シナリオ

⑧薄命

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⚔️王劍戦争:秋葉原荒覇吐戦

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

●うすらとあかるい
 首を掻け、爪が剥げるまで。
 頭を打て、頭骨砕けるまで。
 飛び込め、肉片となるまで。
 従え従え従え従え従え従え。

 その√能力は半ば無差別である。無差別であるからして、獣にも同様。人のいない空間でぼんやり見上げる秋葉原ダイビル、から、何かが落ちてきた。羽ばたくことをやめた鳥だった。

 リンゼイ・ガーランドは息を吐く。
 安らかに死んで欲しかった。
 安らかに死んで、くれないか?
 願えど叶わぬことである、現に、このように。

 自らにこの矛先が向かぬことを、少しばかり、憎んでいたかもしれない。幸運と思っているかもしれない。それとも何も考えていないのか。ともあれ。
 もう、落ちてこないでほしい。
 この|落花《・・》、幾度目か……。

●おとどけもの。
「厄介事の『お届け』だ! めっちゃ死にたい時ってあるよね!!」
 カスの言動? オーガスト・ヘリオドール(環状蒸気機構技師・h07230)、冷や汗をかきながら資料をテーブルの上に広げる。

「リンゼイ・ガーランド。合衆国管轄の『封印指定人間災厄』。つまり、収容されていた弩級の人間災厄だよ。しかもこれが解放されたのは、大統領命令――わかる?」
 ――この戦に介入しようとしているのはもはや『組織』ではない、『国家』だ。

「収容できたってことは、それだけ隙があるってことだ……殺せないわけがない、死ぬ前に殺す、いい? 死ぬ前に……」
 頭を掻く星詠み、まさかとは思うが。
「……これ? いや、近づいてない。ただ話聞いてたらすげー死にたくなってきただけ」
 馬鹿で良かった。

「ともあれ、だ。この衝動が√能力によるものなら、どうにかなる。できる。君たちなら。俺は信じてる……」
 手袋の上から爪を噛みながら、資料を漁り、対象たるリンゼイの情報が書かれた一枚を見せる星詠み。

 女性の姿をした「死」。
 殺さぬ理由はない。

マスターより

R-E
 おはようございます、親愛なる皆様!
 R-Eと申します。
 リプレイ字数を絞った速戦即決シナリオです。
 レッツ陰鬱!!!!
 参加者が多い場合ちょっと採用を絞り、より成功度の高くなりそうな方を優先させていただきます。すみません!
 愛するものよ死するなかれ。

●1章
 人間災厄『リンゼイ・ガーランド』との戦闘です。
 強烈な自殺衝動を放つ相手ですが、もちろん皆さん、耐えてくれますよね。
 死への衝動を耐え抜くか、彼女に一瞬でも好きになってもらったりするとプレイングボーナスが付きます。
 隙を狙って攻撃を叩き込みましょう。

 それでは、希死念慮を振り払いましょう。
70

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第1章 ボス戦 『人間災厄『リンゼイ・ガーランド』』


POW |希死念慮《タナトス》
60秒間【誰にも拘束・監視されない自由な時間】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【突発的感染性自殺衝動】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD 怪異「|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》」
【|自殺少女隊《ヴァージン・スーサイズ》】と完全融合し、【自殺衝動の超増幅】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
WIZ |自殺のための百万の方法《ミリオンデススターズ》
【様々な自殺方法の紹介】を放ち、半径レベルm内の自分含む全員の【ヴァージン・スーサイズによる自殺衝動】に対する抵抗力を10分の1にする。
イラスト 芋園缶
√汎神解剖機関 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アノマニス・ネームレス
ソチラも災厄デスガ、コチラも災厄、そう劣るものではございマセンヨ?
まずは|祝福魔術《セラフィエル》にて【狂気耐性】を付与し、自殺衝動に抗ってみマショウ、【破魔】【霊的防御】なども駆使シマス
マァ、それで防げるならいいデスガ、そこまで楽観的ではございマセン、【時間稼ぎ】できれば御の字デス
本命はコチラ、魅了の魔眼にて彼女を【誘惑】し【魅了】させてみマショウ
条件付きで無効化できるなら、それを満たせばなんとでもできるという事デスシネ
そしてそのまま彼女を支配して、自害へと導きマショウ
アノマニス・ネームレスが命じる、自害せよ。ナンテネ?

