シナリオ

⑮もふもふ、こぱんだパジャマパーティー!

#√仙術サイバー #ゾディアック継承戦争 #ゾディアック継承戦争⑮

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√仙術サイバー
 #ゾディアック継承戦争
 #ゾディアック継承戦争⑮

※あなたはタグを編集できません。

⚔️王劍戦争:ゾディアック継承戦争

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

「それでは、水鏡天満宮・もふもふこぱんだパジャマパーティーを開催します!」

 水鏡天満宮に突如用意されたのは、白黒でもふもふなたくさんの枕やクッション。
 身体ごと沈み込めそうな大きな「巨大パンダさん抱き枕」に。
 一度身を預ければ立ち上がれない「人もパンダもダメにするこぱんだクッション」。
 太陽のにおいがする、ふかふかでぽかぽかなおふとん。
 参加者としてころころと転がる、かわいくてもふもふなこぱんだたち。
 さらには、蒸したてのパンダまんをはじめ、桃まんやごま団子、月餅、こぱんだ杏仁タピオカパフェなど、中華風のおやつや飲み物もたっぷりと並べられている。

 ——何故、それが始まったのかは分からない。
 だが、福岡市天神にある水鏡天満宮の境内で。
 謎のもふもふこぱんだパジャマパーティーが、今まさに開催されようとしていた。

 もふもふに埋もれ、のんびり眠ってもよし。
 おやつを囲んでお喋りしたり、記念撮影を楽しんだりしてもよし。
 会場には、丸い耳と尻尾がついた、もふもふのこぱんだパジャマも用意されている。
 それを着ても、好きな寝間着を用意しても、普段の格好のまま参加しても構わない。
 皆で白黒の枕を投げ合う、もふもふ枕投げ大会まで予定されている。

 思い思いに寛ぎ、遊べる、楽しいパジャマパーティーのはじまり——なのだが。
『……これは、一体何の催しです?』
 神器を生み出そうとしていた『食鉄大師』は、目の前に広がる光景へ怪訝そうに眉を寄せた。その背後では、ドロッサス・タウラスから奪われたゾディアックが集積し、巨大な鏡のようなオーラとなって揺らめいている。
『水鏡天満宮よ、星神ドロッサス・タウラスの集めたゾディアックを吸い上げよ。そして、ゾディアック・ミラーを創造せしめよ』
 食鉄大師は、√仙術サイバーでカルト教団『黑白蓮教』を率いる、新たな王権執行者。
 謎の神器『ゾディアック・ミラー』は未だ創造の途中ながら、鏡のオーラによって強化された彼は、既に数秒先の未来を予知できるほどの力を得ていた。
『あのEDENとかいう者達……あれも『強者』ですね。ゾディアック・ミラーが完成した暁には、昼夜問わず襲撃し、片っ端から叩きのめしてくれましょう』
 食鉄大師は、EDENを『強者』と認めながらも、片っ端から叩きのめそうとする者。
 ならば、そんな彼へ投げ掛ける言葉はひとつ。

「数秒先を予知できる強者なら、枕投げくらい全部避けて、どんなもふもふにも余裕で抗えますよね?」
『……よろしいでしょう。その勝負、受けて立ちます』

 強者を叩きのめすと豪語した手前、そんな挑発に背を向けるはずもなく。
 こうして水鏡天満宮を巡る戦いは、何故かもふもふを満喫する、こぱんだパジャマパーティーへと姿を変えたのだった。

