⚡️オーラム逆侵攻最終決戦~ティンタジェル・ブリッジ
⚡️最終決戦:通信網破壊戦

これは大規模シナリオの最終決戦です!
9/15朝8:30までの「戦勝数」に応じて、得られる結果が増えます!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
9/15朝8:30までの「戦勝数」に応じて、得られる結果が増えます!
戦勝数=作戦1〜5の成功シナリオ数÷2+最終決戦の成功シナリオ数
※つまり、現存する作戦1〜5を攻略する事も、勝利に貢献します!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら、全ての結果をゲット!
※到達した戦勝数までの全結果を得られます。つまり戦勝数80なら、全ての結果をゲット!
結果表
戦勝数50:解放地域の拡大(闘技場新マップ「ビーチ」追加)。戦勝数58:オーラム以外のレリギオスに、逆侵攻の事実を伝達阻止。
戦勝数66:👾ナイチンゲール鹵獲。
戦勝数74:今後のウォーゾーン大規模全てに「内部撹乱作戦」を追加。
戦勝数82:各レリギオスが各々に蓄積した『|完全機械《インテグラル・アニムス》』の研究データを全て破棄
●
「人類、そして√能力者達よ。貴君らの活躍、賞賛に値する」
統率官ゼーロットの打ち立てた√EDEN侵攻作戦は完全に瓦解した。
侵攻の要である大黒ジャンクションは陥落。次いで他の地点でも行われていた侵攻の準備も悉くが打ち砕かれた。それどころか、人類を裏切ったと思われていたものたちまでもが内応――いや。彼らは最初から信念を持ち、雌伏の時を耐え忍んできたのだろう。
「人類、そして√能力者達よ。貴君らの『騎士道』を私は認めよう」
白き鎧を身に纏うた機械は崩れ落ちる大黒ジャンクションを見つめながら、静かに瞑目する。自らの|派閥《レギリオス》にの教えに従い参じたこの戦い。然し決意とは裏腹に大局を変えることは叶わず。一方で多くの|敵《・》が魅せた眩いばかりの勇敢が、高潔が、信念が、そして力が――今もまだ目に焼き付いてる。
「なればこそ、人類よ、√能力者たちよ! 見るがいい、我が『騎士道』を!」
聖剣の名を与えた自らの機巧を突き立て、ただ宣言する。
橋の只中で、機械仕掛けの騎士は待つ。自らに挑む誇り高き騎士を。
●
「皆様のご活躍によって、√EDENへの侵攻計画は完全に断たれました」
戦局は大きく動き、√ウォーゾーンの各地で戦果を挙げたことで残すは決着のみ。作戦の最終段階である作戦の一つの内容を、路雪・ひもろは説明し始めた。
「各地で逆侵攻作戦が成功。これにより、潜伏中だった|諜報員《スパイ》の面々が川崎市内に存在する大規模通信網の存在を明るみにしました。それを妨害、破壊することで敵勢力に痛撃を与えること。これが最終目標となります」
続けて手元のクリップボードから資料を配布するひもろ。A4紙に印刷された地図が示すのは、陥落した大黒ジャンクションの周辺地域。
「今回の作戦地点は大黒ジャンクションと接続する、横浜ベイブリッジ。目標は巨大な斜張橋の塔と並ぶよう建設された一対の防波堤灯台に設置された、中継機の破壊です」
地図に引かれたマーカーが指し示すのは、赤く染まった小さな灯台。橋のスケールと並ぶと実に可愛らしいものだが、こここそが最後を飾る目標だ。
「情報によれば――この中継機は、レギリオス・オーラムが他派閥と√能力者との戦闘記録を共有するために、或いは『|完全機械《インテグラル・アニムス》』の研究成果の授受に使用されるとのこと。これを破壊することで、√ウォーゾーンの全機械生命体へ大きな損害を与えることになるでしょう」
しかし、と。ひもろは表情を変えず言葉を続ける。
「現在この横浜ベイブリッジには掃討を逃れた強力な存在が、単独で守備に当たっています。映像を確認してください」
そう言って渡されたタブレット端末に映し出されたのは、剣を携え直立する一体の騎士にも似たロボット。鉄兜にも似た頭部から除く目は爛々と輝き、まるで|何か《・・》を待ち構えているようであった。
「個体名『ナイト・オブ・ラウンズ』。騎士道、と呼ばれる精神的観念を追求する派閥に属する機械生命体であり、ゼーロットの招集に応えた外部戦力のようですが、この状況にあって重要拠点の守備を、ただ一人で継続しています」
既に統率官ゼーロットの羽田空港から叩き出され、撤退を余儀なくされている。にも拘らず、この機械生命体はこの設備の防衛を続けている。
「――敵の思惑は不明。ですが、ここまで残っているだけに強力な相手であることは間違いありません。この存在を打倒しなければ、中継器の破壊は困難、いえ、不可能であると言っていいでしょう」
そう締めくくると、ひもろは集まった√能力者たち一人一人の目を、順に見つめる。
「築き上げた成果によって為し得たこの決着。であれば此度の作戦も成功で終わると、信じております。どうか、ご無事で」
深々と、彼女は頭を下げるのだった。
マスターより

お世話になっております、いえし度と申します。
皆様にご満足いただくべく、力を尽くさせていただきます。
●シナリオについて(重要)
今回のシナリオは、⚡️大規模シナリオ『オーラム逆侵攻』(https://tw8.t-walker.jp/html/library/event/005/005_setumei.htm#05-2)の最終決戦となります。該当ページをご確認いただくようお願いいたします。
また、当任務は『一章のみ』となっております。予めご承知おきください。
一章・👿『ボス戦』
陥落した大黒ジャンクションとつながる橋の一つ、横浜ベイブリッジで待ち構える『ナイト・オブ・ラウンズ』との戦闘となります。
敵は『騎士道』を重んじ、それに順ずる相手には敬意を、反する相手には敵意を向けます。判定に影響はありませんが、お返しするリプレイにおいて敵がどのような反応をするかという目安にしていただけると幸いです。
断章追記はなく、公開と同時に募集を開始いたします。
皆様の参加を心よりお待ちしております。
14
第1章 ボス戦 『ナイト・オブ・ラウンズ』

POW
我、汝等の誇りを識る者
「攻撃を宣言し・防具を脱ぎ・敵の攻撃を弾いた後・正面から・【機巧聖剣エクスカリバー】で近接攻撃する」場合のみ、与えるダメージが8倍になる。
「攻撃を宣言し・防具を脱ぎ・敵の攻撃を弾いた後・正面から・【機巧聖剣エクスカリバー】で近接攻撃する」場合のみ、与えるダメージが8倍になる。
SPD
ブレイブモード
自身の【装備】している【ナイトアーマー】を【金色】に輝く【勇気爆発形態】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
自身の【装備】している【ナイトアーマー】を【金色】に輝く【勇気爆発形態】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
WIZ
ブレイブスラッシュ
【機巧聖剣エクスカリバー】から【無数のビーム斬撃】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【大爆発】して死亡する。
【機巧聖剣エクスカリバー】から【無数のビーム斬撃】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【大爆発】して死亡する。

何の何の何…?
