シナリオ

⑰爆破現場より。鯨、はみ出る

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⚔️王劍戦争:秋葉原荒覇吐戦

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

 ここは、カヤックアキバスタジオの爆心地。
 他の√への逃走を試みたマガツヘビによって、無惨にも吹き飛ばされた、跡地……なの、だが。
 ――ずっしん。
 大地を揺るがしてマガツヘビが踏みこもうとした、その先に。
「やあ、こんにちは。」
 黒蛇は、あまりにも朗らかに声を掛けられ、思わず二度見し。
 矮小な頭脳を以てしても頭を抱えたくなった。
 なんだか、物理法則を無視した何かが起きている。
「こんにちは、じゃねぇよ!!!!糞無理があるだろ!!!!どうやってはまったんだよお前!!!!」
 旧万世橋駅前を利用して作られた、旧交通会館の0系新幹線のカット展示の様に。
 白い大きなマッコウクジラの頭部がオフィス跡地からはみ出ていたのだから。
 マガツヘビがツッコミ役に回るとは、明日は槍でも降るかもしれない。
「というか、お前が抜けないと他の√に移動できねぇんだよ!!!!おら、抜くからじっとしてろよ!!!!」
 ――うんとこしょ。どっこいしょ。大きなくじらは、抜けません。
「それにしても、お腹が空きましたねぇ……。『掟』に従って食べてもいいですか?」
「糞マイペースもいい加減にしろよお前!!!?」


「簡潔に言うにゃ。また、つばさのいさなさんが狭いところに嵌って動けなくなってたにゃ。」
 星詠みの少女、瀬堀・秋沙は、己が宿敵の再びの醜態に表情を失っていた。
 いつもぺかぺかとした笑顔を振りまいている彼女の顔が、無である。虚無である。
 そして、一部の√能力者たちも、『またか』と頭を抱えていた。
 小島ほどの大きさを持つ翼を持つマッコウクジラ、つばさのいさなは、空腹のあまり船や飛行機ごと人を食べてしまうという『食欲』を危険視されて封印された古妖である。
 それが何故か、旧万世橋駅迷宮でみちみちに通路に嵌って動けなくなったりしていたところを発見されたのだが。
 今回は何故か、カヤックアキバスタジオ跡地に嵌っているらしい。
 例によってみっちみちである。マガツヘビの膂力でも引っこ抜けなかったのだから、相当酷い嵌り方をしているのだろう。
 とはいえ、幸いにも別ルートに繋がる穴を塞いでいるのだから、悪いことばかりじゃない……と、思いたい。
「とりあえず、『掟』の事もあるから、マガツヘビ退治には協力的にゃ。
 だけど、動けないからただの砲台くらいに思ってた方がいいかもにゃ……。」
 ――なんか、また変な事件だけどよろしくにゃ……。
 子猫はハイライトを失った瞳で、√能力者たちを送り出すのであった。

マスターより

多馬
 皆さまこんにちは、或いは初めまして。多馬でございます。
 時々、どうやって入ったんだお前……!?というところで動物が見付かったりしますよね……。
 なお、鯨の状態のイメージは、旧交通会館の野外展示の0系こだまな状態です。

●第1章
 今回は黒焦げになった、カヤックアキバスタジオの前での戦いです。
 『プレイングボーナス:古妖達と協力して戦う/大穴に逃さないよう戦う。』
 マガツヘビがスタジオ外で立ち往生していますので、『つばさのいさな』と共闘して倒してください。
 『掟』の事もあり、話はわかる性格なので指示は聞きますが、完全にはまってしまっているため、身動きは取れません。
 なお、戦闘手段および『前に嵌った』依頼は此方になります。
 よろしければご覧ください。
(https://tw8.t-walker.jp/scenario/show?scenario_id=7253)

●進行・プレイング受付について。
 公開後、受付開始の予定です。
 また、採用は先着順ではなく、プレイングの内容によっては纏めて描写させて頂きますので、ご承知おきください。
 以上です。
 皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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よろしいですか?

第1章 ボス戦 『マガツヘビ』


POW マガツカイナ
【腕】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【霊的汚染地帯】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
SPD マガツサバキ
60秒間【黒き「妖の火」】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【禍津ノ尾】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
WIZ マガツイクサ
【小型マガツヘビの群れ】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【禍津ノ爪】」が使用可能になる。
イラスト カツハシ
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

レナ・マイヤー(サポート)
ごきげんよう、星詠みさん!
私はレナ・マイヤー。
√ウォーゾーンの学徒動員兵です。
レギオン達と一緒に、任務をお手伝いさせて頂きます。
精一杯、がんばりますね!

とはいっても、私自身はそんなにできることがなくて…
だいたいのことは、レギオン頼りになっちゃうんですよね。
逆に言えば、レギオンができることはだいたいなんとかできます!
偵察とか、情報収集とか、失せ物探しとか…
後は、援護射撃とか、攪乱とか、遠隔地への情報伝達とか?
そんな感じで、レギオンが役に立つ状況なら、私達にお任せください!

