⚡️東京百鬼夜行~飲めや食え、こちら奥多摩の山中にて
⚡️最終決戦:|東京百鬼夜行《トウキョウデモクラシィ》
これは大規模シナリオの最終決戦です。
5/25朝8:30までに成功した全ての最終決戦シナリオの舞台に『絶対防衛領域』が完成します。
絶対防衛領域の内部では、不思議な力によって、簒奪者に民間人が殺される事がなくなります。
また、その時点での「戦勝数」によって、各「絶対防衛領域」の広さが決まります!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
5/25朝8:30までに成功した全ての最終決戦シナリオの舞台に『絶対防衛領域』が完成します。
絶対防衛領域の内部では、不思議な力によって、簒奪者に民間人が殺される事がなくなります。
また、その時点での「戦勝数」によって、各「絶対防衛領域」の広さが決まります!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
※つまり、現存する作戦1〜5を攻略する事も、勝利に貢献します!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら全ての結果をゲット!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら全ての結果をゲット!
絶対防衛領域の広さ
戦勝数50:各シナリオの舞台の「マニアックな個人商店ひとつ」。戦勝数60:各シナリオの舞台の「最も有名な建物ひとつ」。
戦勝数70:各シナリオの舞台の「最も有名な建物から最寄り駅までの道及び周辺建物」。
戦勝数80:√EDENの同じ地域も絶対防衛領域になる。
「おい聞いたか? 杉並区や中野区で古妖が狩られてるようだ」
「都会のほうじゃないか。妖怪も人も多いから、食うもんはたんとあるがそりゃあ目立とうもんよ」
「その点わしらは大丈夫じゃ、なんせ東京といっても奥多摩の山ん中じゃからのう!」
古妖の天狗たちはそう言葉を交わして、酒をのむ。これらは山を降りた先の民家から奪ってきたものだ。そしてつまみに喰うのは人の肉。これは酒を奪った民家の住民だったモノ……。
「心配無用。こんなトコまで来やせんじゃろ」
「然り然り。安泰じゃ。しかし、このあたりは店も人も無いもんで、酒とつまみに乏しいのう」
「ならば事が落ち着いたころに、また山を降りて人を狩るか? あるいは登山客を狙うのも良いか!」
古妖の天狗たちは山奥に潜み、ほとぼりが冷めるのを待っていた。
しかし彼らは知らない。
東京全体を巡りゆき、古妖を一掃してゆく|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》が始まっていることを。
●
「こんにちは! あなた、インビジブルが見える√能力者ですね? こうして会ったのも何かの縁……紅涙流離戦の最終決戦に協力してもらえませんか?」
そう声をかけてきたのは星詠みの能力を持つ暮日咲・あかね(|夕暮れに佇む羊《K r i o sの輝き》・h00062)。どうやらあなたに依頼したいことがあるらしい。
あなたが興味を示すと、早速、あかねは説明を開始した。
「ありがとうございます。では内容を。ざっくりいうと、人を食べる古妖の居場所が分かりました。なのでこれを倒していただきたいのですが、古妖によって人が死ぬことがなくなる『絶対防衛領域』の構築のため、|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》で集まった正義の妖怪たちと共に向かって欲しいのです」
こう説明した後に、続けて視えた内容(冒頭のシーン)を説明していく……。
