⑮愉悦する墓荒らし
●さまよう眼窩
不意に、悪食は出現した。
その所以は不明だが、おそらく、王劍『縊匣』の妄執を察知したが故だろう。悪食に眼球は――瞳は――存在しないが、眼窩へと潜り込ませることは容易と謂えよう。何処かの獣も吃驚なほどの『飢餓』が負の感情の化身となって嗤笑する。
悪夢が枯渇する事などおそらく有りえず、悪食のフォボスと呼ばれる怪異は『電子の泡』を纏ってみせた。そもそも、最初から、縊匣との相性が良いのだ。鬼に金棒とはまさに『このこと』と考えられよう。裏切り、死別、トラウマ、決して、未曾有とは言えないが故に――この混迷はおぞましい。
頭の中の鉛、その、上手な摘出の方法は『欠片』とやらにも当て嵌まった。
●死別の後で
「人魚姫が撃破されたねぇ。まあ、我輩、それを星詠みしていたのだが……兎も角、縊匣は新たに『別の宿主』を見つけた様子でねぇ。汎神解剖機関に蔓延る怪物どもに突き刺さったってわけさ。で、問題なのがねぇ。相性が非常に良すぎたのさ」
星詠み、暗明・一五六は愉快そうに続ける。
「悪食のフォボス――怪異として見るなら、封印指定人間災厄、対処不能災厄、何方とも謂えるほどの存在さ。知的生命体の『負の感情』そのもの、と、説明したって過言じゃあない。加えて、人魚姫のお土産『電子の泡』までついてきている。Ankerが参加する事で有利になるのは同じだが……相手が相手だ。精神的にやられる可能性が高い」
「ぶっちゃけ人魚姫の方が対処し易いとは思うぜ? まあ、精々、狂わないように頑張り給え。アッハッハ!」
マスターより
にゃあらにゃあらです。
抉るような。
縊匣の欠片を摘出した場合、倒し易くはなります。
プレイングボーナス:「電子の泡」に対処する(Ankerなら効果倍増)。
制圧効果:エレクトリック・マーメイドから抜いた縊匣の欠片を元に、終戦後「縊匣特務隊」を結成する(詳しい説明は戦争説明ページを参照して下さい)。
91
第1章 ボス戦 『悪食のフォボス』
POW
オヤスミよい子
【昏睡作用のある毒】のブレスを放つ無敵の【敵対する相手のトラウマの対象】に変身する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化するが、その度に体内の【蓄えた悪夢】を大量消費し、枯渇すると気絶。
【昏睡作用のある毒】のブレスを放つ無敵の【敵対する相手のトラウマの対象】に変身する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化するが、その度に体内の【蓄えた悪夢】を大量消費し、枯渇すると気絶。
SPD
悪夢の世界へようこそ
【深淵の眼】から【悪夢を見せる脳波】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【発狂】して死亡する。
【深淵の眼】から【悪夢を見せる脳波】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【発狂】して死亡する。
WIZ
引裂き圧し潰す鉤爪
【深淵から伸びる悍ましい鉤爪】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
【深淵から伸びる悍ましい鉤爪】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
悪食のフォボス――|恐怖《かみ》を冠する存在、その異様。
電子の泡を纏い、縊匣の欠片を目玉とした『それ』は嗤笑する。
餓えているのだ。渇いているのだ。ならば、満たされるまで、
負の感情を喰い散らかす。
まるで、人魚姫のエンディングを、死を、冒涜するかの如くに。
未曾有のトラウマをほじくり返す。
最早、悪夢は尽きないのだ。最早、深淵は殺せないのだ。
故にこそ、君達は人間精神を忘れてはならない。
澪崎・遼馬アドリブ、連携歓迎
縊匣、欠片となっても厄介なものだな。無差別に選んだのが寄りによって悪感情の澱とは。ある種の人類の天敵と言っても良いのだろう。けれど──
「|貴様《恐怖》を抱えて尚、人間は未だ生きている。」
当人達の世界は既に黄昏に浸っている。だが、どれほど死に瀕していようがまだ生きているのだ。
敵から放たれる脳波は『霊的防護』で減衰する。
【白の世界】を使用。電子の泡ごと悪食を麻痺で縛りつけよう。人間は貴様に振り回されもするが、貴様を押さえつけるのもこの上なく得意なのだ。下手にカタチを得るからそうなる。無形のままであればもう少し骨が折れたというのに。
