黄龍会スタンプラリー
√妖怪百鬼夜行、人と妖怪が共に生きるこの√、禍津宮市内にて一つの催しが行われようとしていた。
それは住民交流の一つとして開催されたスタンプラリー、主催するはYellowDragonであり和気あいあいと……否!
ただ単にスタンプを押して回るだけじゃつまらないよね、って話からミッション攻略にてスタンプゲットという流れとなり、そして今、ここにテストプレイという名目で楽しもうというメンツが揃っていたのであった。
「それじゃ、事前の説明通り。ミッションクリアでスタンプよ。あと私達がクリアできても住人の皆さんがクリアできるかどうか、の評価はヨロシクね」
名所めぐりをしつつのイベント、そのテストだとミルグレイス・ゴスペリジオン(魔境を巡る舞軍師・h02552)が皆に説明、仕掛け人側とチャレンジャー側に分かれた一同。
スタート地点で参加者を送り出した直後、ミルグレイスの姿はまるで煙が消えるかのように瞬時に消失、裏方としての役割を果たす為に既に移動を終えた事を無言で参加者に伝えていた。
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「おー……いっぱい色んな所巡れるのええねえ楽しみやわあ。一つ一つ大事に回っていきましょ。順番は自由か」
渡されたパンフレットに記されたミッション4種、絵しりとり、的当て、食べ比べ、もの探し、どう回るかと声をかける朔月・彩陽(月の一族の統領・h00243)を先頭にぶらぶらと。
この街に住んで長い者も短い者も楽し気に、どういった名所があるのかパンフレットに目を通しつつ歩き最初にたどり着いたミッションは古本屋『円蜃堂』にて行われる絵しりとり。
「ふふふ、いらっしゃい。案内にもある様にここでは絵でしりとりをしてもらいます。ルール説明は」
「彩せんせー、全部説明しないでよ、わたしたちもお手伝いにきたのにー」
内容を説明しようとカードを広げた霞月・彩(流転する夢・h06157)に被せる様に言葉を発したのは、エプロンを付けてお手伝いにきた古本屋の常連客でもある子供たち。
自分達もお役に立ちたいと説明を練習していたのだろう、そんな常連客の様子を見て微笑みながら、ならばお任せと頷いて。
「えっと、このカードの中から5枚えらんで、しりとりを続けてねっ!」
「あっ、同じ絵のカードでも別の名前でしりとりをしてもいいよ、例えばこれ。鳥でも、バード、でも大丈夫!」
30枚のカード、その中からしりとりを続けられるように選び抜く。フリー素材のデフォルメされたイラストなので、発想次第では多少無理矢理でも繋げる事が可能となる。
子供たちがしっかりと、練習通りに説明できている姿を見つつ、しかし彩の眼鏡が一瞬、キラリと妖しく光るのに何人が気付けただろう!?
彼女が眼鏡を光らせ見たのは西郷隆盛であったり、母の日であったりと他の解釈で読み方を変えられないカード、即ち固有名詞カードであり。
今しがた受けた説明から選んでしまえば後々、自分の首を絞めてしまうかもしれないカードであり……そのトラップを察知できるか、踏んでしまえばどうリカバリーするのかとゲームマスター的な部分が零れてしまったのだ!
そんな彼女の思惑に気付けたか否か、挑戦する面々はというと……?
「ん……これは、噂のワ○ャンのボス戦ですかな??」
ヤメロォ!! 版権に引っかかる、それでいて実はとんでもねぇ解釈で、同じ絵なのに明らかにそう言わねぇだろって判定されるゲームの話をするんじゃない、アーネスト・マルトラバース・シートン(若き狼・h00433)よ。
いやその、それで合ってるけど、内容的にはそれだけど、色々と怒られるかもしれないんだからな!?
