シナリオ

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アプリケーションに潜む罠

#√EDEN #√仙術サイバー

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 "そのアプリから届くタスクを達成すれば想い人と結ばれる"。
 特に『恋に悩む若者』の間でまことしやかに囁かれる噂話がある。
 何ということはない、ポイントを集める系のアプリケーションで、老若男女に人気の、広告もよく見るものだ。
 現に、あなたが立っている交差点を見上げれば、そのアプリの広告が電光掲示板に流れ、有名な俳優が起用されたことで芸能ニュースにもなっている。
 最近は学生人気が高く、話題にもなり問題にもなっているという話は、あなたも目に耳にしたことがあった。
 そのくらい、皆が知っていてインストールもされている、ごくありふれたアプリの話だったはず、なのだが。
 その裏で、学生に人気の問題の方向性とは別の噂話が届くようにもなっていた。
『しかしそのタスクは、回をこなす毎に過激で暴力的な内容に変貌していく』
 タスクには時間制限が設けられており、これまでは『別の噂話』が流れてくるのにそれなりの期間を要したから、なのかもしれないが……運営会社はこのアプリしか制作経歴がなく、不安に思う声も最近になってやっと挙がっている様子だ。
「不気味なアプリの真相を追う、というのが今回皆さんにお願いしたい依頼なのだけど」
 星詠みが√能力者に協力を求める。
「よくある噂話とか、ネガティブキャンペーンだとか、そういう類のものだと思われるけど、調査には時間が必要なこともあって人海戦術を頼みたい。」
 勿論能力者に頼るだけあり、危険の度合いも最初からある程度織り込み済みである。
 となれば、能力者達は全力でこの案件に取り組むしかない。
「とにかくこんな話に巻き込まれる人が一人でも少なく済んでくれた方がありがたいし、噂が本当だとすれば放っておけない。皆さんの調査能力に期待しています」
これまでのお話

第3章 ボス戦 『不空剣派・月仙人』


 謎のアプリケーションに呪術的介入をしていた張本人、不空剣派・月仙人からのメッセージが届いた。
「この謎を暴きし者達よ、わたしへの道を視たものよ、さあ、立ち向かってくるがいい!」
 不穏な噂のアプリケーションを使う人々の力を吸い上げている月仙人を倒さなければ、被害は大変なものになってしまうだろう。
 相手は強大な力を持つ呪術師だが、能力者達は果敢に挑んでいく。
八月一日・圭

 現れた術者を前に、|八月一日・圭 《ほづみ・けい》(螺鈿を纏う修羅の語り部・h09402)は足を止める。
「……あなたが元凶ですか」
 状況を確認するように一瞥すると、相手もまたこちらを見て表情を変えずに言い放つ。
「我が術を見て尚向かってくる者か、実に勇敢なり」
 不空剣派・月仙人が能力者を見定めようと武器を構えたのを見て、圭もまた【覚悟】を決めて身構える。
「せっかくのお招きです。始めましょうか」
 二人の間に張り詰めた空気が漂う。
『抑え続けた想いよ……いま剣に宿り、怨敵を討て――修羅顕現。』
 【先制攻撃】で動いたのは、圭だ。
 【業火を宿す怨念の剣鬼「修羅」】を纏う技を繰り出す。
 自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【霊剣術・夢想修羅】」が使用可能になる。
 業火を纏う剣鬼をその身に宿し、踏み込む。
 一気に間合いを詰め、迫った。
 ぐぅ、と直前で息を飲み込んだが、凄まじい速度と威力の霊剣術をまともに喰らってしまい、月仙人は膝を付く。
「やはり、我の術を見ただけのことはある……まやかしなく実力でやってきたのも納得がいく」
 そう、その力が欲しいのだと月仙人は気迫で立ち上がった。
 そして『忘れじの月の香』を使う。
 【この能力以外の精神干渉を解除】して【敬愛】の感情を与える【仙桃の香気】が、全身から溢れ出し続ける。
 [仙桃の香気]はその後風下や低所に流れ徐々に薄まるが、密閉空間では最大8倍に濃縮される。
 濃度が高い程抵抗は困難とされる技であった。
 漂い始める香気に気付けば、圭は急ぎ風の流れを読みとり、風上へと回り込む。
 香気の滞留域の外へと向かうと呟いた。
「触れなければ、それで済む話です」
 とはいえ、目に見えるものでなし……甘い桃の香りを吸い込めばたちまち相手の術中に落ちると考えれば、それなりに脅威ではあった。
 先の一撃がだいぶ堪えているようで、月仙人がじりじりと様子を見ながら距離を開けようとしているようだった。
 可能な限り長期戦を避け、香気を出来るだけ避けて間合いを詰めるにはと考えた圭は、風上から一気に圧を加えるかのように俊敏な動きで【切り込み】、月仙人に迫ることにした。
 香気が届く前に踏み込み、濃度が上がる前に決着へと手にした霊刀真黒をしっかりと構えて突撃していく。
「時間は与えません」
 剣鬼「修羅」の威圧に乗じ静かに燃える業火で空気の流れをコントロールして、圭は再び得意の間合いへとしっかり踏み込んだ。
「ッ、早い!?」
 3倍の移動速度で動く様が瞬間、内側へ潜り込んだと認識されたと同時に放たれる。
 ――霊剣術・夢想修羅。
 圭は全力で業火を帯びた斬撃を叩き込む。
「終わらせます」
 余計な言葉は必要ない。
 ただ確実に、術者を断つ為、霊刀を振るう。
 黙して刀を振ると香気も揺らぎ薄れていく。
 冷たい眼差しのまま、圭が霊刀を素早く動かし最大威力で月仙人を切った。
「これほどの……力のものが……うっ」
 まともに威力二倍攻撃を喰らい、月仙人はその場に伏した。

