シナリオ

⑱迷宮に潜む大鬼

#√妖怪百鬼夜行 #秋葉原荒覇吐戦 #秋葉原荒覇吐戦⑱

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⚔️王劍戦争:秋葉原荒覇吐戦

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

●魔空湯島聖堂にて
「マガツヘビが敗れたか…」
 混沌の如く姿を変える迷宮と化した『魔空湯島聖堂』の奥で、大妖『禍津鬼荒覇吐』はつまらなそうな表情を浮かべていた。
「つまらぬ余興となってしまったが、まあいい。あと少しで終わる…否、始まるというのが正しいか」
 これから始まる宴を思い浮かべ、禍津鬼荒覇吐はマガツヘビの存在を即座に記憶から追いやった。
「だが宴始まるまでに乗り込んでくる輩が現れるだろう。この俺に勝てると思い込んでいる輩がな」
 そして何も知らずに挑んできた輩を、真なる神力で返り討ちにする。
 宴が始まるまでの退屈しのぎにはなるだろうと、禍津鬼荒覇吐は王劍『|明呪倶利伽羅《みょうじゅくりから》』を手に、重い腰を上げるのであった。

●秋葉原近郊にて
「皆のおかげで秋葉原も平和を取り戻しつつあるが、まだ大仕事が残っているぞ」
 雪願・リューリア(願い届けし者・h01522)は、大妖『禍津鬼荒覇吐』を倒さない限り戦いに勝利したことにならず、そして一刻の猶予も無い事を告げる。
「禍津鬼荒覇吐は、迷宮と化した魔空湯島聖堂にて皆を待ち受けているようだ。我等に敗北する事など微塵も想像していないようだ」
 だがそれだけ大妖『禍津鬼荒覇吐』の桁外れの神力を備えているという、証明でもあるのだ。
「禍津鬼荒覇吐の能力は、全範囲・全対象・無限回復を兼ね備えた、完全存在と呼ぶに相応しいものだ」
 王劍の使い手であることからも、それは誇張でも何でもない事は、疑う者はこの場には居ない。
「でも絶対その自信が打ち砕くことが出来れば、勝機はある筈なんだ」
 迷宮を利用して不意を突く、真正面から『禍津鬼荒覇吐』の神力を一時的にでも上回る、『禍津鬼荒覇吐』の力を逆利用する、といった状況を作り出すことが出来れば一気に実力差を覆す事が出来るだろうと、リューリアは続ける。
「想像してもいないことが起こると、どうしても対応が遅れるからな。完全な神力も発揮さえさせなければ、実力差も関係ないということだ」
 尚、迷宮には罠はないものの奥は視界もかなり悪く、複雑な構造である為、奇襲する事も十分に可能ではあるとリューリアは付け加える。
「最後に相応しい強敵だけど、倒せない相手ではないぞ。だから皆の力を今一度貸して欲しい」
 そう説明を締めくくったリューリアは、志願した√能力者達を、魔空湯島聖堂にへと送り届けるのだった。

マスターより

吾妻 銀
 吾妻 銀です。

 ルートエデンでは4本目の戦争シナリオを出させて頂きます。
 大妖『禍津鬼荒覇吐』とのボス戦となります。
 この戦場を制圧する事が戦争の勝利条件となります。

 プレイングボーナスは「迷宮化した湯島聖堂を攻略・利用して戦う/禍津鬼荒覇吐が「完全存在」である事を利用する。」となります。
 参加受付はOP公開後からとなります。
 断章はありません。
 締め切りは参加状況を見て、タグに記載します。

 それでは皆様の参加をお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『大妖『禍津鬼荒覇吐』』


POW アラハバキクリカラノオオダチ
【原初の神力】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【荒覇吐倶利伽羅之大太刀】」が使用可能になる。
SPD ウマシアシカビノウタゲ
半径レベルmの指定した全対象に【無形なる原初の神の神力】から創造した【不完全な√能力】を放つ。命中した対象は行動不能・防御力10倍・毎秒負傷回復状態になる。
WIZ トコアマツホムラツヅリ
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【王劍『明呪倶利伽羅』】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【原初の神力に満ちた陽炎】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
イラスト オレゴ
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