とはいえ感情を抱えるのにも体力を使う、疾く終わらせよう。【二度とない】を使用。双銃と融け合い巨大な魔銃と化した右腕による『制圧射撃』で撃ち抜こう。
「貴様は確かに当人達の天敵だが……忘れているのなら思い出させてやる。|当人《人間》達もまた貴様の天敵だということを」
その名は何処に存在しているのか。
異形の右腕、巨大な魔銃、患う誰かの為の……。
鮮度のよろしい死骸のハラワタ、つついて、引っ張って、ちぎるよりも、あの怪異の所業は冒涜的だ。いや、|的《●》などと尾っぽを付けていられないほどに邪悪であった。縊匣、欠片となっても厄介なものだな。無差別に選んだのが……いや、違うか。悪感情の澱の方からやってきたのかもしれない。最早、ある種の人類の天敵と言っても良いのだろう。けれど――。逆に、解釈をしてしまえば、悪食は不倶戴天では無いのだ。忌々しい事に一切合切は隣人であり、横を向くだけで邂逅できる『あたりまえ』とも解せよう。つまりは……。
「|貴様《恐怖》を抱えて尚、人間は未だ生きている」
当人達の世界は既に黄昏に浸っている。だが、どれほど死に瀕していようが、貴様が未曾有では『ない』限り、懸命に生きているのだ。まさか、人間が、|人間《ウィリアム》を殺す為だけに呼吸をしているとでも謂うのか……? 深淵の目――眼窩――欠片を光輝させる魔障は、澪崎・遼馬を観測していた。これが黒死だと宣うのであれば、成程、貴様は滑稽だな。大人の礼儀は要らないし、子供に対しての優しさも要らない。そもそも、あれは『窓枠の獣』なのだ。招き入れてやる所以はない。
汝らのものなる邪悪な眼――脳髄へと這入り込む悪夢の冠――嗚呼、何もかもを減衰させてやると宜しい。やけに分厚い冒険こそを得意とするならば、現、アルビノを謳ってやるといい。屠まれ……! 容易な言の葉だ。テケリ・リ……! 成程、恐怖を表現するのであれば、その『叫び』こそが相応しい。……人間は貴様に振り回されもするが、貴様を押さえつけるのもこの上なく得意なのだ。下手にカタチを得るから、猿や虎や蛇を真似るから、そうなる。無形のままであればもう少し骨が折れたと謂うのに……。
未知なる恐怖を殺したのだ。これも、人間の罪と謂えよう。
終わらせなければならない。疾く、終いとしなければならない。
「貴様は確かに当人達の天敵だが……忘れているのなら、思い出させてやる。|当人《人間》達もまた貴様の天敵だということを」
真理の書を捧げるつもりはない。
オマエが恐怖を騙る事など――『二度とない』。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
ディラン・ヴァルフリート……まったく
|人魚《アレ》も永劫、焦がれ続けるものと踏んでいたのですが……
手を引かれて一抜けとは。
理解にも参考にも程遠いにせよ
見せつけられた分は記憶しておきましょう
さて
悪性を封じた身は本来トラウマとも無縁ですが
今はあの人魚の。
多くの方が美しいと評するらしい結末が該当するようです
丁度良いですね
[断界]泡の対処は二度目、敵攻撃も《オーラ防御+受け流し》
【叛刻】は足元に外し支配領域を展開
[evil]悪性:嫉妬・憤怒・暴食・強欲の《封印を解く》事で
《リミッター解除+ハッキング+属性攻撃》
インビジブルから搾り取った力で《異形化》猶も巨大化
二度目の【叛刻】《早業+怪力》次は外さず
一撃で悪夢を削り切りそのまま挽き潰します
|軽く《・・》発散すれば後は普段通り
此方の方が余程馴染むが故に、平らげれば封を戻して終いです
"|勇者《アレ》"は……王子様等と呼ばれていた事はありませんでしたね
この手で縊る前に勝手に散った路傍の石
幾度思い返せど惜しいとも思えぬ以上
やはり無意味だったのでしょう
また別の手を探さなければ……
溶けて消えたアクアマリン、空っぽの宝箱に棲み憑いたのは『人の性』の一言で絞め付けられた。縊死に定められてしまった、最早、意思の有無すらも解せない餓鬼に如何様な視線を送るべきか。……まったく。|人魚《アレ》も永劫、焦がれ続けるものと踏んでいたのですが……。恋煩いとは、一種の煉獄なのだが、ほんの少し背中を押すだけで『こう』も進展するとは想定外であった。手を引かれて一抜けとは……理解にも参考にも程遠いにせよ、見せつけられた分は記憶しておきましょう。王子様はちゃんと見つけてくれたのだ。王子様はしっかりと愛してくれたのだ。たとえ、その影が幻想のような沙汰で在ったとしても。……さて。魔に坐しているのか、魔として坐したのか、何方にしても、お粗末なギミックである。悪性を封じた身は本来、負の感情、自身のトラウマなどとは無縁ですが。今はあの人魚の……エレクトリック・マーメイドの。多くの方が美しいと評するらしい|結末《ラスト》が該当するようです。ええ……本当に。丁度良いですね。変身先を昆虫にしたところで、嗚呼、最後の文句が書き直される事など無いのだ。結局のところ、これは泡沫なのだろう。
