⑨雷への諡
●おくりな
「美人さんに頼まれちゃあ断れないよね!!」
初手残念。そのような言葉が青天の霹靂として降ってくる。
上空で腕を組み深く頷く、天使のような姿をした古妖。
「いつもシンプルで助かるよ。破壊、殺戮、興味のままに! ま、彼女がこの先に何を詠んだかってのは不要だ」
懲りない懲りない。めげもしない。先日も似たようなことがあった? ああ、そんなこともあったかもしれない。
ともあれ何故だか片頬がうっすら腫れている――椿太夫に余計なことを言い、引っ叩かれた印を引っ提げ、『青天の霹靂』、上空へと陣取った。
「それにしたって御祭神。俺ってそういうの受けていい系なの?」
だって俺って――諡。|天神様《天満大自在天神》の言うとおり!
八百万、その一柱の|怨《ちから》を用いて雷を落とす。それで構わぬというのなら、力を貸すというのなら、ああ、奮ってみせようこの力!
「|若造《ガキ》は|若造《ガキ》なりに仕事しようか!」
周囲へと落ち広がる落雷、遍く!
「丁寧に、足を挫いてやろう……どう殺したって、いいんでしょ?」
●おとどけもの。
「厄介事の『お届け』だ! ていうか厄介がすぎる!!」
髪を梳かす暇もなかったか、それとも元来ボサっていたっけなあ。星詠み、オーガスト・ヘリオドール(環状蒸気機構技師・h07230)。
資料をまとめる暇すらもなかったか、転がした謎の機械がプロジェクターとして壁に情報を投影する。表示されているのは地図――場所、神田明神。
「青天の霹靂だよ。これは急に来やがったって意味のほう。で、相手も『青天の霹靂』だ」
それは古妖の名であり、在り方。雷を操る天使のような姿をした、どうにも掴みどころのない男だ。
「あれの性質的に、関わってこないわけないと思ってたけど……いつも厄介なタイミングで来るんだよねぇ!」
それこそ彼の名のように。
「今回も、民間人の避難誘導をお願い。軽くでもいいけど、見つけたらしつこいよ、こいつ。あと……俺はよくわかってないけど。神田明神は、古妖にも俺たちにも力を貸してくれるみたい。アイツも強化されてるけど、俺たちも相応に強化してもらえる。もちろん、敬う心ってのは忘れたらダメだよ?」
|向こう《青天の霹靂》だって、敬ってるみたいだから。
「平等なカミサマってのもちょっと困ったもんだけどね。ともあれ頼んだ! ボコしてきてよ!」
マスターより
R-Eおはようございます、親愛なる皆様!
R-Eと申します。
リプレイ字数を絞った速戦即決シナリオです。
参加者が多い場合ちょっと採用を絞り、より成功度の高くなりそうな方を優先させていただきます。すみません!
どちらにしようかな、天神様の言う通り!
●1章
古妖『青天の霹靂』との戦闘です。
稲妻のように素早い戦闘を得意としており、通常攻撃含め能力が強化されています。
今回は一般人を優先して狙い、「嬲り殺し」に近い手法を取ろうとします。お気をつけて。
それでは、撃ち落としてやりましょう。
70
第1章 ボス戦 『青天の霹靂』
POW
白鳥は|白い《・・》もの
あらかじめ、数日前から「【ブラック・スワン理論】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
あらかじめ、数日前から「【ブラック・スワン理論】作戦」を実行しておく。それにより、何らかの因果関係により、視界内の敵1体の行動を一度だけ必ず失敗させる。
SPD
青天の霹靂
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【麻痺】を持つ【空間に広く伝播する雷】で300回攻撃する。
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【麻痺】を持つ【空間に広く伝播する雷】で300回攻撃する。
WIZ
天神様の言うとおり
自身の【背の翼】を【雷と化し、【雷光の如き蒼色】に輝く【範囲攻撃】を持つ【過電流を放出し続ける翼】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
自身の【背の翼】を【雷と化し、【雷光の如き蒼色】に輝く【範囲攻撃】を持つ【過電流を放出し続ける翼】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
サルサ・ルサルサ(アドリブ連携OK)
いい天気なのに雷なんて落とされて、たまったもんじゃないわね。雷狩りなんて初めてだしちゃあんと神さまのお力を借りましょう。なにとぞ、なにとぞー…とお祈りしてからさあ出撃。さあ、あれを撃ち落とせばいっぱい褒めてもらえるかしら?