「――という内容です。……これ以上の犠牲は出せません。なので|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》で集まった妖怪たちとの協力は不可欠です。彼らは料理と酒でテンションが上がりパワーアップしていくので、お酒に合う食べ物を持ち寄りながら楽しく攻め込むことが肝心になります」
つまりはお酒とそれに合うおつまみを持って行って妖怪たちに振舞えば、勝ちは確定ということだ。道具さえ用意できるなら山の上で料理をして出来立てを振舞うのも良いだろう……。ちなみに攻撃はあくまでついでで良いらしい。
「味方の妖怪たちが楽しめば、『絶対防衛領域』の構築はより確実なものになります。どうか、手伝っていただけないでしょうか?」
頼み事をすべて伝えると、あかねはぺこりと頭を下げるのだった。
第1章 集団戦 『天狗』
●
イタチやキツネ、タヌキや牛。
様々な妖怪たちが一斉に古妖の『天狗』の根城へ突撃していった。
その道中は、いざやいざ喧嘩だ酒だと盛り上がる。
その道すがらちょっとした休憩の折に誰かがこう言った。
「誰かつまみを持ってないか? もっと酒が旨くなるようなやつを!」
その時ここで、エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)が手を挙げる。
「妖怪さん達こんにちはー! えっと、お酒に合うってことで、こんなのはどうかな?」
事前に調べていたエアリィが、恐る恐ると取り出したるは水ナスの浅漬けと長芋の浅漬けだ。
そいつをイタチが「遠慮なく頂くよ」と、ひょいとつまんでくいっと一杯ひっかける。
「こいつはいい。冷たいつまみが移動と酒で火照った身体にしんみりと来る。こいつは甘めですっきりした冷酒が合うぞ」
この声を聴いた他の妖怪たちも、我も我もと浅漬けに群がった。
ここでエアリィは二つ目の品を用意する。
「次は、長芋の鉄板焼き!」
キャンプ用のコンロを使って焼き立て熱々の鉄板焼きだ。
すりおろした長芋のつるっとしたのど越しに、絡まるチーズのうまみが箸と酒を進ませる。
「長いもの味付けはお出汁にしているから、和風でいいかも?」
「くあーっ、これは辛めの酒に合う。美味い!!」
タヌキは舌鼓とともに一杯くいっと流し込んだ。
やんややんやの賑わいに、おつまみの確かな手ごたえが感じられる。
(最初はお酒に合う食べ物?? え? って思ったけど、いろいろ聞いておいてよかったー……!)
エアリィは、情報源となった母親に心で感謝の気持ちを述べた。
さてさてもうじき、一休みも終わる頃。エアリィは最後のメインディッシュを用意した。
「最後、メインは鶏のもも肉の唐揚げー♪ お醤油・生姜・にんにくで下味をつけた鳥さんを上げたシンプルなものですっ!」
まさか山の中で揚げたての揚げ物が食べられるとは。
きつねが飲む手をとめて、ほほう、と関心を寄せている。
「それじゃ、ご賞味あれー♪」
妖怪たちは我先にと群がった。
「生姜とにんにくが良いねぇ。これが酒と特に合う」
「醤油のうまみももちろん旨い。鶏もだ!」
そんな美味しそうに食べる彼らを見ていると、エアリィもから揚げを食べたくなってきて。
「……唐揚げ食べてもいい? 好きなの」
と遠慮がちに聞いてみたら。
「嬢ちゃんが持ってきたものだ、ほら、好きに喰いねぇ! 美味しいものをありがとよ!」
「そうだそうだ、若いもんこそ沢山食え!」
と、次々から揚げを差し出されてしまった。
妖怪たちは楽しい心地でどんどん気分があがっていく。
「古妖に負ける気がしねぇ! これを食べたら殴り込むぞ! 酒の次は喧嘩だ!!!」
