⑧天神地下街、光差さぬ地獄にて
●星詠みの啓示:ゾディアック継承戦争⑧
「……来てくれて、感謝。あなたは√能力者……そうでしょう?」
√EDEN、博多、天神バスセンター前交差点。
そこで待っていた、ボクシンググローブを嵌めた少女……三船・こぶし(とりあえず殴れば解決すると思う・h03348)は、あなたに向けてそう告げた。
「要件も、分かっていると思う。王劍戦争――『ゾディアック継承戦争』に、参戦して欲しい」
開戦から1日。すでに多くの√能力者達が、簒奪者達の野望を打ち砕くべく出撃している。この依頼も、その1つとなる。
「今回の戦いの舞台は、その下。天神地下街」
言って、背後にある地下へと続く階段に、ちらりと視線を向けるこぶし。
天神地下街は、約590メートルにわたる巨大な地下街である。そもそもこの天神自体が九州最大の繁華街であり、それゆえに地下街も多くの人で賑わっており。
「その天神地下街に、毒ガスが流された。√マスクド・ヒーローの、秘密結社プラグマの仕業」
毒ガスは非致死性であり、√能力者に通用するものではないが、非常に毒性の強いものであることは確かだ。長時間放置していれば、何らかの障害が残るのは間違いない。
殺すより不具にした方が有用……そんなプラグマの悪辣さが現れた作戦だ。
「すぐに助ければ、平気。でももちろん、簡単にはいかない。プラグマの怪人が、こちらの妨害にやってくる。先に、それを倒す必要がある」
今回妨害に来るのは、『罪業悪騎ギルティ・ザイカ』。魔法少女の力で強化された、プラグマの上級怪人である。
性格は、極めて悪辣で残忍。今回も、一般人が苦しむ姿を存分に楽しんでいる。だが、その享楽で使命を疎かにするほど愚鈍ではなく、むしろ悪知恵はよく働く方だ。
「まずあなた達には、このザイカを倒して欲しい。救出は、その後」
苦しんでいる人々を少しでも放置するのはもどかしいが、怪人を倒さない限り、救助活動は確実に邪魔をされる。
そもそもにして、犠牲になっている人々が多すぎるのだ。戦い『ながら』で救出するのは、不可能と言って良いだろう。
「しかもこの毒ガスによって、√能力『怪人大作戦』が発動している。あなた達の行動は一度だけ、確実に失敗させられる」
戦闘に専念しなければ、救出どころか勝利すらままならないと考えるべきだ。まず怪人を倒して救出に専念出来る環境を作ることが、人々を助けるのに最善の道である。
「秘密結社プラグマ。とても、謎が多い。けれどその悪逆は、放置出来ない」
そう言ってこぶしはすっと横に退き、あなたへと階段への道をあける。そしてこちらに視線を向けると、瞳に宿した強い意志を託すように、大きく頷いた。
「あなた達の力で、なんとかして欲しい。期待している」
●罪禍の扉
「うぅ……あああ……」
「痛いよぉ……痛いよぉ……」
天神地下街。普段は多くの人々で賑わうこの場は、阿鼻叫喚の地獄となっていた。毒ガスに満たされ、人々の苦しむ声が響き渡る。
だがその中で一人の少女が、抑えきれない喜悦をその口元に湛えている。
「くふふ……良いですねぇ、こうでなくては。ああ、プラグマ万歳、大首領万歳!」
恍惚とした笑みを浮かべ、両腕を広げて高らかに礼賛を口にする少女。そして彼女はくるりと振り向き、こちらへと視線を向ける。
「――ああ、やはり来ましたか、EDENの皆さん。あなた達も素晴らしいと思うでしょう、この苦しみ、この阿鼻叫喚、そして地獄!」
少し芝居がかった仕草と口調でそう告げた少女は、こちらの敵意を受けてもどこ吹く風で、笑みを浮かべた。
「どうやら賛同して頂けないようですね。それでは仕方ない、正義の味方との戦い、存分に楽しむとしましょうか――魔剣、解錠」
言葉と共に抜き放たれる、真紅の剣。彼女の名はギルティ・ザイカ、プラグマの悪の体現者である。
この悪しき怪人を討たない限り、人々を救う事は出来ない……!