たっぷり蓄えた水分ジェットでこっちも飛び回って「パフォーマンス」、民間人へ逃げる先を教えつつ【棘々転舞】のミサイル等を「スナイパー」で青天の霹靂にぶちかましてやるのだわ。しつこく狙おうっていうならこちらもしつこく、「空中ダッシュ」で割り込んでひたすら羽狙い。針での「串刺し」も狙うわ
ついでに被害の少なくなりそうなところに針を突き刺せば避雷針にならないかしら?
「いい天気なのに雷なんて落とされて、たまったもんじゃないわね」
まさしく青天の霹靂。手を日除けにして、上空で暴れまわっている古妖を見て、サルサ・ルサルサ(サボテニックヘヴン・h04751)は唇を尖らせる。
流石に雷狩りなんて初めてだ。ちゃあんと神さまのお力を借りましょう。
「なにとぞ、なにとぞー……」
ぺこぺこ、ぱちぱち……ぺこ。力を貸してくださいなー。かわいらしいお祈りである。これには神さまもきっとにっこり。
「さあ、あれを撃ち落とせばいっぱい褒めてもらえるかしら?」
ほめてもらえるとも!
さてサボテンたるサルサ、そのからだに蓄えた水分は見た目以上である! たっぷり水分はジェット並、ばびゅんと青天の霹靂の近くまでひとっ飛び! 自由落下をする中で。
「こんにちは?」
青天の霹靂、目が合ったので一瞬のご挨拶。そのまま水分ジェットで落下を制御しながら、サルサは周囲をくるりと見る。
「ご退場はあちらー」
ぱしゅんと水鉄砲のように打ち出した水弾が民間人を誘導する――のと同時、空中でさらにぐるり廻った彼女の体から放たれるは、無数のサボテン針だ!
「うおっと!? どこから?!」
慌てた青天の霹靂、なんとか翼で受け止めるも手羽のあたりに刺さったか。苦痛に眉をひそめる彼に追撃とばかりに放たれる数多の棘! 舌打ちをした彼、嫌がらせとばかりに民間人へと雷を放とうと向けた指先、その先へ割り込むサルサ。
「だめよ」
「っ!?」
さくり。サボ針が指先に刺さる。思わず手を引っ込めた彼。
まわれまわれ玉サボテン(人型)。
あちらこちらに撒き散らした棘が、明らかに苛立っている青天の霹靂の放つ伝播する雷により焼き払われる。ブラック・スワン理論をこんなところで使うとは! もっとまともな時に発動してよかったのに、と悔しがっている暇はない!
指先の針を抜き去りつつ……手を振りながら一時撤退していくサルサを恨めしげな目で見ている……!
🔵🔵🔵 大成功
西織・初アドリブなど歓迎
【心情】
人々の幸せを願う歌を奉ずることにしよう。
俺たちは人々を守りたい。どうか力を貸してください。
空を飛んでいたら周囲を見渡せるから何かあれば対処できる。
【行動】
WIZで判定。
空中移動、空中浮遊、空中ダッシュで行動。
まずは√能力を発動。一般人の勇気や逃げ足、ダッシュ、各種耐性などの技能の成功率を上昇させて逃走の手助けをしよう。
そのまま空中で避難誘導をした後に霊力を浴びて戦闘を行う。
スナイパー、鎧無視攻撃の技能を使った音響弾や衝撃波で攻撃。
敵の攻撃は第六感を使い空中ダッシュで攻撃範囲から素早く退避することで回避したり、音響弾や衝撃波、念動力を攻撃にぶつけて相殺させる。
歌唱奉納。それは古くから続く祈りの形、そのひとつだ。
「(――俺たちは人々を守りたい)」
響く音響、掻き鳴らされるギターの音色に、青天の霹靂が反応した。
「(どうか力を貸してください)」
男の視線の先に見えるは、翼混じりの髪の青年。音に興味があるのか、それとも歌声に興味があるのか。暫し曲を聞いていた青天の霹靂。歌が終わると同時に拍手を贈る――。
「いやあ、素敵な曲じゃないか! 曲名は?」
時間稼ぎの質問だ、答えている場合ではない。すぐさま地を蹴り飛翔するは西織・初(戦場に響く歌声・h00515)。
