シナリオ

猫又横丁、思ひ出美食家

#√妖怪百鬼夜行

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 #√妖怪百鬼夜行

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 やぁ、よく此処を見つけたねぇ。
 此処かい? 此処は『猫又横丁』――見ての通り、猫だらけの横丁さ。
 猫の額みたいに狭い通りに、色々な店がずらり並んで犇めき合っている。
 でもな、美味いもんも、掘り出し物も、ちょっぴり変わったもんまで。
 いろんな店があるんで、気になった店があれば、立ち寄ってみてはどうだい?

 ……ん? おすすめの店? いっぱいありすぎて迷うんだが……。
 いろんなものを食べ歩く、というのも良いかもしれないねぇ。
 猫型メンチカツや肉球印のコロッケ、にゃんこ親子のダブルアイスクリンとか。
 様々な味の種類がある、猫型たい焼きも人気だよ。
 黒猫あんこに白猫カスタードに茶トラちょこ、甘くない三毛猫チーズやハチワレ抹茶もありますけれど、お好みの味と猫はあるかい?
 歩き疲れば、「猫執事喫茶」で休憩するのも良いねぇ。
 七色から選べるにゃんこアイスのクリームソーダとか、猫耳プリンアラモードに猫顔パンケーキ、猫型パンのサンドイッチ……いろんなメニューがあるし。
 腹を満たしたいなら、「猫麺亭」のにぼしラーメンは絶品だよ!
 気軽に飲み食いしたいなら「またたび居酒屋」も人気だね。
 グルメ以外にも、色々な店があるんだよ。
 乙女に人気のネイルサロン「爪研ぎ屋」で爪を綺麗に飾ってもらうのも乙だし。
 よろず屋「ねこねこ雑貨店」は、猫ガラスペンや万年筆やインクなどの文房具とか、猫のアクセサリーとか、猫グッズも豊富だから、お土産にどうだい?

 あぁ、それと――いつの間にか最近開店したらしい、穴場なんだけど。
 横丁の最奥に、占いの館がオープンしたみたいだよ。
 占い師のお姉さんが別嬪……いえ、当たるも八卦当たらぬも八卦。
 何やら「その人の過去の話から占う」、珍しい占いらしいとのことで。
 占ってもらった人達は、まるで過去を忘れたかようにすっきりしているのだとか。
 夜しか営業していないようだが――よかったら、占って貰ってはどうかな?

●ねこねこ横丁の思い出喰らい
「みんなは、猫さんは好き? わたしは、とても好き」
 そう皆を迎え入れるのは、物静かだけれど、ほわりと微か笑む少女。
 星読みである楪葉・望々(ノット・アローン・h03556)は観た内容を語り始める。
「今回みんなに行ってもらうのは、√妖怪百鬼夜行。凶暴で他者の血肉を喰らう危険な「古妖」の封印は、√妖怪百鬼夜行の各地に存在するのだけれど。「情念」を抱えた人がこの封印に引き寄せられて、その願いを叶えるという約束と引き換えに、古妖を封印から解き放ってしまったの」
 解き放たれた古妖を自由にさせておく訳には、当然いかないし。
 封印を解いてしまった強い情念を抱えた人も、古妖にそそのかされ、自分の望みが叶わなかったと知ればまた同じ過ちを犯してしまいかねない。故に、封印を解いた彼についても、何らかのフォローをしてあげられるといいかもしれない。
 また、古妖や人々に怪しまれぬよう、猫又横丁を楽しむ客を装うことも必要だろう。
 そして時が来れば、解き放たれた古妖を倒す――これが今回の依頼である。

 それから望々は、依頼の詳細を説明する。
「古妖を解き放ってしまった人は、古妖に、想い人に振られたつらい過去を幸せなものにしてあげると、そそのかされたみたい。それでその人は、自責の念に駆られつつも「自分の願いの為には必要だった」と自分にいい聞かせるように、横丁グルメをやけ食いして回ってるみたいなの。そして解き放たれた古妖は、横丁の最奥にある占いの館の占い師なんだけど……占い屋の門が開くのは夜だから、それまでは怪しまれないように横丁を巡って楽しんでる客を装ったり、古妖を解き放ってしまった人に声をかけたりとか、色々できる時間は十分あるの」
 到着するのは昼、店が開く夜までは自由に過ごせる。
 敵に怪しまれぬよう客を装い横丁を楽しむも良し、封印を解いた人を探すも良し。
 占い屋の館へ押しかけることもできるが、館の扉は閉ざされており、横丁には沢山の一般人や妖怪がおり、何が起こるかわからないので、開店時間を待った方が無難かもしれない。
「そして、解き放たれた古妖を倒して欲しいのだけれど……強大な古妖を再び封印する為の「儀式」が必要だったりとか、配下の敵がたくさん現れたりとか、戦闘はみんなの行動次第になると思うから、状況を見極めてね」

 望々はそこまで説明した後、くるりと皆を見回して。
「古妖を退治するのが一番の目的だけれど。横丁のお店の人もみんな猫又さんのようだし、猫さんもいっぱい横丁にいて人懐っこいみたいだから、もふもふなでなでして遊んであげてもいいと思うし。それに猫さんグルメ、とってもかわいくて美味しそう」
 だから楽しんできて、と小さく笑んだ後。
 望々は、よろしくお願いしますとぺこりお辞儀をして、皆を送り出すのだった。

マスターより

志稲愛海
 √EDEN開幕、これから皆様と共に沢山楽しんでいきたいです!
 マスターの志稲愛海と申します、よろしくお願いいたします。

 ※ご連絡※
 第1章の受付は【12/20(土)朝8:30~12/24(火)23:59迄】です。
 以降の章の受付等は、シナリオタグやMSページで連絡します。
 各章の詳細を記載した断章を、各章受付開始前に掲載予定です。
 特に第2章は展開により内容が分岐するので、ご確認いただければ。

 日常章はPOW/SPD/WIZは気にせずOKです。
 どの章からでも、気になった章のみでも勿論歓迎です。
 可能な限り内容が採用できないプレイング以外は全採用予定です。
 何名様ででも、何文字ででもお好みで、お気軽にどうぞ!

 今回の依頼内容は以下です。

 第1章、大正レトロな雰囲気漂う「猫又横丁」を楽しめます。
 時間は、昼~夜を迎えた頃です。
 グルメに買い物にその他色々、沢山の店が犇めく横丁で過ごせます。
 人に慣れた猫もたくさんいるので、戯れるのも良いと思います。
 内容はOP通り、詳細は断章に記載いたします。
 お気軽に好きなように、猫又横丁でのひとときをお過ごしください。
 敵等に不自然に思われぬ為にも、自由に楽しんでいただければと!

 第2章は、第1章の結果を受けて内容が分岐します。
 己の過去を占い師に語る儀式を行う冒険か、配下と戦闘になります。
 詳細は第1章クリア後の断章等でご確認ください。

 第3章は、古妖との戦闘です。
 詳細は第2章クリア後の断章に記載いたします。

 公序良俗に反する事、他人への迷惑行為、20歳以下の方の飲酒喫煙は厳禁です。
 締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。

●お願い等
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称推奨)と、hからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。

 グループ参加の人数制限はありません。
 お一人様~何名様ででもどうぞ!
 ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 ご参加お待ちしております!
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第1章 日常 『妖怪ハイカラ街』


POW 洋食店やミルクホールに入ってみる
SPD 大正時代の小物やおもちゃを買い求める
WIZ 古書店で面白い本を探す
√妖怪百鬼夜行 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●いざ、猫又横丁巡り
 迷い込んだ横丁は、ごろごろ、にゃーんと、聞いていた通りの猫だらけ。
 横丁を気ままに散歩しては、訪れた客に愛想良くてしてし美味しいものをおねだりしていたりだとか。
 そんな四つ足で歩く動物型の猫さんたちも沢山だけれど。
 猫耳尻尾の人型店員さんに、二足歩行のお喋り猫さん、半人半猫の店主さん――此処の店を営んでいる多くの店員は、もふもふな猫又である。
 そして、横丁のお店に並ぶものも、猫尽くし。
 賑やかな横丁を歩いていれば、活気溢れる声が、そこかしこから聞こえてくる。

「猫型メンチカツに肉球印のコロッケ、出来立てのあつあつだよ!」
「にゃんこ親子のダブルアイスクリン、何味と何味にしようか? 沢山の味があるね」
「私は、初恋の味のメロンとレモン! わ、お耳付きのダブル猫アイスがかわいい~」
「猫型たい焼きは、黒猫あんこに白猫カスタードに茶トラちょこ!」
「甘い物ばかりじゃないか。僕はじゃあ、三毛猫チーズ。ハチワレ抹茶はお土産にしようかな」
 食べ歩きは、横丁グルメの醍醐味。
 色々な種類の気になったものを、沢山欲張るのもいいし。
 アイスクリン以外はお土産に買って帰るのも良いかもしれない。
 そして勿論、食べ歩きではなくても。
「ね、猫執事喫茶に行ってみようよ!」
「猫執事さん、紳士すぎて素敵よね~。猫メイドさんも可愛いよね!」
「にゃんこアイスのクリームソーダ、何味のソーダが好き? 赤のいちごか、橙のオレンジか……でも、黄色のレモンと緑のメロンも……あー迷っちゃう!」
「青のブルーハワイと藍色のソーダ、紫のブドウも美味しそう。選べる色が虹色からなのもとても素敵だし、浮かんでる猫さんバニラアイスもかわいいよねー」
「でも私は、猫耳プリンアラモードかな? あと猫顔パンケーキ!」
「猫型パンのサンドイッチは、好きな具を選べるけど、フルーツサンドにしようかな? 定番のハムチーズ猫サンドをホットサンドにしてもらうのも好き!」
「ここが、にぼしラーメンが美味いって評判の「猫麺亭」! 行列で人気だな!」
 猫執事喫茶やラーメン屋などに入って、スイーツや食事を堪能するのも良いし。
 改めて周囲を見回してみれば、並んでいるのは、飲食店だけではなくて。
「ネイルサロン「爪研ぎ屋」で、ねこねこネイルしてもらっちゃった!」
「わぁ、黒猫かわいい! 私は三毛猫よ!」
「俺はネイルはしなかったけど、爪がぴっかぴかに!」
「この猫さん手紙セットかわいい、猫さんガラスペンと、セットで買おうかな……」
「素敵な猫簪! 袴にもぴったりね!」
「私は洋服の時につけられる、ピアスとネックレスのセットにするわ」
「お揃いで、この猫さん根付買ってつけようよ!」
「むむ、この「人や妖怪をダメにするクッション」……もっふもふで欲しいなぁ」
 ネイルサロンや雑貨屋など、他にも色々、買い物ができる店も沢山。
 人々がうわさするような有名店に行ってみるのもいいし、皆が知らない穴場の店を見つけてみるのも楽しいいいかもしれない。 

 そして、昼の時間から「またたび居酒屋」も開いていて。
 酒だけでなく未成年でも楽しめるような居酒屋メニューが豊富だというが。
「おいおい、昼からそんなに飲むのか?」
「うう、放っておいてくれ……あの女、だましやがって……振られた過去を忘れさせて幸せにしてくれるっていってたのに……俺の過去は美味しくなさそうだからやっぱやめとく、だなんて……く、でも俺は失恋したんだ、仕方ない!」
 そう居酒屋のテーブルに突っ伏しつつぶつぶつ言っているのは、ひとりの男。
「ん? 三郎、何か言ったか?」
「! い、いや何でも……こうなったら横丁グルメ全制覇してやる!」
「酒もほどほどに、食べ過ぎるなよ~」
 三郎と呼ばれた男は、これから横丁グルメをやけ食いするようだ。
 そう……古妖を解き放ってしまったのは、彼。
 だが自分は失恋したのだから、うっかり古妖を解放してしまったことも仕方ない、なんて。自分に言い聞かせつつも、他の人にそれを言えないところをみると、自責の念は抱いているようだ。
 そんな三郎に、どこかで話しかける機会があれば声をかけてもいいし。
 特に構わずにそっとしておくのもまた、優しさかもしれない。

 今はまだ明るい時間だけれど。
 件のいわくつきな占いの館の扉が開くのは、夜を迎えてから。
 だからそれまで、この猫又横丁でのひとときを、さぁ思い思いに過ごそう。
織狩・莉都
ふむ、ふむふむ
尾を揺らしつつ、気儘に散策するとしよう

とはいえ、腹が減っては猫だってやる気が出ないものだ
……何やらグルメ制覇、という声が聞こえてきたな
声の主の顔をぞんざいに覗き込み
なぁキミ。我輩は今、そこそこに空腹だ
だが、猫とは我儘気侭なもの。一寸を色々食べたいのだよ
そこでキミに相談だ
我輩と一緒に、食べ歩きをしてくれ給え
お代を折半する代わりに、我輩に少しずつ分けてくれればそれで良い
キミは格安で沢山食べられる。我輩は少しずつ色々食べられる
お互い損はないと思うが、どうかね?

道すがら話したい事を聞いてやらん事もない
何、猫は気紛れに人に愛想を振りまく生き物だ
覚えているかは別の話だが、マァ、其処はご愛敬

 猫の額のように狭いとは、よく言ったもので。
 うっかり見逃してしまいそうなほど、大通りから入ったその通りは細く長く伸びているが。
 そんな狭い通り――猫又横丁に犇めき合っているのは、沢山の店や客、そして沢山の猫たち。
 賑やかな声や美味しそうな匂いで溢れる、そんな横丁にひらり。
 随所に取り入れた和を思わせる着物柄が映える、所謂和ゴスな装いの織狩・莉都(ひとつ尾の猫又擬き・h01332)は、ふと開いた大きなカッパーカラーの猫目をいつも通り眇めて。
 ゆらりらと猫の尾を尾を揺らしつつ……ふむ、ふむふむ、と。
 揺らす尻尾にてしてしじゃれようとついてくる猫を意図せず連れながら、猫らしく気持ちの向くまま、てくてくと。
(「気儘に散策するとしよう」)
 足を踏み入れた猫又横丁を、ふらり歩いてみることに。
 けれど、お耳をふいにぴこりとさせながら。
(「とはいえ、腹が減っては猫だってやる気が出ないものだ」)
 その足を止めたのは、食欲をそそるような匂いが漂ってきたことと。
 ……何やらグルメ制覇、という声が聞こえてきたな、と。
 向けた視線の先、昼間から「またたび居酒屋」と看板の出ている飲み屋で酒を呷っている人物の姿を見かけたから。
 それから、ひょいと莉都は声の主の顔をぞんざいに覗き込んで。
「なぁキミ。我輩は今、そこそこに空腹だ。だが、猫とは我儘気侭なもの。一寸を色々食べたいのだよ」
「……いきなり、何だ?」
 訝し気に顔を上げた彼――三郎という名の男に、莉都はこう続ける。
「そこでキミに相談だ。我輩と一緒に、食べ歩きをしてくれ給え。お代を折半する代わりに、我輩に少しずつ分けてくれればそれで良い」
「え?」
「キミは格安で沢山食べられる。我輩は少しずつ色々食べられる。お互い損はないと思うが、どうかね?」
 思わぬ申し出だったのか、一瞬きょとりとする三郎に、カッパーカラーの猫目をやはり眇めてみせて。
 三郎は聞いた話によれば失恋したばかりで……そんな傷心につけこまれ、古妖を解き放ってしまったのだという。
 そして己の行ないに自責の念を抱いているからこそ、今ひとりでいることがいたたまれないのだろう。
「……悪くない話だな、いいのか?」
 そう莉都の提案に頷いて返す三郎。
 そんな彼の返事を聞けば、尻尾をゆうらり。
「道すがら話したい事を聞いてやらん事もない」
 ――何、猫は気紛れに人に愛想を振りまく生き物だ、なんて。
 胸辺りまで伸びたロングウルフヘアをそっとかきあげつつわらってみせてから、居酒屋を後にする彼の食べ歩きに同道しながらも。
「話を……聞いてくれるのか?」
「まぁ先ずは、食べ物の調達といこうか。あの猫型たい焼きなどどうかね?」
 莉都は猫な甘味に尻尾を揺らしつつ紡ぐのは、やっぱり猫らしい、こんな気紛れ。
 ……覚えているかは別の話だが、マァ、其処はご愛敬、って。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

酒木・安寿
アドリブ歓迎
はわわ、ここが『猫又横丁』!!めっちゃ素敵やん!!
え、どないしよ何をやっても楽しそう過ぎてめっちゃ悩む〜。食べ歩きもええけど…よし決めた!今回のうちの行き先は「猫執事喫茶」!!
猫(又)さん執事さんやメイドさんにもてなされながらスイーツとしゃれこむで!

七色のクリームソーダはうちの好きな赤色で。
もういっちょ猫顔パンケーキを頼んでと…。
贅沢にも二品も頼んでしもたで…こんなんめっちゃええやん。最高!!
はぁ、美味しい………とりあえず客として楽しんでってことやけどこんな感じでええのん?
うちはめっちゃ横丁大満喫したけどな!

 鮮やかな朱色の狐耳と尻尾を、思わずぴこぴこゆらり。
 暗の瞳にキラキラと光を宿しながら、酒木・安寿(駄菓子屋でぃーゔぁ・h00626)はくるりと視線を巡らせて。
「はわわ、ここが『猫又横丁』!!」
 ……めっちゃ素敵やん!! なんて、わくわくそわそわ。
 アクセサリーをじゃらじゃら付けた妖怪スマホを手に、横丁を歩いてみる。
 狭い通りには、ずらりと並ぶ色々な店と沢山の人達。
 そしてその名の通り、いっぱいの猫が自由気ままに過ごしていて。
 鼻を擽る美味しそうな匂いも、様々な逸品が揃った店も、あれもこれも見るものどれも魅力的で。
「え、どないしよ何をやっても楽しそう過ぎてめっちゃ悩む〜」
 思わず目移りしちゃうのだけれど。
「食べ歩きもええけど……よし決めた!」
 こくりとひとつ頷けば、いざ目的の店へと、逸るようにうきうき歩き出す。
 狐尻尾をゆらりら、小さく自然と歌を口遊みながら安寿が向かうのは。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
 扉をどきどき開けば、完璧な角度でお辞儀して迎えてくれる猫又執事―ーそう。
(「今回のうちの行き先は「猫執事喫茶」!!」)
 ……猫さん執事さんやメイドさんにもてなされながらスイーツとしゃれこむで! と。
 執事さんやメイドさんに案内されたふかふかのソファーにぽふりと座って、メニューをぱらり。
「お嬢様、何にいたしましょう」
「何なりとメイドの私にお申し付けくださいにゃん」
「七色のクリームソーダはうちの好きな赤色で」
 しゅわり弾ける虹の色の中から、自分とお揃いの赤のクリームソーダをお願いして。
「かしこまりました」 
「にゃんこアイスのクリームソーダの赤ですね!」
「もういっちょ猫顔パンケーキも……」
 追加でもうひとつ、猫型パンケーキのオーダーも追加すれば。
 テーブルに運ばれてきたスイーツに、ほわわ。
「贅沢にも二品も頼んでしもたで……」
 こんなんめっちゃええやん。最高!! って。
 写真撮影OKの店内やスイーツを、妖怪スマホでぱしゃりとうきうき撮った後。
 いざ、スプーンをすちゃりと手にして――いただきます!
 掬ったにゃんこアイスをはむりと口に運んで、赤色ソーダを飲んでみれば、ひやりしゅわしゅわ。
「はぁ、美味しい……」
 猫さんのパンケーキもふかふか甘くて、頬が落ちそうな美味しさ。
 けれど今回この横丁にやって来た目的を思い出せば。
(「……とりあえず客として楽しんでってことやけどこんな感じでええのん?」)
 ふと、そうもちょっぴり思っちゃうのだけれど。
 でももしも古妖が今の安寿を見たとしても、どこからどう見ても横丁巡りを楽しむ客にしか見えないだろうから。
 ……うちはめっちゃ横丁大満喫してるけどな! と。
 むしろ全力で楽しむその姿は、作戦としていうことなしの完璧です!
🔵​🔵​🔵​ 大成功

弥久院・佳宵
【WIZ】古妖の封印が新たに解かれましたか、厄介な事態になりましたね。
しかし、焦る必要はございません。
せっかくでございますから、このハイカラな町を楽しませていただきましょう。

古書店に入り、棚に並んだ本を一つずつ手に取り、表紙や内容を確認いたします。
興味を引かれる本があれば、丁寧にページをめくりながら時間を過ごします。
「このような品も取り扱われているのですね」と呟きながら、店主に軽く挨拶をし、自然な調子で会話を交わしましょう。
店内をくまなく歩きながら、心静かにその空間を楽しみます。

よい買い物ができましたね。
おや、猫……ふふ、人懐っこいこと。
(アドリブ・連携歓迎)

 様々な店や沢山の人が犇めき合い、活気で溢れる賑やかな風景。
 気ままに闊歩する猫たちも、尻尾をゆらゆらご機嫌な様子。
 そんな「猫又横丁」へと足を踏み入れながらも、弥久院・佳宵(人妖「九尾狐」の不思議古書店店主・h02333)は聞いた話を思い返す。
(「古妖の封印が新たに解かれましたか、厄介な事態になりましたね」)
 この賑やかさに紛れて潜む、古妖の存在が確認されたのだ。
 けれど……しかし、焦る必要はございません、と。
 かといって特に慌てることなどもなく、佳宵は古妖がその尻尾を見せる刻まで、ゆるりと満喫するつもり。
(「せっかくでございますから、このハイカラな町を楽しませていただきましょう」)
 敵が動き出すという夜まで、まだまだ時間はあるのだから。
 そして吸い込まれるように中へと足を運ぶのは、様々な本が所狭しと並ぶ古書店。
 お行儀よく並んではいないが、大通りの書店では見ないような掘り出し物も見つかりそうで。
 棚に並んだ本を一つずつ手に取り、表紙や内容を確認していく佳宵。
 それから、ふと目についた1冊の古い本を手に取れば興味深げに、ふむと頷いて。
「この本は、随分昔に絶版になったはずのもの。まさか此処で出会えるとは、運が良いですね」
 思わぬ出会いにそっと心躍らせながらも。
「このような品も取り扱われているのですね」
 本との縁はそう、一期一会。
 未知のジャンルのものにも興味津々、そう呟きを落とし手を伸ばせば。
「おお、その本を手に取るとはお目が高い。珍しい逸品だろう?」
「こんにちは。こちらの本は、店主が買い付けに?」
「ああ、そうさ。好きなだけ見ていっておくれ」
 声を掛けてきた猫又店主に軽く挨拶しつつ、自然な調子で会話を交わしたりもして。
 他にも興味を引かれる本を見つければ、丁寧にページをめくり、活字を追って時間を過ごす。
 本が犇めき合う店内は、古書店を経営している佳宵にとっては、宝の山のようで。
 自然と九尾をゆらりと揺らしながら、まだ暫く心静かに楽しむことにする。
 この空間をくまなく店内を歩いて、心躍るような宝探しを。
 そして何冊か厳選し購入した後、古書店を出れば。
「よい買い物ができましたね」
 そう満足気に本を抱えつつ、佳宵はふと気付く。
 尻尾をてしてしとされるような感覚に。
 それから視線を足元へ向ければ、うにゃんと。
「おや、猫……」
 無邪気にじゃれてくる子を見つけて笑み零す――ふふ、人懐っこいこと、なんて。
 本とも人とも、そして猫との出会いもまさに、一期一会。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

夢咲・紫雨
アドリブ・絡み◎

猫又横丁。
こんなにかわいいが沢山の場所
常連さんになりたくなっちゃうな

お気に入りになりそうな場所
わくわく、楽しみな気持ちで散策

ネイルサロン「爪研ぎ屋」
看板を見て気になって。迷わず店内へ

ねこねこネイル、かわいすぎる!
あまりのかわいさに目がきらめいちゃう

「しう、白猫さんでお願いしたいな」

爪を飾ってもらったなら、
あまりのかわいさに胸をときめかせて
るんるん気分で次の場所へ

雑貨屋さんを見つけ、√EDENに帰っても使えるものはないかと店内をウロウロ

「このイヤリングかわいい」
「ガラスペンと手紙セットも買っちゃお」

猫ちゃんデザインがかわいくて
躊躇わず購入

ネイルも出来て、いい買い物も出来て幸せ

 足を踏み入れてくるりと見回してみただけで感じる、わくわくの予感。
(「猫又横丁。こんなにかわいいが沢山の場所」)
 ……常連さんになりたくなっちゃうな、なんて。
 夢咲・紫雨(dreaming・h00793)は大好きな歌を口遊みながら、逸るようにうきうきと歩いてみる。
 だって、お気に入りになりそうな場所だから。心躍る、楽しみな気持ちで。
 美味しそうで可愛い猫スイーツ、話題になりそうな行列グルメ、心惹かれるような呼び込みの声。
 けれどその中でも、特に紫雨の心を擽ったのは――ネイルサロン「爪研ぎ屋」。
 看板を見て気になって、迷わず店内へと飛び込めば。
「ねこねこネイル、かわいすぎる!」
 あまりのかわいさにキラキラ、目がきらめいちゃう。
 三毛猫さんもかわいいし、黒猫さんはおすましクール、トラ猫さんはワイルドで格好良い大人の魅力。
 でも、たくさんのねこさんの中から選んだのは。
「しう、白猫さんでお願いしたいな」
 キュートでおしゃまな白猫さん。
 ゆめかわ色のリボンネイルも、サービスで親指につけてくれて。
 爪を飾ってもらったなら、あまりのかわいさに胸をときめかせて、るんるん気分で。
 楽しい横丁散策の続きは、可愛い白猫さんと一緒。
 そして次に見つけた「ねこねこ雑貨店」を覗いてみれば、店内をウロウロ。
 √EDENに帰っても使えるものはないかと、お土産探しを。
 でもここは、ねこねこなよろず屋、なんだって揃っているから。
「このイヤリングかわいい」
 耳にそっと当ててみた、ゆめかわ猫さんのアクセサリーもとってもかわいいし。
「ガラスペンと手紙セットも買っちゃお」
 ねこさんデザインのキラキラなガラスペンとお揃いのお手紙セットも、躊躇わずお買い上げ。
 どれもこれも、猫ちゃんデザインがかわいくて。
 そしてキュートな戦利品たちを抱えながら、紫雨はほわりと笑み咲かせる。
 だって、お気に入りになりそうなわくわくの予感は、ずばり的中……ネイルも出来て、いい買い物も出来て幸せ、って。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

志藤・遙斗
きょろきょろと周りを見渡しながら
「へぇ、ずいぶんとレトロな雰囲気のある商店街ですね。」
「せっかくだし、調べものついでに色々と見させてもらおう」

ミルクホールに移動します。
「ミルクホールかぁ、確か喫茶店みたいなものだったはず」
うろ覚えの知識で店の中に入り、女中さんに席に案内してもらいホットコーヒーを注文
コーヒーを楽しみつつ、レトロな雰囲気のお店の中でゆっくりとした時間を過ごします。

「アドリブ・共闘歓迎」

 こうやって、街をふらりと歩くことは特に珍しいことではなく。
 聞き込みだとか、捜査だとか、警察官としての仕事で今みたいに人の多いところを巡ることもあるが。
 大通りから細い道へと入る前に、いつも咥えている煙草は揉み消してから。
 志藤・遙斗(普通の警察官・h01920)が足を踏み入れたのは、狭い場所に店や人、そして猫が犇めく「猫又横丁」。
 いや、今日だってプライベートというわけでは決してなく、仕事といわれればそうであるのだが。
 ただ、警視庁異能捜査官の仕事というよりは、√能力者としての任務と言った方がより正確であって。
 しかも今はまだ、事も起こっていない待機時間というところだ。
 大きな通りから密かに伸びる横丁は思いのほか、活気に溢れていて。
 遙斗は、聞いていた通り猫たちが気侭に闊歩する通りをきょろきょろと見渡しながらも呟きを落とす。
「へぇ、ずいぶんとレトロな雰囲気のある商店街ですね」
 この√妖怪百鬼夜行自体が、現代と大正時代が入り混じった世界ではあるのだけれど。
 賑やかな横丁は特に、そんなレトロな風情が色濃くて。
 勿論、そんな大正浪漫な雰囲気にも、興味を引かれるのだけれど。
「せっかくだし、調べものついでに色々と見させてもらおう」
 √能力者として請け負った任務だって忘れてなどいないから、周囲を調査しがてら、街を歩いてみることにする。
 そしてふと、そんな遙斗が立ち寄った店は。
「ミルクホールかぁ、確か喫茶店みたいなものだったはず」
 大正時代に多くみられた、ミルクなどの飲み物やスナック菓子が提供されているという飲食店・ミルクホール。
 そんなうろ覚えの知識で店の中に入り、女中に席へと案内してもらう遙斗であるが。
 現代ではミルクに限らず、大正浪漫溢れたレトロな雰囲気の喫茶店をミルクホールと言っていたりもするようで。
 今回の店も、そのような喫茶店であったから、ホットコーヒーを注文してから。
 ゆっくりとした時間を暫し、この店で過ごすことにする。
 特に今はストレスを感じることもないから……煙草ではなく、運ばれてきた良い香りのコーヒーとレトロな雰囲気を楽しみながら。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

美園生・紫空
わ、ネコちゃんがいっぱい…!可愛い…!
ふふ、動物好きなので、見てるだけで嬉しくなりますね。

…あ、はたたは少し緊張してる?
ネコちゃんとはあまり会ったこと無いもんね。

護霊のはたたとのんびり散策します。
猫又さんには敬語で、ネコちゃんには敬語を解いて。

不思議な街…、私たちの世界とは違うんですね。
少し実感しながら、ネコちゃんを見つけたら寄ってみて。「撫でて良いかな?」と撫でさせてもらったり。
猫又さんもお話出来ると嬉しいですね。街の良いとこ、ネコちゃんの話、不自然じゃない程度に占い師の話とか。

…楽しくて夜が本番って忘れちゃいそうですねぇ。
あ、ウソウソ。忘れてないよはたた!ぺちぺちしないで!

 話に聞いていた通り、とことこ、てくてく、と。
 そこかしこを気侭に歩いている子たちを目にすれば、美園生・紫空(|一人と一匹は心を結ぶ《はたたと一緒にがんばります!》・h01826)の心も擽られて。
「わ、ネコちゃんがいっぱい……! 可愛い……!」
 ふふ、と思わず笑みが漏れてしまうのは、嬉しくなっちゃうから。
 動物好きだから、猫又横丁にいるたくさんの猫たちの姿を見ているだけで。
 けれど、わくわく足取り軽い紫空とは逆に。
 お耳をぴん、じいと猫たちを見遣っているのは。
「……あ、はたたは少し緊張してる?」
 何だかちょっぴり緊張気味な、愛犬であるのだけれど今は|護霊《ちびオオカミ》なはたた。
 でも、そんなはたたの様子にも、紫空は納得したようにこくり。
「ネコちゃんとはあまり会ったこと無いもんね」
 しかも横丁の猫たちは人懐っこくて、ゆらり揺れる狼尻尾にも興味深々。
 慣れない様子のはたたの後ろを、うにゃんと無邪気ついてくる。
 そんなやり取りに和みつつ、紫空ははたたとのんびり横丁散策を。
 それからふと、改めてくるりと賑やかな通りに視線を巡らせて。
「不思議な街……、私たちの世界とは違うんですね」
 和洋折衷、様々な文化の要素が入り混じって彩る独特の空気感を少し実感しながらも。
 にゃーんと愛想良く挨拶してくれたネコちゃんを見つければ。
「撫でて良いかな?」
 ふにゃんとお返事が返って来たから、そうっと近寄ってなでなで。
「すっかりお客さんに懐いてるねェ」
「ネコちゃんもいっぱいだし、色々な店があって素敵な街ですね」
 気さくに話しかけてきた横丁の猫又とお喋りも楽しみながら。
「美味しそうなものもいっぱいだし……あと、占いの館も最近できたって聞きました」
「ああ、よく知らないんだけど、占い師は別嬪さんらしいなぁ」
 不自然ではない程度に、古妖であるという占い師のこともさり気なく聞いてみたりも。
 そして、美味しそうな匂いや可愛い猫雑貨、色々な子がいる猫たち……沢山溢れる楽しい誘惑に、うきうきふらり。
「……楽しくて夜が本番って忘れちゃいそうですねぇ」
 そう心も声も弾ませれば――ふいに、ぺちぺちっ。
 ちょっと慣れてきたのか、ネコさんにではなく。何かとても言いたげにじいと、自分を見つめるはたたに気づいて。
「あ、ウソウソ。忘れてないよはたた!」
 まだ疑っている様子の|愛犬《はたた》へと、紫空は慌てつつも堪らず続ける――ぺちぺちしないで! って。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

刻・懐古
●横丁食べ歩き(アドリブ◎)
大正レトロに猫、己の好き要素詰まった横丁の噂を聞きつけて参加
好んで着用している書生服も横丁に良く馴染む
折角だから食べ歩きを、と散策開始
「猫の姿焼き…。うんうん、愛らしいねぇ。ひとつ、いやふたつ貰おうか」
早速三毛猫チーズとハチワレ抹茶の猫たい焼きをぺろり
「うん。甘味と塩っぱさの交互は無限にいけてしまうね」
さて、お次は…にぼしの香りにつられて猫麺亭へ
絶品ラーメンに舌鼓し良い感じに腹が膨れる
最後は小休憩を取りつつ、寄ってきた猫と戯れる
「よしよし。おいしそうな香りがするかい?」
夜は騒がしくなりそうだからね、と猫を撫でながらも例の“占いの館”
がある方向へと視線を送って

 大通りからふと横道に入れば、広がるのは大正の時間を色濃く刻むレトロな賑わい。
 いや、そんなひとときに、知らずふらりと迷い込んだのではない。
 刻・懐古(懐中時計の付喪神・h00369)が見回す景色は、聞いていた話の通り。
 小耳に挟んだのは、大正レトロに猫、己の好き要素が詰まった横丁の噂。
 そして今日も好んで着用している書制服も、大正の彩りが濃いこの場に良く馴染んでいて。
 ひらり微か揺れる袴の裾にじゃれるように、とことこついてくるのは、横丁の猫。
 そんな彼らの尻尾とお揃いみたいな三つ編みをゆるり揺らしながら、意図せず猫たちを引き連れつつも。
 散策を開始した懐古が、折角だからと楽しむのはそう。
「猫の姿焼き……。うんうん、愛らしいねぇ。ひとつ、いやふたつ貰おうか」
 横丁グルメの食べ歩き!
 そしてまず足を止めたのは、猫型たい焼き屋さんの店先。
 早速、沢山ある猫さんと味の中から、三毛猫チーズとハチワレ抹茶を頼んでみて。
 丁度出来立てだというそれをはむりと口にすれば、皮はぱりぱり、中身はほかほか。
 とろり濃厚なチーズも、程良い苦みとまろやかな甘さが絶妙な抹茶も、どちらもぺろりと平らげてから。
「うん。甘味と塩っぱさの交互は無限にいけてしまうね」
 懐古はそう、満足げにこくり。
 でもそんな無限ループに嵌ってしまったら、他の美味が味わえないから。
「さて、お次は……」
 そう紡ぎつつ再び歩き出せば、今度は、ふわり漂ってきたにぼしの香りにつられて。
 次に立ち寄るのは、「猫麺亭」。
 評判の店であるとは聞いていたが、行列もできているほどの人気で。
 暫く待ってありついた絶品ラーメンに舌鼓を打ち、煮干しの後味が香ばしい澄んだスープまで飲み干せば、良い感じにおなかも満たされて。
 程良く膨れた腹を少し落ち着かせるように、最後は小休憩を……なんて思っていれば。
 ――てしてし、すりすり、にゃーん。
 とてとてと寄ってくるのは、沢山の横丁の猫たち。
 そしてひと休みしがてら、そんな子たちと戯れながらも。
 懐古は、猫に今自分がモテモテな理由がすぐに思い当たる。
「よしよし。おいしそうな香りがするかい?」
 それから、甘えん坊な猫たちを撫でてあげながらも、ふいに視線を送る。
 ……夜は騒がしくなりそうだからね、なんて。
 横丁の最奥――刻が来ればその扉が開かれるという、例の“占いの館”がある方向へ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

九条・庵
肉球印のコロッケを頬張りながら、のろのろと物見遊山
猫猫猫だ。かっわいいな、猫又もだし、売ってるモンもさ

欲しいものは、まあ、あるけど
なくたって楽しいよな、こういうのってさ
でもショーウィンドウの向こう、きらきら光るものを見つければ目の色が変わる

色とりどり、棒がついたのからベッコウからミルクから何から
飴ちゃん、俺の必需品なんだよね
口寂しい時の心の友ってね

どれにしよっかな、これが店のオススメで、こっちが…あーもう、選ぶ必要ねえや
おっちゃーん、この飴ちゃん、全種類少しずつ、この瓶に詰められるだけ頂戴

保存の利かない練り飴舐めながら歩こう
「いいモノ買えたわ。…あ、|店長《オッサン》への土産まだだった」

 気に留めておかなければ、うっかり見逃してしまうだろう細い路地。
 けれど、ひとたび足を踏み入れれば。
(「猫猫猫だ」)
 そう……猫猫猫、猫だらけ。
 猫の額かのような狭さも、呑気にお散歩する子たちも、ずらりと並ぶ店の番をする猫又も、美味や掘り出し物も。
(「かっわいいな、猫又もだし、売ってるモンもさ」)
 それに、九条・庵(Clumsy Cat・h02721)のように、此処を訪れる客さえも。
 まるで猫の如くゆるりら、ふらりと気侭。
 そして出来立て熱々な肉球印のコロッケをはふはふ頬張りながら、のろのろと物見遊山気分で歩いていれば。
 にゃーと鳴く声が聞こえると同時に、ひらり揺れる袴の裾をてしてし。
 可愛らしく甘えてみせる子たちのお目当ては一目瞭然、庵が手にしている美味しい戦利品。
 そんな猫たちがとてとてついてくる中、庵は改めて横丁を見回してみて。
(「欲しいものは、まあ、あるけど」)
 でもやはり気紛れに、彼方此方と。
 ……なくたって楽しいよな、こういうのってさ、なんて。
 店々を冷やかして歩くだけでも充分――だとか、思った矢先。
 瞬く間にころりと心変わりしてしまったのは、紫の瞳にふと飛び込んできたきらきら。
 ショーウィンドウの向こう、光るものを見つければ、目の色が変わる。
 だって――色とりどり、味もさまざま。棒付きからころんとまんまる一粒まで、種類もたくさん。
「飴ちゃん、俺の必需品なんだよね」
 ……口寂しい時の心の友ってね、と。
 ベッコウからミルクから何から、きらきら甘やかな猫の飴ちゃん。
 庵の心を擽ったのは、ねこねこ飴細工の店。
 でも、ひとことに飴ちゃんといっても、やはりここでも猫猫猫。
 白猫ミルクにベッコウ茶トラ、黒猫黒糖やイチゴ猫などなど……どの飴ちゃんも、自分を選んでと言っているかのようで。
 ……どれにしよっかな、なんて目移りしていれば。
「一番人気は、マーブルブチ猫チョコだよ、お兄さん!」
「でも、意外とプリン猫も美味しかったのよね」
「あ、この限定のいちごミルク猫、まだある……!」
 ――かと、思いきや。
 頼もしい援軍……のはずの、猫又店主や客人達の助言を聞けば。
「これが店のオススメで、こっちが……あーもう、選ぶ必要ねえや」
 ますます、余計に悩んでしまうけれど。
 でも、こくりと頷いて庵が心決めたのは、単純明快な解決法。
「おっちゃーん、この飴ちゃん、全種類少しずつ、この瓶に詰められるだけ頂戴」
 少しずつ全部買っちゃえば、万事解決です!
 それから、くるくるびよんと自在に伸びる練り飴をねりねり舐めながらも。
 気ままに、でも満足げに、ゆるりと歩いていれば。
 ふと庵が刹那思い出すのは、そう。
「いいモノ買えたわ。……あ、|店長《オッサン》への土産まだだった」
 |下宿先の主人《保護者気取り》への土産。
 自分の土産にはもう満足したし、すっかり忘れていたから、土産話だけ……なんてわけにはいかないだろうけれど。
 でも、一応何か探してはみるものの――買って帰るかどうかは、気紛れ猫のように気分次第……?
🔵​🔵​🔵​ 大成功