アドリブ&連携歓迎デス

 人間災厄。
 元は人間か。ヒトの形を取るからか。どこかがヒトに似ていたからか。
 ともあれアノマニス・ネームレス(|塔の魔女《Witch of Babel》・h00202)、この言語なき死への衝動を崩すがよい。

「ソチラも災厄デスガ、コチラも災厄、そう劣るものではございマセンヨ?」
「御冗談を。競うものでもありません」
 とはいえ相手は強力に収容され、この戦のため解放された災厄――何より、簒奪者。邪悪なるインビジブルは彼女へと『|正しく《・・・》』手を貸してしまう。
 死が手招いている。側にいるだけで怖気。ならば、我に祝福を。

 |祝福魔術《セラフィエル》。アノニマスの視線、リンゼイの視線。ぱちり、合った。
 合ってしまった。それは間合いを図るものか、敵意を持ったものへの視線だったかはともあれ、あってしまえばしかたがない。
 であってしまったらしかたがない。
「――何か、しましたね?」
 魅了。誘惑。思わず視線を逸らそうとする、できない、できない! 蠱惑的――!
 リンゼイの『それ』は、明らかに、あからさまに、染まっていく頬によって現れた。
 彼女が指揮する怪異たちが困惑している。|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》。彼女自身らの視線は塞がれている、指揮官たるリンゼイからの言葉が、司令が来ない!

 アノマニスがありとあらゆる手段を用いて防護していた衝動が薄らぐ、消える。与えられていた肌に響くほどの、粟立つほどの衝動が。
 時間稼ぎは十分だ――。いいや、十分すぎた。頬を染めた彼女、ようやく目を逸らせたが。
「アノマニス・ネームレスが命じる、自害せよ」
 その一言でくらり、アノニマスへと振り向いてしまって。手にした得物はない。|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》は困惑したまま。命令をするような暇もない。
「ナンテネ?」
 その小さな一言によって、彼女は『命拾い』をした。喉を抉ろうと、そのまま心臓を取り出そうとするかのように下へ向かう引っかき傷。手袋をしていなければ肉が爪の間に引っかかっていたか――逆に。
 まるで芋虫でも引っ付けたかのような、深く抉った傷が彼女の肌に残った。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

和紋・蜚廉
死の衝動か。
我が生存本能の対極だな。

これは競い甲斐がある。
右掌に、触厭を纏わせる。
迫る死の念、身体の内に蓄積する衝動。
我が拳にて打ち砕こう。

右掌をかざしながら、跳爪鉤も用いたダッシュで接近。

希死念慮を溜め込む体ごと、グラップルにて押さえ込み生まれた隙で斥殻紐の捕縛を行う。

どの様な衝動であろうと、我の生存本能が勝って見せよう。
幾星霜、幾多の修羅場を乗越えて我が身に刻まれた衝動だ。

災厄如きで、我の本能は打ち砕かれぬ。

その重み、重量攻撃に乗せて叩き込むぞ。

 和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)。対極である。
 死の衝動、生の衝動、その間にただ『いる』女は、|少女たち《ヴァージン・スーサイズ》に縋りつかれるようにしながら、そこに立っていた。飛び立つ鳥が落ちる中、羽蟲がふらふら落ちる中、『命が生きることをやめていく』空間――。

「これは競い甲斐がある」
「競う。競う、ですか? ……それは」
 どうなのでしょうか。|倫理的に《・・・・》。続いた言葉に鼻を鳴らすように返事をし――右掌に宿るは。彼女のその衝動、すべてを『打ち消す』ものである。
 だれもわたしを『そのように』みていない。なにもわたしに『そのように』ふれていない。
 ――ああ厭世。これだけ永く生きようと、己が生き続ける理由とは。いつか誰かに語ってみせたか。戦うことこそ――しかしその決意と今、共にあるのは『あの姿』。

「我が拳にて打ち砕こう――」
 跳躍めいた、一步であった。跳爪鉤を用いたそれ、走るというにはあまりに疾い。|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》がリンゼイの盾となろうとしたが、それよりも一手。掴み取り、骨肉を軋ませるその腕、離しはしない――!

「ッ……手荒、ですね」
 宿った希死念慮が薄らいでいく、打ち消されたタナトスはさてどこに行ったのか。蜚廉が今思うものは、ただ、闘争――! リンゼイに付き従う少女のような怪異たちを薙ぎ払うように、その体を強く振り回す。
 そのまま叩きつけるは舗装されたブロック。それをかち割るほどの勢いで打ち付けられた体、当然タダでは済まない。斥殻紐の糸がダメ押しとばかりに体に巻き付き、彼女の√能力を完全に無効化する。
「どの様な衝動であろうと、我の生存本能が勝って見せよう」

 まさしく幾星霜、幾多の修羅場を乗越えて我が身に刻まれた衝動だ。彼が生きている間に、あの『空』は何度廻ったのか? 数えるのも億劫。
 災厄如きで、本能を打ち砕けるなどと、思わないほうがいい。
 想いは重量となる。捉えられたリンゼイ、逃れるすべはない。打ち込まれた拳、確と――吐き出されるは吐息にもならぬ悲鳴である。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス
アドリブ、野良連携等ご自由に!

