シナリオ

⚡️双子傭兵の通信拠点防衛ゲーム

#√ウォーゾーン #オーラム逆侵攻 #オーラム最終決戦

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⚡️最終決戦:通信網破壊戦

これは大規模シナリオの最終決戦です!
9/15朝8:30までの「戦勝数」に応じて、得られる結果が増えます!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
※つまり、現存する作戦1〜5を攻略する事も、勝利に貢献します!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら、全ての結果をゲット!

結果表

戦勝数50:解放地域の拡大(闘技場新マップ「ビーチ」追加)。
戦勝数58:オーラム以外のレリギオスに、逆侵攻の事実を伝達阻止。
戦勝数66:👾ナイチンゲール鹵獲。
戦勝数74:今後のウォーゾーン大規模全てに「内部撹乱作戦」を追加。
戦勝数82:各レリギオスが各々に蓄積した『|完全機械《インテグラル・アニムス》』の研究データを全て破棄

「皆さん! オーラム逆侵攻へのご協力、ありがとうございます!」
 呼びかけに応えて集まってくれた√能力者達に、林・桃華(人呼んで『仙桃娘々』・h05872)は現在の戦況を伝える。
「皆さんのご活躍によって、レリギオス・オーラムは大打撃を受けました。特に√EDENに繋がる『大黒ジャンクション』を破壊されたことで、彼らは√EDENへの大規模侵攻手段を失いました!」
 こちらにとっては、今こそ別作戦を展開し、敵の勢力を削ぎ落とすチャンスである。
 そこでスパイとして潜り込んでいた者達の手引の元、戦闘機械群の大規模通信網を妨害・破壊する作戦が始まっている。

「この通信網破壊戦の成否次第で、√ウォーゾーンの情勢はさらに動くでしょう!」
 具体的な作戦内容としては、川崎市内にある戦闘機械群の通信拠点を暴き、破壊していくことになる。その場所はスパイとして潜り込んでいた者達が突き止めてくれていたり、人類居住区の市街地に隠されていたりと様々だ。
「ですが一部の重要な通信拠点には、まだ強力な戦闘機械が守備についています」
 川崎市中心部にいたオーラム派機械群は壊滅させたが、ごく少数の強力な個体は生き残っているようだ。これを撃破しなければ、敵の通信網を完全に断ち切ることはできない。

「通信拠点を防衛しているのは双子傭兵『APoALt』です』
 この戦闘機械は青い少年型『アポロン』と、赤い少女型『アルテミス』の2機でタッグを組み、レリギオス・オーラム外でも各地の戦場を渡り歩いてきた。その精神年齢は人間で言うところの小学生に近く、どちらも非常に自己中心的だ。
「双子にとっては人も機械も建築物も等しく『撃破ポイント』で、ゲームで遊ぶように殺し、壊します。きっと現状も新しいゲームが始まったとしか思ってないでしょう」
 襲ってくる敵から拠点を守る、さながらタワーディフェンスゲームの感覚だろうか。
 ナマイキな上にふざけた連中だが、ここまで生き残っているだけあって実力は高い。油断すれば本当に「ポイント」にされるだろう。

「お遊び感覚のお子様マシンに、作戦を妨害されるわけにはいきません! 皆さん、どうか『APoALt』を撃破してください!」
 作戦説明を終えた桃華は深々と頭を下げ、レリギオス・オーラムに出撃する√能力者達を見送る。大規模作戦『オーラム逆侵攻』の最終盤、通信網を破壊する者と防衛する者の激突だ――。

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第1章 ボス戦 『双子傭兵『APoALt』』


大海原・藍生

「……ん、こういう敵ときましたか」
 機械とはいえ双子と聞いて、大海原・藍生(リメンバーミー・h02520)は若干感傷的な表情をする。亡き双子の妹のことを思い出しているのだろう、齢不相応な痛みを背負った顔だ。
「アハハ、来た来た!」「ゲームスタートだ!」
 対して双子傭兵『APoALt』に暗さは皆無。戦況的には劣勢だが、それすらゲームのスパイスとして楽しんでいる様子。襲ってくる敵から通信拠点を防衛する、これはそういう任務であり遊びなのだ。

