シナリオ

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禍津の蛇来たりて大暴れ

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●びったんびったん、じったんばったん
「|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!《GAOOOOOOOOOOOOOONNNN!!!!!!!!!!》」
 強い妖が、『マガツヘビ』が荒れ狂う。びったんびったん体を、四肢を、尾を震わせて目につく木々をなぎ払い。
「或れから何年経った? 十年か?百年か? 糞が、糞糞糞餓鬼共が!!!! 此のマガツヘビ様を轢き潰し殺しやがって、糞糞糞が!!!」
 じったんばったんじだんだ踏んで、なだらかな道路をぼこぼこに踏み荒らし。
「誰が『無限の妖力と矮小なる頭脳の持ち主』だ! 調べたぞ矮小の意味この野郎!! どいつもこいつも糞馬鹿にしやがって! 今度こそ、全部全部ぶち壊してやる!! 人も妖も、全ての√も、あとあれだ、勿論√EDENもだ……!!」
 黒き妖の火を蓄えながら、暴れるたびぼろぼろ鱗を、肉片を落とし、分身を生み出して、破壊を広げようとしているのだ。
 それは、街に近づいてきている。

●大暴れの超強力古妖
「皆も知ってると思うけど、超強力な古妖、『マガツヘビ』が蘇ったんだ」
 猫宮・弥月(骨董品屋「猫ちぐら」店主・h01187)が降ってきた星詠みを話し出す。
 マガツヘビは√妖怪百鬼夜行のすべての妖怪、もちろん今蘇り、妖の世を取り戻そうとする古妖にすら伝わる掟、「マガツヘビの掟」に語られるその妖怪だ。「全てのあやかしよ、マガツヘビを討ち滅ぼすべし」、そう語られる程に強力な妖である。
「そのマガツヘビが蘇った。幾多に分かたれた肉片の一つが、街の近くで暴れているんだ」
 荒れ狂うマガツヘビは鱗や肉片を撒き散らし、だんだん街にやって来る。鱗や肉片も小型マガツヘビとなって、先行して街へと迫ってくるのだ。
 小型マガツヘビはマガツヘビと同じ外見で、同じ性格、同じ√能力を持っている。
「小型マガツヘビの強さは、古妖と同じくらい。それが群れを成してやってくる」
 √能力者だけでは到底倒し得ない。けれど今度ばかりは援軍がいる。
「「マガツヘビの掟」にしたがって、古妖が力を貸してくれる」
 今回は『鬼獄卒『石蕗中将』』が力を貸してくれる。彼の助力があれば、余力を残して小型マガツヘビの群れを蹴散らすこともできるだろう。
 本命は続いてやってくるのだから。
「小型マガツヘビの群れのあとには、マガツヘビ本体がやってくるよ。肉片の一つに過ぎなくても、その力は強大だ。……ちょっと、その、頭は良くないみたいだけど」
 それ故に戦略などねらず、「無限の妖力」を振りかざし周囲に大規模破壊を撒き散らす。√能力者であっても勝ち目がない存在だが、鬼獄卒『石蕗中将』が再び力を貸してくれる。策や戦略を講じ、協力してマガツヘビを倒してほしい。
「無事に倒せたら鬼獄卒『石蕗中将』が、マガツヘビの肉片を封じてくれるみたいだ」
 彼の提案する「魂封じの宴」を行うことで、マガツヘビの復活速度を抑えることができるらしい。蓮の花見を主とした宴のようだ。実際にその場になれば、どういうものかわかるだろう。
「古妖との共闘、複雑な人もいると思う。けれど助力なくしてマガツヘビと戦い、勝つことはひどく難しいんだ。今は彼ら力を借りてほしい」
 どうかよろしくお願います、と弥月は√能力者に頭を下げた。

