で、体のあちこちがじんわりと主張してくる。

歩くたびに、身体が「今日は休んで」と囁くようで、
起きたことを深く考えるには少しだけ重たくて、
でも沈むほど深刻でもない。
そんな曖昧な余白を抱えたまま、
今日はゆっくり頁を閉じることにした。
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神隠祇・境華 2月11日21時
今日は、ひとつの縁がそっと形を持った日だった。
長く宙に浮いていた糸が、ようやく同じ高さで結ばれたような、そんな静かな手応えが胸に残っている。

言葉を交わすたびに、小さな灯りがひとつずつ増えていく。
名前をつけるにはまだ早いけれど、確かに“想い”と呼べるものが胸の奥にあって、
それが揺れずに残っていることに、わたし自身が少し驚いている。
まだ何とは言い切れない曖昧な温度。
けれど、否定しきれないほどには確かで、静かに息をしている…と思う。

落としていたボールを拾い上げたとき、胸の奥でそっと「ありがとう」と呟いた。
その小さな仕草ひとつが、わたしにとっては大切な頁の一部になったのだと思う。

“また今度”と笑い合えることが、こんなにも温かいとは知らなかった。
物語以外の続きが自然に楽しみになるなんて、少し前のわたしには想像もできなかっただろう。

今日はこの灯りを抱えたまま、静かに頁を閉じる。
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神隠祇・境華 2月13日22時
不定期で、その時々の日記などを……綴っています。
連絡等でも…利用できますので、お気軽に発言頂いて構いません。
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神隠祇・境華 2月13日23時
今日は、川辺の探索に向かった。
冬の色に沈む景観は思っていたより穏やかで、淀んだ空気の奥にも、かすかな営みの温度があった。

気配を辿るのに集中しなければいけないのに──視界の端に積まれた古い書籍の塔が、どうしても気になってしまった。
あの背表紙の風格……少しだけ、ほんの少しだけ覗いておけばよかったのでは、と今になって思う。
でも、依頼が最優先。

あのとき足を止めなかったのは、きっと正しい判断だったはず。
……はずなのだけれど、やっぱり惜しい気もしてしまう。

同行者に声をかけられて我に返った瞬間、胸の奥でさっと葛藤がほどけた。
物語は逃げない。
依頼を終えたあとで、また探しに来ればいい。

そう自分に言い聞かせて、今日は頁を閉じる。
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