(あれが通信拠点ですね)
 藍生は感傷を抱えつつも冷静に、突出しないよう戦場全体の様子を見る。双子傭兵の後方にあるアンテナ付きの施設が、今回の破壊目標となる通信拠点。彼はそれを「すごスマホ」で撮影して仲間にも共有しておく。
「いくぞ!」「きゃはは!」
 防衛する「アポロン」と「アルテミス」の2機は√能力で高速戦闘モードに変形。飛行ユニット及び装備武器を真紅に輝かせながら、目にも止まらぬスピードで攻撃を仕掛けてきた。

「ついてこれるか、ノロマ~?」
「まけません!」
 紅い閃光とともに翔ける双子傭兵の連携攻撃に、藍生は勇気を携えオーラ防御を展開。
 守りを固めながら霊波を溜めると、集束した精神エネルギーが「よくわからないけどびりびりするやつ」になる。
(まずは動きを止めないと)
 敵の飛行ユニットや武器をなんとかしないことには、こちらの不利は否めない。彼の放った雷の霊力は、ある種の妨害電波のように機械をマヒさせ、パフォーマンスの低下を引き起こした。

「なんだこれ?」「ウザッ!」
 デバフをかけられた双子傭兵は不快そうに叫びつつ、銃とブレードによる攻撃を続けるが、先程のような速度はない。倒されなければ問題はないと、藍生は【|Vivere est militare!《イキルコトハタタカイダ》】で対抗する。
「生きて、抗い、戦うんだ、沈黙したままでは空に羽ばたく翼は得られない」
 その力強い歌声は生きるため困難に抗う力を増幅し、彼の味方と彼自身が受けた死亡以外のダメージを回復する。不屈の闘志をメロディに乗せ、皆を鼓舞しながら戦場に立つ姿は、まだ年若くも勇敢な戦士であった。

「この”ゲーム”……勝つのは俺達です!」
 歌を奏でながら藍生はダッシュで間合いを取り、時に慎重に、時に大胆に、手にした「みょるにる」を元気よく振るう。神器の名を冠したそれは、使い手の気合の叫びに呼応して秘めたる魔力を目覚めさせる、一撃入魂型の近接武器だ。
「あぐッ!? や、やったな!」
 不調を抱えた飛行ユニットでは避けきれず、殴り飛ばされたのは青のアポロン。まだワンミスとはいえ想定外の被弾に動揺し、すぐに怒る様はワガママな子供そのもの。藍生のほうが余程精神的には大人びているだろう――。

澄月・澪

「後はできるだけたくさんの戦闘機械群を叩く! ……ってことだね。私も頑張るっ」
 レリギオス・オーラムが支配する川崎市内に大損害を与えたことで、オーラム逆侵攻は最終作戦に。此方の勝利を確実なものとするために、澄月・澪(楽園の魔剣執行者・h00262)は魔剣「オブリビオン」を手に、魔剣執行者に変身して戦場に向かう。
「また敵が来たよ、アポロン」「返り討ちにしてやるさ、アルテミス!」
 通信拠点を狙う√能力者を捕捉しても、双子傭兵『APoALt』は動揺せず。殺し合いをスコア稼ぎだとでも思っているのか、自分達が勝手に定めた「ゲーム」の勝利のため、意気揚々と襲いかかってくる。

「「ほらほらほらほら、どんどんいくよぉ!!」」
 青い少年型の「アポロン」が銃を連射し、赤い少女型の「アルテミス」がブレードを振るう。敵を小馬鹿にした態度ながらも双子傭兵の連携は巧みで、付け入る隙を晒さない。
「コンビネーションが得意なのかな、それなら!」
 まともに2機同時に相手するのは分が悪い。そう判断した澪は「オブリビオン」の力を行使し【魔剣執行・忘処】を発動。魔剣で虚空を斬る動作をすると、彼女の姿は敵の視界から忽然と消え去った。