こんにちは希死念慮の君!
ハグしようぜ!

というわけで【人間爆弾】を発動しつつ近づいて
挨拶のハグを要求しよう
ここは日本だが、海外じゃこれがスタンダードなとこも多い
不自然には思われないだろ

味方?が近くにいるかは知らんが
ハンドサインでもしとくか
手のひら広げた状態から
親指折って、拳握って
伝わらなくても、まあいいけど

ハグからの自爆ーって言いたいが
まあ、右腕だけ爆破で誤魔化しとくか
自殺衝動

あ、ハグにこだわるのは
相手の√能力の「誰にも拘束されない」の部分を
どうにかできっかなってあれで
他意はないぜ~
クラウス・イーザリー
(俺が死ぬ前に殺すしかないな……)
元々希死念慮を抱いている身、少しの延命はできても抗い切れるとは思っていない
だったら、死ぬ前に殺すだけだ

精神抵抗で自殺衝動に抗いながらダッシュで接近
盈月を使用し、魔力兵装と思念操作した兵器、体術を交えて連続攻撃
守りのことは考えず、ひたすら攻撃に集中して畳み掛ける
「悪いね……応えてあげられたら、よかったんだけど」
希死念慮そのものを否定はしない
俺にとっての隣人だ、否定なんてできる訳がないよ

……ああ、死にたいな
この衝動に身を任せてしまえば、楽になれるかな
でも、衝動任せに死んだところで待っているのは本当の意味で死ねない虚しさだけだと知っているから
できる限り、抗うよ

「こんにちは希死念慮の君!」
 そんなやたら明るいご挨拶、この空間に相応しいと思っているのか。
「ハグしようぜ!」
 ジェイド・ウェル・イオナ・ブロウクン・フラワーワークス(笑おうぜ・h07990)。『人間爆弾』。とはいえ、その情報を知っているのは味方のみだ。彼女は――リンゼイはそれをご存知ではないが。
 挨拶のハグはご存知だ。両腕を広げて笑顔を見せるジェイド。普段の彼女なら……否、人間災厄となる前の、この力を存分に振るう前の彼女ならばあるいは、それに応じていたかもしれない。
 だが今、ここでは、それこそが致命的なものになると知っている。リンゼイは後退しながら「お断りします」と首を振った。威嚇する周囲の怪異、|自殺少女霊隊《ヴァージン・スーサイズ》。不自然とは思われずとも、警戒はされている。やれやれと肩をすくめたジェイド。

「どうやら、ご挨拶は言葉だけ~ってことらしいぜ、先輩?」
 先輩とやらに声をかけ。自分の視界には居ない『彼』へと。てのひら、ひらひら。その影の向こうで落ちていくは、もはや息切れの橙の蝶。親指を折り拳を握り下ろす。ハンドサイン。
 その背後で――クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)は、少し複雑そうな表情をして、ジェイドとリンゼイのやりとりを見ていた。

「(俺が死ぬ前に殺すしかない)」
 強い希死念慮が身を軋ませている。ふたりの脳をぐるり廻って、その皺に染み込んでいる。それでも耐えきれているのはどうしてか。眼の前に「それ」がいるからだ。強い意志があるからだ。延命。延命。いのちをつなげ。つないでいくことが誓いである。繋げなかった橙のため、赤のため。
 死ぬ前に、殺すしかない。

 ジェイドの背後から飛び出したクラウス。勢いに任せ発動される盈月。ここで殺し尽くすしかない。死ぬ前に。そうだ、死ぬ前に――!
 衝動は相応で相当だ。
「……ああ、死にたいな」
 口について出てしまうのは、どうしてなのか。「そうですか」とリンゼイは眼鏡の奥、目を細める。
「この衝動に身を任せてしまえば、楽になれるかな」
 楽になるとして、今ここで? いいや。目的がある。『まだ』……。まだ、その時ではない。
 もう少し先へ。先送りの、未来へ。放たれた魔力兵装による斬撃を|怪異《少女》が受け止め切り刻まれる。思念操作により放たれた兵器のレーザーが自身の体をも掠めてリンゼイの体を射抜いた。逃げるのならば追う。|怪異《少女》の片腕が切断される。

 自由な時間はおしまいらしい。
「来ないで下さい」
 そして、「|あちら《冥府》へ」行って下さい。
 監視の目があった。拘束にも似た攻撃があった。放たれたのは不完全な希死念慮の増幅――!
 ああ、けれど、このくらいならば。これならば。