和紋・蜚廉
迷宮へ踏み込み、穢殻変態・塵執相を展開。
歪む壁の軋み、床が裏返る衝撃――潜響骨で“迷宮がどの方向へ動くか”を先に読む。
斥殻紐で距離を折り畳み、跳爪鉤で回転した壁をそのまま足場に変え、
迷宮そのものを自分の機動の延長として利用する。

荒覇吐の大太刀が振るわれる前兆は、翳嗅盤が空気の沈みを拾い、
完全ゆえの“揺らがぬ軌道”は野生の勘が一点を指す。
その瞬間に動けるかどうかは、完全よりも“変化速度”の差だ。

斬撃を受ければ殻が砕けるが、塵執相が即座に補填し、
穢刻環声が“受けた挙動”を正確に模倣へ落とし込み、
原闘機構がそれを適応反射として再構築するたび、
壊した瞬間の癖や乱れまでも“次の型”へ繋がる糧となる。
こうして我は常に更新され、荒覇吐の想定済みの完成を過去へ置き去りにしていく。

完全とは変わらぬこと。
変わらぬものは、迷宮の変化と我の更新速度に追いつけない。

迷宮が揺れれば踏み、ひっくり返れば走り、
荒覇吐の読みの外側へ出る。
その“想像の欠落点”こそ――我が拳で穿つ勝機だ。
迷宮ごと荒覇吐の未来をずらし、勝ち筋を我が手で引き寄せる。

「我が奔駆は、死すら置き去る」
 迷宮と化した『魔空湯島聖堂』に踏み込んで早々、和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)は穢殻変態・塵執相を展開する。
 その身を多重殻奔駆躰に変形させることで、自身の身体速度を4倍に上げるが、その代わりに受けるダメージを2倍となってしまう諸刃の形態である。
 変形した蜚廉は迷宮内の歪む壁の軋み、床が裏返る衝撃――潜響骨で“迷宮がどの方向へ動くか”を先に読み、最短ルートで大妖『|禍津鬼荒覇吐《まがつおにあらはばき》』が待つエリアにへと進む。
「早速来たようだな。何の策もなく、この俺に最短で向かって来るとは余裕がないと見える」
 蜚廉の気配を察知した『禍津鬼荒覇吐』は、王劍『|明呪倶利伽羅《みょうじゅくりから》』を手に取って、原初の神力を纏う。
「ふんっ!!」
 そして|荒覇吐倶利伽羅之大太刀《アラハバキクリカラノオオダチ》と化した王劍を、蜚廉が来るであろう方角に向かって無造作に振り下ろした。
 斬撃による凄まじい衝撃波が、変化し続ける迷宮の外殻をも貫いて、蜚廉を一刀両断しにかかる。
「遅い!」
 だが『禍津鬼荒覇吐』の斬撃が届く前に、蜚廉は方向転換して回避したのである。
 まるで迷宮が蜚廉の動きに合わせてくれているかのように、その構造を変化させ続けて、進む道を生み出していく。
「それで避けたつもりか?」
 それでも大太刀の衝撃の余波を受けたことで、蜚廉が纏っていた殻が焼き菓子のように脆く砕けてしまうが、塵執相が即座に補填し、穢刻環声が“受けた挙動”を正確に模倣へ落とし込む。
「そうだ。少しは逃げ回ってもらわねば仕留め甲斐がないからな」
 『禍津鬼荒覇吐』は楽しそうな表情を浮かべながら、大太刀を振るい続け、蜚廉を追い込んでいく。
 ただでさえ防御を薄くしている今の蜚廉は、衝撃をかすめただけでも致命傷になりかねない。
 だが蜚廉はただ逃げ回っているわけではない。
 原闘機構がそれを適応反射として再構築するたび、壊した瞬間の癖や乱れまでも“次の型”へ繋がる糧とする事で、蜚廉は反撃の準備を整えているのだ。
「因果を此処に。穢れを刻みて、聲を返す」
 そして蜚廉は反撃の狼煙をあげる。
「この俺に一太刀浴びせるか!」
 『禍津鬼荒覇吐』が振るう大太刀の一撃をそのまま模倣して、本人にへと返したのである。
 破壊力もそのままの斬撃をその身に受けながらも、『禍津鬼荒覇吐』は表情一つ変える事無く、大太刀を振るい続ける。
 何度攻撃を繰り出しても、その威力はまるで衰える様子もなく、自身を完全存在であると信じて疑わないが故に、多少の反撃を受けた所で戦法を変えるつもりなどないのだ。
 だがそれとは対照的に、蜚廉は何度も殻を破り捨て、そして再生を繰り返す事で常に自らを更新し続け、変化し続ける迷宮と一体になったかのように縦横無尽に『禍津鬼荒覇吐』を攻め立てる。
「期待していたよりも楽しませてくれるではないか!」
 蜚廉と迷宮に翻弄され、次第に『禍津鬼荒覇吐』の表情が曇り始める。
 『禍津鬼荒覇吐』は戦争前にも幾度かEDENと交戦した結果、その力を既に見切っている。
 それ故の自信であり、完成存在でもあったのだが、それも最早過去に過ぎないのだ。
「変わらぬものは、迷宮の変化と我の更新速度に追いつけまい」
 迷宮が揺れれば踏み、ひっくり返れば走り『禍津鬼荒覇吐』の読みの外側へ出る。
「原初が神たるこの俺にふざけた真似を!」
 そう声を荒げる『禍津鬼荒覇吐』は、既に蜚廉と迷宮に置き去りされていることにすら気付いていない。
「その“想像の欠落点”こそ――我が拳で穿つ勝機だ」
 迷宮の支配者にでもなったかのように、蜚廉は迷宮ごと『禍津鬼荒覇吐』の未来をずらし、勝ち筋を自らの手で引き寄せるのであった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