 甘い空気が止んだところで圭はやっとふう、と大きく深呼吸出来た。
 これでアプリケーションを通じての呪術もじきに消えていくだろう。

風待・葵

「……まぁ、そりゃ特定はされてますよね」
 |風待・葵《かぜまち あおい》(電子の護霊バーチャル・ハッカー・h04504)は自室で一人呟いた。
 呪術的トラップを発動させた主からのメッセージが既読になったと同時に、特殊空間に召喚されてしまう。
 新しい世界からの客人が、怪しげなる力で|こちらの世界《EDEN》を狙っているという図式を脳内で描くと、仕方ないといった体で術者に対峙した。
(まずは敵周辺の情報を探査)
 【情報収集】を高速で行う葵。
(私が構えられる位置を探りましょう。可能であれば風上で)
 件の√に存在するという「天人」を警戒するに越したことはない、と相手の出方を見る。
「おぬしらの世界には、溢れるほどに力が漂っていると聞く……我らはそれが欲しい!」
 成程、呪術で集めようとしていたのはインビジブルの力だったのかと葵はすぐさま敵の狙いを解析したが、ではどう出る? と更に頭をフル回転させていく。
「では行くぞ……無空を以て泰山を断つ!」
 【月が出ている間、威力3倍の超巨大な不空剣】が命中した部位を切断するか、一定分数使用不能にする技を繰り出す月仙人。
 また、切断された部位を食べた者は負傷が回復するという恐ろしい術でもあった。
(そんなもの、まともに喰らってやるはずがないですよ!)
 特殊空間に夜空が映し出され、そこに煌々と輝く月が現れた。
(今回は殲滅武装がアクティブですが、相手は一人。拡散兵器より単体火力。待ち構えられているなら罠の張りようもなし)
 高速で打つ手を考えるのと同時に、不空剣の攻撃を避けようと必死に動く葵。
 いくら【激痛耐性】があったとしても、出来る限り敵の攻撃は喰らいたくないものである。
 【ドローン操縦】で敵の攻撃をなるべく分散させて躱そうと必死だ。
(なら【E.o.a.S.S.】が最適か)
『イクリプス・レギオン、6号機から順に起動……シズリングサン射出、10秒前』
「6号から8号、13号から素数番、合計6機出撃します」
 対抗手段を絞り、ここぞとばかりに大技:|E.o.a.S.S.《イクリプスオブアシズリングサン》の能力を発動させる。
 6基の【高火力型イクリプス・レギオン】を召喚し一斉発射する。
 命中率と機動力が6分の1になるが、対象1体に6の3倍ダメージを与える。
(このプロトコル、命中に難はありますが……戦闘時間を引き延ばせば学習型火器管制で命中率の向上が望めるはず)
 この【弾道計算】されたE.o.a.S.S.が月仙人にめがけて照射されると、月仙人も不空剣で薙ぎ払いにかかる。
 しかし、巨大なだけあって素早い射撃を全て躱すのは難しかったようだ。
 なるほど、これなら行けると踏んだ葵は、ダメージ値でごり押していく戦法に出た。
(的確にドローンで撹乱しながら、タイミングを図りましょう)
「おのれ、小賢しい! そして鬱陶しい!」
 月仙人が焦れてくるところを狙い一気に攻めていく。
(最悪私自身を照準にして、生命をチップに張るのも手ですね)
 勿論最悪の展開などないほうが望ましい。
 葵は【ドローン操縦】を行いながら、E.o.a.S.S.の照射を月仙人に与え続ける。
 なかなかに集中力を使う状況だが、ここは何とか踏ん張らなければ。
 ダメージが蓄積し、月仙人側も相当苦しい状況に追い込まれているはず……超巨大不空剣は次第に空を切り、強い力で振られる回数も減ってきたように見えた。
「よし、今です!」
 【無差別攻撃】で【一斉発射】された【弾幕】が、疲労の色を濃くした月仙人に襲い掛かる!
 これは見事に全弾ヒットし、月仙人が地に伏す。
「くっ……我らの野望が……」
 術で描かれていたのだろう、特殊空間に浮かんでいた月がその姿を揺らめかせ消えていく。
(ということは、呪術式も消えてくれるのでは……!)
 気が付けば自室に戻っていた葵は、すぐさま端末を操作し月仙人からのメッセージを解析する。
 探知は空振りに終わったが、同時にアプリケーションにかけていた検知からの通知がポップアップされていた。
 あの特大呪術がどうなったかを確認すると、徐々に方陣が綻びている様子が視認される。
「はあー……これにて何とかなりました、というところでしょうか」
 問題が一つあるとすれば、此度の戦いに巻き込まれて、余計に散らかってしまった部屋の惨状だ。
 現実から全力で目を逸らし、とりあえず机の上にあった激辛スナックを口に放り込んで一息つく葵であった。