 こんくらいなら、応えてやれるか?
 ――隙が生まれた。少女たちが離れたその瞬間、彼女の側に踏み込んだのはジェイドだった。
 死にたい? うん、死にたいなあ。
 にっこりと、笑ったその顔、握った右腕。さあ、これをご挨拶として。

「改めて……笑おうぜ?」
 右腕が爆発する。爆破される。爆音と共にずたずたに弾けた皮膚、名残惜しそうに、あるいは生に縋り付くように……骨と筋肉にへばりついていた。さて自殺衝動は一時的にでも満たされた。
「――ッ。どうして」
 どうして? どうしてだろうなあ。きっと誰に聞いても首を傾げ、肩をすくめ、あるいは溜息を付くのだろう。
 もしかすれば『あいつ』なんかは、紅茶なんて飲みながら、ドーナツなんて食べながら……ふ、と笑ってみせたりもするかもしれない。
 咄嗟離れたリンゼイへ向けられたジェイドの拳銃、弾丸数発がその肌を撃ち抜いていく。

「悪いね……応えてあげられたら、よかったんだけど」
 クラウスが、口を開く。
 ああ、それは――希死念慮は、『愛すべき』隣人だ。否定なんてできる訳がない。一生抱えて、生きていく。
「残念だけど、満たされないって知ってんだ」
 ジェイドも、わらう。
 蔑ろになど、できるわけはないが。『生きること』、その衝動の『置き場所』は、こんな所にはありはしない。
 衝動任せに死んで得られるのが、死にきれなかった虚しさなら。死ねないことは、虚しさ未満の何か、だろうか。
 あの日、燃える炎を、赤を見た。日付も時刻も違えども。あの時に誓ったすべて、違えるわけにはいかない。

 肉が削げ、腕は襤褸切れのようになり、はらわたはいくつかイカレていて。それでも彼女は立っている――。
 まだ、死ぬべき時ではないから。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

タミアス・シビリカス・リネアトゥス・フワフワシッポ・モチモチホッペ・リースケ
・アドリブ連携お任せ
・√能力を使用して|堅果守護者《ナッツガーディアン》を招集して訓示
|Omnes una manet nox《死は我ら全てを待ち受ける》ということか。何と強大な力を持った敵であろうか。
しかし死が相手であれど人間の姿であるならば、この雄々しい尾を振り、猛々しい頬を見せつければ遠ざける事もできよう。
尻尾を掲げよ、頬を膨らませよ。勇気は千の盾となる。
・自殺衝動に抗うため|街道の女王《レジーナ・ヴィアルム》を大音量で吹きならして自身と味方を鼓舞する(ぶおー)
・地形を利用して瞬く間に距離を詰め、数の暴力で相手をふわふわの冬毛まみれにする
・頭や肩、手|を踏みつけて《に乗って》敵を拘束する

 並び立つは巨大なる影、十三体である。その中央に輝くはタミアス・シビリカス・リネアトゥス・フワフワシッポ・モチモチホッペ・リースケ(|大堅果騎士《グランドナッツナイト》・h06466)――|大堅果騎士《グランドナッツナイト》、ここに推参――!
 おお、|堅果《ナッツ》を讃えよ! |堅果《ナッツ》を讃えよ! リースケにより吹き鳴らされる|街道の女王《レジーナ・ヴィアルム》は鼓舞と自殺衝動への徹底的な抵抗を示している!!

「な……何、ですか。これは……いきなり」
 さすがのリンゼイも困惑しているが、彼らは|堅果守護者《ナッツガーディアン》と|大堅果騎士《グランドナッツナイト》である。何の問題もありはせず、そして猛々しいことが真実であった。
 |騎士長官《マギステル・エクィトゥム》、|超重鉄騎《クリバナリウス》と共に、希死念慮をただひたすらにばら撒く女を見る。その巨体に後ずさるリンゼイ。

「|Omnes una manet nox《死は我ら全てを待ち受ける》ということか――」
 何と強大な敵であろう。数とその巨躯についてはこちらに理がある。だが、抵抗できぬ理由はない。文字通り、死とは我らすべてに平等!
「人の姿持つ限り、逃れられぬと知るがよい!」
 雄々しい尾を振り、猛々しい頬を見せつけ遠ざけよ! 我が尾は幾度の冬を超えてふわふわに、猛々しい頬はピーカンナッツを頬張るために生まれたも同然――尾を掲げ、頬を膨らませ。勇気は千の盾であり、生存本能の証明である!
 ナッツ食ってる場合じゃねえ! というのは野暮は話だ!
 リンゼイを囲むように展開されていく陣形、各々が装備する武具がリンゼイを追い詰めていく。このままでは完全に囲まれると察したリンゼイが壁を背にするようにして、|自殺のための百万の方法《ミリオンデススターズ》を放つ――!