白石・明日香
本当に面倒でつまらない余興だったよな・・・せめて責任くらいとってもらうぞ?
お前の命でな!
迷宮内はバイクを運転して迅速にアラハバキのところへ向かうぜ。時間をかけずに最短で飛ばしていく。
奴とご対面したら先手で弾道計算して奴の目、胸の中心に狙いを定めて制圧射撃をお見舞いして接近し顔面にあるだけの弾丸を零距離射撃で叩きこむぜ!
奴の放つ√能力の詳細は知らんが奴さんの顔面に牽制射撃を撃ち込んで怯んだ隙に後退しバイクを盾にして被害を軽減するくらいか。流石に行動不能は避けたいからな。

胡座かいているからそうなるんだ。いい加減立ち上がってみたらどうだ?
雪月・らぴか
むむむ、荒覇吐の無限回復の能力はやばいとは思うんだけど、なんでそんな能力あるのに全盛期より弱体化してるんだろうね?完全存在っていうのは思ってるより大したことないのかな?ま、それでもやばい敵だし、油断はしないけどびびらずにいってみよー!

まずは迷宮探索して荒覇吐の位置を確認したいね!できれば気づかれたくないから、慎重に進んでいくよ!更に迷路の構造も見ておきたいね!
不意打ち仕掛けられそうで逃げることもできそうな場所を見つけたら一気に突っ込んで【桃象謎打エレファントブロー】を外して酩酊地帯を作るよ!この中なら有利だからここで殴り合いに持ち込んじゃおう!ある程度やったらササッと逃げるよ!
ヴォルフガング・ローゼンクロイツ
「まずは迷宮踏破か。来たれ群狼!」
√能力『群狼招来』を発動、魔導機巧獣『群狼』を呼び出し、【超感覚センサー】で迷宮内を索敵させる。
自身は錬成仮面『魔狼』の【視力】強化、【暗視】機能を働かせ視界の悪さを克服し踏破。
「完全存在を名乗るか。俺は、閉じた永続性を意味する『円』の概念から、限界を超えるべく常に進化する『螺旋』の概念に至った螺旋の錬金術師!故に、俺が勝つ!」
『群狼』を指揮し、【光学迷彩】による【不意打ち】で【電磁クロー】と【魔導機関銃】で【先制攻撃】を行う。
「厄介な力は封じさせて貰うぞ。」
√能力『魔狼連鎖封印』を発動。心臓を√能力発動の起点として指定、『禍津鬼荒覇吐』を√能力封印状態にする。
「螺旋の王権は昇る。愚王の劍は折れ、領土は今、我が手に。魔狼、白銀の断罪を執行す!」
√能力『白銀断罪形態』を発動し、【任意の地形と環境に改変する螺旋式錬成陣】で迷宮の構造を掌握、此方が戦いやすいように操作し、【王劍の機能】を執行停止する事で王劍『明呪倶利伽羅』をも無力化する。
「まさかこうなるとは思ってなかったか?」
攻撃は魔導機巧大盾『天狼護星』の自律防御【盾受け】で防ぎ、雷【属性攻撃】の魔導機巧錬成剣『終極淵源』で【マヒ攻撃】を伴う【切断】で応戦。最後は『白銀断罪形態』の力で、『アラハバキクリカラノオオダチ』を使用し、【荒覇吐倶利伽羅之大太刀】でトドメをさす。