●もふもふこぱんだパジャマパーティー!
「みんな、パジャマパーティーってしたことある? おやつを食べたり、いっぱいお喋りしたり、もふもふに埋もれて眠ったり……楽しそうだよね!」
 楪葉・莉々(Burning Desires・h02667)は楽しそうに笑みながら、集まってくれた皆へ礼を告げた後、星詠みの予知を語り始める。
「みんなももう、第3戦線で新たな王権執行者達が動き始めていることは聞いていると思うけど……水鏡天満宮では今、『食鉄大師』が謎の神器『ゾディアック・ミラー』を創造しようとしているよ」
 食鉄大師は、√仙術サイバーでカルト教団『黑白蓮教』を率いる者。
 戦場には、ドロッサス・タウラスから奪われたゾディアックが集積し、巨大な鏡のようなオーラとなっている。
 ゾディアック・ミラーは未完成ながら、その力によって食鉄大師の予知能力は、既に数秒先を見通せるほどに強化されているという。
「誰が、どこから、どんな攻撃を仕掛けるのか。それを数秒前に知られてしまえば、普通に戦っても簡単に対処されちゃうよね。だから今回は、その予知能力へ対処しながら、水鏡天満宮を制圧してほしいんだ」

 そして、そのために今回利用するのが。
 何故か今、水鏡天満宮で開催され始めた——もふもふこぱんだパジャマパーティーなのである。
「そういうわけでね、みんなには食鉄大師と一緒に、思い思いのパジャマパーティーを楽しんでほしいよ!」
 白黒の枕やクッションを積み上げて埋もれたり、人もパンダもダメにするクッションに身を預けてもふもふの中で寛いだり、こぱんだと戯れたり、大きな抱き枕を抱えて眠ったり、ひたすらだらだらしたり。蒸したてのパンダまんやこぱんだ杏仁タピオカパフェなど、中華風のおやつや飲み物を囲んで皆でお喋りしたりなど、自由に過ごせる。
 会場には、丸い耳と尻尾がついた、もふもふのこぱんだパジャマも用意されている。
 それを着ても、自分の寝間着を用意しても、普段の格好のまま参加しても構わない。
 催しのひとつである、もふもふ枕投げ大会に参加することもできるし。
 皆でパジャパの記念撮影を楽しんでもいいだろう。

「食鉄大師が予知できるのは、『ゾディアック・ミラー』に映る数秒先の姿や動きだよ。誰が枕を投げるのか、どの方向へ飛んでいくのか、誰がおやつへ手を伸ばすのか、誰がもふもふの中で寝返りを打つのか……そこまでは見えてしまうみたい」
 だが、鏡に映るのは、あくまで数秒先の行動。
 それが本当に遊んでいるだけなのか、仲間へ送る合図なのか。
 予知の届かない先で攻撃へ繋がる前振りなのか。
 その意図までは、見ただけで判断できるわけではない。
 故に、食鉄大師はパジャマパーティーで行われる何気ない動作のひとつひとつを警戒しなければならなくなるだろう。
「だから、もふもふに埋もれて眠っていても、おやつを食べていても、お喋りや記念撮影を楽しんでいても、食鉄大師から見れば『これも何かの作戦なのでは』って疑わずにはいられないからね!」
 枕を投げ合い、飛び交う未来を増やすこと。
 もふもふの中で寛ぎ、様々な行動を鏡へ映すこと。
 どちらも、食鉄大師の予知と判断を攪乱する、立派な作戦となるというわけだ。
「食鉄大師を、人もパンダもダメにするこぱんだクッションまで誘導して、そのままもふもふへ沈めちゃうのも良さそうだね!」
 数秒先の未来は見えているが、一度その身を預けた後、立ち上がれなくなるほどの心地よさにまで抗えるとは限らない。
「枕投げを楽しむ人も、のんびりパジャマパーティーを楽しむ人も、みんなの行動が増えるほど、食鉄大師の予知は白黒もふもふの情報でいっぱいになるよ!」
 そうして食鉄大師の意識と判断を乱したならば、皆で飛ばした枕やクッションを浴びせ、もふもふの海へ沈めてしまうのもいいし。
 鏡のオーラへ集中できないほど、もふもふの心地よさに夢中にさせるのもいいし。
 枕の山から抜け出しても、再び白黒のクッションを積み重ねればいい。
 そうなれば、ゾディアック・ミラーの創造を阻止し、神器の確保もできるはずだ。

 莉々はそこまで告げると、こぱんだパジャマも枕も可愛いよね! と笑んでから。
「枕投げでも、のんびりパジャマパーティーでも、好きな過ごし方を目一杯楽しんできてね! そうしたら、食鉄大師をもふもふの海に埋もれさせて、謎の神器『ゾディアック・ミラー』の創造も阻止できると思うから」
 改めて皆へとお願いして、水鏡天満宮へと続く道を指し示すのだった。

マスターより

開く

読み物モードを解除し、マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を表示します。
よろしいですか?