「む、何か何処からか激しいツッコミの気配が……と、ありがとう、狼の肉球でもできる仕様はありがたい」
ヤバイ発言をしつつ、お手伝いの子供が持ってきたタッチパネルを前にして唸るアーネスト。
よしよし、これ以上危険な発言が出ない様にゆっくりと選んでいてください、そんな中ちょーっと目的外の動きをしている人も居て。
「見たことのない本がたくさんあるね、これは魔導書? 機関が見過ごすのかなこれ……」
大量の蔵書を前に感嘆の声を上げて、イベントよりもそっちに気が向いてしまった斎賀・奏斗(響応する複音の刃・h04615)である。
でも仕方ない、それだけ興味を引くほどの魔導書があるのだ、そしてこの街に来て日が浅いのでここまで詳しく、名所でもある古本屋『円蜃堂』をじっくりと見る機会も無かったのだろう。
「おっと、目的が違っちゃった。えーっと、この絵から5つだね」
興奮していた奏斗であるが、今回は本の確認ではなく絵しりとりのイベントチェック、気を取り直してカードを全てじっくりと確認し、まずはこれだ、と一枚のカードを皮切りに。
「ガントレット、トンファー、アサルトライフル……なんかやけに偏ってきたな?」
うーん、武器に目が向いてしまうのは彼の思考ルーチンによるものか、はたまた戦闘特化な能力によるものか。
全て武器関係で染まっていくが正解は正解である、答えは無数にあるのがこのイベントなのだから。
「彩ねぇねのは……絵しりとりなの? 選んだのでしりとりすればいいの? 奏斗にぃにみたいにすればいいのかな?」
「5回続けれればいいけど……絵でか~」
『えっとこれは……えーっとアサルトライフルっていってたけど、エアガンでも大丈夫……?』
あっ、こちらでは奏斗の武器に染まった選択肢に引っ張られつつある純粋無垢な子たちが。
紗影・咲乃(氷華銃蘭・h00158)に星河・あくあ(零を上書き歩む【始発点】/ 零で塗り潰し辿る【終着点】・h05769)とあるまよ、それちょっと偏ってるから、流れとしては正しいけどちょっと偏ってるから!
「うさぎ……ギター、種……ねこ、コアラ、これでいいか」
そうそう、今終わらせたアーネストみたいにね、あんな感じでいいから、決して同一属性縛り、なんてしなくてもいいからね!
「ん~……難しいの……」
「むむ、むむむっ」
『うーん、悩むなぁ』
あっ、ダメだ、すごーく時間をかけて悩んでおられる、でもそれは決して武器縛りを見ただけではなくて。
「なるほどこれはカード選びのセンスが試されるわね……六文字以上縛りでやってみるわ」
原因がここに居た、西園寺・つぼみ(無貌のモデル・h00957)である。
そう、彼女はあろうことか自ら難易度を爆上げし、一種の縛りプレイで完成させようってムーブを決めていたのだ、そして何より。
「キュウカンチョウ。ウルメイワシ……シマテンレック、クレープシュゼット。トウキョウトガリネズミ。ふふっ、まあこんなもん?」
決めた、バッチリと6文字縛りでの絵しりとりを完璧に。
そして顔は見えないが声色はドヤってる、そんなすげぇプレイを見せて、お手伝いの子供も感嘆の声を上げてるもんだから。
咲乃もあくあとあるまも、目の前でこう、スゴイ答えが出たのだからすこーし頑張ろうって気になって、うんうん悩み考えていたのであった。
いやあ、影響力って凄いですねぇ、でもそんなこんなで影響を与えたり、受けたりしている面子だけでなくマイペースに悩んでやってる面々も勿論いる訳で。
「んー、成程。解答例はあんな感じで、えーっと……」
すげぇ悩んでいた、こっちでは別の意味で彩陽が知識が偏ってる上に、思い切って全て武器で固めるという選択も取れないのでどうやって組み合わせようかとスゴイ唸って考えていた。