この期に及んで、変わり種が続々と出てくるな…
『統率官』ゼーロットじゃなかったのか?全然統率できてなくない?まあ、良いんだけど…
◆戦闘
よくわからんな。二律背反というやつだ
人類を絶滅寸前まで追い込んだのはお前らだろ?どれだけ生き汚かろうと、文化と歴史が終わる事を良しとせず、懸命に抗い続けている人類に対して正しくあれかしと吹っ掛けるのは傲慢過ぎるぜ
今を生きる人々を侮辱する様な真似はいただけないんじゃない?
インビジブル融合と偽物の臓器で継戦能力を強化
切り込み+ジャストガードでエクスカリバーの斬撃をブロック
ダッシュ+バーサークで超加速に対抗する。怪力+重量攻撃の乱れ撃ちを浴びせて弱体化狙い
巨大な骸骨にも似た|翼竜《ガルーダ》の背から降下し、肩を回しながら目の前の騎士然とした機械兵の前に立つ、一人目の戦士。
(……何の何の、何?)
着地の隙も狙ってこない、こちらが武器を構えるまで待ち構えている相手に、二階堂・利家(ブートレッグ・h00253)は片眉を上げるのだった。
「来たか、√能力者。待ちわびたぞ」
お互いの攻撃が届く範囲内になって、漸く口を開いた白騎士ナイト・オブ・ラウンズ。それに対して利家は、そして呆れを込めた台詞を吐く。
「今を生きる人々を侮辱する様な真似、騎士としてはいただけないんじゃない?」
眼前の鎧が語る、騎士道とやらはわかった。一方でこの|√《せかい》の人類は弾圧され、絶滅寸前にまで追い込められている。外ならない、機械生命体たちによって。
だというのに、高潔な精神だの正しさ理想理念なんかを押し付けるような物言いは、傲慢以外の何物でもない。お前の言葉は根本からねじ曲がっている。そう突き付ける利家。
それに対して、騎士は応えた。
「――貴君ら人類の矜持は認める。生存のための泥臭さも『諦めない』という強く尊い信念の表れ。否定などしない」
そう言って頭を振る。然し手にした剣の切っ先は迷いなく、青き瞳に向けられた。
「だが、私は機械生命体のための騎士。我らの生存のため、貴君らは敵。敬意はあるが、さりとて生存競争を譲るつもりはない」
そうかい、と。
返答として投げかけるでもなく、白い毛並みが海風に揺れた。
これ以上の問答は不要だろう。必要なのは対話による納得や相互理解などではなく、向かい合った以上、結末は一つなのだから。
見合い、どちらが先に動いたのか。それを捉え切れたものはいない。
突如として、巨大な剣同士が激しくぶつかり合う音が響くのが、死闘の合図だった。
即座に自らの|能力《ちから》を解放した黄鎧と、白衣。二つが橋の中央で鎬を削り合う。
金色の鎧へと変じたナイト・オブ・ラウンズが繰り出す間断なき連続攻撃を、利家は的確に捌いていた。彼の刃が振るわれる軌跡が紅く染まるのは、彼が流し込み続ける竜漿の力によるものだ。
互いの武器が激突するたびに橋は反響によってうわんうわんと悲鳴を上げ、衝撃によって橋を支えるワイヤーは大きく揺れる。暫くの間、互いの力は拮抗しているように見えた。
「……く!」
しかし先に音を上げたのは、機械仕掛けの騎士。確かに強化されたはずの自らの刃が、遅くなっている。なぜと言葉を漏らすよりも前に、その兜が強撃によって罅割れた。
彼が自身の武器に纏うた力は自身を高めるものだけではない。敵の力を削ぎ落すための力もまた、同じ位に練り籠められている。
騎士の戦いに毒は無粋だと言うか。絡め手を用いるは騎士の恥か。
敵を前に、手段など選ばない。強者を打ち倒すために力を注ぐこと。
「これが――抗う力だよ」
彼の手にした巨大な刃が主の血を受け歓喜に震える。竜を屠る鈍重な塊は、戦いの最中で磨かれ今や万魔を|滅《ころ》す処刑人の剣となった。内側から己を爆ぜさせるほどの赤き力を解き放ち、剛力を持って鍍金の鎧を叩きのめす。
|屠竜騎士《ドラゴンスレイヤー》。彼の誇りは上辺の作法などでは、ない。
🔵🔵🔵 大成功

真正面正々堂々と|決闘《デュエル》じゃ!
