⑰禍厄を祓え
●カヤック地獄変
爆心地 「カヤックアキバスタジオ」跡。
秋葉原の中心地とも言えるその場所は今や爆発の影響で大穴が開いている。
未だ燃え上がる炎から逃げ惑う人々も多く存在するが、救出されればすぐに全てを忘れ日常へと戻っていく。
そんな異質とも言える空間へ一直線に向かっているのが無限の妖力と矮小なる頭脳の持ち主『マガツヘビ』である。
「|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!《GAOOOOOOOOOOOOOONNNN!!!!!!!!!!》」
「糞が!!数十年ぶりに黄泉返ったと思ったら!糞糞糞!!あんなクズの宴に付き合わされてたまるよ!!さっさと他の√におさらばさせても貰うぜ!!」
●『全てのあやかしよ、マガツヘビを討ち滅ぼすべし』
「はぁ……かなわんなぁ、なんでボクがこないな事」
マガツヘビの掟に倣い古妖の一人である暗夜の烏天狗『冥羅』が音も無くマガツヘビに立ち塞がる様に降り立つ。
それは奇しくもマガツヘビを止める為に様って来た√能力者達と挟撃するような形となった。
「こうなったらしゃあないなぁ…。来とんのやろ?人間共。掟に従いボクはコイツをいわしたらなあかんから、キミらもちょっと手伝ぃ」
●人と古妖の共闘
「急にごめんねー、けど火急の用件でね!秋葉原にある「カヤックアキバスタジオ」のオフィスが、大爆発四散したんだ!」
√能力者達を集め、朽葉ヶ原・十蔵(鬼哭啾啾・h00565)は秋葉原の映像を映し出す。
「幸い土曜日でお休みだったようで犠牲者はでていないけど、これは復活したマガツヘビの仕業みたいだ。奴はここの大穴を通って別の√へと逃げ込もうとしている」
カヤックのオフィスビルがあったはずの場所、爆心地にはポッカリと大穴が開いてしまっている。マガツヘビはここへと向かっているらしい。
「知能は兎も角として、無限とも言われる妖力を持った相手だ。他√への逃走はなんとしてでも阻止したい。幸いマガツヘビの掟に則り古妖達も動き出してる、普段は敵同士だが上手く連携できればぐっと楽になるはずだよ!」
「簒奪者と一緒に戦うのも複雑な気分ではあるけど、今はそれ以上にマガツヘビを止めるのが先決だ!みんな、宜しくね!」
第1章 ボス戦 『マガツヘビ』
「おおお、久しぶりだねマガツヘビ!ってカヤックが爆破されちゃったの!?」
ぽっかりと開いた大穴を見て驚愕の声を上げたのは雪月・らぴか(霊術闘士らぴか・h00312)だ。
「大学触手まみれにしたクヴァリフとか、ベルサールを工場に改造した重陽真君に比べると、爆破ってやっぱりマガツヘビはやることが単純だねぇ」
左腕をぐるぐると回してマガツヘビを見やる。らぴかの言葉通り単純なようだ、バカにされたと思ってこちらを睨み付けている。
「その単純さで他√でも暴れられるとやばいし、ここで倒さないとね!」
「あぁん!!?糞が!テメェ今単純って言ったか!あぁオイ!!」
進路を塞ぐ古妖に攻撃しようとしていた所にこれだ、単細胞な大妖はらぴかへと標的を変えて突っ込んでいく。その勢いは凄まじく本来なら√能力者といえど厳しい相手だ。
「こいこい集まれ吹雪の力っ!」
だが、今回は自分達だけでは無い。らぴかは古妖『冥羅』と挟撃すべく左腕に吹雪を纏い自身のスピードを上げる!
「この糞が!!ちょこまかちょこまかとぉ!!って痛ぇ!!」
ヒットアンドアウェイの要領で殴る!避ける!ついでに冥羅が攻撃した隙に[霊雪心気らぴかれいき]を足の指にぶつける!
