朋友との出逢い
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村落の入り口に守り神を祀る建物があった。
「御社か」
雨雲で薄暗くなり『彼』は周辺を確認した。
「ここは何処のルートかな?」
別のルートに迷い込む事があったからだ。
「勝手に入って良いか迷うけど、雨が降るとあっては仕方ない。失礼します」
色々と悩むが雨が本格的に成って来た。
軒先でも借りたいがサイズ的へ中に入るしかない。
『誰ゾ』
「え?」
そこで彼は誰かの声が聞いた気がした。
『目的ハ?』
「御祭神であられましょうか? 屋根を暫しお借りしたく」
人間は隠れて居ない。
守り神として祀られたナニカだろう。
『拙者ハ、コノ地ヲ守ル者。例エ誰モガ忘レヨウト役目ハ役目。答次第デ斬ル!』
「太刀を構えた鬼……いえ転じた守り神、夜叉の像か」
段々と目が暗闇に慣れ相手の姿が見えて来た。
「俺は主無き刀の付喪神、元は護国の刃だ。守る事はあっても害することは無い、相応しい使い手を探し諸国を歩いている」
刀として使い手を求め、力を振るう場所を求めている。
彼……船光はその思いを気負いもせずに述べた。
『コノ平和ナ世ニ?』
「人には知られぬ戦いがまだ存在する。だからこそ武人として力と技を尽くし、自らの力を貸すに足る相手を探しているんだよ。俺は……戦う為に生まれて来た」
力がある者は助けを求める者を守るために動くべき。
その思いを抱くからこそ、相手もまた親近感を抱いたのかもしれない。
『人ノ知ラヌ戦ガ?』
「幽冥境を異にする場所で、敵や味方として強者と出逢う事もある……巡り合わせが悪く苦戦する事も」
そう言って船光は己の手を眺めた。
本来の力を相応しい使い手が使えば、苦戦などせぬという切実さがあった。
『刃ハ、振ルワレテコソ価値ヲ成ス。使ワレヌママ終ワルハ、無上ノ悲シミニゴザロウ。力ヲ御貸シ申ソウ』
「良いのかい?」
彼もまたその思いに同調したが、安易に己が使うとは言わなかった。
己が有するエネルギーを分け与えるとだけ。
『オヌシモマタ、振ルワレルコトナク、朽チ果テル刃……拙者モ、同ジク風ニ散リシ身ナリ』
かつて剣の腕を磨くために流浪した剣客が、この地を守る為に死した。守り神として祀られたが詳しい経緯は忘れ去られて久しい。
『拙者モマタ誰ヲ守ル戦人ナリ。朋ヨ、名ハナント?』
「敷石隠・船光」
遠方より朋来たる在り。
この言葉は友人ではなく、志を同じくする相手に使う言葉だ。
彼らはこの時より現世を共に彷徨う朋友となった。