「ふぉふぉふぉ、騎士道じゃな。わしにも似たようなモノがあるわい。いざ!デュエルじゃ!」
尻に悉鏖決戦大霊剣挟み込みデッキからカードをドロー!
「よし、『仙術、決着の刻』じゃー!」
必滅の|決《ケツ》意をチャージしながら
相手の勇気爆発形態に己の限界突破した怪力の尻剣を振るい果敢に挑んでみるわい
傷付きながらも短く長い60秒経ったかの?
「ならば!しかと受け止めてみるがよい!仙術・決意撃じゃー!」
チャージした必滅の決意を今までを受けた傷を倍返しにと、己の得物に乗せて鋭く一閃してみようぞ!!
「どうじゃ?わしの|マイ・ウェイ《仙人道》もなかなかのもんじゃろう?」
●
敗戦を喫してなお、騎士は不動であった。ひびの入った兜の中から、なおも戦意に満ちた目を輝かせる。そして、戦場の奥。橋の対岸より歩き来るものの姿を見るだろう。
金色の着物に緑の帯を締め、煙を纏うて滑り来る姿。蓄えた髭を撫でながら、禿頭の仙人|中村《なかむら》・|無砂糖《むさとう》はふぉふぉ、と笑いを漏らした。
「騎士道じゃな。わしにも似たようなモノがあるわい」
楽し気にしながら、その腰に下げた霊剣を抜き放つ。『ナイト・オブ・ラウンズ』は、相対するこの老人が只者ではないことを直感していた。立ち振る舞い、精神的余裕、そして何より真正面から向かい合うだけの実力を持つ、強者であると。
だが、対面した老人は、何を思ったか巨大な刀の持ち手を自身の尻に挟み込むと同時に、腕に装着した未知の機械に札状に切りそろえられた紙束を装着。
尻で器用に刀を支え、腰に捻りを加えた状態で白騎士を見ながら、腕の機械からカードを一枚引き抜いた。
「さあ――わしと|決闘《デュエル》じゃ!」
奇行。その二文字を置いて他に表現のしようがない行為に白い騎士は恐らく顎部ユニットが存在したら|脱落《パージ》されているくらいの衝撃を受けた。
……しかし、尻に挟み込まれた刀が纏う力、脅威度は数値上でも倍々に増えている。となればそれが、この老人の操る武技の神髄ということなのだろう。理解に苦しむが、それは侮る理由にはなりえない。√能力者、その層の厚さは無限大であるのだから。
「その申し出を受けよう。我が全霊を以て、いざ!」
再度その身を黄金に変え、迅速なる連撃を持って制しようとするナイト・オブ、ラウンズ。巨大な大剣が、背を向けている状態の老人に到達――。
|しない《・・・》。
「これは中々。じゃが、まだ甘いのぅ」
腕を組む無砂糖。余裕を見せるのは両の手が空いているが故。だが、一方でぶつかり合う太刀筋は柔軟さよりも堅固に力を乗せたもの。いなすのではなくぶつかり合う。真正面からがっぷりよつで組み合う、文字通りの押し合いを、無砂糖は選択した。
「く、ォォォッ!」
「ずぇりぁあっ!」
黄金の聖剣を手にした騎士が吠え、黄衣の霊剣を尻に挟んだ仙人もまた応える。互いの刃がぶつかり合うたびに火花が散り、そのたび互いの武器を握る力が高まる。死力を尽くしぶつけ合う攻と攻。負傷を厭わぬ戦いは、騎士の体表を削り、老人の煙のような体を掠める刃もまた、霞ではなくその魂に刃筋を当てていた。
長い、長い仕合。
――膝をつくのは、騎士であった。
纏った黄金が剥がれ、地の白に戻りゆく中。眼前に立つ老人の身体は逆により鮮やかな光を伴うものへと変化している。自分たちが演じた死闘こそが、彼の操る術の効能をより高めていた。
「……なぜ、真正面から来た。貴君なら不意を衝くのも余裕だろう」
ふと、騎士はそう問う。正直に言えば、自身の騎士道に付き合う道理など√能力者にはない。それに自分は落胆し、敵として容赦なく断ち切るだろう。
しかし眼前の老人の実力は凄まじい。絡め手であっても問題なく、むしろ楽に熟せたはずだ。だが手傷を負ってまで、なぜ。
「そりゃ、その方がワクワクするじゃろ?」
老人は、一切の気後れも躊躇いもなくそう答える。
珍妙な武芸。合理的とは言えない戦術。しかし、彼は全ての戦いを間違いなく楽しんでいた。自分がやりたいこと、そしてやるべきことを違える事無く全力で|満喫《エンジョイ》する。そんな心意気が、彼をここまで導いた。
「ではその身でしかと受け止めてみるがよい! これこそ|仙術・決意撃《ケツイノイチゲキ》じゃー!」
丹田より生じた彼の闘気、胸に宿る決意。そしてその身に刻まれた傷でさえもが集約された一刀によって生ずるのは、さながら龍。一撃必中にして最大最強の奥義は、まさしく戦いの|決《・》着に相応しい終|結《・》の一撃となった。
騎士へと振り返り、無砂糖は親指を突き立てる。戦いの中で浴びた傷の痛みが遅れてやってきてもなお、彼の表情は自信満々な笑みであった。
「どうじゃ、わしの|仙人道《マイ・ウェイ》も、なかなかのものじゃろう?」
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ連携〇
騎士道を重んじるロボットと戦うのか
聞いた感じだと目を爛々と輝かせながら待ち構えてるんだよね
だったら正々堂々と正面から行こう
このロボット、今まで会った敵とだいぶ違うな
ちゃんと真っ直ぐな気持ちが伝わってくるし
譲れないものがあるというのも感じられる
でも、それは僕達も同じだ
ここに来るまで実験台になった人達や利用された人達を見てきたし…
あんなのはもう見たくない
ウォーゾーンの人達を守る為に全力で行きます、と伝えて
血液貯蔵瓶の血をギョロにかけて、戦闘態勢に入ろう