支配――目の届く範囲であれ、手の届く範囲であれ、法外な力である事に差とやらはない。さまよう眼窩より放出された電子の泡、ぶくぶく、ぶくぶく、流れとやらには逆らえないか。……これなら、使い方を把握している、理解している人魚の方が、幾らかマシだったのかもしれませんね。解放された悪性の名を連ねていくといい。レヴィアタン、サタン、ベルゼブブ、マモン――あらゆる悪魔のキメラとして異形化せよ、まさしく、形容し難い。あとは、狙いを外さずに。この一撃を以て|悪夢《●●》とやらを削り取り……。
挽き潰してやればよろしい。
軽く発散したのだ。ほんの少し、晴らしてやったのだ。此方こそがオマエに相応なのであれば、馴染むのであれば、欠片と残さず平らげてくれ。臭い物に蓋をする? まさしく。暴力的なまでに素敵な諺だ。"|勇者《アレ》"は……王子様等と呼ばれていた事はありませんでしたね。修羅の道に色恋は要らない、そういう意味であろうか。
この手で縊る前に、この手で屠る前に、勝手に散った路傍の石。幾度思い出せど惜しいとも思えぬ以上。やはり無駄だったのでしょう。やはり無意味だったのでしょう。また、別の手を……別の術を探さなければ……。
道を拓いたのではない。砕いたのだ。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
雪月・らぴかひええ、宿主いなくなってもまた探すとか王劍だいぶやばいやつじゃん!でもって縊匣だけじゃなくて戦争って状況も負の感情湧きやすくてフォボスと相性いいんじゃないの!?こりゃはやいとこ倒さないとね!
泡の対処に時間かけるとフォボスが何かしそうでやばいし、【霊雪爆鎚コールドボンバー】発動して範囲攻撃でまとめて爆撃するよ!フォボスも巻き込めるといいかも!
敵の√能力は避けるのきつそうだし、伸びてきた鉤爪を杖で直接殴って打撃と爆発両方での相殺を狙ってみるよ!
メンタルやばい感じしてきたら一旦離れて持ってきたいちご食べようね!好きなもの、日常を感じるもので正気取り戻すんだよ!
元気こそが武器となった。
ジャンプスケアの化身として、コズミックホラーの真似事として、恐怖症が貌を出した。髑髏を彷彿とさせているのは、おそらく、人類が勝手に抱いたイメージでしかない。おそらく、他の知的生命体には『別の何か』に見えているのだろう。こんにちは、深淵。縊匣の欠片までもが墜落を続けている。ひ、ひええ……。雪月・らぴか、甘ったるいアルコールがお似合いなオマエは、成程、ホラーが大好きな女子である。しかし、嗚呼、フィクションとリアルはまったく違うものだ。加えて……。や、宿主いなくなってもまた探すとか王劍だいぶやばいやつじゃん! でもって? 縊匣だけじゃなくて? 戦争って状況も負の感情湧き易いから……? 最悪だ。未曾有なまでに最悪だ。悪食のフォボスは餓えていて、渇いていて、より、濃密な負の感情を欲している。こりゃはやいとこ倒さないとね! 時間をかければかけるほど、長引けば長引くほど、EDENに不利だ。電光石火こそが肝と考えられよう。
三月ウサギが狂っているのであれば、二月の満月の理性は如何に。魔法の類や魔術の類、神秘とやらは現実、爆撃、撲殺の為に扱ってやるのが正解か。やっぱり火力だよね、火力! 押してダメならもっと押さなくちゃ。電子の泡だろうと、深淵からの鉤爪だろうと、直にぶん殴ってやれば豆腐と同じだ。まあ、今は、何にも考えない方が良さそうだからね。まるで台風、まるで大嵐、おどるポニーテールはいよいよ――相殺だけには留まらない。
穴だらけだ。クレーターのお祭り騒ぎだ。怪物であろうとも、怪異であろうとも、モグラ叩きには耐えられない。ふう……? しかし、何故だろうか。好奇心の所為で猫を殺されたのか。自分は殴られていないと謂うのに――ぐるんと、世界が回っている。
異常、メンタルの状態とやらに、刹那の内に気づけたのは幸運だった。何処か、物陰へと身を滑らせて取り出したのは『いちご』一粒。好きなもの、日常を感じるもので正気を取り戻すんだよ! 口腔、甘酸っぱさに満たされて、正常、噛みしめてくれ。
さあ、続きだよ。絶対に、負けてあげないからね!
