シナリオ

⑬簒奪者にお帰りいただく一番簡単な方法

#√ドラゴンファンタジー #秋葉原荒覇吐戦 #秋葉原荒覇吐戦⑬

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⚔️王劍戦争:秋葉原荒覇吐戦

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
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(毎日16時更新)

「皆様、|秋葉原荒覇吐戦《あきはばらあらはばきのいくさ》、参戦お疲れ様ですわ。わたくしもこの戦いにまつわる事件を予知しましたの」
 ミオ・カタギリ(終身名誉生徒会長・h08302)はどこか得意げに√能力者たちに告げる。
 第一戦線における佐竹商店街の融合ダンジョン化は、√能力者たちによって阻止された。しかしながら、その首謀者たるリンドヴルム『ジェヴォーダン』は次なる目標地点を芳林公園に定め、再び融合ダンジョンを生み出そうとしている。
「ただでさえ古妖やなんやの相手で忙しいですのに、ドサマギってやつですの? とっとと諦めてくださればよろしいのに」
 ミオは呆れたように言うが、向こうも何か目的あってのことだろう。無論、√能力者たちがそれを見過ごす道理もないのだが。
「とはいえ普段コソコソしていらっしゃる黒幕様が表に出てきたのは好機ですわね。ここは徹底的にシバき倒してお帰りいただくのがよろしいかと……ええ、二度と√EDENに手を出そうなんて考えなくなる程度に」
 ミオは含みのある笑みを浮かべる。

 今回の作戦は単純だ。芳林公園に赴き、ジェヴォーダンを倒す。以上。
 どのような手段を用いるかは向かう者次第だが、完膚なきまでに叩けるならそれがよい。純粋に力を示すも、卑怯で狡猾とされる敵を上回るような策を弄するも自由。幸いにして今回は一般人が巻き込まれたという情報はない。戦いに集中できるだろう。
「とにかく身でも心でもフルボッコにして差し上げれば諦めるなりなんなりするでしょう。よろしくお願いいたしますわ」
 ミオは言葉からは想像しがたい上品な笑みを浮かべ、√能力者たちを送り出した。

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第1章 ボス戦 『リンドヴルム『ジェヴォーダン』』


ガイウス・サタン・カエサル
九竜・響

 芳林公園に現れたリンドヴルム『ジェヴォーダン』は、融合ダンジョンとすべき遊具を物色する。そして滑り台に目を付けたところに……。
「陰に潜んでいれば良いものを、何故出て来たのかね?」
 ガイウス・サタン・カエサル(邪竜の残滓・h00935)が、冷たく挑発する。
「遊びたいんすかね?」
 |九竜《くりゅう》・|響《ひびき》(はじめから・h06647)は首を傾げながら、あえて不正解であろう予想を口にした。
「ほう、上手く出し抜いたと思ったが」
 ゆっくりと振り返るドラゴンプロトコルの簒奪者。その姿は見る見るうちに巨大なオオカミへと変わっていく。人の大きさをはるかに超え、高みから睥睨する獣の目に、しかしガイウスは冷ややかな視線を返した。
「まさか、戦争の混乱に紛れれば君程度でも事を成せると思ったのかな?」
「ほざけ!」
 ジェヴォーダンが変異した大狼の、鋭い爪がガイウスに襲い掛かる。しかし爪一本引っかかるほどの距離でほぼ躱され、かろうじて当たるはずの爪は|黒白《コクビャク》の光に呑まれて崩壊消滅していた。
「何!?」
 上げたはずの驚かせ力もむなしく、自らが驚かされるジェヴォーダン。その焦りの隙を突き、ガイウスの【魔人の剣】が狼の毛皮を切り裂く。白黒の光、そして光の剣。三つの光に翻弄されるジェヴォーダンを、もう一つの光が貫いた。
「どこだ!?」
「さて、どこっすかね」
 響の√能力【|影の群衆《シャドウモブ》】により、響の気配は限りなく薄くなっている。狼の大きな耳でも音は聞こえず、その立派な鼻でも臭いは辿れない。遊具の影から影へ移動する響を探せば、ガイウスの剣と拳のコンビネーションに阻まれる。さりとてガイウスを排除しようにも、公園のどこかから放たれる響の銃弾を無視しきることはできない。「隠れるとは卑怯な!」
「ただの隠れ鬼っすよ。はやく見つけて捕まえないと、凄い竜でも穴空いちゃうっすよ?」
 再び影に紛れる響。そして。
「よそ見は良くないな」
 隙を見せた簒奪者に【魔人の拳】を叩きつけるガイウス。二人のコンビネーションに、ジェヴォーダンは苛立ちを募らせていた。 