戦闘に入ったら真剣に向き合って戦う
世界の歪みと異形の腕で耐え抜きながら
怪力状態の【残光の軌跡】で攻撃の手を休めず全力をぶつけよう
●
膝をついた騎士は再び立ち上がった。度重なる傷を負いながら、自らの役目を果たさんとするその目の輝きは失われない。
「――貴君も、決闘を望むか」
そう語る騎士の前には、音もなく一人の男が立っていた。
黒いスーツに身を包み、赤い髪を靡かせながら。|赫夜《かぐや》・リツ(人間災厄「ルベル」・h01323)は相対した白騎士を見上げていた。自身に向けられた言葉に彼は静かに頷き、自身の手袋を外す。
硬質な異形に包まれたその左腕、手の甲に刻まれた半月上の裂け目ががばりと開き、赤黒い眼光が目覚める。無二の友にして、彼の戦いを共に駆け抜けた相棒。異形の腕のギョロに、彼は小瓶に納めた赤い雫を垂らした。
直後ギョロの眼球は零れ落ちる程に強く見開かれ、同時に彼の前腕に留まっていた異形は大樹が罅割れるようなメギメギ、という音と共に肩にまで侵食する。
細身の体躯の半分近くが異形に覆われたその姿へと変わるまでを。白騎士は一切目を離さずに見届けていた。
「何が、貴君をそうまでさせる?」
――再び、白騎士は問うた。
リツは、短く息を吐きながら。目を閉じる。
彼はこれまでいくつもの戦いに参戦してきた。人体実験の施設を目の当たりにしたり、過酷な環境で身を寄せ合いながら生きていた人々の反抗を手伝った。そして機械生命体によって改造された人物や、裏切り者として機械生命体のために戦うしかなかった人物をも目の当たりにした。
「あんなのは、もう見たくない」
怒り。悲しみ。不安。彼の内側で渦巻く感情で震えるギョロと、その下にある自分の拳をも押さえ付けながら、リツは顔を上げる。
「だから僕は戦います。ウォーゾーンの人達を守る為に、全力で」
「――良い。ならば来るがいい、人類!」
彼の真っ直ぐな眼差しを受けた白騎士は、その鎧を黄金に染め上げ、三度剣を振るう。それにぶつかり合うのは、|深紅《あか》い残光。
高速と高速。光と光。同種の力がぶつかり合うようでいて、その構図はまるで違う。自らの抱く信念や正義を元に光輝を纏って自らを高める白騎士。その一方で荒れ狂う内なる力を押し留めるかの如く瞳から放ち、敵の攻撃を肥大化した怪腕と自らの纏う不規則な世界の歪みで以て押し留めながら戦うリツ。
死力を尽くすのは同じながら、それでも矜持を纏うものと、矜持を内に燃やすもの。
覚悟の大きさに差はなくとも、それでも決着の時は訪れる。
騎士の刃が自分に向かったその刹那。リツは跳躍しその剣身へと飛び込むようにして身を翻す。青い聖剣にその足をかけた瞬間に、彼の片目から激しく血の涙が溢れ出す。
――既に、皮膚の一部と背中を捧げた。撒き散らされた血液を喰らい、一層に烈しく身を捩らせ、より鋭利にとがったギョロがリツに吼える。
殺せ、でも。引き裂け、でもなく。
ただ、『勝て』と。
「う、お、ぉぉぉぉォッ!」
喉が張り裂けんばかりに放つ自らの暴を解き放つ叫びと共に、赤い軌跡が剣を駆け抜け、腕を伝い、その黄金の胸倉に叩きつけられた。鎧の胸飾りを落ち窪ませる一撃を受ければ、その地点を中心に騎士の黄金がばらばらと崩れ落ちていく。
……友情、そして覚悟。どちから一つが欠けても為し得ぬ勝利を手にしたリツは、勝ち名乗りを上げるでもなく、ただ自らの戦いをやり切ったという確かな充足と、庇う様に自分を支えるギョロに抱かれながら、戦場から離脱した。
「――見事、見事なり」
騎士は追討を選べない。ふらつき、剣を支えに立つ無様なれど、ここでの守護を続けるために。
そして、自らと戦ったまた一人の勇士の活躍に、ただ賞賛を贈りながら。
🔵🔵🔵 大成功

※アドリブ、連携歓迎
ここは…成る程、最近皆が慌ただしかったのはこれか。(ぼんやり空見て歩いてたらうっかり√迷い込み)
知ってしまったなら、見過ごせない。俺にも手伝わせてほしい。はは、どのみち一人じゃ帰れないからな。
事情は分からないが、随分と覚悟と信念のある敵のようだ。そういうのは嫌いじゃない、が、その分厄介でもあるんだよな…。
双斧に【祈り】を捧げ、構える。
【武器受け】で攻撃を受け、受けきれない一撃は【見切り】かわしていこう。
隙があれば砂なりの目潰しや、中継機自体に攻撃できそうだが…いや、やめておこう。何となくだが、真っ直ぐぶつかりたくなってしまった。
はは…悪いな、能力者じゃないから、満足いく相手には程遠いだろうが…【なぎ払い】や、体重と回転のせた【重量攻撃】を叩き込んでいくぞ。
自身の強さに対する自信か、最後まで果たすという忠義か、誰かとの約束か。それとも…気高く戦い散りたいという願いだろうか。
…だから厄介なんだ、強い想いはなかなか折れないから。気を抜けばこちらまで飲み込まれてしまうから。

アドリブ共闘大歓迎
フォロー念頭に置く
いつもの仕事と同じように
目標は誰一人欠けずに帰還
キミみたいなタイプ、僕は結構好きだよ
サシでやれたら、と惜しくも感じるけど
命運かかってるから手堅く
僕たちの持てる全てで、いざ
√能力使用
スピードで撹乱、可能なら囮も
ある程度の攻撃はオーラ防御で捌く
見切って隙が出来たらカウンターで攻撃を
狙うは関節部の切断
優先は脚>腕
これで此方の攻撃が通りやすくなるかな
アリスさんは煙雨での援護射撃を指示
相手が攻撃するタイミングで撃ち込んで嫌がらせのように立ち回って欲しいな
人類も、案外やるもんでしょ?