――青い鳥は確と羽ばたいた。青天の霹靂の拍手と共に落とされる雷に当たることなく、その小さな体と翼で避け、一般人の元へと飛んでいく。このまま逃れられるように、捕まらぬようにと、初が込めた祈りと共に人々に寄り添って。
「あちらへ!」
張り上げる声を聞き逃げて行く人々を見て、青天の霹靂はつまらなそうに唇を結んでいる。
「まったく、話を聞いてよ、せっかくなんだからさあ」
彼の翼が雷と化す。すぐさま初へと放たれる雷撃、蒼色の過電流――! 下手をすればこちらが撃ち落とされかねない。
攻撃範囲から逃れるも、その軌跡に近いだけで僅かに痺れる体。直撃を狙い放たれたそれ、音響弾にて、雷の軌跡を捻じ曲げる! 続け様放った衝撃波にて青天の霹靂を撃ち抜き、弾き飛ばして距離を取る。
「っ……この。ちょこまか邪魔ばっかり!」
相手は遠距離攻撃の使い手だが、僅かでも攻撃が届く速度ならば対処がしやすいだろう。
ムキになってきたのか、苛立った様子で雷を放つ青天の霹靂を往なしながら、初は的確に、攻撃を外さぬようにとギターの弦を弾き音と衝撃波にて応戦する。翼を盾にし、そして反撃として返される雷。いくら雷と化した翼とはいえダメージはしっかりと入っている。
「ああもう……君、ほんとに煩い!」
ギターと彼の雷、どちらの音量が高いのかは明らかなことなのだが……。
🔵🔵🔵 大成功
和紋・蜚廉明神よ、力を貸して貰おう。
嬲り殺される生命を、見過ごす訳には行かんのでな。
借り受けた霊力と共に、蟲煙袋で煙幕を展開。
翅音板をかき鳴らし、一般人よりもこちらに目が向くように気を惹かせて貰うぞ。
伝播する雷は、犠殻にて肩代わりさせる。
纏う霊力で強化させ、受け流すダメージの容量を上げておく。
因果蝕装 …ここまで負債を負ったのは初めてだ。
返す宿業も、それだけ重いものとなるだろう。
不運は…そうだな。煙の中、汝が降り立つ場所は我の真正面だ。
構えは既にとっている。
宿業返還。
全霊の我が拳を受けるがいい。
明神よ、力を貸して貰おう。
雷鳴轟く中、和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)は静かに祈る。神は平等である――だとしても、ただ求められて力を貸す「だけ」の存在ではない。嬲り殺される生命を、見過ごす訳にはいかない。届く祈りは霊力として、蜚廉の肉体に、外殻に染み渡っていく。
「……ん?」
好き放題雷を落としていた青天の霹靂、煙幕と音に気がついた――蜚廉の放つそれ。煙幕が晴れるや否や、そこから飛び出した影に男は目を見開いた。自身の翼を掴み地へ叩きつけてくる腕。「いてて」など言っている暇もなく、振りかぶられた拳を避け距離を取る!
「ちょっと、何者?! 蟲? 立場ってもん弁えたほうがいいんじゃない!」
バチリ、手のひらから爆ぜる雷光――! 僅か浮いた『殻』がその雷光を真正面から受け止める! 痺れと破損はあるが、まだ耐え切れる。
蜚廉が己の雷撃を避けなかったことに瞼をぱちりと瞬かせ、策があると察した青天の霹靂。だがやることは変わらない――蜚廉を狙い雷を、無数に落とす!
蜚廉本体への雷撃を借り受けた霊力が受け流す中、殻に爆ぜるようなヒビが入る。煙で視界が悪い中でも直撃、伝播、様々なダメージが積み重なる。
ここまで負債を負ったのは初めてだ――だが。『返す宿業』も、それだけ重いものとなる。
青天の霹靂。彼の不運は、煙の中、蜚廉の真正面に居たことだ。
「ああもう、前が見えない!!」
喚く声が聞こえる。そこへ向けて、強靭なる足腰が地を蹴る。羽ばたき、己と蜚廉の生み出した煙を払おうとしている青天の霹靂――その真正面。現れたのは、漆黒だ。
宿業返還。
――『全霊』の拳が、撃ち込まれた!