🔵🔵🔴 成功
ゼロ・ロストブルー※アドリブ、連携歓迎
※戦争中は写真撮りながら色んな場をうろうろ
冒険者時代、対峙した奴の首を狩った。
笑いあった、仲間だと思った、敵でも分かりあえると思った。人質がいる、恩義がある等理由は様々だったが…悲観、諦観、安寧、乗る感情は様々だが最後は皆笑っていた。
敵は今、「倒したくなかった奴ら」の姿をしている。
…はは、これは…不愉快だ、とても。
普段はあまり、そう思うことはないんだが…これは許されない。
泡の中を駆け、真っ直ぐに。攻撃は双斧で受け(【武器受け】)体重と回転を乗せた【重量攻撃】を。
悪いな、さすがにこれで終わらせない。
刺さった斧へ、追撃のようにそのまま蹴りを見舞うよ(【戦闘知識】【2回攻撃】)
死闘――死別――幾つかの記憶を弄られて、煮えたのだ。
世界が違えば、√が違えば、何もかもが違うのだと、そのような幻想を抱いてはならない。黄昏色であれ、楽園の色であれ、彼方までも――神様気取りの悪趣味は消えやしないのだ。冒険者時代、対峙した奴の首を狩った。笑いあった、仲間だと思った、敵でも分かりあえると思った。人質がいる、金がない、明日生きる為の食料がない、恩義がある、など理由は様々だったが……悲観、諦観、安寧、乗る感情は……乗せられた感情も様々だが、最後は皆笑っていた。目と鼻の先、嗤笑する深淵を覗き込んだところで、それが、愉悦の類とは言い難い。敵は……これは今「倒したくなかった奴ら」の姿をしている。それも、哀しみや恐れ、苦しみからくる憎悪の沙汰ではなく。只、旧友を迎えに来ただけの『よう』だ。
はは……はは……不愉快だ、とても……頭の中に、土足で踏み入られた、そんな気分だ。普段はあまり、そう思うことはないんだが……ナツメもいないし、問題ないだろう……これだけは、許されない。そうとも、ゼロ・ロストブルー、オマエの前に存在している悪食は『欠片を受け入れる』程度には冒涜の権化なのだ。滅ぼさなければならない。それこそ、ダンジョンの奥で――ふんぞり返っている連中『より』も。
電子の泡はオマエに見向きもしなかった。きっと、エレクトリック・マーメイドの想いも籠められていたが故に。真っ直ぐだ。只管、真っ直ぐに双斧を握り締めて『冒涜』を叩け。俺を、俺達を、嘲笑した。その報いだけは……必ず……! 体重と回転を乗せた|重量《おも》いの一撃。髑髏をカチ割ったとしても、嗚呼、飛沫がなければ治まらない。
悪いな、さすがにこれで終わらせない。
奥へ、奥へ、突き刺さった斧。其処に蹴りを仕掛けてやれば――欠片諸共に潰せるだろうか。嗚呼、聞こえる。誰かの声が聞こえる。誰かの声が消え失せると同時、フォビアは『食べられなかった』と悔しそうに。
🔵🔵🔴 成功
プレジデント・クロノス私は、エンターテイメント系大企業、PR会社『オリュンポス』のCEO。確か先日この辺りで、人魚を中心とした劇団員たちが交代で活動していたな。
ところで、あの虚空に浮かぶ髑髏のようなものは何だ?
ふむ、不気味さと大量の泡を織り込む事でファンシーさを演出しているのだろうが、カートゥーンに失敗したかのような…。いやいや、これほどの宣伝を行うならそういうコンセプト(精神抵抗、狂気耐性、毒耐性)なんだろう。
それにしても、人魚の時のあの泡を出す演出機材をまた再利用しているのか…。
む、眼窩の奥に何かあるな。ちょっと失礼(眼窩に手を突っ込んで欠片を引っこ抜く)
何かね…そんな恨みがましい表情で見つめても何も出ないが?