●
騎士の前に、また新たに現れる戦士。
――紫陽花にも似た淡い髪色に、金色の瞳。携えた直刀に手を掛けながら、くゆらせる紫煙を吸い切りながら、肩を竦める。
|斯波《しば》・|紫遠《しおん》(くゆる・h03007)は敵を前にして独り言つ。
「キミみたいなタイプ、僕は結構好きなんだけどね」
自分一人で裁量を決め、好きに動けるのならばサシの真剣勝負をしてもいい。そう思うくらいに、この正々堂々とした相手には好感を覚えた紫遠。
しかし、そうはいかない理由がある。この戦いもまた世界の命運を決する一端を担う以上、手抜かりは許されない。肩の力を入れすぎてもいけないが、力の入れどころ、真剣にことを運ぶべきところを見誤ることがあってはまずいと。
彼はしっかりと、そのへんを心得ていた。
|騎士《てき》が、身じろぐ。それに合わせ柄を握ったところで、視線の向きを悟った彼は振り返った。
その先には、|三人目《・・・》の姿があった。
一度目をぱちくりとさせてから、困った、或いは納得したように眉を下げ呟く声。
「成る程、最近皆が慌ただしかったのはこれか」
眼鏡の智を親指と人差し指で持ち上げると、エメラルド色の瞳は空から正面へと視線を正し、迷うことなく橋の上で直立する巨大な鎧へと進む。
ゼロ・ロストブルー(消え逝く世界の想いを抱え・h00991)。|√《せかい》を跨いでしまった、能力を喪った人物であり、そして今戦場に立つもう一人とも、決して知らぬ中ではない。
どうして彼が、この場所へ導かれたのか。運か、縁か。
いや、やはりそれは、空に誘われたからなのだろう。
「――お前は、戦士か?」
そうして、紫遠のすぐ傍にまで近づいたゼロに向けて、ナイト・オブ・ラウンズは静かに言葉を発する。それは、半ば警告に近いもの。
言外の意図は、明白だった。
それに対してゼロは紫遠にちらと視線を投げかけたのちに、肩掛けのバッグから一対の|それ《・・》を取り出した。青く澄んだ空の如き刃がまず目を引き、そして握りから斧頭までが一体とった金色。磨き抜かれたそれを見て、騎士は目を閉じた。
「非礼を詫びよう。貴君もまた、誇り高く戦おうというのだな」
そして、騎士は剣を大地から引き抜いた。
「斯波さん。また、お会いましたね」
「そうですね。ここじゃなければ……またゆっくりお話しできたんですが」
いつかの街角で出会った二人は、そう短く言葉を交わした。
……言葉の通り『この場』でなければ。また二人は共に様々話に華を咲かせることもあっただろう、だが。
「俺にも手伝わせてください。はは、どのみち一人じゃ帰れないですから」
「勿論、頼りにしてますよ。――誰一人欠けず、僕たちの持てる全てで」
片手をコートのポケットから引き抜き、両手で以て刀を正眼に構える紫遠。
武器を握ったまま、対の刃を重ね合わせながら額を当てたのちに祈りを捧げる。それが終われば、ゼロの視線は真っ直ぐ騎士へと向かった。
「来い、戦士よ! 我に挑め!」
聖なる剣を模した兵器の刀身が淡く輝いたかと思えば、斬撃は光波を伴い振るわれる。WZよりも高い背丈とそれに合わせた巨大な剣。サイズの差はそのまま飛来する光波の範囲にも影響を与えている。
左右に分かれた二人は、夫々異なる動きで自身の|距離《レンジ》に迫る。
狗神の力、それを己に憑依させる形で纏うた紫遠。宿怨の鈍重な気を放ちながらもその足取りは疾風の如く。アスファルトは蹴るたび罅割れ、空をさえ駆ける。
一方でゼロもまたアスファルトの上を転がると、すぐさま敵に近付き大振りな剣の内側に潜り込むことで自動的に攻撃を避けようと試みるだろう。
「躱すか、ならば!」
感嘆。或いは歓喜。
好敵手と認めた二人の戦士に向けて、手向けのように。繰り出さんとする二度目の攻撃は、空間全体に拡がり切り裂く無数の斬撃。網の如く放たれた光の檻は、『弱い方から狙う』や『強い方から削る』といった小賢しさはない。
同時に、仕留めるためのものであった。
だが、その網が完全に縫い上げられるその寸前で、頭上より降り注ぐ異なる光が目を潜り抜けて騎士の肩を撃った。
はっと見上げれば、地を駆ける二人に奪われた視線の死角で待機していた無数のビット。極小の大隊が動くことで霧や煙にも見紛うそれらは、技を繰り出す最中に見せた一瞬の隙を見逃さない。
「悪いね」
短く、謝罪の言葉が騎士に届くのは、その片腕が切り裂かれた直後。
関節部に立てられた刃は腱となるワイヤーを切断するまでには至らないが、燃え盛る宿痾の白炎が白騎士の鎧の袖に絡みつき燃え上がれば、完成しかけた殺人領域は、穴だらけの未完成となり果てる。
であれば。
それを躱すことなど、能力に頼らずとも叶う。奇跡を引き寄せるのは決して、異能の力だけに留まらない。
積み重ねた鍛錬。踏みしめた戦場の土の数。それらが今、翼となってゼロ・ロストブルーの背中を押した。
彼は思う。自身にかつてあった|異能《もの》はない。だが、だとしても。抱く決意や覚悟が鈍ったことはない。
もし自分が全盛なら、などと過るのも、機械仕掛けの白騎士の熱量に当てられたのだろうか。
忠義か、約束、それとも願いか。かの騎士と語り合えばわかることかもしれない。インタビューでもできたのならば、また違った形で出逢ったのならば。
感傷的な想像が一瞬で駆け巡り、だが、優し気な眼差しが引き絞られ、戦士の相へと切り替わる。心の刃が断ち切るのは、その心を覆う天幕だ。
呑まれるな。それは、今為すべきこととは違う。今自分が果たすべきことは。
(彼を、断ち切ることだ――ッ!)