あ、ごめんなさい、エロいのはNGで。
それと、未成年なのでお酒と煙草はちょっと無理です……
誉川・晴迪(サポート)
さてはて、お役に立てるでしょうか

これこれは、とっても興味深い……(好奇心旺盛
おっと、キチンとお仕事は致しますよ

一般人救助などでは√能力者以外に見えない特性を活かし
主に敵の誘き出しや、こっそり行動をします
誘導が必要なら私に代わって、かわいいお人形に案内させます
(無言、身振手振、自立可能)

基本戦闘は敵の失敗を誘うような行動から技に繋げることが多いです
魂魄炎は囮や灯り、死霊は死角に回らせ牽制
幻影を纏わせ幻を見せるのも良いですね
仄暗い中で霧や霊気を使うと、とっても雰囲気が出ますよ

√能力は指定した物をどれでも使用
他の猟兵に迷惑をかける行為や、公序良俗に反する行動はしません
あとはお任せ
よろしくお願いします
九沙華・珠姫(サポート)
立岩・竜胆のAnkerの命の恩人×ソウルメイトです。
普段の口調は「冷徹(私、お前、言い捨て)」で冷静沈着ですが、実は面倒見がいいです。

《魅了》などを使用してなるべく会話等で解決しようと動きます。
√能力者や強敵とは正面から戦わないように支援メインで立ち回ります。

他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。依頼の成功のためであれば、公序良俗に反する行動はする可能性があります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
風間・理央(サポート)
半人半妖の妖怪探偵×雷の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》、18歳の男です。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、苦しい時は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
暁・千翼(サポート)
ダンジョンの散策動画投稿を主に行う投稿者
冒険者学園の高等部(通信制)の学生でもある

性格:穏やかな気質。情緒が幼い部分もある
D.E.P.A.S.故に体調を崩しやすく、貧血になりやすい代わりに制御や融合は得意
戦闘中は、冷静な振る舞いになる

戦闘方針
分析して的確に弱点を突くタイプ
【戦闘知識】、【錬金術】を中心に戦術を組み立てる
血刃・双月を的確に改造して戦っていく

戦闘以外
情報収集を中心に動く
説得などは相手に寄り添う方針でこなしていく
必要なら戦闘中でもポーションや造血剤を味方に注意事項を添えて渡す
(※注意事項の典型例:味が酷い、副作用が酷いなど)
四二神・銃真(サポート)
オレはどこにでもいる只の私立探偵。揉め事でも厄介事でもいっちょ噛みさせてもらうぜ?

といってもふらっと来たから…√能力や技能は|パッと思いついたもの《ランダム》でいこう
今日のオレは主役じゃないから、同業者さんには迷惑かけないようにするよ。まあそもそもオレは只の私立探偵だから、猫の手位のサポートにしかならないがね…ククク

そして…敵さん相手なら多少のことは…やっちゃっても? いいだろ?
こういう時、ちゃんとしたヒーローならお行儀よくしてくれると思うけど…オレはどちらかといえば|ヒーロー《HEEL−O》だから。場合によっては手加減するけど…容赦はしないぜ?

後はなるようになるってことで、宜しく頼むぜ
赤星・緋色(サポート)
呼ばれた気がする
「私の番」だって
なんやかんやで解決できるように√能力とか技能とか装備でがんばりまっす
不酒・杉留(サポート)
人生における耐えがたいストレスをごまかすためにジョークを濫用してきたため戦闘でもジョークを言いまくります。いかなるシリアスな場面であっても(むしろシリアスであればあるほど)ネタを入れてください。ダジャレ、奇怪な言動、一発ギャグ、パロ、メタ(一番好き)等何でも可です。一応状況をちゃんと前進させる意思はあるので状況が悪化する行為はさすがにやらないですが、一見悪化するけどネタとして許されるならむしろやりたい感じで。そのギャグをギャグ世界の住人に繋げて戦います。相手の能力がこちらの能力のコピーの場合あえてコピーさせて相手がどんなギャグを言ってくれるのかを心底期待しつつギャグ勝負に持ち込みます。
オルコシアス・パイライシャル(サポート)
アドリブ連携、他者補助等歓迎
人間に擬態したベルセルクマシンで、
一人称が当機の丁寧口調です

各√を巡回して隠れ家の設営や物資補給しているため、その際に居合わせることになります
手短に作戦目標だけ聞いて、EDEN側に助勢するでしょう

当機としてはメイン参加の方のフォローを心掛けます
【物資転送拠点運用機能】で調べものの補助や物資供給を行って対応します
食料や資材、医療物資の補給、無線機の配布での援助などの他、
ロープや担架を利用しての救助援助、多数のスモークグレネード等を利用したかく乱・囮を必要に応じて請け負います
ル・ヴェルドール(サポート)
おはようございます、ル・ヴェルドールです

最近は事件も多く、稼ぎどきかな
日々の暮らしのため、もしくは研究開発のため
路銀稼ぎから素材採取、試作品の実験などしているので、どこかでお会いすることもあるかもしれません

直近の出費のために武装の大半を売却してしまったので、使えるのはこの身体と、あとは|針剣《boni》くらいでしょうか
(場合によっては、こっそり|故郷《Arovneum》から知恵を……とはいえあそこの知識は大抵頭に入ってるから、大抵はボクの友人たちに他人との接し方を聞いてみる、とかになるかな)

怪我は気にしないけど、持ち歩いている|キャリーケース《mali》には気を配っているから、よろしくね
白玉・やまこ(サポート)
ドラゴンプロトコルの龍拳|格闘者《エアガイツ》×レゾナンスディーヴァ、16歳の女です。普段は甘味処「やまこ」で働いている看板娘の女の子です。
普段の口調は「子供っぽい(やまこ、あなた、~くん、〜ちゃん、なの、だね!、なんだ!、だよね?)」、怒ったりシリアスな時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、語尾!とかはなくなり。になります)」です。

