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⚡️ユーカリが丘迷宮戦 囚われの迷宮配信者
●√ドラゴンファンタジー ユーカリが丘冒険王国
『ふむ、『王劍ロンゴミニアド』か。これを我々の所に持ち帰れば、我が派閥の地位を誰も無視することは出来なくなるだろう』
千葉県にある『ユーカリが丘冒険王国』、その上空を1機の戦闘が飛んでいた。正確には可変型戦闘機械『疾紅のバンデリオン』である。
『おっと、ダンジョンとやらに入りたい所だが、そうも行かないか』
地上からバンデリオン目掛けて砲弾が飛ぶ。それらを易々と旋回して回避する。
『だが、こんな時の為に『相棒』を連れて来て良かったな。なあ、相棒?』
「こ、この配信を見ている皆さん、聞こえてますか?」
バンデリオンのコックピット、そこには√ドラゴンファンタジーでの冒険者、それも『|迷宮配信者《ダンジョンストリーマー》』の出立ちをした少女が座っており、コックピットに設置されたカメラに向かって震える声で喋っている。
「私は今、謎の戦闘機に囚われていて、ユーカリが丘上空を飛んでいます。地面から攻撃が飛んで来て……ひゃあっ!」
『おお、視聴者の数がだいぶ増えているようだな。ハハハ、有名になれて良かったではないか!』
「誰か……助けて」
少女のか細い助けの声は、バンデリオンの笑い声にかき消されるのだった。
●√EDEN 赤龍院財閥のとあるビル
「君達には『ユーカリが丘迷宮戦』に参加してもらう」
会議室に集まったEDEN達にそう語りかけるのは星詠みの赤龍院・嵐土(プレジデントレッド・h05092)である。ユーカリが丘迷宮戦、魔王の骸を取り込んだヘッドスライムを発端とした戦いで、『王剣ロンゴミニアド』が手に入るかもしれない戦いでもあるのだ。
「更には魔王となったヘッドスライムが組織している魔王軍、ダンジョンに潜ったままの迷宮配信者、駅と直結した古代遺跡とやらないといけないことが目白押しだ。ある程度は君たちの裁量でどの作戦をやるか決めてもらうことになるが、まず緊急の依頼をお願いしたい」
会議室のプロジェクターに移るのは赤い戦闘機。
「『疾紅のバンデリオン』。先の福岡での戦いの時にも目撃された戦闘機械だ。目的はダンジョン内の物品なりモンスターなりを回収することだろう」
他世界の技術などが簒奪者に渡るのはあまりよろしくないだろう。
「バンデリオンは自身のAnkerと認めた者を乗せることで戦闘能力を上昇させることができる。その為、中に居るであろうAnkerをあらかじめ倒しておくことが有効な戦術であるのは先の戦争での報告書からも確認できている……が」
ここで嵐土は渋い顔をする。
「どうやら、バンデリオンに囚われているのは駆け出しの迷宮配信者で、彼女の意思とは関係なく乗せられているらしい」
乗っているAnkerが邪悪な協力者であれば、また違ったかもしれないが、バンデリオンの作戦に巻き込まれた被害者であるなれば、話は変わってくる。
「人質として機能しているのか、彼女が中で捕まっていると『配信』で判明してから、王国側の迎撃の手も緩んでしまっている。このままでは防衛戦を突破されてダンジョンに侵入される危険性も高いだろう。そして恐らく、バンデリオンも本来の目的を達成したら迷宮配信者という異√の存在を持ち帰ろうとするだろう」
できれば助けたいところではあるが、バンデリオンの撃破または撃退が今回の作戦の最優先事項なので、迷宮配信者の安否は二の次だという。
「近くを走る迎撃電車『こあら号』の搭載兵器なども利用して良いらしいので、判断は現場に向かう君たちに任せる。酷な依頼ではあるが、よろしく頼む。それと、その後の作戦についても君たちの現場判断に任せよう」
そう言うと嵐土はユーカリが丘王国への扉を開くのだった。
これまでのお話
第1章 ボス戦 『疾紅のバンデリオン』
●なお、√能力はサポート側より指示(ランダム選択)されたものをしようしております。
『さて、ダンジョンの入り口とやらはあそこか』
武装列車からの迎撃をかいくぐる戦闘機こと『疾紅のバンデリオン』はそう呟くと、小回りのきくWZ形態へと変形。そのままダンジョンの中へと飛び込もうとするが、
「させません」
ひどく落ち着いた声と共にバンデリオンの前に立ちはだかったのは、装着型決戦型WZ『W.E.G.A.』に身を包んだ機神・鴉鉄(全身義体の独立傭兵ロストレイヴン・h04477)である。