架間・透空
澪崎・遼馬

 さて、この|招かれざる客《簒奪者》を√EDENから叩き出す最も単純な方法と言えば、一旦お亡くなりになっていただき、どこか別の√で蘇生してもらうことだろう。
「実に明快な話だな」
 |澪崎《みおさき》・|遼馬《りょうま》(地摺烏・h00878)は指を鳴らす。物理的に叩き出せばいいのであれば、
「……とにかく、普段表舞台に出てこない黒幕さんを叩ける絶好の機会ってことですよね」
 片や決意を秘めた表情で、|架間《かざま》・|透空《とあ》(|天駆翔姫《ハイぺリヨン》・h07138)は手を強く握る。千載一遇、ここで見逃すわけにはいかない。
 ――変身、解除。
 風にかき消されそうな声で、透空は囁く。すると突如強風が吹き、落ち葉が、土埃が透空の姿を隠した。そして風が止んだ時、そこにいたのは怪人「ハイペリヨン」だった。
 怪人は決戦気象兵器を起動する。すると突如、公園を暴風が襲った。やや遅れて叩きつけるような豪雨が地面を穿たんとする勢いで降り荒ぶ。雷鳴は簒奪者を拒絶するかのように鳴り響き、嵐が訪れる。
「本日の天気予報、晴れのち雨。大雨特別警報、発令中です」
 ジェヴォーダンはとっさに翼を模した部位を創造し身を守るが、暴風に巻き上げられた瓦礫の類を防御しきるには及ばない。
「はるばるこの√EDENまで殺しに来たのだろう、ならば殺される覚悟もしてきたかジェヴォーダン」
「くっ、モンスターよ来い! 盾になれ!」
 遼馬の追撃に備えた召喚も、風に煽られて思うように動けない。その隙を逃す遼馬ではない。【|徹甲弾「不帰」《イルカルラ》】――冥界の弾丸を撃ち出せば、この嵐の中でも違うことなくジェヴォーダンに命中する。だが、この技の真骨頂は銃弾のみに非ず。着弾地点を中心に、地中より炎が踊り、召喚されたモンスターもろとも焼き尽くしていく。
 業火は嵐を得て燃え盛り、瓦礫は炎に包まれ簒奪者に激突する。
 それでもなお、√能力者たちは手を止めることなく、|徹底的に《・・・・》ジェヴォーダンを叩きのめしていく。遼馬は両手の拳銃【彼岸】【此岸】を連射し、ハイペリヨンは巨大な瓦礫を投入し続け……公園はまさしく地獄の様相を呈していた。 