√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
北條・春幸(サポート)
 人間(√汎神解剖機関食用部 怪異調理師)の怪異解剖士×御伽使いの26歳の男です。
 普段の口調は「僕、〜君、だね、だよ、だよね、そうなんだね)」、初対面の人前では「丁寧(僕、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 √能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他人に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

怪異食の研究をしており、隙あらば食材として地元√以外の敵の体の一部や野草等持ち帰ろうとします。

アドリブ、絡み大歓迎。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
クーベルメ・レーヴェ(サポート)
√ウォーゾーンの出身よ
人類の勝利と国土奪還の為に頑張りましょう!
他の√への支援も、協力関係を築けるかもしれないし重要よ

戦闘では、まずアイテムのクインテットウォールを展開
技能の拠点防御と継戦能力を活用するわ
そして武器のウェザーブレイカーや突撃銃で射撃戦
レーザー射撃、貫通攻撃、制圧射撃…何が有効か探りましょう
敵の接近を許したら、シャベル格闘術の出番
距離を詰めただけで勝ったと思わないでよね!
陣地変換して仕切り直しよ

バックアップ素体のいる少女人形だけど、普段は自分を使い捨てにしないわ
Ankerの子が悲しむからね…
でも√能力者以外が死んじゃいそうな時とかは捨て身で庇いにいく
そういう死に方は許してくれるの

「ごきげんよう、クジラさん!……説明には聞いていましたが、本当に見事にはまっていますね……。」
「こんにちは、ボクはル・ヴェルドールといいます。……救出、してあげられるならしてあげたいですが……ボクの|針剣《boni》でも如何ともし難いでしょうか。」
 マガツヘビにより爆破されたカヤックアキバスタジオ。その黒焦げになったオフィスから巨大な白い頭を覗かせるマッコウクジラ……。
 古妖『つばさのいさな』の姿に、レナ・マイヤー(設計された子供・h00030)とル・ヴェルドール(青き黄金・h07900)は何とも言えぬ表情を浮かべた。
「はい、こんにちは。小さなお嬢さん、お坊ちゃん。……いやはや、お恥ずかしい。√に繋がっている穴に『えいやっ!』と飛び込んでみたら、この始末。まさかこうなるとは、私も大変に驚いてしまいました。」
 その当の白鯨は随分と呑気なもので。彼女の挨拶に穏やかに応じる余裕すらある。
 成程、星詠みには聞いていたが、確かにこれは物の見事に隙間に嵌っている。それはもう、どうやって入ったのかも想像がつかぬ程に、みっちみちに嵌っている。
 それにしても、√の穴に『えいやっ!』と勢いだけで突っ込んでいくのは如何なものか。
 彼女たちは追及したい気持ちをぐっとこらえた。
「これは僕らでも引っこ抜くのは骨が折れそうだし、マガツヘビを退治した方が速そうだ。……彼でも引っこ抜けなかったものを僕たちでどうにか出来るかはわからないけれど。」
 |北條・春幸《ホウジョウ・ハルユキ》(汎神解剖機関 食用部・h01096)がそう判断するのも尤もな話であろう。
 このクジラ、背中に一つの生態系を背負う程の巨躯である。ジャッキでオフィスそのものを持ち上げたり、何らかの策を講じないと救出は難しいであろう。
 とはいえ、歌や音波による攻撃は可能であるという話なので、星詠みの言う通り固定砲台としてマガツヘビ討伐に役に立ってもらう事は出来そうだ。
「クジラよ。その状態では私たちの『掟』を果たす事は難しかろうが、私たちに力を貸してくれるな?」
 ふわりと大きな白尾を揺らし、黒い扇子で口元を覆うのは|九沙華・珠姫《きゅうしゃげ・たまき》(今は古き災禍の妖狐・h01959)だ。
 彼女は今でこそ力を喪ったAnkerであるが、嘗ては九尾の狐として力を振るった古妖である。大白鯨と同じ『妖怪』という立場なればこそ、『全てのあやかしよ。マガツヘビを滅ぼすべし』という掟に対して、共通の理解がある。そして。
 |風間・理央《かざま・りお》(風使いの妖怪探偵・h06573)半人半妖の妖怪探偵である彼にとっても、マガツヘビの掟は無視できぬものである。
「ここは、手……はあなたにはありませんが。古妖と妖怪という立場の違いはありますが、手と手を取り合って共闘といきませんか。」
「ええ、ええ、勿論です。白狐の同胞さん、探偵の同胞さん。私がこうなってしまったのは計算外ではありますが、マガツヘビを斃すのであれば喜んで力をお貸ししましょう。」
 2人の提案に、みっちみちに隙間に嵌って動けない大白鯨は、空色の瞳を細めて快諾した。
 ――古妖マガツヘビ
 荒覇吐によって異なる目的が持たされていたという事が判明した今、『掟』の真相は定かではないが。
 『無限の妖力』と謳われ、信じられ続けてきた膂力と妖力は半年前のマガツヘビに関わる事件に於いても、そして今回の秋葉原の戦争に於いても、大いに発揮されている。
 古妖一体では太刀打ちできず、それより出力の劣る√能力者では猶更だ。
 共闘体制を快諾してくれることは、このパーティーにとっても願っても無い事であろう。
「それにしても、本当に大きなカブか大根みたいだな。桂剥きにしたら美味いだろうか?」
 道化の如き姿をした|不酒・杉留《ふざけ・すぎる》(巫山戯過ぎる・h05097)は、大きな頭だけがはみ出たつばさのいさなの姿をそのように見立てた。
 ダジャレやブラックジョークを好む彼の言葉に、大白鯨は『ふむ』と空色の瞳を閉じて考える様な素振りを見せて。
「私が美味いかどうか、ですか。残念ながら、私は私を食べた事がないので、実際に美味かはわかりませんが。
 しかし、クジラの皮もポン酢や辛子酢味噌が合うという話は聞きますね。」
 などと、律儀に返してみせる。この古妖、『食欲』という宿痾さえ絡まなければ、至って穏やかで真面目な性格なのである。
 杉留のブラックジョークを正面から潰すボケ殺しと成り得るため、彼にとっては若干相性が悪いかもしれない。
 そんな、大白鯨との交流もそこそこに。