人間の強さとは何処に存在しているのか。
考えたところで答えはなく、やはり、未曾有の領域に在るのだ。
火中の栗を拾った結果、弾け飛び、そこらに散らばったような感覚に陥る。いや、仮に、陥るような沙汰になってもプレジデント・クロノス、オマエにとっては柳に等しい。私は、エンターテインメント系大企業、PR会社『オリュンポス』のCEO。確か先日、この辺りで人魚を中心とした劇団員たちが交代で活動していたな。王権執行者『エレクトリック・マーメイド』、彼女は王子様と巡り合い、この世から、泡となって消えたのだが。実に感動的な、ハッピーな……いいや、メリーなお終いであったと謂えよう。ところで……あの虚空に浮かぶ髑髏のようなものは何だ? すっと、白い仮面の隙間から|視認《●●》したのはフォボス。通常であれば、常人であれば、刹那と認めるだけで錯乱状態に陥ってしまうほどの悪夢。ふむ……無気味さと大量の泡を織り込む事でファンシーさを演出しているのだろうが、カートゥーンに失敗したかのような……? そう、幾ら何でも過剰なのだ。何方か『ひとつ』なのであればジャンルも理解できよう。いやいや、これほどの宣伝を行うならそういうコンセプトなんだろう。痛くも、痒くも、苦しくも、恐ろしくもない。この無反応には、ひどい冷静さには、悪食のフォボスも困惑している。これは本当に人間なのか、と。
人間である。異常なまでに強靭な人間である。それにしても、人魚の時の泡を出す演出機材をまた再利用しているのか……? こんなことを言いたくはないが、予算が足りなかったのでは……む? 眼窩の奥に何かあるな。ちょっと失礼。人間は……逸般人は、眼窩、深淵へと腕を突っ込んだ。まさぐり、探し当て、そのまま『欠片』を引っこ抜く。嗚呼、何もない。この人間からは、飢えを満たす為の『負の感情』が見当たらない。
何かね……そんな、恨みがましい、腹を空かせた子供のような、表情で……。見つめても、覗き込んでも、何も出ないが? 怪異は餌を求めて貌を逸らした。
🔵🔵🔴 成功
和紋・蜚廉蝕む泡のざわめきが空気を歪める。
翳嗅盤がその気配を拾った瞬間、斥殻紐を散らして奔るように舞わせ、
触れた端から摩擦熱でひとつずつ弾けさせて消していく。
あの泡を許せば、心の奥を勝手に暴かれるだけだ。そんな真似はさせん。
フォボスの変質の気配が近づく。
炎の影を象って迫ってくるが、胸の奥はもう揺れない。
かつて焼けた記憶は、今となっては歩いてきた証のひとつでしかない。
誰かに支えられたことで越えたものを、今さら脅しに使われる筋合いはない。
触厭を掌に宿し、こちらへ伸びる昏睡の毒ごと力を殺す。
動きが止まった刹那、迷わず踏み込む。
右掌を前へ。
恐れではなく、守りたい未来へ向かって伸ばす手だ。
変じた姿の胸、悪夢の像が構成される中心。
そこへグラップルの要領で指を掛け、
殻の奥に宿る筋力を込めて“欠片”を引きずり出すように握り潰す。
抵抗の揺らぎを、身ごと押し返す。
乗り越えたものを糧に、今を守るために。
そのためだけに、迷わず手を伸ばし続ける。
悪辣さに混じって聞こえた腹の虫の鳴き声。
誰がもっとも哀れなのかを教えてやるとよろしい。
三億ほどの蓄積が――半永久的に溜め込まれた大罪が――ある種のカタチとなって出現するとした場合、和紋・蜚廉は何をイメージするのか。欠落してしまった己を恥じるつもりはないのだが、しかし、この連続性から切り離されてしまった感覚には、成程、慣れたくはない。蝕む泡のざわめきが、電子の泡のうごめきが空気を歪めていく。その気配を拾った瞬間にオマエが散らしたのは|紐《●》であった。此処が地獄なのだとしたら、ああ、己こそが地獄へと落ちた蜘蛛であり、自身の力のみで上昇をしなければいけないのだ。摩擦熱、はじけていくシャボンを把握しつつ、ふと、想いを掲げる。あの泡を赦せば、あの脅威を赦せば、心の奥を勝手に暴かれるだけだ。そんな真似はさせん。たとえ、我の大罪が増えようとも――これは怠惰なのだろうか。それとも、強欲なのだろうか。汝、我は、汝ほどの傲慢を見た事がない。変質していく|恐怖《フォボス》、如何様なカタチを得てしまったのか。