マスターより
一二三四五六戦争2本目は悪い怪人の悪い計画。
ごきげんよう。天神地下街でシナリオが出したかった。一二三四五六です。
今回は戦場ギミックにより、ザイカ自前の√能力とは別に、√能力『怪人大作戦』が追加で発動します(何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる)。
発動は、「各キャラクターにつき1回ずつ」とします。それを踏まえた上でプレイングを行いましょう。どの行動が失敗させられるかは、当然ですが敵であるザイカが決定します。マスターではなくザイカの視点で決定しますが、見え見えの囮行動はスルーされる可能性もありますので、まあいろいろ考えてください。
ちなみに、ザイカが視認出来ない状況(透明になる、物陰に隠れるなど)であっても、『視界内』にいれば怪人大作戦の対象になります。そもそも、隠れる行動を失敗させられる可能性もありますしね。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
65
第1章 ボス戦 『罪業悪騎ギルティ・ザイカ』
POW
魔剣、解錠。……さあ、おたのしみの時間ですよ。
【魔法の鎧】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【|騎士殺し《アロンダイト》】」が使用可能になる。
【魔法の鎧】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【|騎士殺し《アロンダイト》】」が使用可能になる。
SPD
あっははは!正義の味方は『諦めない』んでしょう?
敵に攻撃されてから3秒以内に【魔剣】による反撃を命中させると、反撃ダメージを与えたうえで、敵から先程受けたダメージ等の効果を全回復する。
敵に攻撃されてから3秒以内に【魔剣】による反撃を命中させると、反撃ダメージを与えたうえで、敵から先程受けたダメージ等の効果を全回復する。
WIZ
魔剣、二重解錠……遊んでもらいますよ。死ぬまでね
攻撃が外れるまで、近接範囲の敵をWIZ攻撃「【|王殺し《クラレント》】」とPOW攻撃「【|騎士殺し《アロンダイト》】」で交互に攻撃し続ける。
攻撃が外れるまで、近接範囲の敵をWIZ攻撃「【|王殺し《クラレント》】」とPOW攻撃「【|騎士殺し《アロンダイト》】」で交互に攻撃し続ける。
ボルト・スミスアドリブ・連携歓迎
楽観的思考欠落
何という事を……!
当方は貴様を赦さない。
ですが、油断もしない。
ここで止めるであります。
敵のSPD√能力による反撃を最警戒。
当方も√能力による先制反撃を狙い、ドローンの【弾幕】で牽制しながら、【クイックドロウ】と【弾道計算】を用いた光線銃で距離を維持し、射撃の機会を窺うであります。
敵に反撃の好機を与えぬよう、一撃ごとに位置を変えながら戦うであります。
行動を一度失敗させられる事は承知の上。
それを前提に立ち回り、【第六感】で敵の動きを警戒。
いつ能力を妨害されても、即座に次の行動へ移れるよう備えるであります。
痛いのは嫌いです。
ですが、今は瑣末な事。
全力を出すであります。
天神・珠音【アドリブOK】
人々の苦しみを解き放つために、わたしは…
他の人のためにも、この毒ガスをわたしのトウテツの力で喰らうことにします…
果たして耐えられるかどうか…それでもなんとか激痛耐性や環境耐性で耐え抜きます。
敵の怪人が物陰から攻撃を仕掛けてくる所を噛みついて攻撃を…
(この行動が失敗した場合は…)
これが人々の苦しみならわたしはそれを背負います…
そしてそれは…同じ怪人であるあなたも…背負うべきです!
(自分の取り込んだ毒ガスを能力によって弾丸と変え、体中から怪人に向けて放射する!)
「何という事を……! 当方は貴様を赦さないであります!」
「いやぁ、別に許されるつもりでやってませんしぃ?」
怒りを燃やすボルト・スミス(負け犬讃歌・h13250)に対し、ヘラヘラと笑って答えるザイカ。それにさらなる怒りを掻き立てられながら、それを抑えるように深呼吸する。
(「ですが、油断もしない……挑発に乗る訳にはいかないであります」)
「もう怒るのは止めですか? 正義の味方なのに薄情ですねぇ」
するとザイカはわざとらしい素振りで、耳に手を当てて見せる。周囲の、苦しんでいる人々の声を、こちらに意識させるように。
「わたし、は……!」
「お?」
そしてそれを聞く事に耐えられず、トウテツ怪人の力で全身に口を開く天神・珠音(どこにでもはいないトウテツ・h00438)。
周囲の毒ガスを吸い上げて、人々の苦痛を解き放とうとする。
「っ……ああああっ……!!」
「おお、すごいすごい。さすがは正義の味方!」