 ――|峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨《GAOOOOOOOOOON》!!

 件の黒蛇が吼えた。ずっとそこに居て、大人しく様子を窺っていたようである。
「居たのか?気付かなかった。もう少し目立った方がいい。俺みたいに。」
「糞居たんだが!!!?お前達がそこの糞邪魔な鯨に挨拶してっから、糞空気を読んで糞静かにしてたんだが!!!?」
 杉留の辛辣な言葉に憤慨する黒蛇であるが。もしかすると、この場に集った√能力者たちが、あの邪魔な大白鯨をオフィスの大穴から引っこ抜いてくれる……などと、『矮小な頭脳』ながら、そんな打算もあったかもしれない。
 とはいえ、世の中そう己に都合よくは回らないものである。
「彼を斃さないと、僕たちの仕事も終わらないものね。……やろうか。」
 |暁・千翼《あかつき・ちひろ》(幻狼の騎士・h00266)は既に、幻の白い狼耳と尾を生やし、その手には二刀一対の得物、『血刃・双月』を手に臨戦態勢である。
 偽物の臓器で己の肉体の欠陥を補うD.E.P.A.S.故に体調を崩しやすい彼ではあるが、√ドラゴンファンタジーの冒険者として場数を踏んできた実力は本物である。
 半年前にマガツヘビとの交戦している千翼だ。彼の交戦経験は大いにアテになるだろう。
 この状況に、マガツヘビは苛立ちを隠さずに舌打ちをした。
 想定以上にこの場に集まってきたEDENが多く、それを突破したとてまだ異様なタフネスを誇る鯨が待ち構えている。
 湯島聖堂では更なる『狂宴』を引き起こさんと荒覇吐が準備を行い、それも間もなく成ろうというのに。
 付き合いきれぬと折角脱出してきたにも関わらず、ここで手こずっていては逃げ遅れて『宴』に巻き込まれてしまう事は想像に難くない。
「ホントによぉ、俺はさっさとこの√EDENから別の√に逃げてぇってのに大穴にクジラは詰まってるし糞餓鬼どもは集まってくるしよぉ!!!!」
 となると、黒蛇に取れる手段は自ずと限られてくる。そもそも、降参するなど有り得ない。
 ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、むぅ……とにかく、敵は沢山、たくさんだ。
 それを纏めて一撃の下に排除できるだけの火力を持つ√能力を、このマガツヘビは保有している。
「仕方ねぇ、纏めてぶっ飛ばしてから、そこの鯨もぶっ殺して通らせて貰うから覚悟しやがれよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
 こうして、マガツヘビと、その逃走を阻止せんとサポートに集まったEDENの√能力者たちとの戦いの火蓋が切って落とされた。


「人類の勝利と秋葉原奪還の為に頑張りましょう!|Урааааа《ウラー》!!」
 蜂蜜色の髪に、空色の瞳。クーベルメ・レーヴェ(余燼の魔女・h05998)は鬨の声を上げるとともに、対甲攻撃を強化した突撃銃とレイン砲台『ウェザーブレイカー』によるレーザーを連射した。
 折り畳み式の金属盾『クインテットウォール』を展開する事で彼女は即席の防御陣地を展開し、後衛を担う√能力者が攻撃しやすい環境を作り上げたのだ。
 そして防陣が整えば、落ち着いて敵の様子を観察する余裕も生まれてくるというもの。
(――レーザー射撃も通常弾も、まだまだ効力射とは言い難い。あの鱗を抜くのは、少しばかり骨が折れそうね!)
 この戦争の首魁である荒覇吐には遠く及ばないとされるものの、それでも通常の古妖を裕に凌ぐ攻撃力とタフネスを誇るマガツヘビである。その鉄壁の防御力を担うのが、その体の表面を覆う漆黒の鱗であった。
「んな糞みてぇな豆鉄砲、俺に効くかよぉぉぉぉぉ!!!!」
 成程、このまま通常弾頭での攻撃を続けても、埒が明かないだろう。だが、マガツヘビの弱点と言えば『矮小なる頭脳』。
 狂暴性のまま、深く考えずに行動を起こす……つまり、搦手に非常に弱い傾向が見られるのだ。
 レナは肩に乗せたレギオン・リーダーで戦況を観察しながら、単眼の銀の球体……『レギオン』の群れを自陣に放つ。
「ん-、だったら。この状況だとこの子ですかねー。」

 ――【レギオンスウォーム・改-V3】

 彼女が随伴しているレギオンたちの組み合わせにもよるが、索敵から攻撃まで熟す、多用途な√能力である。
 今回は、煙幕。レギオンの群れが煙をばら撒きながら味方の姿と、そしてマガツヘビの姿を覆ってしまえば。
「ああ!?糞、糞糞糞!!!!つまらねぇ小細工をしてきやがって、糞餓鬼が!!!!」
 目標を見失ったマガツヘビの脚が、止まる。
 そして戦場で足を止めたならば。射手の格好の餌食だ。先ほどは通常弾頭の通りは悪いと言ったが。それが『|√能力《通常でない》』であったならば、どうだろう?