違う、そうじゃない、そんなに難しく考えなくていいんだ、直感的に組み合わせればいいんだよ、隣でサクサク選んでる神薙・ウツロ(護法異聞・h01438)みたいにやればいいんですよ、ってことで会長、見本を見せるトコロです。
「彩ちゃんの所は、なるほど、こういうスタイルのしりとりか。想像力が刺激されて直感的に楽しめる、面白いじゃん」
「ええ、一人ひとり違う発想で答えが出せる、個性が出る催しですわ」
会長らしく、イベントの内容をしっかり確認しながら彩と言葉を交わしつつ。
ウツロが選ぶ5枚のカード、起点となるカードはまずリンゴ、次いでゴリラ、ラッパ、パイとなり。
「イ……そして最後はこれ、イエロードラゴ『ン』オッケ、綺麗にオチたね」
黄色いデフォルメされたドラゴンのカードを最後に選び、ん、で終わるしりとりを完成させたウツロ。
回答を考える途中であった咲乃やあくあがおーっ、と声を上げ、子供たちも流石、って顔で見る中で、やいのやいのと他の面々もカードを選び、無事にミッションクリアとなり。
「皆さん、お疲れ様でした。ではスタンプを……どうぞ」
全員の回答を確認、彩がポンっと押すスタンプは森の賢者ともいわれるフクロウに王冠が乗せられたデザインのスタンプで。
知識の集約された古書店に相応しい物であった。
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「やあやあ、いらっしゃい。その様子だと先に別のスタンプはもらえているみたいだね」
続いて一同が到着したのは一棟のビル前であり、出迎えたのは十六夜・宵(思うがままに生きる・h00457)
既にミッションの一つはクリア、ならばその勢いでこのミッションもクリアしてねとビルの扉を開き招き入れ、そこで行われるのはちょっとしたもの探し。
「ちょっと暗いけど、これぐらいの方が雰囲気が出るからね。それじゃ、ここからくじを引いて。書かれてる物を隠してるから見つけて来て」
「今度はもの探しなの? うぅ、暗いの怖いの……」
薄暗いビル、何処に何が潜んでいるか分からない雰囲気を感じ取り咲乃が怖がる様子を見せる。
「そこまで怖くしないでねってお願いしといたから大丈夫なのよ。多分」
あっ、ダメだ、怖がる咲乃を励まそうと宵が声をかけたが逆効果になってしまうっ。
前置きしたけど、怖くする演出をするのは確定だし、最後の多分、って一言が余計に恐怖を煽るじゃないか!
ま、まあ、一種のお化け屋敷的アトラクションだ、それにこの√は妖怪と人間が住まう√でもあるし、この程度のお化け屋敷要素は日常茶飯事、ちょーっとやりすぎちゃってもそれは料理における一種のスパイス、若しくは旨味ってもんですよ。
「……えっ『お願いしといた』って何? 実在する人なんだよね??」
おっとぉ、ここでもう一人。
宵の説明に不安を覚えるウツロさんが出現だぁ! 最初の説明段階では順当に、スタンダードなお化け屋敷みたいなものかという感想を抱いていたが、先の言葉で色々と想像してしまったか。
脅かし役って誰? 地元の妖怪の人? それともガチのお化けなのか? 色々と危ないんじゃなかろうか、最後の多分ってところもすごい引っかかるし、と思うのも無理はない。
しかし体験してみなければどうなのかはわからないのだ、故に会長はガチの対策、壁に右手を当てて壁沿いに進む事でゴールにたどり着けるという迷宮攻略法で突撃するのであった、無事の帰還をお待ちしております。
「結構雰囲気あるな〜これって本物のお化けが出てきたりするのかな? びっくりして斬りつけないように気をつけないとね」
そんな中、別の意味で危険な人が来ちゃった。
思考が戦闘で一杯な奏斗さん、いけません、これはアトラクションですから!
何かこう、金網とかに突っ込んできて衝突して叫び声を上げる、みたいな事があっても決して、決して攻撃なんてしないで下さい!!