「あれ? あいつ、どこいった?」「てか、あたしたち何してたっけ?」
 澪が消えた場所に代わりに現れたのはインビジブル。勢い余ってそれに攻撃した双子傭兵は、直近10秒間の記憶を「忘却」する。たった10秒とはいえ戦闘中の認識の空白は、彼らの状況判断に混乱を生じさせ、連携攻撃がストップする。
「世界は私がどこに居たかを忘れた。忘れちゃったなら……どこに居たことにするか、私が決めちゃってもいいよね!」
 恐るべきは機械もインビジブルも世界も欺く、魔剣「オブリビオン」の異能。その執行者はいつの間にか敵の背後に”居た”。忘却の力を受けた第三者には、その現象は瞬間移動としか認識できないだろう。

「√EDENでも√ウォーゾーンでも、皆頑張って生きてるんだから、ゲームなんかじゃないの!」
 生命をオモチャのように軽く扱う、残酷で幼稚な双子への怒りが、魔剣を握る手に力を込めさせる。記憶障害による隙から立ち直る間もなく、アポロンとアルテミスは背後からの強襲を受けた。
「あぐっ?!」「な、なによぉ、ムキになっちゃって……!?!」
 澪の一閃は2機の背部スラスターを切断し、ダメージと同時に機動力を低下させる。
 どうして彼女が怒るのか、双子には理解できまい。壊して遊ぶことしか知らず、本気で守りたい大切なものが何もない、彼らには。

スノードロップ・シングウジ
新宮寺・結里花

「アポロンにアルテミスデスか。ほーん。ナラバ、我が家のゼウスかティフォンデモ召喚シマショ」
 たかが戦闘機械に大層な名前だと、余裕に満ちた態度で『APoALt』と対峙するスノードロップ・シングウジ(異端の末裔・h01215)。その発言は、もっとおっかなくて強大な存在を知っているかのような口ぶり。
「月と太陽ガ地球の空デ雲を司ル雷神にカテルと思うナヨ」
「ただの一般人に大層な称号つけるんじゃないわよ」
 虎の威を借る狐ならぬ姉の威を借る愚妹に、新宮寺・結里花(神を喪失した少女・h02612)は冷淡にツッコミを入れる。ゼウスだのティフォンだの何だのは流石に持ち上げが過ぎる――まあ彼女も本当に「ただの一般人」かと問われたら怪しいが。

「サア、オネエサマ。クソガキのわからせの時間デスヨ!」
「クソガキの分からせ? あんたぶん殴ればいいの?」
 義理の姉にして自分のAnkerに、ノリノリで戦闘を任せようとするスノードロップ。結里花からしてみれば一番のクソガキはこいつである。分からせてほしいと言うなら望み通りにするのも吝かではない。
「イヤ、ワタシじゃナイカラ。拳向けナイデ。アッチ。アッチ」
「チッ、違うのか。まあいいわ。やればいいんでしょ、やれば」
 スノードロップが慌てて敵のほうを指差すと、結里花は舌打ちしながらもしぶしぶ承諾する。まるで漫才かコントのようなやり取りを、双子傭兵は「なんだアイツら?」と首を傾げて見ていた。

「フウ……。アブナカッタ。じゃ、イキマスヨ」
 鉄拳制裁の危機を逃れたスノードロップは「歌唱魔剣・ダインスレイブ」を握り、呪文を唱えて√能力を発動。歌で超自然を操る力を一時的に付与し、結里花を【|「神」宮寺結里花《アメカンムリノミコ》】に変神させる。
「黒翼の歌い手より√世界の空へ。歓喜せよ。今ここに汝らの主が再臨する。さあ共に歌おう。水雷司る御子を讃える歌を!」
 現在の結里花が一般人だというのは間違いではない。だがスノードロップが讃歌を奏でる時、彼女は水と雷を司る雷神『雨冠の御子』と成る。上空はいつの間に雨雲に覆われ、雷鳴がゴロゴロと鳴り響く。

「さあ、遊んでやるわクソガキども」
「へー。思ったよりやりそうじゃん?」「でも、しょせんはタダの人間よね!」
 雷神の力を宿した結里花は棒術用の棒を手に高速戦闘を挑む。普通の人間には出せない速度だが、双子傭兵はまだ舐めきった態度のまま。ちょっと歯ごたえのある敵が出てきたくらいの認識だ。
「やーい、ざぁーこ!」「ちーび!」
「あん? 誰が糞チビだ。ぶち壊すわよ」
 子供じみた悪口を言いながら連携攻撃を仕掛けてくる双子に、カチンときながら睨み返す結里花。実は身長を気にしているのだろうか――とはいえ、それで冷静さを欠くような愚か者ではない。