「普通の弾なら効かなくても、特殊な弾ならお前の命も取れるかも?なーんてな。」
 ――【|ギャグ世界の住人《ギャグセカイノジュウニンハシナナイ》】
 杉留が語る世界に加え、レナが放ったレギオンの超感覚センサーが、精霊銃を構える理央、そして愛銃『ガンマブラスター』を構えた|四二神・銃真《やつがみ・ガンマ》(そいつの名前は死神ガンマ・h00545)のスポッターとしての機能を発揮する。
「敵さん相手なら、多少のことは……やっちゃっても?いいだろ?
 猫の手位のサポートにしかならないがね……ククク。」
 さて。どこにでもいる只の私立探偵であると嘯く彼は、揉め事でも厄介事でも首を突っ込む性質である。
 しかし、『ふらっと』とはいえ、秋葉原の戦争という現場に来ているのだ。その様な現場で彼が『とっておき』を持ってきていない筈がない。
「こういう時、ちゃんとしたヒーローならお行儀よくしてくれると思うけど……オレはどちらかといえば|ヒーロー《HEEL−O》だから。
 今日は手加減する必要も無ければ……容赦もしない。|ヒーロー《HEEL-O》は甘くないぜ?」
 銃声は二発、それがマガツヘビの漆黒の鱗の上で爆ぜる。果たしてその効果はよくよく似た者同士。

 理央の雷属性の弾丸を放つ√能力、【|エレメンタルバレット『雷霆万鈞』】と。
 銃真の異空間に干渉する弾丸を放つ√能力、【ディメンションブレイク】だ。

「ぐ、ぉぉぉぉぉぉぉ!!!?糞野郎、何処から撃ってきやがった!?糞痛ぇじゃねぇか!!!!ってか、頭!頭ばっか狙いやがって畜生!!!!めっちゃ痛ぇんだが!!!?
 この煙幕が糞邪魔だな、全然見えねぇでやんの……!!」
 弾丸にはそれぞれ爆発の効果と異なる√世界の強制干渉によるひずみを生み出す事によるによるダメージ効果に加え、味方には帯電と空間のひずみを無視する事が出来るという特殊能力を付与する事により、戦闘力を強化する事が出来る。
 杉留の√能力により命中率が100%担保されるようになった上、レナのレギオンがセンサーで敵の姿を監視している今。
 理央と銃真が放った弾丸は、面白い様にマガツヘビの急所たる頭部に吸い込まれてゆく。
 そして、此処に一人、特殊な技能を持つ√能力者がいる。
 |狂った機械《ベルセルクマシン》であるオルコシアス・パイライシャル(自己再定義の澱・h09280)は、本来対人暗殺用の戦闘機械であった。
 それが鹵獲され、人類に実験を繰り返された結果……攻撃性の低い疑似人格が発生し、それを調整して再利用されているという経緯を持つ。
 そんな彼の√能力は、戦線を維持するのにこの上なく便利なものであった。
「物資の集積は完了しています、指示があれば転送可能です。
 如何なる弾薬、弾頭でも御用立てください。」

 ――【|物資転送拠点運用機能《トランスポーターキャンプ》】

 予め、物資・資料の集積キャンプを建築しておくことで、彼が命令信号を出している間、物資集積所内部にワープ転送機能を持ったドローンを配備するという能力だ。
 戦いには、武器弾薬がいる。糧秣がいる。前線で華々しく戦うだけが花ではない。兵站部門こそが戦を形作るのだ。
 この能力を持つオルコシアスは、時に軽視されがちである後方支援活動のエキスパートであると言っても良いであろう。
 これで、クーヴェルメ、理央、銃真の弾薬切れの心配はなくなった。
 ……代わりに、予算を食うという欠点はあるが。マガツヘビという強敵を相手にする以上は目を瞑るしかあるまい。