「へぇ、いいやんそれ。おもろいわぁ」
らぴかに合わせるように冥羅も使い魔の烏を呼び出し、マガツヘビの足を啄ばむ。
「|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!《GAOOOOOOOOOOOOOONNNN!!!!!!!!!!》 この!糞雑魚どもがぁ!!」
怒りに任せたマガツヘビが両腕を振り上げた所へ、大量の烏が飛び込み視線を塞ぐ。
「ほんなら人間、任せたで?」
「おっけー!任せて!ズバッと一発れっつごー!」
√能力者と古妖の連携により生じた僅かな隙をらぴかは逃がさない、吹雪纏う左腕をマガツヘビへと見事に叩き込んだ。
「雪風強打サイクロンストレート!!」
必殺の技名を叫びマガツヘビを見据える、決して他の√へは行かせない。
「掟で動く存在は信用できる。」
余計な言葉もいらない。と和紋・蜚廉 (現世の遺骸・h07277)は多くは語らず戦場へと赴く。
互いにやるべきことだけをやればいい。その意思は古妖にも伝わったのだろう、古妖『冥羅』もまた余計な言葉は発さず蜚廉に合わせるように刀を構えた。
「糞糞糞糞!!邪魔すんじゃねぇ糞虫どもがぁ!俺はさっさとこんな所からオサラバしてぇんだよ!」
何をそんなに急いでいるのか、『マガツカイナ』周囲に霊的汚染を撒き散らすその腕を大きく振り上げようと叫ぶマガツヘビは明らかに急いていた。
「逃がすわけにはいかん。―――穢れに染まりし掌にて、触れし力よ、我を嫌え」
軽く揺れる触覚。マガツヘビの焦りを見てとるや蜚廉は一息に距離を詰め、振り上げる前に潰そうと触厭……√能力を無効化する力を纏わせた右掌をぶつけた。
「ぐっ……この野郎!!この俺様と真っ向からやろうってのか!!」
ギチと殻が鳴る。蜚廉の全身に大きな衝撃が走り腕の軌道がついには止まる。
「否、我とてただ止めるだけではない」
純粋な力比べでは敵うまい。あくまで冷静に蜚廉は押さえたへと組み付いた。
殻ごと噛みつくようにグラップルし、無効化した感触を確かめる。
「顕る環は影を払わず、ただ場の理のみを揺らす」
マガツヘビに組み付いたまま、蜚廉の四肢に炎が灯る、そして殻の奥へと熱を通していく。
「―――|焔環顕《エンカンケン》」
燃え上がる炎の圧で、割れ目のような隙が浮き上がる。
その瞬間、隙を窺っていた冥羅へと触角で合図を送り、伝える。
攻めるべき角度、踏み込む間合い、逃がすまいと絡む動線――そのすべてを。
「――――――上出来や」
烏が一声だけ鳴けば、舞い落ちる黒羽を残し冥羅の姿は消え。次の瞬間、呪詛を纏った刀でマガツヘビを斬り裂いていた。
「|峨唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖!《GYAAAAAAAAAAAA!!!!!!!》 テメェら!!よくもぉ!!」
激痛に流石のマガツヘビも顔を歪め、怒りのままに再度腕を振り上げる。マガツカイナを振り下ろせばこんな雑魚共ひとたまりも無い、避けられても霊的汚染が広がって俺様が有利になっていくだけだ!マガツヘビなりの必勝パターンへ持ち込もうと全力で腕に力を籠める。
「そうはいかん、汝はここまでだ」