「がっ、――!?」
腹部への直撃。受け身を取ることすら出来ず、地へと転がる青天の霹靂。かふ、と咳き込む息には血液が混ざっている――。
「この……お前ッ……!」
うらみつらみの積もった視線。長く相手をする理由はない。雷により焼け焦げ、裂けた傷跡を誇るようにして、蜚廉はただそこに立っている。
🔵🔵🔵 大成功
サミ・マエンパー【こちらも御祭神の霊力を浴びて戦う】
民の為に戦い、死に、その結果今に至るまで祟り神であり続ける将門公よ…
民の為に働きながら体制にその身を貶められ死してちょっと電撃落としたら
『学問の神』認定されて日和り、挙句の果てには無辜の民を甚振るだけの外道に成り下がった|天神様《アレ》を滅ぼす力を貸してくれ!
その為なら…俺は人の体を捨てる!
・戦闘の際はドラゴンプロトコル・イグニッションで真竜に変身、『青天の霹靂』をブレスや爪で攻撃し、一般人を庇い、神田明神の建物に被害が出ないように行動する。
『お前の相手は俺だ!』
『神を僭称するお前には地獄に落ちてもらう!』
※実際には真龍の咆哮が辺りに轟いている
「民の為に戦い、死に、その結果今に至るまで祟り神であり続ける将門公よ……」
サミ・マエンパー(機械仕掛けの凶剣・h07254)が祈る先は、三大怨霊にして、神田明神の祭神、将門公。祈り、声をかける先。青天の霹靂は顎を揉みながらその様子を窺っている。ただの興味だ。こうしている間にも逃しそうになっている一般人はいるし、それを遮るように雷を落とし続けている。
「民の為に働きながら体制にその身を貶められ死して、ちょっと電撃落としたら『学問の神』認定されて日和り、挙句の果てには無辜の民を甚振るだけの外道に成り下がった|天神様《アレ》を滅ぼす力を貸してくれ!」
――だがサミは少しばかり、勘違いをしているようだ。これには『青天の霹靂』も自分の名の通り、少し驚いた顔をしている。
彼は道真公本人でもなければ、今回はその力を『三大怨霊繋がり』という細い糸を手繰り寄せるようにして、力を貸してもらっているだけだ。
そのような状況で、サミはまるで道真を青天の霹靂と|=《イコール》だとし、外道だとでも言うかのような言い回しをしてしまっている。もちろん、サミ本人は気づいていないのだろうが――。
「その為なら……俺は人の体を捨てる!」
ドラゴンプロトコル・イグニッション――顕現するは真竜である! 咆哮に込められた意図の直後、吐き出されたブレスを空中で避けるも炙られ先が焦げる翼。青天の霹靂はひゅう、と口笛をひとつ吹いた。
……ばちり、蔓延るように。天雷が『青天の霹靂』を覆う。彼が浴び敬い、霊力として帯びるその名、天満大自在天神。菅原道真公――。
敬う心は『双方』にあるべきだ。
力を貸す彼らは、すべてに平等なのだ。人間、古妖、その他であれ。
その中で『神』自身を貶めれば相応、霊力は弱まる。
サミの足元の地面が、崩れた。重みに耐えきれなかったのではない。それはひとつの|思い込み《・・・・》。足元が確かであると踏み込んだその隙だった。
|白鳥は白いもの《ブラック・スワン理論》。その言葉が示すうちよく使われるもの、『自然災害』――天神様が引き起こすは『天変地異』。がちりと噛み合った歯車が、その足を掬い取った!
「ちょっと電撃落としたらって言ったね!」
足を取られたサミの体に降り注ぐ雷霆、伝播するそれが体を麻痺させる。それでも吐き出すブレスは確かに青天の霹靂へ届き、炎が彼の肌や羽根を炙っていくも、些か距離が足りないか! 足を引き抜く間にも、青天の霹靂の雷がサミへと降り注ぐ!
「ちょーっとじゃないんだ。これがさあ!」
……清涼殿落雷事件は、その中でも有名なものだろう。それを少しととらえるならば――些か、『神』の力とやらを見誤っている。
🔵🔴🔴 苦戦
那弥陀目・ウルルまたキミか
とりあえず挑発で気を引いてみよう
やーあ、また会えたね♡
天神様の力を借りてすることが弱い者イジメ?
こないだ僕らにボコボコにやられすぎて怖くなっちゃったかなぁ〜?
人の神よ、僕にも力をお貸しください
『変身術』で飛べる姿に!