 レナの放った煙幕の効果は、未だに続いている。そこに、ぼわりと浮かぶ、青白い輝き。
「そぉぉぉぉぉぉこぉぉぉぉぉぉかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!糞餓鬼ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
 マガツヘビが豪快に腕を振るえば。手応えも無く掻き消えて。
 かと思えば、ぼわり、ぼわり。青白い輝きが増えて、煙幕の中を彷徨い始める。
「なんだぁ!!!?手応えがねぇが……とにかく吹っ飛ばしてやらぁ!!!!」
 これもまた、黒蛇が振るった剛腕の前に掻き消えるが。
「さてはて、お役に立てているでしょうか。」
 煙幕の向こうで、白衣の幽霊……|誉川・晴迪《ほまれかわ・はるみち》(幽霊のルートブレイカー・h01657)ははんなりと微笑んだ。
 彼の行動の指針は『ユーレーらしいかどうか』。|他人《ヒト》を驚かせるのが好きな彼にとって、搦手は尤も得手とする戦い方の一つであろう。
 とはいえ、あんな馬鹿力で殴られたくは無いようなので、距離こそ置いているが。
 それにしても、彼が放った青白い炎……魂魄炎に面白い様に釣られているのを見ると、ふわふわと漂う幽霊冥利であろう。
「キチンとお仕事は致しますが。これこれは、とっても興味深い……。」
 口元を袖で隠し、ゆるりと嫋やかに微笑んで、黒蛇が人魂と戯れているのを観察している。
 と、その時であった。
「――やまこ!いっきまーす☆ミュージックスタート♪」
 愛らしいメロディと共に、甘味を讃える歌が聞こえてきたのは。
「なんだぁ!!!?この糞むずがゆくなってくる、糞甘い歌はぁぁぁぁぁ!!!?」

 ――【|恋するやまこは白玉だんご《ラブリーヤマコフォーシラタマ》】

 甘味系アイドルを目指し、甘味処『やまこ』の看板娘と学生の二足の草鞋で日々奮闘する、|白玉《しらたま》・やまこ(甘味系アイドル!ぷにぷにおてての龍拳格闘者エアガイツ・h09299)のオリジナルソングである。
 幸いにも、今日、この現場には√能力者の数も多い。マガツヘビやつばさのいさながファンになるかは怪しいが、それ以外の者たちが彼女の才能を見出す事もある……かもしれない。
 それはさておき。実はこの歌、唯の歌ではない。立派な√能力であり、特定の条件下で強力な効果を発揮するのである。
 そして、この現場でその強力な効果の対象となるものが一人いる。その効果を受けた珠姫は……
「今なら何でもできる気がするな。……しかし、その目は何とかならないのか?」
 むーんと、形の良い眉を顰めていた。
 やまこのこの√能力、歌声をリアルタイムで聞いた非√能力者の行動の成功率を100%にするという、比類なく強力な効果を持つ。
 ――ただし。
 その傍らに、生暖かい目で見つめてくるやまこの幻影が見える様になるのだ。こう、じっとりと。この仕事が終わったら『甘味処やまこ』に寄るよう、強い圧を掛ける様な。そんな眼差しである。
 珠姫はそんなやまこの幻影から極力目を逸らしながら、『魅了』の力を発揮する。
 今ならば、成功率は100%。マガツヘビは白虎の姿に見惚れる様に姿を止め……
「ああ、そういえば。今までにマガツヘビを食べた事は無かった気がするなぁ。」
「――……は?」
 理解できないとばかりに呆けた声を漏らした黒蛇とは対照的に。春幸の口端が、にんまりと持ち上げられた。
 怪異を使った料理を研究しているという彼は、怪異食に当たって絶命して尚、怪異を食べる事を止めずに研究を続けているという。
 |新物質《ニューパワー》に執着する怪異解剖士の中でも特殊なアプローチを行っていると言っても良いであろう。
 そんな彼の前に立つ黒蛇は。さぞや、食いでのある獲物に見えている事であろう。
 煙幕を突っ切り、巨体の黒影目掛けてメスを一閃。遅れて落ちるは、鱗の薄そうなマガツヘビの前脚。

 ――【怪異解剖執刀術】

 メスが命中した部位を切断するという単純明快な√能力であり、更に。切断した部位を食べた者は体力を回復するという。
 さて、今の春幸に回復が必要な程のダメージを負っているかわからないため、斬り落とした脚の処遇は解らないが。
 ――峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!!!?
 不意を突いた一撃と、信じられぬ痛みに耐え兼ねたマガツヘビが絶叫する。
 ――此処が攻め時だ。
 前衛を担う√能力者たちが、体勢を崩した黒蛇に対して一気に攻勢に出る。
「呼ばれた気がする。『私の番』だって。」
 |赤星・緋色《あかほし・ひいろ》(フリースタイル・h02146)が放つのは、色とりどりの羊のエフェクトパーツ。
 使用している彼女ですら仕組みの分からない√能力であるが、マガツヘビにダメージを与えられるなら何だっていい。

 ――【|技:無財《ワザ》】

 羊から吐き出された様々なエフェクトが黒蛇の表皮にぶつかり、僅かばかりのダメージを与え。
(――失血し続けている脚、其処が今の弱点か!)
 双剣で黒蛇の右腕を往なしながら、千翼の狼の耳と尻尾が消滅する。
 代わりにその姿を現すのは、自身と融合していた護霊、『幻狼グローリア』。
「――行ってこい、報酬付きだ。」

 ――【|融合解除・幻狼《アンフュージョン・ファンタズム》】

 主より下された命を受け、影の狼が疾駆し。マガツヘビに喰らい付くと同時に【幻狼の炎】がその切断された左腕を焼き焦がす。
 入れ替わりに飛び込むのは、山高帽を被った小さな影。一斉に放つは『|boni《針剣》』21本。
 幾ら強固な鎧に身を覆ったとしても、針の如き刃は、鱗の下にだって潜り込む。
「て……っ、めぇぇぇぇぇぇ!!!!針治療にしては痛過ぎんだろうが糞餓鬼がぁぁぁぁぁぁ!!!!」 
 ヴェルドールにとって、戦いとは日々の暮らしのため、もしくは研究開発のため。
 この『無限の妖力』を持つと言われるマガツヘビからは、一体何が採れるであろうか。
 鉄壁の防御力を誇る、漆黒の鱗も何かに使えるかもしれない。強大な敵を前にしながら、丸メガネの幼い顔立ちの少年の金の瞳には一切の恐れがない。
 鱗を掻い潜る針剣であるが、ただ刺しただけでは大きなダメージとはなり得ないだろう。
 故に。ブースト加速して、マガツヘビの頭部に肉薄した彼が狙うのは。
「元手となる資本は常に、ここにあるというわけ。……左目、貰うよ。」