(ふむ。こいつらの能力は、攻撃を当て続けると攻撃がリンクしていくタイプね)
 ノリノリで【「「ほらほらほらほら、どんどんいくよぉ!!」」】と攻めている間は、アポロンとアルテミスの勢いは止まることを知らない。結里花が棒術で防御しても、次から次に攻撃が来る。
「一発でも外せば終わり……と」
 傍目には2対1で劣勢のように見えるが、本人からすればまだ焦るような状況ではない。
 スノードロップも後方からサポートしてくれている。普段は愚妹扱いしているが、なんやかんや言っても彼女の奏でる呪歌は強力だ。

「限界突破シマショウネ、オネエサマ」
 ギター「フォーリン・エンジェル」の演奏で、結里花がノリやすい音楽を流し、動きをサポートするスノードロップ。敵に対しては逆に、呪詛を込めた歌声で動きを鈍らせる。
「妨害の手数は豊富なのよね、私たち」
 結里花も『雨冠の御子』としての権能をフルに活かし、双子傭兵を攻め立てる。雷撃による痺れ狙いや、水の蛇による拘束など、様々な妨害を駆使して√能力を失敗させる気だ。

「「うるさいなあ、もう!」」
 アポロンとアルテミスは耳障りな歌に気を散らされつつも、水と雷の妨害を振り払う。
 さっさと撃破ポイントを稼いでしまおうと、結里花に攻撃を集中させるが――彼らのブレードに手応えはない。
「あれっ……?」「うぐっ?!」
 2機が斬ったのはスノードロップが作り出し、結里花が呪いをかけた幻影だった。デコイに釣られたうえデバフまで貰い、√能力の効果が終了する。調子に乗ったぶんのツケを支払う時が来た。

「フフフ。コレがシングウジ姉妹のコンビネーションヨ」
「まあ、今回はそういうことにしておくわ」
 得意げなスノードロップの演奏に後押しされながら、双子への反撃を開始する結里花。
 棒術をメインにした彼女の喧嘩殺法は、動きの鈍った2機のクソガキを容赦なくボコボコにする。
「ぎゃう!?」「いたっ!? やべっ!」
 抵抗しようとしたアポロンの腕に水の蛇が絡みつき、呪詛がアルテミスの足を縛る。
 こうなれば勝負の決着は見えたも同然だ。あとは二度とナマイキな口がきけないよう、適度に力を溜めて――。

「絶縁は十分かしら。糞餓鬼共」
「「ひっ……にぎゃあぁああぁぁ!!!?」」
 天より降り来たる全力の雷撃が、敵と通信施設を纏めて焼く。許容値をはるかに超える電圧をその身に浴びた双子傭兵は、雷鳴にも負けないほどの悲鳴を上げて、ガクリと崩れ落ちた――。

二階堂・利家

「ふうん半人前と半人前で合わせて1人前という事か。随分と中途半端な設計思想だな」
「なんだとぉ!」「なんですってぇ!」
 2機で活動する双子傭兵『APoALt』に、痛烈な嫌味を浴びせる二階堂・利家(ブートレッグ・h00253)。機械にしては子供っぽい性格をした「アポロン」と「アルテミス」は、その発言をスルーできずに激怒する。人間なら顔を真っ赤にしていただろう。
「例えばだけど、片割れだけ生き残ったらどうなるのとか。気になるよなあ?」
 などと挑発を続けながら、利家は屠竜大剣「殲術処刑人鏖殺血祭」を構える。本当の半人前にしてやって、それでも今のような人を舐めた態度を続けられるのか試してみよう。