平将門公!の首!!のデケェやつ!!!
そっちが天神様ならこっちは将門様だ!
合祀殿もあるとはいえ
神田明神は将門様のホームグラウンド!
負ける気がしない!
雷には将門様バリアー!!【オーラ防御・環境耐性】
将門様は除災厄除の神様!これくらい屁でもないね!
そして将門様ビーム!!(目からビーム
出せるさ!将門様は眼力で飛んでいる雁を落としたと言われているからね!!
さらに齧り付いて【吸血】!
またキミか。またコイツだ。
「やーあ、また会えたね♡」
「会いたくなかった!!」
即答が雷とともに降ってきた。軽々避けてみせた那弥陀目・ウルル(世界ウルルン血風録・h07561)。
挑発とともに止まった一般人への雷撃。どうやら相当ウルルにご執心な様子である。お怒りのようだが、そんなことはウルルにはさほど関係ない。
「天神様の力を借りてすることが弱い者イジメ? こないだ僕らにボコボコにやられすぎて怖くなっちゃったかなぁ〜?」
「相変わらず煩いなぁっ! 君たち、俺らの邪魔しに来てるだけでしょ!」
どっちが邪魔者なのだか分かってもいないご様子――いや、実際の所、互いに厄介に思っているのも確かなのだが。
「それじゃ、人の神よ、僕にも力をお貸しください」
――ヒトでなくとも平等よ。
祈りはほどほど。恨み辛みではない、人のためにと祈れば――口に出さずとも伝わるものだ。変身術で変化した先、それは――。
――平将門公の首――の、デケェやつ!!! だ!! なぜそれを選んだウルル!!
「そっちが天神様ならこっちは将門様だ!」
「何!? わかるけど! わかっちゃうのが嫌だ!」
感性がやや似ているのか、納得しそうになった自分が悔しいのか、青天の霹靂は驚きつつも大きく声を張り上げた。
神田明神は将門様のホームグラウンド。そしてまったく負ける気がしない!!
「このっ……撃ち落としてやる、このトンチキ吸血鬼!」
「好きに言うといいよー♡」
気にする価値もないから! 雷が雨のように降り注ぎ伝播していく。まともに食らえば麻痺して落下一直線だが。
「将門様バリアー!!」
なにそれ。雨傘さながら張られたオーラが雷を逸らす!
将門様は除災厄除の神である。これくらい屁でもない! ……ほんとかな?
「将門様ビーム!!」
「何それ!?」
さすがにそれは出んだろう! 出ましたがしっかり!! 翼から派手に羽根が散った。青天の霹靂、これには冷や汗だ。
「出せるさ! 将門様は眼力で飛んでいる雁を落としたと言われているからね!!」
あるけどそういう逸話! ……本当にあるんです、信じてください。睨むだけで鳥が気絶して落ちました。誇大解釈とはいえ力を借り、その逸話を強く利用すれば、相応の威力となる!
首の大顎が開き、狼狽える青天の霹靂を――がぶり、血液が散る――!
「鳥味とヒトの中間!」
古妖の血液の食レポだ。
🔵🔵🔵 大成功
澪崎・遼馬アドリブ、連携歓迎
晴天の霹靂、か。ある程度刑事をしていると分かることがある。計画性のない愉快犯の類いというのが1番厄介ということだ。何せ予想も予防もし辛い、当人にとってある種の天敵に当たる。
まずはこちらも祭神の加護を受けよう。祈ることには慣れている。境内で騒ぐ無礼をどうか許して欲しい。力を貸して頂いたからにはこの雷鳴、止めてみせるゆえ。
「待たせてすまない。もう大丈夫だ、避難するまで当人が守るゆえ」
避難誘導をしつつ【黒い羊飼い】を使用。現れた自立機動する4つの棺を全て人々の護衛につける。敵からの攻撃があれば4つの【盾受け】で防御を。
「さて、いい加減好き勝手飛ばれるのも目障りだな……堕ちろ」
我が身は地を摺る烏なれば、空を翔ぶモノへの憧憬と嫉妬は常にある。【魔法の弾丸】で霹靂の翼を狙おう。
ある程度刑事をしていると分かることがある。犯人の動機、目的、行動――どれをとっても様々であるが。