炎である。それも、莫迦みたいに大きな、炎の影である。揺らめき、嘲笑い、オマエへと近づいてくるのだが……果たして、このような恐れが何を孕むと謂うのか。胸の奥はびくりともしない。かつて焼けた記憶は、今となっては歩いてきた証のひとつでしかない。誰かに支えられたことで越えたものを……克服したものを……今更、脅しに使われる筋合いはない。気がつけば恐怖、手の届く場所に置いてあった。毒であれ、薬であれ、最早、右掌さえ翳せば――触厭――暴食する為の器官として。
悪食のフォボスは沈黙している。何をされているのか、刹那、解せなかったのだ。ならば、今こそが好機だとオマエ、迷いなく踏み込んでみせた。恐れではなく、病でもなく、只、守りたい未来へ向かって伸ばす手だ。汝のような存在こそ、打ち倒されるべきだと思わないか。炎が呼吸をするのであれば、さあ、悪夢の像が構成される中心へ指をかけよ。あとは怪力乱神――野良の渾身で以て『欠片』を引きずり出すといい。握り潰してやるといい。汝、まさか、抵抗していないのか? いや、汝はおそらく、いつかの我と同じく。腹を空かせているだけなのか。
乗り越えたものを糧に、今を守る為に。
その為だけに、狂気と呼ばれようとも、
迷わず手を伸ばし続ける。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
ミーシャ・エン・フォーレヌス恐怖と悪夢は人に『見』えなくては意味を為さぬ。ゆえに縛るべき災厄は自ずと|眼前《ここ》に現れる。
【劫】により、悪夢を悪夢の鎖に縛り、対峙する。
”電子の泡”が迎えるは、握るAnkerに意思奪われた天女。電算に生じる|逡巡《タイムラグ》。全てはその間に。動かずとも叫喚を唆す|恐怖《フォボス》の瞳より、伸縮自在の『虚構魔剣』で欠片を|抜き取り《盗み攻撃》、代わりにAnkerたる魔剣を突き立て眼窩を穿つ。そして【劫】を解き、夢を掃う。
心に落ちる澱みより、魔剣なる器物が生まれたのなら。刃先より注ぐは純粋なる感謝の念。|焼け堕ちろ《祈り+焼却》。
ええ、私は、誰かの為に呼吸をしているのです。
まだ、私には、出来る事が残されて……。
己が己を揮わなければ、まさしく、己が己のものとは思えない。果たして、抑圧の悪夢というものは誰にとっての悪夢だったのか。
貫いたのは何処かと、抱擁したのはいつなのかと、僅かに残された魔障を身に宿し『フォーレヌス』は知性を巡らせた。恐怖と悪夢は人に『見』えなくては意味を為さぬ。狂気と絶望は人に『知』られなくては意味を為さぬ。ゆえに縛るべき災厄は自ずと|眼前《ここ》に現れる。浄化をされても尚、弱化されても尚、オマエは|魔剣《オマエ》なのだ。失楽園を経験した知性とやらが、嗚呼、まさか、楽園を守る為に、身投げを余儀なくされるとは……。そうとも、忌々しいだろう? 勿論、この忌まわしさと謂うものは、天女、今のオレの手足にも掛けるべき言の葉なのだが。|劫《カルパ》――放たれた鎖が、悪夢が、別の|悪夢《フォビア》を縛してみせた。禍々しい鉤爪、嗚呼、姿見を添えておけば無用なのだ。
エレクトリック・マーメイドの置き土産、ぶくぶく嗤いの矛先はおそらく|天女《●●》の方だ。まるで、人形のように肢体を晒している彼女こそ、まさしく、浄化の原因に他ならない。電算に生じてしまった|逡巡《タイムラグ》。十分だ。あの|同族《●●》から得物を掻っ攫うのには十分な時間だったのだ。魔剣を振るうねこ、最早、小さな箱からは逃れられない。|虚構魔剣《シュレディンガー》、伸縮自在な獣性を如何か眼窩へ入れてくれ。
叫喚を唆したところで、負の感情を嗅ぎ取ったところで、
|魔剣《それ》を代わりにされるなど想定外か。
心に落ちる澱みより、魔剣なる器物が生まれたのなら。
刃先より注ぐは純粋なる|感謝《●●》の念。
|劫《カルパ》より、悪夢は解放され、己こそが叫喚に招かれたと知る。
焼け堕ちろ――混沌とした心身の状態、それを表現するかの如く。
🔵🔵🔴 成功
四之宮・榴アドリブ・アレンジ・連携歓迎。
心情
…王劍『縊匣』は…節操がない、です。
…僕は…欠落のせいで…負の感情が、分かりません。
…だから、貴方なんて…怖くない…っ…!
