シナリオ

⑭所謂、人間性についての考察

#√ウォーゾーン #秋葉原荒覇吐戦 #秋葉原荒覇吐戦⑭

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⚔️王劍戦争:秋葉原荒覇吐戦

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
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(毎日16時更新)

 ベルサール秋葉原の一室に犠牲者達が囚われていた。だが致命的な事態にはまだなっていないようだった。ベルサール秋葉原は『重陽真君』の手によって人間と機械を融合する「真人化工場」に改造され、多くの一般人達が捕らえられていた。「真人化工場」の機能がまだ万全ではないためか、一般人を機械化する処理は行われていないようだった。今なら囚われた人々が機械と融合する前に助けることができるだろう。
 ところで、機械とは何だろうか。サイボーグという意味ならサイボーグと言える人間は√EDENにもいる。サイボーグとは人工物を埋め込んだ人間のことだからだ。人工関節や義歯を使っていればサイボーグと言える。だが重陽真君の『機械と人の融合によって仙術の高みを目指し人類を救済する』と言う思想における『機械』は少し違うものを指すのだろう。恐らく『機械』とは情報を処理するものを想定しているように思える。人間とコンピュータの知性、感覚、処理能力を合わせて新たな領域の知性を目指すことなのかも知れない。それは論理性を追い求めることが多い戦闘機械群においては異質な思想のようにも思えた。霊的、呪術的思想、そう言った論理とかけ離れた思想がどこから来たものなのか。もしかしたらその手がかりも掴めるかもしれない。

「秋葉原にある『ベルサール秋葉原』って言うビルが戦闘機械群の一人、『重陽真君』によって人間と機械を融合させる工場に改造されてしまったんだ。みんなにはベルサール秋葉原行ってもらって囚われている一般の人達の救助と重陽真君の撃破をお願いしたいんだ」
 ソーダ・イツキ(今はなき未来から・h07768)は集まった人達を前に話し始めた。
「ベルサール秋葉原はイベント会場があるビルだね。上階がオフィスになっていてそこが『真人化工場』になっているみたい。一般人は地下1階から2階までのイベントスペースに捕らえられているみたいだからまずはそこに行って捕らえられている人達を助けて欲しい。重陽真君はビルの最上階にいるからその後で最上階に行って重陽真君を倒してね。途中の階には工場の設備と監視用のカメラ、侵入者撃退用の簡易なトラップがあるみたいだからそれを壊しながら進むのがいいと思う。重陽真君を倒せばビルを元に戻すのが簡単になるから外から飛んで行ったりして最上階を目指してもいいかもね。みんなのやりやすいやり方で最上階を目指してもらえるといいと思う。囚われている人達が改造されちゃうまで、あんまり時間はないみたいだから急いでもらえたら嬉しいよ。それじゃ、よろしくね!」
 そう言うとイツキは集まった人達を送り出した。

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第1章 ボス戦 『重陽真君』


セージ・ジェードゥ
和紋・蜚廉
イリス・ローラ
リズ・ダブルエックス
マハーン・ドクト
夜雨・蜃

 ベルサール秋葉原最上階、『真人化工場』の制御室で『重陽真君』は最後の調整を行っていた。
「できあがる融合者が真人と至れなければ意味がない。もとよりその可能性は高くはないのだ。高くて数%くらいだろう。この街が真の意味で電気街だった頃であればもう少し適合者がいたのかも知れぬが、それを考えることは合理的ではない。必要な数の真人を作るための設備を整え、必要な数の人類を捕まえれば良いだけのこと。ここには十分な数の人間がいる。足りなければまた集めれば良い。適合せぬものにもそれなりに価値はある」
 パネルには現在の設定で融合させたときの成功率が表示されていた。「1.2%」、それは重陽真君が求める確率にはほど遠かった。真人に至れぬものはどうなるのか、廃棄されてインビジブルにされるもの、下級の戦闘機械群として扱われるものがほとんどだろう。たとえ真人に至ったとしても融合させられた人にとって幸せではない場合がほとんどだろう。一般の人達を助けるためには猶予はある。だがそれは短い猶予だ。