和紋・蜚廉
猫屋敷・レオ

 公園に歌うような声が響く。
「トカゲノコノコ死地にノコ」
 童歌のように歌いながら、猫屋敷・レオ(首喰い千切りウサギ・h00688)は公園に簒奪者の姿を見る。
「すなわちバカバカおバカバカ」
 くすくすと笑うレオの姿をジェヴォーダンが視認するや否や、それは黒い影となり消える。
「どちらが馬鹿か思い知らせてやろう。食いちぎれ獣ども!」
 見えぬ速さの敵にモンスターをけしかけるジェヴォーダン。その背後を、|和紋《わもん》・|蜚廉《はいれん》(現世の遺骸・h07277)が静かに取った。
「なるほど、飛んで火にいるなんとやら……ふ、我が見た目でいえば、皮肉にもならんか」
「まだ来るか。何人増えようと同じことだ!」
 レオの相手は召喚したモンスターに任せ、自身は蜚廉に対処するつもりらしい。ジェヴォーダンの腕の鱗が発達し、堅牢なガントレットの如く両腕を覆う。……だが、それは√能力による変化。蜚廉の拳打に乗せられた、√能力を無効化する力によりかき消される性質のものだ。
 事実、一打撃ちあうごとに、あるいは一手防ぐたび、ジェヴォーダンの鱗は消えていく。蜚廉はそうして生まれた生身の部分を正確無比に狙う。麻痺毒を仕込んだ【殻喰鉤】を打ち込むと、ジェヴォーダンの動きは徐々に鈍っていった。それは、最大限の一撃を叩きつけるための布石だった。
 レオが現れ、そして消えてから60秒。それ即ち、|神千切《カミチギリ》・カゲバミのチャージ完了を意味する。
「60秒も猶予をあげたんであります、遺言はちゃんと考えているでありますよね?」
「くっ……モンスターども!」
 レオにけしかけたはずの魔物は、公園に点々と転がっている。レオのスピードについていけず、蹴散らされていた。
 来る。そう直感したジェヴォーダンが新たな獣を召喚し身を守ろうとしても、蜚廉の毒が回った本体の回避はもはや不可能だった。
「60秒も猶予をあげたんであります、遺言はちゃんと考えているでありますよね?」
 レオは真っ直ぐに簒奪者へと加速する。そして……神速の喰い千切りが、盾とした魔物もろともジェヴォーダンを切り裂いた。 

エイハ・ルシニア
夜風・イナミ

 ジェヴォーダンへの容赦ない攻勢が続く。√能力者により理由は様々あるが、|夜風《ヨカゼ》・|イナミ《稲見》(呪われ温泉カトブレパス・h00003)にとって最も大きいのは、佐竹商店街に出現した融合ダンジョンの対処、住民救出に奔走させられてきた恨みだった。
「もう融合ダンジョンなんて作れなくなるくらい懲らしめますよぉ……!」
 イナミの中でどす黒い恨みや呪いが渦巻く。この事件のせいで、どれだけの人が危険にさらされたか。自分がどれだけ大変だったか。|恨み晴らし代行サービス《ウサミバラシダイコウ》は、今回ばかりは代行と言わず自分の呪詛も乗せて釘をばらまく。
「呪詛か。俺もこの手の攻撃には慣れているからな」
 その性格上、恨みを買うことも少なくなかったのかもしれない。ジェヴォーダンもまた魔眼を創造し、呪詛返しを狙う。呪詛合戦の勝敗はいかに。
「色々策を練っていたようだけど、尻尾がみえちゃってるよ偽竜さん」
 エイハ・ルシニア(夜に詠う・h08969)は挑発すると、エンディミオンフレームから接続されるウイングブースターで空へと舞い上がる。そのまま三次元機動で死角からジェヴォーダンを追い詰めんとする。
「ほほう、お前は空中戦か。ならばこちらも飛ばせてもらうとしよう」
 ジェヴォーダンも翼を創造し、空へ。
「これならその釘も踏まずに済みそうだ、ははは!」
 得意げに高笑いするジェヴォーダンにむっとするイナミ。だが、エイハの目配せを受けて、釘の生成を続行する。
「座標指定――あのインビジブルっ!」
 エイハは漂うインビジブルと即座に位置を入れ替え、元居た場所は10秒間、インビジブルが元気に暴れまわる空間になる。自然、ジェヴォーダンの位置取りは限られる形になり、さらに空中にも生成されるイナミの釘が呪詛返しも押しのけて簒奪者に突き刺さる。
 エイハの空中機動は、偽物の翼では追いつけない。牽制の射撃を交えてジェヴォーダンをある場所へ追い詰めていく。
「そこ!」
 エイハは素早くジェヴォーダンに突進し、レーザーブレード【クサナギ】を振るうとその翼を一閃の元に切り落とした。
 翼無き者は地に墜ちるが定め。ジェヴォーダンの身は落下する……イナミの釘が密集するポイントに向かって。
 勢いよく地面に叩きつけられた体に、無数の呪詛が突き刺さる。そして身動き取れないジェヴォーダンを、イナミはありったけの恨みを込めて、力いっぱい踏みつけた。

