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渇望の旅路

#√妖怪百鬼夜行 #ノベル #独楽の付喪神

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敷石隠・船光
元帥刀の影打ちとして九十九年の時を蔵で過ごし、器物に魂を宿し受肉してから旅立ちまでをえがいてください。
付喪神として目覚めた船光は、誰かに振るわれるべき存在としての使命感と誰にも手に取られない孤独に苛まれます。
覚醒後、船光は戦いの気配を追い、主を求めて彷徨うようになります。
しかし、誰も使いこなせず、目的もなく戦場を求めて彷徨う日々が続きます。その中で、素手で戦うことにこだわる理由として、振るうべき主を差し置いて自分自身で振るうことへの恥を感じているからです。
「誰かに振るわれることで初めて価値が生まれる」という使命感と、「誰も自分を必要としない孤独」に揺れる姿をシリアス重視でお願いします。


 蔵の中で見つかった手紙には、この一章と、鑑定書が付されていた。
『銘。敷石隠船光。同名の元帥刀、その影打ちである事を認める』
 元帥刀とは栄誉ある地位に就いた人物の装飾品だ。
 西洋の元帥杖にあたる物だが、異なるのは刃を持つ事である。士官の軍刀と違って小烏丸という名刀をモデルにしている為、真剣であった。
(「これが俺の人としての体か。どう使えば良いのか理解できるけど奇妙な感覚だね」)
 |敷石隠・船光《しきいしがくれふなみつ》(徒手空拳の影の太刀・h04570)は付喪神として受肉し、人間としての体を鏡の前に映し出していた。今は人間の体ではあるが、何時であろうと本来の姿をありありと思い出せる。ただし、ソレは鑑定中の刃状態ではない。
(「俺は戦うための刃だ。だが何の為に、誰の為に戦うんだい? この平和な時代に」)
 打ち上げられ研ぎ澄ました時、鍛冶師は取りこぼした。
 その時、石畳へ刀身が隠れるほど突き刺さったのだ。

 ゆえに敷石隠、刀匠の名前を取って船光。
 その光景を鍛冶師たちと、師である刀匠が息を吞んでいた姿をよく覚えている。
(「それでも真打ちなら、戦えぬ悩みなど持たなかったのかな」)
 元帥が持つに相応しい『装飾としての真打ち』であれば装飾で構うまい。
 だが彼は数本の試作刀の中から、『戦う為に取り置かれた影打ち』である。
 元帥が振るう為でもあるが、おそらくは頼れる部下に貸し与えて振るう方があり得るだろう。その時の会話が彼の現風景だった。人々がそう噂した内容に、日月の精気を九十と九年の年月を経て付喪神と化した。その思いがあるからこそ、彼は悩んでいるのだ。
「ん? この感覚は戦いの気配? この時代にも戦いがあるのかい?」
 ふと惹かれる感覚を蔵の外に感じた。
 もしかしたら? いや、そうあって欲しいと思う。
 だからこそ今までとは違い、思わず口に出してしまっていた。

 誰かに振るわれるべき存在としての使命感と誰にも手に取られない孤独。
 その思いが彼を旅立たせ、彷徨い歩かせたのである。
「ここにも居なかったか」
 やがて船光は戦場を求め、素手で戦うようになっていた。
 誰も彼を使いこなすことが出来ず、そして振るうべき主を差し置いて、己自身で振るう事を恥じているからである。影打ちが己の影を用いて己を振るうなど悪い冗談だ。
「次の戦いには……」
 だからこそ彼は彷徨い続ける。主に相応しい人物を求めて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

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