駒月・咲
二世 (h02326)と

「小腹は減ったな。食べ歩きにも丁度良いし食べるか」

二世はコロッケを買っていたから俺はメンチで。
笑顔で差し出されたコロッケを一口。
「熱っ!でも、美味いな」
メンチも熱いから分かってたけど油断した、
お返しにとメンチも二世に差し出して。
さっきから猫がついてくるのは二世には何かを引き寄せる力でもあるのか?
学生の時も女子が集まってたしな。

見てるだけでも楽しい所だな。
居酒屋に誘われれば
「じゃあ、飲んでいくか。」
二世は時々、犬っぽくなるなと思う。

カクテルのモスコミュールを飲みつつ、二世の質問には
「占い師も美人って話だけど晴の方が美人だろ」
これは即答できる。
王寺・二世
コマ先輩(h00701)と参加

「先輩、お腹減ってません? おいしそうなコロッケがありました」

熱々のそれを差し出してみる
「あーん」するならニッコリ笑って食べさせよう
代わり出されたメンチもおいしいくパクリと
足元にはなぜか集まった猫をぞろぞろ引き連れている
僕からおいしそうな匂いでもするのかな?
コロッケを平らげてぶらぶらしてると、

「居酒屋さんですよ。一杯どうですか?」

そわそわと先輩の周りをぐるぐるする
尻尾があれば振ってるだろうは疑いない自信がある

カクテルのキャッツアイを飲みながら、

「占い屋さんの美人さん、どんなひとなんでしょうね? 晴ちゃんより美人だと思います?」

先輩の反応に楽しそうに笑うのだった

 ハイカラな大通りから、ひっそりと一本入った猫の細道……かと思いきや。
 実はそこは、様々なものが所狭しと並び、ぎゅっといっぱい詰まっている「猫又横丁」。
 そんな賑やかな横丁をぶらりと歩いていた王寺・二世(黒王子・h02326)は、ふいに誘われる。
「先輩、お腹減ってません? おいしそうなコロッケがありました」
 食欲をそそるような、揚げたてコロッケに。
 そして、そう声を掛けられた、二世の先輩である駒月・咲(Jaculus・h00701)も。
「小腹は減ったな。食べ歩きにも丁度良いし食べるか」
 魅惑の揚げ物屋さんに道連れ。
 二世はやはり最初に気になった、肉球印のコロッケを。
 咲はそんな後輩の買っているものを見て……俺はメンチで、と。猫型メンチカツを購入して受け取れば、やはり揚げたてなだけあって、ほかほかのあつあつ。
 それから二世は、熱々のコロッケをふと差し出してみて。
「先輩、コロッケも食べてみません?」
 あーんと口を開いた咲に、ニッコリ笑って食べさせてあげれば。
「熱っ! でも、美味いな」
 いや、メンチカツも熱いから分かってはいたのだけど……まだ熱すぎて、思わずはふはふ。けれどちょっぴり油断はしたものの、でも揚げたてコロッケはじゅわりと美味で。
 お返しにと自分のメンチも差し出せば、二世もおいしくパクリ。
 そしてメンチカツをもぐもぐ味わっている後輩に、先程から気になっていたことを咲はふと口にする。
「さっきから猫がついてくるのは二世には何かを引き寄せる力でもあるのか?」
 今だって、じゃれるようにてしてし。
 いつの間にか二世の足元には、何故かどんどん猫が集まってきていて。
 歩けば一緒にとことこ、ぞろぞろと猫を引き連れている状態であるのだった。
 とはいえ、ふと思い返せば。
「僕からおいしそうな匂いでもするのかな?」
 こてりと首を傾ける後輩の周囲には、そういえば、学生の時も女子が集まっていて。
 儚げな美少年という印象の容姿と苗字にちなんで、そんな女子からは『王子』と呼ばれていたのだ。
 だが一方で、同級生からは名前と絡めて『偽王子』などと呼ばれていたなんてこともまた、後輩の過去の話。
 とはいっても、猫を引き連れて歩く機会などそうないし、食べ物も美味しいし。
 咲はくるりと視線を巡らせ、瞳を細める……見てるだけでも楽しい所だな、って。
 それからコロッケやメンチカツを交換こした後、ぺろりと平らげてから。
 再びぶらぶら歩いていれば、二世が次に見つけたのは。
「居酒屋さんですよ。一杯どうですか?」
 昼から開いている、「またたび居酒屋」と看板がかかった一軒の飲み屋。
 そしてそう誘いの声をかければ、そわそわと先輩の周りをぐるぐる。
 きっと尻尾があれば、思い切りぶんぶんと振っているだろうことは疑いない、そう自信があるくらいには。
 そんな、わくわくそわりとする様子を見ながらも。
「じゃあ、飲んでいくか」
 咲は後輩の誘いに頷いて返しつつ。
(「二世は時々、犬っぽくなるな」)
 無邪気に喜ぶその姿に、そう思うのだった。
 それから二世はカクテルのキャッツアイを、咲はモスコミュールを頼んで。
 軽く乾杯した後、サービスだと出されたねこさん型おつまみと一緒に。
「占い屋さんの美人さん、どんなひとなんでしょうね? 晴ちゃんより美人だと思います?」
 二世が酒のつまみにするのは、ふいに振ってみたこんな話題。
 いや、何て返ってくるかは、大体わかってはいるのだけれど。
「占い師も美人って話だけど晴の方が美人だろ」
 自分の質問に、これは即答できると言わんばかりに。
 占い師は勿論、数え切れないほどいる横丁の猫を見たって、妹より美人なんていやしないと。
 そんな先輩から即返ってきた言葉や反応に、楽しそうに笑う二世であった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

雉尾・薙
「にゃーん」
トコトコと街中の同朋に近づいてご挨拶
以下、人間語訳

初めましてにゃん
お鼻くっつけて敵意無い事示し
薙はこの街初めてにゃの
ねぇ、皆はいつもご飯どうしてるの?
どこか美味しいアテがあるなら教えて欲しいにゃん

無論タダとは言わにゃいよ
√エデンでご近所の猫好きさんに貰ってきたネコおやつ(未開封)を手土産にお渡しするにゃ
うふふ、クセににゃる味でしょ

んじゃ、御礼に地元ネコさんお勧めグルメスポット案内して貰えるかにゃ
薙は甘いのも旨いのも大好きだにゃ!
人間や猫又さん達に愛想を振りまきつつ横丁グルメを堪能していくのにゃ
恵んでくれたら遠慮無く頭撫でて構わにゃい
でもタダで撫でさせる程、薙は安くは無いにゃ🐾

 その名の通り、猫の額の如く狭いが賑やかな「猫又横丁」を闊歩するのは、沢山の猫たち。
 そして、そんな横丁へと足を踏み入れた雉尾・薙(魅惑の尻尾・h03165)も。
「にゃーん」
 ネコである。
 所狭しと並ぶ店はどこも活気に溢れていて、横丁グルメに舌鼓を打ったり、買い物に興じている人たちが犇めき合っているが。
 今日もいつものように気ままに、キジトラの尻尾をゆらりら。
 薙はトコトコと街中の同朋に近づいては、にゃーんとご挨拶。
 そして――初めましてにゃん、とお鼻をちょんとくっつけて。
 敵意が無い事を示しながらも、薙は横丁の猫に、当然以下猫語で訊いてみる。
 ――薙はこの街初めてにゃの。ねぇ、皆はいつもご飯どうしてるの?
 どこか美味しいアテがあるなら教えて欲しいにゃん、って。
 それから、どうしようかなと相手が思っている雰囲気を察すれば――無論タダとは言わにゃいよ、なんて。
 すかさず、にゃにゃーん!
 お渡しするのはそう! √EDENでご近所の猫好きさんに貰ってきた、未開封なネコおやつ!
 そんな、猫がまっしぐらなほど夢中になりそうなおやつを、にゃにゃっとあげれば。
「……!!」
 ひとくち食べればお耳がぴこり、すっかり虜になった様子の横丁の猫。
 そんな姿に――うふふ、クセににゃる味でしょ、と笑って。
 薙は、おやつをあげた猫をこう促す――んじゃ、御礼に地元ネコさんお勧めグルメスポット案内して貰えるかにゃ、って。
 というわけで、交渉成功。
 どんな食べ物が好きにゃん? と、にゃーと訊かれれば。
 ――薙は甘いのも旨いのも大好きだにゃ!
 そう案内してくれている猫に返しつつも、しっかりと抜かりなく。
「にゃー、ふにゃーん」
「あら、とっても可愛いキジトラさんね。ふふ、猫型パンのフルーツサンドがあるけれど食べる?」
「茶トラちょこの猫さんたい焼き、好きかな?」
「! うにゃぁん、にゃあ~♪」
 人間や猫又さん達に愛想を振りまきつつ、横丁グルメを堪能していきます!
 それから、美味しいものをくれた人が手を伸ばして来れば、ごろごろにゃーん。
 ばっちりかわいく振舞っては、なでなでさせてあげる薙であるけれど。
(「恵んでくれたら遠慮無く頭撫でて構わにゃい」)
 それは、美味しくて甘い物をくれるのならば、である。
 だって、何て言ったって。
「あっ、猫ちゃんだー! って、あれ? 行っちゃったー」
 天は猫の上に人を作らず、猫の下に人を作るもの!
 尻尾をゆらゆら――タダで撫でさせる程、薙は安くは無いにゃ🐾 って。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

フランキスカ・ウィルフレア
猫又横丁、あっち見てもねこ。こっち見てもねこ、なの!ひとりで来ちゃったけどだれかと一緒に来てもよかった、かも……っていまさらちょっぴり後悔してる……

でも古書店を目指さなくっちゃ。
ねこに関する本を探すにはうってつけなの!絵本もいいし、こども向け小説もいいな。えへへ。かんがえただけでわくわくするねっ……
あ、あのねこのポシェットかわいいのー
あう、かわいいかんざしもある……
……ちょっとくらいならごほうびにいい、よね……?

 知らなかったらきっと見逃してしまっていただろうほどの、細くて狭い通り。
 けれど、まるで本を開いて物語を紐開いたかのように、どきどきわくわく。
 足を踏み入れた横丁には、色々なものでいっぱい。
 そして、きょろりと巡らせるフランキスカ・ウィルフレア(絵本の妖精・h03147)の瞳に映るのは。
(「猫又横丁、あっち見てもねこ。こっち見てもねこ、なの!」)
 ねこ、ねこ、ねこだらけ。
 そんな気ままにとことこお散歩している子たちをほわりと見つめながらも。
 ふと、いまさらだけれど、ちょっぴりこんな後悔も。
(「ひとりで来ちゃったけどだれかと一緒に来てもよかった、かも……」)
 けれど――でも古書店を目指さなくっちゃ、なんて顔を上げれば。
 そう思ったと同時に、てしてしっ。
 足元の感覚に気づいて再び視線を落とせば、そこには。
 にゃあ、とご挨拶してくれる猫さんたちの姿が。
 フランキスカはそんな猫さんたちに挨拶を返してから、お目当ての古書堂を目指して歩き出せば。
 猫さんたちも、てくてくひょこり、後ろからついてきてくれるから。
 またの時はだれかと一緒にって思うけれど、でも今日は、猫さんたちと一緒にとことこ。
 そして古書店につけば、うきうきしちゃう。
 だってここは、猫も、猫のものもいっぱいな「猫又横丁」なのだから。
(「ねこに関する本を探すにはうってつけなの!」)
 たくさんのねこの物語との出会いに心躍らせながら、いざ店内へ。
 くるりと見回せば、本棚にだけでなく、そこかしこに積み上がっている、溢れんばかりの本たち。
 それを直感的にいくつか手にしつつも。
「絵本もいいし、こども向け小説もいいな」
 コミカルなねこさんいっぱいな、面白い短編集だとか。
 ドキドキしちゃうような、猫さん勇者の冒険譚だったり。
 癒されるような、ほんわか絵柄の童話に。
 ちょっぴり胸がきゅっとなる、綺麗な猫の物語――。
 そっと中を確認するようにページをめくっていきながら、フランキスカはほわほわ。
「えへへ。かんがえただけでわくわくするねっ……」
 猫たちが紡ぐたくさんの本に、幸せそうに笑み零しつつ、存分に埋もれて。
 お気に入りのものをいくつか購入すれば、大事に抱きしめながらも再び横丁を歩く。
 そして、ふと見かけた猫雑貨屋さんについ寄ってしまったのが、悩みのはじまり。
「あ、あのねこのポシェットかわいいのー。あう、かわいいかんざしもある……」
 本もいっぱい買ったけれど、またどれも可愛くて、欲しくなっちゃって。
 それからいろいろ悩んだ結果、フランキスカはこくりとひとつ頷いた後。
 気になったものを、あれもこれも、手にする。
 だって、いつまでも選べそうにないから……ちょっとくらいならごほうびにいい、よね……? なんて。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

緇・カナト
レモン君(h00071)と
心赴くままに色々食べ歩きをしようねぇ

さっそくメンチカツの良い香り〜と
出来立てアツアツは最高のスパイスにも
そのままのもチーズ入りも気になる
肉食寄りではあるけどコロッケも良いなぁ
両手で収まるくらいの数には抑えておいたら

猫型たい焼きは味の種類があるって聞いてね
先ずは三毛猫チーズの味見から
白猫カスタードに茶トラちょこ味も気になって…
レモン君はどんな猫が好き?
味でも毛色でもどっちでも良くはあるけれど
お裾分けも良いのかなと思って
半分こで足りそう?
後で食べるお土産にしちゃうのも良いかも

あそこの行列は猫麺亭だって
煮干しラーメンはオレも食べた事ないかなぁ
ますます猫の気分にもなれそうだね
茶治・レモン
カナト(h02325)さんと食べ歩き

どの店からも、惹かれる匂いがいっぱいですね
あっ…カナトさん、早速メンチカツ発見です
行きましょう!食べましょう!
僕、折角なのでチーズ入りにしてみます
カナトさんは何にされますか?
コロッケ!僕も食べます

んー、お肉がたっぷり…肉汁もすごい…
これは心身ともにほくほくになりますね

あそこにあるのは、カナトさんが仰ってた猫型たい焼きですね
こちらも種類が豊富…!悩ましいです
味で選ぶべきか、猫で選ぶべきか…
三毛猫チーズ、美味しいですか?
僕は白猫カスタードにします
良かったら半分こしましょう!

甘いもののあとは、ラーメンに行きませんか?
僕、にぼしラーメンは食べたことがないんですよね

 狭い通りの両側に、犇めくように店が軒を連ねて。
 食欲をそそる香りがそこかしこから漂えば、妖怪も人も猫も、ふらり誘われてしまう。
 スンと動かぬ表情筋をした少年、茶治・レモン(魔女代行・h00071)だって、実はそのひとり。
「どの店からも、惹かれる匂いがいっぱいですね」
 そして一見無表情にみえるも、周囲をくるりと見回している隣の彼が、わくわくそわりとしていることがわかるし。
 彼と同じように自分も楽しみには違いし、いつものように腹ペコであるし。
「心赴くままに色々食べ歩きをしようねぇ」
 気侭なのは何も猫たちだけでなく、狼だってそうだから、ぶらりゆうらりと。
 緇・カナト(hellhound・h02325)も横丁の賑やかな雰囲気を楽しみつつ、レモンと共に歩いていた……のだけれど。
 ふいに同時に、ぴたりと足が止まって。
「あっ……カナトさん、早速メンチカツ発見です」
「さっそくメンチカツの良い香り〜と」
 向ける視線の先には、同じお店が。
 ふたりを呼んでいるのはそう、ちょうど揚げたてだという、メンチカツの美味しそうな香り。
 そんな魅惑の横丁グルメを見つけちゃえば。
「行きましょう! 食べましょう!」
 早速、しゅたっとレモンはメンチカツの呼ぶ声に抗わず、店へと足を運んで。
 揚げたてほくほくな揚げ物たちを一通り見回してから、こくりとひとつ頷いて、心に決める。
「僕、折角なのでチーズ入りにしてみます。カナトさんは何にされますか?」
 そしてそう訊かれたカナトは、じっくりと揚げたてのを見遣って。
「そのままのもチーズ入りも気になるし、肉食寄りではあるけどコロッケも良いなぁ」
「コロッケ! 僕も食べます」
 表情はやはり変わらないように見えるも、心なしか瞳が一瞬キラリ。
 即決で、コロッケの追加も決めるレモン。
 そんな声を聞きながら、両手で収まるくらいの数には抑えておいたら、なんてカナトは思うも。
 やはり揚げたてのそれらはどれも全部美味しそうで。
 でも多くなりすぎないように何とかいくつか選んで購入した後。
「出来立てアツアツは最高のスパイスにもだけれど。口の中、火傷しないようにしなきゃねぇ」
 戦利品をはむりと口に運べば、アツアツではふはふ。
「んー、お肉がたっぷり……肉汁もすごい……これは心身ともにほくほくになりますね」
 さくさく衣とじゅわり肉汁、びよんと伸びるチーズも濃厚で、とても美味です!
 そして、メンチカツとコロッケを美味しくいただいた後。
 カナトが次に探してみるのは、小耳に挟んだ横丁スイーツ。
「猫型たい焼きは味の種類があるって聞いてね」
 甘い物からしょっぱいものまで、飽きずに食べられそうな、いろいろな味があって。
 尚且つ猫さんのかたちがキュートだという、猫型たい焼きです。
 それを聞いたレモンは、再び賑やかな横丁をくるりと見回してみて。
「あそこにあるのは、カナトさんが仰ってた猫型たい焼きですね」
 発見したたい焼き屋さんにいざ、行ってみることに。
 先程も、あれもこれも美味しそうだったのだけれど。
「こちらも種類が豊富……! 悩ましいです」
 味で選ぶべきか、猫で選ぶべきか……なんて。
 いろいろな味の猫ちゃんたちと、むぅと悩まし気にレモンはにらめっこ。
 そしてカナトはまずはひとつと、選んだ猫さんたい焼きを手にして――はむり。
「先ずは三毛猫チーズの味見から」
「三毛猫チーズ、美味しいですか?」
 じいと見つめるレモンに、こくこくとすぐに頷いて返す。
 とろーりとろける濃厚なチーズ味は、美味しい以外の何物でもないから。
 とはいえ、しょっぱい系を食べれば、今度は甘いものも欲しくなるというもの。
「白猫カスタードに茶トラちょこ味も気になって……レモン君はどんな猫が好き?」
「僕は白猫カスタードにします」
 そして、甘いカスタード味の白猫さんを選んだレモンは。
「味でも毛色でもどっちでも良くはあるけれど、お裾分けも良いのかなと思って」
 そんなカナトの思い付きに、勿論大賛成。
「良かったら半分こしましょう!」
「半分こで足りそう? 後で食べるお土産にしちゃうのも良いかも」
 もしも足りなさそうならば、後で食べる分も買っちゃえば良いのです、ええ。
 それからふたりで半分こして、存分にスイーツ充した後。
「甘いもののあとは、ラーメンに行きませんか?」
 まだまだ勿論、食べ歩きは終わりません。
 とはいえ、この横丁にはいくつもラーメン屋があるようだけれど。
「あそこの行列は猫麺亭だって」
 カナトが向ける視線の先には、名物のにぼしラーメンを求め、並んでいる人々の姿。
 噂の猫麺亭から香ばしく漂ってくる匂いは、いろいろ食べた後でも食欲をそそるし。
 どうせ折角なら、美味しいと評判の店で食べたいし。
「僕、にぼしラーメンは食べたことがないんですよね」
「煮干しラーメンはオレも食べた事ないかなぁ」
 お互いはじめてだというにぼしラーメンを楽しみに、行列に並んでみることに。
 そして……にゃーんと、自分達と一緒に並んでいるつもりっぽい足元の猫に気づけば。
 向けたその瞳を細めてカナトはこう紡ぐ――ますます猫の気分にもなれそうだね、なんて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

桐生・綾音
妹の彩綾(h01453)と参加

私と彩綾の育ったところは田舎だったからね。田んぼや畑で自給自足、服の素材も栽培で森で獣を刈ってたし。こういう賑やかなところは珍しいよね。まずコロッケにアイスクリン!!私はいちごとレモン!!

そうだね、生活用品も必要だから買い物しようか。ガラスペン、必要だね。二本買おうか。ノートあるかな?え?このもふもふクッション欲しい?しかたないなあ。え?おそろいのペンダント?いいね、買おうか。

まあ、こういう人が集まりやすいからこそ念がたまりやすいともいうね。とりあえず、2人揃ってるし、戦友の皆様も多くきてるみたいだから安心してお仕事できるね。頑張ろう。彩綾。(肩を叩く)
桐生・彩綾
姉の綾音(h01388)と参加

うわ、すごく賑やか!!そうだね、私とお姉ちゃんの住んでたところ、野菜もお米もつくれるし、服の素材も栽培しちゃうし、牧畜もしちゃうし。すごいところだったんだよね。田舎だけど。

買い食い・・・コロッケ!!オレンジとぶどう!!おいしい!!(もぐもぐ)
ガラスペンはお姉ちゃんも買うんでしょ!!ノートもいる!!(上目遣いでおねだり)ふかふかクッション買っていい?お姉ちゃん!!ペンダントお揃いの買う!!

すごい色々な人の念が漂ってるな。まあ、引き寄せやすいのも理解できるよ。でも戦友の人いるから。頑張ろう、お姉ちゃん(しっかり姉の袖を掴んで決意を示す)

 大通りから1本入った横道は、足を踏み入れてみれば、予想していなかったくらいに。
「うわ、すごく賑やか!!」
 所狭しと店が並んでいて、たくさんの人と猫で大賑わい。
 桐生・彩綾(青碧の薫風・h01453)は思わずそう声を上げながらも、独特な横丁の風景をくるりと見回してみて。
 妹の言葉に、桐生・綾音(真紅の疾風・h01388)もこくりと頷いて返す。
「私と彩綾の育ったところは田舎だったからね。田んぼや畑で自給自足、服の素材も栽培で森で獣を刈ってたし。こういう賑やかなところは珍しいよね」
 ふたりが育った場所は、此処とはある意味正反対で。
 広い土地に、豊かな自然、のんびりとした長閑なところで。
 だからこそ、今回訪れた横丁のような、雑多としていて活気に溢れている場所は、ふたりにとっては珍しくてわくわくするし。
「そうだね、私とお姉ちゃんの住んでたところ、野菜もお米もつくれるし、服の素材も栽培しちゃうし、牧畜もしちゃうし」
 ……すごいところだったんだよね。田舎だけど、って。
 住んでいた時は気が付かなかった、育った場所のすごいところに彩綾は気付くのだった。
 そしてふたり、そんなお喋りを楽しみながらも歩いていれば。
 並ぶ店のひとつに向けられた彩綾の瞳が刹那、キラキラ。
「買い食い……コロッケ!!」
 食べ歩きの定番、揚げたてサクサクな肉球印のコロッケを見つけて。
 いや、気になって食べるのは、コロッケだけではありません。
「まずコロッケにアイスクリン!!」
 アツアツでほくほくなコロッケと一緒に、冷たいアイスクリンも買っちゃいます。
 そして、いろいろな味が並ぶケースを仲良く並んで見つめて、それぞれ選んだ味をもぐもぐ。
「私はいちごとレモン!!」
「オレンジとぶどう!! おいしい!!」
 早速口にすればほわり、笑顔になるくらい美味しい幸せ。
 そして、コロッケもアイスクリンも、ぺろりといただいた後。
 まだ時間も十分あるみたいだから、横丁を再び散策してみれば。
 綾音はふと目に入った店へと足を向けてみる。
「そうだね、生活用品も必要だから買い物しようか」
 生活用品から装飾品、ちょっと変わったものまで何でもござれな、よろず屋「ねこねこ雑貨店」へ。
 彩綾も姉と一緒に店内を見て回って。
「ガラスペンはお姉ちゃんも買うんでしょ!!」
「ガラスペン、必要だね。二本買おうか。ノートあるかな?」
「ノートもいる!!」
 可愛い猫のガラスペンをお揃いで、ノートも一緒に買うことにすれば。
 彩綾ふと上目遣いで、こんなおねだりを。
「ふかふか猫クッション買っていい?」
「え? このもふもふ猫クッション欲しい?」
 それは、人も妖怪もダメにしちゃいそうなほどもふもふな猫さんクッション!
 そしてそっと触ってみれば、思った以上にめっちゃもふもふで。
 しかたないなあ、なんて頷いた綾音に、彩綾はもうひとつ。
「お姉ちゃん!! ペンダントお揃いの買う!!」
「え? おそろいのペンダント?」
 姉妹お揃いのペンダントのおねだりも。
 綾音は一瞬ぱちりと瞬くも、すぐに瞳を柔く細めて。
「いいね、買おうか」
 ふたりとも一番気に入ったデザインのものを、お揃いでお買い上げ。
 そんな楽しくて賑やかな、猫又横丁なのだけれど。
 彩綾は改めて視線を巡らせつつ、口にする。
「すごい色々な人の念が漂ってるな。まあ、引き寄せやすいのも理解できるよ」
「まあ、こういう人が集まりやすいからこそ念がたまりやすいともいうね」
 妹のその言葉に、綾音も同意する。
 けれど、ふたりはこうもわかっているから。 
「でも戦友の人いるから。頑張ろう、お姉ちゃん」
「とりあえず、2人揃ってるし、戦友の皆様も多くきてるみたいだから安心してお仕事できるね」
 こうやって姉妹ふたりで一緒だし、それにふたりだけでもないということを。
 そして、ぎゅっとしっかりと袖を掴んできて決意を示す彩綾の肩を、綾音はぽんと叩いて。
 ふたり並んで横丁を歩きながらも、こう紡いで返す……頑張ろう。彩綾、って。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

天ヶ瀬・勇希
師匠(h02511)と食べ歩き!

すげー!あっちにもこっちにもネコがいる!
……ん?師匠どうしたんだ?もしかしてネコ嫌い?
えー、気のせいじゃねえの?ネコって賢いからそうそう敵意なんて……なんてことはないみたいだな
仕方ねえなぁ、俺が壁になってやるからこっち来てよ

呼び込みと漂う香りに誘惑されて、何を食べ歩くか迷う
まずはあったかくてしょっぱい系がいいな
おっ、メンチカツうまそう!それひとつ!
師匠にコロッケを渡して一緒にぱくり
うまっ!寒い日の外であったかいもの食うのって、ほっとするよな
えっ、アイスクリン?絶対師匠食べた後で震えるやつだな……
でも一緒に食べられるのは嬉しい。その後はまたたい焼きであったまろうな
アリス・アイオライト
ユウキくん(h01364)と

弟子の初めてのお誘いですが……猫を見て足が止まる
い、いえ、嫌いではないです、好きなんです!
でもあちらは私が嫌いなようなので……
じりじり猫に近付いてみせればシャーッと威嚇が
ひゃあっ!?……ほら、この通りです!
面目ないです……私が師匠なのに……

なんとかやり過ごし、横丁を進めばたくさんのお店に驚き
すごいですね、私の知っている√とはだいぶ違います
お店選びに迷っていると、差し出されたコロッケにお腹が鳴り
私の分?いいんですか?ではいただきます
はぁ~、美味しい……
体が芯から温まり、思わずため息
よし、温まった後なら、アイスクリンなるものもいけるのではっ!
今度は私に奢らせてくださいね

 大きな通りから探してみても、思わず見逃してしまいそうになるような横道は、まるで秘密の入り口のようで。
 足を踏み入れれば、そこはその名の通り。
「すげー! あっちにもこっちにもネコがいる!」
 あっちもこっちもねこねこ、ねこだらけ。
 そんな「猫又横丁」にやって来た天ヶ瀬・勇希(人間(√マスクド・ヒーロー)のカード・アクセプター・h01364)は、今日もわくわく無邪気けれど。
(「弟子の初めてのお誘いですが……」)
 誘ってくれた弟子とは逆に、そろりと周囲をうかがって。
 アリス・アイオライト(エルフの古代語魔術師ブラックウィザード・h02511)は、ぴたりと足を止めてしまう。
 そしてそんなアリスの様子に、勇希はふと首を傾けて。
「……ん? 師匠どうしたんだ? もしかしてネコ嫌い?」
 じいと遠目から彼女が見つめているのが猫であることに気が付く。
 けれどその言葉に、ふるふると首を横に振るアリス。
「い、いえ、嫌いではないです、好きなんです!」
 そう、好きなのだ。可愛くてなでなでしてみたくて、あわよくばもふっともしてみたいくらいに。
 けれど、それが果たせないのは。
「でもあちらは私が嫌いなようなので……」
 猫の方が、拒否するのである。
 そんな足を止めた理由に、勇希はぱちりと瞬いてから。
 試しにじりじりと猫に近づいてみせる師匠を見守れば。
「えー、気のせいじゃねえの? ネコって賢いからそうそう敵意なんて……」
 ――シャーッ!
「ひゃあっ!? ……ほら、この通りです!」
「……なんてことはないみたいだな」
 そんなことがないなんてことは、ありませんでした。
 そして威嚇されて、ぴやっと飛び跳ね、ぷるぷるしている師匠へと声を掛ける。
「仕方ねえなぁ、俺が壁になってやるからこっち来てよ」
「面目ないです……私が師匠なのに……」
 どちらが師匠かわからない現状に申し訳なく思いつつも、弟子の背中に隠れるようにぴたり。
 ひたすら威嚇しまくっている猫をなんとかやり過ごしたアリスは、ホッと安堵してから。
 狭い横丁を奥へと進めば、驚いてしまう。
「すごいですね、私の知っている√とはだいぶ違います」
 まるで猫の額かのような狭い通りにぎゅっと、所狭しと並ぶたくさんの店に。
 そう物珍しそうに横丁を見渡すアリスと一緒に、勇希もふらり、賑やかな中を歩きつつ。
 何を食べ歩くか迷ってしまうのは、呼び込みと漂う香り――目移りするほどたくさんの誘惑があるから。
 でも、そう悩んでばかりでは、らちが明かないから。
「まずはあったかくてしょっぱい系がいいな」
 あたりをつけつつ、改めてくるりと見回せば。
「おっ、メンチカツうまそう! それひとつ!」
 食べ歩きの定番、メンチカツを発見!
 そして勇希は、もうひとつ。
「私の分? いいんですか?」
 お店選びに迷っている師匠にも、コロッケを渡して。
 差し出されたコロッケを見れば、お腹がくぅ。
 ふたり一緒に、アツアツほこほこ、一口ぱくり。
 揚げたてアツアツだから、ちょっぴりはふはふしちゃったりしたけれど。
「はぁ~、美味しい……」
 体が芯からほかほか温まって、思わずため息を漏らすアリス。
 勇希もはふり、じゅわり肉汁溢れるその美味しさに声を上げて。
「うまっ! 寒い日の外であったかいもの食うのって、ほっとするよな」
 ぽかぽかと温まった感覚に、そうこくりと大きく頷いた――矢先。
「よし、温まった後なら、アイスクリンなるものもいけるのではっ!」
「えっ、アイスクリン?」
 それを秒でひっくり返すアリスの言葉に、思わず瞳をぱちくりさせてしまうけれど。
「今度は私に奢らせてくださいね」
 そう張り切る姿を見つつ、次の展開が手に取るようにわかるのだった。
(「絶対師匠食べた後で震えるやつだな……」)
 でも、それはそれとして……一緒に食べられるのは嬉しいから。
 アイスクリンにわくわくしている師匠のお言葉に甘えることにする。
 ……その後はまたたい焼きであったまろうな、なんて、次の作戦を立てながら。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

千堂・奏眞
へぇ、猫だらけの横丁か
食べ物も猫っぽいのばかりで面白いなぁ
せっかく来れたんだし
色々と食べ歩きしてみるか!
(辛いものも甘いものもイケるかなりの健啖家

本当に猫に関するもの全部ある勢いで猫が溢れているなぁ
(おススメされた食べ物屋は制覇していく勢いで食べ歩き中

って、あそこで誰かうずくまっていないか?
おーい、そこの人
大丈夫かー?

え、やけ食いしてたら食い過ぎてお腹が痛い?
オレ、一応胃薬持っているけどいるか?
(救助活動・錬金術・コミュ力など

とりあえず喰ってばっかでも気は晴れねぇだろ
お腹休める意味も含めて、ちょいと雑貨屋とかを覗いてみねぇか?
オレも一緒に行くからさ
何か愚痴とかあったら聞くぜ?

アドリブ
絡み歓迎

 話に聞いていた通り、横丁に足を踏み入れれば。
 とてとてと千堂・奏眞(千変万化の錬金銃士・h00700)の足元にも寄ってくる、人懐っこい子たち。
 そんな猫たちへと視線を向けた後、奏眞はくるりと周囲を見回してみて。
「へぇ、猫だらけの横丁か。食べ物も猫っぽいのばかりで面白いなぁ」
 気ままにお散歩している猫だけでなく、ずらりと並ぶ店で売られているものも、猫尽くし。
 此処へ訪れたのは、星詠みで予知された案件のためではあるのだけれど。
 まだ事が起こるまで時間は十分にあるし……せっかく来れたんだし、と。
 ぐっと気合十分、活気溢れる横丁を歩き出す。
「色々と食べ歩きしてみるか!」
 そう――そんな奏眞は、辛いものも甘いものもイケる、かなりの健啖家なのです。
 というわけで、話に聞いたお勧めの食べ物屋は、勿論制覇していく勢いで。
「本当に猫に関するもの全部ある勢いで猫が溢れているなぁ」
 横丁グルメを片っ端から調達しては美味しくいただき、猫だらけの通りを楽しんで。
 あれもこれもと食べ歩きする中、ふと気が付く。
「って、あそこで誰かうずくまっていないか?」
 何だか苦しそうに呻いてうずくまっている人の姿に。
 そして何事かと駆け寄って、声を掛けてみれば。
「おーい、そこの人。大丈夫かー?」
「や、やけ食いしたら、おなかが……大丈夫じゃ、全然ない……」
「え、やけ食いしてたら食い過ぎてお腹が痛い? オレ、一応胃薬持っているけどいるか?」
「うぅ、すまない……」
 どうやら彼は、古妖を解き放った自責の念と失恋のショックでやけ食いに走っている、件の人物――三郎という男のようで。
 救助活動や錬金術、コミュ力を駆使しつつも。
「とりあえず喰ってばっかでも気は晴れねぇだろ」
 奏眞はようやく何とか立てるようになった彼に、こんなお誘いを。
「お腹休める意味も含めて、ちょいと雑貨屋とかを覗いてみねぇか? オレも一緒に行くからさ」
 その言葉に、三郎は素直にこくりと頷いて。
「そうだな……失恋とか色々あったことも、それで少しは気が紛れるかな……」
 アンタいい人だな、なんて自分を見る彼に、奏眞はさり気なくこう告げるのだった。
 ……何か愚痴とかあったら聞くぜ? って。
 彼の失恋の傷も少しはそれで癒えればいいし。
 それに何より――また同じ過ちを繰り返さないようにフォローを、と。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ユオル・ラノ
んー、人を慰めるのはニガテだし
夜までのんびりしようかなぁ
小さな友達におみやげも買ってあげたいからね

そんなことを考えつつ、ひとまず食べ歩き~
甘味は大好きだし、可愛いものも好きなんだぁ

ダブル猫アイスクリンは、おすすめを貰おうかな
へぇ、これが人気の味なんだ
耳付きなんて凝ってるねぇ

猫型たい焼きは五種類セットを
食べ物なんて倒れない程度に摂取できれば充分だけど
甘いものは別腹なんだよねぇ
怪異って美味しくないものが大半だし、実験後の口直しに最適だから

うん、この猫型たい焼きはお土産にしよう
…ん?
足元に愛想の良い子がいっぴき
キミが食べても平気なものを持ってないんだ、ごめんよ~
そっと手を伸ばす
撫でさせてくれるかな?