不動院・覚悟

 公園には、人の気配はなく。ただ、簒奪者と√能力者が相対するのみ。
「民間人がいない純粋な戦場……望むところです」
 不動院・覚悟(ただそこにある星・h01540)は構える。時に非情な判断すら下しながら戦場で生きる少年は、今他者を案ずることなく戦いに集中できることに、かすかに安堵していた。
「純粋、か。お前のような小僧は、そう思うんだろうな」
 ジェヴォーダンの姿が、金の鎧纏う英雄のそれに変わっていく。
「この姿がいいだろう。現実を教えてやる」
 あざけるように笑う簒奪者。一方、覚悟は僅かな笑みすら浮かべることなく英雄の隙を窺う。そして、かすかな鎧の金属音に隙を見出した覚悟は、風のように突き進むとジェヴォーダンへ右掌――√能力を打ち消す|阿頼耶識・羅刹《アラヤシキ・ラセツ》を繰り出した。
 真っ直ぐに突き出された掌は黄金の鎧へ触れると、それを消滅させていく。ジェヴォーダンはその様を、薄ら笑いを浮かべて見守っていた。
「かかったな小僧!」
 ジェヴォーダンを中心に、次々とモンスターが召喚される。罠だったのだ。覚悟が接近戦を挑むと予想し、包囲を狙っていた。
 だが、覚悟は眉一つ動かさない。ただチリチリと小さなスパークが彼の周囲を舞っている。
「やれ、獣ども!」
 ジェヴォーダンの号令に合わせて魔物が一斉に覚悟へ飛び掛かる。刹那、ひときわ大きく火花が散り、魔物たちを焼き焦がした。
「正々堂々と戦うばかりが戦場ではないことくらい、僕も知っています」
 スパークが収まる。覚悟は新たな武装【神焔破】を手に、簒奪者を睨んだ。
「それでも信念を貫くには、力がいることも。だから僕は……」
 覚悟はジェヴォーダンの拳を受けきると、蒼き炎【神焔破】を用いて反撃。簒奪者に重い一撃を入れ、公園の隅まで吹き飛ばした。
「僕は、あなたには負けません」
 起き上がろうとするジェヴォーダンに、覚悟は追撃を試みる。暇も与えず簒奪者に接近すると、破壊の炎を宿した覚悟の拳が、ジェヴォーダンを撃ちぬいた。