●じったんばったん、ぴったんたん
 小型のマガツヘビが街へとたどり着いて、あたりを破壊している。
「がおおお!」
「がおお! くそがー!」
 尾の一薙ぎで看板を壊し、腕のひとふりで塀を倒し。小型であっても力は強く、目に入ったものすべて壊す勢いで暴れている。
 その場に駆けつけた√能力者は、彼らと戦っている鬼獄卒『石蕗中将』を見つけるだろう。
 小型マガツヘビを鞭や刀で払う彼は、√能力者を見つけると近くへとやってくる。
「もしや加勢に来てくれたのだろうか。であればありがたい。マガツヘビを倒すまで、共に闘おう」
これまでのお話

第2章 ボス戦 『マガツヘビ』


●禍津の蛇、大暴れ
 小型マガツヘビを倒し、一息ついたそのすぐ後に、大音量の吠え声が響き渡る。
「|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!《GAOOOOOOOOOOOOOONNNN!!!!!!!!!!》」
 苛立ち怒り狂い、目にしたものすべて壊してしまえ、と蘇ったマガツヘビ本体がやってきた。
「糞共が、邪魔しやがって! 今度はお前らを轢き潰して殺してやる! 人も妖も、全て全て、轢いて握って潰して壊して殺してやる!! この世界も、他の世界も、それから√EDENもだ!!」
 先程の小型マガツヘビとは比べ物にならない程の無限の妖力で、ただ怒りのまま触れたものを壊して潰してしまおうとマガツヘビは暴れ回る。暴れまわって周囲全てに破壊を広げていく。
 普通ならば勝つことはできない、それほどの力の差があった。
 けれど式神鬼が、鬼獄卒『石蕗中将』がマガツヘビを押さえるために前に出る。
「私達があれを押さえよう。また、他に策があるならば従おう。マガツヘビは力こそ強いが頭はさほどでもない。策にもかかりやすい」
 彼と力を合わせれば、あるならば策を交えて戦えばきっと勝つこともできるだろう。
アイン・スフィア


 石蕗中将の言葉に、アインは柔らかく礼をいう。
「ありがとうございます、中将閣下。引き続きよろしくお願いします」
 ふわりと翼を揺らしつつ姿勢を正し、今も暴れるマガツヘビをアインは見やる。
 なるほどなるほど、確かに力は溢れており、中将の生み出した式神鬼十二体であっても完全には押し留められていない。しかし動きは単調に暴れるか、気まぐれな行きあたりばったりでしかなく、統率された式神鬼に翻弄される時すらある。
「ふむ。中将閣下。一つお願いしたいのですが」
「……聞こう」
 式神鬼を操る中将の、少し遅れた反応速度の応えを得て、アインは策を語り始める。
「かの大妖に兎にも角にも、速度を早め、鋭い爪を纏う力を使って頂きたいのです。直情的でプライドが高いとお見受けしましたので、中将閣下が挑発して下されば、見せつけるように力を使って下さるのではと。それが叶うなら、わたくしは隠れた場所よりマガツヘビの不意をつきましょう」
「……了承した」
 中将はアインの言に頷いて、式神鬼の動きを変える。押しとどめるときには今までのように真摯に押さえるでなく、あえて肩を揺らして嗤うように。その攻撃を避けるときには、大げさに身をよじるように。
 止めは中将の一言だ。
「……言い伝えられている妖ほどの強さはないな。疾く、鋭い爪もない。偽物か、やはり矮小な頭脳ゆえ活かしきれぬか」
「峨旺旺雄雄雄怨! 糞が、糞糞!! 糞餓鬼が!! なら見せてやる!!」
 ずるりと、落ちた肉片が小型マガツヘビの形をとって、轟々と吠えたぎるマガツヘビにまとわりつく。体表を覆う群れの数に合わせ、動きはいっそう疾くなり、爪が鋭く伸びていく。式神鬼達を蹴散らす動きもひときわ激しくなっていた。
 それはアインの狙い通り。力を増した動きに慣れた頃を見計らい、√能力を行使する。
 音が止まる。塵すら動きを止め、何も動かない。光も動かない時を止めた戦場で、アインの左手には木星の紋章が輝いた。
「群れを剥がし、能力を解除します」
 誰も傷つけず、困難を解決するために叶えられる一つの願い。それは確かに叶えられた。
 音が戻る、塵が漂い戦場は動き出す。
 急に体の重くなったマガツヘビはつんのめり、地面に頭から突っ伏した。
 さらに動きを押さえるように仄光より生じた光線が、倒れたマガツヘビの肉を穿つ。
 狙い以上にうまくいった作戦に、中将へと合図しつつ、アインはマガツヘビに声をかけた。
「申し訳ありませんが、あなたを止めさせていただきますね」
 アインの声はどこか優しい。マガツヘビに怒りや憎しみだけでなく、暴れるしかないあやかしを憐れむようですらあった。
 後ろから思い一撃を受け、痛みに喚くマガツヘビの声を聞きながら、彼はそっと頭を垂れるのだった。