第1章 ボス戦 『食鉄大師』


巫・黒星

 白黒の枕とクッションが謎に積み上がっている、水鏡天満宮。
 そんな境内へと降り立ったのは、奇怪な鬼面を着けた小柄な道士、巫・黒星(|鬼面道士《デスマスク》・h08880)。
「ふふふ、もふもふこぱんだパジャマパーティを開催するとはカルトパンダもやるのね、此れはある意味テロと言っても過言ではないのね」
 恐るべきは武力ばかりではない。
 ひとたび身を預ければ抜け出せぬもふもふもまた、抗う気を失わせる立派な脅威なのだ。
 そして黒星の全身からふわりと溢れ出すのは、親愛を誘う仙桃の甘い香気。
「さて、大好きな笹の葉の香りこそ無いけれど桃に似た仙香は好き?」
 ——護法・巫黒星が仙桃の香を此処に。
 親愛の感情を与える仙桃の香気をその身に纏い、ちょいちょいと手招きすれば。
 こぱんだたちが一匹、また一匹と、甘い香りにお鼻をひくひく、ころころと黒星のもとへ集まってくる。
 ゾディアック・ミラーに映る数秒先にも、当然ながら同じ光景は見えていた。
 だが、手招きが何らかの合図なのか、集まるこぱんだが次の策へ繋がるのか、食鉄大師は判断しなければならない。
 警戒する間にも甘い香気は風に乗って、白黒のもふもふと共に境内を満たしていく。
「アナタ達はワタシの甘い香りに包まれる幸福を、ワタシはアナタ達のふわもこに包まれる至福の一時を味わうことが出来るの。此れこそまさしくWin-Winの関係なのね」
 黒星が人もパンダもダメにするこぱんだクッションへともっふり身を預ければ、左右からこぱんだがぴたり。
 柔らかな温もりがもふもふころりとたくさん寄り添い、たちまちふわもこの山に埋もれて。
「娑婆の喧騒を忘れ、皆で垂れたパンダの様にマッタリ過ごすの」
 黒星を中心に生まれたのは、もっふりぬくぬくと沈んでいく、甘く穏やかなもふもふ桃源郷。
 食鉄大師の鏡には寝返りを打ったり手招きしたりする黒星や、こぱんだたちの気ままな動きが溢れて。
 そして黒星の仙桃の香りは、張り詰めていた彼の警戒心へも静かに染み込んでいた。
「カルトパンダも妙な緊張感を解いてしまって桃源郷へ皆と一緒に旅立つと良いのね」
『……そのような安らぎに、この私が屈するとでも?』
 誘うように揺れる指先の未来を見ながらも、食鉄大師はどうするべきかと揺れているようだが。
 それが罠か幸福への招待かを見極めようとする間にも、食鉄大師の元へとふわり。
 仙桃の香気ところりと転がってきたふかふかのこぱんだクッションが、さらにその心をそわりと惑わせるのだった。