だが、いくら√能力者には効かない弱毒と言えど、一気に体内に取り込めば、ひとたまりもない。激痛に悲鳴が上がり、その場に崩れ落ちる。
(「痛い……きつい……けど……人々の苦しみならわたしはそれを背負います……!」)
それでも懸命に耐えながら、毅然として顔を上げ、ザイカを睨む珠音。同じ苦痛を背負わせて見せると、歯を食い縛り――。
「はい、じゃあもっと頑張って耐えてくださいね♪」
「っ!? あ、あああああああ~~~~っ!?」
そして一気に増していく激痛に、ひとたまりもなくのた打ってしまう。……いや、正確に言えば、痛みが増したのではなく。
「予め強めの毒も仕込んでおきました、と♪」
「っ、っ……ぁ、ぁ……!」
戦場に張り巡らされた√能力、怪人大作戦。ザイカはそれを用い、珠音の身体が毒に耐える事を失敗させたのだ。
無論、珠音を無力化させるのも狙いだろうが、それ以上に、もっと苦痛にのたうつ姿が見たいと言う嗜虐が、その喜悦の表情から垣間見える。
「……やはり、赦されないであります!」
「お、お? 怒りましたぁ?」
そんな仲間の苦痛を、もちろんボルトは見過ごせない。ドローンの弾幕で牽制を図りながら、光線銃によって射撃する。
ザイカは楽しげな表情を浮かべながら、手にした剣で攻撃を弾き。
「隠れるのは無しですよぉ、正義の味方たるもの、堂々と戦わなくては」
「むっ……!」
そして毒に含まれた成分で、こちらの光学迷彩を無効にしてくる。もちろん、怪人大作戦によるものだ。そのまま相手は魔剣を握り、さらに間合いを詰めてきて。
「想定内であります!」
「むぅ……!」
そしてそんなザイカを動揺もなく、さらなる射撃で迎え撃つ。予知に加えて先ほどの珠音で、怪人大作戦の恐ろしさは把握した。
だからこそ失敗は覚悟の上、何を妨害されても怯まぬ事こそが大事。ザイカの身体に何発かの弾丸が突き刺されば、今度は相手が苦痛に表情を歪める。
「生意気ですねぇっ!」
「ぐぅっ……!!」
そして構わず刃を振るい、身体を斬りつけて来る。こちらに傷が刻まれ、一方で相手の傷は塞がってしまうが――。
「今は……この痛みも今は瑣末な事!」
「しっつこいっ……さすがは正義の味方ですかぁっ!?」
それでも構わず光線銃を叩き込めば、相手の回復も間に合わない。こちらがどれほど傷を受けようと、耐え続ければ良い。そんな不屈の闘志に、ザイカの表情も不快げに歪む。
そして耐え続けるのは、珠音も同じ。身体は耐えられずとも心で踏みとどまり、諦めずに毒を吸い込み続ける。
「っ……はぁ、はぁ……うぅぅぅぅ……!!」
大勢には影響しないかもしれない、だがそれでも。少しでも、人々の苦痛を和らげられるならと。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
夜雨・蜃【行動】
夜雨蜃、参上仕った。
多くの人命が掛かっている状況、火急的速やかに怪人を撃破致す。
成る程、戦場とは地獄に違いない。
然し密閉された空間に毒を流すとは、なんとも志無き作戦に御座る。お主を崇拝する大首領はこれを喜ぶのでござるか?
相手は待ち受けていたなりに妨害工作をしてある様でござるな。
拙者、接近する際には戦場の建物を利用したいでござるが、あとは…
・『争覇行軍・縦横無尽』での分身を交えての行動。
・『霧隠』での「隠密」を試みる。
・なるべく他の√能力者とタイミングを合わせて行動する、別方向から仕掛ける。
等、一人では対応出来にくい状況を作り出したいでござる。
その通り。忍者は耐え忍ぶ者、失敗しても諦めぬ。
さぁ、その紅き魔剣を構えられよ。いざ勝負!
祭囃子・桜禍祓大しばきみたいな能力を持ってたら不利益の選択を押し付けられるのか、発動が失敗になるのか……気にはなるけど、それはそれ、これはこれ。
はい、注目。ここに鬼火があるよね?
これは普段は怪談話の蝋燭の火を演出する為に使ってるんだけど、夏の太陽光も再現できるんだよね。
くらえ!太陽光フラッシュ!と能力!
直視してはいけないモノだらけの町で太陽を直視できるかな!
太陽光フラッシュが失敗でも能力は発動できるし、能力発動失敗でも目潰ししたまま改造人間パワーで物理で殴ればいい!
お前に対して恨みはないがプラグマには恨みがたんまりあるからな!
救出の為にもボッコボコにしてやる
架間・透空※アドリブ連携等歓迎
……ふざけないで、ください。
なんで……こんな、酷いことができるんですか。
絶対、止めてみせます
なんとしてでも!
──変身、解除
女子高生の姿から、怪人に姿を戻す
決戦気象兵器を起動し、風を纏いながら
毒ガスを極力吸い込まないよう、立ち回ります
勿論、こんな見え見えの毒ガス対策、失敗させられるに決まってます
だからこそ、ここでモノを言うのは……
私自身の、意地と根性、です!