アドリブ・連携(or絡み)歓迎

 王劍『|明呪倶利伽羅《みょうじゅくりから》』を手にした、大妖『|禍津鬼荒覇吐《まがつおにあらはばき》』と戦うには、混沌の迷宮と化した『魔空湯島聖堂』を突破しなければならない。
 事前の情報では迷宮自体に危険は少ないとの事だが、迂闊に踏み込めば思わぬ所で消耗を強いられることだろう。
「まずは迷宮踏破か。来たれ群狼!」
 ヴォルフガング・ローゼンクロイツ(螺旋の錬金術師『|万物回天《オムニア・レヴェルシオー》』・h02692)は、√能力『群狼招来』を発動、魔導機巧獣『群狼』を呼び出し、【超感覚センサー】で迷宮内の索敵に向かわせる。
「共に狩りへ行こう!」
 ヴォルフガング自身は錬成仮面『魔狼』で視力を強化、暗視機能も働かせて、視界の悪さを克服して、迷宮を踏破しにかかる。
「油断はしないけどびびらずにいってみよー!」
 雪月・らぴか(霊術闘士らぴか・h00312)は普段通りの明るく元気な調子で、ヴォルフガングの後に続く。
 『禍津鬼荒覇吐』に気付かれないよう慎重に進みながら、迷路の構造を把握しつつ、位置を確認する。
 それからそう時間も経たない内に、ヴォルフガングが呼び出した『群狼』達の索敵能力も相まって、『禍津鬼荒覇吐』が待ち構えている位置を特定出来たのであった。
「不意打ち仕掛けられそうで逃げることもできそうな場所を見つけたし、突っ込んでもいいよね?」
「ああ、一気に仕掛けるぞ!」
 2人はタイミングを合わせて、迷宮の奥で胡座をかいたまま立ち上がる様子の無い、『禍津鬼荒覇吐』に奇襲攻撃を仕掛けたのである。
「余程命が要らぬと見えるな。だがそうではくては面白くない!」
 『禍津鬼荒覇吐』が2人の存在に気付いたのは、奇襲攻撃を受けてから後の事である。
 それでも動揺する様子は微塵も感じられず、王劍を手にしながらも立ち上がる様子はない。
「ピンクのゾウさん見せちゃうよ!」
 真っ先に仕掛けたのは、らぴかであった。
 魔杖の先端からピンクに輝く象の氷像を『禍津鬼荒覇吐』に向かって全力で振り下ろすも、王劍の一振りだけであっさりと打ち砕かれれしまう。
 続けざまにヴォルフガングの士気された『群狼』が飛び掛かるも、王劍から放たれた原初の神力だけで、牙が届く前に全て吹き飛ばされてしまうのであった。
 2人の奇襲攻撃を難なく凌いだ『禍津鬼荒覇吐』だが、不満の表情が浮かんでいた。
「つまらぬ!これでは余興にもならぬではないか」
「本当に面倒でつまらない余興だったよな・・・お前の考えた余興がだけれどな。だからせめて責任くらいとってもらうぞ?」
 そこへ白石・明日香(人間(√マスクド・ヒーロー)のヴィークル・ライダー・h00522)がバイクに乗ったまま突っ込んできたのである。
「どうやら出遅れが居たようだな」
「これでも最短で飛ばしたのだけれどな、埋め合わせはさせてもらうぞ!」
 『禍津鬼荒覇吐』とご対面した所で、明日香は弾道計算して狙いを定め、目と胸の中心に狙いを定めて制圧射撃をお見舞いしつつ接近して、あるだけの弾丸を零距離射撃で叩き込むのであった。