『ちぃっ、鬱陶しい!』
|長砲身突撃機関銃《アサルトライフル》からの掃射を済んでの所で回避した版でリオンをはそう毒づく。
「依頼を受けた以上、ここを通す訳には行きません」
『随分と冷たいな。そう思わないか、相棒?』
「ひえぇっ!助けてくださいぃ!」
淡々とした鴉鉄の口ぶりにバンデリオンは自身の搭乗者に意見を求めるが、迷宮配信者の少女に受け答えする余裕はない。
『助かりたくば、協力してもらおう。【モード・エヴェイユ】起動だ』
バンデリオンの宣言と共に機動力がグンと上がる。
『ハッハッハ、これが配信コメントの力か。迷宮配信者の力とやらは面白い』
「くっ」
鴉鉄がバンデリオンを撃ち落とそうとするが、ことごとく攻撃を回避される。
『相手が悪かったようだな』
「ええ。そちらが、ですが」
『何を……っ!?』「きゃあっ!?」
どこからともなく攻撃を受けるバンデリオン。その衝撃に迷宮配信者も悲鳴を上げる。気づけば、バンデリオンの周囲に半自立型浮遊砲台『ファミリアセントリー』が包囲している。
『もう一人いたか』
「飛行パターンの解析完了。データはそちらにも送る」「了解した」
それまで【ハンティングチェイス】で存在を潜めていたのは六道・穂積 (第六研究所の研究成果・h03934)である。
そして浮遊砲台の一つを『W.E.G.A.』に乗せてデータをリンクさせる。これにより鴉鉄の【相乗りウォーゾーン】の力で『W.E.G.A.』の性能が向上する。
『なるほど、これが君達の絆という訳か』
「絆? ただそこに居合わせただけだ」「依頼を共有しているだけです」
唸るバンデリオンだったが、すぐに穂積と鴉鉄に否定される。
『それはそれで興味深い』
そう言うと体制を整えたバンデリオンは二人の能力者を突破しようとより激しい戦闘へと移行してゆくのだった。
●空中戦が出来ないと思ったか?
「別に配信者がどうなったって知ったこっちゃないけど」
『む?』
迎撃をかい潜り、ダンジョンへ向かおうとする『疾紅のバンデリオン』の前に立ちはだかるのは、
「だからってわざわざ無抵抗の人間を殺す必要はないか」
天霧・碧流 あまぎり・あおる(忘却の狂奏者・h00550)、影で出来た左腕を持つ青年である。実体のある右手には金属バットが握られている。
『ほう、随分原始的な装備で私に挑むつもりのようだな。さあ、そらにいる私をどう止める?』
どこか興味深そうにしながらも、目的を達成しようと頭上を突っ切ろうとする戦闘機械。
「知らなかったか?」
だが、何もない空中を駆け、バンデリオンへと追いつく碧流。碧流の√能力【ヴァリアブルエアダッシュ】である。
『インビジブルウイング? いや、だとしてもそれを生身でやってのけるか』
「敵を前に考え事とは随分と悠長だなオイ」
金属バット『血塗れの調べ』をおもむろに叩きつける碧流。それを人型形態へと変形してシールドで受け止めるバンデリオン。
「きゃあっ」
その衝撃にコックピットの少女が悲鳴をあげる。
「別に弱いものいじめが好きなわけじゃないんだがな」
やれやれと言った表情でため息をつく碧流。
『ならば、加速され切る前に仕留めるとしよう』
このまま振り切るのは困難と判断したバンデリオンはビームソードを展開して碧流に斬りかかる。金属バットで打ち返し、インパクトの瞬間閃光が走る。
『もらった!』「いぎっ!」
すれ違った直後、【ブラッディアウト】で急制動からの急加速で即座に舞い戻って斬りかかる。そしてその加速でどこか怪我をしたのか配信者の少女から呻き声が聞こえる。
『何!?』
だが、武装列車『こあら号』から射出されたミサイル群に攻撃を阻まれる。
「助かった、ありがとな!」
アシストしてくれたこあら号に礼を言いつつ左腕から破滅の炎を放って反撃する。
「配信者の力で強化されたお前の力はそんなもんじゃないだろ?」
『舐めてもらっては困る』
再びバンデリオンと空中で斬り結ぶ碧流。その表情はどこか楽しそうであった。
●引き際
「迷宮配信者を無理やり乗せているとは、面倒な」
ダンジョンへの突入を何度か試みる『疾紅のバンデリオン』の様子を眺めつつ色城・ナツメ(頼と用の狭間の警視庁異能捜査官・h00816)は呟く。
「迷宮配信者はある意味この世界のネットアイドル! ヨーキィちゃんとしても、あのやり口は見過ごせないなあ」
