⑧突破口は甘い香りで
●全てを「自殺」させる者
「厄介な敵が現れた」
|ピピット・フロントライン《P-pit Frontline》(戦乙女の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h00911)は、そういいつつも冷静な口調で仲間たちに状況を説明する。
「戦場のほぼ中央にある、秋葉原ダイビル。ここに現れた人間災厄が……少しまずい」
人間災厄『リンゼイ・ガーランド』という名の彼女は、『王劍戦争の全勢力の妨害』を目的としており、
「彼女に近づく者は、問答無用に『自殺』してしまう」
その驚異的な能力に、√能力者たちは目を丸くする。
……するのだが、
「とはいっても、ボクらや簒奪者たちは死ぬくらいならたいした問題は無い」
これが、ピピットが冷静だった理由であり、
「だけど、それ以外の人が彼女に近づいたら?」
危惧する理由でもある。
……巨大なビルに勤める人だけでも、どれだけいるのだろう?
「だから、何とかして彼女を排除したい」
リンゼイ・ガーランドの能力を突破する方法は予知されている。
「彼女は、自分が好きなものには√能力が届かないらしい」
となれば、自分自身が好かれることで戦えるようになるのだが、当然自分を攻撃する相手を好きで居続けるとは思えないため、その場しのぎとなるだろう。
「だから……いい手がある」
そこで、ピピットは今日のおやつにとってあったチョコレート🍫を取り出し、
「女の子はみんな甘いものが好き。だから、みんなとっておきのお菓子で彼女の心を一瞬でも惹いて、その隙に攻撃する」
攻撃できる機会は1回のみとなるが、それを積み重ねることで彼女を倒すことも可能だろう。
「これは、死んでも大丈夫なボクらにしかできないから、頑張らないと」
ピピットはそう言って、仲間たちに彼女の撃破を依頼した。
マスターより
きゅうきゅうです。
近づく者を自殺させる脅威の敵。リンゼイ・ガーランド。
どうやって勝てば良いんだ。と思うところですが……実はそう難しくはありません。そう、√能力者ならね。
というわけで、今回はそんな厄介な相手にゾンビアタックを仕掛けて討伐する。というシナリオとなります。
彼女の気を惹く方法は色々あると思いますが、ここではお菓子の誘惑が推奨となります。
歩む道の後ろに、幸せな『√』があらんことを。
19
第1章 ボス戦 『人間災厄『リンゼイ・ガーランド』』
POW
|希死念慮《タナトス》
60秒間【誰にも拘束・監視されない自由な時間】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【突発的感染性自殺衝動】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
60秒間【誰にも拘束・監視されない自由な時間】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【突発的感染性自殺衝動】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD
怪異「|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》」
【|自殺少女隊《ヴァージン・スーサイズ》】と完全融合し、【自殺衝動の超増幅】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
【|自殺少女隊《ヴァージン・スーサイズ》】と完全融合し、【自殺衝動の超増幅】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
WIZ
|自殺のための百万の方法《ミリオンデススターズ》
【様々な自殺方法の紹介】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【ヴァージン・スーサイズによる自殺衝動】に対する抵抗力を10分の1にする。
【様々な自殺方法の紹介】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【ヴァージン・スーサイズによる自殺衝動】に対する抵抗力を10分の1にする。
其之咲・光里うーん。これでも大丈夫かな。
消費しては補充し、賞味期限が切れかけては補充し、バックパックにいつも持ち歩いてるあんパン。元から困ってる人にあげる分もあるし、渡す分には何の問題もないけど。