困っている人、苦しんでいる人が……そこに居るのなら
どんなに苦しくたって、手を差し伸べることを
諦めたりなんて、しませんっ!
起死回生の一撃、狙っていきますよ!
|下降流突風《ダウンバースト》ッ!!!!!
エーファ・コシュタアドリブ絡み諸々歓迎
このような悪逆非道な行為を許す訳には行きません!騎士として、何としてでも止めて見せます!
ワタシの行動を阻害させられるのですね。ならば相手がワタシ1人でなければどうでしょうか。
能力で|複製頭部《ワタシたち》の中の1人に身体を与え、ワタシたちの力を合わせて立ち向かいます!
相手の攻撃は『シールド』で可能な限り受け止めます。騎士殺しなどと言う名前が恐ろしいですが…。
もう一人のワタシが耐えている内に背後からワタシが駆け寄り『馬上槍』で攻撃です!
もしどちらかの行動が失敗したとしても、もう一人のワタシでカバーし合えるはず。
これが、ワタシはワタシたちの為に!ワタシたちはワタシの為に!です!
「……ふざけないで、ください。なんで……こんな、酷いことができるんですか」
「それは、我々がプラグマだからですよ、お嬢さん」
強い怒りを篭めた架間・透空(天駆翔姫ハイぺリヨン・h07138)の言葉に、どこか芝居がかった仕草で応じるザイカ。
夜雨・蜃(月時雨・h05909)もそんな相手の楽しげな様子に、眉を寄せて不快を露わにする。
「密閉された空間に毒を流すとは、なんとも志無き作戦に御座る。お主の崇拝する大首領は、これを喜ぶのでござるか?」
「さあ、私は拝謁の栄誉を賜った事はありませんので。ただ、まあ……かの方の信厚き、クモプラグマ様から授かった策ではありますが」
ザイカのように、地獄を喜ぶ性質は無いかも知れない。だが、プラグマが悪を躊躇わない組織であるのは、純然たる事実である。
そもそも、かの世界のヒーローが仮面で顔を隠すのも、大首領が『家族を狙う』と言う卑劣な手段を怪人に授けたからこそなのだ。
「で、それを聞いて、志高き正義の味方である所のあなたは、どうなさいます?」
「……拙者は、己が正義の味方だとは思わぬ。だが、お主らを許す事は出来ぬ」
その挑発に静かな怒りをふつふつと沸き立たせ、構えを取る蜃。だが、そんな彼女よりも先に、透空が怒りの限界を越えて。
「絶対、止めてみせます! なんとしてでも――変身、解除!!」
「おっと、ご同輩でしたか、これはこれは!」
ザイカが楽しげに口にした通り、彼女もまた怪人だ。ただしその望んだ訳ではなく、それを強要された怪人だ。
その忌まわしい姿を晒しながら、植え付けられた兵器によって風を操り、毒ガスを遠ざけて。展開した自律砲台から、ザイカに砲撃を放っていく。
「一緒に……しないでくださいっ!」
「いやぁ、一緒ですとも、親近感を覚えますねぇ、ふふふ」
対してザイカは楽しげに嗤いながら、その砲撃を魔剣で弾く。立ち回りながら透空を見つめ、わざとらしく首を傾げ。
「誘っているのか、その意図はないのか……まあ、どちらでも良いですが」
(「っ……!」)
この地に撒かれた毒ガスは、一般人を不具にするのがせいぜいの弱毒だ。それゆえにザイカはその風に『怪人大作戦』を使わず、こちらの切り札を待ち構えている。
こうなればどれほど猛るような怒りに身を焦がされようとも、迂闊には攻め込めない。もどかしさに唇を噛む透空の代わりに、エーファ・コシュタ(突撃|飛頭騎士《デュラハン》・h01928)が高らかに名乗りを上げて。
「このような悪逆非道な行為を許す訳には行きません! 騎士として、何としてでも止めて見せます!」
「おお、素晴らしい。なんとご立派なのでしょう、是非止めて見てくださいな!」
戦闘中でもなければ拍手でもしそうに煽ってくるザイカを睨み、√能力を発動するエーファ。人妖・デュラハンの複製された頭部を呼び出し、それに身体を与えようとする。
手数を増やせば、一度失敗させられても問題はない――。
「おっと、それはダメですねぇ」
「っ……!?」
と言う事は当然、ザイカにとっては怪人大作戦の使い所となる訳だが。毒ガスが騎士のエネルギーを阻害し、身体の生成に失敗する。
「くっ、ならば、ワタシ一人でも!」
「さすが、ご立派です! 自分の危険を顧みず立ち向かう、それでこそ正義!」
それならばと盾を構えて突撃するエーファ。もちろんザイカは魔剣を手に、それを迎え撃って来て。
「立派な騎士様に敬意を表し、この|騎士殺し《アロンダイト》の錆にして差し上げましょう!」
「確かに、恐ろしい名前ですがっ……それでもっ!」
繰り出される斬撃を盾で阻みながら好機を伺うこちらを、エーファは嗜虐の笑みを浮かべながら見つめてくる。怪我をする事は怖くないが、相手の√能力を考えれば相打ちでは無意味だ。
そんな硬直する戦況に割り込むべく、祭囃子・桜(百妖を宿し者・h01166)が声を張り上げて。
「はい、注目。ここに鬼火があるよね?」
「ありますねぇ?」