カノロジー・キャンベル
八隅・ころも
ヴィルヴェ・レメゲトン


 妖力に溢れ、がむしゃらに暴れ狂うマガツヘビにも、『カンパニー』一行は別段調子を崩さない。
「あらまあ、おっきくって逞しいのね~❤」
「カノロジー……なんと言うか言葉に品がないですわー」
「あら、そうかしら?」
 きゃっとハートマークつけてはしゃぐようにしなを作ったカノロジーに、ころもは少し半眼気味の冷たい視線を向けた。複雑なお年頃故に、やや過敏になっているのかもしれない。やや潔癖な心持ちの年頃なのだろう。
 一方、もうちょっと若いヴィルヴェはまったく気にした素振りはなく、暴れて吠えるマガツヘビを観察していた。
「うむ。戦略も何もない、ただひたすらに有り余る力をぶつけておる。大妖、総身に知恵は……の、単なる力だけの馬鹿じゃな。まあその力が桁違いなのが問題じゃが」
 ヴィルヴェ言葉に、カノロジーはうふんと笑って、ころももコクリと頷いた。
「そうね。でも、知性がなければいくらでもやりようはあるわ❤」
「ま、やりようがあるってのはその通りですわね」
 確かに桁違いの力は大きな障害だ。けれどそれを小さくしてしまえる隙が、矮小なる頭脳と称されるほどの知性の無さである。
 今も石蕗中将が優れた指揮能力で操る式神鬼の連携に、マガツヘビの行動が制限されていた。最小限の被弾でいなす式神鬼達を見ながら、カノロジーはヴィルヴェところもに作戦を告げる。
「ふふ、前衛はツワブキちゃんがどうにかしてくれてるから……ヴィルヴェちゃん、陽動お願い❤ ころもちゃんは隙を作り出せるかしら? じったんばったん大暴れな怪獣ちゃんに、キツーいお仕置きしてあげましょ❤」
「うむ、陽動任されよう」
「ええ、もちろん。お任せあれ、ですわ」
 頷いたヴィルヴェが早速見つけた道をLesser Keyで開き、周囲に散らばる瓦礫に精霊を宿らせた。
「ふっふっふ、ついでに殴りたくなる見た目も被せるぞ」
「ヴィルヴェちゃん、そのゴーレムの造形は何よう!?」
「あら、すてきに殴りたくなりますわね」
「ころもちゃんまで!?」
「無論、敵じゃったらじゃよ」
「そうですわ、敵ならば、ですわ」
 美しい体躯にすてきな頭ももちろん『手』、優美なオネェの仕草をするカノロジーの幻影を被された、反射ゴーレムの完成である。
 無論、カノロジーはそこそこ不満げな声を上げる。前に出ることを厭いはしないが、殴りたくなる見た目と言われると引っかかるものがある。ヴィルヴェところものからかいに、信頼の証とわかっていても、カノロジーはんもう、と腕を組んだ。
 ゴーレムはヴィルヴェの命じた通り、マガツヘビへと群がっていく。しなやかなオネェの幻影を纏って式神鬼に苛立ったマガツヘビを煽るようにわらわらと、ヴィルヴェの詠唱に応じて増えていく。
「糞が、なんだ! 手の糞妖怪か!! 邪魔だ!」
 苛立ちのまま身に小型マガツヘビを纏い、速さと鋭い爪を手に入れたマガツヘビがカノロジーゴーレムを貫いた。同時に跳ね返った痛みがマガツヘビを襲う。自分の鋭い爪で纏った小型マガツヘビを貫いて、その奥の肉まで走る傷に大きく吠えたぎる。
「峨旺雄雄! 痛え!! 糞糞、糞がぁ!!」
「うむ、狙いどおりじゃな」
 思った通りに殴っては痛みに吠えるマガツヘビにヴィルヴェはべ、と舌を見せている。単純な頭では幻影を見破れないだろう、苛立ちのまま仲間への被弾も防げるし、反射でダメージを重ねるし、一石二鳥だ。
「強すぎる力が仇となったな。強さに見合う知能が無いと、宝の持ち腐れじゃな」