 ――【|Arovneum Codex-017《アロウネウムコーデックス・ウィクスィー》】

 血の様に紅い眼に√能力を帯びた刃を受け。あまりの痛みに巨大な黒蛇の身体がのた打ち回る。
 本来、彼の√能力は|元手《体の部位》の損耗を気にしなければ、更なる追撃を可能とするが。
「後は任せましたよ。」
「ええ、任されたわ!|Ураааааaaaaaaaaaaaaaaaa《ウラー》!!」
 そこまでしなくても、強力な一撃がすぐ其処にまで迫っている。
 咆哮を上げ、吶喊するのはクーベルメ。
 長期戦を苦手とする彼女は、クインテットウォールの後ろから援護射撃を行い、ずっと頃合いを見計らっていたのだ。
 そして、今こそとばかりに飛び出した彼女の手に有るのは、鋸刃が付いた様な軍用シャベル。
 塹壕での使用に適し、穴倉で敵を仕留めるに足る十分な威力を持った得物だ。
「糞餓鬼が!!!!気合だけで、このマガツヘビ様がやれるかよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!ぶっ潰れやがれぇぇぇぇぇぇ!!!!」
 咄嗟に黒蛇が振り回した尾。それが蜂蜜色の少女を捉えるよりも速く、彼女は跳んだ。
 狙うは春幸が斬り落とし、ヴェルドールが目を潰した左半身。
「|陸の王者《ライオン》の力を、誇りを!見せてやるわ!!」
 完全に死角と成った左半身、その鱗の薄い首元に。

 ――【|シャベル格闘術《スミヤカニ・ジンチヘンカン・セヨ》】

 ライオンたらんとする|タンポポ《ダンデライオン》が突き出した、軍用シャベルが。
 見事、突き刺さった。
「――いやはや、見事なものです。
 やはり、個々人の個性溢れる戦いの組み合わせの可能性。
 我々古妖には難しい戦いですが……だからこそ、彼らはこの宴をほぼほぼ制圧するに至ったのでしょうね。
 弱く。そして、強く。恐ろしい。」
 EDENのサポーターの戦いぶりを観察し。
 痛撃に次ぐ痛撃に、どう、と倒れ込むマガツヘビの姿を比べ見て。
 大白鯨はしみじみと呟くのであった。
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深見・音夢
え、ええ……何やったらこうなるんすか? 状況的にはファインプレーなんすけど、多分これ脱出を防ぐために先回りしてボディーブロックとかじゃないっすよね。

何はともあれチャンスはチャンス。遠慮なく狙わせてもらうっすよ。
つばさのいさな殿を無理やり突破されると困るんで、付かず離れずの距離でちょっかいを出して攻撃を引き付けるっすよ。
隙を見て【斬裂式解体弾】でマガツヘビの身体の末端辺りを切断しにかかるっす。
狙いはダメージよりもつばさのいさな殿への差し入れ。腹一杯には程遠い量でも無限の妖力の一片なら結構なエネルギー量になるはず!
ほらほら、それ食べてちょっとは元気だすっすよー!