 ベルサール秋葉原は大型のビルにあるイベントスペースだ。普段はアニメやゲームなどのイベントが行われる大きなイベント会場だった。だが、今となっては真人化工場の人類供給用のスペースとなっている。一般の人達が捕らえられ、上階の工場へと送られるのを待つばかりとなっているのだ。捕らえられた人々は薄暗い部屋の中で一様に不安そうな顔をしていた。建物上階からは奇怪な何かの作動音が止むことなく続いている。それが捕らえられた人々の心をかき乱していた。

「かつて機械の身で、今は生身で、よく精霊魔法を使う。以上は私のスペックなのですが、今回の敵はなんとなく他人の気がしません。だからこそ、その行いを許せないとも強く思います」
 リズ・ダブルエックス(ReFake・h00646)はかつてベルセルクマシンだった。機会の体に疑似人格をインストールされた存在。それがリズだった。でも今の彼女は違う。生身の肉体を得た彼女は新たな目で世界を見、柔らかな皮膚で世界に触れている。朝の日差しも頬を撫でる風も今までとは違う感覚だった。その心はどこに宿ったのだろう、その体に存在しているのだろうか。わかっているのは朝のトーストも生クリームのたっぷり乗ったケーキもおいしいということだ。それはきっと生きている実感の大切な一つでもあるだろう。リズはベルサール秋葉原へと急いだ。

「いや知らないけどさ。要するにそっちの方で脳内で思い浮かべてるとんでもない劇薬みたいな案を試して人を救おうとしてるって事だよなぶっちゃけた話」
 青い仮面を被った男が降りしきる雨の中現れた。マハーン・ドクト(レイニーデイ・ホールインザウォール・h02242)はカクテル光線のような秋葉原の光に照らされ雨粒の中に浮かび上がった。その口調は苦みを含んでいる。
「……救済とか聞こえはいいけど、その途中に犠牲は付き物とかいう思想なんとかならない? もう散々犠牲出しまくってんだろ? あのクソッタレ世界でさ。それ以上を更に出したところで、それでもその後が救えますめでたしめでたしじゃねぇんだよ」
 マハーンは悪態をつきながらビルを見上げる。戦闘機械群はその名の通り『群』だ。蟻や蜂のように種と群れの生存のためにすべての個が存在するのだろう。いや、レリギオスによっては違うものもあるのかもしれないが。それは人間とは違う感覚だろう。一人一人が生きている。そう考えると、そう思うとその命を蔑ろにすることはできない。
「……救えてねぇもんが多すぎんだろうが、馬鹿野郎。『転身開始』」
 マハーンの全身を青いスーツが包み込んだ。マハーンはその上に黒いレインコートを羽織るとビルの中へと駆けていった。