 ――ありとあらゆる自死の方法、ああ、そうだ。食料をすべて放り投げ、冬の山に五体を投げ出すのはどうだろうか? あるいはこの立派な頬を削ぎ落とし、ナッツを溜め込むこともせず、飢えて死んでいくのは――ぶおお!!
 |街道の女王《レジーナ・ヴィアルム》の鼓舞が響き渡る!! 理性を取り戻す|堅果守護者《ナッツガーディアン》とリースケ、追い詰めたリンゼイに対し――|超重鉄騎《クリバナリウス》の両足でその肩を踏みつけ、|騎士長官《マギステル・エクィトゥム》から飛び出した!
「うおお――!!」
 ただのモフモフと侮るなかれ! 拘束されたうえで繰り出されるその踏みつけ、彼の体格以上の威力を発揮している! ふわふわの冬毛にまみれ、リンゼイは困惑しつつも、痛む傷を踏みつけられ苦痛に眉をひそめる――!
🔵​🔵​🔵​ 大成功

虚峰・サリィ
「ハロー、ガール。恋する貴女にお届けものよぉ」

【行動】
私は恋する乙女の味方。だから貴女の恋は応援するけれど……その√能力で死を撒き散らされると他の乙女が困るのよねぇ。
だから、貴女を止める。お詫びと言ったらなんだけど、この曲を届けてあげるわぁ
今日のナンバーは『赤唱・この恋文をあなたに捧げる』(歌唱、楽器演奏)
曲が気に入ったのなら……きっと自殺衝動も消えるでしょう。
レッド・ラブレターのクリムゾンブラストで攻撃させてもらうわぁ(全力魔法)
この魂にかけて、曲が終わるまで自殺なんてしないから(狂気耐性、精神抵抗)

「言葉で伝えられないのなら、手紙に乗せて想いを届ける道もある。ご静聴ありがとう、ガール」

「ハロー、ガール。恋する貴女にお届けものよぉ」
 乙女の恋を全力で応援する災厄。そのような存在、彼女と、『|彼《・》』が聞いたらどう思うだろうか。ともあれ前者は今から見えることだろう。

「何の……ことですか」
 やや狼狽えたリンゼイ、現れた虚峰・サリィ(人間災厄『ウィッチ・ザ・ロマンシア』・h00411)に狼狽えながらも、自らの使役する怪異たる少女らを向かわせる準備をしている。だが、それ以上の動きはない。サリィの様子を窺っているようだ。

「私は恋する乙女の味方。だから貴女の恋は応援するけれど……」
 その√能力で死を撒き散らされると、他の乙女が困るのよねぇ。
 戦場の周囲には小動物や虫の死骸が落ちていた。これが人間に、乙女たちに向かうとどうなるか? そのようなおぞましいこと。何としてでも止めねばならない。

「だから、貴女を止める。お詫びと言ったらなんだけど、この曲を届けてあげるわぁ」
 さあ、今日のナンバーは |赤唱・この恋文をあなたに捧げる《ソングアレッドラブレター》――最高の恋の歌を!
 現れた護霊「レッド・ラブレター」。鳥のような姿のそれ、手紙を咥えた「それ」が羽ばたく!

 ――貴方に贈る恋文一つ。ためらう気持ちははるかに多く。
 ああ言えやしない、この言葉。私、先輩のことが。
 赤心をもって綴るこの言の葉よ。どうか消えずに届いて欲しい――。
 消えず……消えないで。言えない言葉はどこにいく。送れなかった手紙のように、積もるばかりか。

 この魂にかけて、曲が終わるまで自殺なんてしてやるものか。恋は死よりも強い『衝動』である――!!

「……恋の歌、聴き慣れていなかったのかしらぁ?」
 歌唱が終わった。恋する乙女は困惑している。両頬を少女のように手で覆っている。……衝動がおさまっている。今だ。
 レッド・ラブレターが放つ、クリムゾンブラスト――!
 放たれたそれ、リンゼイがはっと顔を上げた瞬間には直撃だ。チャージしていたはずの希死念慮は不発同然、そこまでの近距離にサリィがいなかった、ゆえに。

「言葉で伝えられないのなら、手紙に乗せて想いを届ける道もある。ご静聴ありがとう、ガール」
 あいつ、見立てによれば、鈍感で鈍臭い男よ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ヴェルタ・ヴルヴァール
WIZ/アドリブ大歓迎