首を傾げたザイカは、ちらりとだけ視線を向ける。出来れば直視して欲しい所だが、流石に怪しすぎるせいか、警戒されてしまっている。
「――まあ良いか、それでもっ!」
「……むっ!?」
だが元々、一つの策に拘るつもりはない。真夏の太陽のような光を放ち、√能力によって世界を書き換えようとする。
それは、妖怪の力をその身に宿す桜の、怪談の街を展開する能力。目潰しの効果が薄くとも、発動しきってしまえば、こちらの攻撃は必中となる。
「……潰して、おきましょうか!」
「それも、構わないよ!」
ならばと当然ザイカはその形成を妨害してくるが、そこで桜は一気に間合いを詰める。これでもう自分への妨害はなくなった、ならばさっさと割り切って、巨大な手甲で殴りかかっていき。
「お前に対して恨みはないが、プラグマには恨みがたんまりあるからな!」
「おやおや、これは酷いとばっちり……ちっ、ですねぇ!」
恨みをぶつけられる事は楽しむザイカも、当然改造人間の拳は受けたくないようだ。回復も√能力一回につき一度きりとなれば、手数で攻める戦術は有効だ。
他のEDENにも注意を払う必要があり、徐々に防御に意識を傾けるザイカ。そしてその機を逃さず、蜃が横合いから飛び出して。
「さあ、こちらからもいくでござる……いざ、勝負っ!」
「っ……正直、来ないで欲しいですがぁっ!」
戦闘の喧騒を利用して一旦脇の店に隠れ、そこからの奇襲。同時に分身の術を発動しようとすれば、当然ザイカが妨害してくる。
生み出した霞が毒ガスと溶け合うようにして、何の効果も発揮せずに散っていき――。
「で、ござろうなっ!」
「っ、がぁっ……!?」
そしてそれは、さっきのエーファを見た時点で完全に予想の内。即座に連撃を発動し、大きく加速して跳躍する。
いかにザイカと言えどこのタイミングでは、反応のしようがない。勢いを乗せた忍者刀の刺突が、相手の肩口に突き刺さった。
「こ、のっ……やってくださいますねぇっ……!」
「忍者は耐え忍ぶ者、失敗しても諦めぬものよ!」
そしてザイカの反撃は、霧に隠れる事で逃れていく。3秒の時間を稼げば、突き立てた傷が消える事はなくなる。
何よりそもそも他のEDENが、この隙を逃さず踏み込んで。
「今ですっ!!」
「ボッコボコにしてやるッ!!」
馬上槍によるエーファの刺突がザイカに突き刺さり、その動きを止めて。そして桜の拳が頬に突き刺されば、人を食ったようなその顔が大きく歪む。
「ぶべっ……!!」
「ここで……決めますっ!」
そして透空は高く跳躍し、吹きすさぶ暴風をその身に纏う。気象兵器としての力を最大限に発揮し、体勢を崩したザイカめがけ、一気に飛びかかった。
「――|下降流突風《ダウンバースト》ッ!!!!!」
「ぐっっ、やらせませんよぉっ!」
無論、ザイカはその風を、怪人大作戦によって無力化する。だが、一度動き出した透空の身体は、風を失っても止まる事はなく。
「やあああっ!」
「がああっ!?」
そのまま叩きつけた攻撃が、ザイカの身体を吹き飛ばした。数メートルを吹き飛ばした所で、なんとか立ち上がり――。
「ぐっ!?」
そしてその左胸に苦無が突き刺さり、苦悶と共に鮮血を吐き出す。それを繰り出したのが蜃であるのは、今更言うまでもない事で。
「さあ、まだやれるでござるか?」
「……全く、やってくれますねぇ。これだから正義の味方は恐ろしい!」
芝居がかった口調や、笑みを含んだ癇に障る表情。だがザイカはその中に、隠しようのない苛立ちを滲ませる。
声のする方を睨んで来るが、もちろん蜃の姿は、未だ隠れたまま。別方向に回り込み、そちらから苦無を投げ放って。
「魔剣、二重解錠ぉぉっ!」
「むっ……!!」
そしてザイカは咆哮と共に、もう一本の剣を抜き放った。それで苦無を弾き飛ばすと、凄絶な笑みを浮かべていく。
「良いですよぉ、そうでなくてはねぇ……ですが、まだまだ遊んで貰いましょうかぁ!」
「良かろう。だが、悪の栄えた試しはないと知るが良いでござる!」
切り札を切った相手に対し、だが蜃は怯む事なく断言して。当てずっぽうで振るわれる魔剣の攻撃範囲から逃れるように、より深い霧の中に隠れていく。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
ルーネシア・ルナトゥス・ルターまぁ確かに殺すよりも負傷させる方が戦争は有利になるけどね。
治療は場所と人手を消費するし、士気は下がるし。死んだら埋めるだけだからね。
とはいえ、毒ガスとは美しくない。暗殺者の矜持として、無差別テロは嫌いなんだ。
良い気分はしないし、さっさと終わらせて地上に出たいね。
【SPD行動】
さて、私は最初に【破軍星】を発動しておこう。無効化するならそれで構わないし、してこないなら身体能力の暴力で頑張ろう。
ザイカ君の攻撃は激痛耐性と継戦能力で受けつつ、ダメージは即座に【纏い怨雷】での回復を狙う。
私のタフネスを甘く見ない事だ。まぁ回復するといっても痛いけどね!