「バカにしやがって……やるぞアルテミス!」「うん、アポロン!」
 キレた双子は衝動的にスラスターを吹かし、得意の連携殺法で敵を血祭りにあげようとする。青いアポロンがビームガンで攻撃すれば、赤いアルテミスが即座にブレードで追撃。幾多のスコアを稼いできた必勝の戦術だ。
「「ほらほらほらほら、どんどんいくよぉ!!」」
「うるさい。2人がかりだと騒音も2倍だな」
 対する利家は「トランスフォームシールド」を展開し、2体の連携攻撃を受け止める。
 戦闘機械にもパワー負けしない怪力と、実戦で鍛えられた継戦能力があれば、2対1でも簡単に打ち負けはしない。

「どうして合体しないんだ?」
「「はぁ? そんな機能ないから!」」
 カテドラル・グロンバインの知られざる簒奪者「グロンバイン」はするらしいとの話を聞いたが、この双子傭兵はあくまで連携に長けているだけで、合体してパワーアップはしないらしい。
「それなら2人仲良くぶっ壊してやるよ」
 これ以上の切り札がないなら、この勝負は貰った。双子との打ち合いを続けながら、利家は【broken arrow】を発動し、Ankerの「ゴッドバード・イーグル」を召喚すると同時に高速飛翔体に変身させる。

「抜山蓋世」
「「えッ……?!」」
 双子傭兵は√能力の効果により、命中する限りは攻撃動作を取り続ける。そこでイーグルはガラ空きになった彼らの背後から、利家ごと機銃掃射と誘導ミサイルによる爆撃を叩き込んだ。
「い、いつのまに……ぐえっ!」「きゃあっ!?」
 タイミングが分かっていた利家は直前にインビジブル融合を行い、強化した脚力で後ろに飛び退ったが。完全に予想外だったアポロンとアルテミスは、まんまと直撃を食らった。

「前ばっかり見すぎだな」
 不意打ちで混乱している隙に、大剣を振りかぶりながら再度切り込みをかける利家。
 バーサーカーの如き気迫と規格外の膂力をもって、竜をも斬り伏せる大上段の一撃を叩きつける。
「卑怯剣唐竹割り!」
「ぎゃああっ!!」「アポロンっ?!」
 その斬撃の被害を被ったのは青い少年型のほう。辛うじて真っ二つにされるのは免れたが、片腕と片足を失う重傷を負う。この有り様ではもう片方との連携にも支障が出るだろう――ご自慢の戦法を崩され、2機の態度にようやく焦りが見えだした。

小鳥遊・夢羽
マスター・ちんあなご

「早速来たな……」
「マスターちんあなご〜!」
 通信拠点を防衛する敵を発見次第、小鳥遊・夢羽(混沌の魔女『ククリ』・h06582)とマスター・ちんあなご(オーガ・ディザスターの仲間達・h06569)は即座に戦闘態勢をとる。青い少年型「アポロン」と赤い少女型「アルテミス」の2機で行動する双子傭兵『APoALt』――強力な戦闘機械がそこにいた。
「また来た!」「しつこいのよ、もう!」
 最初はゲーム感覚で防衛戦を楽しんでいた双子も、徐々に余裕を失っているようだ。
 勝っている時にしか調子に乗れないのも、ワガママで自己中心的な子供らしい。実力に反して精神は未熟な連中だ。

「よっしゃ、まずは不幸な同士討ちしてもらおうか」
「はぁ? そんなシロートみたいな事するわけないじゃん!」
 夢羽が「魔女の炎」を放つふりをすると、それよりも速くアルテミスが先制攻撃を仕掛けてくる。優れた機動力と反応速度だが、自分が”仕掛けさせられた”とは思っていない。
「アルテミス、油断すんなよ! オレはこいつをやる!」
「マスターちんあなご~!」
 一方のアポロンはマスターちんあなごに標的を定め、ビームガンを乱れ撃ってくる。
 マスターちんあなごは第六感で敵の動きを見つつ、オーラを張って防御体勢。もし近付いてきたら上手いこと「特殊手錠」を嵌めて、片方だけでも√能力を封じたいが――あくまでそれはサブプランだ。

