シナリオ

⚡️戦雲、羽田沖

#√ウォーゾーン #オーラム逆侵攻 #13日8:30よりプレイング受付

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 #√ウォーゾーン
 #オーラム逆侵攻
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⚡️大規模シナリオ『オーラム逆侵攻』

これは大規模シナリオです。1章では、ページ右上の 一言雑談で作戦を相談しよう!
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(毎日16時更新)

●巨鯨、襲来
 晴れ渡る空の下、風も海も静かな羽田沖の空を飛行機が飛び交い、海を船舶が行き交う。だが、その平和な光景は侵略者によって喪われようとしていた。
 突如、広範囲にわたって大気がビリビリと振動し、海面がザブザブと波打ち始める。

「くっ、何だこれは――!?」

 空が、海が突然荒れ始めたことに、飛行機の機長達が、船舶の船長達が困惑しながらも、揺れる機体、船体を制御しようと尽力する。幸いにして、彼等のほぼ全てがそれに成功した。

「一体、何が起きているんだ……?」

 彼等は訝しがりつつも、為すべき事を為した。少しでも空が、海が落ち着いている方へと退避し、安全を確保したのである。
 その頃、人工島程の大きさはあろうかと言う巨大な戦闘母艦『Great-Invasion『ORCA』』が、√ウォーゾーンからの転移を完了させていた。ORCAの艦橋で、白い軍服姿の艦長テイ=トックは麾下の戦闘機械達に出撃命令を下す。

「総員、出撃だ! 目標、眼前の空港! あれを、我等の拠点とする!」

 その命に従い、今まさに『ORCA』から無数の戦闘機械が出撃せんとしていた。

●羽田空港を守り、√ウォーゾーンへ逆侵攻せよ
 『ORCA』が√EDENの羽田沖に転移する少し前。羽田空港国内線のタクシープールで、|九門・絢介《くもん・けんすけ》(しがないタクシー運転手・h02400)は星詠みとして視た光景に、チッ、と舌打ちをしていた。

「――よりによって、羽田が狙いかよ」

 絢介にとって、羽田空港は重要な営業拠点の一つだ。此処を侵略されると、営業収入、ひいては収入に影響してしまう。そんなことを、やらせるわけにはいかなかった。
 絢介自身の生活への影響をさておいても、√ウォーゾーンからの侵略など捨て置くわけことは出来ない。
 早速、絢介はタブレットを起動すると、インターネットを介して√能力者のコミュニティに情報を流し、解決への協力を要請していく。
 羽田空港が戦闘機械の襲撃に晒される前に、戦闘機械諸共『ORCA』を撃破して欲しいと。
 その後は√ウォーゾーンに逆侵攻し、作戦目標を相談の上で決定しながら何らかの形で√EDENに侵攻せんとしている『統率官『ゼーロット』』の企みを挫いて欲しいと。

「向こうで何を作戦目標にするかは任せるしかねえが……上手くやってくれよ。頼んだぜ」

 情報の送信を一通り終えると、絢介は運転席のシートを倒して身を預け、ふう、と大きく息を吐く。そして、祈るように独り言ちながら、タブレットの画面を見遣るのだった。

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第1章 ボス戦 『Great-Invasion『ORCA』』


都留・臻

●誘導
 羽田沖を進む、小型の船舶がある。
この場に駆けつけた√能力者、|都留・臻《とどめ・いたる》(|枳殻《きこく》・h04405)が借り受けたものだ。
 羽田沖に出現した√ウォーゾーンの巨大戦闘母艦『ORCA』に対し、臻はその船体を大きく迂回して外海の方から接近しようとしていた。
「おら、こっちだ! こっちに来やがれ!」
 臻は、用意していた火箭をORCAに向けて次々と撃ちかけていく。その威力の一つ一つは、戦闘機械群にとって大したものではない。だが。
「ちょろちょろと……鬱陶しい! 反転だ! まずあれから仕留める!
 艦載機は本艦が反転中に発艦し、あの船を攻撃せよ!」
 周囲を蚊が飛び回れば鬱陶しく感じるように、ORCA艦長のテイ=トックは臻の船から放たれてくる火箭に苛つき、ORCAの頭を臻の方へと反転させた。これは、臻が√能力者だったことも影響している。
「さすがに、引っ張られるまではしてくれねぇか……だが、おれたちとお前らだけなら遠慮はいらねぇな……!」
 臻の理想としては、ORCA自体がもっと此方に誘き寄せられて来ることだった。だが、そこまでは難しくとも、口のような形をした船頭から覗くインビジブル集束砲の方向が此方を向き、発艦した戦闘機械群が自身に迫っている時点で、周囲が巻き込まれないようにする目的は果たされていた。
 臻は√能力『|1644-Bizzarria《ビザリア》』を発動すると、その手にしている鉄棍で迫り来る戦闘機械群を次々と殴りつけていく。
 次々と、戦闘機械が海の藻屑と成り果てる。撃破された戦闘機械が沈む寸前に、臻はその戦闘機械を足場にしてジャンプし、八艘跳びの要領でORCAに迫っていた。
「ええい! 何故だ、何故仕留められん!?」
 たった一人を仕留められないことにテイ=トックは憤ったが、これは1644-Bizzarria《ビザリア》によって臻の周囲が不活性領域となり、攻撃の成功率が半減させられたためだ。
 もっとも、これだけの数に迫られた以上、臻も無傷とは行かない。だが、インビジブル集束砲が外れてくれたのは幸運だった。
「コイツを、くれてやるよ!」
 ORCAのすぐ側にまで至ったところで、臻は鉄棍を大きく振りかぶった。そして、渾身の力で以て振り下ろす!
 ゴォン! 派手な音が響くと共に、ORCAの装甲は大きく歪まされた。