 様々なものがぎゅうといっぱい詰まった、猫だらけな横丁に足を踏み入れれば。
 賑やかな景色の中、白雲の髪をふわり、ユオル・ラノ(メトセラの嬉戯・h00391)は歩きながらも。
(「んー、人を慰めるのはニガテだし。夜までのんびりしようかなぁ」)
 聞いた星詠みの予知を思い返しつつも、そうそっと思う。
 いや、慰める対象である三郎という男につい先ほど、他の仲間が声を掛けていたのを見かけたから。
 そういうことが得意な人に、フォローはお任せして。
 くるりと改めて視線を巡らせつつ……小さな友達におみやげも買ってあげたいからね、って。
 潜んでいるという古妖に怪しまれないためにも、犇めくように並ぶ店々をのんびり見て回ることにするユオル。
 けれど、そんなことを考えつつも。
(「ひとまず食べ歩き~」)
 ……甘味は大好きだし、可愛いものも好きなんだぁ、なんて。
 美味しくて可愛いねこねこ尽くしに、わくわく。
 まず見つけて買ってみるのは、にゃんこ親子のダブルアイスクリン。
 ふたつ選べる味は、おすすめのものをお願いして。
「へぇ、これが人気の味なんだ。耳付きなんて凝ってるねぇ」
 受け取ったアイスクリンは、縞猫みたいなキャラメルバニラと黒猫チョコの組み合わせ。
 ぴこりと猫耳がついたアイスはとても可愛らしくて、それに食べてみればとても甘くて、思わずほわり。
 そして美味しくアイスクリンを食べた後は、さらなる猫スイーツを求めて。
「食べ物なんて倒れない程度に摂取できれば充分だけど、甘いものは別腹なんだよねぇ」
 ……怪異って美味しくないものが大半だし、実験後の口直しに最適だから、なんて呟きを落としつつも。
 猫型たい焼きを迷わず五種類セットで頼むユオルはそう、かなりの甘党なのである。
 そして、はむりと猫さんたい焼きを口にすれば刹那、大きくこくりと頷いて。
「うん、この猫型たい焼きはお土産にしよう」
 さらにワンセット、お土産に追加決定です!
 それから、はむはむと甘いものを存分に満喫していれば――てしてしっ。
「……ん?」
 ユオルがふと目を向けた足元には、愛想の良い子がいっぴき。
 おねだりするように、にゃーんと鳴いてはすりすりしてくるものの。
「キミが食べても平気なものを持ってないんだ、ごめんよ~」
 でも、分けてあげられるような食べ物はないのだけれど、ユオルはかわりにそっと手を伸ばして。
 ……撫でさせてくれるかな?
 そう問えば、にゃーと可愛い声が返ってきたから。
 そんなお返事に瞳を細めつつ、思い切り甘やかすように、もふもふなでなでしてあげる。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

玉梓・言葉
「これはまっこと愛らしき街並みじゃのぅ」
よちよち歩きの赤子然り、おのぼりさん然り
箱入り(引き篭もり)の付喪神には何でも物珍しく興味深々
「くは、店へ誘うておるのか」
商売上手な所も揺れる尻尾も愛い
目的は古書店であったが道すがらの食べ歩きも一興
ふんふん鼻歌交じりに散策

三郎見かければ
「そこな兄さん、そんな詰め込んでは味も分かるまい」
水分もとらにゃ喉にも詰まろうて
「そこの嬢ちゃん、水をくれるか」
「儂はにゃんこあいすのくりぃむそぉだを貰おう」
ハイカラな言葉を紡いで満足気
いやなに金なら払う
何か話してくれるなら話は聞くし、話したくないなら背を撫でるのみ

それにしても、このくりぃむそぉだ…げに美味いのぅ(キラキラ

 まるで、ぎゅっと様々な物語が詰まった本を開いた時のように。
「これはまっこと愛らしき街並みじゃのぅ」
 玉梓・言葉(紙上の観測者・h03308)は興味津々、周囲をくるり。
 よちよち歩きの赤子然り、おのぼりさん然り。
 引き篭もり……もとい、箱入りの付喪神には何でも物珍しく思うのだ。
 足を踏み入れた横丁は、猫の額と言っても過言ではないくらいに細い通りであって。
 そこに犇めき合う様々な店々や、漂う美味な匂い、賑やかな人々の声が、いろいろな想いを綴り溢れているようだから。
 それに、ストーリーテラーならぬ、散策案内人を気取るかのように――にゃあ、と。
 可愛らしい鳴き声につられて足元に目を遣れば、言葉は思わず笑み零す。
「くは、店へ誘うておるのか」
 こっちだよって言わんばかりに尻尾をゆらりら、愛想良く振舞う猫を見て……商売上手な所も揺れる尻尾も愛い、なんて。
 そして、そんな言葉の横丁巡りの目的地は、古書店であったが。
 食欲をそそる匂いに敢えて誘われるまま、コロッケや猫型たいやきを買って口にしたりして。
 ふんふん鼻歌交じり、道すがらの食べ歩きもこれまた一興。
 そして洒落たカフェーへと足を向けてみれば、ふと見つける。
 大量に注文したメニューをやけになって食べまくっている男の姿を。
 それから彼が三郎と店主に呼ばれていることを聞けば、さり気なく声をかけてみて。
「そこの兄さん、そんな詰め込んでは味も分かるまい」
 ……水分もとらにゃ喉にも詰まろうて、と。
 ウェイトレスを呼び、やけ食いして咽た三郎のためにこうお願いを。
「そこの嬢ちゃん、水をくれるか」
 そして少し彼の様子も落ち着けば、付き添うように同席して。
 メニューをぱらりと開いて注文を。
「儂はにゃんこあいすのくりぃむそぉだを貰おう」
 そうハイカラな言葉を紡いでみせれば、えっへんちょっぴり満足気。
 それから……いやなに金なら払う、と続けた後。
 まだちょっぴり咽ている彼の背を撫でてあげながらも。
「何か話してくれるなら話は聞こう」
「うっ、実は失恋したばかりで……あと……内容は言えないんだが、とんでもないことをやらかしちゃってな……」
「まあ、失恋は残念であったが、いずれ良き縁もきっとあろう。それに何をやったかは聞かぬが、同じことを繰り返さねばそれで良い」
「うぅ、そうだな……同じことしないようにしなきゃな……」
 さり気なく三郎のフォローをしつつも、うむうむと言葉は頷いてみせて。
 猫のきゃらくたあが愛いアイスをひと掬いし、グラスに満ちるソーダを口にしてみれば。
 刹那、ぱちりと瞬いた後、瞳をキラキラ。
「それにしても、このくりぃむそぉだ……げに美味いのぅ」
 甘やかで愛いアイスとしゅわり弾けるソーダが織り成す、ハイカラな味に。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アドリアン・ラモート
アドリブ及び、他のキャラクターとの絡みなどはおまかせします。

古書店で本を探して時間をつぶします。
「ん~!やっぱ引き籠りのお供と言えば本!電子書籍も悪くないけど紙の本にしかない良さもなくならないよね。」
緊張感のかけらもないふにゃりとした笑顔を浮かべながら古書店の中を物色します。
「これとこれと、あとこれも面白そう!まだ持てるし、そうだ!」
「店員さんのおススメの本も2・3冊ください!」
時間ギリギリまで本を物色して購入します。

 自分の部屋から……もっと言えば、布団から出るのは必要最低限で。
 さらには、好きな場所へ出かける時のみであるというアドリアン・ラモート(ひきこもりの吸血鬼・h02500)であるが。
 そんな引きこもりなはずの彼が、布団や部屋から出て、今回足を向けたのは――ふと話に聞いた『猫又横丁』。
 このような、狭いながらも活気に溢れていて、人も沢山いるような場所に来ることは余程気が向かないとないレア案件であり。
 そんなアドリアンの気を向かせたのは、横丁にある一軒の店であった。
 そこへ向かう道すがら見かけたのは、ごろんとだらだら、日向ぼっこをしている横丁の猫たち。
 まるで布団のようにぽかぽかした陽気の下、すやぁとお昼寝しているもふもふ猫たちを見れば。
 その気持ちがよく分かって思わず頷きつつ、ほわりと和んだりしながらも。
 辿り着いた目的地――横丁にある古書店で本を探して、暫し時間をつぶすことにする。
 いや、何故布団を出てまで、今回此処へと赴いたかといえば。
「ん~! やっぱ引き籠りのお供と言えば本! 電子書籍も悪くないけど紙の本にしかない良さもなくならないよね」
 お目当てはそう、ころりと寝転がりながらでも楽しめる、ひきこもりのお供の本を探しにきたのだ。
 電子書籍でも活字は普通に楽しめるものの、でも本を開けば、気持ちもわくわくするから。
 ということで、そう緊張感のかけらもない笑顔をふにゃりと浮かべつつも。
 早速うきうき、アドリアンは古書店の中を物色してみることに。
 古書堂内は、通って来た猫又横丁と同じように、狭い店内にぎゅっと沢山の本が積み上げられていて。
 小説から図鑑、絵本や専門書などなど――ごちゃっと雑多に置かれている中から色々と探してみるのも、何だか宝探しみたいだし。
 何より、店内は狭いから、あまり必要以上に移動しなくても事が足りるのが、怠けたい彼には嬉しいところ。
 ということで、アドリアンは気になった本をいくつか手に取ってみて。
「これとこれと、あとこれも面白そう! まだ持てるし、そうだ!」
 全部中身を確認するなんてことは到底できない数だから、ここは専門家にお任せ。
「店員さんのおススメの本も2・3冊ください!」
 そして、寝転がりながらでも楽しめる本を数冊見繕ってもらえば、ほくほく。
 時間ギリギリまで本を物色して沢山買い込めば、アドリアンは満足げに頷く。
 布団の中で過ごす時間が、よりわくわくと楽しみに思えるから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

星村・サツキ
へぇ…ここが猫又横丁。
ふふ、とても賑やかで楽しそうだ。
それにそれに…いい匂いがするね?
ボクは甘味には目がなくってね、ここは一つ食べ歩きしながら堪能させてもらおうかな。
あ、もしボクと同じように一人の人が居るなら声をかけてご一緒するのも吝かではないよ。

まずはたい焼き。ご主人、全味いただけるかい?
食べれるかって?|勿論《とうぜん》っ、てね。
ふふ、出来栄えが素晴らしいと食べるのが惜しくなっちゃうな。

あぁ、次は喫茶にも寄ってみたいな。
クリームソーダが美味しそうだったんだ。
ゆっくりと飲みながら外の喧騒に耳を澄ますのもいいかもしれないね。
…こう言う活気は、心地よくて好きだから。

 月が浮かぶ静かな夜を、ゆるり魔女らしくお散歩するのも良いのだけれど。
 星村・サツキ(厄災の|月《セレネ》・h00014)は、紫と金を湛える瞳をくるりと巡らせて。
「へぇ……ここが猫又横丁。ふふ、とても賑やかで楽しそうだ」
 夜の如き青を帯びた黒髪をふわり躍らせながら、賑やかな狭い通りを歩いてみることにする。
 そんな訪れた横丁は、「猫又横丁」というその名の通り、猫の姿もたくさんで。
 魔女といえば黒猫とは何かと縁深いし、何よりもふもふ可愛らしいし。
 そんな猫たちのように気ままに散策してみるサツキだけれど。
 でもやはり、気になるのは。
「それにそれに……いい匂いがするね?」
 そこかしこから美味しそうな匂いが漂ってくる、絶品の横丁グルメ。
 その中でも特に、サツキがわくわく心躍らせてしまうのは。
「ボクは甘味には目がなくってね」
 そう、甘い物!
 そんな甘くて美味しそうな横丁スイーツを中心に……ここは一つ食べ歩きしながら堪能させてもらおうかな、なんて。
 香ばしくも甘い香りに誘われて、一軒の店に早速足を運んでみれば。
「く、色々食べたからおなかいっぱいだけど……どれにするか……」
 自分と同じように、ひとりで食べ歩きをしている男性の姿が。
 そしてそんな彼――古妖を解き放ってしまった張本人が悩む横で、サツキはこう注文を。
「ご主人、全味いただけるかい?」
 そう、まず堪能するのは、猫型たい焼き。しかも全味です!
 そんな迷いなく頼むサツキの声に、三郎は瞳を大きく見開いて。
「え、全部!? た、食べられるのかい?」
「食べれるかって? |勿論《とうぜん》っ、てね。何なら、ご一緒にどうだい?」
「ひとりでというのも何だし、じゃあ一緒にいいかな……」
 色々と気を紛らわせたいだろう彼に声をかけて、猫型たい焼きを一緒に食べることに。
 そして、甘やかな味は、勿論楽しみなのだけれど。
 じいとふいに手にした猫さんたい焼きと見つめ合いながらも、サツキは笑み零す。
「ふふ、出来栄えが素晴らしいと食べるのが惜しくなっちゃうな」
 とはいえ、甘い物も堪能したいから、はむりと意を決していただきつつも。
 口の中に広がる甘さと美味しさに、ほわりと笑んでから。
「ご主人、また全味いただきたいのだが」
「え!?」
 土産にもまた全味、買っていくことに。
 そして、ひと通り全ての味を三郎と楽しめば、少しは気晴らしができた様子の彼とわかれた後。
「あぁ、次は喫茶にも寄ってみたいな」
 ……クリームソーダが美味しそうだったんだ、と。
 休憩がてら、次に立ち寄ってみるのは「猫執事喫茶」。
 至れり尽くせりの優雅な空間の中、運ばれてきた待望のにゃんこアイスのクリームソーダは、見目も可愛いし。
 先程も沢山食べていたはずだけれど……特に何ということなどない様子で。
 普通に嬉々とした表情で、はむり。
 口にしたにゃんこアイスの甘さに瞳を細めれば、しゅわりとソーダが弾ける音を聞きつつ。
 サツキはクリームソーダをお供に、ゆっくりと外の喧騒に耳を澄まして過ごしてみることに。
 甘やかな味わいに心躍らせながらも……こう言う活気は、心地よくて好きだから、って。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

月夜見・洸惺
わわ、猫さんでいっぱいだ……!
どのお店も気になるものばかりだけど……お仕事もしっかりこなさないと、だね……!

よろず屋「ねこねこ雑貨店」に行こうかな
手袋やニット帽、マフラーとか……冬の防寒具を探せたら
格好良い指抜きグローブは、兄さんが喜ぶかも?
青い猫耳のニット帽も可愛いよね
これと……あとは定員さんのおすすめも聞いてみようかな?

あとはちょっと……聞き込みしてみようかな?
お店から出たら、怪しまれないようにお客さんを装いつつ……あとは、可能なら人のいない路地裏で【ゴーストトーク】を使って、占いの館やお客さんのことについて情報収集してみるよ
何か知っているかもしれないから

 知らなければ通り過ぎてしまうだろう、大通りから1本入った細道。
 けれど足を踏み入れれば、わくわくそわりとしてしまうほど、いろいろなものでいっぱいで。
 それに、くるりと見回してみただけでも、数え切れないほどに。
「わわ、猫さんでいっぱいだ……!」
 月夜見・洸惺(北極星・h00065)の翼も思わずぴこりと出てしまうほど、可愛いもふもふな子でいっぱい。
 そして、気侭な猫さんたちと一緒に、やって来た横丁を歩きながら。
 わくわくしつつも、でもふと、きりり。
「どのお店も気になるものばかりだけど……お仕事もしっかりこなさないと、だね……!」
 此処へと今回赴いた目的は、一見賑やかな様子からは想像できないけれど……何やら不穏な気配があるようだから。
 とはいえ、事が起こるのは夜。
 今はまだ明るい昼間だから、それまで時間は沢山あるし。
 潜んでいるという古妖に、作戦前に気づかれるわけにもいかないから。
 洸惺はまずは横丁を訪れた客として、散策を楽しむことにする。
 ということで、何処を見て回ろうかと考えてみれば。
「よろず屋「ねこねこ雑貨店」に行こうかな」
 様々な品物が並んでいるという、よろず雑貨店へ。
 そんな洸惺の、買い物のお目当てはといえば。
(「手袋やニット帽、マフラーとか……冬の防寒具を探せたら」)
 店内へと入れば、服飾雑貨が置かれている場所へと向かって。
「格好良い指抜きグローブは、兄さんが喜ぶかも? 青い猫耳のニット帽も可愛いよね」
 指抜きグローブを手にしつつ、ちょこんと青色猫耳ニット帽をかぶってみたりして。
(「これと……あとは店員さんのおすすめも聞いてみようかな?」)
 よろず屋というだけあり、所狭しと沢山の商品があるから、店の人におすすめも聞いてみて。
「そうですね、猫型もふもふイヤーマフとか……あと防寒着ではないのですが、人も妖怪も猫もダメになるもふもふあったかクッションは大人気ですよ!」
「人も妖怪も猫もダメになる、もふもふ……」
 そんな魅惑的な言葉に、おもわずそわりとする洸惺だけれど。
 防寒できそうなイヤーマフも追加で買ってみてから。
 戦利品を抱え、ほこほこ店を出た後、再び横丁を歩きながら。
 引き続き、怪しまれないようにお客さんを装いつつも。
(「あとはちょっと……聞き込みしてみようかな?」)
 そっと様子を窺いつつもふと足を向けるのは、人がいない路地裏。
 ……何か知っているかもしれないから、と。
 そして、ゴーストトークを使って、占いの館や客のことを情報収集してみれば。
 聞こえたのは――あの占い師は『思い出を食べる』のだという声。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

リア・カミリョウ
h00634イクサと一緒に!
わあ、ねえ、猫ちゃんいっぱいだよ!リア猫ちゃん大好き!
イクサも猫ちゃん……好きそうね。
お散歩しようよ!
食べ歩きしたいな。どう?
クレープとかもいいんだけど、ここって凄く和じゃない?お団子とか食べたくない?
リアね、三色団子がすき。
イクサは何食べる?

買ったら食べながら、ゆっくりお散歩。
ゆっくり歩くし合わせるね。
まったりするのもいいじゃない?
猫ちゃん蹴らないように、っていうのもあるけどね。
んん〜どの子も可愛いね。
君たちが食べられるもの持ってなくてごめんね。
でも擦り寄ってくれるのね、ありがとう。
鳴き声も可愛いね。にゃんにゃん。

何かお土産買うのもいいよねオソロとか
何がいいかな
イクサ・バイト
リア・カミリョウ(h00343)と一緒に参加。

「うーん、伸びる」
思わず猫の一匹、両脇に手を入れて持ち上げる。
きっと胴がこの上なく伸びることでしょう。
「もちろんいいよ。それじゃ、ゆっくり歩いて回ろうか?」
猫を下ろしてひと撫でして、リアと散歩に行くとしよう。
今はまだすることもないようだし、色々と見て回るのも悪くない。

「妖怪といえば、東洋の神秘の一つだからねぇ」
確かに、雰囲気でいうならお団子の方が似合うと思う。
……どれもおいしそうだけど。

ゆるりと歩く。
リアの心遣いに、こっちも歩調を合わせる。
√EDENに来てからは、するべきことが多くて忙しかったけど、うん。
こういう時間も大切だね。
リアに感謝しなきゃ。

 やって来た横丁は聞いていた通り、狭い道にぎゅっといろんなものがいっぱいで。
 リア・カミリョウ(Solhija太陽の娘・h00343)は円らな瞳をキラキラと輝かせてしまう。
「わあ、ねえ、猫ちゃんいっぱいだよ! リア猫ちゃん大好き!」
 気ままにお散歩していたり、すやすやお昼寝していたり、うにゃっと追いかけっこしていたり。くるりと見渡す光景はそう、ねこねこ、ねこだらけ。
 そして今日もやっぱり一緒に居る幼なじみへと、輝かせた瞳をふと向ければ。
「うーん、伸びる」
「イクサも猫ちゃん……好きそうね」
 思わず猫一匹、両脇に手を入れて持ち上げて――びよーん。
 猫を伸ばしているイクサ・バイト(咬種細胞移植実験被験体一九三号・h00634)も猫好きなことを確信するリア。
 そして、きっと胴がこの上なく伸びることでしょう、なんて思った通り……いや、それ以上に伸びる猫を見つめる彼に、リアはこんな誘いの声を。
「お散歩しようよ!」
「もちろんいいよ。それじゃ、ゆっくり歩いて回ろうか?」
 ということで、抱えていた猫を下ろしてひと撫でした後、イクサはリアと並んで一緒に、猫又横丁をお散歩してみることにする。
 此処へとやって来た目的は星詠みを聞いたからで、遊びに来たというだけではないのだけれど。
 でも、事が起こるのは、暗くなった夜だという話だから。
 古妖や横丁の人達に怪しまれないためにも、イクサはリアと歩き出す。
(「今はまだすることもないようだし」)
 ……色々と見て回るのも悪くない、って。
 そんな横丁は、狭い通りではあるのだけれど。
 沢山の店が並んでいて、見るところもいっぱい。
 そんな中で、リアが気になっているのは。
「食べ歩きしたいな。どう?」
 さっきから良い匂いがそこかしこから漂っている、横丁のグルメ巡り!
 その中でも特に気になるのはやっぱり、横丁スイーツであるが。
「クレープとかもいいんだけど、ここって凄く和じゃない? お団子とか食べたくない?」
「妖怪といえば、東洋の神秘の一つだからねぇ」
 リアの言葉に、イクサもこくりと頷いて返す。
「確かに、雰囲気でいうならお団子の方が似合うと思う」
 とはいえ和洋折衷、横丁グルメは本当に多彩で、イクサは思わずナイショで目移り。
 ……どれもおいしそうだけど、なんて。
 でもだから、横丁の雰囲気にぴったりな団子だって、勿論賛成なわけで。
「リアね、三色団子がすき。イクサは何食べる?」
「この猫のお団子も、すごく伸びるみたいだね」
 リアはころりと色も形も可愛い、猫さんのお顔の三色団子を。
 イクサは、すごく伸びるらしいもっちりにゃん団子を買ってみて。
 ゆっくり食べ歩きしながら、お散歩を。
 リアは隣のイクサに合わせて、ゆっくりと歩いて。
「まったりするのもいいじゃない? 猫ちゃん蹴らないように、っていうのもあるけどね」
 そんな彼女の心遣いや言葉に、イクサもゆるりと同じように、歩調を合わせる。
 それから、ふと――てしてし。
 足元に覚える感触に気づいて、ふと視線を落としてみれば。
「んん〜どの子も可愛いね」
 美味しそうなお団子につられて、甘えるように、にゃーと。
 鳴いては集まってくる猫たち。
 リアはそんな子たちに合わせてひょこりと屈んでから。
「君たちが食べられるもの持ってなくてごめんね。でも擦り寄ってくれるのね、ありがとう」
 なでなでしてあげれば、にゃーんと嬉しそうにすりすり。
 そんな子たちの姿に、リアは微笑む――鳴き声も可愛いね。にゃんにゃん、って。
 そしてイクサは、彼女と猫が戯れる姿を見つめながら、改めて感じる。
(「√EDENに来てからは、するべきことが多くて忙しかったけど、うん」)
 ……こういう時間も大切だね、って。
 幼なじみと過ごすこんなひとときは楽しくて、明るい自分も出やすいから。
 それから猫たちと一通り戯れた後、再び並んで、横丁のお散歩再開。
「何かお土産買うのもいいよねオソロとか。何がいいかな」
 そう首を傾けつつも言われれば、イクサは勿論頷いて返して。
 次はお土産が買えそうなよろず屋に一緒に向かいながらも思うのだった。
 ……リアに感謝しなきゃ、って。
 自分と一緒に居たがってくれる彼女へと、そう改めて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

藤春・雪羽
🐉華龍

こうして連れ出すのも久しぶりだねぇ
前はもっと簡単だったのに、と苦笑

色んな猫の御方が織りなす街だそうだよ
またそんなことを…
夕ちゃん、そういうのは私か身内だけにしておくれよ?
ああ、思う存分楽しむとしようねぇ
隣に並ぶ華の手をひき、咲みをかえす

あの御方は黒…彼方は三毛…
隣で瞳を輝かせる夕蓮を微笑ましく思いつつ
つい視線はもふもふへ

ん?どうした?
歩みを止め、首を傾げる

にぼしのらぁめん…
夕蓮と店とを視線が幾度か往復
変ではないだろうさ
何事も経験してみなくては
ん、これは良い香だねぇ
あちあちと啜り美味しさに咲み

爪を?夕ちゃんはどんなのに…
は?私の?いや、私はだいじょう…
そうだねぇ
夕ちゃんとお揃いならいいよ
欺三・夕蓮
🪷華龍

わたくしが水槽の外に出るのはいつぶりでしょう
歌うように
翡翠の双眸を瞬かせる

猫又横丁…胸の踊る響きですわね
胸の高まりも
それも雪羽…雪とご一緒だからこそ
幼き頃の呼び名で呼びあい
ゆるり尾鰭で穹を泳いで
あなたのお隣へ
今日はたんと楽しみましょう

どれも彩やかで目移りしてしまいますわ
中でも心を惹いたのは…
馴染みのないもの

ね、ねとあなたの袖をひく

雪、わたくし…にぼしのらぁめんを食してみたいのです
魚がさかなを食すのは変でしょうかと小首を傾げ

熱々をあちあちしながら味わえば
なんて美味なのかしら

次は爪を綺麗にいたしましょう
雪羽様の爪の彩りをわたくしに選ばせてくださいまし
ふふ
では揃いに

ほらこんなに愛らしいですわ

 大通りから1本外れたその細道は、まるで秘密の場所へと誘う入口のようで。
 少し歩けば辿り着くのは、人も店も猫のいっぱいの賑やかな横丁。 
 そんな活気溢れる中を、游ぐように歌うように、ゆるりらと。
「わたくしが水槽の外に出るのはいつぶりでしょう」
 欺三・夕蓮(泥中の華燭・h00360)はぱちり、翡翠の双眸を瞬かせる。
 そしてそんな彼女の様子に瞳を細めながらも、藤春・雪羽(藤紡華雫・h01263)はそっと苦笑する。
 ……前はもっと簡単だったのに、なんて。
 とはいえ今日は、そんな館の華を連れ出して一緒に。
「色んな猫の御方が織りなす街だそうだよ」
「猫又横丁……胸の踊る響きですわね」
 暫し巡り歩くは、ねこねこ尽くしな猫又横丁。
 そんな通りをわくわくそわりと行きながら。
 夕蓮は共にゆく幼馴染へと咲う。
 胸の高まりも――それも雪羽……雪とご一緒だからこそ、って。
 その声が耳を擽れば、雪羽はまた苦笑するけれど。
「またそんなことを……」
 柔く瞳を細めれば、こう続ける。
 ……夕ちゃん、そういうのは私か身内だけにしておくれよ? なんて。
 そんな二人だけの秘密で特別な、幼き頃の呼び名で呼びあいながら。
 雪羽がゆるり尾鰭で泳ぐ穹の行先は勿論、あなたのお隣。
「今日はたんと楽しみましょう」
「ああ、思う存分楽しむとしようねぇ」
 雪羽も隣に並ぶ華の手をひいて、咲みをかえす。
 そしてふたり並んで横丁を巡り、見回せば、惹かれるものがたくさん。
「どれも彩やかで目移りしてしまいますわ」
 そう隣で瞳を輝かせる夕蓮を微笑ましく思いつつも。
 でも実は、密かに雪羽もそわり。
 先程から何かと誘惑してくる存在。
「あの御方は黒……彼方は三毛……」
 つい視線は、そんなもふもふへ。
 けれど、あの猫この猫、忙しなくもふもふを目で追うその袖を……ね、ねと。
 そうと夕蓮が引いたのは、特に心惹かれるものを見つけたから。
 それは――馴染みのないもの。
 そして歩みを止めて首を傾げる雪羽に、夕蓮は紡ぐ。
「ん? どうした?」
「雪、わたくし……にぼしのらぁめんを食してみたいのです」
「にぼしのらぁめん……」
 そんな予想外の言葉に、思わず夕蓮と店とを、雪羽の視線が幾度か往復して。
「魚がさかなを食すのは変でしょうか」
 ちょっぴり意外で驚きはしたけれど、小首を傾げる夕蓮に返す。
「変ではないだろうさ」
 ……何事も経験してみなくては、と。
 ということでいざ向かうは、にぼしラーメンが名物だという「猫麺亭」。
 行列に暫し並んで、待ちかねたにぼしラーメンが眼前に出されれば。
「ん、これは良い香だねぇ」
 香ばしい匂いが食欲を擽って。
 早速、出来立て熱々のラーメンをつるりとわくわく啜ってみれば、ふたり仲良くあちあち。
 でもそんなあちあちに、顔を見合わせて笑み咲かせて。
「なんて美味なのかしら」
 その美味しさに、さらに咲みも綻ぶ。
 それから念願のにぼしラーメンを堪能すれば、夕蓮がゆうらり雪羽を連れて足を向けたのは。
「次は爪を綺麗にいたしましょう」
 沢山の彩りを爪先に咲かせてくれるという、ネイルサロン「爪研ぎ屋」。
 そして夕蓮が紡ぐは、もうひとつ。
「爪を? 夕ちゃんはどんなのに……」
「雪羽様の爪の彩りをわたくしに選ばせてくださいまし」
 そんな言の葉に、思わず瞳をぱちりとさせて。
「は? 私の? いや、私はだいじょう……」
 そう言いかけた、雪羽であったけれど。
 今度は逆に、こんな提案を。
「そうだねぇ。夕ちゃんとお揃いならいいよ」
「ふふ、では揃いに」
 というわけで、ふたり咲って頷き合って。
 夕蓮は彩られた互いの爪を見つめ、笑顔を綻び咲かせる。
「ほらこんなに愛らしいですわ」
 自分の爪には彼女の髪のような藤の気配纏う白猫が、彼女の指には自分の濡羽の色をした黒猫が、にゃあと。
 そんな交換こして彩った2匹を、仲良く並べてみせて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

早乙女・伽羅
【🖼🐈】
横丁散策の後、またたび居酒屋にて

しかし、居酒屋でよかったのか?
年頃の娘ならば他に――
どうやら彼女たちなりに楽しんでいるようだ
野暮は言うまい
熱燗に心惹かれるが今は熱いお茶にしておこう

先刻行った店は面白かった
「猫又横丁に爪研ぎ屋」というのを考えた猫又は商売上手に違いない
(先端が丸く整えられ、ぴかぴかになった爪をにゅっと出して眺める)
年嵩の男が店に入るのもどうかと最初は思ったが
普段自分でしていることを「プロにやってもらう」のは気分が良い
実はな、左の親指の爪に、ほら
正月風の意匠だ

おかわりを頼もうとメニューを見る
む、――またたび茶?
(一瞬迷うが頭を振って)
いやいや、今は大人としての分別をだな
百蓮寺・めあり
【🖼🐈】

先ほどの爪研ぎ屋は老若ニャン男女様々でしたわね
わたくしはお花を描いていただいたの
爪先から春が来るようだわ
伽羅さんはお爪意外と長いですのね!縁起よしですわね
セイラさんはお爪の形がとても美しいのね…映えますわ!

居酒屋の空気感には馴染みがなく浮かれ
背伸びしておつまみなど人気メニューにも挑戦してみましょう
にゃあにゃあと騒めきが幸せすぎますわね
お話も楽しくて、くつろぎの境地ですわ
これが酔っ払うというということかしらにゃあ…

せっかくだから夏梅茶というのも一つ
あら、またたびと読みますの?
でしたら伽羅さんお好きかしら
おほほ、良い香りですわよお、ねえセイラさん
セイラ・ノートルダム
【🖼️🐈】

散策を愉しんだのち『またたび居酒屋』へ
酒はまだだが、しょっぱいつまみが食べたいぞ

先に寄った『爪研ぎ屋』の体験を語らう
薄ピンクのフレンチネイルに変貌した自身の爪を眺め
はははっ、年頃の娘らしいことをしておるわぁ
仕上がりは三者三様——指先を見せ合って
めありは華やぎぶりに、伽羅殿は紳士ぶりに
磨きがかかっておる

居酒屋の独特な空気は√EDENと変わらんなぁ
空気で酔っ払ってしまわんようにな
ではわしも“夏梅茶”なるものを頂こう
みなでつつけそうな食事を見繕いながら
……もしや、ここでは本場の“ねこまんま”が頂ける?

おや、猫又もまたたびには弱いのか
興味があるなぁ——などと言っては悪いか、はははっ

 所狭しと並ぶ店々の合間から見えるのは、お出かけ日和の青い空。
 つまり、今の刻は昼間なのであるのだけれど。
 昼だろうが夜だろうが、気侭な猫だらけのこの場所ではきっと些細なことであるのだろう。
 訪れた「猫又横丁」をぐるりと散策し、愉しんだ後。
 早乙女・伽羅(「猫又」の画廊店主・h00414)が今、腰を落ち着けているのは、昼から開いている「またたび居酒屋」。
 けれどいささかこの現状に、ふと伽羅はこうも思ってしまう。
(「しかし、居酒屋でよかったのか?」)
 そして、年頃の娘ならば他に――なんて。
 ちらり見遣るのは、本日の連れであるふたり。
 横丁には、年頃の乙女の心を擽るようなスイーツなんかも沢山あったのだけれど。
 そんな伽羅曰く、確かに年頃の娘である百蓮寺・めあり(木々蓮華・h00829)とセイラ・ノートルダム(雷火は吼えているか・h01755)のふたりはといえば。
「酒はまだだが、しょっぱいつまみが食べたいぞ」
「わたくしも、おつまみなど人気メニューにも挑戦してみましょうかと」
 居酒屋の空気感には馴染みがなく浮かれて、ちょっぴり背伸びしてみたり。
 好物のしょっぱいおつまみや熱い茶に、うきうきしたりしているから。
(「……どうやら彼女たちなりに楽しんでいるようだ」)
 ――野暮は言うまい、とお品書きをぱらり。
 刹那、お耳がぴこりとしてしまうけれど。
 伽羅はふたりの様子を見守りながらも、彼女たちのおつまみと共に店員に注文する。
(「熱燗に心惹かれるが……」)
 でも大人としての分別で、今は熱いお茶にしておこう――と。
 そして熱いお茶をふーふーしつつ、ゆるりと語らいを。
「先刻行った店は面白かった。「猫又横丁に爪研ぎ屋」というのを考えた猫又は商売上手に違いない」
 横丁巡りの際に寄った『爪研ぎ屋』の体験を。
 いや、ネイルサロンだと聞いた時は、年嵩の男が店に入るのもどうかと最初は思ったのだが。
「普段自分でしていることを「プロにやってもらう」のは気分が良い」
 そう伽羅がにゅっと出して満足げに頷き眺めるのは、先端が丸く整えられてぴかぴかになった右手の爪。
 セイラも先程彩ってもらった己の爪を見つめながら、しょっぱいおつまみを嬉々と摘まんで口に運んで。
「はははっ、年頃の娘らしいことをしておるわぁ」
「先ほどの爪研ぎ屋は老若ニャン男女様々でしたわね」
 めありも、花のかんばせに連れた極果のひとみを細め、笑みと共にふたりの前に咲かせる。
「わたくしはお花を描いていただいたの」
 ……爪先から春が来るようだわ、なんて。
 彩られ綻ぶ、春の花咲く指先を。
 それから隣の彼女の爪を見れば尚、ほわりとはしゃぐように笑んで。
「セイラさんはお爪の形がとても美しいのね……映えますわ!」
「薄ピンクのフレンチネイルにしてもらったぞ!」
 お洒落に変貌した自身の爪を眺め、セイラもふたりに披露する。
 いや……何も、爪を飾って貰ったのは、年頃の娘であるふたりだけではなくて。
 伽羅は満を持して、左手も、にゅっ。
「実はな、左の親指の爪に、ほら。正月風の意匠だ」
 しゃきんと見せるのはそう、猫さんだるまが描かれた左の親指。
 そんな仕上がりは三者三様――それぞれらしい指先を見せ合って
「伽羅さんはお爪意外と長いですのね! 縁起よしですわね」
「めありは華やぎぶりに、伽羅殿は紳士ぶりに、磨きがかかっておる」
「自分で爪を研ぐ際は、暫くは少々気を付けなければだな」
 爪先だけでなく、話にも咲き誇る楽しい彩り。
 それからセイラはふたりとのお喋りに興じつつも、改めて、賑やかな店内をくるりと見回してみて。
「居酒屋の独特な空気は√EDENと変わらんなぁ」
「にゃあにゃあと騒めきが幸せすぎますわね。お話も楽しくて、くつろぎの境地ですわ」
 そう頷くめありは、ふわふわふにゃん……?
「これが酔っ払うというということかしらにゃあ……」
「空気で酔っ払ってしまわんようにな」
 そんな、すっかり空気に酔い痴れてふにゃあとなっているめありと楽しそうに笑うセイラを微笑ましく眺めつつ。
 伽羅は、猫だるまがちょこり覗く手で湯飲みを握り、まだ熱い茶をふーふーながらも、改めて思うのだった。
 大人として、酒にせず熱いお茶にした自分の判断は間違っていなかった、と。
 でも、そろそろふたりの飲み物やおつまみも減ってきているから。
 おかわりを頼もうと再びメニューを見れば。
 セイラも、皆でつつけそうな食事をと見繕いながらお品書きを眺めて。
 めありはふと、気になったお茶を指しつつ、こう追加を。
「せっかくだからこの夏梅茶というのも一つ」
「ではわしも“夏梅茶”なるものを頂こう」
 そして……もしや、ここでは本場の“ねこまんま”が頂ける? なんてセイラが何気に思っていれば。
 伽羅のお耳が、ふいにぴこぴこ。
「む、――またたび茶?」
 その声を聞けば、めありは小さく首を傾けてみせて。
「あら、またたびと読みますの? でしたら伽羅さんお好きかしら」
 一瞬だけ、尻尾が大きくゆらゆら揺れてしまった気がしたけれど。
 伽羅はすぐにふるふると、頭を振って返す。
「いやいや、今は大人としての分別をだな」
「おや、猫又もまたたびには弱いのか」
 だがそんな彼の反応に、セイラも楽し気にそう笑って。
「興味があるなぁ——などと言っては悪いか、はははっ」
「おほほ、良い香りですわよお、ねえセイラさん」
 ふたりの言葉にそわりとしながらも、だがやはり、ここは大人として。
 ようやく熱くなくなった普通のお茶を啜っておく伽羅であった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

椿紅・玲空
【樂園】

本当に猫又と猫が沢山…
触らせてくれたりするだろうか?
ソワリ、白虎の耳尻尾がはためく

行き先を決めずつい勢いで来てしまったな
猫型たい焼きと猫執事喫茶のメニューが気になっているんだが…
気になるものはあるか?

なら、横丁で食べ歩きといこう
色々な体験が出来そうだし

なら私はハチワレ抹茶に
…見た目も可愛らしいな
ん、美味しいし抹茶の香もいい
イサは相変わらず小食だね
ラズリの私がもらおうか?

ダブルアイスクリンは苺とキャラメル
一口味見してみるか?
ララはよく食べるな…

みんなで来るとやはり楽しい
心地良い賑やかさに微笑み
次は雑貨屋で記念のお土産を見に行かないか
桜良とラズリの案、いいな
桜猫を探しに行こうか
ララ・キルシュネーテ
【樂園】

猫さんだらけだわ
ふわふわなしっぽに耳
ララ、手触りがよいものはすきよ

猫の宝物、すてきなものがきっとたくさんみつかるわ
美味しそうな香り…猫型のたい焼きがあるの?
玲空、ララも食べたいわ
桜良は白猫カスタードにするのね
ララは茶トラちょこにするわ
あら…イサ
食べきれないならララが食べてあげる
ラズリももう食べないの?
ララがもらってあげるわね

食べ歩き、名案ね
猫耳プリンアラモードと猫顔パンケーキ、にゃんこアイスのクリームソーダには白猫アイスをのせる
可愛い猫ねと微笑みながら味わうわ

おいしかった
お前達とでかけるのは楽しいわ
お土産も買っていきましょう
笑顔を彩るものは多い方がいい
桜色の猫?
賛成、ララはそれにするわ
花篝・桜良
【樂園】

ほんとだ~みんなかわいいね
おいで猫ちゃん

ふふふ、行き当たりばったりのお出かけ大好きだよ~思わぬ発見があると嬉しいから。

どの食べ物も猫っぽい見た目でかわいいねぇ
デザート系も、お惣菜系もたべたいなぁ
猫型たい焼き~!ねえねえ可愛すぎる。
桜良、白猫カスタードたべたい
みんなは、どれにする?