 繰り返し詠唱してカノロジーゴーレムを補充しながら、ヴィルヴェは満足そうにむふんと笑う。
「殴られるアタシはちょっと複雑よぉ」
「タンク性能に優れておるということで、一つ」
「もう」
 カノロジーの再びの声も、さらりとヴィルヴェは流してみせた。
 手を出せば痛いと知ったから小さな力で小突くだけ、怒りはそのまま炎として溜め込マガツヘビ。けれど小突けば跳ね返る痛みに、合間に動きを縛ろうとする式神鬼達に、マガツヘビの苛立ちもどんどん募っていく。
「糞があああ! 全部、全部だ、薙ぎ払ってやるうぅう!!」
 ごうと黒き妖の火が燃え上がる。長く伸びた尾に炎がいっそう強く燃え上がり、纏われ、ゴーレムと式神鬼を一纏めに薙ぎ払った。
 そのタイミングを、彼女は待っていた。
「ふふん、お見通しですわ。Buuuuuuu!!!!!!!!!!!」
 大振りな攻撃のさなか、ずっと機を窺っていたころもがマガツヘビに墨を吹き付ける。
「峨嗚呼、滑る!? なんだ、墨!? 糞、糞糞!!」
 彼女のドレスのように何も通さないほどに黒く、どこまでもとろりと滑らかな墨がマガツヘビの行動を阻害していく。大きい体で力任せに立ち、ぶんぶんと暴れようとしても、滑ってうまく力が入らない。
「ふふん、いいざまですわー。そのまま私の墨で神経まで侵されてしまいなさい」
 目元にまでたっぷり吹きかけられた墨はマガツヘビの視界も覆っている。故にころころ笑うころもの姿も見えず、言葉だけでマガツヘビは単純に判断してしまう。
「糞がぁ! 手前、蛸か、蛸の墨かぁあ!! 糞蛸のくせに潰してやるぅうう!!」
「あ゛あ゛!? 串刺しどころか開きにしてやりますわよ!? カノロジーが!!」
 神経毒も含まれた墨に蝕まれながら吠えたマガツヘビに、ころもはぎゃんっと吠え返す。
 指名されたカノロジーは、滑りながら暴れ、神経毒をいっそう早く身に回しながらまた暴れるマガツヘビへとすでに近寄っていた。彼もマガツヘビと同じように滑りはするが、冷静にグラップルで鍛えた体幹で、動作を制御すればどうということはない。
 先程よりも緩慢になってきた動きの隙をついて、カノロジーはすっと右手の指を揃える。
「開きにするにはちょっと大きすぎだけど、尻尾の先くらいはいけそうね」
 カノロジーの手が、手刀の形を取って振り上がる。
 それを嫌がって、足掻くようにマガツヘビの太い腕がカノロジー目掛けて振り下ろされる。片腕は追加でかけられた墨が滑らせた。もう一方は、反射ゴーレムが分け入って砕けて跳ね返した。尾の動きは式神鬼達が組み付いて封じている。
「——アタシは、手だけで十分切れるのよ」
 炎をまとった尾の先が、カノロジーの手刀ですぱりと切り落とされた。妖力の塊のようなそれは、宙を舞ってから地に落ちて、すっと虚空に消えていく。
 切られた尾の先を妖力で補い、組み付いた式神鬼を振り払い。反射ゴーレムの反射でより力を失い、墨で滑って体を損なってはまた吠えるマガツヘビ。
「痛えぇええ!! 糞共、皆潰してやるぅうう!!」
「できるものならやってみなさいな」
「その度、その一撃を返してやろう」
「完全な開きにしてやりますわー!」
 少しでも弱らせて、仲間に、先に繋ぐ。これを繰り返せば無限と謳われたマガツヘビの分体を倒せると、今の戦いで確信も持てた。
 『カンパニー』一行は油断せずに暴れるマガツヘビに相対し、己の得意分野で魅せてやろうと意気込み再び戦場で舞うのだった。