と、とりあえず咲乃は何を探すか、って所から一同の様子を再確認してみよう。
「え、えぇと。リングファイル、なの!」
「私は事務所のカギー、だから」
『一緒にいけるね』
「僕もペンケース、つまりは事務所だから一緒だね」
くじ引きで似たような場所にあるであろう、ファイルと鍵とペンケースを当てた咲乃、あくあ、あるま、奏斗の4人。
少々不安だけどまあ大丈夫だろう、怯えている少女の護衛という大任だ、奏斗よ、頑張ってください。
一人ずつで行く、というルールにするとあまりにも怖い可能性もあるのでここはルールを急遽追加、複数人で向かっても大丈夫と宵が定めて4人はビルの3階、事務所に向かっておっかなびっくり進んでいくのだが。
「暗いね~」
「でも、少しずつ目は慣れてきたよ」
「う、うん、皆と一緒ならこわくないの!」
あくあが暗さに対し口を開けば、時間経過で慣れてきたと奏斗が返し、そして咲乃も4人だからと恐怖心が和らいで。
そのまま順調に事務所に到着するが、この面子は一つ重要な問題を抱えていた、それは……あくあとあるまが、普通に発光して脅かし役からめっちゃ目立つということであり。
『うんうん、怖くないよ、悪い人は出てこないっていうから大丈』
「グォオオオオオ!!」
「『わぁーー!!』」
そりゃあそうなる、脅かし役な浮遊霊くん、迫真の咆哮。
叫び声に驚きあくあとある間が衝突、めっちゃキラキラした☆を頭の上に浮かべてフラフラと、人間発光器のようになって周囲を照らす状況に。
でもって叫んだものだから咲乃もパニック、奏斗も武器を構えちゃったりとでドタバタと大音量を下の階に響かせちゃったりするのであった。
「ちょっと、上で何が起こってるのよ?」
そんな上の階層でのパニックが伝わったのか、2階の探索をしていたつぼみがビクッと体を震わせる。
複数人で向かったというのにこのありさま、そして自分は一人で探索と恐怖心が沸き起こる中、急にガタッと戸棚が開いて物が落ち、ドサッと音を響かせて。
「きゃあ!? ってなんだ、いつもの浮遊霊ちゃんじゃないの、びっくりした……」
物を落とした浮遊霊、その姿を見て落ち着きを取り戻すつぼみ。
いや、幽霊ですよ、それに脅かす動きをしたんですよ、何で逆に落ち着いてるんですかあーた?
「オバケ怖くないのか、って? 感覚があるなら私の美POWERでどうとでもなるわよ。それに、オバケより怖いものはこの世に山ほどあるから」
あっ、ハイ、そうっすね、幽霊よりもヤバイ、別√からの侵略者とかもいますから、それはとっても正しい事っす。
そんなこんなで探索を続けるつぼみは大丈夫、ならば他の面子はどうだろうか。
「宝石? 黄色いの? 見つけやすそうではあるか」
「そちらは視覚で探せる物か。こちらは緑のハーブ、見本をもらったが……匂う、近いな」
あっ、いかん、彩陽とアーネストが二人、引いた者が別の意味でヤベェ物だ。
そんな、研究所や警察署には似つかわしくない、でも使うと隠された道が開くような物であったり、自生してて摂取するとあら不思議、たちどころに傷が癒える謎の薬草みたいな感じのものを引き当てるなんて!
それに二人とも、こういったホラーな雰囲気は全然問題ない様子であり。
「ヒョオオオ!」
「ちょっと暗いなあ。明かりはぼんやりあるからそこまで苦労はせ……はい、お疲れさん」
絶叫して驚かせにきた浮遊霊を前にして、逆にお仕事を労う余裕迄見せている彩陽、お化け屋敷的な要素を殺しちゃってる!
あとアーネストは狼だから、この不気味な薄暗いビルの中でホラー要素側に片足突っ込んだ感じになっているぞ、そして嗅覚フル稼働でアッサリとハーブの鉢植え見つけてるし。
「これだと思うよ、匂いも同じ、間違いない」
ああ、二人してあっさりと怯える事無く見つけてしまった、浮遊霊さん、ご苦労様でした。
ドタバタもありで皆が上の階から降りて来て、各々決められた物を見つけた様子、何故かウツロだけが顔色が悪いけどどうしたんだろう、浮遊霊に脅かされたのが効いたのか。
えっ、様子が描かれていない中で、とんでもない者と遭遇したかもしれないって? まさかそんな、ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし。
「皆、お疲れ様。ちょっと怖かったけど楽しんでもらえた? それじゃ、スタンプを押すの」
色々あった肝試し的ゾーンは終了、宵が皆に押したスタンプはふよふよ浮かぶ幽霊が蠟燭を持つ、このゾーンに相応しいものであった。