「え、ええ……何やったらこうなるんすか?」
 |深見・音夢《ふかみ・ねむ》(星灯りに手が届かなくても・h00525)の金の眼に困惑の色が深く浮かぶのも無理はないだろう。
 何なら、見知った仲である星詠みの気持ちも、少しは解ってしまったかもしれない。
 カヤックアキバスタジオがマガツヘビによって爆発したのは、まあいい。よくないが。そういう事件なのだから仕方がない。
 それが、マガツヘビが現場に到着するまでの僅かな時間に、どうまかり間違ったらオフィス跡地から巨大なマッコウクジラの頭がはみ出すという事態になるのか。
「状況的にはファインプレーなんすけど、多分これ脱出を防ぐために先回りしてボディーブロックとかじゃないっすよね。」
「はい、その様なブロックだったらビッグセーブという事で私も鼻が高かったのですが……
 こう、お腹も空いたことですし、いい感じの√の入り口を見付けたので、いい感じにむぎゅっと身体を押し込んだら……こうなりました。」
 ――どうしようもないにも程があった。
 この大白鯨、つばさのいさなは理知的で穏やかな性格である一方で、『食欲』が関わると常識では信じられない様な暴走をするという悪癖がある。
 空を飛べば飛行機を、海を行けば船舶を丸呑みにし、この秋葉原の戦でも歩行者天国を逃げ惑う一般人を吸い込み捕食しようと目論んだところを音夢たちに撃退されている。
「何はともあれチャンスはチャンス。遠慮なく狙わせてもらうっすよ。
 ――それに……サポートの人たちっすね、左脚に左眼。あれが利いてないなら、左側がいい感じの死角になりそうっす。」
 そう。この戦いに於いては、音夢に先行して多くの√能力者がサポートに回った。
 その戦果として、マガツヘビの左前脚は斬り落とされ、左目は潰れ、更に喉元には深い裂傷を負うというダメージを見て取る事が出来る。
(――ここまで追い込まれているなら、僕にも殺れるな。)
 海に忍ぶ怪人は、黒蛇の消耗ぶりをその様に把握した。
 だが、斃せると雖も、どれ程体力を奪われるかはまた別の話であろう。被害を最小限に抑えるなら、身動きが取れない鯨との連携は必須だ。
(――つばさのいさな殿を無理やり突破されると困るんで。)
 音夢が選んだ戦術は、付かず離れずの距離を保った中距離戦。それも、死角となった左側を狙っての攻撃である。
「こんの糞餓鬼がぁぁぁぁぁ……!!!!
 俺が見えないと思って、あー、どっち?左っから攻撃してきやがってよぉぉぉぉ……!!!!」
 彼女の思惑通りに苛立ち、引き付けられ。そして吐き出される言葉に、音夢は呆れの色を隠せない。
 戦いの最中であるからこそ、敵に弱みは隠し通すものだろう。
(――付け入る隙を与えてくれて、此方としては仕事がやりやすいけれどもね。)
 範囲に振るえば音夢を捉えられると考えたのか、当てずっぽうに振るわれる尾。
 これを難なく躱した彼女は、新たに用意した弾丸を対物狙撃銃に装填する。
 隙だらけの今、そして尾という攻撃手段。この脅威を削ぐために、彼女は照星を覗き込む。
(なら、リーチを奪うためにも。狙いは……尾にしておくっすよ!)
「本日初披露!……だったかな?ちょーっと変わった弾をお見せするっす。
 ――これは強烈っすよ!」
 愛用の対物狙撃銃より奔る、マズルフラッシュ。それは狙い過たず、マガツヘビの尾に命中し。
「お、おいおいおい!!!?待てよ、この糞アマ!!!!俺の尾に、何てことしやがる!!!!」
 なんと、斬り飛ばした。

 ――【|斬裂式解体弾《デモリション・バレット》】

 着弾地点で炸裂する『対物斬裂弾』を放ち、命中した対象を切断するという特殊弾頭を用いた√能力だ。
 そして、マガツヘビの尾を斬り飛ばした理由は、もう一つ。
「いさな殿、差し入れっす!ほらほら、それ食べてちょっとは元気だすっすよー!」
 それを聞いて、穏やかだった大白鯨の眼の色が変わった。腹が減って√の穴を通過してきたのだ。さぞや腹が減っていた事であろう。
 彼女に本当に良いのかと問うよりも早く、クジラは大きな大きな口を開けていた。
 獲物を吸い寄せるブレスが放たれ、マガツヘビの尾が宙を舞い……ごっくん。

 ――【どんしゅうのいさな】

 残りの体力が3割を切った獲物を吸い込み捕食する、大白鯨の√能力だ。そして、見る見るうちに鯨の白い肌の艶が良くなってゆく。
「差し入れ!差し入れ!!黒い鮫さん、これは素晴らしい珍味ですよ!滋養に溢れています!素晴らしい!」
「腹一杯には程遠い量でも無限の妖力の一片なら結構なエネルギー量になるはず!」
「ええ、それはもう!エネルギー充填完了ですよ!」
 そう、対物斬裂弾には追加効果がある。切断された部位を食べた者の体力を回復させるのである。
 つまり、マガツヘビは尾という武器を失った上、つばさのいさなという強力な古妖は体力を取り戻した。
 これで、戦いの勝敗は完全に決したと言ってよいだろう。
「……今考えたら、どうせ後で直すんですし。少しくらい壊してもいいですよね?
 怒るのは、後でお願いします。」
 そう、大白鯨は大雑把に口にすると。カヤックのオフィスを破壊して、テイクオフ。
 低空飛行でマガツヘビに体当たりして、黒々とした巨体を吹き飛ばした。
「怒らない、怒らない。むしろいさな殿、ナイスアシストっす!」
 そして壁に叩き付けられた古妖目掛けて、音夢は再び照星を覗く。
 愛銃のスコープの中のマガツヘビは、怒りも露わに丁度叫んでいるところだ。

 ――峨旺旺旺旺旺旺旺雄雄雄怨!!

「君には運も頭も足りなかった。――今更吼えたって無駄だよ。」

 ――【斬裂式解体弾】

 追撃に放った一発が、頸の裂傷を深々と斬り抉り。
 硝煙を吐き出す銃口を、すちゃりと天に向けると同時に。
 ごとり。目の光を喪ったマガツヘビの首が、アスファルトの路面に転がった。


 こうして、カヤックアキバスタジオを巡るマガツヘビの逃走を阻止する戦闘は終わった。
 結局、マガツヘビが爆破し、つばさのいさながトドメを刺したオフィスも、戦争の終結と共に元の姿に戻る事だろう。
「湯島聖堂での戦いも、無事に終わった様っすね。
 さてさて、戦争も終わった訳っすけど。ボクたちはどんな明日を迎える事になるんすかね。」
 音夢は大きな尾鰭を揺らし、晩秋の空に消えてゆくつばさのいさなの姿を見送ってから愛銃をケースに収め。
 回復と復興が進みつつある、サブカルチャーの街の灯りの中に消えてゆくのであった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

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