「リンゼイちゃん! あんパン、食べる? 下手に移動もできないだろうし、おなかすいてるんじゃない?」
正直言うと、彼女はそんなに悪い人には見えない。敵として現れたなら倒すしかないけど、互いに死んでも生き返る√能力者。過程で殺し合いをしたって、分かり合えない道理はない筈だよね。
というわけで釣られてくれたら√能力で攻撃を仕掛けるよ。ここらへんの技能も載せられそうかな。
[怪力][力溜め][重量攻撃][霊力攻撃][不意打ち]
●お出迎えは日本のパンで
「うーん。これでも大丈夫かな」
お菓子。と聞いた|其之咲・光里《そのさき ひかり》(無銘の騎士・h07659)が真っ先に思い付いたもの。
それは、消費しては補充し、賞味期限が切れかけては補充し、バックパックにいつも持ち歩いてるあんパンだ。
もちろん自分の好物であり、お腹がすいて困っている人にあげる分も常備しているから、渡して自分が困ることもない。
「リンゼイちゃん! あんパン、食べる? 下手に移動もできないだろうし、おなかすいてるんじゃない?」
若干悩んでいたが、このまま声を上げなければ待つのは|彼女の能力《自殺》。
良くてもだめでも、|自分の未来《死亡》は変わらないのだから、試さない手はないだろう。
「あん、パン?」
袋に入った丸いパンに視線を向けたリンゼイは、ポンと放り投げられたそれを両腕でキャッチして、
「美味しい日本のパン。食べてみてよ」
爽やかな笑みを浮かべておやつにするよう促した。
「ちょっと甘い香りがしますネ!」
興味を持ち、袋を開けて一口。
新鮮なあんこの味に目を見開いて咀嚼するリンゼイの姿を見ながら、
(「正直言うと、彼女はそんなに悪い人には見えない」)
今は敵として現れ、無差別に一般人を殺戮してしまう恐れがあるから、倒さなくてはいけない。
(「だけど、その意図をお互い理解できるほどに|死に続けれ《戦え》ば、きっと分かり合える」)
光里はそう信じて、笑顔で完食した彼女に近づき、【無銘輝剣】による強撃を加えてそのまま自分の首も刎ねるのだった。
🔵🔵🔵 大成功
ベル・アハトにゃはははは♪
やはり女子は”すいーつ”に弱いでござるからなー
ここは質より量ということで『少女分隊』出動ですぞ!
そして呼び出したバックアップな拙者に使って近所のパティシエから和菓子屋まで流行りのスイーツから、リンドースミスの好みそうな渋めのお菓子まで買いに行かせますぞ
それを使ってティータイムにお誘いでありますな!
ですが接触する前に錬金術で作り出した興奮剤を自分で飲んで常にハイテンションでいきますぞ
自殺する気もないぐらいにマシンガントークでお茶に誘いそしてレッツお菓子タイム!
自殺少女隊を成仏させちゃうような極上のお菓子でヘブン状態にしちゃいますぞ
リンドースミス殿の好みのお菓子はあったかな?
●すいーつ・マシンガン
「にゃはははは♪」
なるほどそういう『戦い』か。
|この戦場のルール《ヴァージン・スーサイズ》を理解した|ベル・アハト《はちにんめのべる》(|特式八型《アハトアハト》・h00251)は、より効果的に彼女へ迫るため、質より量で|戦いを挑む《すいーつを届ける》。
「『少女分隊』出動ですぞ!」
バックアップなベルたちが|1《番号》から順に整列し、
「各自、散開!」
近所のパティシエに和菓子屋といった流行りのスイーツから、リンドー・スミスの好みそうな渋めのお菓子まで、幅広いお菓子を買いに行かせる。
「では、いきますぞ」
そして、彼女たちを順番に使い、すいーつのマシンガンで彼女の心を動かして、ヘブン状態にしてしまおうと試みた。
「まあ。このケーキ、味が繊細ね」
「これが日本のお菓子? 硬いけれど塩加減が気持ちいい!」
「こっちは……先輩が好きそうだから今度一緒に……っ!」
その効果はてきめんで、
(「やはり女子は”すいーつ”に弱いでござるからなー」)
完全に心を許したリンゼイに、|少女たち《本体含む》が隠し持った、13本のパイルバンカーによる|食後の攻撃《おやつのおやつ》が襲い掛かり……。
「ごちそうさまでした……あれ?」
後には血まみれの彼女と、自壊した少女人形の残骸が残されるのだった。
🔵🔵🔵 大成功
ノア・キャナリィとっておきって事なら
丁度趣味で作って冷やしてた
一番の得意料理を持って来てみました
薔薇の花園をイメージして見た目にも拘った
薔薇のアップルパイです
一瞬でも気を引けばいいとは聞いたけど
本当に食べてもらえたらもっと嬉しいかな
やっぱり自分の料理で喜んでもらえるのが一番嬉しいから
出来れば感想も聞かせてね