計画性のない愉快犯の類いというのが一番厄介ということだ。
楽しげに雷霆を落としている青天の霹靂。興味優先、まさしくその様子、何せ予想も予防もし辛い。
当人にとってある種の天敵に当たる――澪崎・遼馬(地摺烏・h00878)は僅かに眉根を寄せた。
あれが受けている加護は間違いなく『天神様』――天満大自在天神、菅原道真公の加護であろう。様々な曰くや逸話あれど、雷の神であり学問の神である神格が『愚かさ』の象徴のような青天の霹靂に手を貸しているのは何故なのか。疑問には思えど、それを深く考えていられる暇はない。
――実際には、『細い糸を手繰り寄せている』ようなものだ。こちらも相応正しく神に力を借りれば、今は圧倒的とも言えるような差を埋められる。
祭神の加護を。祈ることには『慣れている』。
「(境内で騒ぐ無礼を、どうか許して欲しい)」
力を貸して頂いたからにはこの雷鳴、止めてみせるゆえ。
――祈りは、確と届く。人々に対し、そして古妖に対しても、神々は寛大だ。
「みーっつけたッ! 知ってる? 木の下に隠れるのは、すーっごい愚行だってこと!!」
雷が木そのものではなく、近くの地面に落ちた。雷への対処を誤っていることなど、青天の霹靂にとってはどうでもいい。ただそれを小馬鹿にできる理由があれば良いだけだった。
伝播する稲妻がぎりぎりまで迫り、悲鳴を上げた一般人が逃げようとする中――彼と青天の霹靂との間に立つ黒い影。
「待たせてすまない。もう大丈夫だ」
それは、黒い羊飼い。見覚えのない黒影に首を傾げた青天の霹靂、容赦なく遼馬へと雷を落とすも――。
「避難するまで当人が守るゆえ」
棺が、その雷を受け止めた。浮遊し自立機動するそれら、四方に散り人々の、文字通り盾となる! 青天の霹靂が一般人へと雷撃を落とすも、それは棺によって阻まれる。明らかに不愉快そうに、上空で苦い顔をする男。
「ちょっと、急に現れて何?」
それはこちらの台詞である。どう考えても。遼馬に対し敵意を剥き出しにする青天の霹靂。会話をする価値もない。盾となる棺、本来の耐久度を超え――まるで雨を弾くかのように、稲妻を受け止めている――!
「さて、いい加減好き勝手飛ばれるのも目障りだな」
我が身は地を摺る烏なれば――空を翔ぶモノへの憧憬と嫉妬は常にある。地に降り立てば翔ぶ鳥も、啄むものは殆ど同じであろう。だが、『飛翔』という概念は――失ったそれが――ああ。ともあれ、だ。
「堕ちろ」
青天の霹靂、その翼を狙う銃口、放たれる遼馬の弾丸――!
「なっ……」
研ぎ澄まされた狙い、弾丸一発――悲鳴は短いものだった。直撃、落下、どさりと音がした。
そこそこの高所からの落下だ。それそのものによるダメージはそこまで無くとも、弾丸の威力はすさまじいものであっただろう。再度飛翔してこないのがその証拠だ。
今のうちにと一般人を先導し、境内から逃す遼馬。そう時間をかけてはいられない、いつ起き上がってくるか……飛び立ってくるか、わからないのだから。
ああ、だが、冠のない天使など、堕ちるには丁度よいじゃあないか!
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
ハスミン・スウェルティ◆キャラ設定(ハスミン→緑色)
「なんだか騒がしい…かも?」
偶然参拝に来ていたハスミン、戦闘になり次第人格・緑色に切り替わります
緑色は極めて怖がりな性格で、本当は一刻も早く逃げ出したいですが
敵を怒らせる事や参加者がワタシに抱く期待は勿論、
一般人の助けて欲しいという思いを裏切る事すら恐れます
◆戦闘
亜空間から放たれる緑色の縛鎖を使い、『平和を護りし~』を発動して
周辺の一般人への攻撃を弾き受け止め、ロープワークも駆使して避難誘導に役立てます
電気攻撃はとてもとても怖いので、亜空間か地面に逃がせないか試みます
鎖は触らない、味方にも触らせない…感電注意!
