シナリオ

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さくら、夜市、桜灯街

#√仙術サイバー #3章受付:4/22(水)朝8:30~26(日)23:59迄 #プレイング受付中

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 #√仙術サイバー
 #3章受付:4/22(水)朝8:30~26(日)23:59迄
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 はらり、ひらり、きらきらと。
 夜の街を舞い遊ぶのは、鮮やかなネオンの灯りを映した花びらたち。
 上層の街の光が夜空に浮かび、その隙間からも淡い煌めきが降ってきて。
 √仙術サイバーの世界にも、春の季節がやってくる。
 そして、積層都市・新宿Ⅴ層。
 その中心街から少し外れた場所にある繁華街はこの時期、特に賑わいを見せる。
 桜が咲き誇る時期になれば、毎年沢山の人が訪れる夜市の街――それが、|桜灯街《おうとうがい》。

 メインストリートの奥にある公園の桜も、そろそろ見ごろの時期を迎えていて。
 公園の中心には、一本の大きな桜の木が見事な花を咲かせている。
 それは、この街のシンボルでもある巨大な桜の木。
 満開に咲き誇る桜が煌めきを纏っているのは、輝く街のネオンのせいだけではない。
 この桜は、力ある者の存在に呼応して、より鮮やかに花開くと言われているから。

 そんな桜公園へと続くメインストリートは、春の夜になると、歩行者天国となる。
 そしてはじまるのは――賑やかな声や美味しそうな香りが満ちる、桜の夜市。
 ネオン看板と桜提灯の灯りが重なり、桜並木の大通りが華やかな色に染まる。
 歩行者天国となった夜市通りには様々な屋台や店が並び、人々が食べ歩きを楽しむ。
 湯気が立つ|蒸籠《せいろ》を開けば、そこに並ぶのは、ひとくちサイズの点心や甘味。
 ふわり輝く蒸したての桜まんは、この街の名物のひとつで。
 光る桜団子やいちご飴、ネオンカラーのかき氷に桜ドリンクなど、夜市らしい食べ物や飲み物も並んでいて。特に、各屋台の桜夜市限定メニューは、やはり人気のようだ。
 中には、辛さが刺激的な電撃花椒団子や、舐めると舌がネオン色に変化する怪しい龍舌糖など、好奇心をくすぐるような変わった屋台もあるらしい。
 花見をしながら乾杯するならば、ソーダ屋台の各種ドリンクがうってつけ。桜ソーダやネオンソーダ、アルコールの有無が選べる杏露ソーダなら皆と揃いで乾杯できるし。
 気になるものを花見用にテイクアウトするのもいい。
 桜並木の歩行者天国に置かれたテーブルで食べてもいいし、屋台を巡って食べ歩くのももちろん醍醐味。
 じゅわりジューシーで大きな唐揚げや北京ダッグや麺類、中華スイーツやドリンク、どれも美味しいと評判だ。
 屋台のほかにも、ちょっぴり怪しい光る雑貨を売る店や貸し中華衣装屋などが並び、祭りの通りは歩くだけでも楽しい。夜市限定の品、特に、桜色に光るパンダカチューシャは大人気らしい。

 そして屋台並ぶ通りの途中には、ネオンパンダ広場と呼ばれる賑やかな広場もある。
 仙術パンダジャグラーが歓声を集めているその中央に、どすんと座っているのは、巨大ネオンパンダ像。
 ぴかぴか光るインパクト大なその像はネオン通りの象徴で、ネオンパンダ前は夜市定番の待ち合わせ場所らしい。
 鼻のボタンを押すと目が光り、口からおみくじが出てくる、ネオンパンダおみくじ装置も置かれていて。光るおみくじがいくつも結ばれた風景も、夜市の名物のひとつとなっているようだ。
 それから、大通りの先――桜公園に足を踏み入れれば。
 巨大な桜の木の下では、花見を楽しむ人々の姿がたくさん見られる。
 シンボル桜を中心にたくさんの桜が咲く公園は広く、シートを敷いて賑やかにも過ごせるし。ゆっくり静かに、煌めき咲く桜を眺めることだってできる。

 さらに――夜が少し更けてくれば。
 表通りとはまた違う雰囲気の店が、路地の奥で静かに灯りをともしていく。
 そして、そこはかとなく漂うのは、賑やかな桜夜市の裏側で起こる事件の気配。
 春祭りの夜市の裏で、どうやら厄介な連中が動き始めているようだ。