この勢いのまま|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団は古妖の根城に乗り込んで、人食いの『天狗』たちをボコボコにしていくのだった。
もちろんこの殴り込みは何度も、何度も。古妖を一掃しきるまで続いてゆく。
●
東京中の古妖達をやっつけるべく、妖怪たちが大挙する。
その合間で始まる酒盛りの祭りのような賑わいは|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》のパワーの源だ。
さあさ、酒だ喧嘩だ。古妖の『天狗』の根城まで、飲んで騒いで突撃だ。
「ふふ、そういう事なら、わたしはそれぞれのお酒に合いそうなつまみを持ってきました」
そう言って、エレノール・ムーンレイカー(蒼月の守護者・h05517)は大荷物を持ってくる。背負っていたのは数種類のお酒と沢山の食材。
精霊の力や魔法でこれらをちょちょいと加工して仕上げをしていくエレノール。ビールはキンキンに冷やして、ポテトはカリっとさせて、枝豆は茹で立てのほくほくだ。
「まずはビールに合う枝豆とフライドポテト! まあ定番の組み合わせですよね。塩気と甘みでビールが進みますよ」
これらをででんと提供したらば、エレノールはさらに別のメニューを準備する。
バーベキューコンロに炭を入れ、串に刺した鶏を遠火でじんわり焼いたなら……。
「次に日本酒派の方にはこれ、焼き鳥です! 日本酒ならやっぱり塩味ですよ塩味」
塩を添えてお皿に盛れば酒の進む逸品だ。ここに事前に手間暇かけて作っておいた、だし巻き卵も加われば鶏と卵の甘みと塩気とうまみの三重奏が鳴り響く。
しかしエレノールが用意したものはこれだけではない。
「そして、ワイン派の皆様には、チーズと生ハム! チーズは数種類用意しておきましたので、他の派閥の皆様もどうぞ。ビールにも日本酒にも合うと思いますよ」
なんと様々なチーズと生ハムの一皿まで! 今ここに居酒屋エレノールが開店した。
「さあ、酒も肴も揃いました。このひととき、全力で楽しみましょう!」
王道を外さない至れり尽くせりの品々に妖怪たちはご満悦。
「この心づかい、粋だねぇ。気持ちがポカポカ暖かくなるようだ」
と猫の妖怪が生ハムをぺろり。そして赤ワインをくいっと流し込む。
そして馬と牛の妖怪はビールをジョッキに注ぎ込み。
「「がはははっ、乾杯! …………ぷはぁっ、おかわり!」」
と、ビールを催促しつつ枝豆に舌鼓をうつ。
そして狐とイタチの妖怪も、焼き鳥と酒を静かに楽しんでいた。
澄んだ空気と心地よい風、木の葉のささやきの中で妖怪たちは酒とつまみを楽しんでゆく……。
「おかげさまで、このとおり力が溢れて来る。ありがとな女将さん!」
「いいもん食わせてもらったよ、大将!」
休憩はここまで。
|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団はエレノールに感謝を伝えて戦いに向けた顔つきになってゆく。力みなぎる彼らを見れば、差し入れが効果抜群であったことは疑いようもない。
「いくぞ野郎ども!」
「うおおおぉぉぉぉっ!!!」
|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団は古妖の根城に乗り込んだ。そして、そこに居る人食いの『天狗』たちはあっという間にボコボコにされたのだった。
この殴り込みはまだまだ続く。古妖を一掃しきるまで、何度も、何度も。
●
一説によると古代にあった古い魔術には一種のトランス状態から神秘の力を引き出していたものがあるという。
その魔術ではアルコールも重要な役目を持っていたとかいないとか……。
「ワインとは古来より水のようなものなので水の如く飲んでくださいね! なんですか、私のお酒が飲めないってんですか!」