革靴が地面を踏みしめれば足裏に感じる摩擦の熱。
踏み込んだ大腿が限界まで張りつめる感覚と、武器の手応え。
身体を捻り対斧で薙ぎ払う一撃に、激情、熱量、重量、その全てを叩き込めば、大樹の如きその脚部には深々と傷を与えるだろう。
きっと|騎士《かれ》は折れない。最期の時まで、その心が倒れることはないだろう。ゆえにそれに真に応えるのならば。その一撃に、緩みは決して赦されないのだから。
ぐら、と。身体が傾くその刹那。
騎士は見るだろう。回避、不意を衝く援護射撃、武器を取り落とさせる小手打ち。
そうした立ち回りだった男が、深く身を沈める姿を。
――大きく、大きく息を吸う。
影響されてしまったのかと、自嘲するところか。しかし。
身を賭し戦い、そしてこうして肩を並べた相手にも見せられる。
宿怨をただ燃やすのではなく。宿怨を用い――空を、未来を、晴らすことを。
居合一閃。白の焔を振り切った弾散る刃が映し出す、軌跡の残光はチャロアイト。紫と白とが混然一体となった波打つ輝き。
装甲を徹す必殺の一撃が放たれるまでを見届けた騎士へ。
紫遠は言う。共に戦った|戦友《ゼロ》、ここまでに訪れた同胞、そして、この後に続く戦士。そして、己を。きっと忘れることのないだろう騎士へ。
「|人類《ボクたち》も、案外やるもんでしょ?」
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

アドリブ絡み諸々歓迎
ワタシの探し求めていた騎士さんがこんな所に居るとは思いませんでした!
このワタシも騎士として日々精進する身…胸を借りる気で行きます!
騎士とは耐え忍び護り抜く者…そう聞いたような気がします。なのでアナタの攻撃を耐え抜きます!あえて!
この間は行動が困難になりますが…ワタシには頼れる|複製頭部《ワタシたち》が居ます!この頭からのビームや体当たりで少しでも押さえつけます
そしてチャージが溜まり次第ワタシたちとの共同攻撃です!
さあこれがワタシの騎士道です!今度はアナタの騎士道を教えてください!
そうですね…具体的に騎士道って何なのでしょう?本物の騎士さんに会ったら聞いてみたかったんです。
●
なおも橋の上に立ち、守護を続ける騎士。傷つき、ところどころから火花を散らす中であっても、直立する姿勢は崩さない。
そんな白騎士の前にやってくると、輝く眼差しを向ける――|複数《・・》の同じ顔。皆一様に感動をありありと浮かべながら、口々に「本物だ」と呟く。
普段着の手足に西洋騎士が如き馬上防具。手にした|馬上槍《ランス》は身の丈と同等の長さ。それでも快活なファッションに身を包むがゆえにどことなく年相応な活発さが表に出る、金髪の少女、エーファ・コシュタ(突撃|飛頭騎士《デュラハン》・h01928)。
――ナイト・オブ・ラウンズ。彼にしても、その目は予想外だった。
あくまで己は機械生命体の騎士。そうであると思い戦い、そしてそうあれかしと振る舞ってきた。故に人類にとって自分を見る目は畏怖と憎悪であり、そうでないものを向けられるのは初めてのこと。
とはいえ、ここに来た以上は彼女も己と戦う戦士。であれば、それに応えることこそ礼儀とばかりに白騎士は剣を掲げる。そうすれば感心するようにエーファもまた「おお!」と言葉を漏らし、自分も槍を掲げた。宣誓にも似た行為に倣う様に。
そして始まるのは、死闘であった。
四度金色を宿しながら、その輝きは衰えることなく。尚も強まる騎士の勇。それによって音を超え、光にすら届き得る高速の斬撃。
「ほう?」
しかしそれを、エーファは相殺するのではなく、防ぐことを選んだ。
槍で受け流しながら目を閉じ、その奥で光を溜め込む。その一方で首より上しかない彼女の分け身が如き浮遊する|顔《・》たちは、けなげに応戦し少しでも勢いを和らげんとするだろう。澄んだ青い瞳から放つレーザーと文字通りの『頭突き』による防衛は、奇妙なシュールを醸し出しながらも、懸命な表情はまさしく折れぬ心の|強靭《つよ》さの証。
機械仕掛けの白騎士は、奮闘を崩さんと連撃をなおも繰り出すだろう。それでも耐えるエーファ。耐えて、耐えて、耐え続けた。
「『騎士道とは耐え忍ぶ事』……そう何処かで聞きました!」
そして、六十秒。黄金の騎士の持ち時間が尽きるのと同時に、彼女の溜め続けた輝きが満ちる。
これまで守りに使った槍をぐおん、ぐおんと回し、尖端を騎士に向けると、それを合図に必死に防衛を行っていた締めて三つの顔が、一斉に騎士へと再度視線を集め、槍が放つ極大のレーザーに併せて回転しながら目からの光線を合わせて斉射すれば、金色に青の螺旋が伴いながら白騎士へと殺到するだろう。これこそ絶技、|守護騎士の反撃《エンチャントビーム》である。
勇気を爆発させる黄金の形体は、攻め手を増やす都合上防御に粗が出る。それが崩れた今、白騎士は回避を行ってもいいはずだった。しかし、騎士は敢えて――それを防ぐ。
騎士剣を前に、剣の腹を盾に見立て、光線に躊躇うことなく身を晒した!