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「やっほー、モルドレッド卿。イエドラ会長が進捗の監査にキタヨー……」
食べ比べゾーンに到着、ウツロが担当するモルドレッド・アーサー(防導の騎士・h04734)に声をかける。
少々覇気がないのは先のイベントでの疲れだろう、決してヤベェものを見てしまったからではない。
「これは会長。この施設ではモンスターの素材を試食する体験ができるからな……施設の主旨に則り、ミッションを考えさせていただいた」
いつもと違う様子に違和感を覚えつつ、しっかりとこのイベントの説明をするモルドレッド。
料理という事で鎧は外し、エプロン姿で出迎えた彼の後ろにはテーブルが並び、そして小鉢に入れられた料理が乗せられて。
「一つはスーパーで調達した材料で作った物・一つはモンスターの素材を使った物……どちらが『モンスターの素材で作られたものか』を当ててもらう」
なるほど、一つはありふれたいつでも入手できる食材で、もう一つはモンスターという中々に食べる機会の少ない素材の料理。
調理皇帝は同じ、材料の違いでどれほど味の差が出るかを見抜いてくれというミッションであり、料理を担当したモルドレッド曰く調理工程は同じ、味は美味しいと自負している。
温度管理もしっかりしていると話を続ければ、ヒョコっと姿を見せたミルグレイスがその通りだとサムズアップで示していて。
もしも不安なら調理工程の映像もあるとモニターを映し、勿論アレルギーや食べられない食材を言ってくれれば対応できる準備は出来ていると皆に説明した中で食べ比べがスタートする。
「狼の嗅覚で事前に分かりそうなものであるが、まぁ、食べ比べって感じじゃないですね。てなうぇあけで、嗅覚は封印していいぐらいで」
おお、紳士的に公平に、嗅覚でイカサマはしないとアーノルドが宣言、体に悪いのでネギ類が入っていない料理を選びパクっと口に運んでいく。
暫しの沈黙、そしてこれかとAの札を選び答えを待つ紳士なアーノルドの横で、うんうんと頷くウツロ。
彼もまた料理を選び、札を選ぼうとしたその瞬間。
「食が関わるだけに事前確認もキッチリってわけ。マジメさ出てるぅ~、それにアーノルドもズルせずいい感じ~。ところでこれ、答え外したら画面に映らなくなったりする?」
あっ、コラ! なんてことを言い出すんだ会長さん!
でもまだ大丈夫、一問だけだから映す価値無し、で完全に画面から消されるとかはない筈だ、ってかまーた版権に引っかかりそうな発言をしおってからに!!
「あー、ハイハイ。年末年始恒例の奴ね」
アカーン! 気付いてしまったぞ、つぼみさんがどういった番組的なものかバッチリと。
で、でも具体的な名前まで言わなければ大丈夫、そしてどういった感じで食べ比べを制するのか!?
「といっても違いなんて分からないわよ私……どっちも美味しいもの……」
わからんのかーい!
だがそんな中、ふと小鉢に違いがある事に気付いたつぼみ。
「あら。なるほどね、ふふ。分かるようヒントもくれるなんて易しいじゃない?」
顔が見えればウインクをしたような、そんな雰囲気を出しつつ彼女は答えに繋がる何か、小鉢の印に気付いたのだろう、味の違いは分からぬが正解を選んでいたのである。
「モンスター……食べれるんやとある意味のびっくり要素が此処に。食べられへん物はないはずやから問題はないで」
別の席、そこでは彩陽も同じように、モンスター料理に舌鼓を打っていた。
うん、問題はない、問題は無いし、普通に美味しいんだ、だからこそだろう。
「……こっち? いや、それとも……」
ああ、なんてありがたい、とても普通の反応だ、ぶっ飛んだ発言がないってだけでどれだけ危険性が薄れるか。
ま、まあ小鉢の印というヒントには気付かぬままに、それでいて味の違いをしっかりと考えておられるのだ、もう少し彼には悩んでもらいつつ、別の面々の様子を見よう。
「ミルグレイスさん〜色々回ったらお腹すいちゃったよ!」
食べ比べ、料理と聞いて目を輝かせていた奏斗が配膳をするミルグレイスに声をかけ、何でも食べれると椅子に座って食べ比べ。
素材が市販品であろうと、モンスターであろうと、味の違いがあるがどちらもとても美味しい料理をしっかりと味わって。
「どっちも美味しい……分からない……モルドレッドさんってプロ……? 悩ましいよ! 一旦全部食べ切ってから答えていいかな?」
ちがーう、そんなイベントじゃないから! 食べ盛りなのは分かるが他の人の分まで食べようとするんじゃない、終わってから、最後に残ったのを食べればいいから今は我慢するんだ!