「仙術の高みを目指して人類を救済するか。俺は初めて聞く思想だが、お前らの思想は否定する。それにしても仙術の発想は何処から出てきたんだ?」
 セージ・ジェードゥ(影草・h07993)は訝しんだ。戦術などと言う肉体に端を発していないと生まれない思想がどうして戦闘機械群にもたらされたのだろうか。セージは身につけたステルスクロークの効果で身を隠すとベルサール秋葉原へ潜入する。監視カメラの視線が通り抜けていく、どうやらうまく行っているようだ。セージはハッキング端末を取り出すと真人化工場のシステムに潜入する。ダミーデータを展開して監視システムを欺き工場に偽のエラー情報を流す。工場のシステムはエラーの原因を特製するべく工程の最適化を中断する。
「これでしばらく時間が稼げるな。作戦開始と行こうか」
 セージは仲間達に合図を送る。
「我はこれより救出に向かう」
 【穢土潛行】を展開しベルサール秋葉原の地下で機を窺っていた和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)はセージからの連絡を受けて行動を開始する。擬殻布で自らの輪郭をぼかし、音と熱と気配を消す。蟲煙袋が煙を吐き出し、翅音板が反響音を響かせる。重陽真君の作った監視システムはまるで濁った水を見通すことができないようにその目を鈍らせた。
「まずは捕らえられた人たちの救助だね」
 イリス・ローラ(支配魔術士見習い・h08895)は光の斬糸で警備システムとロックされた扉を斬り捨てながらイベントスペースへと進んでいく。蜚廉も斥殻紐を伸ばし、一般人を安全な経路に誘導するための準備をする。程なくしてイリスによってイベントスペースへの入り口が開放された。
「助けに来たよ。この紐を辿っていくと外に出られるからね」
 イリスは声に力を込める。半信半疑だった人達に信頼が広がっていった。
「生きて帰れる道は、必ずある」
 蜚廉が翅音板を震わせる。その音は恐怖に身をすくめるものの背中を押す。震えていた一般人がゆっくりと歩き出す。頼りないがその足は確実に出口へと向かった。
「拙者、夜雨蜃。捕縛された皆を救出する為、参った次第。歩けない方はござらぬか。出口まで安全を確保する故、迅速にこの場から脱出するでござる」
 1階では夜雨・蜃(月時雨・h05909)が避難活動を行っていた。捕らえられていた人々の顔は最初虚ろだったが蜃の声を聞くとありがとうと口々に大きな声が上がる。蜃は大丈夫だというようにその声に応えると出口へと誘導する。
「大丈夫でしたか? けが人はいませんか? 出口はこっちです」
 リズが2階に捕まっていた一般人達に声をかけた。
「嫌な音がしててもうだめかと思ってたよ。改造手術とかされそうで」
「特撮じゃないしそんなことはないだろう。そんな技術現代には存在しないって」
 √EDENの一般常識ではそうだろう。だが本当のことを言って驚かせても仕方がない。
「この紐を伝っていくと外に出られます。急いで」
「ありがとう。この恩は一生忘れないよ」
「大げさなんだよ。急ぐぞ!」
 一般人達は感謝の言葉と共に外へと逃げていく。
「この辺にはもうカメラはねえな」
 マハーンが撃ち抜いた監視カメラのランプが消えた。避難経路で面倒ごとを排除していたマハーンは最後の一般人を見送るとビルの中を駆け上がる。ビルの中を風が吹き抜け最上階へと誘う。

「改造される為の機械があるなら、動力線を斬ってしまえば動かなくなるでござろうか?」
 蜃は電力供給のための太い電線を切り落とした。スパークと共に電気の供給が途絶え、ビルは内部電源に切り替わる。しばらくすれば内部電源も止まるはずだがそれにはもう少し時間がかかりそうだった。
「この騒ぎ、既に感知されていよう。外から入れる階があれば、ワイヤーを駆使して登って行くが……」
 改造されたベルサール秋葉原の外壁はギザギザした見た目のものへと変わっていた。これならワイヤーをかけて登っていくこともできるだろう。機能停止を免れた警備システムからレーザーが放たれる。蜃は日本刀でレーザー銃を斬るとそのまま霧に紛れて最上階を目指す。
 イリスは【過去存在限定再現・人間災厄「呪翼少女」】を使い背中に黒い羽を生やす。目や髪の色は変わらないものの背が伸びたイリスの雰囲気はいつもと違う少し大人びたものに変わっている。イリスは地上からビルの外へと飛び出す。マハーンの呼び出した風が上昇気流となって吹いていた。イリスはその風に乗ると最上階を目指して飛び上がる。

 リズはレイン砲台をビルの外へと送り出すと自らはビル内部から最上階を目指す。真人化工場へと改造されたビル内は密閉容器と工作機械で満たされていた。所々にゲートがあり検品用と思われる検査機器が置いてある。検査に合格しなかった不良品はそれ以上上の階に行くことはできないようになっているようだった。リズは素体を移動させるためと思われるベルトコンベアの上を駆けていった。その後には破壊された工作機械と焼け焦げた警備システムが残されていた。
 セージはパルスクローを工場の設備に叩き込んでいた。まずは警備システムを破壊する。そして安全を確かめた後で人と機械を融合させるための無機質な工作機を丁寧に破壊していく。工場を無効化したことを確かめた後でセージは上階へと登っていく。