空地・海人

 戦場の非情を知る者もいれば、ヒーローもいる。ジェヴォーダンの前に現れたのは、まさしくヒーローだった。
「現像!」
 |空地《そらち》・|海人《かいと》(フィルム・アクセプター ポライズ・h00953)はカメラ型のバックルが付いた変身ベルトをその身に巻くと、青き装甲纏うフィルム・アクセプター ポライズ【√妖怪百鬼夜行フォーム】へと変身。
「英雄気取りか、正義が勝つとは限らんぞ?」
 透鏡籠手・焦点覇迅甲を身に着けた海人は、静かに【妖力撃・乱翔合焦の型】の構えを取る。焦点覇迅甲が炎に包まれ、火球を形成していく。
「ボコボコにしてやるぞ、ジェヴォーダン!」
 撃ち出された火の玉は真っ直ぐにジェヴォーダンへと飛び、簒奪者を焼く。それを追うように素早く飛び込んだ海人は、炎の拳でジェヴォーダンに一撃を加えて距離を取った。
「なるほど、属性か。ならばこちらも属性で戦うとしよう!」
 ジェヴォーダンの口元が変化し、竜のそれへと変わる。そしてその口を大きく開くと、炎のブレスを吐き出した。
「そう来ると思ったぞ!」
 海人は焦点覇迅甲の属性を氷に切り替えると、炎の中に飛び込んでいく。熱気と冷気が打ち消し合い、残るは海人の拳のみ。
「妖力撃・乱翔合焦!」
 否、焦点覇迅甲が再び氷を纏い、鋭利な刃となってジェヴォーダンの皮膚を切り裂いた。氷とみるやジェヴォーダンも再び竜の口を創造し氷のブレスで応じるが、海人は属性を炎に切り替えて打ち消しを図る。
 炎と氷の撃ちあいは幾度か続き、そしてそのたびに、身の軽い海人が打撃を加えていく。決定打は未だない。だが属性が交差するたびに、ジェヴォーダンはダメージを受け、疲弊していく。一方海人は覚悟を決めている。徹底的にやる、と。その意志の強さが、勝負を決める。
 双方の体力の差は決定的なものとなる。ふらつくジェヴォーダンに、海人は最後の一撃を構える。
「さあ、これで終いだ! ポライズ穿孔パンチ!」
 焦点覇迅甲が雷を纏い、簒奪者に叩き込まれる。ジェヴォーダンは大きくふきとばされた。

サン・アスペラ

 ジェヴォーダンが絡む融合ダンジョン事件……佐竹商店街のみならず、√ドラゴンファンタジーで起きた事件から関わり続けたサン・アスペラ(ぶらり殴り旅・h07235)は黒幕たる簒奪者を許さない。
「融合ダンジョンのせいで、どれだけの人が苦しんだと思ってるんだ!」
 怒りとともに突進するサン。それをあざ笑うかのように、ジェヴォーダンは飛竜へと変じる。
「卑怯で姑息なこの俺が、そんなことを気にするとでも思ったか?」
 サンは確信する。こいつを許してはいけないのだと。
「完膚なきまでにフルボッコにしてやるぞ! ジェヴォーダン!」
 飛竜のブレスをあえて受けながら、サンは突進する。もとより【セイクリッド・サンドライブ】で傷は癒えるのだ。ガントレットを破邪顕正モードに変形させ、熱き魂、全ての義憤を【|紅焔闘気《プロミネンスオーラ》】に乗せて、サンは地を蹴った。
 その瞬間、サンがいた場所には時期外れの陽炎だけが残った。サン自身の姿はどこにもない。否、通常の四倍の速さで疾駆するサンを、視認できないのだ。
 そして、風はジェヴォーダンの背後に回る。サンは巨大化した飛竜の背に飛び乗ると、その背を、翼を滅多打ち――文字通り、フルボッコにした。
「動かない方が身のためだよ、ジェヴォーダン」
 ジェヴォーダンが翼を動かそうとするのを制し、何が起きたかを教えてやる。サンの√能力によって纏った紅焔闘気は、対象が動けば触れた場所が即座に爆発する性質を持つ。
「それがどうした! この姿なら」
「まあ、動かなかったらそれはそれで地獄なんだけどさ」
 飛竜の言葉を最後まで聞くことなく、サンは再び高速起動に入る。次に狙うは顎の下。再び神速の硬い拳が次々と飛竜の頭を打ち据えていく。それだけの衝撃を受ければ、巨躯を誇る飛竜とてのけぞり……動いてしまう。
「跡形もなく消し飛べ! ジェヴォーダン!」
 最後の一撃とともに離脱するサン。巨竜の背が起爆し、さらにその衝撃で顎下を吹き飛ばされ……地響きを立ててジェヴォーダンが地に沈む。
 それをサンが見届けるとと、ガントレットの変形が解けた。変形の効果時間は60秒、その間に決着をつける必要があったが。
「60秒も掛からなかったね」
 こうして、ジェヴォーダンは排除された。多くの√能力者たちの怒りによって。次にかの簒奪者に相まみえるときは、死をも覚悟した熾烈な戦いになるだろう。

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