アイドルを目指す少女人形であるヨーキィ・バージニア(ワルツを踊るマチルダ・h01869)もバンデリオンの行いに憤慨しているようだ。
「俺はね、凡ゆる物語を欲してるんだ。あの子の物語を聞く為にもなんとか助けないとね」
雛森・灯(半人半妖の御伽使い・h08688)も懐に手帳をしまうと、簒奪者へと目を向ける。
「それじゃ行こうか。援護は任せて」
そう言うと灯は【|百鬼夜行《デモクラシィ》】にて配下妖怪を7体召喚する。飛行する相手に合わせてか飛べる妖怪が多い。
『新手か! 次々と!』
能力者達を見つけ、鬱陶しそうにバンデリオンが声を上げる。
『降りかかる火の粉は払うのみ! 行くぞ相棒』
「降ろしてよぉー!」
パイロットでありAnkerにさせられてしまっている迷宮配信者の少女の叫びは聞き入れられることなく、【モード・エヴェイユ】を発動させて少女の潜在能力を無理やり引き出し、戦闘力を向上させる。
『いいぞ! その叫びが視聴数をどんどん増やしているぞ!』
「こんな数字の取り方はいやーーー!」
少女の叫びに力を得たかのように飛び回り、ビームガンで妖怪達を狙い撃つ。
「同意していない相手を使って過激なコンテンツの数字稼ぎは御法度だよ!」
ヨーキィが|艦載機全力攻撃《エアクラフト・フルロンチ》で航空機群を発進させる。
「全艦載機隊発艦! 敵を討てーー!」
『む?』
機銃掃射を受けて回避するバンデリオンだが、回避先に投網爆弾が放たれる。破裂し広がる投網。
『なんの!』
ビームソードを出し網を切り裂くバンデリオン。そこへすかさず飛行魚雷が飛んでゆく。
『やれたとでも思ったか!』
「ああああっ!」
√能力【ブラッディアウト】で追加行動し、魚雷を切り払う。その急加速に肉体を破壊され悲鳴を上げる配信者。
『いい悲鳴だ。これでさらに数字も上がるだろう』
「なら、テメェも悲鳴あげればもっと数字上がんじゃねえのか?」
バンデリオンの目の前に飛び出したのはナツメ。
「さすがにやり過ぎだろうが」
最初の穏やかな印象とは異なり、荒々しい表情を見せるナツメ。それだけバンデリオンの行いに怒りが溜まっていたのだろう。
「『相棒』が体張ってんならヨォ、テメェもちっとは張ってみろや!」
手にした退魔刀『早暁』を閃かせ、バンデリオンの腕を切断する。
『ぐっ』
反撃を仕掛けようとするが、ナツメはここまで接近するまでに乗ってきた飛行妖怪……灯が呼び出していた配下妖怪の一体に着地すると、そのまま離脱する。
『……』
バンデリオンの脳裏に現在の損傷と残りの武装からの作戦の達成率とリスクの計算が巡る。
『ここまでだな。収穫は十分にあった』
バンデリオンは飛行形態に変形すると、高度を上げるように飛翔を始める。
「おい、待ちやがれ! その子は置いていけ!」
『せめてもの成果として、我が『相棒』はウォーゾーンへと連れて帰る!』
「えっ、私どこに連れて行かれちゃうの!?」
ナツメの制止も振り切り、飛び立つバンデリオン。
「クソッ!」
手を伸ばすが、その手は届かない。
「ヨーキィちゃんから逃げられると思っているの?」
艦載機を飛ばして追撃するヨーキィだったが、相手の飛び立つ速度の方が今回は速かったようだ。
「……思ったより引き際が早かったようだね。助けられなかったのは残念だ。無事でいてくれればいいが」
その様子を見届け、灯が悔しげに呟く。
「……無事だ。手は届かなかったが、『手』は届いたはずだ」
バンデリオンが去り、少し言葉遣いが落ち着いたナツメがそう呟く。|【青空をこの手に】《コンナセカイデモノゾムナラ》、相手の『生きたいという想い』を増幅させて治療速度を高める√能力だ。想いの力が持続されていれば、能力の範囲外でも10分で完治するだろう。
「生きたい、そう願うなら……」
さらわれた配信者の無事を願ってやまない能力者達であった。
第2章 ボス戦 『『ヘッドスライム』大魔王態』
●追い詰められた魔王
「ムシュ〜、大魔王のパワーで、世界を支配してやるはずだったんデシュが〜」
異なる√から来た簒奪者を追い払った能力者達の前に現れたのは『ヘッドスライム』大魔王態である。戦場の流れの不利を悟り、退散しようとしているのだろうか。
「ムシュ〜! こんなところにもEDENの能力者が!せめてこの大魔王の力で、貴様らを倒して取り込んで、再起の糧にするデシュ〜!!」
なんだかやぶれかぶれな感じで襲ってきた。