すごい人が出てきてしまったもんだな。
国家もそこまで焦っている、と?
ふふ、国家はどちらの側なのだろうな。

杖を取り、高速詠唱をしつつ魔力溜めを。
全力魔法で範囲攻撃や属性攻撃を仕掛けてみるが、どうだろうか。

自殺の方法を話すのなら足を止めて聞いてあげる。
最初から|これ《√能力》が目的だったから。
ふむ、なるほどなるほど。
で、これは"自殺"になるのかな?
笑顔でインビジブルに身を預ける。一度撃ってしまったら二度目も同じだと、誰かが言っていたような気もする。
フローズヴィトニルは息を吐く。凍てつくような息吹を。
もし他の人がいるのなら、全てを受け入れよう。何故なら、氷の皇は何も効かないから。

「すごい人が出てきてしまったもんだな」
 人の形をした災厄。振り撒き続ける希死念慮。己自身でも制御しきれないそれを溢れさせ、女は、リンゼイはそこに立っている。
「国家もそこまで焦っている、と?」
「……お答えできません」
 知らぬのか、知っているのか、ともあれ国家はどちらの側かと言われれば――√汎神解剖機関において、あの国は残念なことに、『世界の味方』なおつもりだ。

 ヴェルタ・ヴルヴァール(故郷無き狼・h03819)が杖を握り、リンゼイに向けて全力の魔力を放つ。氷柱のような魔力が降り注ぐ中、リンゼイは凍てつくまつ毛を指で払って、致命的な傷を己の使役する怪異たちに肩代わりをさせる。
 それでも傷からは逃れられない――腕から流れていた血液が凍てつき軋む。

「少し、話しましょう」
 小さな言葉と共に、放たれるは『死』について。呼吸をやめる。心臓を止めるにはこうすれば。落花も見たはず。ちょうどそこに車が。あの枝は鋭いですね。鋭い、どうでしょう、そうだ。貴方の杖の石突、鋭いのではありませんか。
「ふむ、なるほどなるほど」
 ――気付けばヴェルタが手にした杖、その石突、柄の先端を自分の顎に向けていた。このまま貫けばどうなるか。
「脳まで達せば死ねます。どうぞそのまま――ああ、舗装された地面がありますから、力が無くても大丈夫です」
 しっかり握って、杖を地面につけて、勢いと自重を使って、その顎下から通せば良いのですよ。

 ……ヴェルタの目が細められた。
「なんだか、それじゃあ……物足りなくないかな?」
 物足りない。物足りない? こんなにも沢山の『提案』を受けて。リンゼイがそう考えているうち、ヴェルタの背後からインビジブルが溢れた。
 白狼の姿をしたそれらが体に喰らいつく。あっさり落ちた肩、その先も拾い上げて喰らうインビジブルたち。

「で、これは"自殺"になるのかな?」
 一度選び取って仕舞えば、二度目も同じだと。誰かが言っていたような気もする。
 とっておきをあげよう。顕現する氷の大狼、氷霜の息吹が、その顎がリンゼイに向かい襲いかかる――!
 氷の皇には何も効かない。ただ閉ざされた中、力尽きるまで、暴れまわるだけ。
 従ってしまったという事実と、破壊の痕跡だけを遺す。
🔵​🔵​🔴​ 成功

其之咲・光里
「貴女は悪い人には見えない。でも、邪魔をするなら退いてもらうよ!」

√能力で身体の動くままに攻撃を仕掛ける! ダメージを与えることよりも動きを止めさせる事を優先させるよ。
自殺衝動へは[狂気耐性]である程度耐えられるかな?
自殺せざるを得なかったら[限界突破][根性][闘争心][継戦能力]とかで死ぬまでの時間を稼いで[捨て身の一撃]をぶつける……!

「貴女はきっと行く先が見えてない……そんな能力なら当然だと思う……!」
「できる限り受け止めるから、私を見て!」
「この戦いのその先で、光を見つけるために……!」

 腕を庇うように抱える女を――其之咲・光里(無銘の騎士・h07659)は暫し、観察していた。
「貴女は悪い人には見えない」
「悪いことをしている自覚はあります」
 そう、だがそれは、命じられてのことだ。――彼女本人は自身の収容を是としていた様子である。本来出てくるべきではなかったと、考えているのかもしれない。

「でも、邪魔をするなら退いてもらうよ!」
「……正しいことと、思います」
 ――リンゼイの『衝動』と、光里の弾丸が放たれた。
 思うまま、赴くまま、体が動く方へ! それでも従ってはならぬ|衝動《それ》は理解している。思考を蝕む、文字通り脳に染み込むような希死念慮を、頭を振って追い出すように――リンゼイの動きを封じるために、攻撃が放たれていく!
 インビジブルの群れがリンゼイの足をさらう。食らいつかれた足元に気を取られた彼女。光里の振るう剣がリンゼイの体を裂く――!