ぽやぽやふわふわとしたエルフが|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団で暴れていた……。
暴れているのはルナリア・ヴァイスヘイム(白の|魔術師《ウィッチ》/朱に染める者・h01577)。そして誓って彼女は|アルコール飲料を一滴も飲んでいない《・・・・・・・・・・・・・・・・・》。素面でこうなっているのだ。
酔っ払いだらけの雰囲気に飲まれて気が大きくなるという、一種の『飲んでないのに酔っぱらった』状態になっているルナリア……。
彼女は瓶を片手にずっとクールぶっていたキツネの妖怪の元へ向かい、絡んでいった。
「オラッねじ込みますよありったけ飲みなさい!」
「グラスで勘弁してくれ! まてまて本当に口にねじ込もうとするな!」
「グラスじゃ足りません! 木樽ジョッキで飲みなさい! ジョッキで!」
キツネの頭を小脇に抱え、瓶など|いろいろ《・・・・》押し付けるルナリア。それを見て笑う酔っ払いたち。
「姉ちゃんそのくらいにしてやんなよ」
「わははは。おーい代わりにこっちに注いでくれぇ」
この宴会のつまみはルナリアが持ってきた、ボイルしたヴルスト(ソーセージ)の山。それをつまみに豪快にワインが飲み交わされてゆく。
それは、どこかヴァイキングを思わせる荒々しさがある宴会だった。
すっかり出来上がっている(※飲んでない)ルナリアを中心に、ワイワイガヤガヤと宴会が進んでゆく。
「故郷だとワインかビールかなんですが今日はなんとなくでワイン! なに17歳だから飲んだ事ないだろ? はー? こちとらエルフなんですがー?」
「うんうんそうだな。っと、ヴルスト一個いただくぜ。おっ美味いなこれ」
「そうでしょう、そうでしょう!」
ルナリアは上機嫌に、追加のヴルストをボイルして皆の皿へ盛っていった。
森の中の飲み会で|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団に力が漲っていく……。
しかし、このお祭り騒ぎで最も血の気が荒ぶっていたのはルナリアだったかもしれない。
それは、|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》たちとルナリアが古妖の『天狗』を襲撃する時に、ルナリアが我先に突撃して脳筋ルーン魔法で天狗をぶん殴っていったことからも伺えた。
その襲撃の中でルナリアは、「悲鳴を楽しんでくださいね!」と宣言したあとに笑顔で歌いながら『天狗』を殴り続けたという……。
♪今夜は口ずさみつつ 冷えたワインを飲もう
♪お元気で、さようなら! Ahoi!
♪何故なら 我らは 天狗を討つため 征くのだから!
♪Ahoi!
●
様々な妖怪たちが大挙して東京中の古妖を倒してゆく|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》。
その一団が『天狗』の根城へ向かう最中、酒の肴として様々な食べ物が持ち込まれた。
「……酒は詳しくありませんが」
そう遠慮がちに言いながら、|八月一日《ほづみ》・圭(螺鈿を纏う修羅の語り部・h09402)が持ってきたのは各地から取り寄せた瓶詰や缶詰と、現地のヤマメなどの焼き魚にわさび漬け。他にも様々な、山菜や野菜と味噌を使った漬物だ。
「日本酒はお米から作られます。なら、お米に合うものが肴にならない道理はないでしょう」
その圭の言葉に酒飲みの妖怪たちはうんうんと頷いて。
「分ってるねぇ兄ちゃん」
と親指をサムズアップ。彼らは圭からつまみを受け取ると、ひとくちひょいとつまんで口に入れ、続けてお猪口の酒をぐいっと一口。
「酒の風味に塩っ気やうまみが溶けて広がるのがたまんないねぇ」