もしこっちを強制失敗されたとしても、1回くらいは耐えてみせるさ。その場合は【破軍星】も輝いているだろうからね。
あとは周囲への支援兼通常攻撃用の【銀弾『雷霆逢魔銀』】か。
派手な弾丸をバカスカ撃って申し訳ないね!
それにしても悪いね、せっかくの死合いだというのに、相手が正義の味方じゃなくてさ。
秩序だの社会の為だのと言いながらも殺しを手段に選んだ以上、私も悪者だからね。
結果的に正義のように扱われるだけで。きっといつかは報いを受ける。
とはいえ、それは今じゃないし、君からでもない。
・アドリブや連携等、歓迎いたします。
衣戸野・鈴之助【心情】
「こんな事は許されないです…!」
怒りを露わにして挑みます
【行動】
まずは遠目に敵を確認し物陰に隠れ
√能力でいくつかの太めの針と糸をクラフト
隠れ身が失敗するかもしれないのも折り込み済みで
見つかったor接近したら針を手裏剣のように投げつけ攻撃
攻撃を失敗しても最高しても、すぐに糸を展開して
相手の動きを封じて他の能力者さんの援護をします
「おまえの好きにはさせないぞ!」
シキ・イズモアドリブ歓迎
正義の味方、かぁ、ボクはそんなにいい子じゃないんだけどね
それにしても、ん、毒ガスかぁ
まぁボクにうってつけのフィールドではあるよね
毒使いとしての技能と毒耐性のフルに使って、周囲の毒を吸収
ふふふ、こんなに毒を貯めさせるなんて、どうなっても知らないからね!
と、吸収して濃縮した毒を使った攻撃を仕掛けるよ
……この因果応報攻撃が失敗しても成功しても構わない
ボクの真の狙いは行動を消費しない【未来を纏う毒】による攻撃を決める事
変身はするけど……、やっぱりボクは正義の味方って感じはしないね
風待・葵ドローン、イクリプスレギオンを投入。プロトコルのセットはなし、自律行動と照準学習だけのモードですが、毒ガス環境下でのドローンは十分相手にとって脅威でしょう。
プロトコルをセットすると切り札を集中してしまうので、今回はただの学習ドローンです。
投入する私自身は生身なので、見える範囲にいる限り毒ガスで苦しむことになりますが……それは織り込み済み。【ライフゲーム (any%, Glitched)】、毒ガスによるダメージを修復。
……さて、あなたはどちらを止めますか?