「お、おぉおおおおお!!」
「うりゃ、ぁぁぁあああああ!!」
二人の騎士の咆哮が木霊する。
十秒、それはエーファが耐え抜いた時間の六分の一に過ぎないが、どちらにとっても永遠に感じられたことだろう。
肩で息をするエーファに対して、光線を受け切った白騎士。しかし、その鎧は甚大な被害を受け、大きな罅がそこかしこに見受けられる。それでもなお倒れずにいるのは、気骨によるものか。
「ど、どうですか! これがワタシの騎士道です! 今度はアナタの騎士道を教えてください!」
ところどころに疲れの呼吸を挟みながらも、彼女は言った。
|騎士道《・・・》。自らの一族の映画を取り戻すためそれを志した彼女には、それがどのようなものか、その具体的なイメージがごっそりと欠落していた。ゆえに、本物の騎士に訊ねたかった、と。
それを聞いたナイト・オブ・ラウンズは、笑うだろう。
まさか、自分を最初に『本物の騎士』と呼ぶのが機械生命体の同胞ではなく、人類の少女だとは!
……そして、ひとしきり笑った後に、白騎士は言うだろう。
「私は、真なる騎士ではない。そうあろうと、藻掻いているだけだ。そしてそれは、貴君も同じなのではないか」
その問いに対して、エーファは激しく頷いた。
「は、はい! その通りです! ですからですね――」
その騎士道というのの答えを。そう続けようとしたところで、時間が来るだろう。
「――見事だ誉れ高き戦士よ、√能力者、いや勇敢なる騎士エーファ・コシュタよ!」
去り行く彼女の姿へ、万感の思いを込め、白き機械の騎士は彼女を称えるだろう。
だが具体的な『これ』という情報を得られなかった彼女が果たして納得するのか。
……そして、自分を確かに騎士と認めた相手を覚えていられるのか。
それを知る者は、未だいない。
🔵🔵🔵 大成功

蜚廉の旦那(h07277)と共闘!
ゼーロットも尻尾巻いて逃げたってのに、たった一機で最後まで抗うつもり?イイね、そういうのは嫌いじゃないよ。お互い恨みっこなしで全力で戦おう!
旦那の気配で満たされた場を活用して、騎士に接近。捨て身の一撃による打撃を打ち込んでいくよ。私への斬撃は旦那がいなしてくれるはずだから防御に意識は割かない!
敵√能力には、こっちの√能力で対抗!
相手の能力を無効化して、打撃からの拘束、そして刻印拳で弱点を作り出す!
「騎士道精神に則って教えてあげる。その刻印は今、ナイトくんにとってのウィークポイントになってるから。だから旦那――あとはよろしく!」
最後は旦那と騎士の決着を見守ろう。

サン・アスペラと(h07235)参加。
穢土潜行で地を掴み、気配を広げる。
正面に立ち、あえて敵の視線を我へ縫い止める。
「騎士よ、誇りを示すというなら、我も応じよう」
外殻を擦らせ金属音を散らし、威圧と迷彩を重ね気配を乱す。
斥殻紐で退路を狭め、跳爪鉤と殻突刃で攻撃の気配を揺さぶる。
甲殻籠手に力を込め、重量攻撃とグラップルで軌道を逸らし、サンへの斬撃を逸脱させる。
「見事だサン。その働きに応えるため、我もこの拳を尽くそう」
敵の剣閃が迫れば、時間稼ぎとフェイントで受け流し、サンの刻印拳を守り抜く。
刻まれた印を逃さず、渾身の无二打を叩き込む。
貫通攻撃を重ねた一撃で、誇りを持った騎士を正面から打ち砕こう。
●
――騎士は、なおも立つ。
多くの戦いを受け、そしてその意思、矜持、覚悟を見届けてきた。
だが、それも終わる。
次が最後になる、と。
そして、二人の戦士が、騎士の前で歩みを止めた。
「|統率官《ゼーロット》も尻尾巻いて逃げたってのに、たった一機で最後まで抗うつもり? イイね、そういうのは嫌いじゃないよ」
海風に靡く桃色の束ね髪の美女。しかし容姿以上に際立つのは漂う『気』と、何よりも楽し気ににやりと笑う不敵な笑みだ。爛々と若木の如き新緑の緑の瞳を輝かせ拳を打ち合わせるのは、サン・アスペラ(ぶらり殴り旅・h07235)。
「騎士よ、誇りを示すというなら、我も応じよう」
全身を覆う暗褐色の外骨格。異質なシルエットは人間のそれとは大きくかけ離れている。背に負った甲羅の如き鞘翅を開き、透き通った後翅をヴヴと震わすのは、内なる戦意の表れか。名を、|和紋・蜚廉《わもん・はいれん》(現世の遺骸・h07277)。
並び立つ、全く異なるいで立ちの二人。
しかし確かに共通することがある。二人は闘士であるということだった。
「――最期に、相応しい相手だ」
肌を震わす二人の気配に、騎士は背負ったマントを脱ぎ棄てる。
「我が名はナイト・オブ・ラウンズ! 機械生命体を守護する騎士――そして、汝等の誇りを識る者也!」
名乗りに応えるは、黒き闘士。
「生き残る者こそ適者であり強者。我、武を極めし者。和紋蜚廉――我が名と共に我が力と覚悟を知れ」
大きく翅を広げ、自らの存在を誇示するが如く、戦いの構えをとる蜚廉。周囲に満ちる巨大な気配は、白騎士の視線を釘付けにするだろう。いや、正確には目を向けざるを得なくする。機械仕掛けの身体が持つ様々な計器の反応が、全て黒の気配に塗りつぶされたのだ。頼れるのは目視のみ、となればまず原因であろう相手に会う他ない。