獅猩鴉馬・かろん


 かろんは暴れ回るマガツヘビをじっと見ていた。先程の小型マガツヘビのときから思っていたが、改めてある疑いを抱いていたのだ。あまりに疑いすぎて、大きな紫色の瞳も半分くらい隠れたジト目になっている。
「うーん……」
 暴れて腕を振り上げる、長い尾を振り回す、大きな口でぎゃんぎゃん喚く。
「マガツヘビは、どうぶつかー……?」
 マガツヘビは蛇かどうか、かろんには納得できていないのだ。そのフォルムはどう見たって人間ではないけれど、とても人間に近しいものだ。一緒にいてくれる山の眷属や、大神ともまた違う。じゃあヘビかと言われると、まったく違う。
「どうぶつじゃない!」
 かろんの結論は出た。マガツヘビは動物ではない、なら倒すことに遠慮もいらない。大暴れするマガツヘビを抑える式神鬼を、鬼のおっちゃんを助けて倒すのだ。
「よーし、おにのおっちゃんをすけだちだー! みんな、いくぞー!」
 号令に合わせ、かろんのそばから大神が、その眷属が飛び出した。
 まっすぐに行くもの、回り込むものと分かれ、式神鬼に抑えられたマガツヘビを囲うように四方から攻めたてる。
 マガツヘビの目前で大神が高く遠く、吠える。狼が唱和するように吠える。気を取られたマガツヘビの体に猿が取り付いて、体表の鱗を爪で剥いでいった。鬱陶しいとばかりにマガツヘビが腕を振り上げれば、大きな角の鹿が顔を狙って角を突き出し、邪魔をする。
 小柄な兎や栗鼠は石蕗中将の側に寄り添い、もしも傷を負ったなら癒やせるように控えていた。
「いっけー! そこだ! がんばれー!!」
「あぁあああ!? 糞餓鬼が、糞獣共が、邪魔するんじゃねえ!!! うぜえ!! 糞、糞鬼ぃいい!!」
 抑えに回っていた式神鬼達も、大神の牙で噛まれて喚くマガツヘビを膂力で殴りだす。マガツヘビの振り上げた拳の直撃は大神や眷属が牽制してそらし、式神鬼が地面に当たらないよう受け止めた。
「これいじょう、あばれさせないぞー! みんな、がんばれー! そこだ!!」
「峨旺旺旺雄雄!!」
 大神が爪でマガツヘビを切り裂けば、そこを狙って式神鬼の拳の連携が叩き込まれる。眷属が鱗を引いて気を引けば、式神鬼がそれた注意に乗じて攻撃を綺麗に打ち込んだ。
 増える痛みに傷に、大口開けて咆哮するマガツヘビ。確実にダメージを追っている大妖を倒すべく、かろんもいっそう張り切って大神や眷属達を応援し、石蕗中将との連携を強めるのだった。