私が死んだくらいで学習型ドローンは止まりません。そちらを機能停止させれば、一般人を引き寄せて戦いやすい戦場を作りますよ。
「さあ、最期まで付き合ってもらいますよぉ、正義の味方さんっ!」
「正義の味方、かぁ、ボクはそんなにいい子じゃないんだけどね」
ザイカの向ける喜悦の混じった敵意に対し、首を傾げて応えるシキ・イズモ(紫毒の鳥兜未遂・h00157)。実際EDENとはあくまで衝動であり、その立場や自認を縛る言葉ではない。
だがザイカの方は、そんな否定を気にする様子もなく。
「いえいえ、私のような悪を止めに来ると言うだけでも正義の味方ですよぉ」
「……いいや、悪者さ。秩序だの社会の為だのと言いながらも、殺しを手段に選んだ以上はね」
一方でルーネシア・ルナトゥス・ルター(逢魔銀・h04931)もまた、自分の正義を否定する。彼女は、暗殺者だ。そんな自分が正義などとは、決して思わない。
「まあ、悪者だからね。ザイカ君、君の作戦もそれなりに理解は出来るさ」
「ふむ? ……それにしては、随分と敵意を感じますが?」
人は死んだら埋めるだけだが、不具を残せば人手と場所を消費する。実に効率の良い作戦だと、感心すらする。
それでもザイカの言う通り、彼女はザイカに敵意を向ける。その身に赤雷を纏い、戦闘態勢を取って。
「毒ガスは、美しくない。暗殺者の矜持として、無差別テロは嫌いなんだ」
「素晴らしい! それもまた一つの正義でしょうよぉ……ほぉらっ!」
それを聞いたザイカは拍手でもせんばかりの喜悦を滲ませながら、近くで苦しみに呻いている女性をこちらの蹴り飛ばして来た。
もちろんこの行いもまた、怪人大作戦の一環。女性を無傷で受け止めるためには、赤雷を解除せざるを得ない。
そんな様子を見てザイカはますます、満足げに口元を歪めながら駆け寄って来て。
「いやぁ、そうしてくれると思いましたよ!」
「やれやれ……言っただろう、正義のつもりはない、と」
巻き込まないように女性を横に放るが、その時にはすでに、ザイカの双剣が迫る。回避も間に合わぬタイミングでの斬撃が、ルーネシアの身体を切り刻み――。
「――ぐっ!?」
「だが、甘く見てもらっても、困る」
だが、呻きを上げたのはザイカの方。その身体に突き刺さったマチェットナイフが、強烈な電撃を流し込む。
それは、連撃によって発動した√能力だ。雷はさらにルーネシアの身体に逆流し、刻まれた傷を塞いでいき。
「正義の味方でなかろうと、キミは殺すさ。さっさと終わらせて、こんな所からは帰りたいんでね!」
「っ、ははっ、良いですねぇ……っとっ!」
一方的に傷つけられたザイカはそれでも笑みを浮かべ――だがルーネシアばかりに集中してはいられないと、咄嗟に飛び退いた。
その空間を薙ぎ払うのは、ドローンから放たれた銃弾。そしてそれを展開したのは、風待・葵(|電子の護霊《バーチャル・ハッカー》・h04504)だ。
「……さて、あなたはどちらを止めますか?」
「冷静ですねぇ。もっと怒りや敵意を向けてきてくれていいんですよ?」
淡々と告げながらザイカを見据える葵に、不満を露わにするザイカ。ドローンは射撃を繰り返し、そして葵もまた√能力によって周囲のインビジブルと融合しながら法則を書き換えようとする。
――ちなみに、淡々として見えるのはただ対人コミュ障なだけなのだが、幸か不幸か、ザイカがそれに気づく事はない。
「まあ……どっちもですかねぇっ!」
「……なるほど」
ザイカは少しの思案の後、葵に対して怪人大作戦を行使する。法則の書き換えに一般人を巻き込むように仕向けられれば、√能力を停止せざるを得ない。
そして『どちらも』と言う言葉の通りに、双剣を構えてドローンへ飛びかかっていくザイカ。攻撃を止める方法は大作戦だけではないとばかりの激しい斬撃が、ドローンを打ち据え、斬り裂いて。
「……お、や?」
「こんな事は許されないです……!」
だが、そうして双剣を振るうザイカの腕を、細い糸が絡みついて拘束する。その糸の繋がる先にザイカが視線を巡らせていけば、そこに隠れていたのは衣戸野・鈴之助(仕立て屋見習・h06935)。
不思議な仕立て屋の店主である彼は、その技術を√能力に昇華し、糸を張り巡らせて動きを封じ……そして相手を、強く睨みつける。
「おまえの好きにはさせないぞ!」
「そうそう、そうでなくてはねぇ……!」
その宣言に満面の笑みを浮かべたザイカは、すぐさまその糸を双剣で斬り裂く。拘束を断ち切った彼女はそのまま、鈴之助めがけて駆け寄ってくると。
「さあ、正義の味方ならぁ、耐えてくださいねっ!」
「っ……ああっ!!」
回避しようとするが、倒れている一般人に躓いて――怪人大作戦で阻害され、そこに振るわれる無数の斬撃。