「ちょ、え、嫌ぁーっ!?」
「(怖い、怖い、怖いーっ!)」
「(こういうのって!普通は強い人から狙うんじゃないのっ!?)」
敵はとても怖いのでダメージを与える攻撃はしませんが、護り切る事が不可能そうなら
必要に応じて『主に仕え煌めく~』で敵の翼や体の部位を縛り使用不能にできないか試みます
「と、とどめはよろしく…お願いっ!」
◆即興連携・アドリブ歓迎
多少は静かになっただろうか。参拝の隙はあっただろうか。ちょっと雷が鳴ってるなあ、くらいに思ってしまったか。
「なんだか騒がしい……かも?」
かも。戦いの気配がする。静電気がばちりと頬を撫でた――。
こわい。
こわいこわいこわい! 待って! 何かいる! 何かいる! 気付いたときにはもう遅い。先程までは地に堕ちていた青天の霹靂――浮上すると共に、ハスミン・スウェルティ(黄昏刑務所・h00354)をその視界にとらえた!
……さて一般人か|√能力者《EDEN》か見定めよう――!
「ちょ、え、嫌ぁーっ!?」
直後近くに落ちてきた雷にぴゃあと悲鳴を上げたハスミンを見て、声は届かずとも、青天の霹靂は傷だらけの体ながらも、腹を抱えて笑っている……! なんてしつれいな!
早く、早く逃げなければ! しかしあの姿は何だろう。事前情報を思い出す、おそらく古妖……となれば、怒らせればどうなるか。周囲にはまだ一般人が残っている……そうなれば、自分に求められている行動は……!
「(怖い、怖い、怖いーっ!)」
心の中でそう叫びながらも、ハスミンは駆け抜ける。その後を追いかけるように落ちる雷霆、それがハスミンの足をぴりりと痺れさせた!
「(こういうのって! 普通は強い人から狙うんじゃないのっ!?)」
それがですね、この男、いやな性格をしているので……。自分が上位だと思えば、容赦なく狙ってくるのである。なんてやつだ。そうとは知らないハスミン、怯える一般人を目にして覚悟を決めた。
「や、め、てぇーー!!」
――開かれる亜空間。数多の縛鎖が、周囲へと展開される! 一般人へと雷が落ちそうになったその先へ伸びた鎖。代わりに青天の霹靂の雷を受け止めた! 緑色の鎖が雷を帯び、誰もいない地面へと突き刺さり伝播する雷の衝撃を逃がす!
そこでようやく、ハスミンが|√能力者《EDEN》だと気づいたらしい青天の霹靂。なるほどと顎を揉み、そして――背の翼を雷と化した!
「どこまでー! 耐えられるかー! 勝負しようよーッ!!」
天から降るは雷ではなく、男の上機嫌な声だった。そして落ちてくる蒼色の雷光! 張り巡らせた鎖に落ちる雷、地面へと逃すも衝撃で土煙が上がっている……! 感電注意!
「ここから! 一分!」
楽しげな声が続いた。一分……! 長いようで短いその時間、なんとしてでも耐えきって……あの人々を逃さねば! こわいけれど! おそろしいけれど! こんな状況で笑っていられるなんて、彼は正気なのか!
雷の数は増すばかり、耳をつんざき鼓膜が破れそうになる! ……一分と言ったが……彼の翼が変化してから、威力が増した。それなら……!
亜空間から伸びていた鎖が動く。ハスミンが防戦に専念していると思っていた青天の霹靂、その翼をがっちりと空中で捕縛された!