あはは、美味しいものはいくらでも詰めれちゃうよね。

楽しくて、美味しくてしあわせな時間
あ、あのね
お土産屋さんで、お揃いのものほしいなぁ
わあ、桜色のねこちゃんかわいいね。
ふふ……宝物だなぁ、嬉しい…
鴛海・ラズリ
【樂園】

玲空も猫さんと同じ尻尾の動きね
ゆらゆら尻尾を視線で追い掛けくすりと
猫さんの空間にいるだけで癒されるの
おいでおいで、遊びましょ

食べ歩きは大賛成
早速可愛らしい猫のたい焼きをじいと見つめて
これを…食べるの…勿体無いきもち…!
私は三毛猫チーズにしてみるね
チーズを伸ばしちまりちまりと食べ進め
イサ、もう限界なの?実を言うと私も
でも貴方は沢山食べなきゃ…あ、ららが見ているわ
すごく、イサのたい焼きを
らら…私のも味見してみる?
わ、玲空も食べてくれるの?

いっぱい食べ歩きをして皆の様子に微笑み
猫さんと可愛い食事と一緒にこっそり写真撮影

桜良、素敵な提案!
お揃いのにゃんこ、持ちたいね
桜色の猫なんて、どう?
詠櫻・イサ
【樂園】

本当だ
どこもかしこも猫だらけだな
まぁでも、玲空も猫みたいなものでは?
猫には興味無いよみたいな雰囲気をだしつつも猫は好ましく、隙あれば触りたい気持ちもあり
あちらこちらを見渡してしまう

歩きながら気になる店に入ればいいんじゃない?
偶然の出会いもあるかも

…猫型たい焼きね
俺は黒猫あんこにする
どれも美味しそうだなと味わうも半分で満腹だ
ラズリ、お前もか?
聖女サマに食べ残しは抵抗が…あ、有無言わせない眼差しだ
…ほら、食べろよ…

それから皆の後について横丁を巡ろう
猫だらけだな…

うわ、本当によく食うなララ!
小さい身体のどこに消えてるんだか

土産か…桜良のに賛成
お揃いの猫買っていこう
桜色の?いいぜ、それにしよう

 知っている人しか気づかないような、そんなひっそりと伸びる横道は、まるで秘密の入口のようで。
 足を向ければそこに満ちているのは、活気ある賑やかな声とそこかしこから漂ってくる美味しそうな匂い。
 猫の額のような狭い通りの両側には犇めくように店々が並んでいて。
 訪れている沢山の人々の姿と――そして。
「猫さんだらけだわ」
 ねこねこいっぱい、猫だらけ。
 アネモネの彩咲く双眸をくるりと巡らせるララ・キルシュネーテ(白虹・h00189)の瞳にも沢山の猫の姿が、にゃー。
 椿紅・玲空(白華海棠・h01316)も、ララの声にこくりと頷きながら周囲を見回して。 
「本当に猫又と猫が沢山……」
「本当だ。どこもかしこも猫だらけだな」
 詠櫻・イサ(深淵GrandGuignol・h00730)がふと目を向けるのは、そんな猫たち……を見つめる、玲空の姿。
 だって、じいと猫たちへと向けられている花海棠抱く瞳がキラキラ。
 そして猫たちとお揃いで、ぴこぴこゆうらり。
「触らせてくれたりするだろうか?」
「まぁでも、玲空も猫みたいなものでは?」
 白虎の耳尻尾が、ソワリとはためいているから。
 鴛海・ラズリ (✤lapis lazuli✤・h00299)も、思わずくすり。
「玲空も猫さんと同じ尻尾の動きね」
 そんなゆらゆら白虎さん尻尾を視線で追い掛ければ。
 そしてララも、目の前の沢山のもふもふな子たちにそっと、とててと近寄って。
「ふわふわなしっぽに耳。ララ、手触りがよいものはすきよ」
 花篝・桜良(天使嗓音・h01208)は、京楽にゆるむ瞳を猫のように無邪気に細めて。
「ほんとだ~みんなかわいいね。おいで猫ちゃん」
「おいでおいで、遊びましょ」
 ラズリも一緒に手を差し出してみれば、もふもふ、ふにっ。
 ふわふわな毛並みとふにふに肉球の感触に、ほわりと瞳を細める。
 ……猫さんの空間にいるだけで癒されるの、って。
 そしてそんな猫と戯れる彼女達の様子を、猫には興味無いよといるう風に眺めるイサだけれど。
 でも、にゃーんと鳴く猫たちは好ましいし。
(「隙あれば触りたい気持ちも」)
 しれっと、もふもふなでなでしたいっていう気持ちは心の中で。
 けれどやっぱり、きょろりと猫たちを見渡してしまって。
 ふいに足元をてしてしする子に気づけば、そうっと手を伸ばしてもふもふ。
「行き先を決めずつい勢いで来てしまったな」
 猫を撫でてあげつつも、そうふと首を傾ければ。
「ふふふ、行き当たりばったりのお出かけ大好きだよ~思わぬ発見があると嬉しいから」
「猫型たい焼きと猫執事喫茶のメニューが気になっているんだが……気になるものはあるか?」
「美味しそうな香り……猫型のたい焼きがあるの? 玲空、ララも食べたいわ」
「歩きながら気になる店に入ればいいんじゃない? 偶然の出会いもあるかも」
「猫の宝物、すてきなものがきっとたくさんみつかるわ」
 こんな皆でわいわい交わす作戦会議もまた、楽しくて。
 桜良は改めて、賑やかな横丁の風景に、瞳をくるり。
「どの食べ物も猫っぽい見た目でかわいいねぇ。デザート系も、お惣菜系もたべたいなぁ」
「なら、横丁で食べ歩きといこう。色々な体験が出来そうだし」
「食べ歩き、名案ね」
「食べ歩きは大賛成」
 まず楽しむことにするのは、やはり猫だらけな横丁グルメの食べ歩き!
 それから、玲空も気になっていると言っていた店を発見。
「猫型たい焼き~! ねえねえ可愛すぎる」
「……猫型たい焼きね」
 思わずわぁとはしゃぐように声を上げた桜良の隣で、イサがそうふと呟きを落とせば。
 ラズリも早速可愛らしい猫のたい焼きをじいと見つめてしまう。
「これを……食べるの……勿体無いきもち……!」
 キュートすぎる猫さんをぱくりと食べちゃうなんて、勿体無い気もちょっぴりしちゃうのだけれど。
 でもやはり、猫型たい焼きは美味しそうなことには違いないから。
「桜良、白猫カスタードたべたい。みんなは、どれにする?」
「桜良は白猫カスタードにするのね。ララは茶トラちょこにするわ」
「俺は黒猫あんこにする」
「……見た目も可愛らしいな。なら私はハチワレ抹茶に」
「私は三毛猫チーズにしてみるね」
 それぞれが気になった猫を選べば、ますます猫だらけ。
 そして皆で一緒に、まずはひとくち――はむり。
「ん、美味しいし抹茶の香もいい」
 こくりと満足げにそう頷く玲空の横で、ラズリもちまちま口にしながらもチーズをびよーん。
「どれも美味しそうだな」
 イサも黒猫あんこを味わいつつ、皆の選んだ猫さんを見遣るのだけれど。
「半分で満腹だ」
「イサは相変わらず小食だね」
「イサ、もう限界なの? 実を言うと私も」
 そう首を小さく傾ける玲空に続いて、ラズリもそう口にすれば。
「ラズリ、お前もか?」
「でも貴方は沢山食べなきゃ……あ、ららが見ているわ」
 イサの声に頷きつつも、ララの視線に気づく。
 すごく、ひたすら、イサのたい焼きをじいと見つめるララの姿に。
 そしてイサも自分の手元に向けられている熱い視線に気づいて。
「聖女サマに食べ残しは抵抗が……」
「あら……イサ。食べきれないならララが食べてあげる」
「……あ、有無言わせない眼差しだ」
 そうわくわくと紡がれれば……ほら、食べろよ……とお裾分け。
 そして、嬉々と黒猫あんこを頬張るララに、ラズリはこんなお誘いを。
「らら……私のも味見してみる?」
 勿論、ララはこくりとすぐに頷き返して。
「ラズリももう食べないの? ララがもらってあげるわね」
 でもララひとりにだけというのもだしと、玲空も。
「ラズリの私がもらおうか?」
「わ、玲空も食べてくれるの?」
「あはは、美味しいものはいくらでも詰めれちゃうよね」
 皆で連携すればほら、ぺろりと美味しく完食です!
 それから猫型たい焼きを食べ終われば、腹ごなしを兼ねて。
 横丁グルメを楽しむべく、食べ歩き。
「猫だらけだな……」
 皆の後について横丁を巡りつつも改めて言ったイサの言葉通り、横丁は猫だらけで。
 お散歩やお昼寝をしている本物の猫だけでなく。
「にゃんこ親子のダブルアイスクリンは、苺とキャラメルに。一口味見してみるか?」
 並ぶ美味もそう、猫尽くし。
 それから休憩を兼ねて入った「猫執事喫茶」でも。
 ララはが注文するのは、猫耳プリンアラモードと猫顔パンケーキ、にゃんこアイスのクリームソーダは白猫アイスのせで。
 ……可愛い猫ね、と微笑みながらはむはむ味わう、のだけれど。
「ララはよく食べるな……」
「うわ、本当によく食うなララ! 小さい身体のどこに消えてるんだか」
 あれだけ食べてまだ全然余裕そうなララと並ぶ甘味たちに、玲空とイサも思わず瞳を瞬かせるも。
 ラズリもいっぱい食べ歩きをして、皆の様子に微笑みながら。
 猫さんと可愛い食事と一緒に――ぱしゃり、こっそり写真撮影を。
 それから勿論ララははむはむ、大量にあったスイーツを問題なく全て平らげてから。
「おいしかった。お前達とでかけるのは楽しいわ」
 満足げなララの声や姿に瞳を細めつつ、同意するように頷く玲空。
「みんなで来るとやはり楽しい」
 心地良い賑やかさに微笑みながら。
 それからこう、皆へと提案してみる。
「次は雑貨屋で記念のお土産を見に行かないか」
「お土産も買っていきましょう」
 そんな彼女の言葉に、ララも頷く……笑顔を彩るものは多い方がいい、って。
 桜良も、楽しくて、美味しくてしあわせな時間に笑み咲かせつつも。
 ふいに皆へと視線を向け、続ければ。
「あ、あのね。お土産屋さんで、お揃いのものほしいなぁ」
 すぐにうんうんと皆も頷いて返して。
「土産か……桜良のに賛成。お揃いの猫買っていこう」
「桜良、素敵な提案! お揃いのにゃんこ、持ちたいね。桜色の猫なんて、どう?」
 さらに付け加わるのは、ラズリの桜猫さん案。
「桜色の? いいぜ、それにしよう」
「桜色の猫? 賛成、ララはそれにするわ」
「桜良とラズリの案、いいな」
「土産か……桜良のに賛成。お揃いの猫買っていこう」
 ということで、文句なしの満場一致。
 玲空は、次のわくわくな横丁巡りの作戦を改めて口にする――桜猫を探しに行こうか、って。
 それから桜良は皆と一緒に、雑貨屋で桜猫を見つければ。
「わあ、桜色のねこちゃんかわいいね」
 ほわりと笑み咲かせ、お揃いで大事に連れて帰る。
 ――ふふ……宝物だなぁ、嬉しい……、って。
 美味しいもの、かわいいものに、お喋りやお買い物――楽しいと猫がいっぱいの横丁を、まだまだ皆と目一杯楽しみながら。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

夜鷹・芥
玖音(h01131)と初対面

さァて依頼は迷い込んじまった猫捜しと古妖退治
調査がてらぶらり横丁を暢気に逍遥してみせて
みゃあ。耳に届く猫の鳴き声ひとつ
足元に不意に接触する感覚

――迷子か?
じっと見上げてくる小さな少女へ尋ねて
猫さんじゃなくて悪ィな、…御名答。狐だ。
面で覆う口元と狐を示す指先でコン!と鳴く

ぐう。良きタイミングの腹の音は何方のものか
はあ、と溜息混じり。休憩だって必要だ
なあ、好きなもんや食いたいのを言ってみな
小さく答えた言葉は聞き漏らす筈もない
パンケーキ、食いにいくか
帰るまで腹が鳴らないようにな

折角の猫が犇めく猫横丁
通りすがるだけじゃ勿体無ぇし
狐が猫に染まってみるのも、まあまあ悪くない
千木良・玖音
芥(h00864)と初対面

あ、猫さん…!
見かけた猫にふらり付いていく
そうして迷い込んだ横丁

あれ、猫さんどこ…?
あっち?こっち?
その矢先
どんっと誰かにぶつかって

ご、ごめん、なさい!
ぱっと見上げた先に見えた狐の口面
猫さ…じゃない…狐、さん?化け…た?
猫を捜していたからまだ思考はふわふわ
お顔はよく見えないけど
面が珍しくてじーっと見上げてたら
あ、狐さんご挨拶してくれた!
お目々はきらきら好奇心

そこで、ぐう、と鳴るお腹虫
慌ててお腹を隠すけど
あれ?おにーさんも鳴った…?

…パンケーキ、って気付いたら零れ落ちてて
すぐお口を塞いだけど、聞こえちゃった…?
だけど狐さんへの興味も重なって
猫さんがくれたご縁に今は甘えて

 尻尾をゆうらり、お耳をぴこぴこ、てくてくひょこり。
「あ、猫さん……!」
 気ままに歩いている猫を見かければ、千木良・玖音(九契・h01131)もその後を追いかけてふらり、とことこ。
 そうして迷い込んだ猫の細道の先――辿り着いたのは「猫又横丁」。
 けれど、沢山の人の姿や賑やかな声に気を取られて、きょろりと周囲を見回したら。
「あれ、猫さんどこ……?」
 いつの間にか、追いかけていた猫さんがいなくなっていて。
 ……あっち? こっち? ときょろきょろ。猫を探して、横丁の奥へと。
 だが何も、この場所で猫を探しているのは、玖音だけではなくて。
(「さァて依頼は迷い込んじまった猫捜しと古妖退治」)
 夜鷹・芥(stray・h00864)だって、猫を探し中。
 古妖退治の方は、古妖と接触できるまでまだ時間があるから。
 調査がてらぶらりと、横丁を暢気に逍遥していれば……みゃあ。
 耳に届くは、猫の鳴き声ひとつ。
 それから足元に目を落とせば、瞬間――どんっ、と。
 不意に何かが接触する感覚。
 そして芥が向けた視線が捉えたのは、猫……ではなくて。
「ご、ごめん、なさい!」
 ちいさい生き物はちいさい生き物でも、ひとりの女の子であった。
 芥にぶつかってしまった玖音は、慌てて謝りながらも、ぱっと相手を見上げれば。
 その先に見えたのは、狐の口面。
 そんな黒狐さんの姿に、思わずぱちりと瞳を瞬かせて。
「猫さ……じゃない……狐、さん? 化け……た?」
 まさに、狐につままれたかのように、きょとり。
 いや、猫さんを捜していたから、玖音の思考はまだふわふわで。
 お顔はよく見えないけれど、狐さんの面が珍しくて、じーっと見上げていたら。
 ひょいと同じ視線に屈んで、狐さん……芥は、ちいさい彼女に尋ねる。
「――迷子か?」
 そして……猫さんじゃなくて悪ィな、なんて続けるけれど。
「あ、狐さんご挨拶してくれた!」
「……御名答。狐だ」
 好奇心できらきらしたお目々を見れば――コン!
 面で覆う口元と狐を示す指先で鳴いてみせる。
 そしてふいに耳に聞こえたのは、コンコンでもニャーでもなくて。
 ――ぐう。
 お腹の虫が、ふたつ。
 玖音は、鳴っちゃったお腹をわたわた慌てて隠すのだけれど。
 聞こえた音がひとつだけではないことに気づいて。
「あれ? おにーさんも鳴った……?」
 再びじいと見つめられれば、はあ、と溜息混じり。
「休憩だって必要だ」
 ということで、芥は彼女へと訊ねてみる。
「なあ、好きなもんや食いたいのを言ってみな」
 そして聞こえたのは、小さく紡がれたこんな声。
「……パンケーキ」
 けれど気付いたら零れ落ちちゃっていた言葉に、すぐにお口を塞いじゃう玖音。
 それから、聞こえちゃった……? なんて、ちらりと狐さんを見遣れば。
「パンケーキ、食いにいくか」
 ……帰るまで腹が鳴らないようにな、って。
 腹ペコ仲間の答えは当然、聞き漏らす筈もない。
 そしてそんな芥の声に、ぱちりと瞳を瞬かせながらも。
 狐さんへの興味も重なって、玖音はとてとて、彼の後をついていくことに。
 今度は見失わないように、ちょんと狐さんの服の裾を掴ませて貰いながら。
 猫さんがくれたご縁に、今は甘えて。
 芥も彼女が逸れないよう、ゆるりと歩調を緩めつつも。
(「折角の猫が犇めく猫横丁、通りすがるだけじゃ勿体無ぇし」)
 ――狐が猫に染まってみるのも、まあまあ悪くない、なんて。
 猫だらけの横丁をふたり、今度はパンケーキを探しに。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

尾崎・光
姉さん(h00483)と。
まだ準備中の店(片時雨)の内装を探しに。
姉さんの気に入りそうな物があれば。
姉さん、一緒に選びやすいように降りてきてくれないかな?
(手を差し伸べて)
一輪挿しや小物引出、それから壁掛け時計か……姉さんはどう?
そうだね。形は好きなんだけど音が気になるよね。
時計はまた今度にしてと。豆皿は使うかな?
全部ばらばらなんだ。何枚か買うから少し割引しない?
相談中にふくふくとした雀が仲良く枝に並んでいる飾り皿を見つけた。
姉さんをちらっと見てひとつ頷く。
いいね、メインで飾るのにこれも貰おうかな。

買い食いは姉さんとは出来ないし今日はもう…
そうだね。旅団のみんなに何か買っていこうかな。
尾崎・閃
(弟・h00115 と。
私は話せませんし自我もないそうですから
ふわふわとついて行くだけです。

√能力《ゴーストトーク》を使えば話せますが強制のようで嫌だそうです。なんとなく意思の疎通は出来るので確かに問題はありません。
手を差し伸べられれば勿論降ります。

お店を覗くたび楽しそうに話し掛けて来ますが手に取りませんね。
時計を前に私に視線を寄越しましたがそれは選ばないでしょう?
私たちの時間は止まっていますから。
問題は感じますが時間に委ねるしかないのでしょうね。
飾り皿に苦笑してしまいましたがバレなかったでしょうか。

袖を引くにもこの指はすり抜けますが、気づきましたね?
顔見知りにお土産くらい買ったらどうです?)

 妖怪百鬼夜行の裏路地に店を構える、煉瓦調のレトロな煙草屋。
 それがたとえ居座る言い訳だとしても、いつまでも準備中というわけにはいかないから。
 尾崎・光(晴天の月・h00115)は今日は、まだ準備中の店――『片時雨』の内装を探しに。
(「姉さんの気に入りそうな物があれば」)
 姉の、尾崎・閃(微睡む朝霧・h00483)と一緒に。
 とはいえ、閃は話せないし自我もないようで、弟の傍に無表情でふわふわとついて行くだけ。
 いや、√能力のゴーストトークを使えば、話せはするのだけれど。
 光曰く、強制のようで嫌だということだし、なんとなく意思の疎通は出来るから、確かに問題はないのである。
 そしてふわふわ浮遊している姉に、光は手を差し伸べて。
「姉さん、一緒に選びやすいように降りてきてくれないかな?」
 そう告げれば、ゆうらりふわり、勿論降りてくる閃。
 ということで、いくつか雑貨店を巡った後。
 次に足を向けたのは、様々なものが雑多に並ぶ、横丁のよろず屋。
 光は早速、店に置くのに良さそうな品物を吟味し始めて。
「一輪挿しや小物引出、それから壁掛け時計か……姉さんはどう?」
 これまでも店を覗くたび楽しそうに話し掛けて来る光であるが、閃は手に取らないし。
 時計を前に視線を寄越してきた時には――それは選ばないでしょう? と。
 そう言わんばかりに、ふるふる、ゆうらり。
 だって、時計なんて無縁なもの――自分達の時間は、止まっているのだから。
 いや、問題は感じるものの、時間に委ねるしかないという現状でしかないのだ。
 そしてそうゆらりすぐ傍に在る姉の様子に、光は頷いて返して。
「そうだね。形は好きなんだけど音が気になるよね。時計はまた今度にしてと。豆皿は使うかな?」
 次に手に取ったのは、豆皿セット……かと思えば。
「全部ばらばらなんだ。何枚か買うから少し割引しない?」
 よく見ればセットではなくバラであったので、店主に値引き交渉を。
 そしてそんな値段の相談中に、ふと見つける。
 ふくふくとした雀が仲良く枝に並んでいる飾り皿を。
 それから姉をちらっと見て、光はひとつこくりと頷く。
「いいね、メインで飾るのにこれも貰おうかな」
 そして、弟はその飾り皿を見つけて、満足な様子だけれど。
 閃が、飾り皿に苦笑してしまったのはきっと、バレなかったはず……?
 ということで、光はいくつか商品を購入し、買い物を済ませば。
「買い食いは姉さんとは出来ないし今日はもう……」
 光は横丁を歩きつつ呟くも――顔見知りにお土産くらい買ったらどうです? なんて。
 閃がそう思って袖を引いたとしても、その指はすり抜けてしまうのだけれど。
 でもふと姉を見て、光は頷いて返す。
「そうだね。旅団のみんなに何か買っていこうかな」
 ゆらり傍で浮遊する姉のそんな思いに、ちゃんと気づいて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

神無・未来
【Q&A】

私には感情が無い。私の言葉だけでは些か説得力に欠ける。
だから想の言葉を聞いてもらう必要がある。
多くの人が彼を癒そうとするとは思うけれど。

想と一緒に食べ歩きをしましょう。
猫型パンのサンドイッチを食べながら。封印を解いた人間を探す。
サンドイッチは1個、その人のために余らせる。

……食べ歩き、何が楽しいの?
と言うけれど、想と一緒に感じるこの“楽しい”は、完全に知れなくても、知るだけでもいいものだと知っている。

見つけたら、想の言葉を助けるように、私もフォローをする。
誰もが自分の願いの為に必要なものを探している。
それを望むことで誰が喜ぶか、悲しむのか……
それを考えられるのが、最善だと思うわ。
新見・想
【Q&A】

猫はとても好きだよ!!
なので未来と一緒に食べ歩きだー!
ねえねえ美味しいね普通のサンドイッチと違う食べたことない味する!

でももう一人の為に1個残さなきゃね!
って感じで食べ歩きしながら封印を解いた人を探すよ!

見つけたら優しく声をかけて、サンドイッチをあげます!
一緒に食べる?

それでお話を聞きます……そっか。
わたしも偶に考えちゃうんだ、自分の願いの為に、唆されたら。
わたし未来の為ならなんだってしちゃうなって思うもん。

でも、それで未来を危険な目に遭わせちゃったことだってある。

本当に仕方のないことだったと思うけれど、それで大事な人を悲しませたく、ない。
だっていつでも笑っていてほしいから、ね!

 足を踏み入れた「猫又横丁」は、活気に溢れていて賑やかで。
 訪れた多くの人達が此処で、笑ったり楽しんだり、時には泣いたり怒ったりもしているのだろう。
 そんな、様々な声が沢山聞こえてくる中を歩きながらも。
 神無・未来(“ふしあわせ”な|人間《ちぐはぐ》・h00330)には、わかっていた。
(「私の言葉だけでは些か説得力に欠ける。だから想の言葉を聞いてもらう必要がある」)
 きっと多くの人が彼――古妖を解き放ってしまった人物・三郎を癒そうとするとは思うのだけれど。
 今回此処を赴いた目的は、古妖の封印を解いてしまった彼の心のケアと古妖退治のためである。
 でも、未来には感情が無い。だからきっと、何を言ってもあまり説得力がないだろうし。
 だからこそ、かわりに想の言葉を聞いてもらう必要がある、と。
「猫はとても好きだよ!!」
 ……なので未来と一緒に食べ歩きだー! なんて。
 うきうき歩く隣の彼女を見遣れば。
「ねえねえ美味しいね普通のサンドイッチと違う食べたことない味する!」
「……食べ歩き、何が楽しいの?」
 頭に浮かんだことをオブラートに包まずに言う癖が度々ある故に、そう返すけれど。
 でも、未来はこうも知っているから。
 想と一緒に感じるこの“楽しい”は、完全に知れなくても……知るだけでも、いいものだと。
 だから、わからなくても、知るために。
 想と一緒に食べ歩きをする未来。
 それから、調達した猫型パンのサンドイッチを食べながらも。
「でももう一人の為に1個残さなきゃね!」
「サンドイッチは1個、封印を解いたその人のために余らせないと」
 サンドイッチを全部食べずに残しておくのは、彼が二度と過ちを繰り返すことのないよう言葉をかける時のため。
 だから想と未来は、食べ歩きしながら封印を解いた彼・三郎を探せば。
「サンドイッチ、一緒に食べる?」
「え、俺に? 今日は横丁グルメやけ食い制覇予定だから……いただきます」
「何だか元気がないようだけど、どうしたの? 話を聞くよ?」
 優しくさり気なく声をかけながらも、サンドイッチをあげて。
「うっ、実は、好きだった人に振られて……それで、唆されて……とんでもないことしちまったんだ」
 話を始めた彼に、うんうんと大きく頷きつつも話を聞いた後、想は紡ぐ。
「……そっか。わたしも偶に考えちゃうんだ、自分の願いの為に、唆されたら」
 ……わたし未来の為ならなんだってしちゃうなって思うもん、って。
「でも、それで未来を危険な目に遭わせちゃったことだってある」
 そして……それは、本当に仕方ないことだったと思うけれど、なんて。
 三郎に寄り添う言葉を駆けながらも、想はこう続ける。
「それで大事な人を悲しませたく、ない。だっていつでも笑っていてほしいから、ね!」
 それに続いて未来も、想の言葉を助けるようにフォローをして。
「誰もが自分の願いの為に必要なものを探している。それを望むことで誰が喜ぶか、悲しむのか……」
 ……それを考えられるのが、最善だと思うわ、と。
 そしてそう告げた後はまた、想が三郎に告げる言葉に、未来は耳を傾ける。
 隣の彼女と一緒に感じている、今この“楽しい”を――完全に知れなくても、知るために。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

夜久・椛
猫又横丁…猫さんがいっぱいで賑やかだね。
…もふもふさんがいっぱいで癒やされる。

「…椛も一応猫じゃないか?
で、事が起きるまでまだ時間があるな。私達はどうする?」

ん、折角だし、色々見て回ろうか。
行くよ、オロチ。

…実は猫型たい焼きが気になってたんだよね。
どんな見た目なのかわくわくするね。

「買うとしたら、やっぱり黒猫か?」

ん、黒猫と一緒に白猫と茶トラも買おうかな。
母さん達のお土産も兼ねてね。

それじゃあ、黒猫のを頂くね。
おお、ちゃんと猫さんの形だ…ん、粒あんのあんこも美味しいね。

「…一応、言っておくが、食べ過ぎには注意だぞ」

ん、分かってるよ。

 賑やかで活気ある横丁をゆるり、のんびり歩いて見て廻りながらも。
「猫又横丁……猫さんがいっぱいで賑やかだね」
 ……もふもふさんがいっぱいで癒やされる、って。
 お耳をぴこりとさせて、ねこねこな風景を眺めてみる夜久・椛(御伽の黒猫・h01049)。
 そして猫たちと同じように、尻尾をゆらり……させたのかと思いきや。
「……椛も一応猫じゃないか? で、事が起きるまでまだ時間があるな。私達はどうする?」
 そう紡ぐのは、人格を宿している尻尾の蛇――オロチである。
 そして、ゆらり揺れるオロチにこくりと頷いて返してから。
「ん、折角だし、色々見て回ろうか」
 ――行くよ、オロチ、と。
 ふたりでゆるりら、改めて横丁巡りをするべく歩き出す。
 それから再びぴこんと、彼女のお耳がふいに揺れたのは、話に聞いていたそれを見つけたから。
「……実は猫型たい焼きが気になってたんだよね」
 猫のかたちなのに、たい焼き。
 猫なのか、鯛なのか……でも話によれば人気で、色々な味があるらしくて。
「どんな見た目なのかわくわくするね」
 そうそわりと店へと歩み寄れば。
「買うとしたら、やっぱり黒猫か?」
 オロチに訊かれ、小さく首を傾けつつも答える椛。
「ん、黒猫と一緒に白猫と茶トラも買おうかな。母さん達のお土産も兼ねてね」
 オロチの言うように、黒猫あんこはちょっぴり親近感もあるし、買っておきたいところで。白猫カスタードに茶トラちょこは、お土産に持ち帰ることに。
 そして、この場で食べるために買った黒猫あんこのたい焼きを、椛は手にして――いざ、いただきます!
「おお、ちゃんと猫さんの形だ……ん、粒あんのあんこも美味しいね」
 たい焼きなのだけれど可愛い猫さんの見目で、味も中身がぎっしり優しい甘さ。
 そんな、焼き立てで美味しい黒猫さんを、ほこほこと口にしていれば。
「……一応、言っておくが、食べ過ぎには注意だぞ」
 椛はのんびり味わいつつも、心配性なオロチの言葉に頷いて返す。
 はむりと黒猫さんたい焼きを口に運びながら……ん、分かってるよ、って。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

柊・冬臣
アドリブ連携歓迎

いやあ、猫と猫又が作る横丁か。見所が多そうだね。
おやおや、そんなに甘えられても僕は何も持っていないよ。
なんて通りがかりの猫に言い聞かせて。
本番は夜から、ってことであまりへべれけになるわけにはいかないけれど。せっかくだから美味しいお酒が飲みたいなあ。

道すがら、√能力を使いインビジブルに今回の原因の人物を知らないか聞き込みをしつつ。

またたび居酒屋へ向かえば熱燗と焼き鳥を注文して、しばらく食事を楽しもう。
もしもまだそこに昼から飲み過ぎているような人がいるならば声をかけてみよう。
「失礼、飲み過ぎてないかい? よければソフトドリンクをご馳走しようか?」
「ヤケ酒しようという気持ちはよく分かるよ。僕は最近美人に振られてね……こうして独り寂しくしているのさ」
まあ振られたのは猫の話だけれどね。
踏み込んだことまで話してくれるかは分からないけれど、彼の話を聞いてみようじゃないか。

  所狭しと様々なものが雑多に並んでは溢れ、活気に満ちている場所。
 きっと話を聞いていなければ、辿り着くこともなかっただろう。
 ふらりと、見回す風景を気ままに散歩している猫にでも連れてきて貰いでもしなければ。
 そして賑やかな雑踏の中、そんな「猫又横丁」へと足を踏み入れて。
「いやあ、猫と猫又が作る横丁か。見所が多そうだね」
 ちょっぴりぼんやりしている風だけれど、穏やかな響きの声で紡ぐのは、柊・冬臣(壊れた器・h00432)。
 彼の言うように、その名の通り、横丁には猫や猫又の姿がたくさんで。
 並ぶ店は、美味しそうなものから日用品、探せば掘り出し物なんてものもありそうで。
 そんなずらりと道の両側に並ぶ店を、のんびりと眺めては歩いていた冬臣であったのだけれど。
 ――てしてしっ。
 ふいに足元に生じた感覚に、視線を落としてみれば。
 にゃーと愛想良くかわいい声で鳴く、もふもふな子が。
 そんな随分と人に慣れたような猫にすりすり甘えられれば、小さく首を傾けてみせて。
「おやおや、そんなに甘えられても僕は何も持っていないよ」
 なんて、通りがかりの猫の子に言い聞かせる。
 此処へと赴いた目的は、何やら不穏な気配が潜んでいるという星詠みを聞いたからで。
 観光や遊びではなく、任務のためではあるのだけれど。
 でも、退治するべく古妖と接触できるというのは夜。
 今はまだ明るい時間帯だから、事が起こるまでは、この場所で待機しておくことになるから。
(「本番は夜から、ってことであまりへべれけになるわけにはいかないけれど。せっかくだから美味しいお酒が飲みたいなあ」)
 敵に気づかれないためにも、そして美味しい楽しみのためにも、冬臣が向かうのは横丁の居酒屋。
 とはいえ、任務だって忘れてはいないから。
 道すがら、√能力を使って、インビジブルに聞き込みを。
 ……今回の原因の人物を知らないか、と。
 そして教えて貰った場所は、なんともお誂え向きな「またたび居酒屋」。
 早速、冬臣はわくわくほわり、熱燗と焼き鳥を注文して。
 しばらく食事を楽しんでいれば――まだ昼間だというのに、既にかなり飲み食いしているような人を発見。
 そんな彼・三郎という男に。
「失礼、飲み過ぎてないかい? よければソフトドリンクをご馳走しようか?」
 冬臣がそう声をかけてみれば。
「今日は飲みまくって、失恋とか、他にも色々……パーッと、忘れたんだよォ。明日からは頑張るからぁ~」
 きっとこれまでも、他の仲間達に慰めて貰ったり、話を聞いて貰ったのだろう。
 少しは前向きになりかけている様子の三郎に許可を得て、同席しつつも。
(「踏み込んだことまで話してくれるかは分からないけれど、彼の話を聞いてみようじゃないか」)
 冬臣は彼が立ち直れるよう、雑談するように柔く穏やかに言の葉を紡ぐ。
「ヤケ酒しようという気持ちはよく分かるよ。僕は最近美人に振られてね……こうして独り寂しくしているのさ」
「! あんたもかい? うっ、あんたも頑張れよぉ~。俺も、ちゃんと真っ当に生きるからぁ、元気出せ、な!」
 そして逆に励まされながらも、そう言えるならば。
 失恋の傷が癒えることに関しては時間はかかるかもだけれど、もう二度と過ちは繰り返さないだろうと思いつつも。
 彼と暫し酒を酌み交わしながら、冬臣はそっと心の内だけで思うのだった。
 ――まあ振られたのは猫の話だけれどね、なんて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 冒険 『古妖の呪い』


POW 気合で怪現象を退ける
SPD 呪いの発生源を突き止め、簡易封印を施す
WIZ 呪いに干渉し、無害な現象で上書きする
√妖怪百鬼夜行 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●美食家な思い出喰い
 夜になって、赤提灯が飲食店に灯り始めれば。
 にゃーんと相変わらず気ままな猫たちが闊歩する――猫又横丁の最奥。
 密かに視線を向けていた占いの館に明かりが燈ったことに気づく。
 そしていつの間にか『商い中』という看板がかけられており、閉ざされていたはずの扉が開いていて。
 奥に見える扉に飾られているのは、椿の花。
 例の占い師が今宵の営業を……いや、件の古妖が狩りを始めたのである。
 占いはお一人様、もしくは1グループずつ。占い中は他の人は、それまでは館にすら入れない仕様のようだ。
 それに順番がきて、館に足を踏み入れても、すぐに占い師の姿はなく。
 ふわりと何かの甘い香が漂う中、こんなに広い館だったのかと思うくらい、長い廊下を何度も曲がって。
 ようやく辿り着いた一番奥の部屋で、占い師は客を待っていた。
『よくお越しになられました。定められた星の運命を、わっちに視せてくださいませ』
 別嬪だとは聞いていたが、その容姿はまるで花魁かのように華があり、まさに美貌の占い師。
 それから顔をじっと見つめられれば、くらりと視界が回ったような気がしたけれど。
『あら、貴方様の思い出は美味しそ……いえ、貴方様の心にある思い出をひとつ、わっちに語ってくださいませ。なんでも構いません、過去のことならば……楽しいもの、かなしいもの、作り話であっても、それが貴方様がご自身の思い出だと語るのでしたら……それもまた美味、いえ一興でございます』
 今此処で、占い師を攻撃してはどうかと考える者もいるだろう。
 だが何故か、占い師へと攻撃することはできず。
 けれど、占い師の様子を見ると、逆もまた然りの様子だ。
 そう――この館自体にかかっているのは『古妖の呪い』。
『安心してくださいませ、美味しいかどうか……いえ占いの結果は、思い出話の内容自体にはございません。なので、どうぞ御心のままに』
 占い師が促すように、思い出話を語る以外、今は何もできないようだ。
 だが、どこかで占い師は仕掛けてくるはず。美味しい思い出を喰らうために。
 だから敢えて、まずは占い師に怪しまれぬよう語ってやろう。
 ご所望通り、自分の『思い出』を。
<マスターより補足>
 第2章は【戦闘が発生しない】冒険章です。戦闘は第3章でとなります。
 POW・SPD・WIZはお気になさらず、皆様の何らかの思い出を語ってください。
 思い出語り以外の行動は、不採用もしくはマスタリング対象となります。
 
酒木・安寿
アドリブ歓迎
こんにちわ!
わわっ、占い師のお姉さんめっちゃ別嬪さんやなぁ。ちょっと緊張してまうわぁ。

うちのこと占うのに思い出話が必要かぁ…そうやな。訛りを聞いてもろたらわかる通りうちはもっと西の方の生まれやねん。
そんでなこっちに引っ越してきたんやけど。
訛りのせいかなかなか友達ができんかったんやけど…今は幼馴染!な友達もいるし毎日楽しいよ!
後な!今一番好きなんは人間の奏でる音楽や!!真似て歌ってるだけやったから最初は下手っぴやったけど今は大分様になってるんやで!それにな幼馴染が一番にファンになってく
れて一番のファンや言うてくれてる…。
こんな嬉しいことないで♪

こんな感じでどないやろか?