ザイカの魔剣にその身を裂かれると、鈴之助の口からは苦悶の悲鳴が溢れて――。
「あははっ、ほらほら――とぉっ、そっちもダメですよぉっ!」
「おっと、気づかれてたか。けどね……」
そしてその攻撃を中断したザイカは、怪人大作戦で足元の一般人を盾にして来た。シキは咄嗟に毒鞭の軌道を変えて、攻撃を失敗させざるを得ず。
だが、それに悔しがる事もない。
「ボクにこんなに毒を溜め込ませたのが――悪いんだよ?」
「むっ……!?」
シキは毒使いであり、この場は最も力を発揮出来る戦場だ。毒ガスを吸収し凝縮した毒尻尾は、致命傷足り得る威力がある。だからこそ、ザイカはそれを防いで来ると確信していた。
だが、今のは囮――こちらが本命だ。
「……まあ、やっぱりボクは正義の味方って感じはしないね」
妖艶な笑みを浮かべながら、その身から毒を溢れさせるシキ。そしてそれは纏う服を溶かし、代わりにボディスーツとしてその身に纏わりつく。
シデレウスカードの力を用いた、シキの切り札。それが完全に身体を覆い尽くせば、ザイカの目には映らなくなる。
「厄介ですねぇ、ですが隠れても――ちっ!」
その隠密に眉を寄せたザイカは、双剣を振るい、周囲の空間を切り裂こうとする。隠密状態でも、そこにいる事自体は間違いない、だったら全部まとめて斬れば良い。ザイカの剣速は、それを実現するだけの鋭さがある。
だが現実には彼女の魔剣は、シキを狙う事は出来ない。代わりに舌打ち一つ切り払ったのは、雷を纏った銀の弾丸だ。
「派手な弾丸をバカスカ撃って申し訳ないね!」
「本当、ですよっ……こ、のっ……!」
撃ったのはもちろん、ルーネシア。三連撃目の√能力は、切り払われても周囲に放電を撒き散らす。
さらに、痺れに身体を強張らせたザイカに、糸が絡みつき、銃弾が降り注ぐ。
「まだ……です。絶対に、これ以上はやらせない……っ!」
「戦闘の継続は可能です、仮に私が死んだとしても、問題はありません」
斬られてなお戦意を捨てず、糸を操る鈴之助。ドローンが半壊してもさして動揺を見せずに銃弾を撃ち込ませる葵。
EDENの執念がザイカに纏わりつくように、その動きを封じていく。追い詰められれば流石に焦りの表情を浮かべながらザイカは双剣を振るい、こちらの攻撃を全力で凌ぎ。
「全く、正義の味方と言うのはぁ、諦めが悪い事ですねぇ……!」
「だから、違うと言っているのに。まあ、正義の味方との戦いを望んでいたキミには、悪いけれど」
そんなザイカに向けて、ルーネシアは精霊銃の狙いを定める。他のEDENを否定するつもりはないが、少なくとも自分が正義であるとは、彼女は決して思わない。
「結果的に正義のように扱われるだけで……きっといつかは報いを受ける。今のキミのようにね」
「それなら――ぐっ!」
そんなルーネシアに間合いを詰めようとしたザイカの脚が、毒に溶かされ、膝をつく。隠れているシキの攻撃である事は、言うまでもなく。
「とはいえ、それは今じゃないし、君からでもない――だから、今日は、これで終わりにしようか」
「っ……良いでしょう、今日は譲って差し上げます。しかし、次は――」
そうして銀の弾丸が、ルーネシアの銃から放たれる。相手の言葉を遮るように、それは真っ直ぐに、心臓を撃ち抜いた。
ザイカは目を大きく見開くと、天井を仰いで。
「プラグマに、栄光あれぇ……!!」
そう、最後に言い遺して。そのままゆっくりと、後ろに倒れていった。
「……やれやれ。最後まで捻じ曲がった相手だったな」
戦闘が終わり、ため息を零すルーネシア。自分のことを悪者だとは思うが、あれと同じ括りに入れられたくない気持ちはある。
が、まあそれよりも邪魔がいなくなった今は、一般人を救出するのが先決だ。人々を近くの出口から地上に引き上げ、さらに一部の毒の扱いに長けた者達が、毒ガスを無力化していく。
「……まあ、この様子ならみんな大丈夫そうかな」
「良かった……」
シキが見立てた通り、この程度ならば、後に障害が残る事もないだろう。鈴之助は安堵の吐息を漏らす。√EDENの強い『忘れようとする力』によって、心身ともに全て『無かったこと』になるはずだ。
「……けど、まだ。全員助けられた訳ではないですよね」
そして葵の言葉の通り、この戦いは、天神地下街の――約590メートルにわたる巨大な地下街の、ごく一部での戦いに過ぎない。今もなおこの地下街で、EDENと怪人達の戦いは継続している。
第一戦線が終わるまで、あともう少し。怪人達を退けて人々を救うことは出来るのか、そして続く第二戦線の戦いは――。
全ては、ここからの奮闘にかかっている。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