クラウス・イーザリー

●ミサイルとグレネードの雨
(あんなもの……放置するわけにはいかない)
 羽田の空を飛行する、蒼白に輝く決戦用ウォーゾーン『蒼月』のコクピットで、クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は操縦桿を目一杯前に倒していた。
 この戦闘が進めば、√ウォーゾーンへの逆侵攻が可能になると言う。だがその前に、この√EDENでの被害も抑えなければならない。
 幸い、先に交戦した√能力者によって、ORCAの船頭は外海の方を向いた。ならば、今こそ被害を抑えつつ撃破する好機であった。
「何だあれは!? 近付けさせるな! 撃ち落とせ!」
 迫り来る蒼月を発見した艦長テイ=トックは、戦闘機械群に撃墜するよう命令した。それに従い、戦闘機械群がORCAから発艦。飛行出来る者は蒼月に接近を試み、そうでない者はORCAの甲板から、あるいは海中から砲火を撃ちかける。
「……遅い」
 だがその時、既にクラウスはミサイルランチャーとWZ用グレネードの発射を開始していた。√能力によって強化された連射性能によって、ミサイルが、グレネードが、雨霰の如くORCAや周囲の戦闘機械群れに降り注ぐ。
 ドカン! ドカン! ドカァン!! たちまち、爆発がORCAの船体を、海面を埋め尽くした。その爆発によって、少なからぬ数の戦闘機械が連鎖したかのように爆発四散していく。
 やらせるものか、とばかりに飛行する戦闘機械がレーザーブレードで斬りかかったが、蒼月とすれ違った直後に爆発四散した。何が起きたのかと思う暇さえ、その戦闘機械には与えられなかった。
 すれ違い様、クラウスは光刃剣を居合いの如く抜き放ち、斬り捨てたのだ。
 そうして戦闘し、ある程度戦闘機械の数が減ったところで、蒼月はスタンロッドを抜いてORCAに急接近する。
「これで……ぶん殴る!」
 フルパワーで振るわれたスタンロッドの一閃は、装甲など存在しないかのように、鯨の頭のように見えるORCAの船頭を深々と縦に斬り裂くように断ち割った。のみならず、高圧電流によって艦内の至る場所にスパークを迸らせ、ダメージを与えていく。
「ぐあああああっ!!」
 艦橋のテイ=トックも、身体中を貫く電流にたまらず苦悶の叫びを上げた。
 その後、ORCAの船体に幾度も傷を刻みこんだクラウスは、√能力の効果時間が終了した時点で一旦戦場を離脱した。この後の、√ウォーゾーンへの逆侵攻に備えるためだ。