「そらよ!」
 2人のメインプランは夢羽の唱える「門の創造」。高速多重詠唱により開かれた門は、入口は双子傭兵の攻撃軌道上に、出口は互いの足元にセットされる。√能力者達に当たるはずだったブレードとビームが、門の中に飛び込めば――。
「うわっ?!」「きゃあ!?」
 アポロンとアルテミスはお互いの攻撃を食らい、夢羽の宣言通り「不幸な同士討ち」を演じることになる。間に合わなければ回避と防御に切り替えるつもりだったが、予想以上にタイミングがぴったり噛み合った。

「おっし……なら、今度はこっちのターンだな」
 敵の√能力を凌いだら、夢羽は直ちに【OverEvol.・CHAOSWITCH】を発動。混沌の魔女に変身した彼女の身体能力は戦闘機械をも凌駕し、無限に増大する魔力が全身から溢れ出す。
「さあ、殺ろうぜ?」
「っ、ヤバ……!」「く、クソっ!」
 ブレードの間合いの外から魔力指銃の連射を繰り出すと、双子は慌てて煙幕を張った。
 このまま戦闘のペースを握られるのはまずいと考え、一旦仕切り直すつもりだろう。隠密状態から奇襲を仕掛ければ、まだ逆転の可能性はある。

「マスターちんあなご~!」
 だが、そこでマスターちんあなごが「ディメンジョン・ミラー」を使用。怪異や神々の力すら跳ね返す神秘の霊鏡をもって、双子の真の姿を映し出す。いくら煙幕に隠れても、これでは居場所が丸分かりだ。
「あっ、こいつ!」「余計なことを!」
 怒った双子はマスターちんあなごに攻撃を仕掛けるが、それも予想して彼はオーラで身を固めていた。自分が囮になれば夢羽が動きやすくなると、見た目は謎の生き物でも戦略的に思考している。

「どっち見てんだ?」
「ひゃっ?!」
 マスターちんあなごに向かっていく2機のうち赤い方を、夢羽は空間ごと引き寄せた。
 目を丸くしたアルテミスを睨みつけると、もう1機の相方の方へ思いっきり蹴り飛ばしてやる。
「吹き飛べ、おらぁ!」
「ふぎゃっ!!」「ぐえっ!!」
 衝突した双子はもつれ合うように倒れ、2人仲良く悲鳴を上げる。逆転どころか完全に手玉に取られていると言っていい。「門の創造」と空間引き寄せによる位置操作が、彼らの連携を完全に封じていた。

「マスターちんあなご~!」
 さらにタイミングを見てマスターちんあなごは√能力を発動し、夢羽と完全融合する。
 混沌の力とちんあなごの力、ふたつを手にした夢羽の手元には「奇跡の杖」が出現し、攻撃能力と空間引き寄せ能力がさらに強化される。
「こいつで終わりだ!」
「うわっ?!」「な、なによぉ……!」
 夢羽が魔力を込めると杖先の宝石が光り輝き、砲台のように突きつけられた杖の射線上にアポロンとアルテミスが引き寄せられる。窮地を察した双子が慌てて逃げようとしても、もう遅い。

「必殺! マスター能力! ミラクル・ビーム!」
「「ひ……うぎゃあぁーーーーっ!!!?」」
 解き放たれる七色の閃光。あらゆる概念を無視する奇跡の輝きが、悪を討つ力となる。
 混沌の魔女の【マスター能力『MIRACLE・BEAM』】を食らった双子傭兵は、甲高い悲鳴を上げて吹き飛ばされていった――。

不破・鏡子

(ゲーム感覚の敵は怖い。こちらが追い詰めたとしても、戦意を喪失するどころかやる気を出してきたりするんだから)
 命のやり取りを軽く見ているからこその危険性を、不破・鏡子(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h00886)はきちんと理解していた。降伏や逃走が期待できない以上、最後まで気は抜けない。
(いや、そもそも機械なら焦りや絶望なんて感情は無くせるのかしら? とにかく……遊びで被害を出される訳にも行かない)
 奴らに通信拠点を守りきられると、それを通じて今回の情報が他所の戦闘機械群に伝わり、今後のリスクにも繋がりかねない。『オーラム逆侵攻』を完全勝利で終わらせるために、避けては通れない戦いだ。