「モンスターの素材を当てればいいの? んー、食べたことないから自信はないけど、頑張ってみるの!」
「大丈夫、結構味は違うからさ~、それにしても普通に綺麗な料理ですごいよね~」
『おっ、これは……何か違うかも』
ちょーっと食べ過ぎそうな奏斗の隣、そこでは咲乃がぐっと拳を握って頑張るって仕草をし。
先んじて食べてたあるまが既にそれっぽい目星をつけていた、やる事が早い、ってか√ドラゴンファンタジーに居たわけでもないのに何でモンスターの味を知ってんだよ!?
ツッコミどころ満載だけどまあいいや、咲乃も食べて、悩みつつ後から食べたBの料理がモンスターっぽいって出してたし。
そんなこんなで全員の食べ比べが完了、ということで恒例の……結果はっぴ……って、何を言わせるっ! 怒られてしまうじゃないか!
「料理の方を褒めてくれて嬉しいよ。ちなみに答えだが、モンスター料理は小鉢にほら、この小さな足が生えた火の玉の絵がついてるんだ、だからそっちが正解」
つぼみが見つけた印、それがどこにあってモンスター料理はどちらかを発表するモルドレッド。
その結果を前に、当たった、外れたと悲喜こもごもな面々がワイワイと言葉を交わす中で食べ比べイベントは終了し、氷と炎の蛇の間に小さな足が生えた火の玉スタンプが押され残す最後の的当てに向かうのであった。
●
「他の3か所は終わったみたいだな、最後はここだ」
鉄筋コンクリート建ての建造物からスピーカー越しに響くは神代・京介(くたびれた兵士・h03096)の声、そしてここでのイベントは的当てという名目の実践射撃。
「空調に防音も完璧、どれだけ暴れても周りに迷惑が掛かることは無い。市街地の再現や他√の環境も再現できるので中にある物を好きに使い上手くドローンに命中させてくれ」
そう宣言し招き入れれば、内部は市街とでもあり荒野でもあり別ルートでもある完全なる訓練場。
「的当てなの? やったことないからここは初級を選ぶの!」
目を輝かせた咲乃が近くを飛ぶドローンに狙いを付けて、小口径のハンドガンを発砲するが銃弾は外れ、再び引くも再度外れる。
だがその二発は慣れる為の物、そして外すと同時にドローンも京介が操作し近づいていて。
「わーい! 当たったのー!」
三発目で見事命中、そして完全クリアが一人出たのを皮切りに皆が一気に射撃を始めていく。
「ここでアクション性の高い出し物の登場か。メリハリあっていいね、単純にタマを撃つだけでも子供は楽しいだろうしね」
スッとウツロが拳銃を構え、片手+斜めに構える映画撃ち。
パパパと連続発射音が鳴り響き、遠方で高速移動を行う超級難易度のドローンに一発命中、まあ多少外れているのも愛嬌という事でカッコいい処を見せた会長であり。
「|ご主人様《ますたー》が良くやってる奴!」
『動いたりしてるときって、その先を狙ったりとか言ってたよね』
「あら、良くわかってるじゃない。動きを覚えてほんの少し先を狙って偏差撃ち……ってやつよ」
あくあとあるまが射撃に関しての教えを口にし、それがどういう名前でどうするのか、を詳しく語るつぼみ。
拳銃を構えた二人に対し、同じくオートマチック拳銃のエアガン構えたつぼみが解説しつつ、ドローンが遠方で上下左右に規則的に動く様子を観察し。
今ある場所ではなく、動きの先を読んで銃口向けて発砲、見事に命中させて実践的に偏差撃ちを見せつけて。
「よし、命中っと」
「わー、すごいすごい、じゃあわたしたちも!」
その動きを真似てあくあとあるまも偏差撃ち、最初は上手くいかないものの二発、三発と撃てば大まかなズレは体で分かり、見事に命中させる事となっていた。
「的当てって事は、いわば、射撃スキルってことは……」
あっ、皆が命中させてる中で見慣れぬ眼鏡の人がスナイパーライフルを地面に置いて伏せている、どちら様でしょうか?
そう突っ込みたくなるが、これはアーネストの前世の姿、らしい。明確にそうだと言えないけど狙撃兵な姿になれるってのは事実であり。
「こういうのは、慎重に行く」
しっかりと落ち着き狙いを定めるアーネスト、であったのだが。
「こういうのつい熱くなっちゃうよね! 普段使わない拳銃使ってみようかな!」
ああああ、子供のようにテンションをアゲアゲな奏斗がすぐそこに!