秋津洲・釦
リズ・ダブルエックス

●ORCA、撃沈!
 二人の√能力者が、羽田の海上を飛んでいる――と言うのは、正確ではないかもしれない。自力で飛行しているのは、光の翼を展開している機械式ボディスーツ「|LXF《LZXX Flight armor》」を身に纏ったリズ・ダブルエックス(ReFake・h00646)だけなのだから。
 ではもう一人の|秋津洲・釦《あきつしま・ぼたん》(血塗れトンボ・h02208)は如何しているかと言うと、生やした触手「影業」をリズの手に持って引っ張ってもらう形で、空中にいた。
「あれまぁ……僕も羽田よく使うんだけど……。しばらくは、呪物商としての仕事の依頼はキャンセルかナ……」
「大丈夫ですよ。そんなことにはさせません」
 ぼやくような釦のつぶやきに、リズは強い意志を感じさせる口調で応じた。
 多くの飛行機や旅客が集まる羽田空港に被害が出れば、それは自ずと大惨事になる。そんな事態を引き起こさせるわけにはいかなかった。
 それに何より、この後は羽田空港のレストランでランチを楽しむ予定なのだ。それを台無しにさせるつもりはない。
(僕が頑張らなくても……他の人達が、とは言えなさそうだネ……)
 それが食欲の故とは知らないが、リズの意気込みに楽はさせてもらえなさそうだと、釦は思った。
「メインは任せるよう……僕は、空港や周囲の船や飛行機に向かいそうなのを仕留めていくからねえ……」
「了解です。しっかり、沈めてしまいましょう!」
 釦からの役割分担の提案に頷くと、リズはORCAに目をやった。これまでの√能力者達との戦闘によって、ORCAの船体には相当のダメージが入っている。これで、撃沈させてしまいたいところだった。
 一方、ORCAの艦橋では艦長テイ=トックが迎撃の指示を出している。
「艦載機は、残らず発進! インビジブルビット、展開! 奴等を近付けさせるな!」
 乗艦を沈められるわけにはいかないと、テイも必死だ。
 その指示に応じて、ORCAの船体から残る全ての戦闘機械が出現し、クラゲを模した形のビットも多数展開される。
「しっかり、つかまっていて下さいね?」
「――え?」
「薙ぎ払うであります!」
「うっひゃあああああ!?」
 LXFが展開する光の翼の出力が、√能力によって一気に上昇する。それに伴い、リズの飛翔速度が一気に上がると、影業でぶら下がっている形の釦を強烈なGが襲った。
 リズは敢えてORCAに急接近し、クラゲ型のビットの中へと突入すると、大型ブレードを兼ねるエネルギー砲「|LXM《LZXX Multi weapon》から、周囲に纏う各種のレイン砲台から、無数の光条を全方位に放っていく。一射目の光条に耐えきったビットも、続けざまに放たれた光条に貫かれると耐えきれず、次々と爆発四散した。
「やりますねえ……僕も、働きましょうか……舞え」
 リズ達がORCAに急接近したことで、戦闘機械群は船舶や航空機、空港を狙うどころではなくなり、リズ達へと殺到せんとする。
 それを見た釦は、√能力『|橙色渦虫《トウショクカチュウ》』を発動。釦を中心に三十匹ばかりの橙色のトンボがわっと飛び立ち、戦闘機械に取り憑くとガジガジとその機体を囓り、食らっていく。
 混乱に陥る戦闘機械群を、リズの再度の全方位攻撃が、追撃とばかりに放たれたトンボ達がさらに襲う。戦闘機械は損傷が限界に至った順に撃破されていき、遂には一機たりとも残らなくなった。
「馬鹿な……この『ORCA』が、こんなことで沈むと言うのか……!」
 艦載機たる戦闘機械群を全滅されられたテイに、局面を打開する手段は残されていなかった。テイがクラゲ型のビットを展開して足掻いても、そうする側からLXMやレイン砲台から放たれる光条と、橙色のトンボに殲滅されていく。
 その度に、ORCA自体のダメージもより深くなり、満身創痍と言った態になるまで然程の時間は要しなかった。
「ご苦労様、だねえ……」
「これで、終わらせます!」
 とどめの一撃とばかりに放たれた、LXMからの光条が、ORCAを船頭から船尾まで貫く。小刻みに痙攣するように、ORCAの船体が震えはじめる。それはやがてより大きなものとなっていき、至る所で爆発を伴うようになった。
 そして遂には、船体全体を四散させるような大爆発を起こすと、その残骸はスゥ、とかき消えるように消滅していった。

 ――√EDENの羽田空港は、守られたのだ。

第2章 集団戦 『シャクティ』


●立ちはだかるシャクティ隊
 √EDENの羽田沖に出現した戦闘母艦ORCAを撃沈させた√能力者達は、√ウォーゾーンへの逆侵攻を開始した。攻撃目標の候補は五つあったが、その中でもゼーロットがカテドラルとしている羽田空港を選択する。
 だがゼーロットを討つには、カテドラルを警備する戦闘機械『シャクティ』の隊を幾度も撃破する必要があった。
 白兵戦能力に長けたシャクティ達は、遮蔽の多いカテドラル内で√能力者達を迎撃すると決定。√能力者達が進入してくる刻を、待ち続けるのだった。
クラウス・イーザリー