「2人纏めて蹴っ飛ばしてやるわ!」
「はあ? 人間なんかが、ナマイキ……」「さっさとやられちまえよ!」
 鏡子の強気な宣言に怒った『APoALt』は、即座に攻撃態勢に入る。確かに絶望はしてない様子だが、機械にしては感情的な連中だ。今だにこれをゲームと認識しているなら、「エネミー」側から近付いて行けば向こうから仕掛けてくるはず。
「かかってきなさい!」
「うっさい、ざぁーこ!」
 近接タイプと思われる赤い方、少女型の『アルテミス』がブレードを構えて突っ込んでくる。まずはそいつと戦う――と思わせた所で、鏡子は重力制御場を機動。ふわりと宙に浮かんで敵の攻撃を躱した。

「なんてね」
「あっ! こらー!」
 そのまま鏡子はアルテミスの攻撃をくぐり抜けて、ダッシュで射撃タイプらしい青い方、少年型の『アポロン』に向かう。相方がこうも簡単に突破されるとは思っていなかったのだろう、距離の取り方が甘い。
「油断してたんじゃないの?」
「こ、こいつっ!」
 アポロンは慌てて銃を撃つが、電磁マフラーから発生するエネルギーバリアが弾丸を弾く。重力制御場により増強された移動力も活かして全速力で直進し、強引にでも接近すれば、そこは「重爆撃」の間合いだ。

「これでも、食らえっ!」
「ヤベ……ぎゃあッ!?!」「アポロン!!」
 渾身の【グラビティ・コンバット】を叩き込まれたアポロンが吹っ飛ばされ、アルテミスが慌てた声を上げる。双子傭兵の最大の武器は2機による連携戦術――それを断ち切るべく、鏡子は直ちに【スピード・アッパー】で追撃をかける。
「アーマーパージ! 全エネルギー、スピード系へ!」
 装備していた「対怪人戦闘用装甲胴衣」の装甲が外れ、青に輝く速度重視形態に変形。
 不破財閥の財力と義姉の技術力を背景にしたハイテク装備が彼女の強みだ。そのスペックは√ウォーゾーンの戦闘機械群にも劣らない。

「くそぉっ……! バカにすんなよ、ノロマ……!」「ま、待てぇーっ!」
 アポロンも飛行ユニットを高速戦闘モードに変形させて対抗しようとするが、2つの√能力で超加速した鏡子にスピードでは敵わない。アルテミスも急いで援護に入ろうとするが、追いつけない。
「これで終わりよ!」
 移動速度だけでなく攻撃速度まで強化された、重爆撃の連打がアポロンを打ちのめす。
 装備の力を借りても、最後に決めるのは己の肉体。格闘技の技術と強靭な精神を内包した、強烈無比の蹴撃だ。

「が、ガ……ちくしょ……」「アポロンっ!!」
 その蹴りがトドメとなって、アポロンは完全に戦闘不能に。輝きを失った青い機体が墜落し、相方を失ったアルテミスが悲鳴じみた声量で叫ぶ。それを見下ろしながら鏡子は構えを取り直した。
「少しは焦ってもくれるかしら?」
「こ、この……よくもーっ!!」
 アルテミスは激昂して突っ込んでくるが、単機になった敵の攻撃の幅は大きく狭まる。
 数が半分になった以上の戦力ダウンは、今更焦ったところで補えるものではなく――。

「すぐに後を追わせてやるわ!」
 鏡子の容赦ない【グラビティ・コンバット】と【スピード・アッパー】の連続コンボ。
 重力制御による超速機動が敵のブレードを躱し、赤い戦闘機械に致命的な打撃を食らわせる。
「きゃ、ぅ……こ、こんなところで、ゲームオーバーだなんて……」
 あっけない幕切れにアルテミスは不満げな言葉を遺し、沈黙。√ウォーゾーンでもその名を知られた双子傭兵『APoALt』は、かくして2機とも機能を停止した。最後までゲーム感覚のまま相手を侮ったのが、彼らの最大の敗因だろう――。



 防衛戦力を見事撃破した√能力者達は、直ちに通信拠点を破壊。
 敵の重要な拠点をひとつ陥落させたことで、レリギオス・オーラムの通信網破壊戦は順調に進んでいた。

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