 重陽真君は一人最上階に佇んでいた。今このビルで何が起きているかを示すデータはない。だが何が起きているかを知る術はある。ビルは揺れ、爆発音と破壊音が響いていた。五感を持つものならそれはどこかから送られて来るデータ以上に正しい情報だろう。脳だけが考えるわけではないかもしれないのだそうだ。感覚器官や神経を張り巡らせている人間がまだ戦闘機械群を上回っているところもあるだろう。
 不意に窓ガラスが割れた。一人の少年が飛び込んでくる。
「お主が重陽真君で間違いないか。確かに、機械は人の助けとなることができる。素晴らしい技術にござる。しかし融合を強制するとは言語道断でござるな」
 蜃は再び霧に紛れて刀を突き立てる。重陽真君はそれを呼び出した剣で受けると剣を飛ばして反撃する。
「いかにも! 我こそが最初の真人。人間と機械の融合者、重陽真君である!」
 蜚廉がそこに割り込み、右手を払うように振るう。呼び出された剣がたたき落とされ消えていった。
「人機合一の仙道など、我には興味は無い。守る者を帰すため、ただ“生きて殴る”だけだ」
「高みを目指さぬ地を這うものよ。それでどこに至るというのだ?」
 その問いに蜚廉は沈黙を持って答える。示すものはその拳によって。蜚廉は静かに間合いを取る。その隙を見切るために。
「おまえが来ないというならこちらから行くぞ!」
 重陽真君が踏み込むその瞬間、無数の弾丸が飛んだ。重陽真君はそれを払うように斬り伏せるが一発の弾丸が耳をかすめる。その瞬間聞こえるはずのない呪詛の声が頭に響き渡る。
「おまえが行く人骨の道は地獄にしか続いていない」
「黙れ! 我の思想は、我が理想は完全なり!」
 重陽真君が首を振って否定する隙をイリスは見逃さなかった。窓を破って重陽真君の右から飛び込むと交差する瞬間に無数の光の糸を伸ばす。光は幾重にも重陽真君を切り裂き、その言葉を大きく響かせる。
「人を捨て、機械を捨て、どこに行くというのだ? どこにもたどり着けないというのに」
「黙れというのに!」
 重陽真君がイリスに向けて左腕を突き出した瞬間、その腕が固まる。真横まで近づいていたセージが拳銃を押し当て引き金を引く。重陽真君の左腕に穴が空き、そこから血と油が流れた。
「おまえの左腕は封印した」
 重陽真君はセージに向かって剣を振り上げるが目の前にはもう六肢を燃え上がらせた蜚廉が迫っていた。
「逃さぬ――この距離、この瞬間」
 蜚廉の燃え上がる拳が重陽真君の胸を撃ち抜く。装甲を殴る度に火花が散りその胸に空いた穴を少しずつ広げていく。
「汝の求める『最適解』とは違う。我が本能が導く『突破力』が汝を穿つ」
「理想を持たぬものよ!」
 重陽真君の体内にいるナノマシンが重陽真君を蘇らせる。重陽真君は剣を引き抜きその右腕を蜚廉に向けて振り下ろす。
「成る程、その速さ仙人の如し。だが拙者も負けぬでござる!」
 氷龍を纏った蜃が重陽真君を切り落とす。重陽真君の振り抜かれた右腕が壁に当たりドスッと言う鈍い音を立てる。しかし重陽真君は諦めない。飛劍を呼び出し蜃に狙いをつける。
「我は、真人へと至った最初の者、お前達に負けることは、ない!」
「さっさとくたばれ屑鉄野郎!」
 暴風雨だった。マハーンの撃ち出した弾丸が雨のように降り注ぎ、嵐のように風が吹く。窓を打ち破り、リズのレイン砲台から光の雨が降る。重陽真君は最後の一撃とばかりに左腕を突き出す。その掌は蜚廉を間違いなく貫いたはずだった。だがその腕はセージによって封印されている。1ミリとて動くことはなかった。がら空きの胸に蜚廉の拳が突き刺さった。その拳は背中へと突き抜け、重陽真君はその動きを止める。
「――我らは機械ではない。ここに立つ、生きた証そのものだ」
 降りしきる雨の中、蜚廉は呟いた。

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