●40体弱のレギオンと共に
 愛機「蒼月」から降りたクラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は、カテドラルの中を歩いて行く。
(遮蔽物が多いな……奇襲に気を付けないと)
 そのために、クラウスは√能力で40体近いレギオンを召喚して周囲に分散させ、そのセンサーによって索敵を行いながら進んでいた。
(……居たか)
 レギオンのセンサーが、遮蔽の向こうに居る警備の戦闘機械「シャクティ」を捕捉する。クラウスは自身もその場に駆けつけながら、他のレギオンを合流させた。
(今だ!)
 シャクティが遮蔽から姿を現した瞬間、クラウスの放ったレーザーとレギオンの放つミサイルがシャクティに集中。
「――!?」
 不意を衝かれたシャクティは、まともな防御を行うことも出来ないまま直撃を受け、耐えられずに爆発四散した。
 それを何度も繰り返しカテドラルの奥へと進むうちに、クラウスは最大の難所に行き当たる。10体ものシャクティが、遮蔽の向こうでその先への扉を塞ぐように待ち構えているのだ。
(数が多いが、行くしかない――か)
 意を固めたクラウスは、レギオンを引き連れながら遮蔽から飛び出す。そして、レギオンにありったけのミサイルを放たせ、クラウス自身もレーザーライフルを撃った。
 視界を埋め尽くすようなミサイルと一条のレーザーが、シャクティ達を襲う。それを受けて、4体のシャクティが爆発。
 残る6体のシャクティは、クラウスの姿を発見すると接近しようとするが、そこでクラウスとレギオンはもう一射し、さらに4体のシャクティを撃破。
 最後の2体が間近に迫った所で、クラウスは瞬時に自身の魔力を剣の形に整えて、横薙ぎの一閃でシャクティの上半身と下半身を泣き別れさせた。
 その間に、もう1体のシャクティは√能力を発動して殴りかかるが、クラウスはその拳を見切って回避――したところで、シャクティは外皮を剥落させ機械の部品が露出した姿になりながら、もう一撃を仕掛けてくる。
「そう来るか――!」
 その攻撃までは避けきれないと見たクラウスは、エネルギーと霊力の二重のバリアを張って、シャクティの拳を脇腹で受け止める。衝撃は殺し切れていないが、歴戦の√能力者であるクラウスからすれば掠り傷のようなダメージでしかない。
 シャクティがクラウスを攻撃する間に、レギオンはミサイルをシャクティに放っていた。ミサイルの集中攻撃により、シャクティは爆発。この場のシャクティ達は、残らず全滅した。
(残りもできるだけ早く片付けて、ゼーロットを強襲しよう。そうすれば、きっとあいつは動揺する筈だ)
 そう確信しながら、クラウスは扉の奥へと進んでいった。

●敵を通過し、反転する光条
(本来は格闘に有利で、射撃に不利な戦場なのでしょうが……)
 リズ・ダブルエックス(ReFake・h00646)は、遮蔽の多いカテドラル内部と言う戦場をそう見定めていた。となれば、射撃戦を主とするリズにとって、此処は不利な戦場という事になるのだが。
(遮蔽物越しの射撃戦を、お見せしましょう!)
 自分は一味違うとばかりに、リズは意気込んだ。
 リズの戦術の要諦は、敵の白兵戦距離に入らず、かつ入れないことにある。そのために、リズは探知能力を持つ電子戦型のレイン砲台で索敵を行い、敵を発見次第遮蔽の向こうにレイン砲台を数基放って、弾幕を張る。
「――!?」
 警備に当たっている戦闘機械「シャクティ」達は、リズの存在を認識出来ないままに、砲火に晒されて耐えきれずに爆発四散。
 白兵戦特化のシャクティにとって、敵の本体、すなわちリズ自身を認識出来ないのは致命的だった。何しろ、接近して自分達の間合いに持ち込むどころでは無いのだから。
 それでも、同時に数体を相手することになると、さすがに遮蔽越しの射撃だけでは仕留めきれず、遮蔽から出てきたシャクティにリズが発見されることがままあった。だが、リズを発見した所で、シャクティがリズを攻撃するには|そこから接近していかなければならない《・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。
 もちろん、リズの方はシャクティを近付けさせるつもりなど毛頭無い。あらん限りのレイン砲台で弾幕を張りながら、それでも近付いてくる個体がいればシールド型のレイン砲台で移動を妨害する。
 ドォン! ドォン! と、リズを前にしてシャクティ達は次々と爆ぜていった。
 その爆発音を聞きつけてか、次々とシャクティ達が増援に駆けつけて来る事も何度かあった。既にリズと交戦した個体が残骸となって転がっているのを発見したシャクティ達は、素早くその残骸に駆け寄ると、それを持ち上げて盾としながらリズに迫ろうとする。
 それに対してリズは、数え切れない程に数多の光条を、レイン砲台の砲口から放つ。だが、その光条は湾曲しながらシャクティ達の横や上を素通りしていった。
 それを不発だったと見たシャクティ達が、この機会にと一気にリズとの距離を詰めようとしたところで。
「――!?」
 反転した光条が、シャクティ達の背中にことごとく命中。信じられない、と言った表情をしながら、シャクティ達は爆発し、盾とした仲間の残骸に折り重なるように斃れていった。
 『|決戦気象兵器「レイン」・精霊術式《レインシステム・アナザーコード》』。この√能力によって、レイン砲台からの光条は意志を持つかのように自在に動くことが可能となっていたのだ。
【お詫び】
 大変申し訳ございません。上の文章は、プレイング採用の操作をしないまま間違って断章の形で提出してしまったものです。恐縮ではありますが、無視して頂ければ幸いです。
リズ・ダブルエックス