させないとばかりに蜚廉が再び踏み込んだ。振り上げる勢いも利用し今度は力任せに、大穴とは逆側の地面へとマガツヘビを叩き落とし地面へ沈める。
そのまま押し切ろうと一気呵成に燃える四肢で殴り続けるが、そのたびに汚染の気配が散っていく。
「汚染も気にはなるが、今は逃げ道を潰すのが先だ」
霊的汚染も気になるが、マガツヘビを逃がせば今以上の被害が様々な√に及ぶのが目に見えている、ここで逃がす訳にはいかないと更に攻勢を強める。
そこに冥羅からの援護射撃が蜚廉の横をかすめるように放たれ、焼け焦げる臭いが立ち上る。
「今回だけやで?掟は守らなあかんからね」
「この連携なら、逃がさず押し切れるな」
蜚廉は逃走の阻止を確信する、だが殴る手は緩めない。
最後まで気を抜きはしない、闘いは何が起こるか分からないのだから。
「冥羅か。貴様と協力することになるとはな。だが、手段は選んでいられない。力を貸せ」
古妖へとそう声をかけるのは黒統・陽彩(ライズ・ブラック・h00685)だ。
より強大な悪を挫くために今日ばかりは昨日の敵とも手を組もう。
「はいはい、その辺はお互い様やなぁ。ボクらも掟は守らなアカンからね」
投げかけられた声へ応えるように、古妖『冥羅』も気だるげに肩を竦めながらも、しっかりとライズ・ブラックの動きに合わせ始める。
「|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!《GAOOOOOOOOOOOOOONNNN!!!!!!!!!!》 なんだぁ!!陰気臭ぇ糞黒どもがぁ!!ちょろちょろしやがってよぉ!」
逃走劇の邪魔に怒り狂ったマガツヘビは単細胞らしく、連携する相手に対して数には数だろ!俺様頭いいぜぇとばかりに【小型マガツヘビの群れ】を向かわせた。
「お前の攻撃で発生する領域も奴の汚染も俺が掻き消す。遠慮なく戦え。集団戦術は私の得意分野だからな」
そう言ってライズ・ブラックはザンバ・ブレードを構えつつブラック・ヴォイドの封印を解く。広がっていく黒い虚無をザンバへと纏い、冥羅の動きをカバーし指示を出していく。
「ほうか、別にボクは領域も汚染も構わないんやけど、ね!」
飄々と言ってのけるが、今は敵対している場合ではない。右!と言うライズ・ブラックの声に従い迫る小型マガツヘビを斬り落とす。的確な指示と援護の甲斐もあり着実に敵の数は減っていく。
「糞糞糞!!雑魚共が!こうなったら力でねじ伏せてやらぁ!!」
数の勝負は決し、残る本体が司令塔であるライズ・ブラックを叩き潰そうと腕を振るう。
「甘いな!悪の攻撃に倒れる私ではないっ!」
[第六感]で危険を察知しマガツヘビの攻撃を避け、即座に地面に右手で触れて汚染をかき消すライズ・ブラック。
(更に[学習力]で戦い方をアップデートし続けることで私は強く成り続ける)
体勢を崩した隙を逃さず[空中ダッシュ]で天高く飛び上がった。
「強い悪にこそ正義は強くなるのだ!貴様は逃がさない!此処で倒れろマガツヘビ!」
「|峨唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖!《GYAAAAAAAAAAAA!!!!!!!》」
太陽の光を背に、ライズ・ブラックの繰り出したキックがマガツヘビの身体を穿つ!