…人魚姫の哀願を…屈指なかった…強い意思を…貴方には絶対に穢れさせない…から…。
…欠陥品な、僕でも…幸せは…理解したいんです。
…少なくとも…僕は、貴方を受け入れない…そして、無辜に人々を護るんです。
行動
攻撃を素直には喰らわないように、√能力で毒にはより強力な毒を。
幸福になる|薬《毒》は、僕は幾らでも作れるから。
遠距離はタロットで、近距離は、ファイアースターター
敵の攻撃はインビジブル達を味方に付けて躱して不意打ちやカウンターを深海の捕食者に。
憧れ、恋煩い、その後の憤懣については、最早、四之宮・榴、オマエの|情念《もの》とされていた。受け継がれた意思と謂うものは、押し付けられた意志と謂うものは、何処までも甘酸っぱくて、何よりも度し難いのか。……王劍『縊匣』……。名を呼んだとしても、名を唱えたとしても、おそらく、応えとやらは無いだろう。仮に、掌握しなければならない状況に陥ったとしても、オマエは『それ』に触れたくもないと思うに違いない。……節操のない、ものは、手放されます……僕は……そのような『感情』を持ち合わせてはいませんが……ええ、わかりませんが……。自身のマイナスの部分をプラスに変えてしまえ。この視線こそが、この双眸こそが、眼窩へと挑む得物と謂えよう。……貴方なんて……貴方みたいな『もの』なんて……怖くない……っ……! 悪食のフォボスは『虎の威を借りる狐』ではない。しかし、オマエの確固たる『おもい』を嗅ぎ取って、美味しくなさそうだと嗤笑した。
恐怖には、より強い想いを。狂気には、より強い狂いを。毒には、より強力な毒を。つまりは、四之宮・榴、オマエの頭の中には現、|人間《ほんもの》だけが蔓延していたのだ。……人魚姫の哀願を……屈しなかった……強い意思を……貴方のような、怪物に……絶対に……穢させるわけには……! 蹂躙するのではない。翻弄するのだ。縦横無尽に入れ替わり、手を変え、品を変え、札を投げ――反転した死に神の志を欠片へ届けると宜しい。
……欠陥品な、僕でも……幸せは、理解したいんです……たとえ、その幸せが、最期に見る幻想だったとしても……それに……少なくとも、僕は……僕だけでは、ありませんが……貴方を、受け入れる事はないでしょう……そして、無辜の人々を護るんです。
随分と毒されてはいないか、人間。この台詞を紳士が耳にしていたら、きっと、苦笑いをしてくれるに違いない。捕食されるつもりなど、嗚呼、餌側には無いのだ。見えない彼等の合図と同時に、漆黒、殴打に繋げてやるといい。
🔵🔵🔴 成功
赫夜・リツ【赫】
人魚姫が鎮まって、ほっとしたばかりなのに
縊匣は別の宿主を見つけたのか…
では早速行ってきますってシュウヤさんに言ったら
当たり前のようについてきちゃったよ
いや、確かにAnkerがいると有利にはなりますけど
精神的にやられる可能性が高いって聞きましたし避難した方が…
と言っても聞かないよね、この人
分かりました、一緒に行きましょう
シュウヤさんのおかげで泡は来ないけど
それ以外の攻撃は霊的防護や精神抵抗で防ぐようにしないと
一瞬でも悪夢が見えたとしても
指示通りフォボスを【残光の軌跡】で攻撃して
欠片を取り除けるように行動する
シュウヤさんは、どんな悪夢を見たんだろう
僕が見たのはノイズだけで…何も分からなかった
一ノ瀬・シュウヤ【赫】
人魚姫は王子と再会できたのか
しかし、それで終わらず…様々な怪異や災厄に宿るとは…
こうしてはいられない、急いで向かおう
何だ?リツがごちゃごちゃと言ってきたな
Ankerがいると有利になるなら、ついていった方がいいだろう
無茶はしないでおくから、安心しろ
…あれが悪食のフォボスか
泡は人魚姫の時と同じように襲ってくることはないが
問題はフォボス自身が放ってくる精神攻撃か
リツが俺に気を取られなくてもいいように
俺もドローンで霊的防護を高めた障壁を張って防ぐから
お前はすぐに攻撃に移れと指示を出しておこう
わずかでも悪夢が見えたら、気力を奮い立たせて
こちらもメスで攻撃し欠片を取り除けるよう力を尽くす
リツは何か見たのか
その様子だと不明瞭なものでも見えたのだろうか
俺の方は何度も見ている悪夢と同じものが見えたからか
どうにか堪えて吞み込まれずに済みそうだが、慣れたくないものだ