●敵を通過し、反転する光条
(本来は格闘に有利で、射撃に不利な戦場なのでしょうが……)
 リズ・ダブルエックス(ReFake・h00646)は、遮蔽の多いカテドラル内部と言う戦場をそう見定めていた。となれば、射撃戦を主とするリズにとって、此処は不利な戦場という事になるのだが。
(遮蔽物越しの射撃戦を、お見せしましょう!)
 自分は一味違うとばかりに、リズは意気込んだ。
 リズの戦術の要諦は、敵の白兵戦距離に入らず、かつ入れないことにある。そのために、リズは探知能力を持つ電子戦型のレイン砲台で索敵を行い、敵を発見次第遮蔽の向こうにレイン砲台を数基放って、弾幕を張る。
「――!?」
 警備に当たっている戦闘機械「シャクティ」達は、リズの存在を認識出来ないままに、砲火に晒されて耐えきれずに爆発四散。
 白兵戦特化のシャクティにとって、敵の本体、すなわちリズ自身を認識出来ないのは致命的だった。何しろ、接近して自分達の間合いに持ち込むどころでは無いのだから。
 それでも、同時に数体を相手することになると、さすがに遮蔽越しの射撃だけでは仕留めきれず、遮蔽から出てきたシャクティにリズが発見されることがままあった。だが、リズを発見した所で、シャクティがリズを攻撃するには|そこから接近していかなければならない《・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。
 もちろん、リズの方はシャクティを近付けさせるつもりなど毛頭無い。あらん限りのレイン砲台で弾幕を張りながら、それでも近付いてくる個体がいればシールド型のレイン砲台で移動を妨害する。
 ドォン! ドォン! と、リズを前にしてシャクティ達は次々と爆ぜていった。
 その爆発音を聞きつけてか、次々とシャクティ達が増援に駆けつけて来る事も何度かあった。既にリズと交戦した個体が残骸となって転がっているのを発見したシャクティ達は、素早くその残骸に駆け寄ると、それを持ち上げて盾としながらリズに迫ろうとする。
 それに対してリズは、数え切れない程に数多の光条を、レイン砲台の砲口から放つ。だが、その光条は湾曲しながらシャクティ達の横や上を素通りしていった。
 それを不発だったと見たシャクティ達が、この機会にと一気にリズとの距離を詰めようとしたところで。
「――!?」
 反転した光条が、シャクティ達の背中にことごとく命中。信じられない、と言った表情をしながら、シャクティ達は爆発し、盾とした仲間の残骸に折り重なるように斃れていった。
 『|決戦気象兵器「レイン」・精霊術式《レインシステム・アナザーコード》』。この√能力によって、レイン砲台からの光条は意志を持つかのように自在に動くことが可能となっていたのだ。

都留・臻

●恐るべき威力は制約と共に
(……地の利はあっちにあるってか)
 カテドラルの内部を進みながら、|都留・臻《とどめ・いたる》(|枳殻《きこく》・h04405)は考える。
(遮蔽の多い屋内戦闘――|身体のどこか《きょうだいの誰か》が覚えていればいいんだが)
 もしそうであれば、そこが自ずと動いてくれるかも知れない――が、それを期待してばかりもいられない。
(待ち受けてるなら、こっちから出ていくか。視界に入れば、攻め込んでくるんだろ)
 臻は、積極的に遮蔽の先へと突入することにした。
 早速、警備のため巡回している戦闘機械「シャクティ」と遭遇すると、臻は√能力『|1825-Adamii《ラバーナム》を発動する。
『おれたちを、見ろ! この鉄棍で、叩き潰してやる!』
 臻が宣言している間に、シャクティも√能力を発動して拳で殴りかかって来た。一見、臻が先手を取られたように見えるが、そうではない。1825-Adamiiの有する条件上、シャクティに先に攻撃させねばならなかったのだ。
 シャクティの拳が、臻に迫る。だが、臻はその拳を鉄棍で弾き除けた。此処に、1825-Adamiiの条件は成った。
「|疾《シ》ッ!」
 一歩踏み込んだ臻が、渾身の力を込めて鉄棍を突き出す。その先端は、シャクティの喉を貫き徹すと、頭と胴体を泣き別れさせた。1825-Adamiiにより、攻撃の威力が8倍に増強されているためだ。
 だが、臻にもシャクティの√能力の影響が残っている。フーッ、フーッと興奮気味に荒い息を吐く臻の中では、アドレナリンが過剰分泌されていた。
 その後、何度か遭遇したシャクティと戦闘するうちに、どうやら状態異常によって回避能力が低下させられていると臻は悟る。だが。
(それなら、避けなきゃいいだけだな)
 1825-Adamiiが効果を発揮する条件として敵の攻撃を弾かねばならないこともあり、臻は回避を捨て、ダメージを軽減するために鉄棍、それでも足りなければ卒塔婆での防御に専念することにした。
 ただその為、一度に多数を相手にした際などに防御が間に合わず、傷を負ったりもしているが、臻は頓着しない。
「お前等は通過点だ。退いてろ」
 傷の痛みなど感じていないかのような不敵な笑みを浮かべ、臻は眼前のシャクティ達に告げる。まだこの後にもシャクティはいるであろうし、何よりその先、このカテドラルの奥にはゼーロットが鎮座しているはずなのだ。
 そこを目指して、臻は突き進んでいった。出現してくるシャクティの体軸を鉄棍で貫き、屑鉄を次々と新たに生み出していきながら。