 ――……死にたい。何もわからないんだから。誰かすらわからないんだ。死んでもいい。誰も、私を知らないんだ。本当の私がどんなものだったか。きっと、きっと。
 光を歪に吸収する剣。それが反射しているのは、本来の自分なのだろうか?
「貴女はきっと行く先が見えてない……そんな能力なら当然だと思う……!」
 自分も。未来への道なんて見えてない。ただ、光があるからと寄って、ふらふら歩いているだけなのではないか。ならば逸れても、落ちても良いんじゃないか。

 希死念慮が、タナトスが放たれたのだ。死が手招きをしている。くらい、くらい隙間から、光の届かぬ底の底、おちておいでと、優しく笑って。
 手を取ってくれと、指を、伸ばしてきている。
「ッ……できる限り……受け止めるから、私を見て!」
 死にたい。嘘だ。死にたくない。自分に嘘なんてつけない。だって、私は|私《光里》だ。
「この戦いのその先で、光を見つけるために……!」
 そのために。失うものなど何もない、なんて言えないから。

「……光」
 リンゼイの眼鏡が、光を反射する。何を見ればいいのだろう。何を光とすればいいのだろう?
 私の光。|リンゼイ・ガーランド《私》が。死を拒む理由は、なんだ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

セシリア・ナインボール
大統領の暴走…まさに我々羅紗の魔術塔の末路を想起させますね。
あれもまた塔主の暴走が招いた事態でした。
連邦怪異収容局、いえ、アメリカと言う国が、二の舞にならないと良いのですが。

しかし、この衝動なかなかに厳しいですね。
リトル達にその可愛さで私自身を誘惑して魅了してなんとかやり過ごしてます。
手足をバタつかせながら、私を心配してくれるリトル達は本当に可愛いです。
リトルセラピーですね。
足りなければ狂気耐性と精神抵抗もしますが、可愛さに勝るものはありません。
衝動さえなんとかなれば、リトル達に恐怖を与える霊力攻撃の体当たりをリンゼイさんに仕掛けてもらいます。
ええ、可愛さという恐怖、貴女も受けてみてください。

 上に立つものとは下々のことを考えているようで、見てはいない。塔の上から見る光景、下に見える人々の顔色など見えはしない。√汎神解剖機関における大統領、彼は『正気』なのだろうか。羅紗の魔術塔の無惨な有り様……記憶に新しい出来事。
 二の舞にならないと良いのですが。セシリア・ナインボール(羅紗のビリヤードプレイヤー・h08849)は人間災厄、リンゼイ・ガーランドの前に立つ。
 ――あの時、あの日、我々もまた、塔とともに崩れていればよかったのではないか。脳裏に過る思考。呼吸がひゅ、と浅くなった。同僚はどうなったか。悲惨な死を見聞きしただろう。ねえ、それは、あなた達の罪ではありませんか――。
 まったくもって戯言だ。虚ろに、けれど確りとセシリアを見つめるリンゼイ。ただの自殺衝動とは呼べはしない。希死念慮なんて言葉で済ませるには、もっとかたちがたしかで、輪郭を持っている。どう切り抜けるべきか、さて、どこに打ち込むべきか。

 ――ぽみ。
 天からセシリアの頭部に落ちてきたのは、小さな怪異だった。もち。ぽに。てってこ。気付けばあらゆるところから現れる、可愛らしいマスコット――否、怪異!
 セシリアの頭部に落ちてきたちったいシチリアレモンのようなそれ、みじかい手足をぱたぱたさせて彼女の頭を叩いている。「しっかりしろ」とでも言うかのように!
「ふふ……大丈夫ですよ」
 頭に居座るそれを自身の肩に降ろせば、腰掛けた小さなレモン、もちりと頬を寄せてくる。
 この子たちと出会ったあの土地。たとえ正義のためと振るった腕、それらの罪があろうと、背負って生きる。この肩の重みも、抱えて。

 さてはて小さなレモンの怪異――リンゼイに向かって短い手をぶんと振って――号令をかけた!
 レモン、アーモンド、トマト、ピスタチオ! 食物が心なしどころかちょっぴり多い、ありとあらゆる小さな怪異!
「可愛さという恐怖、貴女も受けてみてください」
 ――今この場において、彼らの可愛さに勝るものはありはしない!