●ネオンの街と桜夜市
「みんなはもう、√仙術サイバーには行った? 面白そうな世界だよね」
 鷲宮・カイン(人間爆弾のレインメーカー・h08951)は、いつもの人当たり良い物腰でそう笑んだ後。
 話を聞きに来てくれたEDENの皆へと礼を告げ、星詠みの予知を語り出す。
「√仙術サイバーの街の路地裏でね、善良な市民に暴力をふるってお金や物を略奪する連中が引き起こす事件が発生しようとしているよ。事件に巻き込まれた現地の人たちも武強主義に則って迎撃を試みるんだけど、敵と強さが違いすぎて、このままではあっという間にやられてしまうんだ。だから、彼らに助太刀して、颯爽と戦う……そんな酔狂な存在がそこに現れても、いいんじゃないかなって」
 そんな事件が起こると予知されたのは、√仙術サイバーの積層都市・新宿Ⅴ層。
 その中心街から少し外れた場所にある、|桜灯街《おうとうがい》という繁華街だ。
「今、この桜灯街は、桜の夜市がおこなわれていて、たくさんの人たちが訪れているよ。事件発生まで十分時間があるから、まずは観光客を装って、この夜市を楽しんで欲しいんだ。それで、もう少し夜が更けてくると路地裏の店も開き始めるから。略奪団が来そうな店を探って、敵が来たらやっつけてね」
 事件発生までは、それなりに時間がある。
 なので、まずは桜灯街を訪れ、夜市を楽しむ客を装いながら、敵を待ち構えて。
 夜が更ければ、開きはじめた路地裏の店へと赴いて、颯爽と事件を解決して人々を助けよう! というわけである。
 カインは、なんかこういう雰囲気の映画観たことある気がする、なんて笑みつつも。
「それはそれとして、桜灯街の夜市だけど。歩行者天国になってる桜並木のメインストリートには、この世界ならではな夜市の屋台が沢山並んでいるらしいし。広場には、なんか大きくて光るパンダ像とかあるみたいだよ。力がある者に呼応して咲き誇ったり光るっていう、公園のシンボル桜も見てみたいし。折角だから、お花見もしたいよね」
 だから……事件解決はもちろん、桜の夜市も楽しんできてね、と。
 カインはEDENの皆を案内する。桜満開な新宿Ⅴ層――桜灯街へと続く路地へと。
これまでのお話

第3章 集団戦 『ケンタウロスパンダ』


 夜が、さらに深くなる。
 桜灯街の裏路地は、表通りの賑わいとは別の熱を帯びていた。
 ネオンは滲み、提灯は揺れ、湿った路面に光がにじむ。
 笑い声と、酒の匂い。
 湯気の向こうで、誰かが箸を動かしている。
 ――その中に、明らかに異質な気配が混じった。
 どん! と、乱暴に蹴り開けられた扉が、裏路地に乾いた音を響かせる。
「……なっ!?」
 突然のことに、驚く店員や客たち。
 そして現れたのは――パンダ。
 だが、その下半身は獣じみた脚を持ち、異様な機動を感じさせる。
 そう、武強主義のもとに集団で略奪を行い、弱者を蹂躙する、ケンタウロスパンダの集団だ。
 ケンタウロスパンダたちは、統率された動きで店内へと雪崩れ込んで。
『金と金目の物を、全部よこせ!』
 店の中の空気が張り詰めた瞬間、始まるのは乱闘騒ぎ。
 椅子が引かれ、食器が鳴り、客たちが慌てて立ち上がる。
 だが、この√仙術サイバーは武強主義。
 ここにいる誰もが、奪われるだけの存在ではない。
「そんなことさせない!」
 店員のひとりが踏み出す。
 だが――ケンタウロスパンダが大きく床を蹴った。
 視界から消えるほどの速度に、見舞われる重い衝撃音。
 吹き飛ばされる身体、崩れる卓、割れる器。
 それでも、店員が立ち向かう中。
「ちょ、ちょっと待った! まだ食べてる途中なんだけど!?」
 片手に箸、もう片方に丼。
 思わず声を上げながらも立ち上がった客を見れば、このような略奪も日常茶飯事のようで。
「店から出ていけ!!」
 店主が鍋を振り上げ、別の客が椅子を掴んで構える。
 わちゃわちゃと、でもここにいる誰もが、やられるだけでは終わらない。
 だが、武強主義のもとに、集団で略奪をおこなうケンタウロスパンダたちの行動は手慣れている。
 振り下ろされた鍋も、投げつけられた椅子も、軽くいなされて。
 吹き飛ばされる人影、転がる器、人々の悲鳴……力の差は明白だった。
 けれどその時、ふわりと桜の花びらが舞い込み、差し込むネオンの光が揺れる。
 そう、乱闘騒ぎになっている店の入口に現れたのは、酔狂な乱入者――EDENたち。
 荒くれ者の略奪事件を阻止するべく、今、戦いの幕が上がる。