イリス・ローラ

●√汎神解剖機関より霊波を込めて
 『√汎神解剖機関の』羽田空港の構内を、巨大な百足の姿をした地這い騎蟲「センチピード」が進む。その背には、10代前半ほどの少女、イリス・ローラ(支配魔術士見習い・h08895)の姿があった。
 「戦闘機械群の連中に我が家の支配魔術を見せつけてやりたいけど、今の私の実力だと真っ向勝負は分が悪いかな」と言う判断が、その理由だった。故にイリスは、√汎神解剖機関の羽田空港から『霊能波』の√能力によって、√ウォーゾーンの羽田空港にいる戦闘機械群を攻撃する戦法を採ることにしたのだ。
 ところで、如何にイリスが10代前半ほどの少女であるとは言え、それを乗せられる程に巨大なセンチピードの姿はいささか目立ちすぎる。到底、技能で誤魔化せると言うレベルではない。そのため、空港の利用客から注目を集めたり、警備スタッフから呼び止められたりした。だが。
「センチピードは、荷物運搬用の乗物だよ」
「だから、此処にいても全然おかしくないよね?」
 そうイリスに言われると、誰も彼もが素直にイリスの言を受け容れて、何事もなかったかのようにセンチピードのことを全然気にしなくなる。
 これは、イリスの催眠術によるものだった。さらに言えば、イリスは単に相手に催眠術をかけただけでなく、√能力『|支配の領域《ドミネーション・フィールド》』によって相手の催眠術への耐性を激減させた上で術を行使している。実際、この√能力の影響がなければ、いくらイリスに催眠術の技量があるとは言え、こうも易々と相手が術にかかることはなかったであろう。
「はぁ……戦う前から、疲れたかも」
 嘆息しながら、イリスが漏らす。ただでさえセンチピードの乗り心地が悪いのに、度々注目されて騒がれたり呼び止められたりして、その度に√能力を使いながら相手を催眠術にかけていったとなれば、心身共に消耗するのも無理からぬ事であった。
 だが、イリスの言うとおり、今はまだ「戦う前」であって、これからが本番なのである。疲れたとは言え、休んでいいられる場合ではなかった。
 イリスは霊能波を発動すると、√ウォーゾーン側の羽田空港を観察する。
「居たね。……それじゃ、行くよ」
 程なくしてシャクティを発見したイリスは、霊波で攻撃する。
「!?」
 標的にされたシャクティは、ビクッと大きく身体を震わせた。そして、何が起きたのか、何処から攻撃されたのかと困惑しながら周囲を確認する。だが、√を超えて相手を発見する手段など√能力以外にあるはずもなく、シャクティはそのような√能力を持ち合わせていない。となれば、√汎神解剖機関にいるイリスを発見出来るはずもなく、当然反撃も出来るはずがない。
 シャクティが敵を発見出来ず困惑する間に、イリスは霊能波による追撃を仕掛けていた。敵の所在を感知出来ず、しかも霊波と言う視認が困難な手段で攻撃されていることもあり、シャクティは回避も防御もままならない。故に、追撃の霊波を避けることも防ぐことも出来ずにまともに受けてしまう。そして、このシャクティはダメージに耐えきれずに斃れた。
(まず、一つ)
 そうして、イリスは次の標的となるシャクティを探して発見すると、先程と同じように霊能波で攻撃して撃破する。あとは、これを繰り返していくだけだ。