「……ッ……!」
 襲いかかるリトル達。威力は低くとも、そして姿様々とあっても、怪異の群れとなれば――体当たり! キック! ぱんち! のしのしと這い上がってこようとするリトルたちを青ざめた顔で振り払おうとするリンゼイと|自殺少女隊《ヴァージン・スーサイズ》。
 愛らしい様相に見えて、これは『蹂躙』なのである!
🔵​🔵​🔵​ 大成功

澪崎・遼馬
アドリブ、連携歓迎。

いよいよ合衆国が力を傾けてきたというわけか。封印指定人間災厄とは肩書だな。意思に関わらず死を振り撒く姿に思うところはあるが……やることは変わらない。一般人に被害が出る前に終わらせよう。

「案ずるな、リンゼイ・ガーランド。貴様が誰かを殺すより先に当人が貴様を殺そう。その希死念慮ごと」
自殺衝動は『霊的防護』で減衰する。
【黒い羊飼い】と【二度とない】を使用。二丁拳銃による『制圧射撃』で攻撃する。即時蘇生を使ってくる可能性もあるが、何のことはない。生き返るのなら何度でも殺してやろう。それが空間引き寄せ等で接近してきた場合は『零距離射撃』で応戦する。
自らによる死と、運命による死。どちらが勝るか勝負といこう。

 死の商人には見えぬ姿である。だからこそたちが悪い。ただの女に見えるそれ、特技は死の押し売りときたものだ。
 √汎神解剖機関における合衆国。『封印指定人間災厄』までもを解き放ち、何をしようというのか。だが澪崎・遼馬(地摺烏・h00878)にとって、それらはただの肩書に過ぎない。
 国が何だ、災厄の名称が何だ。立ちはだかり、人を害すものに『名付け』をしたところで、滅すればいずれすべて、風化する。

 己の意思に関わらず死を振り撒くその姿。それに思うところはあろうと遼馬がやることは変わらない。どのみち、どんな相手だとしても、徹底的に「やれば」良い――。
 一般人に被害が出る前に、終わらせようではないか。

「案ずるな、リンゼイ・ガーランド。貴様が誰かを殺すより先に、当人が貴様を殺そう」
 その希死念慮ごと潰えるがいい。落ちる鴉を見るのは、ああ、もう懲り懲りだ。
「案じては、いません」
 強がりだろうか。そう言葉を放ちながら、リンゼイは――周囲に縋り付いていた少女らに手を伸ばした。握られる指、放たれるは強烈な自殺衝動――!!
 霊的防護で凌ごうとも、遼馬の手が震える。跳ね上がるように片腕が動いた。
 弾丸が放たれることはなくとも、銃口が己の頭部へと向く。
 少女たちが手招きをしている。遼馬に、こちらへおいでと手招きを。死の衝動たちは無邪気に――顔も口も見えぬが、微笑んでいるように見えた。足が引き寄せられるように、前へ――。

 ――だが、これも潰せば良いのだろう?
 容赦なくリンゼイへ向けなおされる銃口。二丁拳銃が火を吹いた。身軽に銃弾を避けながらも、顔すれすれを撃ち抜いていくそれに目を細めた彼女。
 |自殺少女隊《ヴァージン・スーサイズ》の手招きは続く、ふらつく足元、だが堪える。銃声を囀る声として、魔銃は顕現する。筆毛にまみれた瞬間生え揃う羽毛、羽根、そこから覗く銃口。
 汝苦痛を愛せ。
「ッ……う……!」
 遼馬により撃ち抜かれた腕、もはやリンゼイの右腕は本格的に使い物にならないか。少女型の怪異どもと溶け合うようにして、腕が黒く再構成されるも、二発目が飛んできてはたまらない。文字通り手数の足りぬリンゼイに追撃の一手を。
 さあ――臨死よ。
 |黒い羊《black sheep》を飼い慣らせ、三人目の救世主。聳え立つは四天響棺『ARMA CHRISTI』、四つの受難――落花を数える事も、許さない。
 生き返るのなら何度でも殺してやろう。弾き飛ばされる|自殺少女隊《ヴァージン・スーサイズ》。飛びかかろうとしたそれ、棺によって阻まれる。響き渡るは終末の音か。
「――どうして」
 防戦一方となったリンゼイは困惑していた。侵されているはずだ。その思考を、行動を、己の√能力に。だというのにどうしてそこまで強く遼馬は、こちらを……どうして、見てくるのだ!

「自らによる死と、運命による死――どちらが勝るか勝負といこう」
 その言葉。「自死すら、おまえはさだめと呼ぶか」。そう問いかけているのと同義である。

 ……ああ。だったら。だったら、私は。
 私はこのような状況を、望んでいなかったのです。
「最初から、負け戦ではありませんか?」
 最後の瞬き、リンゼイの視界。遼馬の頭部に、天輪が見えた気がした。

 ――ネバーモアが、笑んだ彼女の頭部を吹き飛ばした。
 崩折れる下肢。消えていく、少女の姿をした怪異たち。放たれていた不可視の圧が薄らぎ――。
 上空を鴉が飛んでいく。もはや彼らが落ちることは、ない。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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