…死んだら、言葉は聞こえないかもしれないけど
常に空中浮遊してる特性をいかしての空中戦で
切華爛漫発動
元々、ふとした瞬間に希死念慮を感じた事はあった
僕は僕が嫌いだし
大切な人ももう一人しか残ってない
それでも、僕にだって細やかだけどプライドはあるから
例え死と引き換えだとしても
散り際すらも、少しでも美しく
●薔薇のように美しく散る
「とっておきって事なら……」
お菓子が好きで自分でも色々と作るノア・キャナリィ(自由な金糸雀・h01029)が用意したのは、丁度趣味で作って冷やしてた、一番の得意料理。
「薔薇の花園をイメージして見た目にも拘った、薔薇のアップルパイです」
まだ距離があるものの、見た目も形も香りもこだわって作られた甘味はリンゼイの目を惹き、彼女を引き寄せて虜にする。
(「一瞬でも気を引けばいいとは聞いたけど」)
実際、今の彼女に近づいても、|能力の発動《自殺願望》は感じない。
今が攻撃のチャンスではあるのだが、彼は彼女が笑顔でアップルパイを食べ終わるのをじっと待っていた。
「どう、ですか?」
食べてもらえて嬉しい。美味しそうな笑顔で居てくれて嬉しい。
自分の作ったものが喜ばれることが、一番嬉しい。
「とっても美味しい! 今度先輩と一緒に食べたいなー」
聞きたかった感想は、ノアにとってもとても励みになる、そんな大絶賛。
「よかった……死ぬ前に言葉を聞くことが出来て」
ノアは安堵し笑みをこぼすと、周囲に無数の【花弁の刃】を舞い散らせ、彼女の全身を傷つけながら……自らも花弁に身を晒して血の華を咲かせる。
(「僕は僕が嫌いだし、大切な人ももう一人しか残ってない」)
それは、過去にも感じたことのある希死念慮。
自分が死んでしまっても、何かが大きく変わることはないのだからという諦観がもたらすそれは、自死に至らしめようとするが、
「それでも、例え死と引き換えだとしても。散り際すらも、少しでも美しく……」
彼のプライドがただ死ぬ事を許さず、美しい花の中で散ることを選択させたのだ。
🔵🔵🔵 大成功
四之宮・榴アドリブ・アレンジ・連携歓迎。
心情
…希死念慮は、常に…隣にいるの、です。
…傍らに。
…乙女は…お菓子が、お好き…?
…よ、よく分かりませんが…先日、お菓子作りは…しましたし、作りましょう。
…手作りですが…どうぞ?
…そして、御免なさい…っ…!
…こ、攻撃が、とっても…し辛い…。
…貴女様だけに、痛い想いを…させるのは、耐えれません…から…。
…貴女様に、少しでも幸せを…。
行動
僕は技能でも料理がありますし、並列処理による再現率のお陰で…一度食べた物は、再現出来ますから、黒猫のフィナンシェ(アイシングをして猫に表情をつける)を袋に1杯入れていきます。
謝ってから、僕も|彼ら《インビジブル達》食べられます。
●死と死の間に生はある
「……乙女は……お菓子が、お好き……?」
|四之宮・榴《シノミヤ・ザクロ》(虚ろな繭〈|Frei Kokon《ファリィ ココーン》〉・h01965)は、その感情が今一つ理解できないでいた。
だが、先日お菓子作りをしたように、彼女もお菓子は嫌いではない。
「……手作りですが……どうぞ?」
形を作った後でアイシングをして、表情をつけた黒猫のフィナンシェをたくさん詰めた袋をリンゼイに手渡すと、
「美味しそう……! でも、食べるのもったいないかなぁ」
可愛らしい黒猫に目を輝かせながら、彼女はフィナンシェにごめんね。と呟きつつ口にする。
「……そして、御免なさい……っ……!」
そんな彼女を|攻撃《殺す》のはとても、とてもやり辛くて。
「……貴女様だけに、痛い想いを……させるのは、耐えれません……から……」
榴が選んだ√能力は、彼女自身をインビジブルの群れに喰わせて発動させるもの。
「……貴女様に、少しでも幸せを……」
薄れゆく意識の中、榴はリンゼイに最期の言葉を残し……それと同時に無敵獣【デメニギス】が出現。
降り注ぐ日差しを【眼球の反射望遠鏡で圧縮した光】で彼女の胸元を捕らえ、貫いた。
「!! そんな、一緒に食べたかったのに……」
独りで食べるには多すぎる黒猫に視線を向けながら、リンゼイは悲しそうな眼をする。
(「……希死念慮は、常に……|隣《傍ら》にいるの、です」)
榴の想いと似たものをリンゼイも持ちながら、それでも生きている時にはできる限り楽しみたいと考えるのだ。
🔵🔵🔵 大成功
和紋・蜚廉菓子…菓子か。
ならば最近、かき集めたものがある。
ハロウィンのお菓子を取り出そう。
トリックオアトリート。
…む、違うか?