 √汎神解剖機関の羽田空港をセンチピードで動き回り、√ウォーゾーンのカテドラルと化した羽田空港を隅々まで観察したイリスは、残存しているシャクティを一体残らず殲滅した。
 シャクティから発見されて攻撃されるおそれがないため、イリスは√汎神解剖機関に居ながらの索敵に集中することが可能であり、そのイリスが一方的にシャクティ達を攻撃して次々と撃破していく様は、戦闘と言うよりも掃討やあるいは蹂躙と言う方が相応しかった。

 ――かくして、『統率官』ゼーロットへの道は拓かれた。

第3章 ボス戦 『統率官『ゼーロット』』


イリス・ローラ

●避けられども、避けられども、なお――
「見つけたよ」
 √汎神解剖機関の羽田空港にて、イリス・ローラ(支配魔術士見習い・h08895)は独り言ちた。自身の√能力を介して、√ウォーゾーンの羽田空港にいる統率官『ゼーロット』を発見したからだ。
 既にイリスは、√ウォーゾーンにいる戦闘機械群「シャクティ」を√汎神解剖機関からの攻撃で殲滅している。ならばと、ゼーロットも同じく√汎神解剖機関から攻撃することにしたのだ。
「それじゃ、攻撃に集中したいから人払いしておこうかな」
 そうつぶやくと、イリスは√能力『支配の領域』を改めて発動し、周囲の人々に催眠術を仕掛ける。
「貴方は嫌な予感を感じている。貴方はすぐにでも此処から離れたい。
 そして、此処に他人を近寄らせたくない」
 元より、巨大なムカデの姿をした地這い騎蟲「センチピード」に騎乗しているために目立っており、周囲の注目を集めたり警備スタッフから呼び止められたのを、「センチピードは、荷物運搬用の乗物」「だから、此処にいても全然おかしくない」と言う催眠にかけながらシャクティを攻撃していたが、今回は相手が相手だけに徹底して人払いしておくことにしている。
 果たして、イリスの周囲にいる人々は蜘蛛の子を散らすかのように支配の領域の効果範囲から離れ、外側から領域内に入ろうとする人々を妨げる壁となる。
(まず、脚から潰すね)
「ぬうっ!? これは……!」
 イリスの放った霊波が、ゼーロットの両脚に次々と痛撃を与えていく。次々と霊波が浴びせられる度に、ゼーロットの両脚の装甲は歪み、剥がれ、内部の機械が露出した。
 もっとも、ゼーロットもやられっぱなしではいない。√能力によって、機動力を上昇させるバーニアを自身の背後に出現させながら、周囲に漂うインビジブルと自身とをランダムなタイミングで入れ替えていく。
(やっぱり、そう簡単にはいかないみたい……でも!)
 イリスの霊波は、空蝉の術の如きインビジブルとの入れ替わりか、バーニアによってゼーロットが得た人並み外れた技量によって回避され続けた。だが、イリスは諦めることなく執拗に霊波をゼーロットに向けて放ち続ける。
 やがて、その努力が報われる時が来た。

 ドォーン!

 何度目であっただろうか。肩で息をしながら放ったイリスの霊波を回避した瞬間、ゼーロットの背中のバーニアが爆発したのだ。
「ぐおおっ!」
 その衝撃に、ゼーロットの動きが止まる。イリスはここぞとばかりに、霊波を連続してゼーロットの両脚へと浴びせていった。
「くっ、しまった!」
 インビジブルと入れ替わる余裕もなく、ゼーロットはイリスの霊波をまともに受けてしまう。そして、先に右脚が、次いで左脚が破壊された。既に装甲が剥がれて内部の機械が露出している以上、脚の破壊は容易いことであった。
(そろそろ、潮時かな)
 支配の領域と催眠術の効果が薄れてきたことに加えて、霊波を連発した疲労が著しくなってきたことから、イリスは一度後退することにした。ゼーロットを仕留められなかったとは言え、両脚を潰すと言う十分な戦果を得たこともあり、ちょうどキリが良いというのもある。
「おのれ! おのれおのれおのれええええっ!!」
 イリスの後退によりそれ以上攻撃されることがなくなったゼーロットは、一方的に攻撃された挙句に両脚を潰されて立っていられなくなった自身の無様さに、独り口惜しさと憤りの叫びを上げるのだった。