「いやぁ、良いものを持って来てくれた」
イタチの妖怪はそう言って、圭の肩をバシバシ叩くのだった。
如何なるときも物静かで、他者へ衝動が向かない圭であるが他者を避けている訳ではない。故に彼は妖怪たちを楽しませるべく、つまみを渡しながらそれに関連した酒文化や郷土料理の物語を語っていった。
「物語でも、酒と肴の組み合わせはよく語られます。また地酒や郷土料理に代表されるように、気候と風土がその地の味を作ります」
それは古きものへの敬意の言葉。語り主の想いまで解らずとも、それが『御伽使い』の技術で巧みに語られて|真書目録《インデックス》で登場人物まで召喚し招来せしめたならば、これはもはや即席の演劇。宴会芸である。
演出がぱっと舞うごとに、妖怪たちから驚きの声が上がっていった。
「これらが今も残っているのは、きっと味が合うからでしょう」
だから、長く残るのだと圭は締めくくる。
その語りにやんややんや喝采の大拍手。
その様子に圭は(……楽しめるなら、それで十分です)と心のうちで呟いた。
こうして盛況のうちに宴会は進みゆく。
飲み食いして、騒いで楽しみ盛り上がる。この祭りのような賑わいで|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団は力にみなぎっていた。
「楽しかったぜ兄ちゃん!」
「面白い話をありがとうな!!」
そう礼を言い、エネルギーを溜めた|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団が向かうは古妖の根城。
こうして|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団は、みなぎるパワーで『天狗』どもをボコボコにしていった。
この祭りと襲撃は、この地域の古妖を全て倒すまで続いてゆく。
●
道中に持ち寄った酒瓶を開け、やんやと騒ぎ酒盛りしながら進む|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団。
そんなかれらに新たな差し入れが持ち込まれた。
「おう、オレも差し入れを持ってきたぞー」
そう言って現れたのは、|皇《すめらぎ》・蜂華(疾風怒濤・h12325)。
風と共に荷物を運んできた彼女は、まだ温かいホカホカの蒸しせいろをふわりと広げて並べてゆく。
杯を手にしたたぬきが、「よぉねぇちゃん。飲まねえか?」と寄ってきたのを「オレはまだ未成年なんでな」とあしらって、せいろの蓋を開けたなら周囲にふわりと蒸気と香りが広がった。
「持ってきたのは母さんのオススメ料理になるんだが」
中にあるのは肉汁たっぷりの小籠包と焼売。
「中華料理は、酒に合うメニューも多いが、手軽に食べるなら、コレがオススメだな。肉汁たっぷりの小籠包や焼売は、ビールとかにもよく合うって、母さんも言ってたぞ」
そう説明しながら、蜂華は同時に小皿や酢醤油やからしなどを用意する。
たぬきの妖怪は貰った小籠包をちゅるんと口に入れ、ビールをぐいっとひと口飲んだ。
「確かに、こいつは最高だ!!」
肉汁の味わいを楽しむならばビール、タレなどで塩っ気を加えれば焼酎や辛めの酒も合うだろう。
点心系のつまみで酒が進み、宴会も盛況だ。
このタイミングで蜂華はもう一品のセイロを開封する。するとあたりには点心よりもさらに濃い香りが立ち込めた。
香りで視線を集めつつ、蜂華は自慢げに品の名を言う。
「もう一品は、豚の角煮だ」
濃厚な甘じょっぱい味付け、そしてトロトロの脂と豚肉は多くの酒に合う一品だ。
濃い角煮で酒を飲み、食べやすい点心で口直しをして酒を飲む。そして再び角煮の濃さを味わって酒を飲んだなら、なんと無限ループが完成してしまった!