見たものは死に顔だらけで…その中には親友の顔も…
本当の答えが返ってくるわけではないのに
昔はそんな夢を見るたびに謝って…語りかけていた事がある
アクアリウムの振盪が治まって後、数時間、おぞましい事に『縊死』とやらは終わらなかった。妄執を抱いた小さな王劍、砕かれても尚、刺さろうとしたのは冗長極まりないか。兎にも角にも、戦争はまったく、此処からが佳境と思惟すべきだ。ため息の代わりに言葉を吐こうとして、一ノ瀬・シュウヤ、眼鏡の位置を直しておいた。……人魚姫は王子と再会できたのか。仮に、走馬灯のようなものだとしても、彼女にとっては幸せだったに違いない。しかし、それで終わらず……様々な怪異や災厄に宿るとは……もしかしたら、リツにも『刺さる』かもしれない。そう考えてしまったら、そう思ってしまったら、居ても立っても居られない。急いで向かおう……エミに気づかれないように、な。あの、シュウヤさん。それは僕の台詞ですよ。ええ、シュウヤさんには『気づかれたく』なかった。なんて。
赫夜・リツにとっても、人間災厄「ルベル」にとっても、この状況は最悪に近しい。折角のハッピーエンドがバッドエンドに侵されるかのような、そんな不快感だ。人魚姫が鎮まって、ほっとしたばかりなのに。縊匣は別の宿主を見つけたのか……。本当は、こっそりと、挨拶もなしに行くべきだったのだが、しかし、この「行ってきます」だけは外せない。嗚呼、外せなかった結果が上司からのご一緒なのだが。まさか、当たり前のようについてくる、なんてことはありませんよね? 何だ? 俺がいた方が『何かと便利』だと耳にしたんだが……。ああ、無茶はしないでおくから、安心しろ。安心なんて出来る筈がない。何せ、宿主とやらは『精神に悪影響を及ぼす』、厄介な怪異なのだから。いや、やっぱり避難した方が……。リツ、俺がどのような人間かくらいは、わかっているとは思うが。なんとも頭が痛いお話だ。……分かりました、一緒に行きましょう。ただし、危なくなったら撤退しますからね。舌を引っこ抜かれるかのような、そんな、乾かぬ内に。
悪食のフォボス――資料を捲ったならば、畢竟、戦争とは関係なく『目撃者』からの情報が多いらしい。いや、正確には『錯乱状態に陥った目撃者』からの情報なのだが――。やはり、聞いていた通りのおぞましい存在だな。泡は……あの時と同じように襲ってくることはないが。眼窩――深淵の眼より――未曾有の毒気とやらが、波のようにやってきた。それを如何にか防護しようと、解剖の達人、巧みにドローンを展開してみせる。これで……まあ、少しは問題ないだろう。リツ、お前はすぐにでも攻撃に移れ。こくりと、隣の部下は頷いてくれた。任せてください。ギョロ、素早く撃破するからね。ギャハハ! なあ、リツ! アイツ、俺を同類みたいに見て来やがるぜ! 深紅――超加速によって眼光を残し――王劍の欠片へと飛び込んだ。……おい、リツ。手を伸ばせ。伸ばさねぇと……聞いてんのか? 何が見えたのだろうか。何を聞いたのだろうか。脳髄を抉られるかのような悪夢が、ノイズが、広がるかのように――ギョロ、ごめん、大丈夫。この程度で狂ったりなんか、出来ないから。抜き取った! 抜き取ると同時に、潰してやった。この軌跡からは逃れられない。
一ノ瀬・シュウヤは刹那、部下が躊躇したようにも見えた。勿論、ほんの僅かな時でしかないのだが、きっと、何かを見たに違いない。あの様子だと不明瞭な『もの』と考えられるが、しかし、己の方は如何だろうか。……慣れたくないものだ、このような、悪夢……。何度も、何度も、反芻している。今日はいつもよりリアルなだけで、呑み込まれるほどの、吐き気がするほどの『もの』ではない。ああ、死んでいる。死に顔だらけだ。その中にはオマエの親友の|顔《かんばせ》も……。答えはない。応えもない。だが、そうだ。俺は昔、そんな夢を見るたびに謝って……語りかけていた事が……? げふ、彼方、悪食の粗相が響く。……獏とするにはいい加減な、一昔前のカートゥーンみたいな、怪異だったな。
欠片を失くした|悪食《それ》は静かに、静かに、消え失せた。
そうして二人は互いの|悪夢《ゆめ》を思いつつ、
墓荒らしの沈黙を確認した。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 成功