「成程、少しは楽しめそうだ」
 制圧射撃をその身に受けながらも、『禍津鬼荒覇吐』は、再び原初の神の神力を解き放つ。
 その直後、今まで鳴りを潜めていた迷宮が明日香に牙を向く。
「ちっ、流石に行動不能は避けたいからな」
 『禍津鬼荒覇吐』を守るかのように迷宮が崩落して、頭上から瓦礫の雨が降り注ぐ。
 明日香はバイクを盾にすることで被害を軽減するしかなかった。
「まさかこれで終わりではあるまい?もっと俺を楽しませろ」
 即死どころかミンチになってもおかしくない程の制圧射撃を受けたにもかかわらず、『禍津鬼荒覇吐』の傷は時間が巻き戻していくかのように修復されていく。
「とはいえ完全存在の俺が相手では、そう長くは保たないだろうがな」
 原初の神力と王劍の圧倒的な力を見せつける事が出来て、『禍津鬼荒覇吐』は上機嫌のようである。
「むむむ、荒覇吐の無限回復の能力はやばいとは思うんだけど、なんでそんな能力あるのに全盛期より弱体化してるんだろうね?完全存在っていうのは思ってるより大したことないのかな?」
 その一方で辛くも『禍津鬼荒覇吐』の反撃から逃れた、らぴかが明るい調子で挑発じみた言葉をかける。
「どうやら現実が見えていないようだな」
 優勢であると信じて疑っていない『禍津鬼荒覇吐』は、らぴかの挑発を鼻で笑う。
「見えていないのはそっちじゃないかな」
「何だと?」
 らぴかの言葉で、『禍津鬼荒覇吐』はようやく周囲に異変に気付く。
 先程らぴかが放ったピンク象の氷像による一撃は外れはしたものの、その地点を中心にピンクの象の幻覚が見える桃象酩酊地帯にへと変えていたのである。
 酩酊地帯の中では、らぴかは有利に戦えるのだ。
「次はこっちの番だよね」
 らぴかは再び魔杖から象の氷像を作り出して、『禍津鬼荒覇吐』に殴りかかる。
「く…身体が思うように動かん!」
 『禍津鬼荒覇吐』はこれまで通りに原初の神力を纏って防ごうとしたが、酩酊地帯が見せる幻覚の影響でその動作が遅れ、その結果氷像の一撃をまともに受けてしまうのであった。
「後は任せるよ!」
 一撃を食らわせた後で、らぴかは反撃を受ける前にササッと距離を取る。
「完全存在を名乗るには無様なものだな」
 らぴかの後に続いて、光学迷彩で一時迷宮内に身を潜めていたヴォルフガングが、不意打ちを仕掛ける。
「俺は、閉じた永続性を意味する『円』の概念から、限界を超えるべく常に進化する『螺旋』の概念に至った螺旋の錬金術師だ!」
「だからどうだというのだ?」
 『禍津鬼荒覇吐』の問いかけに、ヴォルフガングは真剣な表情のまま応える。
「故に俺が勝つ!」
 電磁クローと魔導機関銃による連続攻撃を繰り出し、『禍津鬼荒覇吐』に多大なダメージを与える。
「どうやら俺に勝てると勘違いさせてしまったことを詫びなければなるまいな!」
 それでも『禍津鬼荒覇吐』が、その場から立ち上がろうともしないのは、無限回復できる原初の神力に絶対の自信を持っているからだろう。
「厄介な力は封じさせて貰うぞ」