更に蜚廉の背後でぬたりと光を弾く無数の粘糸。それらは今彼の放つ気配の領域の内外を区切る線となった。振り切ろうと背を向けることも叶わないだろう。
――見合う中で空気が張り詰め、破裂寸前にまで至る、その寸前。
その均衡を崩すのは、影に潜んでいたもう一人であった。
「ッ!」
「ハハ! お見事!」
寸前で剣を盾にその拳を受け切る騎士に、一層笑みを深めるその影はサン・アスペラだ。一切の躊躇いなく徒手にて至近距離へと踏み込み拳を叩きつける。
不意打ちの一撃を防がれた以上またも影に戻るのかと思えば、彼女は後退を選択しない。寧ろ危険な接近戦を継続してくるではないか。籠手より放たれたワイヤーによって動きを阻害しつつ自身との距離を離されぬよう至近距離に留めおき、乱打によって反撃を制する。
その一撃一撃が外装を削り取る威力を持ち、その威力の大部分は彼女の技巧こそが為すものであり、武技の冴えは装備のようには奪えない。
だが敵も、自らの防御をかなぐり捨てた攻めをそのままただ甘んじて受け続けるつもりもなかった。
「|無礼《ナメ》、るなッ!」
胸部に炸裂したサンの一撃を利用し距離を離し、すかさず反撃を行う。レンジを維持するため追った彼女では避けられないカウンター。それは間違いなく必中の刃となるだろう。
「――それは、徹らん」
それはもし、彼女が一人で戦場に立っていたとすればだが。
厚い脚の膝から突き出すは殻突刃。跳爪鉤を以て加速した跳躍で割り込む蜚廉が、振り下ろされた剣の軌道をかち上げる。
注視するモノが切り替わることで『目視』の情報のみに集中していた騎士は、乱入したサンの動きも又『目視』で追ってしまう。そうすれば、たとえ他の機器による観測が復活したとしても、絞られたリソースによる集中が持続してしまう。
目を閉じることで聴覚が鋭くなるというのなら。目視にのみ没入させることで他の感覚への意識を鈍らせる。
二重の晦まし。阿吽の呼吸が生み出した、二つの幻惑であった。
「それからもいっこ、|騎士道《・・・》精神に則って教えてあげる」
そして、腕を組みながら言葉を続けるサン。彼女が指さすのは――最後に騎士が距離を離すのに活用するため、敢えて受けた胸部の一発。
「!?」
そこには奇妙な刻印が浮かび上がっている。そう、彼女は既に仕込みを終えていたのだ。
世界を旅し編み上げた闘技が一つ。ルートブレイカーによる相手の異能を無力化し、ワイヤーによる捕縛の後に繰り出す奥義、刻印拳。
「その『刻印』は今、ナイトくんにとってのウィークポイントになってるから」
相手に悟られず叩き込まれた消えぬ烙印。柔剛問わず、如何なる敵にも必死の一点を生み出す力。万物に落陽を齎すその技の名は、《|夕暮れ《サンセット》》。
「――成程」
騎士は、理解した。
……己に足りぬものを、敵の中に見た。誇り、覚悟、力。それらを持つものたちと戦うことで、それらを得るべくこの橋で待ち受け、迎え撃った。
だが、それよりももっと確かに、自分が持ちえぬものを漸く悟ったのだ。
仲間、絆。それこそが、己に足りなかったのだと。
そして襷を渡された蜚廉は、固く拳を握り締める。
捨て身を以て生み出された弱点、この戦場へと共に降り立ったサン・アスペラの献身に。騎士と戦い損耗を与えたすべての同胞に。この戦場で戦い抜いたすべての戦士に。
その意志に、応えるために。
向かい来るは、満身創痍ながらも冴えわたる剣技。構えを解かず歩法と僅かな身体の揺れにより狙いをぶらすフェイントだけで避けきらんとする蜚廉。
一点、ただ一点を、撃ち抜くために。
「オ、ォォォッ!」
唸る排気とモーター音、それに譲らぬ意気軒高の叫び。振り下ろされる刃に、聖剣云々の強化はなく。ただ純粋なる勇猛と全霊を乗せる。
「――破ッ!」
そして、それを正面から――彼の武が打ち砕いた。
両手で剣を握るその合間、右手の合間に滑り込む様にして半身を潜り込ませ、胸部の紋章の中心に繰り出される肘撃。関節部に仕込まれた刺突の刃と共に、鎧の騎士を貫くだろう。
……騎士の瞳から、光が消える刹那。ただ、小さく言うだろう。
「見事だ」
それを聞き届けたのは、恐らくひとりだけだろう。
そして騎士地に伏し、二度と立ち上がることはない。沈黙の中で、大きく息を吐きながら降ろした蜚廉の腕を、途中で妨害するように掴んだサンはそのまま高々と持ち上げた。
決闘には見届けが。そして勝者を示す必要があるのだから、と。
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横浜ベイブリッジ。
巨大な橋に陣取った白騎士は倒れ、これにより機械生命体にとって重要な中継機の役割を果たした二つの灯台は解体された。人類の下にこの場所が戻った後ならば、再建の計画も立つだろう。
悠然と佇む橋は、この場で起きた戦いのすべてを知り、しかし口を開かない。
海より吹く風が一際大きく吹いた後。
茜の空と沈む夕日を背景に、決戦は幕を閉じる――。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功