 夜を迎えて明かりが灯った占いの館へと、今宵一番乗りしたお客さんは。
 どれだけ長い廊下を歩いたか……椿の花が飾ってある扉を開ければ、鮮やかな朱色のお耳がぴこり。
「こんにちわ! わわっ、占い師のお姉さんめっちゃ別嬪さんやなぁ。ちょっと緊張してまうわぁ」
 そう占い師へと紡ぐ、酒木・安寿(駄菓子屋でぃーゔぁ・h00626)。
 そんな安寿に、美しい占い師――星詠みの悪妖『椿太夫』は満更でもなさそうにわらって。
『ふふ、そんなに緊張しなくても大丈夫でございますよ。さぁ、わっちに、狐さんの思い出を語ってくださいまし』
「うちのこと占うのに思い出話が必要かぁ……」
 占い師から思い出話を促されれば、安寿は少しずつ考えながらも語り始める。
「……そうやな。訛りを聞いてもろたらわかる通りうちはもっと西の方の生まれやねん」
『ええ、やっぱり西の方の出身なのね』
「そんでなこっちに引っ越してきたんやけど。訛りのせいかなかなか友達ができんかったんやけど……」
 うんうんと興味津々、頷きながら話に耳を傾けている占い師に笑顔でこう続ける。
「今は幼馴染! な友達もいるし毎日楽しいよ!」
『あらまぁ、きっと貴方様は楽しいって思えるほどにまで、よう頑張ったのですね。なんとも美味しそ……素敵な思い出だわ』
 そんな思い出話だけでも、占い師の食いつきは上々であったのだけれど。
 さらに安寿は尻尾をゆらりら、弾むような声でさらに語ってみせる。
「後な! 今一番好きなんは人間の奏でる音楽や!! 真似て歌ってるだけやったから最初は下手っぴやったけど今は大分様になってるんやで!」
『あら、歌。どうりで、よく響く御声だと思いましたら』
「せやろ。それにな幼馴染が一番にファンになってくれて一番のファンや言うてくれてる……。こんな嬉しいことないで♪」
 それから……こんな感じでどないやろか? なんて。
 自分を品定めするかのようにじいと見つめている椿太夫へと、ちらり視線を向ければ。
 より一層、甘やかな香りがしたかと思った瞬間、くらりと世界が廻って――遠くから、占い師のこんな声が聞こえたような気がした。
『ふふ、わっちも、元気な狐のお嬢さんのファンになってしまいそう』
 ……だって、とっても美味しそうな思い出なのだもの、と。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

刻・懐古
占いは初体験。昔、客の女学生が星だとか花だとかでも占えるとやって見せられたことがあったが、あれは素人の戯れに付き合ったに過ぎなかった
“当たるも八卦当たらぬも八卦”、この言葉が全てだろう
なんて頭に巡らせながら長い廊下を行く

椿の花、甘い香、待ち受ける“占師”とやらの姿は薄々想像していた通り
花魁を思わせる容姿に成程、と妙に納得

思い出話を促され、ここは合わせるが吉と語る
「では、猫に纏わる話をひとつ」
自分に懐き、己も大切にしていた猫がある冬の寒い朝に静かに息を引き取った
猫は死に際を見せぬと言うが、傍で死を選んだあの猫の気持ちはどうだったのだろう

猫又横丁で猫に触れ、久方ぶりに思いだした。そんな話
アドリブ◎

 ――“当たるも八卦当たらぬも八卦”。
 占いは初体験であるが、この言葉が全てだろう、と。
 そう頭に巡らせながら、まるで刻を刻むかのように一歩ずつ。
 やたら長い館の廊下を歩み行くのは、刻・懐古(旨い物は宵のうち・h00369)。
(「昔、客の女学生が星だとか花だとかでも占えるとやって見せられたことがあったが、あれは素人の戯れに付き合ったに過ぎなかった」)
 いや、実際にこれから占って貰う占い師は古妖で、素人の戯れどころか偽物で。
 彼女は星や花のかわりに、客の思い出話を聞いてくるのだというが。  
 どれほど歩かされただろうか、明らかに長すぎる館の廊下を何度も曲がっては、奥へと進みながらも。
 椿の花、甘い香……それに、ようやく辿り着いた最奥の扉を開けば。
『よういらっしゃいました。わっちに思い出話を聞かせてくださいませ』
 待ち受ける“占師”とやらの姿は、懐古の薄々想像していた通りであったのだ。
 そして、花魁を思わせる美しき容姿に成程、と妙に納得しながらも。
 思い出話を促されれば、そっとその心に思う。
「では、猫に纏わる話をひとつ」
 ――ここは合わせるが吉、と。
『ふふ、猫のお話ですか。この横丁にぴったりでございますね』
 本当は、己の物語よりも|他者《だれか》の物語に興味があるのだけれど。
 今宵は特別、わくわくした様子で耳を傾ける、占い師こと星詠みの悪妖『椿太夫』へと。
 懐古が語るのは、彼女が所望する、自分の思い出話。
「自分に懐き、己も大切にしていた猫がある冬の寒い朝に静かに息を引き取った」
 今と同じような季節――或る寒い冬の、猫の話を。
 だって、久方ぶりに懐古は思い出したのだから。
「猫は死に際を見せぬと言うが、傍で死を選んだあの猫の気持ちはどうだったのだろう」
 猫又横丁で猫に触れて……そんな話を、ふと。
 そう己の傍を死に場所に選んだ、あの時の猫の姿を思い返しながら。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

玉梓・言葉
別嬪さんに見つめられるのは照れるのう

そうじゃな、儂がただの道具だった頃の話じゃよ

鬼籍に入っている初めの持ち主を思い目を細める

親父殿が文字をしたためる時間がほんに好きじゃった
くふふ、好いとる女子への恋文の為の時間は甘酸っぱくてのぉ
どう書けば相手を喜ばせるだろう、興味のある話題は何か、今日見たものを相手にも伝えたい……
そう沢山の想いの溢れる文字を沢山書いては書き直しを繰り返し、納得いったものを相手に届ける

握りしめられてる身としてはもうすこぉしやさしゅう握って欲しいのが本音じゃが、その日の力加減で親父殿の気分が伝わってくるのが面白うての
その癖手入れをする手は優しいんじゃ

それはもう、愛しい時間じゃった

 やはり楽し気に笑う彼は、儚げな青年のナリをしているというのに。
「別嬪さんに見つめられるのは照れるのう」
 ようやく辿り着いた館の最奥で占い師を見れば、紡がれる言の葉は好々爺然。
 けれど、それもそのはず。
 玉梓・言葉(|紙上の観測者《だいさんしゃ》・h03308)は、青年というには長い時間在るのだから。
「そうじゃな、儂がただの道具だった頃の話じゃよ」
『貴方は道具でございましたの? そんな年季の入った思い出なんて美味しそ……面白そう』
 占い師が本当に、自分が道具――元はガラスペンであったことを、本当なのか作り話か、どちらに思ったかはわからないが。
 期待に満ちた熱い視線を向けられれば、お望み通り、言葉は語ってやることにする。
 鬼籍に入っている初めの持ち主を思い目を細めながら、昔々の話を。
「親父殿が文字をしたためる時間がほんに好きじゃった。くふふ、好いとる女子への恋文の為の時間は甘酸っぱくてのぉ。どう書けば相手を喜ばせるだろう、興味のある話題は何か、今日見たものを相手にも伝えたい……そう沢山の想いの溢れる文字を沢山書いては書き直しを繰り返し、納得いったものを相手に届けておった」
『まぁ、貴方の最初の持ち主様は、恋をなされていらっしゃったのね。わっちも沢山恋文はいただいたわ』
「お主も別嬪さんじゃからのぉ、殿方も放っておかぬじゃろ」
 相手は古妖であるが、このような会話もまた良いと笑って。
 その時の思い出を、言葉は引き続き語る。
 今でも脳裏に蘇る思い出の感覚はそう、親父殿の手の感触。
「握りしめられてる身としてはもうすこぉしやさしゅう握って欲しいのが本音じゃが、その日の力加減で親父殿の気分が伝わってくるのが面白うての」
 気合十分に力を込めて握られればそれは恋文で、さらりと走るような軽い力加減はメモ書き、ちょっぴり慎重に数字を描いている時は店の帳簿をつける時……などなど。
 親父殿の気持ちの表れが、当時ガラスペンであった言葉には、文字通り手に取るようにわかって愉快であったし。
 その中でも、一番印象的だったのは、そう。
「その癖手入れをする手は優しいんじゃ」
 自分のことを手入れしてくれた時の、優しい手つき。
 修繕を施されながら大切に使われていたからこそ、言葉は付喪神となったわけであるし。
 言葉の心に今綴られるのは、あの時、大切に思ってくれていた親父殿や持ち主たちときっと同じ気持ち。
 ――それはもう、愛しい時間じゃった、と。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

早乙女・伽羅
古妖に喰わせるものなど何もないのだが、まあいい
ひとつ謀られたふりで話に乗ってやろう

「今の商売がいまひとつうまくなくてね……何か助言めいた占いでも」

人の世でいうところの明治、その頃に俺は亜米利加から日本へ連れられてきた
舶来ものの猫ということで貰われた先の家では大層大事にしてもらったよ
当時、キャラメルという菓子が売られ始めて子供らも夢中でね
それで俺の名前も「キャラメル」と決まった
特に一番上の娘は俺を片時も離したがらないほど可愛がってくれたのだ
猫にしてはそこそこ長生きだなと皆が首を傾げだす頃
大きな地震があって、その家はまるごと災いに呑まれてしまった
この不運は、俺が猫又であったせいだったのだろうか?

 もう、本当の年齢はとうの昔から数える気が失せている。
 何せ、早乙女・伽羅(元警察官の画廊店主・h00414)の年はきっと、おそらく三桁はあるだろうから。
 だからその年月を思えば、語る思い出はその分沢山あるのかもしれないが。
 年を数えなくなったのと同じように、忘れていることも正直数知れずであるし。
 それ以前に、何よりも。
(「古妖に喰わせるものなど何もないのだが、まあいい」)
 自称美食家であるとしても、古妖に喰わせる思い出などそもそもないのだ。
 だがこれは、れっきとした依頼でもあるから……ひとつ謀られたふりで話に乗ってやろう、と。
 明らかに妖しい椿の花や甘い香、違和感しかない長い長い廊下をとてとてと館の最奥へと向かって。
『素敵なもふもふのお客様、よくぞお越しになられましたね』
「今の商売がいまひとつうまくなくてね……何か助言めいた占いでも」
 扉を開いた先、噂通り待ち構えていたのは、花魁の如き美しい占い師。
 そして伽羅の言葉に、にこりと妖艶な笑みを咲かせ、占い師は促す。
『わっちが占って差し上げましょう。貴方様の思い出話をひとつ、お聞かせいただければ』
 だから敢えて、伽羅は語り始める。
「人の世でいうところの明治、その頃に俺は亜米利加から日本へ連れられてきた。舶来ものの猫ということで貰われた先の家では大層大事にしてもらったよ」
 日本へと渡ってきた頃の思い出話を。
「当時、キャラメルという菓子が売られ始めて子供らも夢中でね。それで俺の名前も「キャラメル」と決まった」
『ふふ、それはとっても美味しそうでございますね』
 占い師はそう紡ぐけれど、でも勿論、喰わせる気など伽羅にはない。
 ハイカラ好きの飼い主に与えられたこの名を、とても大事にしているのだから。
 それから思い出すのは、恐らく他の人の何倍も、もふもふなでなでしてくれていたあの子のこと。
「特に一番上の娘は俺を片時も離したがらないほど可愛がってくれたのだ」
 けれど伽羅はただの猫ではなく、猫又――猫にしてはそこそこ長生きだなと皆が首を傾げだす頃。
「大きな地震があって、その家はまるごと災いに呑まれてしまった」
『まぁ……壮絶な思い出話もまた、味わい深いものですわ』
 そして伽羅は占い師へと改めて視線を向けて、こう訊ねるのであった。
 ……この不運は、俺が猫又であったせいだったのだろうか? と。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

桐生・綾音
妹の彩綾(h01453)とお母さん代わりの菫さん(h05002)と参加

あ、菫さん、上手く連絡いったようでよかった。もちろん、菫さんにも猫さんクッション買ったし、ノートも買ったよ!!

うん、前にも話したとおり古妖絡みの案件だよ。とりあえず目の前の占い師さんに思い出語りをすればいいんだって。まあ、菫さんも旦那さんと娘さん達亡くしたけど、楽しい思い出いっぱいあるよね。

私と彩綾はなんでも自給自足しちゃう故郷だから毎日駆け回って耕したり採取してたりしてたなあ・・・広い自然豊かで動く生活はとても楽しい思い出。まあ、いきなり都会にほうりこまれても菫さんのおかげでなんとかなってるよ。

これで満足してくれたかな?
桐生・彩綾
姉の綾音(h01388)と母親代わりの菫さん(h5002)と参加

あ、菫さん、無事に合流できてよかった。うん、菫さんのクッションとノート買っといたよ!!件の古妖案件だね。直接戦いはさせられないけど、こういう条件でおきることもあるってしるのは大切だと思うんだ。

私とお姉ちゃんは自給自足の生活だった。お姉ちゃんは色々駆け回ったのがいい思い出らしいけど、私はお裁縫で服を作るのが楽しかったなあ・・・。織り機で布も織ったし。草木素材で染め物もしたよ。今は都会でくらしてるけど裁縫が意外と役に立ってるし。

え?菫さんは猪とおいかけっこしたり熊と出会って撃退した?案外逞しい経験してるんだね・・・流石。
藤原・菫
後援している娘の綾音(h01388)と彩綾(h01453)と参加

随分奥まった場所にあるんだね。まあ、占い師というのは密かに店を構える人が多いから。それを抜きにしても怪しい匂いとオーラ。うん、綾音と彩綾のいう案件みたい。直接対決はまかせるけど、現場は知っていた方がいいしね。

私も生まれ故郷は自然豊かなところだったんだよ?家族4人でよく遊びにいった。畑の手伝いもしてた。

強烈な思い出かあ・・・。直接現場に出向いて調査するタイプだから猪おいかけて生態調査したり熊遭遇して撃退したり?なんか周りがひいてるけど。

申し訳ないね占い師さん。綺麗な思い出じゃなくて。でも楽しかったことは確かなんだよ。

 狭い通りに、犇めくように並ぶ店々。
 そして其処を闊歩するのはこの横丁を訪れた人々と、沢山の猫。
 そんな猫の額ように狭い通りを奥へ、さらに奥へと進んでいけば。
 藤原・菫(気高き紫の花・h05002)は、後援している娘達との待ち合わせ場所に到着する。
「随分奥まった場所にあるんだね」
 そう呟きつつ見つめるのは、明かりが燈り、扉がようやく開いた館。
 それからふと、目を向けるのは。
「あ、菫さん、無事に合流できてよかった」
「あ、菫さん、上手く連絡いったようでよかった。もちろん、菫さんにも猫さんクッション買ったし、ノートも買ったよ!」
「うん、菫さんのクッションとノート買っといたよ!!」
 自分の姿を見つけて駆け寄ってくる、桐生・綾音(真紅の疾風・h01388)と桐生・彩綾(青碧の薫風・h01453)の姿。
 ふたりを見れば、良い買い物やグルメが満喫できたようであるし。
 土産も色々買ってくれた様子に笑みつつ礼を告げてから。
 改めて、横丁の最奥に佇む館を見遣り、菫は紡ぐ。
「まあ、占い師というのは密かに店を構える人が多いから」
 ……それを抜きにしても怪しい匂いとオーラ、と。
 だがそれも、星詠みの予知通りであるのだ。
「うん、前にも話したとおり古妖絡みの案件だよ」
「件の古妖案件だね。直接戦いはさせられないけど、こういう条件でおきることもあるってしるのは大切だと思うんだ」
「うん、綾音と彩綾のいう案件みたい。直接対決はまかせるけど、現場は知っていた方がいいしね」
 この占いの館の最奥で、古妖は待ち構えているのだという。
 訪れた人々の美味な思い出を、美味しくいただくために。
 それから3人で、案内されるまま館内へと足を踏み入れて。
 長い廊下を幾度も曲がった先の、椿の花が飾ってある扉を開けば。
『あら、今度は御三方なのね。思い出を語ってくだされば、わっちが占って差し上げますよ』
 そこにいるのは、館の占い師……いや、古妖の、星詠みの悪妖『椿太夫』であった。
 そんな彼女の声を聞いて、綾音は彩綾と菫へとこう告げつつも。
「とりあえず目の前の占い師さんに思い出語りをすればいいんだって。まあ、菫さんも旦那さんと娘さん達亡くしたけど、楽しい思い出いっぱいあるよね」
 まずは自分の思い出を語る。
「私と彩綾はなんでも自給自足しちゃう故郷だから毎日駆け回って耕したり採取してたりしてたなあ……広い自然豊かで動く生活はとても楽しい思い出。まあ、いきなり都会にほうりこまれても菫さんのおかげでなんとかなってるよ」
 それから続いて、彩綾も当時の思い出を語り始めるけれど。
「私とお姉ちゃんは自給自足の生活だった。お姉ちゃんは色々駆け回ったのがいい思い出らしいけど、私はお裁縫で服を作るのが楽しかったなあ……織り機で布も織ったし。草木素材で染め物もしたよ。今は都会でくらしてるけど裁縫が意外と役に立ってるし」
 同じ環境で育って、同じように過ごしてきたのだけれど。
 それぞれ好きだったことが違うのもまた、ふたりらしくて。
 だからこそ、都会に出た時にも一緒に協力し合えたのだろうけれど。
 でも実は、そんな大自然の中で育ったのは、何も二人だけではなくて。
「私も生まれ故郷は自然豊かなところだったんだよ? 家族4人でよく遊びにいった。畑の手伝いもしてた」
 実は菫も、自然豊かなところで育ったという。
 それに、菫といえばやはり。
「強烈な思い出かあ……直接現場に出向いて調査するタイプだから猪おいかけて生態調査したり熊遭遇して撃退したり?」
「え? 菫さんは猪とおいかけっこしたり熊と出会って撃退した?案外逞しい経験してるんだね……流石」
 ……なんか周りがひいてるけど、なんて。
 そうちょっぴり苦笑しながらも、思い出話を欲している占い師へと告げる菫。
「申し訳ないね占い師さん。綺麗な思い出じゃなくて。でも楽しかったことは確かなんだよ」
『ふふ、全然問題ありません。3人まとめていただいても美味し……いえ、素敵な思い出でございます』
 それから、そうにこにこと笑む占い師を見遣り、綾音は思う。
 思い出を所望する古妖に……これで満足してくれたかな? って。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

セラフィナ・リュミエール
【アドリブ歓迎】【ソロ希望】
綺麗な人……い、いえセフィは惑わされませんわ(綺麗な相手に思わずどきっとしまうものの、事件解決の為に強い意志をもう1度自覚して)
セフィは4歳の時に意識を自覚しましたわ、始まりの記憶は拘束具による拘束と大量の汗をかき、口枷を嵌められて涎と涙を流しながらひたすら砂漠を歩き続けていましたわ
でも止まらればお尻をその場で四つん這いにし叩かれるオシオキをされましたわ、泣いても抵抗してもそれは無意味ですわ。
セフィはそれから2年間はこの声と羽根のせいか鳥篭の中で歌わされ、いろんな人に歌う小鳥として飼われてんてんとしていましたわ
√能力に目覚めた数か月前には必死の思いで脱走しましたわ

 夜になって、そろりと足を踏み入れた占いの館。
 ひとりだからちょっぴり不安でドキドキしていたけれど、広い館を沢山歩いて、辿り着いた最奥の部屋で。
 椿の花が飾られた扉をそっと開いてみれば、セラフィナ・リュミエール(オペラエル・h00968)は思わずどきっとしてしまう。
『おやまぁ、次のお客様は随分とお可愛らしい』
「綺麗な人……」
 最奥の部屋にいた占い師の、美しくも妖艶な見目に。
 けれど、綺麗な相手を前にして、思わず魅入ってしまったものの。
(「……い、いえセフィは惑わされませんわ」)
 此処へと来た目的を、セラフィナはちゃんと覚えているから。
 事件解決の為に強い意志をもう1度、きりりと頑張って自覚して。
 依頼の目的である古妖退治……とは、まだ古妖の呪いを解かねばできないようなので。
『お嬢さんの思い出話、聞かせていただけるかしら?』
 まずは、占い師の言う通りに、セラフィナは己の思い出を語り始める。
「セフィは4歳の時に意識を自覚しましたわ」
 まだ7歳であるセラフィナにとって、意識を自覚してからまだ数年ではあるが。
 思い返してみるのは、4歳の時のこと。
「始まりの記憶は拘束具による拘束と大量の汗をかき、口枷を嵌められて涎と涙を流しながらひたすら砂漠を歩き続けていましたわ」
『それって……奴隷、だったのかしら』
 占い師はセラフィナの話を聞きつつ、首を微か傾けるも。
 セラフィナは頷き、思い出の続きをこう語る。
「でも止まればお尻をその場で四つん這いにし叩かれるオシオキをされましたわ、泣いても抵抗してもそれは無意味ですわ」
 そしてそれから2年間は、てんてんとしていたという。
「セフィはそれから2年間はこの声と羽根のせいか鳥篭の中で歌わされ、いろんな人に歌う小鳥として飼われていましたわ」
『確かに、貴方の声はとても美しいわ』
 古妖も納得するほどの、美しい声で囀る小鳥のように。
 さらには背に羽根があるから、ますます小鳥として鳥篭の中で歌わされていたセラフィナ。
 けれど転機が訪れたのだ。それは、√能力に目覚めた数か月前。
「必死の思いで脱走しましたわ」
 セラフィナは少しずつ思い返しながらも、占い師へと語る。
 囚われの小鳥が鳥籠から解放されて、自由を得た今に至る――そんな思い出話を。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アドリアン・ラモート
心情:
「占いって妙なもんだな……」
相手の静かな雰囲気に、普段語らない自分の思い出を話してもいいかもしれないと感じた。忘れかけていた記憶が、自然と口をついて出る。「誰かに聞いてほしかったのかもな」と、少し照れくさい気持ちを抱えながら。

行動:
「昔、引きこもってたんだ。窓の外だけが俺の世界でな……」
アドリアンはふにゃっとした笑顔で語り始める。視線は遠くに向けられ、影が足元でゆっくりと揺れる。
「ある日、空の雲が妙に綺麗でさ。外が怖いと思ってたはずなのに、気づいたら動いてたんだよ。誰かに背中を押されたみたいだったな」
語り終えると占い師に向き直り、少し笑って言う。
「これって、何か意味があるのか?」

 珍しく外へと赴いて、本屋でちょっと普段買わない紙の本を目一杯物色して。
 どのみち外に出ているのだからと、アドリアン・ラモート(ひきこもりの吸血鬼・h02500)は足を運んでみたのだ。
 夜になって灯りが燈された、横丁の最奥にひっそりと佇む占いの館へと。
 それから視て貰う順番が回ってきて、館内へと通されれば。
 長い長い廊下の先、占い師がいるという一番奥の部屋の扉を開いて。
『いらっしゃいませ、貴方の思い出話を聞かせてくださいな』
 そうにっこり笑顔で紡ぐのは、花魁のように美しい占い師。
 いや、正確に言えば彼女は古妖。それは星詠みでわかっているのだけれど。
『どんな内容でも構いませぬ、貴方様の思い出話でしたら、なんなりと』
 じっと見つめられ、そう促されれば、アドリアンは思うのだった。
(「占いって妙なもんだな……」)
 普段は語らない自分の思い出。
 でも相手の静かな雰囲気に、話してもいいかもしれないと感じれば。
 忘れかけていた記憶が自然と口をついて、ぽろりと零れ落ちて。
「昔、引きこもってたんだ。窓の外だけが俺の世界でな……」
 視線は遠くに向けられ、影が足元でゆっくりとゆらり揺れる。
 それから、ふにゃっとした笑顔で語り始めるアドリアンだけれど。
「ある日、空の雲が妙に綺麗でさ。外が怖いと思ってたはずなのに、気づいたら動いてたんだよ。誰かに背中を押されたみたいだったな」
『ふふ、とっても美味しそう……いえ、素敵なお話ね』
 ひと通り語り終えて占い師に向き直れば、少し笑って紡ぐ。
「これって、何か意味があるのか?」
『ええ、ええ。勿論ありますよ。当たるも八卦当たらぬも八卦、でございますけれど』
 そう妖艶に瞳を細める彼女を見遣れば、何だか少し擽ったくなってしまうアドリアン。
(「誰かに聞いてほしかったのかもな」)
 そんな、ちょっぴり照れくさい気持ちを抱えながら。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

九条・庵
アンタが評判の占い師?
美人て聞いてさ、それもちょっと楽しみだった
綺麗なモンは見とくに限る、自分の美意識も上がるしね
そんなわけでおねーさん、ゆっくり話そっか
俺の話が聞いて楽しいモンかは保証しかねるケド

元々物怖じする性分じゃねーけど
呑まれないように堂々と振る舞う
こんなガキが色男気取ってんの、面白がってくんねーかなと思ってサ

俺は霊的な勘が生まれつき強い|性質《タチ》でさ
ガキん時から変なモンが見えたし、
やたら寄って来られもした、可愛いからね
家族もそういうモンに殺されてもういない
しんどくなって逃げ出して、
今は…縁あってある店に下宿させて貰ってる
運は良かったと思うよ
こんなガキが1人で身を立ててるワケだし

 甘い香りが漂い、椿の花がそこかしこに咲く中、異様に長い廊下を歩いて。
 漸く辿り着いた扉の向こうには、妖艶に咲く華の姿が。
 九条・庵(Clumsy Cat・h02721)は館の最奥で待っていた占い師を見遣り、小さく首を傾けてみせて。
「アンタが評判の占い師?」
 ふっと笑み、花魁を思わせる美貌の占い師を見遣れば。
 余裕な様子を見せながらも、心の内では確りと意識しておく。
「美人て聞いてさ、それもちょっと楽しみだった。綺麗なモンは見とくに限る、自分の美意識も上がるしね」
『うふふ、わっちは評判なのでございましょうか、嬉しゅうございますね』
 そう綺麗な笑みを向けられれば、くらりと酔うような感覚を抱いてしまうそうになるから。
(「元々物怖じする性分じゃねーけど、呑まれないように」)
 あくまで堂々と振舞ってみせながら、占い師へとこんな誘いの声を。
「そんなわけでおねーさん、ゆっくり話そっか」
 ……俺の話が聞いて楽しいモンかは保証しかねるケド、なんて。
 いや、ただ背伸びをしたいお年頃、というわけではなく。
『んふふ、可愛い坊やねェ』
(「こんなガキが色男気取ってんの、面白がってくんねーかなと思ってサ」)
 またそういう別の思惑も、あるわけなのだけれど。
『わっちに坊やの思い出話、聞かせて頂戴な』
 古妖の呪いを解くためにも必要なことだから、ご所望通り語ってやることにする。
「俺は霊的な勘が生まれつき強い|性質《タチ》でさ。ガキん時から変なモンが見えたし、やたら寄って来られもした、可愛いからね」
 あくまで相手が面白がってくれそうな言葉を選びつつも。
『ふふ、確かに坊やは可愛いわ、思い出を食べちゃいたいくらいに』
 楽し気にわらう占い師――椿太夫の反応を見ながらも、庵はこう続ける。
「家族もそういうモンに殺されてもういない」
 けれどそれは過去のことで。
 こうやって話せているのは、きっと。
「しんどくなって逃げ出して、今は……縁あってある店に下宿させて貰ってる」
 下宿先の主人は保護者気取りだけれど、それもまぁ悪くはなくて。
 だから――運は良かったと思うよ、なんて。
「こんなガキが1人で身を立ててるワケだし」
 少しだけ素直に庵は紡ぐ。今はふらりと、帰れる場所があるのだから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

志藤・遙斗
タバコを吸いながら猫横丁の最奥を見ながら。
「さて、噂の占い師さんに会いに行くと行きますか。」
「思い出話ですか?そうですね。」
少し考えるそぶりを見せながら、占い師の様子を観察してから
「俺の思い出は家族のことですね。俺と妹が小さいころに両親が亡くなって、今では写真を見ないと顔を思い出すこともないのですが、父親とはよく公園でキャッチボールをやりましたね。中々取れない俺に何度も教えてくれました。で、取れると自分のように喜んでくれましたね。それを見守る母親と母の膝の上で俺を応援してくれている妹。そんな家族との思いでは今でも思いだせますね。」

 対象が動き出すまで待つ、なんてことは、仕事柄慣れっこではあるけれど。
 やはり暇があれば、つい咥えてしまうタバコ。
 そして何本吸っただろうか、煙をそっと吐きながらも横丁の最奥を見ていれば。
 空が暗くなってきた頃――聞いていた通りに、館に明かりが灯って。
 閉ざされていた門が開き、掛けられた看板は『商い中』。
 それを確認すれば、ようやくぎゅっと煙草をもみ消してから。
「さて、噂の占い師さんに会いに行くと行きますか」
 遙斗はこの横丁の治安を守るべく、密かに仕事に取り掛かる。
 警察官として、そして√能力者として。
 占い師を騙り、狩りをはじめた、古妖の尻尾を掴むために。
 そして件の館内に足を運べば、妙に甘やかな香りが漂っている長い廊下を歩いて。
 最奥の部屋で待っていたのは、美しく笑み咲かせる妖艶な華。
『いらっしゃいませ、貴方様の思い出をきかせてくださいな。わっちが占って差し上げましょう』
「思い出話ですか? そうですね」
 そう促されるまま、少し考えるそぶりを見せながらも。
 占い師の様子を観察してから、遙斗は語り始める。
「俺の思い出は家族のことですね」
『ご家族との思い出も、わっちは大好物……いえ、好きでございますよ』
 ふふ、と笑む占い師――古妖の動向からは目を離さぬようにしつつ。
「俺と妹が小さいころに両親が亡くなって、今では写真を見ないと顔を思い出すこともないのですが、父親とはよく公園でキャッチボールをやりましたね。中々取れない俺に何度も教えてくれました。で、取れると自分のように喜んでくれましたね」
 思い返すのは在りし日に、父とキャッチボールをしたこと。
 いや、思い出に在るのは父の姿だけではない。
「それを見守る母親と母の膝の上で俺を応援してくれている妹。そんな家族との思いでは今でも思いだせますね」
 遙斗はそう家族全員の思い出を語りながら、いまだはっきりと蘇る光景にそっと瞳を細める。
 家族皆と過ごした、もう今は記憶の中だけの風景に。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

フランキスカ・ウィルフレア
本もかんざしも買ってしまってほくほく……!

うらないの結果はちょっぴり気になる……けど、ちゃんとうらない自体はやってるのかな……?
うらないしてもらうなら、おもいで……おもいで……とおはなしする内容をいま考えてるなの。
……んむむ、本屋のおじーちゃんとの出会いなんてどうかなっ。
付喪神としてはまだまだで、街での過ごし方や常識がちょびっとわかってないフランにやさしく色々おしえてくれたの。ちょっと不愛想だけど、やさしいおじーちゃんがすきでねっ。きっとあれは笑顔がへたくそなだけなの。

って、ついいっぱいおはなししちゃう……
いけないいけない、これは古妖退治なの!
気合入れてお顔をきりっとさせておくの!

 荷物はちょっぴり重くなっちゃったのだけれど、むしろぎゅっとそれを抱えて。
(「本もかんざしも買っちゃったの……!」)
 たくさんの戦利品に、ほくほくしあわせ……!
 そんなるんるんなフランキスカ・ウィルフレア(絵本の妖精・h03147)だけれど。
 おうちに帰って、今日手に入れた新しい物語たちを楽しみに読む前に。
 そっと足を向けてみるのは、横丁の奥の奥。
「うらないの結果はちょっぴり気になる……けど、ちゃんとうらない自体はやってるのかな……?」
 昼間は扉が固く閉ざされていた、占いの館。
 けれど夜になればいつの間にか館に明かりが燈っていて、閉じていた門も開いていて。
 何だかとても甘い香りがする館の長い廊下をてくてくと歩きながらも、うーんと考えてみたのだけれど。
 そうこうしているうちに、椿の花が飾られた最奥のお部屋に着いちゃって。
『いらっしゃい、うらないをご所望かしら? でしたら、貴女の思い出をひとつ、わっちに教えてくださいな』
「うらないしてもらうなら、おもいで……おもいで……おはなしする内容をいま考えてるなの」
『ええ、ゆっくり考えて頂戴な。美味しい……いえ、素敵な思い出をわっちに聞かせて』
 それから、最近読んだ本のことや、集めてるもののこと、食べておいしかったもの……ほかにも色々と考えてみたのだけれど。
「……んむむ、本屋のおじーちゃんとの出会いなんてどうかなっ」
 フランキスカが語り始めるのは、本屋のおじーちゃんとの思い出。
「付喪神としてはまだまだで、街での過ごし方や常識がちょびっとわかってないフランにやさしく色々おしえてくれたの。ちょっと不愛想だけど、やさしいおじーちゃんがすきでねっ。きっとあれは笑顔がへたくそなだけなの」
 あまりにこにことかはしないから、誤解されがちだけれど。
 でもフランキスカはよく知っているから。笑顔がへたくそでも、おじーちゃんがとっても優しいことを。
 そして、そんなおじーちゃんが好きだから。
「それでね、フランがとっても読みたい本があったときも、おじーちゃんがね……」
(「って、ついいっぱいおはなししちゃう……」)
 お話がなかなか止まらなくて、ちょっぴりあわあわしちゃうけれど。
 ――いけないいけない、これは古妖退治なの! って。
 まだおしゃべりし足りないのだけれど……そう頑張って気合を入れて、お顔をきりっとさせておくのです!
🔵​🔵​🔵​ 大成功

イクサ・バイト
リア(h00343)と参加

あー、あの頃の話かぁ。
俺が被験体になって、リアは増強装置でブーストして。
あの時は参ったなぁ、経験値的に負ける気はしなかったけどさ。
手加減はもちろん、本気でやって怪我させないなんて技術もないし。
だから武器は同じ木刀で合わせて、基本振らずに体で支えて受け流して、カウンター主体で立ち回って。
まぁ、それが今の戦いでも隙消しに活きてるから、人生何がどう転ぶかわからないけど。

泣かれるのだけは本当に困った。勝てない。
あの頃の俺にはなんで泣いてるのかもよくわからなくて、おろおろするしかできなかったしね。
今なら、少しはわかるかな……多分、その気分を味わってる人を、見てるから。
リア・カミリョウ
h00634イクサと一緒!
思い出……そうだなぁ、あれとかどう?
リアとイクサは手合わせ試合するんだけど、リアいつも勝てないの。
1本取れなくて本当に悔しくて。
木刀でやるんだけどね。
ある日、どうしても勝ちたくて、何度も挑んだ事あって、結局腕力の限界来て木刀飛んで、また負けて。
リア、すっごい泣いたのよね。
勝てないのは分かってる。小さい頃からごっこ遊びはしてたけど、実戦経験足りないもん。
それでも1回くらい、って思ったの。
勝てたからどう、って訳じゃないんだけど、その時はそれしか頭になくて。
わんわん泣いた。
……って恥ずかしい話になっちゃったなー!
こんなので満足?占い師さん。

 夜の帳が下りる頃、横丁の最奥に佇む館にひとつ、またひとつと灯りが燈って。
 今宵も美しき占い師が、迷える者達を誘うように椿咲く扉を解放する。
 占いの対価はそう、あなたの思い出。
 占い師……いや、古妖が所望するのは、美味な思い出話。
『わっちに思い出話を聞かせてくださいませ、どのような思い出話でも御心のままに』
 甘香漂う館の最奥で、早く美味しい思い出を喰らいたいと、おなかをすかせて。
 そんな占い師を騙る自称美食家が館にかけた、呪いを解くために。
 客を装いやって来たのは、幼馴染のふたり。
 さて、何の話をしようかと互いに顔を見合わせれば。
「思い出……そうだなぁ、あれとかどう?」
 そう口を開いたのは、リア・カミリョウ(|Solhija《太陽の娘》・h00343)の方。
 リアが語り始めるのは、ふたりの共通の思い出。
「リアとイクサは手合わせ試合するんだけど、リアいつも勝てないの。1本取れなくて本当に悔しくて。木刀でやるんだけどね」
「あー、あの頃の話かぁ。俺が被験体になって、リアは増強装置でブーストして」
 イクサ・バイト(咬種細胞移植実験被験体一九三号・h00634)も、記憶を辿りつつリアに続く。
「あの時は参ったなぁ、経験値的に負ける気はしなかったけどさ。手加減はもちろん、本気でやって怪我させないなんて技術もないし。だから武器は同じ木刀で合わせて、基本振らずに体で支えて受け流して、カウンター主体で立ち回って」
 そう、その当時は、ちょっぴり色々と加減の仕方や具合などに困ってしまったイクサであったのだけれど。
 ……まぁ、それが今の戦いでも隙消しに活きてるから、人生何がどう転ぶかわからないけど、と。
 その思い出が、今の彼の立ち回りの礎のひとつとなっていることは確かで。
「ある日、どうしても勝ちたくて、何度も挑んだ事あって、結局腕力の限界来て木刀飛んで、また負けて。リア、すっごい泣いたのよね。勝てないのは分かってる。小さい頃からごっこ遊びはしてたけど、実戦経験足りないもん」
 リアはそう悔しがっていたし、手合わせ試合自体の勝負には勝ったイクサなのだけれど。
「それでも1回くらい、って思ったの。勝てたからどう、って訳じゃないんだけど、その時はそれしか頭になくて」
 ――わんわん泣いた、って。
 そんなリアの言葉を聞けば、今でも思い出して苦笑してしまう。
「泣かれるのだけは本当に困った。勝てない」
 手合わせには勝っても、泣かれると勝てなくて。
 当時は、力加減ができる技術も気持ちを察することができるような経験も、まだ足りなかったから。
「あの頃の俺にはなんで泣いてるのかもよくわからなくて、おろおろするしかできなかったしね」
 でもそれは、昔の思い出で。
「今なら、少しはわかるかな……多分、その気分を味わってる人を、見てるから」
「……って恥ずかしい話になっちゃったなー!」
 今改めて語ると、ちょっぴり胸が擽ったくなっちゃうような、そんなふたりの共通の思い出。
 そして……こんなので満足? 占い師さん、なんて。
 リアに投げかけられた視線と言葉にも、椿太夫はにこにこ。
『ええ、ええ。わっちは、幼馴染の思い出話というものも大好物なのです』
 そのようなふたりの思い出からしか摂取できぬ美味しさがありますから、と――大層満足気に。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

ココ・ナッツ
思い出かぁ。俺が一番覚えているのは、ままんとぱぱんとの思い出かにゃ。4人兄弟の末っ子に産まれて身体も弱かったから長生き出来ないと言われてたにゃ。でもそんな俺をままんもぱぱんもとても大事にしてくれたのにゃ。
「ココは強い子だから大丈夫よ。」
ままんはそう言っていつも優しくしてくれたのにゃ。そしてぱぱんは
「ココは大事な子だ。何があってもパパンとママンが必ず守ってやるからな。」
と言ってぎゅっと抱きしめてくれたのにゃ。

一緒にいっぱい遊んだし狩りの仕方も教えてもらったにゃ。ままんとぱぱんのたくさんの愛情のおかげで俺は強い猫になったのにゃ。ままんとぱぱんとの思い出は俺にとって大事な思い出にゃよ。

アドリブ歓迎

 甘やかな香りが漂う椿咲く長い廊下をてくてく歩いて。
 占い師が待つ館の最奥の部屋へとやって来たのは、一匹の小さい子猫。
 いや、横丁を気ままにお散歩する猫ちゃんが迷い込んだというわけではなくて。
『次のお客さんは、随分と可愛い白猫さんだこと。わっちにどんな思い出話を食べさせ……いえ、聞かせてくださるのかしら』
 れっきとした客人、ココ・ナッツ(猫ねこ子猫・h01906)である。
 二足歩行で歩み寄り、そして青とアンバーのオッドアイを占い師へと向けて。
 うにゃんと、ココが語り始めるのは。
「思い出かぁ。俺が一番覚えているのは、ままんとぱぱんとの思い出かにゃ」
 そう、ままんとぱぱん――両親との思い出。
「4人兄弟の末っ子に産まれて身体も弱かったから長生き出来ないと言われてたにゃ」
 今のココも、割りと小さなアメリカンショートヘアに近いふわふわ毛並みの猫なのだけれど。
 幼い頃のココは、小さくて身体の弱い猫であった。
 きっと長くは生きられないだろう、そうも言われていたほどであったのだけれど。
「でもそんな俺をままんもぱぱんもとても大事にしてくれたのにゃ」
 今でも、ココははっきりと覚えている。
 ――ココは強い子だから大丈夫よ。
 そう言って、いつも優しくしてくれたままん。
 パパンもぎゅっといつだって抱きしめてくれて。
 ――ココは大事な子だ。何があってもパパンとママンが必ず守ってやるからな。
 大切に守ってくれたし、それに、ただ守るだけではなくて。
「一緒にいっぱい遊んだし狩りの仕方も教えてもらったにゃ。ままんとぱぱんのたくさんの愛情のおかげで俺は強い猫になったのにゃ」
 か弱かった小さな小さな子猫だったへと愛情いっぱい、強く逞しく育ててくれて。
 長生きができないと言われていた自分に、生きる術を色々と教えてくれた。
 だからもう、こうやって猫らしく気まぐれに、尻尾をゆうらり好奇心の赴くまま。
『うふふ、素敵ね。愛情たっぷりな美味しい味がしそうな話だわ』
 そう妖艶にわらう椿太夫にだって怯むことのない、元気な今のココがあるのだ。
 ……ままんとぱぱんとの思い出は俺にとって大事な思い出にゃよ、って。
 優しくてぽかぽかな両親とのあたたかい日々はココにとって、宝物なのだから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ララ・キルシュネーテ
🌟ラライサ

昔話をするのだって
桜色の猫を撫でながらイサに問う
ララはイサの昔話がしりたいわ?