「おっ、マガツヘビ案件は古妖も一致団結してぶっ叩くって取り決め、よその√でも有効なんだ? まあそりゃそうか」
「よーし、じゃあ古妖といっしょにやるぞ!オマエ冥羅ってゆーんだな?」
白羽織を靡かせながら飄々と歩いてきた神薙・ウツロ(護法異聞・h01438)と、雷のような勢いでカッ飛んできた御兎丸・絶兎(碧雷ジャックラビット・h00199)は互いに顔を見合わせる。
「うはは、ゼット君じゃん。なになに君もマガツヘビぶっ叩きに来たクチ?」
「おー!!ウツロだ!オマエも来てたのか!うんっ!オレさまもぶったたきに来た!」
顔見知りらしい二人のやり取りを眺めつつ、古妖の一人である暗夜の烏天狗『冥羅』はひらりと手を振る。
「なんやキミら知り合いなん?それなら戦りやすうなるね、ボクは烏天狗の『冥羅』掟に従い君らと手ぇ組ませて貰うわ。よろしゅうね?」
「 オッケー オッケー。私は神薙・ウツロ。√EDEN出身の、まあ拝み屋みたいなもんだよ。よろしくね、烏天狗の君?」
「オレさまはゼット!さいきょームテキのゼットさまだっ!」
ここにヒト、ウサギ、カラス、の期間限定即席チームが結成された。
「糞が!!テメェら、雑魚の癖に群れやがって!!ムカつくぜぇ、まとめてぶっ潰してやる!!」
和気藹々とした雰囲気にイラついたのか【マガツサバキ】で一網打尽にしてくれようと黒き「妖の火」をその身に集中させる。禍々しい炎が少しずつ燃え上がる。
「ふぅん、なんか超必的なの出しちゃう感じ?」
ウツロは|左回り《・・・》に腕を上げ。
「アイツの大技は、チャージに60秒かかる! ってことは、60秒間打ち込み放題だ!いくぞっ冥羅!」
絶兎は|雷・参・兎《ライジンラビット》でパワーアップ!迸る青い雷を纏って突撃!冥羅連携して全力で攻撃し続ける。
雷の魔力を乗せた稲妻のような蹴りと呪詛を纏った斬撃を受けてマガツヘビも堪らずよろめく。
「糞!糞糞糞糞!!!ふざけやがって!ようやくたまったぞおらぁ!消えちまえ!!」
ついに60秒が過ぎ、マガツヘビは全てを薙ぎ払おうと【禍津ノ尾】を振るう!
だがその直前に響いた声は
「ろーくじゅ!いまだっ!冥羅!!」
しっかり60秒を数える絶兎の声、そして。
「なんやゼット君、妖使いあらない?」
タイミングを見計らい高々と飛び上る絶兎を空中でキャッチしながら羽ばたく古妖の声。
「どんだけ強い攻撃でも、当たんなきゃ意味ないかんなっ!冥羅、烏天狗なら飛べるよな? 頼んだぞーっ!」
渾身の一撃が虚しく宙を裂き、更には悠々と空を飛ぶ二人にさらに怒りを露にするマガツヘビ。
「この糞獣どもがぁぁぁぁ!!」
だがしかし空を飛ぶ獣を地を這う蛇は捕らえる術を持たない、しかしそこでマガツヘビは珍しく頭を使う。そう、今回の目的は他√へと脱出する事だ。何も雑魚共に付き合う必要は無い。悔しがる声を背中に聞けば多少は溜飲も下がるはずだ。
「うはは、コーンニーチハー」
そこへ逆撫でするようなテンションで声をかけるのはこの流れを見越し、離れた場所で戦いを見守っていたウツロである。
「|玄武《クロ》、『陸仟弐佰壱式』。 はい、どーん」
全長39メートルはある、蛇を巻いた亀。護霊の玄武を召喚。マガツヘビの退路を塞ぐように立ちはだかる。
追い打ちのようにマガツカイナによる霊的汚染も五行の水により相殺する徹底ぶりだ。
マガツヘビを封殺した所でサングラスのレンズをあげて、空を仰ぐ。
「烏天狗の君ー。マガツヘビをイワすの、古妖の君の方が慣れてるんじゃない?逃げらんないようにいい感じに留めとくからブッ刺してやってよ!ゼット君と一緒にさぁ!」
「しゃあない、ほないくで?」「おうっ!」
超高高度から高速飛翔体がマガツヘビへと落下してくる!