「おっと……!?」
これで……三十秒は、耐えきれる! 明らかに威力の落ちた雷を見て、ハスミンは勇気を振り絞り、一般人へと声を張り上げる。
「逃げて! お願い、早く! ……と、とどめはよろしく……お願いっ!」
最後は、仲間に向けたものだろう。駆けていくハスミン。
……青天の霹靂は一時的ではあるが、満足したらしい。空中で足を組み、逃げる一般人とハスミンを見送る――。
「……おもしろ!」
ああ、この男、本当にさっぱり懲りないやつだ。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
メイド・メイドここは信仰深き参拝客が厄を祓うために通う神田神社です
仮に縁を結ぶにしても“厄介事”と結ばれるのはご遠慮したいことでしょう
もちろん、参拝客に接触などさせませんよ
神田神社の御祭神の一、平将門命は厄払いの御利益がありますが、様々な厄を祓ってくださる大変慈悲深き和御魂であらせられます
その中でも情報処理に関する厄払御守を手にご加護を願い奉りましょう
背中の【システム:|銀の弾丸《シルバーバレット》】を|起動《ジェネレート》
加えて電脳空間を|展開《デプロイ》し、勇者の剣を手にします
勇者とは民たちの盾となり率先して脅威に立ち上がる|存在《ヒト》をそう呼ぶのでしょう
【空中ダッシュ】で青天の霹靂に接近し、剣を振って引きつけます
ごきげんよう、天使様。|当機《わたし》と踊ってくださりますか
参拝者に目が向かないよう|当機《わたし》に【おびき寄せ】ましょう
雷ほどの速度にただ対応するのは難しいでしょうが、雷には避雷針
受けると決めたものに集まってしまう性質があるはずです
身体の耐えうる限り攻撃を受け、剣で斬りつけましょう
信仰深き参拝客が、厄を祓うために通う神社。そこでこのような『厄介事』と縁を結ぶことになるなど、ご遠慮したいに決まっている。それでも|縁《えにし》は結ばれた。ある種、最悪な形で。
――落雷は止むことがない。幸いなのは、彼の気まぐれさ……一人を集中的に狙うのではなく、あちらこちらの人間にちょっかいを出しては、腹を抱えて嗤っているその姿だろう。このまま逃げ遅れるものがいれば、彼は確実に、その人間を雷にて焼き殺す。
……もちろん、これ以上参拝客に接触などさせはしない。
彼が雷神と、道真公と縁を結んだのならば、御祭神の一。平将門命――厄を|払う《祓う》慈悲深き和御魂に、誓いを立てよ。
握るは情報処理の厄払御守。加護を願い、奉れ。
メイド・メイド(学名:霊長目ヒト科メイド属メイド・h00007)、名は体を表すとはよく言ったもの――丁寧にカーテシーをする彼女、唐突に現れたメイドに青天の霹靂はやや驚いた様子である。
【システム:|銀の弾丸《シルバーバレット》】――|起動《ジェネレート》。準備完了。電脳空間|展開《デプロイ》――召喚。概念、『勇者の剣』――!
勇者とは。
民たちの盾となり。率先して脅威に立ち上がる|存在《ヒト》をそう呼ぶ。そして――。
「――ごきげんよう、天使様。|当機《わたし》と踊ってくださりますか」
勇者とは、強者である。
「何? え? メイド?」
展開された空間に戸惑っていた青天の霹靂の前へ瞬時に現れたメイド、すかさずその剣を振るう! 一撃、二撃! 翼の端、羽根を切り落とされた青天の霹靂。何がなんだかまだ分かっていない様子だが、そのうち理解することだろう。
参拝者へ視線が向くことはない、目前、唐突に広がった電脳空間が彼の視界と思考をクエスチョンマークで支配している。
手にした剣を振るい、こちらへ向かってくるメイドへと、翼を翻して回避する青天の霹靂。ようやく特殊な√能力であると合点がいったか――楽しげに目を見開いた!
「いいね! かっこいいじゃないか、こういうの!」
子供っぽい性格というのはこんな所でも。背の翼が稲妻と化した。指差す先へと放たれる雷電を受け止めるメイド。相応の痛みと痺れがあるが、動けぬほどではない――|自身《当機》に視線と雷が集まっていれば、一般人を逃がすには十分だ!
自身を避雷針とし、耐え抜くことを選択したメイド。|情報処理《システム》と加護の相性は抜群に良い。
「随分耐えるねッ……!」
雷撃、剣戟。妖を討つは勇者のつとめ。メイドのつとめであるかはさておいて、雷は彼女の元へと集まってくる。
……きっとこの世界は鮮やかで。この簒奪者が好むほど、この世界は色とりどりで、空はきっと綺麗な青色で。放たれる雷撃の焦げ臭さは感じようと、燃えるスカートの裾の臭いに目を細めようと。感じられる五感は、感覚は、ヒトのそれより少ないが。
人々がそれらを愛し、好む限り――身体の耐えうる限り――守護するものがある限り、彼女が倒れることは、ありはしない!
「そろそろ倒れていいんじゃないっ!?」
「ご冗談を」
|当機《わたし》、現在は『勇者』ですので。
討ち滅ぼすは勇者のつとめ。メイドのつとめかはやはり、さておいて。
袈裟懸けに斬りつけられた体が――青天の霹靂の肉体が、地へと落ちていった。
「任務完了です」
雷霆降り注ぐ舞台。それは優雅なカーテシーにて、締め括られた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