ふぅん
じゃあララからするわ
ララがまだパパとママと一緒にいた時よ
ララは狩りの仕方をパパに習ったの
自分よりずうとおおきな龍を仕留めて
美味しく料理したの
それはもう楽しかったのよ
ママの為に綺麗なお花をお土産に持って帰って
パパに抱っこしてもらって逢魔が時の穹を春疾風のように翔けるの

美味しくて楽しかった
ララの、好きな時間
ねぇねやにぃにもララを褒めてくれたわ
花の蜜や果実をわけてくれた
皆で幸せな食卓を囲って美味しいご飯を食べるよ
だからララは食事が好き

話してたら
お腹がすいたわ

イサ
お前との昔話もこれからたくさんつくりましょう
詠櫻・イサ
🫧ラライサ

昔話、ね
俺の?聖女サマは変わった趣味があるようだな
俺は唯の兵器だ
今の身体が何体目かは忘れたけど
死んで殺すために在るだけの人形だ
良い昔話なんてない
俺はララの話が知りたいけどな
……謎めいてるし

ララの話をきけば彼女の謎が深まるばかりだけど
楽しげに話す姿は神聖で畏怖の対象たる聖女というより無邪気な幼いこどもだ

俺は……皆で猫の街を歩いたのが
すごく楽しかったよ
皆で笑って、柔らかい猫をみて
お揃いのお土産を買った
あたたかくて、悲しみなんて無い
誰も死なず
殺さず
兵器なのに、いいのかな
なんてさ
思って
この思い出を体験した
この身体が壊れなきゃいいなって

それだけ

ただ笑って
無垢で謎めいた聖女サマの頭を撫でてやる

 甘やかに椿咲く館で、腹を空かせた自称美食家の太夫は紡ぐ。
『わっちに美味な思い出を語ってくださいませ』
 それは古妖の呪い。選択する余地もなく、紡がれた声を通りに。
 過去を語ること以外何をすることも、この場では許されぬのだけれど。
 ララ・キルシュネーテ(白虹・h00189)は印象的な血彩咲かせるアネモネの双眸を細め、その呪いに抗わずに。
「昔話をするのだって」
「昔話、ね」
 桜色の猫を撫でながら、短く返す詠櫻・イサ(深淵GrandGuignol・h00730)に問う。
 ……ララはイサの昔話がしりたいわ? って。
 その言の葉に、イサは乙女椿の双眸を微か瞬かせて。
「俺の? 聖女サマは変わった趣味があるようだな」
 興味の華を咲かせる聖女サマのご所望通りに……といきたいところなのだけれど。
 向けられる興味の彩りにイサはこうこたえる。
「俺は唯の兵器だ。今の身体が何体目かは忘れたけど、死んで殺すために在るだけの人形だ」
 ……良い昔話なんてない、と。
 そして逆に、無垢な笑み湛える聖女へと問えば。
「俺はララの話が知りたいけどな。……謎めいてるし」
「ふぅん。じゃあララからするわ。ララがまだパパとママと一緒にいた時よ」
 白虹の聖女が語るのは、迦楼羅と龍神と共に過ごした過日のおはなし。
「ララは狩りの仕方をパパに習ったの。自分よりずうとおおきな龍を仕留めて、美味しく料理したの。それはもう楽しかったのよ。ママの為に綺麗なお花をお土産に持って帰って、パパに抱っこしてもらって逢魔が時の穹を春疾風のように翔けるの」
 ――美味しくて楽しかった……ララの、好きな時間、って。
 いや、そんな美味し嬉しいをくれて共に味わったのは、ふたりだけではなくて。
「ねぇねやにぃにもララを褒めてくれたわ。花の蜜や果実をわけてくれた。皆で幸せな食卓を囲って美味しいご飯を食べるよ。だからララは食事が好き」
 いつも腹ペコな聖女にとって、それを満たすひとときは今でも至福で。
「話してたら、お腹がすいたわ」
 そうわらう姿に、イサはやはり思うのだった。
 やっぱり、ララの話をきけば彼女の謎が深まるばかりだけれど、でも。
(「楽しげに話す姿は神聖で畏怖の対象たる聖女というより無邪気な幼いこどもだ」)
 それからふと、思い返す。
 良い昔話なんてないと、そう先程は告げたイサだけれど。
「俺は……皆で猫の街を歩いたのが、すごく楽しかったよ」
 ふと見つめるは、ララが撫でる子と同じ桜猫。
 自分は良い思い出など持たないとばかり思っていたけれど、でもイサは気づいたのだ。
「皆で笑って、柔らかい猫をみて。お揃いのお土産を買った」
 だってそれは、あたたかくて、悲しみなんて無くて。
 誰も死なず、殺さず。
(「兵器なのに、いいのかな、なんてさ」)
 己の在りようを思えば、そうも思うのだけれど。
 でもそれ以上に、今そっと己に咲いている思いを、イサは言の葉として紡ぎ落す。
「この思い出を体験したこの身体が壊れなきゃいいなって」
 ……それだけ、なんてただ笑って。
 それから伸ばした掌で、無垢で謎めいた聖女サマの頭をやさしくわしゃりと撫でてやる。
 そしてそんな彼の、それだけ、を同じように願うから。
「イサ」
 ララはその名を呼んで、紡ぎ綻ばせる。
 ……お前との昔話もこれからたくさんつくりましょう、って。
 たとえそれが泡沫の泡のようであっても――ひとつ、またひとつ游がせたいから。
 広がる深淵の海に、あたたかくて楽しい思い出の彩りを。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

柊・冬臣
アドリブ歓迎

これが件の占いの館か
見るからに不穏な……と感じるのは僕たちが古妖のことを知っているからかな

平和な猫又横丁から早々にいなくなってほしいところだけれど、今は何もできないのがもどかしいな
……思い出か。自分の思い出にこいつが食いつくかは疑問だけれど
√能力者であることを悟られるのも面倒そうだし、詳細は伏せながら話そうか

昔、異邦の旅人がいた
その人は自分の持つ技術を広めるために旅をして、遥か遠い僕のいるルー……いや、国へやってきた
僕は彼の持ってきた技術に夢中になったよ
その技術を理解するには素質が必要だったけれど、幸い僕にはそれが備わっていた
……口には出さないけれど、√能力者の欠落のことだね
誰にでも使える技術じゃないと知ったところで確信した
この人は技術を広めることよりも、同じ目的を持って研鑽を積める仲間が欲しかったのではないかとね
僕にとってその旅人は師匠であり親友さ

……と、こんな感じかな
相手の反応を見ようか

 日が落ちても、横丁の賑やかさは変わらず。
 いや、むしろ店々を照らす赤提灯とそこかしこで始まる酒宴、道行く客からのおこぼれがないかと愛想良く振舞う猫たちの姿、食欲をくすぐる香り――夜を迎え、さらに活気に満ちている。 けれど、そんな喧騒の中、ひっそりと明かりが燈ったのは、横丁の最奥にある館。
 いつの間にか閉ざされていた門も開け放たれ、椿が飾られた『商い中』の看板がぶらりと下げられている。
 柊・冬臣(壊れた器・h00432)は賑やかな通りを歩み、占い師が待つ館内へと案内されながらも。
(「これが件の占いの館か」)
 甘やかな香りに、異様に長い廊下、咲き乱れる椿の花。
 そっと視線を巡らせながらも思う。
(「見るからに不穏な……と感じるのは僕たちが古妖のことを知っているからかな」)
 けれど飄々と歩む様子から、相変わらず特に危機意識を抱いている様子もなく。
 最奥の部屋へと通されれば、華やかなその姿が目に入る。
『うふふ、わっちの館へようこそお越しくださりました』
 まるで花魁の如き見目は、噂通り別嬪ではあるのだけれど。
 でも目の前の占い師が古妖であることを最初から知っているから。
(「平和な猫又横丁から早々にいなくなってほしいところだけれど、今は何もできないのがもどかしいな」)
 その色香に惑わされることなど一切なく、これまで過ごしてきた横丁でのひとときを脅かす存在は、早いところ退場願いたいわけであるが。
 館にかけられているらしい古妖の呪いが、今はそれを許さない。
 だが、唯一この館内で許されていること。
『わっちに、美味しい……いえ、貴方が心に抱く思い出を聞かせてくださいな』
 それは、思い出をひとつ、語ること。
(「……思い出か。自分の思い出にこいつが食いつくかは疑問だけれど」)
 冬臣は事前に聞いていた通り、思い出話を促す夢喰いの古妖を見遣りながらも。
 √能力者であることを悟られるのも面倒そうだしと、詳細は伏せながら話すことにする。
「昔、異邦の旅人がいた」
 ご所望通り、思い出と言われて蘇る、己のこんな昔話を。
「その人は自分の持つ技術を広めるために旅をして、遥か遠い僕のいるルー……いや、国へやってきた。僕は彼の持ってきた技術に夢中になったよ」
 あの時の、旅人の技術を目の当たりにした時の衝撃と、心に一気に灯った好奇心や情熱は、今でも覚えているし。
「その技術を理解するには素質が必要だったけれど、幸い僕にはそれが備わっていた」
 ……口には出さないけれど、それは√能力者の欠落のこと。
 そして冬臣は確信したのだという。
 これが誰にでも使える技術じゃないと知ったところで。
「この人は技術を広めることよりも、同じ目的を持って研鑽を積める仲間が欲しかったのではないかとね」
 それから、こう話を締めくくるのだった。
 ――僕にとってその旅人は師匠であり親友さ、と。
 その後、自分の話を興味深げに聞いている彼女に目を向けて。
(「……と、こんな感じかな」)
 その反応を窺ってみれば、椿の様にご機嫌に咲く笑顔と。
『旅人さんも貴方と出会って、きっと求めていたものを見つけたのね。ふふ、素敵』
 細められた瞳に宿るギラつく輝きを見れば、何を思っているのか一目瞭然である。
 貴方の思い出……とっても美味しそう、って。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

雉尾・薙
とてとてと室内に入ると文字通り全身の毛が逆立つ感覚
ネコの本能的に、この綺麗なおねーさんはヤバいヤツだと警戒ポーズ

にゃにゃーん……?
(訳:おねーさん、薙の言葉が分かるかにゃ?)
反応見てネコ語通じるならそのまま
通じないなら人間語で喋ってやるにゃ、有り難く思うにゃ

薙は物心ついた時から野良猫にゃ
ママや兄弟は多分どっかにいるけど基本一匹の|猫《にゃん》生にゃ
一回、雪の降った寒い日に凍えて死にかけた事あるにゃ
でも近所のおばーちゃんに助けられて美味しいご飯貰って生き延びたにゃ
地域の人々の愛情に薙は生かされているにゃ
多分この地域の猫さん達もそうにゃんだろにゃー

だから…薙は悪いやつ許さないにゃよ(尾立てて威嚇)

 横丁の最奥の館を訪れた、次の客人は。
「にゃーん」
 横丁にも沢山いる、猫さん……?
 いえ、堂々とてくてく館内を歩む、お猫様。
 雉尾・薙(魅惑の尻尾・h03165)は、尻尾をゆうらり揺らしながらも、占い師の待つ最奥の部屋へと進む。
 薙は見ての通りの猫、故にいつだって勝手気ままであるのだけれど。
 でも、横丁の人達から美味しい物を沢山貰ったし、お猫様仲間とも楽しく遊んだから。
 気紛れに猫の手を貸すことにしたわけなのだけれど。
 とてとてと館の奥の室内に入れば――ぶわっと。
 文字通り全身の毛が逆立つ感覚、同時にフシャーッと警戒ポーズを。
『ふふ、可愛い猫ちゃんのお客さんだこと。猫ちゃんの思い出だって、歓迎よ?』
 だって、ネコの本能的が告げているのだから。
 この綺麗なおねーさんはヤバいヤツだと。
 だがかといって、怯むことなどなく。
「にゃにゃーん……?」
 ――おねーさん、薙の言葉が分かるかにゃ? なんて。
(「通じないなら人間語で喋ってやるにゃ、有り難く思うにゃ」)
 通じるかどうか、まずは試しにそう訊いてみれば。
「あら、人の言葉で喋っちゃってごめんなさいね……にゃにゃー」
 相手は古妖だからか、どうやらネコ語も通じるらしい。
 なのでそのまま、薙は思い出を語ってあげることにする。
「にゃにゃ、にゃんにゃー」
 ――薙は物心ついた時から野良猫にゃ。ママや兄弟は多分どっかにいるけど基本一匹の猫にゃん生にゃ。
「にゃんにゃにゃ、にゃん」
 ――一回、雪の降った寒い日に凍えて死にかけた事あるにゃ。
『にゃんと、それは大変だったわね』
「にゃーにゃんにゃん」
 ――でも近所のおばーちゃんに助けられて美味しいご飯貰って生き延びたにゃ、地域の人々の愛情に薙は生かされているにゃ、と。
 そしてそんな自分の過去があるから薙はわかったし、重ねたのだ。
「みゃーにゃにゃーん」 
 ――多分この地域の猫さん達もそうにゃんだろにゃー、って。
 横丁の人々や猫達と触れ合って、そのことが。
 それから、うっとり舌なめずりをする古妖へと、ぴん! っと尾を立てて。
 シャーッ! と威嚇しつつも、思い出語りを終えた最後に告げる。
「にゃにゃーん、にゃんっ」
 ――だから……薙は悪いやつ許さないにゃよ、って。
 お猫様と人々の愛情溢れる日常を蝕まんとする、眼前の古妖へと。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

御嶽・明星
【星花】

思い出話が占いになるのか…
チラと横を見れば、普段は明るいエリカの横顔が暗い気がする
そうだよな、こいつにとって思い出話って言ったら、家族とのことだ

占い師に話す…のもあるけど、エリカに話して聞かせるように話そう

カバンから取り出したのは、黒猫のパペット
膝に無造作に転がして

俺は幼児期、あまり喋らない子供で友達も多くなかった
そんな俺の友達のひとりになればって、姉ちゃんが作ってくれたんだ
もちろん、こいつは姉ちゃんが操ってたんだけど、こいつにはなんでも話せた思い出があるんだ
今思えば、姉ちゃんの優しさだったんだな。こいつは

エリカには
俺が泣かせたんかって突っ込みながら、俺のネコパペもその膝に座らせてやる
エリカ・バールフリット
【星花】

占いだってっ。面白そう!
……って入ったけど、思い出話が占いになるなんて
エリカの思い出は、もう帰り道すらわかんない√での家族のこと

話したら寂しくて泣いちゃいそうで
拳を握ってたら、隣に座ったアカリがカバンから出したのは、黒猫のパペット
同じのを、エリカも持ってる

なんでアカリがそれ持ってんの?

エリカもカバンから黒猫のパペットを取り出して、アカリの話を聞いて

そうなんだ
エリカのネコパペも、|弟《カイ》が産まれるときにエリカが寂しいくないようにって、お母さんが作ってくれたの
だからエリカ、|弟《カイ》のときも|妹《エミ》の時も、がんばれた

って喋ったら、涙が溢れてきた

な、泣かせないでよ、バカアカリっ

 狭い通りにぎゅっと詰め込んだように、犇めき合い並ぶのは活気溢れる幾つもの店。
 そしてそんな横丁の風景を闊歩する、たくさんの客と猫たち。
 エリカ・バールフリット(海星の花・h01068)は、父に似た明るく朗らかな笑みをキラキラ宿しつつ、賑やかな通りを歩いてみて。
「占いだってっ。面白そう!」
 占星術に造詣がありタロット占い等も得意な彼女が見つけたのは、横丁の最奥でひっそりと営業している占いの館。
 だから、御嶽・明星(推定・暁の明星・h00689)と一緒に、わくわくと中へと入った……のだけれど。
『わっちの占いは思い出占い、貴方達の思い出を聞かせてくださいな』
(「思い出話が占いになるなんて」)
 エリカはそうふと、表情を変化させてしまう。
 そしてチラと横を見れば目に入ったその表情に、明星は気が付く。
(「思い出話が占いになるのか……」)
 普段は明るいエリカの横顔が暗い気がすることを。
 だって、知っているから。
(「……エリカの思い出は、もう帰り道すらわかんない√での家族のこと」)
(「そうだよな、こいつにとって思い出話って言ったら、家族とのことだ」)
 そんな思い出話を促され、でも、実は密かに母譲りの寂しがりやさんでもあるから。
 話したら寂しくて泣いちゃいそうで、ぎゅっと拳を握っていたら。
 刹那、エリカはぱちりと瞳を瞬かせる。
 そして俯き気味になっていた顔を再び上げて、明星を見つめ問う。
「なんでアカリがそれ持ってんの?」
 隣に座った明星がカバンからふいに出したのは、黒猫のパペット。
 だって、膝に無造作にころりと彼が転がしたその子は。
(「同じのを、エリカも持ってる」)
 だからエリカもカバンから黒猫のパペットを取り出して。
「俺は幼児期、あまり喋らない子供で友達も多くなかった。そんな俺の友達のひとりになればって、姉ちゃんが作ってくれたんだ」
 自分の問いにそう答えつつも、語られ始めた明星の思い出に耳を傾ける。
 いや、占い師に話す…のもあるのだけれど。
(「エリカに話して聞かせるように話そう」)
 明星はそうそっと思いながらも、昔話の続きを。
「もちろん、こいつは姉ちゃんが操ってたんだけど、こいつにはなんでも話せた思い出があるんだ」
 ……今思えば、姉ちゃんの優しさだったんだな。こいつは、と。
 膝の上の黒猫パペットへと視線を向けて。
 そしてエリカも、そうなんだ、って呟きを落としてから。
 同じように口にする、大切な思い出。
「エリカのネコパペも、|弟《カイ》が産まれるときにエリカが寂しいくないようにって、お母さんが作ってくれたの」
 ……だからエリカ、|弟《カイ》のときも|妹《エミ》の時も、がんばれた、って。
 そしてやっぱり、思った通り――ぽろぽろと。
(「って喋ったら、涙が溢れてきた」)
 寂しさがこみあげてきたと同時に、晴れた海の青い瞳から涙が零れ落ちてきて。
「な、泣かせないでよ、バカアカリっ」
「俺が泣かせたんか」
 そう突っ込みつつ、明星は流れ星のように落ちる雫を蠍炎の瞳で見遣りながらも、ちょこんと。自分の黒猫パペットもその膝に座らせてやる。
 姉が自分に優しさをくれたように――少しでも、エリカが寂しくなくなるようにと。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

アリス・アイオライト
ユウキくん(h01364)と

思い出……ですか
真っ先に浮かぶのは、大切な人を失った時のこと
でもそれをユウキくんの前で話すのはまだ……
躊躇っているうちにユウキくんが話し始めてくれたので、ほっとして

ユウキくん、その先は……(能力者と見破られないよう目配せ)

ふふ、確かに最初はそんな感じでしたね
……魔法とは、ですか?ふふ、この子の前でネタバレしたくないので、今は秘密です
(しーっと、何か子供だましをしている風を装い誤魔化す)

えっ、普段は頼りない?そんなことないですよ私は日夜研究に励んで日々新たな技術の習得を……!
そ、そういうのはいいんですよ、時間がもったいないです(目逸らし)

これで占いができるんですかね?
天ヶ瀬・勇希
師匠(h02511)と!

じゃあ師匠と会った時の話とかどうだ?
なんと、師匠は空から降ってきたんだぜ!マンガみたいだろ!
そんで俺その時やべーやつに狙われ……(言いかけて師匠の目配せに止まった)
えっと、ちょっと困っててさ、とっさに助けてーって言ったら、師匠が魔法で助けてくれたんだ!
師匠の魔法、すげーかっこいいんだぜ!

それで、俺も魔法が使いたくて師匠に弟子入りしたんだ!
その後もいろいろ頼りに……してんだけど普段の生活の方はむしろ俺が世話してる感じになってんだよな
すげーの魔法だけなんだもん、ちゃんと寝て飯も食べろよな!

占いは俺がこの先立派に魔法が使えるようになるのか教えてほしいな!ワクワク結果を聞くぜ!

 夜を迎えて明かりが灯った館の、甘い香り漂う長い廊下の先。
 そこかしこに飾られた椿の花のように微笑み迎え入れた占い師は、客人として訪れた彼女達にも所望する。
『貴方達はどういう味の……いえ、どんな思い出があるのかしら? わっちに聞かせて頂戴な』
 腹を空かせたようにそわりと、語られる思い出話を待ち侘びるように。
 それは星詠みされていて、聞いていたことではあるのだけれど。
「思い出……ですか」
 アリス・アイオライト(菫青石の魔法宝石使い・h02511)はやはり躊躇ってしまう。
 真っ先に浮かぶのは、今は帰るつもりがない故郷で――大切な人を失った時のこと。
(「でもそれをユウキくんの前で話すのはまだ……」)
 そう思っていれば、隣でこう声が聞こえて。
「じゃあ師匠と会った時の話とかどうだ?」
 アリスは内心ホッとする。天ヶ瀬・勇希(エレメンタルジュエル・アクセプター・h01364)が話し始めてくれたから。
 そんな師匠の心もいざ知らず、勇希はキラキラした瞳で語り始める。
「なんと、師匠は空から降ってきたんだぜ! マンガみたいだろ!」
 お年頃の男児にとって、まさにそんなシチュエーションは浪漫以外のなにものでもなくて。
 その時のことを思い出しては、少し興奮気味に口にする勇希だけれど。
「そんで俺その時やべーやつに狙われ……」
「ユウキくん、その先は……」
 言いかけて止めたのは、師匠の目配せに気付いたから。
 そしてアリスの、能力者と見破られないようにという意図も汲み取ったから、ちゃんと言葉を選びつつも。
「えっと、ちょっと困っててさ、とっさに助けてーって言ったら、師匠が魔法で助けてくれたんだ!」
「ふふ、確かに最初はそんな感じでしたね」
「それで、俺も魔法が使いたくて師匠に弟子入りしたんだ!」
 勇希はえっへんと胸を張りながらも、誇らしげに続ける。
 ――師匠の魔法、すげーかっこいいんだぜ! って。
 その姿を見つつ、紡がれる思い出話に満足げに。
「うふふ、魔法でございますか? お師匠さんの魔法がどのような魔法ものなのか、わっちはとても気になります」
 そうわらう占い師に、アリスはすかさず、しーっ。
「……魔法とは、ですか? ふふ、この子の前でネタバレしたくないので、今は秘密です」
 何か子供だましをしている風を装い誤魔化すべく。
 いや……勇希の思い出話には、まだこんな続きが。
「その後もいろいろ頼りに……してんだけど普段の生活の方はむしろ俺が世話してる感じになってんだよな」
「えっ、普段は頼りない?」
 それを聞けば、思わずアリスは瞳を瞬かせてしまって。
「そんなことないですよ私は日夜研究に励んで日々新たな技術の習得を……!」
 予想外な弟子の言葉に、そう反論……しようとするも。
 大好きな宝石のこととなれば確かに、身の回りのことは勿論、寝食も疎かになるほど夢中になってしまうから。
「すげーの魔法だけなんだもん、ちゃんと寝て飯も食べろよな!」
「そ、そういうのはいいんですよ、時間がもったいないです」
 身に覚えがありすぎて、思わず目を逸らしちゃいます。
 それからアリスは気を取り直して、占い師へと……占い師を騙る古妖へと、瞳をちらり。
「占いは俺がこの先立派に魔法が使えるようになるのか教えてほしいな!」
(「これで占いができるんですかね?」)
 日常生活の方はちょっと頼りないかもだけど、占い結果にワクワク待つ弟子を後目に――動向を窺うように向ける疑いの眼差しは、決して悟られぬようにと。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

神無・未来
【Q&A】

…思い出に、味があるのね。

思い出語りを始めましょう。
想が誕生日を祝ってくれたことが嬉しかった。
ケーキを美味しいと思うことも、きっと叶った。
大切な誕生日を初めて大切だと思うことが出来た。

…かもしれなかった。

……強烈に残った思い出は。
想が、欠落を持ったことだった。

しあわせな思い出は、私をふしあわせな人形へと引き戻した。
……それが何よりも、痛かった。

占うなら、どうぞ。
きっと、碌でもない味なのでしょうけど。

私は。
きっと、
あそこから、始まったのだと思う。
始まりの思い出。

最後のしあわせ。
新見・想
【Q&A】

最後じゃないよ、未来。
あれは、未来にとっての。

最初の、しあわせ。

…わたしの思い出はね。
昔、未来に歌を歌ってたんだ。
何度歌っても、未来に響かなかった。
何度も、泣いたな。

でも、ある時。
届いたの。
わたしがアイドルとして届けた時に。
確かに、届いた。
未来が目を見開いたのが見えて。

とっても。
嬉しかったな!

 日が沈んで暗くなった頃、館に明かりが灯され、閉じていたその門が開いたのは。
『わっちに早う、美味しい……いや、貴方達の思い出話を聞かせて』
 そう、横丁の最奥に潜む腹ペコな思い出喰らいが、密かに獲物を誘い出すため。
 酸いも甘いも語られる、そんな色々な味がする美味しい思い出を、ぺろりといただくために。
 そして眼前の占い師を騙る古妖の思惑など、星詠みで最初からわかっていることなのだけれど。
(「……思い出に、味があるのね」)
 神無・未来(“ふしあわせ”な|人間《ちぐはぐ》さん・h00330)はそう思いつつも。
「思い出語りを始めましょう」
 自分の思い出はどんな味なのかは、考えないようにする。
 だって――。
「想が誕生日を祝ってくれたことが嬉しかった。ケーキを美味しいと思うことも、きっと叶った。大切な誕生日を初めて大切だと思うことが出来た」
 ……かもしれなかった、なんて付け加えながらも。
 でも、だって、本当は。
(「……強烈に残った思い出は。想が、欠落を持ったことだった」)
 そう一瞬だけ、今日も勿論隣にいる、新見・想(そう、わたしが!・h01561)をそっと密かに見遣る。
 そしてそんなしあわせな思い出は、自分をふしあわせな人形へと引き戻した……それが何よりも、痛かった、って。
 思い出せば、そう未来は思ってしまうし。
「占うなら、どうぞ。きっと、碌でもない味なのでしょうけど」
 いつものように思うまま、オブラートに包まずに占い師へと言葉を投げる。
 だって、禄でもないに決まっている。
「――私は。きっと、あそこから、始まったのだと思う」
 それは、始まりの思い出。そして――最後のしあわせ、ってそう思うから。
 でもその言葉にふるりと首を横に振ったのは、誰でもない想であった。
「最後じゃないよ、未来」
 そして想も語り始める。
「……わたしの思い出はね。昔、未来に歌を歌ってたんだ。何度歌っても、未来に響かなかった」
 ……何度も、泣いたな、って。
 しう当時を思えばほんの一瞬だけ、微か細めた銀の色に寂しさを垣間見せて。
 けれどすぐにその双眸にキラキラと煌めきを再び纏わせれば、大きくひとつ頷く。
「でも、ある時。届いたの。わたしがアイドルとして届けた時に」
 ――確かに、届いた、って。
「未来が目を見開いたのが見えて。とっても。嬉しかったな!」
 だから想は、家族である幼馴染へと目を向けて紡ぐ。
 決して最後のしあわせだなんて、思わない。
 だって思うから。
 むしろあの思い出は、ケーキのように美味しいと思えるような。
「あれは、未来にとっての」
 ――最初の、しあわせ、って。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

織狩・莉都
ふむふむ、ふむ。思い出話ねぇ……。
聞くのは結構だが、消化不良を起こしても知らないよ?
我輩とて、其れなりに生きてきているからね。
さて、其れではお耳を拝借。

あれはまだ我輩がコロコロと可愛らしい仔猫であった頃だ。
うちの母が、仔猫の我輩へと頻繁に読み聞かせしていた噺があってね。
有名な噺で、その噺の一節目だけで著者が分かるという代物だった。
マァ母は大層な猫狂いでね。
だからこそ猫又の父の番になったんだが……あぁいや、これはまぁ横道か。
その日も母は変わらず、その噺を読み聞かせていたわけだ。
そうなると、仔猫は思うのさ。
成程、自分の事はそう呼ぶのか。と。
結果我輩は、初めて自分を「我輩」と呼んだ。
その時の父といったら!こう、正座したまま平伏してね!
あれを人の子は「ごめん寝」と呼ぶのだろう?
今思い出しても清々する。

母から訂正されなかったのか?
考えてもみ給え。仔猫にそんな噺を読み聞かせる母だぞ?
仔猫が我輩と呼んだ事に喜ぶだけさ。

……さて。我輩が欠片聞かせてやれる噺は此処迄だ。
少しは腹が膨れたかね?キミ。

 夜の帳が下りれば、ようやく館に明かりが燈り、その門が開かれて。
 甘い香がふわりと漂う長い長い廊下を進んだ先には、椿の花が咲く扉が。
 そして中で待ち構えていたのは、美しくも華やかな装いの花魁の如き占い師。
 いや……眼前の椿太夫は、占い師ではない。
『わっちの占いには、思い出話が必要でございます。貴方様の心に在る美味しそうな昔話をどうかひとつ』
 占い師を騙った、腹を空かせた思い出喰らいの古妖であるという。
 そしてこの屋敷にかかっているのは、古妖の呪い。
 椿太夫が告げるように、今は思い出を語ることしかできぬようだから。
「ふむふむ、ふむ。思い出話ねぇ……」
 織狩・莉都(ひとつ尾の猫又擬き・h01332)はいつも眇めているカッパーカラーの猫目を微か開き、古妖へと向けながらも。
 ご所望通りに紡ぐ前に、こう断っておく。
「聞くのは結構だが、消化不良を起こしても知らないよ? 我輩とて、其れなりに生きてきているからね」
『うふふ、それはどんな味……いえ、どんな内容のお話か、楽しみでございますね』
 そして、下舐め摺りをしながらもわらう椿太夫にも臆すことなく。
 ――さて、其れではお耳を拝借、と。
 莉都の思い出話の、はじまり、はじまり。
「あれはまだ我輩がコロコロと可愛らしい仔猫であった頃だ。うちの母が、仔猫の我輩へと頻繁に読み聞かせしていた噺があってね。有名な噺で、その噺の一節目だけで著者が分かるという代物だった」
 だが、かの有名なその物語ばかりが読み聞かせに選ばれていたのは、納得しかないのだ。
 何せ、莉都の母親といえば。
「マァ母は大層な猫狂いでね。だからこそ猫又の父の番になったんだが……あぁいや、これはまぁ横道か」
 七度転生した猫又の父と番になったほどの、無類の猫好きの人間であるのだから。
 でもそんな父と母の話は、今回は置いておいて。
 今宵語る思い出は、猫が大好きな母の読み聞かせの話。
「その日も母は変わらず、その噺を読み聞かせていたわけだ。そうなると、仔猫は思うのさ――成程、自分の事はそう呼ぶのか。と」
 あまりにも、その猫の噺ばかり読み聞かされるものだから。
 無垢でまっさらな仔猫は、結果的にこうなったわけだ――我輩は、初めて自分を「我輩」と呼んだ、と。
 そして莉都は、猫の尻尾をゆらりら、続ける。
「その時の父といったら! こう、正座したまま平伏してね! あれを人の子は「ごめん寝」と呼ぶのだろう?」
 ……今思い出しても清々する、と。
 そんな莉都が飄々と編んでゆくそんな昔話に、愉快そうにわらいながら。
『ふふ、当のお母上は、我輩と呼ぶ貴方様の訂正などはされなかったのでしょうか?』
 小首を傾ける椿太夫の言葉に、首をそっと竦めてみせつつ。
「母から訂正されなかったのか? 考えてもみ給え。仔猫にそんな噺を読み聞かせる母だぞ?」
 このようなオチで、莉都は自らの思い出話を締めくくるのだった。
 ……仔猫が我輩と呼んだ事に喜ぶだけさ、って。
 まさにそう、我輩は猫、であることには違いないのだから。
 それからふいに莉都は、お耳をぴこり。
 眇めていた猫目を改めて開き、赤橙の胴色で古妖の姿を捉えつつも、こう紡いでみせる。
「……さて。我輩が欠片聞かせてやれる噺は此処迄だ」
 ……少しは腹が膨れたかね? キミ、なんて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

星村・サツキ
呪い…か。
専門ではないけれどこれは厄介だね。
まぁ思い出がご所望なら一つ、語るとしようか。
ふふ、でも楽しい保証はないよ。

あの頃のことはよく覚えてる。
まだ5歳になる前かな、両親と遊園地に遊びに行ってね。
それはそれはとても楽しくて、あっという間に過ぎた時間にまだ帰りたくないって駄々をこねてたっけ。
困った両親は宥めながら『私』を連れて帰ろうとして…ボクはその手を振り払って逃げたんだ。
結果、『私』は誘拐され…暫く後に助け出された。

オチとしては月並みかな?
ほら。ボクの言葉遣い、年を考えるとちょっと変だろう?
小さい頃は普通の、どこにでもいる子供と変わらなかったんだけどね。
まぁ…それが原因と言う訳さ。
ふふ、楽しさと喪失の思い出と言った所かな?
(本当は、違う√に迷い込んだんだけどね)

 相も変わらず、日が落ちてもゆうらゆら。
 ご機嫌に尻尾を揺らしながら横丁を闊歩している、沢山の猫たち。
 いや、犇めき合う店に赤提灯がひとつふたつ、瞬く間に数え切れぬほどに沢山灯れば。
 猫たちにとっては今からがかき入れ時……訪れる人達にお強請りする時間。
 腹ペコな猫たちは美味しいおこぼれを貰うために、店から店へと、にゃーんと巡り始める。
 けれど……腹ペコなのは、猫だけではなく。
 横丁の最奥、ようやく明かりが燈って門が開かれた館にいる占い師だって、お腹がペコペコだから。
 ありつけるその時を待ち構えているのだ、美味しい思い出が食べられる時を。
 そんな占い師の館へと足を踏み入れた星村・サツキ(厄災の|月《セレネ》・h00014)は、夜の様な黒髪をそっと揺らし歩きながら。
 紫と金のふたつの彩りを帯びた瞳を周囲へと巡らせつつも思う。
(「呪い……か。専門ではないけれどこれは厄介だね」)
 甘やかな香りと椿の花、異様に長い廊下の先に続く最奥の部屋。
 この館にはそう、呪いがかけられていて。
『よくお越しになりました。さぁ、わっちに思い出話を語っておくんなまし』
 占い師……正確に言えば、占い師を騙る古妖が言うように、呪いを解くには思い出を語るしかないのだという。
 このような呪いは、魔女にとっては少し専門外ではあるのだけれど。
「まぁ思い出がご所望なら一つ、語るとしようか」
 眼前で妖艶にわらう椿太夫の望むようにサツキは紡いであげる。
 ……ふふ、でも楽しい保証はないよ、なんて。
 こんな思い出話を、ひとつ。
「あの頃のことはよく覚えてる。まだ5歳になる前かな、両親と遊園地に遊びに行ってね。それはそれはとても楽しくて、あっという間に過ぎた時間にまだ帰りたくないって駄々をこねてたっけ」
 煌めく数多の光に、楽し気な音楽、心躍る乗り物たち。
 幼子であったサツキにとっては、魔法にかかったかのようにそれらに夢中になって。
 閉園時間目前になっても、帰りたくないとごねたものだ。
 そして、互いに取った行動は。
「困った両親は宥めながら『私』を連れて帰ろうとして……ボクはその手を振り払って逃げたんだ」
 それは、特別珍しいわけではない親子のやり取りであるのだけれど。
 でも……あの時は、それだけでは、済まなくて。
「結果、『私』は誘拐され……暫く後に助け出された」
 そこまで語ったサツキは占い師へとこう続ける。
「オチとしては月並みかな?」
『あらまぁ、それは大事件でございましたね』
 だが思いのほか興味を示した椿太夫に、色の違う相貌を細めてみせて。
 あくまで大人びた口調で、思い出話に付け加えておく。
「ほら。ボクの言葉遣い、年を考えるとちょっと変だろう? 小さい頃は普通の、どこにでもいる子供と変わらなかったんだけどね」
 まぁ……それが原因と言う訳さ、って。
 それから夜天の魔女は、腹を空かせた思い出喰らいの古妖へと笑んでみせる。
「ふふ、楽しさと喪失の思い出と言った所かな?」
 この思い出話の味は果たしてどのような味か、それは目の前の美食家にしかわからないけれど。
(「本当は、違う√に迷い込んだんだけどね」)
 真実とはほんのちょっぴり違う味付けも、かたる思い出には、時には必要だから。
 そしてそれがお気に召す味かどうかは――うっとりと舌なめずりをしている姿を見れば、一目瞭然。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『星詠みの悪妖『椿太夫』』