都留・臻

●二撃必殺――ならず
 先行した√能力者との戦闘により、両脚を破壊され立っていられなくなったゼーロットの前に、|都留・臻《とどめ・いたる》(|枳殻《きこく》・h04405)が姿を現した。
「いよう、漸く会えたなぁ。お前らには、さんざ痛い目に逢わされてんだ。
 もう脚をやられてるみてぇだが、そんなもんじゃすまさねぇぜ……!」
「――ええい、来るな! 来るなっ!」
 臻は途中でゼーロットの両脚の残骸を拾いながら、突進。だが、ゼーロットは臻を近付かせまいとして、腹部から無数のビームを放つ。
(多少食らうのは仕方ねぇ。耐えてみせるさ)
 両脚の残骸を盾代わりにしてビームを受け止めながら、臻はなおゼーロットに突き進む。残骸で防ぎきれなかった分のビームが臻の身体を灼くが、臻は痛みに耐えながら突進の勢いを保ち続ける。
 そして臻は、突進の勢いのままにゼーロットの肩を蹴って上半身を倒しにかかる。首尾良く上半身が床に倒れると、臻はその上に馬乗りになってマウントポジションを取った。
「今度は、俺の番だぜ。これで――仕舞いだ!」
 すかさず、臻は√能力『|2008-SolanalesDatura《ダチュラ》』を発動し、左拳でゼーロットの胸板を殴りつける。ゼーロットは両腕をクロスさせて、臻の拳を防ごうと試みるが――。
「ぐおおおおおおっ!!」
 グシャアッ!! と大きな音が響くと共に、臻の拳をガードしたゼーロットの両腕が千切れ、胸部の装甲が大きく凹んだ。だが、その反動で臻の右腕も折れている。
「もう一丁だ! ブチ抜いてやる!」
 だが、それに構わず臻は左拳を握りしめると、ゼーロットの凹んだ胸板に再度叩き込む。
「うぐうっ!!」
 派手な破壊音が再び響くと共に、臻の左拳はゼーロットの胸部を半ば以上まで貫いた。
「――ちっ、足りなかったかよ」
 だが、臻の攻撃はゼーロットを虫の息までには追い込んだものの、その命にまではわずかに届かなかった。
 そのわずかを届かせようにも、臻の左腕もまた反動で骨折してしまい、これ以上の攻撃は不可能となってしまっている。
(まぁ、いいさ。ここまで追い詰めれば、コイツはもう生き残れねぇ)
 臻はゼーロットを仕留めきれなかった口惜しさを滲ませたが、あと一歩まで追い込んだだけでも十分と考えることにして、ゼーロットの前から退いていった。

クラウス・イーザリー

●ゼーロット、撃破!
 二度の√能力者との交戦により、ゼーロットは両脚を奪われた上、虫の息にまで追い込まれていた。最早逃亡も不可能であり、ゼーロットが生き残るには現われる√能力者を退け続けるしかない。
「馬鹿な……如何して、こんな……」
 自身の現状が信じられない、と言った様子でゼーロットが独り言ちる。
「√EDENへの侵攻など、考えるべきではなかったな」
 その問いに答えたのは、クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)。
 先行した√能力者達の奮闘に応えるべく、クラウスは何としてもゼーロットを仕留めるつもりでいる。
「悪足掻きも、ここまでだよ」
 クラウスはそうゼーロットに告げながら、√能力『|月拯《ゲッショウ》』を発動。魔力兵装に、自身の魔力を満たしていく。
 だが、クラウスが魔力を満たし終えて月の光を纏う斬撃を放つまで、60秒の時間を要する。当然、ゼーロットはその間を黙って待つつもりはない。
「消えろ! 此処から消えろっ!」
 追い込まれて焦燥と恐怖を隠せないゼーロットの腹部から、無数の光条が放たれる。だが、クラウスはそれを回避出来るだけ回避し、避けきれないものはバリアと霊力の護りで防ぎ止める。
「何故だ! 何故倒れない!? いや、傷さえも負わないとは如何言う事だ!?」
 その多くを回避され、防御されたとは言え、クラウスは傷の一つも負っていない。その様に、ゼーロットは驚愕する。
 これは、月拯の持つ魔力を満たし終えるまでダメージを先送りすると言う効果によるものだ。つまり、魔力兵装に魔力が満ちるまでは、ゼーロットがいくら光条を放とうともクラウスがダメージを受ける事はない。
「――これで、終わりだ!」
 魔力兵装に魔力が満ちたところで、クラウスは一息にゼーロットへと駆け寄りながら、魔力兵装を大上段に振りかぶる。そして、急接近の勢いを乗せた上で、渾身の力を込めて魔力兵装を一息に振り下ろした。
 魔力兵装の一閃が、ゼーロットを真っ二つに両断。そのまま、ゼーロットの身体は左右に分かれて倒れていった。
 もっとも、ゼーロットも√能力者である以上、再び蘇ってくる。だが。
(復活までの間、少しでも活動を止められるならそれでいい)
 先送りが終わったことにより傷を負った身体の痛苦に顔をしかめながらも、クラウスはそう考えるのだった。

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