成程。与えるならば、ハッピーハロウィンか。
汝の仮装(?)、イカしているな。
想い人もきっと振り向くぞ。
ほら、この菓子を持っていくがいい。
汝の上司も、働きづめで疲れているだろうからな。
そこを部下の汝が労うのだ。
…EDENの文化で、そういう物語が流行っていると聞いた。
なに、自殺衝動?
ならば此方のせいにすればよい。
我が右掌に触れよ。
力を霧散されたとなれば、撤退する理由の一つになるだろう?
神咲・七十アドリブ・連携お任せ
お菓子ですか……確かに一杯持ってはいますがとっておきとなると調達してくるしかないですね
どうも(もきゅもきゅ)
んぅ?これですか?ふふふ、これはドーナッツボックスです!しかも出来立て!
(そんな事を言って、色とりどりのドーナッツが詰まった箱の中身を見せて)
……もし良かったら一緒に食べます?
一杯ありますし
(ドーナッツに興味を示しているようなら近付き、ドーナッツで気を引く)
ふにゃ……では……
(傍まで近付けて気を引けたら√能力を使用。一瞬で隷属化を纏わせた隷刃仕留めようとするのと同時に隷属化しようとして)
あ、ちゃんと言ったことは守りますよ?
動ける内にドーナッツ食べましょう?
●11月のハロウィンと、最後の晩餐
「トリック・オア・トリート」
ちょっとだけ時期外れの挨拶とともに、お菓子を目の前に見せる|和紋・蜚廉《わもん・はいれん》(現世の遺骸・h07277)。
「??」
怪訝そうに見つめてくるリンゼイの雰囲気から、
「……む、違うか?」
何か間違えたかと困った顔をしていると、
「悪戯しないなら、ハッピーハロウィン。ですよ」
彼女の方から助け舟を出してくれた。
「汝の仮装(?)、イカしているな」
なし崩し的に、お菓子を前に|雑談《最後の晩餐》を始める蜚廉とリンゼイ。
「想い人もきっと振り向くぞ」
彼女は仮装姿……ではないのだが、想い人が振り向く。と後押ししてくれるのは素直にうれしそうにしていた。
「ほら、この菓子を持っていくがいい。汝の上司も、働きづめで疲れているだろうからな」
そして、お土産にと渡されたお菓子とともに、
「そこを部下の汝が労うのだ。……EDENの文化では、そういう物語が流行っていると聞いた」
√EDEN的|恋愛必勝法《勝てるとは言ってない》をこっそりと伝授する蜚廉。
「できればこのまま穏便に帰ってもらいたいが」
彼はそう言いつつも、ここで争わなければ様々な犠牲が出てしまう。
一時的には右掌に宿る力で自殺衝動を霧散させられるかもしれないが、
「そういうわけには、行きませんよ」
リンゼイも与えられた任務のためにここに居る。
終わりの時はすぐそばまで迫っていた。
「どうも」
そんなところへ通りすがった|神咲・七十《しんざき・なと》(本日も迷子?の狂食姫・h00549)。
彼女はドーナッツをもきゅもきゅと食べながら、蜚廉とリンゼイのそばへ寄る。
「んぅ? これですか? ふふふ、これはドーナッツボックスです! しかも出来立て!」
興味深い目でそれは何かと問いかけるリンゼイに、七十は幸せそうな笑顔でドーナッツを頬張りながら答え、
「……もし良かったら一緒に食べます? 一杯ありますし」
幸せの御裾分けとばかりに、色とりどりのドーナッツが詰まった箱の中身を見せながら、3人でもきゅもきゅとドーナッツを食べることになった。
「美味しい♪」
日本のドーナッツを目を丸くして楽しむリンゼイ。
その背後にさりげなく移動した七十は
「ふにゃ……では……」
彼女の首を【隷刃】で鋭く斬り裂いて、隷属化しようとする。
「……!?」
その刃に気づいたときには既にリンゼイの瞳は闇に沈んでいき……、
「ぐっ!」
七十への「好き」が「隷属」に変わった瞬間、彼女もまた、【隷刃】で自らの命を絶つ。
「難儀な女子じゃの」
ひとり残された蜚廉は、粛々と周囲の後片付けを始めるのだった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