POW 九重椿
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【惑わしの妖気を宿す椿花】で300回攻撃する。
SPD 惑わしの香
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【香箱】を、同時にレベル個まで具現化できる。
WIZ 星詠み乱れ花
あらかじめ、数日前から「【星詠み】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●占い結果と食いしん坊
 ――思い出話をすること。
 それが、この館にかけられた古妖の呪いを解くための儀式であり。
 儀式を終えた今、行動の自由が戻ってきた感覚をおぼえる。
 なのであとは、古妖を討ち取るのみ……であるのだが。
 椿太夫はそれでも妖艶な笑みを宿し、思い出話をしてくれた「客人」達に告げる。
『ふふ、では、わっちが占った結果をお伝えいたしますね』
 そう――思い出占いの結果を。
『貴方の未来は――昔のことなど綺麗さっぱり忘れて、新しい思い出を作りましょうと出ております。うふふ、ですがそもそも、語っていただいた美味しい思い出は勿論のこと。この館にいらしたことすらも、覚えていらっしゃらないでしょうけれど』
 何せ……わっちがこれから全部、美味しく喰って差し上げるのですから、と。
 だが勿論、そう易々とそんなことはさせない、なんて思った刹那。
「……!?」
『今宵の客人は、貴方様だけではございませぬので。ふふ、甘やかな遅効性の強烈な睡眠香が効いてきた頃でしょうか』
 刹那襲われるのは、ふわふわとした眠気。
 いや、もしかしたらそのような術に耐性がある者も中にはいるかもしれないし。
 一般人にならば効果覿面なこの香りも、√能力者には効き目は薄そうだが。
 ひとりや1組ずつしか館に入れなかったのは、この古妖の性格が用心深いからで。
 強力な古妖を相手に、ひとりふたりだけで立ち向かうのは危険だ。
 なので、いまだ客人だと思い込ませたまま、眠ったふりをしていれば。
 運ばれたのは、さらに屋敷の奥にある、広い秘密の部屋。
 そして古妖が「美味しい思い出話」だと判断し選別した今宵の客人全てを、この部屋に集め終われば。
『うふふふ! 今宵は何という大漁。美味しそうな思い出が沢山でございますねぇ!』
 嬉々として、思い出を喰らわんとする。
 だが、その時であった。
『……え!?』
 腹ペコで待ちきれぬといった様子であった椿太夫の表情が、一瞬にして変化する。
 その理由は、いわずもがな。
『! なっ!? あ、貴方様方は!?』
 √能力者達が示し合わせ頷き合い立ち上がり、得物を手に一斉に身構えたから。
 そこではじめて、己の未来を予測できなかった偽物の占い師は現状に気づく。
『ま、まさか……わっちをはめたのでございますか!?』
 今宵の占いの館の客人は全て、星詠みを聞いてやって来た者達のみ。
 つまり、今此処に居る者達は、思い出喰らいな古妖を祓う目的で赴いた√能力者やAnker達である。
 というわけで、思い出を語って呪いも解かれた今。
 あとやるべきことは、ただひとつ――眼前の古妖を、倒すのみ。
早乙女・伽羅
嵌めたなどと、人聞きの悪い
君と同じことをしただけだ

そう、生きるために敵を屠り、敵を屠るためにその者を欺く
世界に在るすべての命は、そうやって生存戦略を切磋琢磨してゆく
さあ、今夜は君と俺たちとの生存競争だ
紳士と淑女らしく、フェアにいこうじゃないか

サーベルを抜き、椿太夫と対峙する
深く踏み込んでその首を薙ぎ払う――が、やはり古妖
先刻動揺した姿の、弱者じみた印象を払拭するくらいには機敏であろう
動く先を読んで更に踏み込む
相手の逃げ場を削り取るようにして立ち回る

――しかし、この椿花
視界がわずかに歪んで煩わしい
サーベルを左手に持ち替えて、同じように切りかかりつつ、
*√右の肉球で椿花を握り潰し妖気を払う

 今宵は、好みの思い出をたっぷりと喰らって、美味に満たされ酔い痴れる。
 そう眼前の占い師は――いや、「椿蛇の妖怪」の古妖は思っていたのだろう。
 だが今は、その表情も一変。
『ま、まさか……わっちをはめたのでございますか!?』
 ようやく状況を把握した相手に、早乙女・伽羅(元警察官の画廊店主・h00414)は首を傾けてみせつつも、言の葉を返す。
「嵌めたなどと、人聞きの悪い」
 ……君と同じことをしただけだ、と。
 いや、眼前の古妖や此処に居る自分達に限ったことではないのだ。
 ――生きるために敵を屠り、敵を屠るためにその者を欺く。
 世界に在るすべての命は、そうやって生存戦略を切磋琢磨してゆくものなのだから。
 強いものが生き残り、敗れたものが喰われる。
「さあ、今夜は君と俺たちとの生存競争だ」
 そう、それはごく当然な自然の摂理。
 そして伽羅は特高サーベルを抜き、椿太夫へと告げる。
「紳士と淑女らしく、フェアにいこうじゃないか」
 どちらが生き残るに相応しいか、公平に刃を交わすべく。
 刹那、軽やかに地を蹴れば、深く踏み込んで。
 薙ぎ払うべく狙うは、相手の首。
 椿の花が散るが如く、ぽとりと落としてやらんと刃を閃かせるが。
『……!』
 瞬間、伽羅が見開いたその瞳にも赤い花が咲き乱れれば。
 惑わしの妖気を開かせ、幾重にも衝撃を重ねてくる。
 嵌められたと動揺し、喚いていた姿は弱者じみた印象であったが。
『わっちを狩るのでございますか? では、引き裂いてから喰ろうてやりましょう』
 やはり、相手は古妖――それを払拭するくらいには強者である。
 だがしかし、伽羅にはわかっているのだ。
『! なっ』
 星詠みによって、相手がどう仕掛けてくるのかを。
 故に、敵が動く先を読み、退くどころか更に踏み込んで。
 その退路を削り取るように立ち回って。
『く、なんの……!』
 戦場に狂い咲く椿に、伽羅は目を細める。
(「――しかし、この椿花。視界がわずかに歪んで煩わしい」)
 そしてサーベルを左手に持ち替えれば、同じように切りかかりつつも――ヴァニタス、そう虚飾を紡ぎ咲かせれば。
『! わっちの花が……、ッ!』
 逆に枯れゆくは、蠱惑な赤たち。
 伽羅の右の肉球によって握り潰された椿花が、妖気をはらり、払い散らされてゆくと同時に。
 戦場に容赦なく刹那閃くは、その首を刎ねんとする鋭利な刃の斬撃。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

弥久院・佳宵
諸々歓迎

漸くお出ましでございますか、椿太夫殿。
「永久に宿りし魂よ、この刃に応えよ!」
久遠顕現が霊力を纏い、輝きを放ちます。過去の使い手たちの力が槍を通じて流れ込み、私の中に宿るのを感じます。敵の不敵な笑みが気になりますが、迷いはございません。一気に踏み込みます。

その瞬間、奇妙な違和感が全身を襲います。槍はわずかにずれ、攻撃が空を切ります。「…何が?」わずかに眉を寄せますが、即座に構え直します。

「この槍が届く限り、諦めはございません!」
敵の策略には一度翻弄されましたが、この槍が届く限り、勝機は消えません。霊力を巡らせ、再び槍を振りかぶります。過去の力と共に、この一撃を放つ準備は整っております。

 夜まで獲物を待ち、念入りに己の狩場である館の奥へと巧みに誘う。
 そんな慎重な思い出喰らいも、ついに食い気には敵わずに、その本性を現したから。
 ……漸くお出ましでございますか、椿太夫殿、と。
「永久に宿りし魂よ、この刃に応えよ!」
 常に被る被衣の奥。その金の双眸を細めながら、弥久院・佳宵(人妖「九尾狐」の不思議古書店店主・h02333)が代々弥久院家に伝わる槍――久遠顕現を手にし紡げば。
 刹那霊力を纏い輝きを放つ刃から、佳宵は感じ取る。
 過去の使い手たちの力が、己の中へと宿るのを。
 だが、最初こそ思わぬ展開に動揺していた古妖であったが。
『少々驚きましたけれど……ふふ、わっちのやることは、何も変わりはいたしません』
 美しい顔に浮かぶのは、不敵な笑み。
 それが気にはなるものの、けれど……迷いはございません、と。
 一気に踏み込んだ瞬間、佳宵はハッと瞳を見開く。
 感じたのは、全身を襲った奇妙な違和感。
 同時に、敵の身を捉えたはずの槍の軌道が何故か僅かにずれて、攻撃が空を切る。
「……何が?」
『うふふ、わっちは占い師。星詠みを乱れ咲かせたのです』
 そう――それは、慎重な敵の実行していた、星詠み作戦。
 戦場に椿太夫が咲き誇らせたのは、視界に捉えた者の行動を必ず失敗させるという、星詠み乱れ花。
 だが、そんな古妖の術に佳宵はわずかに眉を寄せるも、即座に構え直して。
「この槍が届く限り、諦めはございません!」
 敵の策略に翻弄されるのも、先程の一度きり……この槍が届く限り、勝機は消えません、と。
 そう霊力を巡らせれば、再び久遠顕現を振りかぶって。
 久遠顕現に宿る永久の魂を纏った佳宵は、腹を空かせた古妖に喰らわせてやる。
「過去の力と共に、この一撃を放つ準備は整っております」
『!? なっ……ぐっ!』
 思い出を所望するのならば、容赦なく全力で。
 過去の使い手達の想いとその記憶を力にした、霊想術・久遠閃の一撃を。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

玉梓・言葉
アドリブ、絡み◎

人の強い想い程、美味いものはない
儂は喰うより慈しみたいと思うておるがそれはそれぞれの主観よ
……ただ、お主の思い出「美味しくなさそう」じゃな
どれだけ美しいナリをしていても美しくないのう

霊的防護、呪詛耐性、狂気耐性有
煙管からは《翠煙》を上げ周囲に呪詛、精神汚染で恐怖を与える

【呪憑き】のこの身、儂の芯に蔓延る呪いは悪霊共の口に合うらしい
まあただの悪食よ
ほれほれ、不味そうなお主を見て涎を垂らしておるわ
ぽたりと滴る唾液に醜いのうといつも変わらぬ笑み
悪霊の集合体の黒い靄に身を預け煙管楽しむ姿はただの第三者
「餌はそこにあるぞ。遠慮せず喰らいつくが良い」
それとも儂と共に呪いの一絡げにでもなるか

 それをずっと、長い年月綴ってきたのだから。
「人の強い想い程、美味いものはない」
 玉梓・言葉(紙上の観測者だいさんしゃ・h03308)もそのことは、よく知っている。
 けれど、言葉の味わい方は、眼前の椿太夫とはまた異なっていて。
『ふふ、貴方様の言う通り、思い出は美味でございます』
「儂は喰うより慈しみたいと思うておるがそれはそれぞれの主観よ」
 うっとりわらう椿太夫のように喰らうも、己のように慈しむも、趣向はそれぞれであるとは思うも。
 ふと青い瞳にその姿を映せば、大きく首を傾けてみせて。
「……ただ、お主の思い出「美味しくなさそう」じゃな」
 ぷかりとふかして燻らせてみせるのは、最初の主愛用品。
 気付けば手元にあるそれは霊気を纏い、妖しき翠煙を上げて。
『!?』
「どれだけ美しいナリをしていても美しくないのう」
 周囲を呪詛で満たし、己の耐性や防護を駆使しつつも、精神汚染し眼前の敵に与えんとするは恐怖。
 そして言葉は、腹を空かせた古妖へと逆に綴る。
「呪憑きのこの身、儂の芯に蔓延る呪いは悪霊共の口に合うらしい」
 ……まあただの悪食よ、と。
 思い出を貪り喰らう椿太夫の美しさは、ただその見てくれだけ。
 到底、美味いとは思えぬのだけれど。
「ほれほれ、不味そうなお主を見て涎を垂らしておるわ」
 |呪憑き《ミニクキモノ》 がぽたりと唾液滴らせるその様を見れば、浮かべるのはいつも変わらぬ笑み。
「餌はそこにあるぞ。遠慮せず喰らいつくが良い」
 そう悪霊の集合体の黒い靄に身を預け、ぷかぷか煙管楽しむ姿はただの第三者。
 そして人喰の牙をもって、早速椿太夫を喰らわんとする呪憑きであるが。
『わっちを喰らう? わっちは思い出を美味しく喰らう方でございます』
 星詠み乱れ花を戦場に咲かせた古妖に、最初のひとくちこそ届かなかったけれど。
 でも、腹ペコな悪霊たちがそれで大人しくなるわけは決してなく。
『……!、くっ』
 人喰の牙――それは終わりなき飢え。
 故に、眼前の不味そうな敵を喰らわんと、より一層牙を剥けば。
 言葉はその容赦ない悪食ぶりにも、やはり相変わらずな笑み向けて。
 古妖へと綴ってみせる……それとも儂と共に呪いの一絡げにでもなるか、なんて。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

酒木・安寿
アドリブ・連携歓迎

占った相手はみーんな星詠みさんの話しを聞いて来た√能力者って訳や!!(ふふんと)
まぁ、そう言う事やから

お仕置き開始やな。

√能力『九尾妖力術』
うちは九尾やないけんど尻尾に魔力を貯めてバシン×2や。

うちの大事な思い出を無くしたりなんか出来んし心配なんかはかけとうないからちゃんと無事で帰らんとあかんのや!

 偽物の占い師は、客人達の未来は勿論のこと。
 自分の未来さえも、占うことができなかったから。
『ま、まさか……わっちをはめたのでございますか!?』
「占った相手はみーんな星詠みさんの話しを聞いて来た√能力者って訳や!!」
 酒木・安寿(駄菓子屋でぃーゔぁ・h00626)は逆に、ふふんと。
 鮮やかな朱色の尻尾をえっへん揺らしながら、哀れな占い師気取りにそう教えてあげた後。
 くっと唇を噛む占い師……いや、「椿蛇の妖怪」の古妖へと改めて言い放つ。
「まぁ、そう言う事やから」
 ……お仕置き開始やな、って。
 そして、うちは九尾やないけんど、なんて言いながらも。
 尻尾に魔力を貯めれば――バシンバシン!
 狐の尻尾で攻撃すれば連撃となり、かつ広い範囲まで打ち据える衝撃を見舞わんとするけれど。
『く、わっちは占い師でございます故に……!』
 まだ懲りずに占い師を騙る椿太夫であるけれど。
「……!」
 それもあながち、全てが偽りというわけではないようであるし。
 それに相手が慎重な性格なのは、これまでの作戦や言動でわかってはいたけれど。
 古妖が刹那戦場に咲かせるは、相手の未来の行動を失敗させるという星詠み乱れ花。
 あらかじめ、数日前から「星詠み作戦」を実行しておいた椿太夫は、安寿の尻尾による打撃を一度は失敗させるも。
 それでも――バシンバシン!
『! う……くっ!』
 安寿は魔力を貯めた尻尾で、眼前の思い出喰らいへのお仕置きの手を緩めない。
 だって、古妖の思い通りにさせるわけになんていかないのだ。
「うちの大事な思い出を無くしたりなんか出来んし、心配なんかはかけとうないから」
 ――ちゃんと無事で帰らんとあかんのや! って。
 その色は暗けれど、光が差し込む瞳で確りと捉えた椿太夫を見据えて紡ぐ。
 皆で無事に帰るために、容赦なく敵を打ち据えながら。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

九条・庵
早めに【攻撃強化】で火力補助して
基本は日本刀での攻撃
隙突けるなら影業で突き刺したり捕縛なんかもいい
共闘するなら息合わすし、
ソロでも何でもござれ

ごめんネ、美人のおねーさん
でもさ、嵌めたのはそっちが先だったよね?
楽しかった?
ならもういーじゃん、終いにしよ

挑発や正論で追い詰めて、
少しでも癇に障る何かを言って誘えたら上出来
星詠みによると…ここだ
所定位置は俺の影の上
踏んだ瞬間、影業がその足捕えるよ

ねぇおねーさん
さっき聞いて貰った話、覚えてる?
俺の家族は、霊的な変なモンに殺された、ってヤツ
別にさ、悲しむ時間なんてのは、とうに終わっちゃいるんだけど

今でも俺、呪いとか妖術の類いは大ッキライなんだよね!
さよなら

 客人の未来も、そして自分の未来さえも。
 大きく読み間違えた眼前の占い師へと向ける、九条・庵(Clumsy Cat・h02721)の態度は相変わらず飄々と。
「ごめんネ、美人のおねーさん。でもさ、嵌めたのはそっちが先だったよね?」
 ……楽しかった? なんて。
 わらってみせるその様は、やはり生意気盛り。
 けれど、その間にも抜かりなく。
(「ちょい火力弄っとくか」)
 握る直刃の牙を、攻撃強化を用いては、より研ぎ澄ませておきながらも。
 隙突けるなら突き刺したり捕縛なんかもいい、なんて。
『貴方様達の思い出話は、どれも美味しそうで興味深いものでございましたね』
「ならもういーじゃん、終いにしよ」
 いまだ思い出を喰らうことを決してあきらめていない様子の古妖へと言葉を投げながらも。
 ……挑発や正論で追い詰めて、少しでも癇に障る何かを言って誘えたら上出来。
 そう目論見つつも、何でもござれと己が影にも庵が潜ませておくのは、伸縮も形状も自在な、また別の得物。
 眼前の相手が強力な古妖だということは、確りと心得ているから。
『まあ、そう貴方様は小生意気なご様子でございますが。最終的に、美味なその思い出を喰らえれば良い話』
 抜き放ち軽く振るうその太刀は、天を裂くほど鋭い牙であるが。
 これまでの行動からわかるように、慎重な椿太夫が展開するは、あらかじめ仕込んでおいた星詠み乱れ花。
 咲き誇る花々が、まるであしらうように庵が繰り出す斬撃を失敗させるも。
 けれど――椿太夫だけではないのだ。
(「星詠みによると……ここだ」)
 閃かせた刃を敵が躱し、踏んだその位置こそ。
『!? なっ!』
 思惑通りの所定位置、そう庵の影の上。
 刹那、潜ませておいた影業が、敵の足を逃がさず捕えれば。
「ねぇおねーさん。さっき聞いて貰った話、覚えてる? 俺の家族は、霊的な変なモンに殺された、ってヤツ」
『ふ、わっちに、さらに美味しい思い出話を聞かせてくれるのでございますか?』
 逆にそう煽るように言ってくる相手の言葉なんざ、端から聞く耳なんて持っていないのだけれど。
 庵はこう、占い師に……いや、思い出喰らいの古妖に教えてあげる。
「別にさ、悲しむ時間なんてのは、とうに終わっちゃいるんだけど」
 ……今でも俺、呪いとか妖術の類いは大ッキライなんだよね! って。
『! ぐぅ……ッ!』
 さよなら――そうあっさりと紡ぐ言の葉とともに、咲き乱れる椿を斬り捨てる。
 だって今の庵は、思い出にだって縛られることなく飄々と日々を生きる、懐かない猫なのだから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アドリアン・ラモート
心情
やっと事件も解決間近だね。
さっさと終わらせて、仕入れた本を読みたいや。
ていうか、凄く眠いから早く寝たい。

行動
睡眠欲になかなか勝てずに他より遅れて立ち上がる。
眠たげな瞳もそのままに、
「俺の思い出を食べたいの?食べたいなら食べて良いけど、お代はもちろん頂くよ。ちなみにお代は君の命だけどね」
ふにゃりと笑いながら武器を構えて全力攻撃。
Umbra Dominusで自分を強化して椿大夫に息をつく暇を与えないように高速攻撃をしていく。

戦闘後、
「はー終わった終わった!早く帰って戦利品の本をいっぱい読まなきゃ!」

 確かに、引きこもって楽しむ本も調達できたし、部屋の外も楽しめたのだけれど。
『! なっ!? あ、貴方様方は!?』
(「やっと事件も解決間近だね」)
 アドリアン・ラモート(ひきこもりの吸血鬼・h02500)は、ようやく本性を現し追い詰めた古妖を見遣りながらも、こう思うのだった。
(「さっさと終わらせて、仕入れた本を読みたいや」) 
 そして口から思わず漏れるのは、今一番、何よりも思わずにはいられないこと。
「ていうか、凄く眠いから早く寝たい」
 怠け者かつひきこもりな、ぐうたらライフに戻りたい。一刻も早く、布団でごろごろしたい。
 だから睡眠欲になかなか勝てずに、皆よりも遅れて、しかも物凄く仕方なく立ち上がるのだけれど。
 眠たげな瞳もそのままに、謀られたと唇を噛む眼前の椿太夫へと、アドリアンはふと紡ぐ。
「俺の思い出を食べたいの?」
『ええ、それはもう。美味しそうな思い出を、わっちは腹いっぱい喰らいたいのでございます』
 それを聞けば刹那、ふにゃりと笑いながらも。
「食べたいなら食べて良いけど、お代はもちろん頂くよ」
 それ相応の対価を古妖へと提示する。
 ……ちなみにお代は君の命だけどね、って。
 だから、そのお代を確りと払ってもらうべく。
「闇よ、全てを飲み込む王となれ。我が影を纏い、破滅と栄光の力を示せ」
 ――Umbra Dominus!
 そう影を纏い自分を強化して、武器を構えて繰り出すは、眠そうな見目からは想像もつかぬほど熾烈な全力攻撃。
『く、わっちの食事を邪魔などさせませぬ……!』
 椿太夫もやはり強力な古妖、あらかじめ実行しておいた「星詠み作戦」を駆使し、放つ攻撃を失敗へと導くも。
 戦場に咲く星詠み乱れ花の効力は、一回の発動につき、一度きり。
 故に、相手に息をつく暇をも与えぬような高速攻撃をアドリアンは仕掛けていきながらも。
『うぐ……ぐ、はっ!』
 敵を圧倒しつつも尚、でもやはりこう思うのだった。
 ……はー早く帰って戦利品の本をいっぱい読まなきゃ! なんて。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

志藤・遙斗
(アドリブ・共闘歓迎)
タバコを吸いながら
「さてと、呪いも解けたし、後は貴女を倒すだけですね。覚悟してください。」

戦闘時
刀と銃を使用しながらヒット&アウェーで戦います。
√能力「正当防衛」を使用
「人の思い出を食らい、踏みにじる貴女を許すことはできません。さっさと元の闇の中にもどりなさい!」

戦闘後
「これで任務終了ですね。せっかくレトロなお店が多いし、もう一回ミルクホールでコーヒーでも飲んでから帰ろうかな」

 館に漂う甘やかな花の香りよりも、よっぽど落ち着く。
 というか……マジでこれが無いとやってられない! というくらいに。
 かなり古いビンテージものの父親が愛用していたジッポライターで火をつけるのは、好きな銘柄のタバコ。
 そして一服して煙をふかし、ようやく少し落ち着けば。
 相変わらずタバコは吸いながらも、志藤・遙斗(普通の警察官・h01920)は今回の「ホシ」へと言葉を向ける。
「さてと、呪いも解けたし、後は貴女を倒すだけですね。覚悟してください」
 己を思い出語りしかできなくしていた呪いも、眠気を誘うような椿花の香も。
 もう、思い出話とタバコの煙で、全て無効にしたから。
 両の手に握るは、どちらも愛用の特式拳銃【八咫烏】と小竜月詠。
 上司に呆れられているほどに自分好みにカスタマイズした拳銃の引き金をひきながらも、両親の形見として使っている日本刀型退魔道具の霊剣を振り翳して。
 意識し立ち回るは、ヒット&アウェー。
 攻撃を繰り出しては、すぐさま距離を取りつつ戦うも。
『わっちは占い師、手に取るようにお見通しでございます』
 古妖が刹那展開するは、星詠み乱れ花――あらかじめ、数日前から実行しておいた「星詠み作戦」をもって、遙斗の攻撃を失敗させるけれど。
「さて、やるか」
 ――悪いが【悪】は斬る!
 瞬間、正当防衛を発動させれば、その身に纏うは殺戮気体となったタバコの煙。
 そして移動速度を増した遙斗が、古妖へと容赦なくお見舞いするのは。
「人の思い出を食らい、踏みにじる貴女を許すことはできません。さっさと元の闇の中にもどりなさい!」
『……!? ぐ、っ!』
 装甲を貫通するほどの威力を誇る「霊剣術・|朧《オボロ》」の一撃。
 そして、堪らず大きく揺らぐ「ホシ」を逃がさず、確りと見遣りながらも。
 ……せっかくレトロなお店が多いし、もう一回ミルクホールでコーヒーでも飲んでから帰ろうかな、なんて。
 煙を吐きつつ思い巡らせるのは、そんな任務が終了した後の時間。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

刻・懐古
狸寝入り、なかなか面白い戦法だったねえ
途中でつまみ食いされなくてよかったけれど
良いかおりに包まれてなかなか快適だったのでちょっぴり夢を見たのは秘密だけれども

前に出ず、椿太夫―彼女の動きを確認しながら味方の攻撃に紛れ
安全な距離で√能力『時詠み・光陰流水』を試みよう
時計針の影で目眩まし、隙を作り味方の支援
腰を据えて、同能力で攻撃や反射で応戦する

ふふ、“思い出の味”は確かに美味しそうだ
腹ぺこのまま再封印されたんじゃ、少しばかり同情するね
観念して心でも入れ替えて、鯛焼きでも食べたらどうだい
さすれば、横丁の猫達も歓迎するだろうに

アドリブ、他の方との連携◎

 占ってもらう客人の次は、すややかに寝ているフリ。
『ま、まさか……わっちをはめたのでございますか!?』
「狸寝入り、なかなか面白い戦法だったねえ」
 さも寝ているかのように見せかけることも。
 周囲の皆と顔を見合わせて一斉に起きた時の、偽物占い師の驚いた顔を見た時も。
 愉快な気持ちになった、刻・懐古 (旨い物は宵のうち・h00369)だけれど。
 でも、途中で思い出をつまみ食いされなくてよかったって思うし。
 それに、そうっと己の心の中だけで紡ぐのは、こんな内緒の話。
(「良いかおりに包まれてなかなか快適だったのでちょっぴり夢を見たのは秘密だけれども」)
 だが今は、このようにちゃんと起きているし、同じように狸寝入りしていた皆だって一緒だから。
 仲間が攻撃を仕掛けている間も前に出ず、椿太夫――彼女の動きを確認しながらも、むしろ味方の攻撃に紛れるように立ち回りつつ。
「――流れて過ぎ去る、時を詠もうか」
 移動が不要な、安全な距離で展開した『時詠み・光陰流水』によって、巨大な影の時計の針を創り出す。
 そしてその時計針の影で目眩ましをしつつ、隙を作って味方の支援をしながらも。
「ふふ、“思い出の味”は確かに美味しそうだ。腹ぺこのまま再封印されたんじゃ、少しばかり同情するね」
『う、くっ……それでは貴方様が、思い出をわっちに喰らわせていただけるのでございますか?』
 そう紡ぐ椿太夫へと、懐古はすかさず返し与えてやる。
 美味しい思い出や優しい言葉などではなく、腰を据えて応戦するべく攻撃や反射を。
 だがそんな攻撃も、古妖が戦場に星詠み乱れ花を咲かせれば、失敗してしまうのだけれど。
 でも懐古は、それが一度きりの効果であるということも、あらかじめ星詠みを聞いてわかっていたから。
 同じ戦場を駆ける仲間達を引き続き支援するように、移動せぬままの詠唱を続けて。
『! ぐ、うッ!』
「観念して心でも入れ替えて、鯛焼きでも食べたらどうだい」
 大きな隙を生み出し、放たれた仲間の攻撃を浴びてはよろめく椿太夫へと、こう刻む。
 ……さすれば、横丁の猫達も歓迎するだろうに、って。
 紛い物の占いよりも、よほど的確な言葉を。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

桐生・綾音
妹の彩綾(h01453)と後援者で母親代わりの菫さん(h05002)と参加

なんか勘違いしてるようだけど、貴方のような特徴的な占い師は目立つんだよ。話を聞くだけで知ったような笑み。胡散臭いってすぐわかるよ。危ない占いはもうお仕舞い。自分の感ばかり信じて周りを把握しないなんて占い師失格だよ。覚悟はいい?

嫌な香りだなあ。確かに魅了されそうだね。それに手数も多いし。【残像】【回復力】で椿を回避しながら【ダッシュ】。【カウンター】気味に浄化の炎を放って椿を焼き尽くす。ついでに接近して『居合】【切断】。鳳凰の大太刀で一閃。

私ばかりみてると痛い目あうよ?彩綾と菫さんがいるし。対策を怠ったツケが来たね!!
桐生・彩綾
姉の綾音(h01388)と後援者で母親代わりの菫さん(h05002)と参加

あれ?自分の占いを信じすぎてかえって悪い方向いったみたいだね?自分が目立っていた自覚ある?思い出聞くだけで個別に占いをしない。まとめて占いしてはい終わり・・・とはいかないんだなあ。

占い師なら世間も良く観察しようね?さあ閉店だ!!

行動が一度だけ失敗するなら色々試しちゃう!!薫風の妖精を発動して攻撃したり、両手の精霊銃で射撃したり、青碧の閃光でレーザー射撃したり。あ、攻撃は【エネルギーバリア】【残像】で対策するね。

嵌めようとしたのは貴方の方でしょ?油断したね。覚悟!!お姉ちゃん、菫さん、畳み掛けよう!!
藤原・菫
後援している可愛い綾音(h01388)と彩綾(h01453)と参加

仕事柄、色んな占い師と面識あるんだけど話だけ聞いて個別に占いをせず、招いた客人に同じ占い結果を告げる、それ占い師ではないね。それに占い師なら街の様子には気づくものだろう?視野狭窄からきたピンチだ。それなりの覚悟はあるんだろう?

所詮失敗にできるのは一つの行動だけだ。マルチツールガンで【誘導弾】撃ったり、ファミリアセントリーで【レーザー射撃】したり、月神の一撃で攻撃したり。ああ、【エネルギーバリア】【残像】で防御もちゃんとするよ。

今まで沢山の罪なき人を食い物にしてきたんだろう?終わりにするよ。

 今宵は美味しい思い出が大量だと、そう腹を空かせた占い師はご機嫌であったけれど。
 それも、ほんの少しの時間だけであった。
『! なっ!? あ、貴方様方は!?』
 星詠みの悪妖『椿太夫』は、思わずそう声を上げずにはいられない。
 だって、ようやく気付いたのだから。
 沢山の者達が、自分を狩るべく館に赴いていただなんて。
 そして桐生・彩綾(青碧の薫風・h01453)と桐生・綾音(真紅の疾風・h01388)は、そんな驚愕している占い師へと言葉を投げる。
「あれ? 自分の占いを信じすぎてかえって悪い方向いったみたいだね? 自分が目立っていた自覚ある?」
「なんか勘違いしてるようだけど、貴方のような特徴的な占い師は目立つんだよ。話を聞くだけで知ったような笑み。胡散臭いってすぐわかるよ」
『ま、まさか……わっちをはめたのでございますか!?』
 そうやっと把握した現状を口にする椿太夫に、藤原・菫(気高き紫の花・h05002)も断言する。
「仕事柄、色んな占い師と面識あるんだけど話だけ聞いて個別に占いをせず、招いた客人に同じ占い結果を告げる、それ占い師ではないね」
「思い出聞くだけで個別に占いをしない。まとめて占いしてはい終わり……とはいかないんだなあ」
 彩綾も、占い師……いや、占い師を騙る古妖へと呆れたように告げれば。
 3人で逃がさぬよう敵を囲みつつ、√能力者としてやるべきことを成す。
「それに占い師なら街の様子には気づくものだろう? 視野狭窄からきたピンチだ。それなりの覚悟はあるんだろう?」
「危ない占いはもうお仕舞い。自分の感ばかり信じて周りを把握しないなんて占い師失格だよ。覚悟はいい?」
「占い師なら世間も良く観察しようね? さあ閉店だ!!」
 人に害を及ぼすような古妖を倒し、賑やかな横丁に平和を取り戻すために。
 けれど相手も強力な古妖、逆に嵌められたままで終わりではないし。
『くっ……でしたら、大人しくさせてから美味しい思い出をいただきましょう』
 それに、思い出を喰らうことも懲りず諦めてはいないようだ。
 しかもこれまでの様子を見ていれば、用心深い古妖ではあるようなので。
 戦場に椿太夫が刹那咲かせるのは、あらかじめ、数日前から仕込んで置いた、星詠み乱れ花。
 実行されていた「星詠み作戦」の効果で、自分を狩ろうとする者達の行動を必ず失敗するように仕向ける。
 だが、菫や彩綾だって、星詠みを聞いて把握済。
「所詮失敗にできるのは一つの行動だけだ」
「行動が一度だけ失敗するなら色々試しちゃう!!」
 そう、自分達の行動が失敗へと導かれるのが一度だけだということが、わかっているから。
 ――私にできることを、精一杯!!
 彩綾が詠唱し創造するは、薫風の妖精。
 さらには、両手の精霊銃で射撃したり、青碧の閃光でレーザー射撃したりと、一度失敗させられたって構わず攻撃を重ねて。
 菫も、マルチツールガンの引き金をひいて誘導弾を撃ったり、ファミリアセントリーでレーザー射撃をしたりした後。
 ――月の神の光の力を、ここに。
『! くっ』
 案の定失敗した攻撃を気にすることなどなく月神の一撃を発動させ、三日月型の魔法弾で攻撃を浴びせる。
 彩綾と共に、抜かりなく相手の攻撃は、エネルギーバリアや残像で対応しながら。
 それでも椿太夫は顔を顰めつつ、今度は戦場に、惑わしの妖気を宿す椿花を咲かせるけれど。
 そんな展開された九重椿にも、綾音は全く怯むことなどなく。
『わっちの椿の香に、酔い痴れてくださいませ』
「嫌な香りだなあ。確かに魅了されそうだね。それに手数も多いし」
 残像や回復力を駆使して椿を回避しながらも、大きく地を蹴って刹那ダッシュした後。
『! 何……っ』
 ――全てを浄化し燃やし尽くす!!
 綾音がその右掌からカウンター気味に繰り出すのは、浄化の炎。
 炎を放ち、咲き乱れた椿を焼き尽くしていって。
 ついでに接近すれば見舞うは、居合からの切断。
『ぐ、うっ!』
 鳳凰の大太刀で一閃、容赦なく斬撃を叩き込んで。
 堪らず呻きよろめく椿太夫へと、綾音は占い変わりにこう教えてあげる。
「私ばかりみてると痛い目あうよ? 彩綾と菫さんがいるし。対策を怠ったツケが来たね!!」
 それから言われて慌てて古妖が周囲へと視線を向けても、一歩遅く。
 綾音に気を取られている敵へと共に一気に攻め立てる彩綾と菫。
「嵌めようとしたのは貴方の方でしょ? 油断したね。覚悟!! お姉ちゃん、菫さん、畳み掛けよう!!」
「今まで沢山の罪なき人を食い物にしてきたんだろう? 終わりにするよ」
『わっちが美味しい思い出を喰らうのを、邪魔されるだなんて……ぐぅっ!』
 思い出のかわりに椿太夫へと容赦なく味合わせてあげるのは、そう――息の合った3人の強烈な連携攻撃。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

御嶽・明星
【星花】アドリブ歓迎

思い出を語れって言われてパッと出るエピソードは『一番大切にしてる思い出』のはず
それを思い出しては教訓にして、灯火にして、日々を生きる力にしてんだ
それを『占い』って甘い言葉で誘い、奪う? ふざけてんのか?

エリカより先に行動
惑わしの香で食う状態異常がどれだかは見当もつかないけど、願わくば凶暴化か望ましいな
それに乗じて精霊銃『Starry Sky』から星属性の弾丸を撃ち放ち、隕石の重力で椿大夫を打ちかましてエリカには戦闘力強化を与えておく

今まで人から奪ってきた分も含め、俺と姉ちゃんとの思い出、そしてエリカと母親との思い出を奪おうとした罪は重いからな
エリカ・バールフリット
【星花】アドリブ歓迎

……エリカ、アカリからお母さんの話を聞けて本当に嬉しかった
お母さんは子供の頃からずっと優しい人だったことがわかったから
嬉しかったからこそ、この思い出が奪われてしまいそうだったってことがすごく怖い
怖いからこそエリカは、エリカとアカリから思い出を奪おうとしたあなたを許さないっ

アカリが攻撃した後に動く
左手に得物を構えて突撃しつつ、右手を椿大夫に伸ばしてルートブレイカーを発動
妖気を宿す椿花を消滅させた上で、破滅の炎を激らせて彼女が抱く思惑と共に椿大夫を燃やす

よくもエリカとアカリから、お母さんの思い出を奪おうとしたわね
……もう誰の思い出も、奪わせはしないんだからっ!

 明確になった敵の思惑を聞いて、より憤りを感じるのは。
 御嶽・明星(推定・暁の明星・h00689)は、知っているから。
「思い出を語れって言われてパッと出るエピソードは『一番大切にしてる思い出』のはず」
 楽しくて嬉しかった思い出も、悲しくてつらい思い出だったとしても、きっと。
 思い出を語るようにと言われて脳裏にまず浮かぶ過去は、その人にとって、強く心にあるものだろうし。
 そんな過去があるからこそ、今の自分があるのだから。
「それを思い出しては教訓にして、灯火にして、日々を生きる力にしてんだ」
 だから明星は、蠍の炎に憤りの色を宿し、言葉と共に視線を投げる。
「それを『占い』って甘い言葉で誘い、奪う? ふざけてんのか?」
 そんな隣の彼の姿を、エリカ・バールフリット(海と星の花・h01068)は晴れた海の青に映しながら。
 ぎゅっと黒猫のパペットを大事に抱きしめつつ、今心に灯る想いを綴る。
「……エリカ、アカリからお母さんの話を聞けて本当に嬉しかった。お母さんは子供の頃からずっと優しい人だったことがわかったから」
 だからこそ、エリカは思うのだ。
「嬉しかったからこそ、この思い出が奪われてしまいそうだったってことがすごく怖い」
 涙が溢れるくらいに、思い出して口にするだけでも寂しくて。
 でもそれ以上に、明星が話してくれたお母さんのことを聞けて、嬉しくて。
 だからそれを食べられそうになったことを思えば、恐怖の感情に心が染められそうになるけれど。
 エリカは顔を上げ、その感情を胸に立ち向かうことを選ぶ。
「怖いからこそエリカは、エリカとアカリから思い出を奪おうとしたあなたを許さないっ」
 明星と一緒に、大切な思い出を守るために。
 だが相手は、腹を空かせた思い出喰らいの古妖。
『過去も、未来も。定められた星の運命を捻じ曲げることこそ、わっちの楽しみでございます』
 そう綺麗にわらってみせれば、戦場に生み出すのは、惑わしの香を解き放つ箱。
 甘やかで、けれど妖しい香りが満ちるけれど。
『凶暴化して、お相手を襲う新しい思い出などいかがでしょう』
 そんな声を耳にしながらも明星がすかさず手にするのは、精霊銃『Starry Sky』。
 相手の攻撃手段は星詠みによって把握済であるし、香箱の効力が凶暴化であればむしろ望ましい。
『ふふ、大切にされている思い出ほど美味なものはございませんから……、ッ!?』
 ――|明星《みょうじょう》の名のもとに!
 刹那、舌なめずりをする古妖へと明星が食らわせてやるのは思い出話ではなく、星属性の弾丸。
 エレメンタルバレット『星火燎原』を発動させ、隕石落下の如き激しい爆発を椿太夫へとうちかませば。
 同時にエリカの身を包むように纏わせるのは、星の煌めき。
 だが敵も強力な古妖、揺らぎながらも戦場に惑わしの妖気を宿す九重椿を開き咲かせるけれど。
 星の煌めきを与えられたエリカは、父や母から教わった魔法がたくさんぎゅっと詰まった魔導書を左手に携えながら。
「こんなの、エリカは認めないんだからっ!」
 椿太夫へとすかさず伸ばすのは、プリズムカラーに彩られた、全てを消し去る炎の幻が燃ゆる手。
 そして、妖気を宿す椿花を消滅させた上で。
『……! わっちの椿が!? ぐぅッ!』
 古妖が抱く思惑と共に、椿大夫のその身を燃やす。破滅の炎を激らせて。
「よくもエリカとアカリから、お母さんの思い出を奪おうとしたわね……もう誰の思い出も、奪わせはしないんだからっ!」
 そう耳に届いた声を聞きながら、明星も勿論、眼前の椿太夫を許しはしない。
「今まで人から奪ってきた分も含め、俺と姉ちゃんとの思い出、そしてエリカと母親との思い出を奪おうとした罪は重いからな」
 これまで沢山の思い出を喰らってきた罪を今、その身をもって古妖に償わせるために。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

美園生・紫空
館の入口からそろりと覗いて。
んー、間に合いましたかね?
…仕方がないでしょ。…ネコちゃん可愛かったんだもん。

さ、はたた!気を取り直していくよ!矢を頂戴!