「オレさまが! さいきょームテキのゼットさまだっ!」
風と雷を纏った飛び蹴りがマガツヘビへとぶちかまされ、巨体はその場に崩れ落ちた。
「今の声、まさか…」
聞き覚えがある声に紬・レン(骨董品店「つむぎや」看板店主・h06148)は、心臓が一際強く脈打つ感覚を覚えた。
そしてその嫌な予感は的中する事となる。
「…よりにもよってお前がいるのかよ、冥羅…!?」
見知った顔。と言っても出来れば見たい顔ではなかった、このような形で顔を合わせる事になるとは…。
「ふふ、なんや奇遇やね。キミも来とったんや、レンくん」
対する古妖はレンの顔を見るや、表情の伺えぬ仮面の下で、くつりと口の端を吊り上げる。
(文句言ってる場合じゃない事は分かってるが、ったく何の因果で…)
ぶつける場所の無い思いを今は押し込めて。
「……仕方ない。この場は一緒に戦ってやる。だがどさくさに紛れて俺を攻撃とかはするなよ。いいな?」
「そんなんせんよって。ええよ、今日だけは一緒にあそぼか」
「|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨《GAOOOOOOOOOOOOOONNNN!!!!!!!!!!》 糞雑魚共が内緒話かぁ!?俺様の邪魔をするんじゃねぇ!!」
大穴まであと少しという所で入った邪魔に怒るマガツヘビは、小型マガツヘビの群れを纏い加速。【禍津ノ爪】で2人を薙ぎ払おうと突き進む。
ふわりと花の香りが舞った。
レンは霊剣"花霞"を抜き、花弁と共に神秘の風を纏う。
その風は【禍津ノ爪】が振るわれるその前に、[早業]を以て吹き誇り、霊剣術・百花烈迅がマガツヘビへと叩きこまれた。
「いってぇな!!糞がぁっ!!!」
倍返しと言わんばかりに振り下ろされる【禍津ノ爪】
(兆しを読め…!)
攻撃の予兆を感じ取り、見切る。
「残念だったな、こちらも百花烈迅で返してやる!」
その隙を見逃さず、カウンター一閃。マガツヘビへと再度痛烈な一撃をお見舞いした。
「…へぇ、やるやない。レンくん。」
胸中の想いは知れず、宿敵とも言える古妖はレンの立ち回りを称賛する。
以前とは違う立場での称賛に戸惑いは隠せない、動揺しながらも油断せずにマガツヘビの攻撃を捌く。加速するマガツヘビへとなんとか喰らいついているレンだが、速度上昇を逃走に使われるとまずい。
業腹だが冥羅にも陽動と足止めを頼もうと声をかける。
「う、うるさい!ほら、使い魔の烏とか呼べばいいだろ?…協力しろよな!?」
「ふふ……そない大声出さんと。―――もうしとるよ」
レンの眼前へと迫る【禍津ノ爪】、その攻撃を遮るように烏達がマガツヘビの顔目掛けて飛び込んでくる。
たまらず後ずさるマガツヘビにレンも漸く距離を取った。
「ったく。煌めき、羽ばたけ―――宝石蝶!」
今度はレンが冥羅を援護するように宝石で象られた蝶が光線を放つ。
「糞!糞糞糞!!チクチクとうざってぇ!!」
マガツヘビは苛立ち紛れに両腕を振り回すが、レンと冥羅の連携の前に翻弄されている。
(冥羅の実力の高さは嫌という程知ってる。俺の心臓を刺し貫いて、殺しかけたのも奴だ…)
信用は出来ないし分かり合うつもりも無いが、純粋な戦力としては申し分ない事も事実。
「今だけだ。今だけはその力、頼らせてもらうぜ」
冥羅へと剛腕を振りかぶる姿を好機と見てレンは一気に駆ける。
「合わせろ冥羅!穢れ無き花、清浄なる風―――闇夜を穿つ刃となれ」
「言うようになったやない―――――鴉雀無声」
風に舞う花弁と闇に染まった烏の黒羽が交差する。
「|峨唖唖唖唖唖唖唖唖唖唖!《GYAAAAAAAAAAAA!!!!!!!》 糞!この俺様が……!」
かくして、ついにマガツヘビは√能力者と古妖により打倒された。
激戦を終えて。
刀を納め、顔を上げたレンの視界からは既に古妖は消えていた。
烏の羽根と去り際の言葉だけを風に残して。
「今回の出会いはカウントせんといたるよ。………ほな、また会おな」