 『禍津鬼荒覇吐』が原初の神力をダメージの回復に回している今が攻め時であると、ヴォルフガングは次の一手を繰り出した。
「螺旋の王権は昇る。愚王の劍は折れ、領土は今、我が手に。魔狼、白銀の断罪を執行す!」
 √能力『白銀断罪形態』を発動し、任意の地形と環境に改変する螺旋式錬成陣で迷宮の構造を掌握、自身が戦いやすいように操作し、王劍の機能を執行停止しにかかる。
「まさかこれはっ!」
 『禍津鬼荒覇吐』が事の重大さに気付いた時には手遅れであった。
 らぴかが残した酩酊地帯の効力も相まって、『白銀断罪形態』によって、王劍『明呪倶利伽羅』は一時的に無力化されたのである。
「胡座かいているからそうなるんだ。いい加減立ち上がってみたらどうだ?」
 警戒し対策さえしていれば、『禍津鬼荒覇吐』の実力であれば防げていただろう。
 『禍津鬼荒覇吐』の慢心が招いた事態に、今度は明日香が鼻で笑う番となったのである。
「まさかこの俺が立つ羽目になるとはな」
 封じられた王劍の代わりに、荒覇吐倶利伽羅之大太刀を抜き、『禍津鬼荒覇吐』は遂に立ち上がる。
「まさかこうなるとは思ってなかったか?」
「それは認めよう。だからこそ面白くなってきたというものだ」
 自分が追い込まれていることを自覚しながらも『禍津鬼荒覇吐』は、不敵に笑いながら大太刀を振り下ろす。
 その攻撃をヴォルフガングは、魔導機巧大盾『天狼護星』による自律防御で防ぎ、雷の属性を纏わせた魔導機巧錬成剣『終極淵源』で反撃する。
「単調な攻撃だな。強がっているようにしか俺には見えん」
「同感だぜ!」
 『終極淵源』の斬撃に『禍津鬼荒覇吐』がマヒした所で、明日香が畳みかける。
「こいつは餞別だ。受け取りな」
 明日香はありったけの鮮血を弾丸に込めて射出し、『禍津鬼荒覇吐』が立つ地点を中心に血の雨を降らせる。
「ぐおおおお!!」
 全身が鮮血を弾丸に打ち貫かれた『禍津鬼荒覇吐』から初めて絶叫があがる。
「何だか調子が上がってきたよ」
「確かにこれは餞別のようだな」
 その一方で血の雨を受けた、らぴかとヴォルフガングは自身の身体能力活性化が高まっていくのを感じた。
「それじゃササッとやっつけちゃおうか!」
 らぴかがこれまで以上の速さで懐に飛び込み、氷の像をハンマーのように振り回して、『禍津鬼荒覇吐』を吹き飛ばした。
「これでトドメを刺させてもらう。ご自慢の太刀でな」
 『白銀断罪形態』の力でヴォルフガングは【荒覇吐倶利伽羅之大太刀】を模倣し、自分の方へ飛んできた『禍津鬼荒覇吐』を一刀両断した。
「ば…馬鹿な!!」
 それが完全存在であった『禍津鬼荒覇吐』の完全なる最後の断末魔であった。
 しばらくすれば迷宮も元の湯島聖堂に戻ることだろう。
 そして『禍津鬼荒覇吐』を倒したことで、長く続いた秋葉原での戦争が終結を迎えるのであった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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