護霊のはたたに雷の矢を出してもらって、紫空の雷の弓で射る。シンプルですが、この距離でも外しませんよ!
出来るだけ距離を取って、香は受けないように。もしくは出来たら来る前に香箱を打ち落としちゃいたいですねぇ。
まぁ、多少惑わされても私とはたたなら大丈夫とは思いますが。なるべく。

私とはたたの思い出は美味しいでしょうけど、あげるわけにはいかないんです。ね、はたた。

 まさか占い師も、思っていなかっただろう。
 いや、占い師といっても偽物であることには違いないが。
 店仕舞いの看板をさげていたにもかかわらず、そろりと。
「んー、間に合いましたかね?」
 館の入り口から覗きこんだ後、中へと足を向けるひとりと1匹の客人がいるだなんて。
 そう、客人は客人でも、占いを聞きにきたのではなく。
 美園生・紫空(|一人と一匹は心を結ぶ《はたたと一緒にがんばります!》・h01826)と彼女の愛犬はたたが此処へとやって来たのは勿論、√能力者としての任務のため。
 いや、何故ちょっぴり遅れたのかといえば。
「……仕方がないでしょ。……ネコちゃん可愛かったんだもん」
 なでなでもふもふ、猫たちと戯れるのに忙しかったから……!
 でも、はたたにもぺちぺちされたりしながらも、きちんと任務だって忘れていないから。
 館に伸びる長い廊下の先の先、秘密の部屋まで一気に踏み込んで。
「さ、はたた! 気を取り直していくよ! 矢を頂戴!」
『なっ……あ、新手でございますか!?』
 さらに√能力者がやってくるなど思ってもいなかったように驚愕する占い師……星詠みの悪妖『椿太夫』の姿を瞳で捉えれば。
 はたたから出して貰った雷の矢を番え、紫空の雷の弓で射放つべく狙いを定める紫空。
「シンプルですが、この距離でも外しませんよ!」
 だが、椿太夫も驚きはしたものの。
 瞬時に戦場に生み出すのは、惑わしの妖術を放つ香箱。
『わっちの香に惑わされてくださいませ』
 けれど、そんな香による攻撃は星詠みで聞いているから。
 それを受けないように紫空は出来るだけ距離を取り、そして。
 ――はたた、あそこを狙うよ!
 そうはたたへと声を掛ければ、霹靂の矢『界雷』で狙い打つ。
『……! なっ』
(「まぁ、多少惑わされても私とはたたなら大丈夫とは思いますが。なるべく」)
 まずは椿太夫が生みだしたその香箱を射抜き、撃ち落とすべく試みて。
 そして、香箱が射抜かれた瞬間。
『わっちの香箱が……ぐっ!!』
 球状に展開した雷が着弾し、敵を巻き込んで稲妻の如き衝撃が迸る。
 それから、そんな雷撃を身に浴びて顔を顰める椿太夫へと紫空ははっきりと告げる。
「私とはたたの思い出は美味しいでしょうけど、あげるわけにはいかないんです」
 ……ね、はたた、って。
 尻尾を振ってわふっとお返事する、ちびオオカミな愛犬と一緒に。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

リア・カミリョウ
h00634イクサと!
いやぁ……さ、ハメたも何もないよ。
リアとイクサの大事な思い出話聞いて食べるとかさ、何言っちゃってるのかな。
リアちょっと……いや、かなり怒っちゃうんだけど。
容赦しないからね。
√能力惜しまずに使うよ。
【エネルギーバリア】を2人に張っておくね。少しでもダメージ減らしたいし。
グリュックからツァウバーと骸さんを取り出して、即座に攻撃態勢。
氷の魔弾で手足から狙っていくよ。
撃ち切ったら骸さんで怒れる歌をぶつけて音圧の重力攻撃、
最後に小野さんで【傷口をえぐる】【霊力攻撃】を仕掛けるよ。
それ以上の手は残ってないから、やるだけやって、イクサにパス!
すぐ身を引くよ。任せたから!
イクサ・バイト
リア・マグノリア(h00343)と参戦

先にはめようとしてきた人に言われても……。
というか、自分が狙われる可能性を考慮しないなんてねぇ。
危機感がないのかな?

さて、それじゃ相応の報いを受けてもらうとしようか。
まずはリアが仕掛けるから、それに合わせて【情報収集】。
自我がある生き物っていうのは、どうしても癖ができるからね。
色々な挙動の前兆、傾向を把握しておいて、

「――――任された!」
タイミングを合わせて突撃。
噛砕で敵√能力を散らしながら、できた隙に浮食を叩きこむ。
人の大切な思い出を奪おうとする輩は、徹底的に潰させてもらおう。

 先程までの、美味しい思い出たちを前に嬉々とした様子はどこへやら。
『ま、まさか……わっちをはめたのでございますか!?』
 所詮は偽物の占い師、実は自分を狩るべくやって来た客人……√能力者達へと驚愕するように紡ぐ椿太夫。
 だがそんな眼前の古妖の姿に、ふたりで仲良く呆れたように紡ぐのは幼馴染たち。
「先にはめようとしてきた人に言われても……」
「いやぁ……さ、ハメたも何もないよ」
 イクサ・バイト(咬種細胞移植実験被験体一九三号・h00634)はそれから、こう続ける。
「というか、自分が狙われる可能性を考慮しないなんてねぇ」
 ……危機感がないのかな? なんて。
 そんな相変わらず落ち着いた印象を受けるイクサの隣で。
「リアとイクサの大事な思い出話聞いて食べるとかさ、何言っちゃってるのかな」
 リア・カミリョウ(|Solhija《太陽の娘》・h00343)は、大きく首を傾けてみせて。
 眼前の古妖へと視線と言葉を投げる。
 ――リアちょっと……いや、かなり怒っちゃうんだけど、って。
 ということで、もう客人のフリも占い師だと騙るのも、お互い終わり。
「さて、それじゃ相応の報いを受けてもらうとしようか」
『く、ならば引き裂いてから思い出を喰らえば良い話』
 いまだ思い出を喰らわんとするそんな古妖の発言に。
「容赦しないからね」
 さらにぴくりと怒っている様子のリアに、イクサはまずは任せることにする。
(「自我がある生き物っていうのは、どうしても癖ができるからね」)
 しっかりとリアが仕掛ける行動に合わせて、情報収集するために。
 そしてかなり怒っているとはいえ……少しでもダメージ減らしたいし、と。
 リアは抜かりなく確りと、エネルギーバリアを自分とイクサに張ってから。
 惑わしの妖気を宿す九重椿が咲き乱れるのにも構わずに、全武装容赦なくぶっ放す。
『……っ!』
 そう、だってかなりとても怒っちゃっているのだから。
 何も入らなさそうだけど何でも入るグリュックから、ツァウバーと骸さんを取り出せば、即座に攻撃態勢。
 リアが持つには少しばかり厳つめな銃から撃ち出す氷の魔弾で容赦なく狙うは、しなやかで白雪の如く真白な椿太夫の手足から。
 だが相手は強力な古妖、顔を顰めつつも尚、椿花を咲かせんとしてくるも。
『ぐっ、なんの……、ッ!』
 怒っているリアの攻撃は勿論、それだけで止むはずはなく。
 ツァウバーから見舞う魔弾を撃ち切れば、今度は骸さんで怒れる歌をぶつけるべく。
 ガイコツマイクの骸さんが響かせる声で、音圧の重力攻撃。
 さらに仕上げに幾度も振り下ろすは、柄に両刃がついた、でかい両手持ちのダブルアックスの強撃。
 そんな怒りの感情を乗せまくった攻撃に、堪らず椿太夫はよろめくも。
 リアはすかさず身を引いて――イクサにパス!
 それ以上の手は残ってないから、やるだけやって、彼へと任せてバトンタッチ。
 そう、敵の色々な挙動の前兆や傾向を、リアが攻撃を仕掛ける間にイクサは把握したから。
『わっちは美味な思い出をたらふく喰らいたいのです、邪魔しないでくださいませ!』
「――――任された!」
 タイミングを合わせて突撃し――砕けろ……! と。
 咲き乱れる赤を繰り出した右掌で、ひとひら残らず散らしていけば。
 古妖に生じた隙に、刹那大きく踏み込んで。
 思い出のかわりに、遠慮なく喰らわしてやる。
「人の大切な思い出を奪おうとする輩は、徹底的に潰させてもらおう」
『なっ!? ……う、ぐっ!!』
 とある生物の背骨から削り出された両手剣、浮食の斬撃を全力で。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

星村・サツキ
いやぁ、面白いくらいビックリしてくれるね。
美味しい思い出だけじゃ飽きるだろう?
時にはほろ苦い思い出も必要…ってね。

ふふ。それじゃぁ、たまには食べられる側の気持ちも味わうといい…なんてね。
護霊のハティに声をかけて、【月霊の加護】を使って攻撃するよ。
さぁ、出番だよハティ…あ、噛むのはいいけど飲み込んじゃダメだよ?
ほら、身体には悪そうだからね。
うーん、折角だ。笑い掛けてもあげようかな?

とまぁ、挑発はしてみるけれど相手は古妖だからね。
乱せればよし、他の皆も楽になればいいけど。
もちろん油断は禁物、ペースを取り戻す前に畳みかけたいところだね。
攻撃を何度も受けるなら【月霊の加護】で回復をお願いしながら。

 きっと、騙している気満々であったのだろう。
 そして今宵は大量だと心躍らせていたに違いない。
 けれど、眼前の占い師に浮かんでいるのは、予想外の事態に驚愕している表情。
『ま、まさか……わっちをはめたのでございますか!?』
「いやぁ、面白いくらいビックリしてくれるね」
 その様子は、星村・サツキ(厄災の|月《セレネ》・h00014)には非常に滑稽で。
 思い出をさあ今こそ喰らわんと、わくわくしていただろう占い師へと……いや、星詠みの悪妖『椿太夫』へと、こう続ける。
「美味しい思い出だけじゃ飽きるだろう?」
 ――時にはほろ苦い思い出も必要……ってね、と。
 これまでもこの古妖はこうやって人々を誘き寄せ、思い出で腹を満たしていたのだろう。
 だがこの世には、喰うモノと喰われるモノがいて……いつどちらになるかは相手次第。
 だから、散々思い出を喰い散らかしてきた椿太夫へと、サツキは視線を向けて。
「ふふ。それじゃぁ、たまには食べられる側の気持ちも味わうといい……なんてね」
 ――おいで、ハティ。
 月追う黒曜へとそう声をかければ刹那、椿太夫に剥くは鋭い牙撃。
 けれど、喚んだ護霊のハティは、思い出喰らいのように悪食ではないし。
「さぁ、出番だよハティ……あ、噛むのはいいけど飲み込んじゃダメだよ? ほら、身体には悪そうだからね」
 見た目は美しい花魁のようでも、きっと目の前の古妖は不味いに違いないから。
『くっ……美味な思い出を喰らうのは、わっちの方……、ッ!』
 いまだ自分が捕食者だと口にする敵に、サツキは向けた紫と金のいろを細める。
 ……うーん、折角だ。笑い掛けてもあげようかな? なんて。
 だがけれど、ちゃんと勿論わかってもいる。
(「とまぁ、挑発はしてみるけれど相手は古妖だからね」)
 今は自分達に追い詰められてはいるとはいえ、椿太夫は強い力を持つ古妖。
 煽るような言動を敢えてしながらも、サツキは思う……乱せればよし、と。
(「他の皆も楽になればいいけど」)
 もちろん油断は禁物、ペースを取り戻す前に畳みかけたいところ……なんて思っていれば。
『大人しく、わっちに思い出を喰われてくださいまし!』
 刹那戦場に咲き乱れるのは、惑わしの妖気を宿す椿花。
 だが、そんな連なるような攻撃が向けられても。
「ハティ、回復をお願いするよ」
 ハティが展開するムーンライトの癒しの加護を得ながらも、同じ戦場に立つ仲間と共にさらに敵を追い詰める。
 古妖に思い出を喰わせてやる気など勿論、毛頭ないから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アリス・アイオライト
ユウキくん(h01364)と

ここがあなたの狩場、ということですか
今日はあなたが狩られる側です

ユウキくんが古妖をひきつけてくれている間に、魔法の準備を
魔法宝石のかけらを指先で砕き、自身の魔力を増幅してから水晶魔杖を使用

さあ、お見せしましょう。私の魔法を

杖から放つ凍気で、ユウキくんが冷やした敵の体を更に凍らせていきます

……思い出して苦しくなるような思い出は、忘れられたら楽なのかもしれません
そういう人だけを相手にしてくれればよかったんですけど、あなたはちょっと雑食すぎます
苦しくても忘れてはだめな思い出もありますし、ユウキくんみたいな思い出まで狙うなんて以ての外です
だから、私はあなたを許しませんよ
天ヶ瀬・勇希
師匠(h02511)と

はー、やっとのびのび戦える!
敵相手とはいえ、隠し事してると疲れるな

で、昔のことは忘れろって?
ロクでもない占いだなあ、師匠との出会いを忘れたら、俺は自分の戦う理由もわかんなくなるんだぞ!

腰のベルトに宝石を嵌め、魔法使いらしいローブ姿に変身
古妖にダッシュで接近、アイシクルジュエルで攻撃する!

大した威力じゃないって油断したか?
へへっ、こっちは囮だよっ!
背に庇っていた師匠のため射線をあけて

……ああ、やっぱ師匠の魔法はかっこいいなあ
砕かれた魔法宝石がキラキラして、すっげー強い魔法使ってて
俺、師匠みたいに強い魔法が使えるようになって、大切なもんを全部守れるヒーローになりたいんだ

 これまで慎重であった占い師も、美味しそうな沢山の思い出を目の前にすれば。
 まんまとその本性を現し、ご馳走にありつけると、嬉々とした笑みを浮かべていたけれど。
 だがそれも、あっという間に一変。
「はー、やっとのびのび戦える! 敵相手とはいえ、隠し事してると疲れるな」
『! なっ!? あ、貴方様方は!?』
 満を持して目の前に立ち塞がった天ヶ瀬・勇希(エレメンタルジュエル・アクセプター・h01364)達の姿に驚愕の表情を宿して。
 アリス・アイオライト(菫青石の魔法宝石使い・h02511)は、己の末路を占えなかった椿太夫へと教えてあげる。
「ここがあなたの狩場、ということですか」
 ……今日はあなたが狩られる側です、と。
 これまでもこうやって、人々の思い出を食い散らかしてきたのだろう。
 現についさっきまで、自分達の思い出を喰らわんと舌なめずりしていたくらいだ。
 そして眼前の椿太夫は偽物の占い師。その証拠に、先程告げられた占い結果は。
「で、昔のことは忘れろって? ロクでもない占いだなあ、師匠との出会いを忘れたら、俺は自分の戦う理由もわかんなくなるんだぞ!」 
 そう、ろくでもないインチキ。
 それに勇希にとって、椿太夫に語った、師匠であるアリスとの思い出を喰われてしまえば。
 今この心に抱いている思いや目標まで、全て忘れてしまうことになる。
 だが勿論そんなことはさせないし、誰の思い出も喰わせない。
 そう、だって勇希はヒーローなのだから。
 刹那その手に握るのは、青白く輝く静寂の石『エレメンタルジュエル・アイス』。
 その凍てつく青白き煌めきを、腰のベルトに嵌めれば――変身!
 瞬間、赤茶であった髪の色が変化し、魔法使いらしいローブ纏いしヒーローの姿に。
 その変身バンクはちょっぴりヒーローというよりも魔法少女っぽい気もしないでもないけれど。
 ヒーローとしての思いをその心に燃え上がらせ灯し、勇希は大きく地を蹴って敵へと目掛け駆ければ。
「これで凍らせてやる!」
 ――アイシクルジュエル。
『……!』
 そう紡げば、氷の宝石を装着したジュエルブレイドから繰り出されるは氷の礫。
 けれど、古妖は美しい顔に笑み宿して。
『このような児戯の氷など、わっちには効きませぬ』
 惑わしの香を放つ香箱を具現化し、ヒーローを陥れようとするも。
 勇希は瞬間、ふと素早く位置を変えて。
「大した威力じゃないって油断したか?」
 ……へへっ、こっちは囮だよっ!
 そう、背に庇っていた師匠のため射線をあければ。
 勇希が古妖をひきつけている間に、魔法宝石のかけらを指先で砕き、自身の魔力を増幅して。
「さあ、お見せしましょう。私の魔法を」
 ――クリスタルよ、我が手に凍れる杖を与え給え。
 準備をしていたアリスが満を持して戦場に迸らせるは、|水晶魔杖《クリスタルロッド》の魔法。
『! 何ですと……ぐっ!?』
 杖から放つ凍気が、惑わしの香箱ごと、勇希が冷やした椿太夫の体を更に凍らせていく。
 そして堪らず、美しいはずの顔を歪ませる古妖へとアリスは言葉を向ける。
「……思い出して苦しくなるような思い出は、忘れられたら楽なのかもしれません」
 ……そういう人だけを相手にしてくれればよかったんですけど、あなたはちょっと雑食すぎます、と。 
 人には、忘れたくても、忘れてはいけないことだってあるし。どうしても忘れられないことだって、ある。
 たとえそれが、どのような思い出だとしても。
 そして勇希は戦場や敵を一瞬で凍てつかせた氷の魔法を目の当たりにして、改めて思う。
(「……ああ、やっぱ師匠の魔法はかっこいいなあ」)
 砕かれた魔法宝石がキラキラして、すっげー強い魔法使ってて、と。
 それに、普段はちょっと生活力とかには不安がありすぎる師匠だけれど。
「苦しくても忘れてはだめな思い出もありますし、ユウキくんみたいな思い出まで狙うなんて以ての外です」
 ……だから、私はあなたを許しませんよ、と。
 そう敵へと告げる姿は、操る魔法と同じようにキラキラと輝きを放っていて。
 勇希はあの日、師匠と出会った時の高揚を思い出しながらもやはり、改めてこう強く思って止まない。
 俺、師匠みたいに強い魔法が使えるようになって――大切なもんを全部守れるヒーローになりたいんだ、って。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

ララ・キルシュネーテ
🌟ラライサ

かわいいイサの思い出をお前のおやつにはさせないわ
何故なら……ララのものだから
ララの思い出もそう
お前にはあげない

嵌めたなんて人聞きが悪いわ
ララ達の方がお前より、星に愛されていたというだけ
今日、皆で作った思い出も迎えた春だって穢させはしないわ
ね、イサ
ララと戦う栄誉をあげる

ララの花一華はお前の椿には負けないわ
隠れんぼ、しましょうか
シュネーを触媒にキルシュネーテをよびだして
光蜜ノ愛浄で焼却して焼き尽くす
銀災で串刺しにして生命を喰らい
花一華のオーラで身を守って見切ったならば
窕を薙ぎ払って切断するわ

イサ、このまま畳み掛けるわよ
ララはお前と一緒に戦える今だって…とっても甘くて美味しいご馳走なのよ
詠櫻・イサ
🫧ラライサ

は!?
可愛いは余計だろ!
それより、聖女サマの思い出こそとられたら困るものだろ
俺と違って、ララには…あるじゃん
綺羅星のような思い出が
俺のも自分のものだなんて…欲張りなのは聖女サマだけで十分だな

合図のような言葉に笑う
その栄誉、ありがたくいただきますよ

騙し討ちしようとしてたのは何方だよ
…思い出を、そうと思えるようにしてくれたことには感謝するけどさ

飛び出していく聖女サマと下僕を支援するように放つ、死海ノ律
制圧するように放つ水激で牽制して、レーザーと共に生じる衝撃波で切断してやるよ
ララが危険になれば即座にかばう
俺はお前の護衛なんだ

それはどうも
……俺だって同じだよ
大切な今を抱いて
目前の敵を斬る

 眼前に在って追い詰めているのは、腹ペコの古妖。
 けれど、ララ・キルシュネーテ(白虹・h00189)は決してあげない。
「かわいいイサの思い出をお前のおやつにはさせないわ」
 何故なら……ララのものだから、って。
 そう告げた聖女サマの言葉に、詠櫻・イサ(深淵GrandGuignol・h00730)は一瞬瞳を瞬かせるも。
「は!? 可愛いは余計だろ! それより、聖女サマの思い出こそとられたら困るものだろ」
 ……俺と違って、ララには……あるじゃん、と。
 ちらりと彼女を見遣りつつ、続ける――綺羅星のような思い出が、って。
 キラキラ輝く思い出。兵器の自分には、ないもの。
 先程までのイサはそう思っていたし、今だってそんな煌めく星のような過去の話なんて自分にはない、と思っているのだけれど。
 ……でも。
「ララの思い出もそう。お前にはあげない」
 やはりそうきっぱり古妖へと告げるララは、自分のものよりもまず先に言ったのだ。
 自分の思い出を、おやつにはさせないと。
 それを思えば、思わず乙女椿宿す瞳を細めてしまって。
『ぐ、揃いも揃って、わっちを嵌めたのですね』
「嵌めたなんて人聞きが悪いわ。ララ達の方がお前より、星に愛されていたというだけ」
 そしてララの声に、確かに自分にもあるかもと、イサは少し思えるようになった気がするのだ。
「今日、皆で作った思い出も迎えた春だって穢させはしないわ」
 ララや皆と過ごした今日は、とてもキラキラしていて、楽しかったから。
 だから、そっと桜色の猫を見遣った後、紡ぐ。
「俺のも自分のものだなんて……欲張りなのは聖女サマだけで十分だな」
 そしてララは、可憐でかわいい乙女椿が咲くいろを己の赤き花一華にも咲かせて。
「ね、イサ。ララと戦う栄誉をあげる」
「その栄誉、ありがたくいただきますよ」
 合図のように告げられた言の葉に、イサはそう返しながらも笑う。
 それから、椿太夫を改めて見遣ってから。
『酷い仕打ちでございます、客人を装ってわっちを謀るとは……!』
「騙し討ちしようとしてたのは何方だよ」
 眼前の標的へと小さく首を傾けつつも、そっとこうも思う。
 ……思い出を、そうと思えるようにしてくれたことには感謝するけどさ、なんて。
 とはいえ勿論、逃がす気など一切ない。
 それに古妖は強敵、自分達が動くよりも早く、戦場に惑わしの妖気を宿す椿花を咲き乱れさせるけれど。
 ララは、赤は赤でも、椿とは違った赤き花を向けて。
「ララの花一華はお前の椿には負けないわ」
 ……隠れんぼ、しましょうか、って。
 椿太夫へと誘いの声をかけるけれど、勿論、そのこたえはきいてなんてあげない。
 ――見つけて、みつめて、花の獄。
 刹那、ママがくれた宝物、桜色のしろくまちゃんを媒体にララが喚ぶのは、隠れんぼの鬼さん。
 シュネーから護霊「春の骸キルシュネーテ」を召喚すれば、光蜜ノ愛浄で焼却し焼き尽くす。
『……!』
 いくら咲き誇らせても全部、妖しく赤い椿ごと、古妖のその身を。
 さらに――みつけた、って。
 銀災で思い出喰らいを串刺しにして逆に生命を喰らい、椿の連撃から花一華のオーラで身を守って。
 ――逃げ場所なんてないんだ。
 そう自分やキルシュネーテを支援するように放たれる死海ノ律……制圧するようにイサが放つ牽制の水激が、敵へと繰り出される中。
「俺はお前の護衛なんだ」
 即座にイサに庇われつも乱れ咲く妖赤を見切ったならば、ララは飛び出していく。
『ぐ、ぅっ!』
 豪雨の如く降り注ぐレーザーと共にイサが生み出した衝撃波が切断せんとする椿の首を、窕を薙ぎ払って、確実にぽとりと落とすために。
 そんな見舞われる連携攻撃に、思わず揺らいで顔を顰める椿太夫。
 眼前の敵は強敵の古妖だけれど、でもだからこそ。
「イサ、このまま畳み掛けるわよ」
 ララはそうイサへと声をかけながらも続ける。
「ララはお前と一緒に戦える今だって……とっても甘くて美味しいご馳走なのよ」
 そしてイサも、己に向けられた言葉と赤き花一華に、乙女椿を咲かせて返す。
「それはどうも」
 ……俺だって同じだよ、って。
 そして目前の敵を斬る。
『なっ、く……がぁっ!』
 自分にも確かにある、大切な今を抱いて。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

柊・冬臣
アドリブ連携歓迎

ああ、もどかしかった。やっと本番だね
それにしても大喰らいだな。これだけの――√能力者を引き入れてしまうなんて
美味しい食事が出来ると思ったかい?
食べられるのはお前だよ

自分独りならいつも無茶をしてしまうところだけど、此処には他の√能力者の皆がいるからね、迷惑はかけられないな
まずは魔術迷彩服を利用して部屋に溶け込み、なるべく敵の視界内に入らないように気をつけよう

ウィザード・フレイムを詠唱
生まれたウィザードフレイムは目潰しに利用するよ
それから、傍らの精霊に声を掛けてエレメンタルバレット雷霆万鈞で攻撃、周囲への支援を
行こう、ナリ。皆を支援するよ

占い師ごっこはもうお終い。平和な猫又横丁を返してもらおうか

 夜までじっと潜んで、館にも一組ずつしか入れない用心深さ。
 そしてそんな古妖が尻尾をみせるまで、これまでは付き合ってあげていたのだけれど。
『! なっ!? あ、貴方様方は!?』
「ああ、もどかしかった。やっと本番だね」
 もう占い客のフリは終わり。
 偽物の占い師が美味しそうな餌につられて、腹ペコな悪妖という正体を現したのだから。
 そう、眼前の古妖が所望するのは、美味な思い出。
 此処に居る者達の思い出を、さあ今から喰らおうかと嬉々としていたわけだけれど。
「それにしても大喰らいだな。これだけの――√能力者を引き入れてしまうなんて」
 冬臣は自分を含め、選り好みしたにも関わらずこれだけの者達の思い出を喰らわんとする古妖の食い意地にそう紡ぎながらも。
『う、美味な思い出を存分に喰らえるかと思いましたのに、こんな……!』
 予想外の展開に驚愕するとともに、ギリィと唇を噛みしめる椿太夫に。
 きっと古妖自身も勘付いているだろう現実をつきつける。
「美味しい食事が出来ると思ったかい? 食べられるのはお前だよ」
 そう、これまでは喰らう方であったけれど、今日は狩られる方だと。
 とはいえ、慎重に動いていたのは此方も同じ。
 相手は強い力を持つ古妖、呪いで手が出せなかったこともあるが、迂闊に行動していれば喰われていたかもしれないし。
 それに、何より。
(「自分独りならいつも無茶をしてしまうところだけど、此処には他の√能力者の皆がいるからね、迷惑はかけられないな」)
 冬臣は己に対する危機意識や防衛本能が欠落しているため、よく限界を見誤って怪我をしがちであるから。
 共に古妖を狩る仲間達がいることは、願ったりなことである。
 だから、美味な思い出を沢山喰らわんと欲張った古妖の足元をすくうように。
 まずは魔術迷彩服を利用して部屋に溶け込み、できるだけ敵の視界内に入らないように立ち回る冬臣。
 それから足を止めれば詠唱する。ウィザードフレイムをひとつ創造し、召喚するべく。
 そして生まれたウィザードフレイムで狙うは。
『!? わっちの目が……っ』
 そう、古妖の目。
 椿太夫も視界が取り戻せぬならばと、惑わしの香箱を成すのだけれど。
 目潰しがうまくいけば、冬臣が声をかけるのは傍らの精霊。
「行こう、ナリ。皆を支援するよ」
 刹那その声に呼応し、戦場に轟くように射出されたのは雷の弾丸。
 撃ち出されたエレメンタルバレット『雷霆万鈞』が戦場で大きく爆ぜ、香箱共々敵へと衝撃を与えて。
『ガァッ! わっちはただ、美味な思い出を……ぐっ!』
 堪らず大きく揺らいだ占い師……いや、星詠みの悪妖『椿太夫』へと冬臣は告げる。
「占い師ごっこはもうお終い」
 ……平和な猫又横丁を返してもらおうか、と。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

神無・未来
【Q&A】

……嬉しかった、なんて。
一度も理解出来ないのはどの口だったか――

占いの結果は概ね正解。
一部そうでもなかったようだけど、偶然|星詠み《うわさ》を聴く人間なんて、少なくはないでしょうし。
上手に思い出を食べられる、それは褒めるべきところね。
味わい方、マナーをちゃんとしていると、望みが叶いやすい。

そしてあなたが死のうが死ぬまいが、私は構わない。
結末単体は微々たる因果にしかならないでしょうから。

ただ一つ試してみましょうか。
人が嫌がることを自分がされたら――どんな気持ちかしら。

初手でSave.
想を前に立たせ、保護したまま様子を見る。
言葉で揺れるのかしら――或いは。
どちらにせよ、向こうが思う存分心で踊ってくれるのであれば……。

二撃目――本題はこれ。
あなたの生命がそこを切っているかどうか。
生成された香箱の合間を一気に駆け抜けて、手を伸ばし、くっつけ、離すたったそれだけ。
食べたいものが食べられなくなる、覚えていられなくなるって。
どんな気持ち?
後学の為に、聞かせていただけるとありがたい――。
新見・想
【Q&A】

ぐーすや、すぴー……。

……もう、未来ってば。
これがいつも通りだから、仕方ないってずっと分かってたけど。

もう、ダメじゃん。
人の思い出を勝手に食べようとするなんてさ。
ねえ、悪い子だね、お姉さん?
けれど占い、すっごく当たってた。すごいね、お姉さん!

じゃあ、お姉さんの未来を、わたしたちが占っちゃおう!
きっといい未来は、お姉さんが悪いことを続ける限りやって来ない、って。

前に出て、微笑みながら、お姉さんに話しかけよう!
未来が守ってくれるから大丈夫、いくら惑ってもきっと、心が繋がってるならわたしは死なない。
どれだけ辛くても、苦しくても。限界突破で乗り切っちゃって――

新しい思い出が、未来を作るのに大事。
でも、過去があるともっと楽しいよ?
それを分かっているのなら、殊更食べようとするのはダメなんだよ?
だからきっと、お姉さんに知ってもらうなら未来がいい!
未来は思い出よりも、いっぱい美味しいから!
ね、未来?

未来に全部食べてもらっちゃおうか。なんて例えでしかないけれど、
お姉さん、きっと忘れられないね?

 どんな夢をこの時見ていたのかは、目が覚めたら忘れてしまったのだけれど。
「ぐーすや、すぴー……」
 甘い香りに誘われて、しばらくふわふわ夢の中。
 √能力者ではなくAnkerである新見・想(そう、わたしが!・h01561)は、古妖の睡眠香で眠ってしまっていて。
 瞳を開けば、そこは知らない場所だったけれど。
「……嬉しかった、なんて。一度も理解出来ないのはどの口だったか――」
 ふわぁとまだ寝ぼけ眼な意識でもはっきりとわかる、彼女の姿と声。
 そして、おはようって声をかけた後。
 神無・未来(“ふしあわせ”な|人間《ちぐはぐ》さん・h00330)の言葉に、想は紡いで返す。
「……もう、未来ってば」
 ……これがいつも通りだから、仕方ないってずっと分かってたけど、なんて。
 とはいえこの場は、睡眠香に強力な効力がなければ、普通ならば到底熟睡などしていられないだろう状態。
 想が暫く眠っていられて、未来がそんな彼女に付き添っていられたのは、同じ目的――古妖を封じるべく集まった仲間が沢山いるから。
『く、こんな……わっちはただ、腹いっぱい美味な思い出を喰らいとうございましただけですのに……!』
 眼前の美しかった椿太夫もすっかり余裕がなくなっていて、見目も表情も醜く歪んでいる。
 いや、元から美しくなどない。彼女は卑しい悪妖なのだ。
 そして想は、食い意地の張った占い師に言葉を投げる。
「もう、ダメじゃん。人の思い出を勝手に食べようとするなんてさ」
 ……ねえ、悪い子だね、お姉さん? って。
 それから、アイドルらしい笑顔をぱっと咲かせ、こうも続ける。
「けれど占い、すっごく当たってた。すごいね、お姉さん!」
「占いの結果は概ね正解」
 未来も、それには同意の声を重ねて。
「一部そうでもなかったようだけど、偶然|星詠み《うわさ》を聴く人間なんて、少なくはないでしょうし。上手に思い出を食べられる、それは褒めるべきところね」
 ……味わい方、マナーをちゃんとしていると、望みが叶いやすい。
 やはり相手が古妖であれ誰であれ、頭に浮かんだことをオブラートに包まずに言うその癖は変わらない。
 そんな未来らしさに、想は瞳を細めてから。
「じゃあ、お姉さんの未来を、わたしたちが占っちゃおう!」
 逆に椿太夫のことを占ってあげることにする。
 だって、わかりやすくその結果は、もうすでに出ようとしているのだから。
 ――きっといい未来は、お姉さんが悪いことを続ける限りやって来ない、って。
 そして想の言う、そんな「いい未来」が。
『貴方方人間など、大人しくわっちに思い出を喰らわれれば良いものを……っ』
 古妖である椿太夫には、永遠にやって来ないことも。
 けれど未来にとっては、興味のないこと。
「そしてあなたが死のうが死ぬまいが、私は構わない。結末単体は微々たる因果にしかならないでしょうから」
 彼女への占い結果が当たるかどうかなんて。
 でも……ただ一つ試してみましょうか、と。
 散々悪さをしては腹を満たしてきた悪い子を見遣る魅惑的な瞳を、ふと細めて未来は告げる。
「人が嫌がることを自分がされたら――どんな気持ちかしら」
 でも未来はまずは、|保護《セーブ》することに専念する。
 前に出て、微笑みながら、椿太夫へと話しかけんとする|想《自身のAnker》を、確りと視界内におさめて。
 それに、行動力と笑顔に溢れている彼女は、いつだってそうだ。
(「未来が守ってくれるから大丈夫、いくら惑ってもきっと、心が繋がってるならわたしは死なない」)
 自分に届ける為にたくさん歌やダンスを練習したり、ずっと一緒に暮らしてきた自分のことを家族だと思っていて、そして心から信じていて。
 ……どれだけ辛くても、苦しくても。限界突破で乗り切っちゃって――。
 そう、これまでも彼女が様々な苦難を乗り越えてきていることを知っている。
 だから未来は、想を前に立たせ、保護したまま様子を見る。
「新しい思い出が、未来を作るのに大事。でも、過去があるともっと楽しいよ?」
『ふ……だからこそ、思い出は様々な味がして美味しゅうございます』
「それを分かっているのなら、殊更食べようとするのはダメなんだよ?」
 未来司る蒼の電子光に包まれながら、古妖へと声をかける想のことを。
 それから未来は、想の前にいる椿太夫へとふと視線を映して。
「だからきっと、お姉さんに知ってもらうなら未来がいい! 未来は思い出よりも、いっぱい美味しいから!」
『思い出よりも……美味?』
(「言葉で揺れるのかしら――或いは」)
 どちらにせよ、向こうが思う存分心で踊ってくれるのであれば……。
 そう思っていれば、耳に届くのは自分へと向けられる声――ね、未来? って。
 自分達は、|保護《セーブ》している限り、絶対に死なない。
 たとえ会話中に姑息に古妖が、惑わしの妖気を宿す椿花を戦場にいくら咲かせたところで。
 けれど勿論、いつまでもこうしている気もない。
 自分へと視線を向けられれば、二撃目――本題はこれ。
(「あなたの生命がそこを切っているかどうか」)
 椿太夫は強力な古妖、だがその姿は今にも崩れ落ちそうで、彼女へと沢山の仲間が攻撃を見舞ったのだ。
 惑わしの椿だけではなく、妖しき香箱を敵が成すだろうことだって、事前に聞いてお見通しなのだから。
 未来は刹那、生成された香箱の合間を一気に駆け抜けて、手を伸ばして。
『……!?』
 くっつけ、離す。たったそれだけ。
 そして生じるショックによるダメージこそ微弱なのだけれど。
『いくら手負いでもこの程度の衝撃でしたら、わっちには何とも……、ッ!!』
 |白手《イート》――くっつけて離したそれは、思い出に反応し、白く光る磁力を放つ左手。
「未来に全部食べてもらっちゃおうか」
 なんて例えでしかないけれど、なんて想は瞳を細めて。
 見つめる彼女へと、微笑みと共に紡ぐ……お姉さん、きっと忘れられないね? って。
 そして未来は、やはり頭に浮かんだそのままの疑問を椿太夫へと向ける。
「食べたいものが食べられなくなる、覚えていられなくなるって」
 ――どんな気持ち? と。
 だが、|白手《イート》が触れた彼女の耐久力はすでに、風前の灯火であったから。
『なっ、わっちはまだ、美味な思い出を……、がはぁッ!!』
 肉体こそそれ以上傷つくことはなかったものの、かわりに思い出と味覚を破壊され――そして、朽ち果てる。
 後学の為に、聞かせていただけるとありがたい――。
 そう言葉を向けた時には、既に椿太夫は事切れていたから。未来の参考には、ならなかったけれど。
 沢山の人や猫が気ままに闊歩するこの猫又横丁にはこれで、憂いなき賑やかな日々が戻ってくるだろう。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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