直感的に狙って撃てば、刀を使うのとあんまり要領は変わらないはず、つまり刀は拳銃と似たようなもんである理論を構築しちゃってチャレンジングに連続発砲を始めちゃった。
これはまずい、集中力がゴリゴリと削れていくぅ!
そして勿論、刀=拳銃と似たようなもん理論で命中精度が上がるわけでもないので割と外しちゃってる奏斗だが、クリアさせる事が目的でもあるので京介がドローン操作。
外すと同時に徐々に距離を近づけて、ようやく命中させることで奏斗も無事クリア、なおアーネストは再度集中して一発で命中させて、神経をすり減らしたのか狼の姿に戻ってへばっていたという。
「はは、皆、やっとるな、それにしてもこう動くと面白そうやな。使い慣れてる弓で……当たるも八卦当たらぬも八卦」
他の面々が次々と成功させる様子を見て感心し、では自分も続くとばかりに彩陽は弓を取り出し矢を番える。
ターゲットは不規則に動く超級難易度、いやその、そんな難易度を運試し的な感じで狙わないでください、そして最後の一人で失敗すると後味が悪いじゃないですか!
そんな絶妙な空気を感じ取った京介、ドローンの操作画面を瞬時に映しコンソールを微妙に動かし位置調整を行って。
「流石に一人だけ失敗、じゃ何とも言えないからな」
バシュッと射抜かれたドローンが地面に落下、見事な操作技術と弓術の合わせ技によって的当てミッションも無事クリア。
「おめでとう、全員クリアだ。スタンプを押させてもらう」
皆がああだこうだ、こうすればもっと命中させやすかったかもと話す中、京介がコントロールルームから出て来て労えば、彼の持つスタンプは交差した二本の拳銃のアイコン。
これにてテストプレイとして設置されたイベントは全て終了、難易度の差はあれど、運営側が調整すればいい感じで皆が名所めぐりをしつつクリアできそうだという事が判明し。
「お疲れ様、それとミッションクリアおめでとう! ってことで景品のお届けだよ!」
参加者が一息つく中、響き渡るはミルグレイスの声、そしてドサッと何かが入った箱が地面に下ろされる音であり。
クリア報酬、景品入りの箱を持って彼女が合流したのである。
では、その報酬とは?
「へぇ、これが噂の景品? あはは、サングラスもしっかり再現されてる~めっちゃ芸コマ!」
自分をモデルにした手乗りぬいぐるみを見て、ウツロが笑い受け取れば。
「やった、パパのぬいぐるみゲットなの!」
「これ、ウツロさんの肩にちっちゃいドラゴンいて可愛いね」
咲乃が大喜びで、手にしたイエドラぬいを掲げれば奏斗も細かい部分に気付き、感想を述べていて。
「これが景品のウツロさんぬいぐるみ? 可愛いわね、後で色々着せ替え衣装作ってあげようかしら」
肩にドラゴンを乗せたぬいぐるみ、着せ替え人形のようにバリエーションが増やせそうとつぼみが言いつつ、どんな衣装がいいものか、と思案する。
ちなみに、景品はもう一種、エンブレムのドラゴンをデフォルメしたバージョンもあり。
「なるほど、ぬいぐるみならこういうアレンジもアリですね」
「皆喜んどるなぁ、俺は色々回れて楽しかったし、またやりたいわな、こういうのは」
「どらごんー!」
『あくあちゃんがそっちなら、わたしは会長ー』
デフォルメドラゴンを見てアーネストが感心したように頷く中、景品も良かったが自分は名所めぐりが出来て楽しかったと彩陽が感想を。
そんな二人のとなりでは、あくあとあるまがそれぞれ別の景品ぬいぐるみを手に、クルクル回って見せあって。
こうして、イベントのテストは無事に終了、あとは細かい部分のブラッシュアップをすれば皆が楽しめるものになる、そう確信したミルグレイス。
いつの間にか仕掛け人であった彩や宵、モルドレッドも合流、打ち上げパーティーとばかりにモンスター料理が振舞われ、イベントテストは終了するのであった。
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