とはいえ、中には食事がしたい者もいるだろう。しかしご安心あれ。蜂華は食事系も用意していた。
「ガッツリ食べたいなら、ふわふわの生地に挟んだ、豚の角煮まんとかもあるぞ」
そう言って残るセイロを開けたなら、そこにあるのは具無しの蒸しパンのマントウだ。
蜂華が切れ込みのあるマントウに角煮を挟んでみせたなら、飲みの締めにちょうど良いと、妖怪たちも手に取ってゆく。
美味しそうに頬張る彼らを見て、蜂華はすこしお腹が空いた。
「……折角だから、オレも角煮まんをもらおうかね」
そう呟いて、さっき実演して作った角煮まんを口に運ぶ。
彼女が飲むのは烏龍茶。だって年齢的にまだ酒は早すぎるから。
美味しく食べて呑んだなら、楽しい気持ちで話も弾む。
わいのわいとお祭り騒ぎで飲み食いし、|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団には力がみなぎいってた。
「よぉし! 古妖をぶっ倒しにいこうぜ!!! 酒の次は喧嘩だ喧嘩!」
うおぉぉぉ!! と雄叫びあげながら|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団は古妖の根城へ乗り込んでゆく。
そして、人食い『天狗』をボコボコにしていくのだった。
もちろんこの殴り込みは、古妖を一掃しきるまで何度でも続いてゆく。
●
火事と喧嘩は江戸の華。祭りだ騒げと賑わえば|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》は強くなる。
さあさ巡れ、東京全土を。
古妖の群をこの土地から一掃するのだ。目指すは古妖の人食い『天狗』。群れて集う妖怪たちは酒を片手に巡りゆく。
「おーい、誰かつまみを持っておらんか!」
「もう食いつくしたのか?」
「酒はその都度買ってるんじゃが、つまみはつい忘れてしまってなぁ」
「ならそこの川で魚か亀でも捕るか?」
さてさて移動の一幕でどうやら酒の肴が切れた模様。
そこへ、いつの間にやらここに居た戌神・光次(|自由人《リベロ》・h00190)が声をかける。
「肴が欲しいのか? ならオススメがある」
何時からそこに居たのだろう。姿を消し去る闇に包まれ、ゴーストのようにスゥと現れたのだ。
さてそのオススメとは、彼曰く。
「羊羹だ」
デザートやお茶のお共で有名なその一品に、妖怪たちは様々な反応を示していた。片やウムと頷いて、片やなんと!? と驚いた。
「羊羹!?」
「そうだ。……いや単に俺の好物だからってだけじゃなくてだな」
そう言って、光次は一口サイズの箱を出して見せてみる。銘柄を見るに高級品であるようだ。
「スッキリした日本酒や焼酎とは合うんだよ。信じられんというなら試してみるといい。持ってきたぞ」
そう言って、光次が包みを開けたなら暗い赤茶の深い輝きがあった。
間違いなく高級品。しかも一口サイズだ。それを光次はカエルの妖怪にひとつ渡す。
その羊羹には小豆の味がしかとあった。
甘露な豆の味わいは、甘めの煮つけのようでもあり茹でた枝豆のようでもり……。光次の言う様に不思議とサッパリした酒と合う。
甘さも苦みも酸味も少ない酒へ羊羹の味が溶けあえば、まるで小豆のカクテルだ。
「こりゃあ面白い。豆の味がしっかりしてて深みがある」
思わず口元が綻ぶカエル。
その様子を見ていた他の妖怪たちに向け、光次は別の羊羹も取り出した。
「味も色々あるぞ。小倉も良いが、塩と抹茶も良い。特に塩は甘味があまり得意じゃなくてもいけるのがポイントだな」
「興味深い。ウィスキーにチョコや飴を合わせるようなもんか。ああこれは確かに好い。薄く切ればなお好い。酒と羊羹が引き立て合うぞ」
「ほほう、ならばこの組み合わせはどうだ?」
「うまい! うまい!」
抹茶や塩の他にも、はちみつや和光茶や白味噌と様々な味が入っている。妖怪たちはこれらにどんな酒が合うのか試しては、驚いて語り合いつつ飲んでいった。
「面白いつまみをありがとうな! 美味かったぞ!」
「おかげで楽しく呑ませてもらった。これなら次の仕事もはかどりそうだ」
そう礼を言い、十分に力を蓄えた|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団は立ち上がる。
「次は古妖との喧嘩だ! いくぞ野郎どもぉぉ!」
「おおおおっ!!」
雄叫びと共に、|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》の一団は『天狗』の根城を襲撃していった。
こうして奥多摩の山に潜んでいた人食い古妖の『天狗』は、残らず一掃されていくのだった。
時は『|紅涙流離戦《こうるいりゅうりせん》』の最終決戦、|東京百鬼夜行《トウキョウ・デモクラシィ》。
この古妖の一掃が数多く積み重なったなら、やがてこの地に『絶対防衛領域』が形成されることだろう。