レイラ・ウー
涼森・ちさと

 丸いお耳がぴょこん、短い尻尾がふりふり。
 水鏡天満宮の境内を元気よく駆ける涼森・ちさと(魔法少女ブレイヴ・ルミナス・h12822)は、既に着替えて準備万端。
 もふもふこぱんだパジャマに身を包んで、こぱんだの仲間入り!
 けれど、こぱんだになるのは自分だけではなくて。
「ほら師匠! 一緒に着よ!」
 そのままレイラ・ウー(|契約至上主義のアウトロー武侠《ウラギリハユルサナイ》・h12286)の手を引いて、もふもふパジャマが並ぶ場所へ。
 そして、そんな弟子の勢いに押されながらも。
「……仕方ないネ」
 ちょっぴり照れつつ、手にしたこぱんだパジャマをすちゃっと纏うレイラ。
 そして並んだのは、お揃いのもふもふこぱんだパジャマ師弟。
 満足そうに笑うちさとは、とてとてと集まってきたこぱんだたちをぎゅうと抱き締めて、ぱしゃり。
 こぱんだたちと遊びながらも、師匠と一緒に記念写真もばっちり撮って。
 写真の中には、師弟とこぱんだたちのまんまるお耳が仲良く並んでぴょこり。
 それから、ひとしきり弟子と写真を撮ったあと。
 レイラがぽふんと腰を下ろしたのは、人もパンダもダメにするこぱんだクッション。
 もっふりと身体が沈む心地良さを感じていれば、さっそく一匹のこぱんだがよじよじと登ってきたから。
「暴れないヨ」
 ひょいと抱き上げ、柔らかな毛並みをそっと撫でてあげて。
 こぱんだも大人しくレイラの腕の中にちょこんと収まって寛いでいるようだ。
 そしてちさとは、境内で始まった枕投げ大会へまっしぐら!
 白黒のパンダ枕を抱えて駆け回り、狙いを定めて勢いよく放った。
「えーい!」
『これは一体、どういう……ぶはっ!?』
 誰かに当たったらしいけれど、飛び交う枕はひっきりなしで、誰にどう当たったかはわからない。
 そんな白黒のもふもふが舞う中、飛んでいく枕を避ける人もいれば、投げ返す人。
 こぱんだたちがころころ楽しそうに転がる中、写真を撮る者やぼすんとクッションへと沈む人も。
 そして食鉄大師は直撃した枕を振り払いつつ、ゾディアック・ミラーを覗き込むが。
 映る数秒先の未来は、新たな動きによって次々と塗り替わっていく。
 どの枕が単なる遊びで、どの仕草が策へ繋がるのか。
 食鉄大師がこのパンダ枕の応酬の中、その全てを見極めるのは容易ではない。
 さらにこぱんだをもふもふと抱っこしたまま、ふわりとレイラが漂わせるのは甘い独特の香り。
「一服するネ」
 香籠霧が境内へ広がり、遊び回る者達を穏やかな空気で包み込む。
 その深い安らぎを与える香りは、未来を警戒し続ける食鉄大師の張り詰めた意識をも少しずつ緩ませていく。
 そしてレイラはいつもの癖でスッと煙草を取り出し、火を点けようとしたが。
「師匠! うちがおるやろ!」
「……今日は我慢ネ」
 気づいたちさとが慌てて駆け寄れば、レイラは肩を竦めてライターをしまう。
 それを見てちさとが安心して笑う中、火の点いていない煙草を咥えるだけにして。
 腕の中や傍らへ集まったこぱんだたちをもふりと撫でていく。
 そして、元気に飛び交う枕とその中心ではしゃぐ弟子の姿を、改めてまったりと眺めながら。
「……こんなのも悪くないネ」
 そう微笑んでいれば、ふいに手招かれて。
「ほら、一緒に遊ぼ!」
 ちさとが再び、誘うように師匠の腕を引っ張れば。
 レイラも弟子と共に、ころころもふもふ、こぱんだたちの輪の中へ。
 そして甘い香りに包まれ、気づかぬうちに警戒が揺らいでいく食鉄大師が鏡を覗けば。
 そこに映っているのは、こぱんだ師弟が引き続き、たくさんのもふもふに囲まれる未来であった。

七豹・斗碧
蓬平・藍花

 こぱんだたちも入り乱れ、もふもふのパンダ枕が会場を飛び交う、枕投げ大会。
「ふむ。枕投げ……やったことないけれど、投げればいいのね?」
 蓬平・藍花(彼誰行灯・h06110)も、七豹・斗碧(白翔テイルアンシア・h00481)と共に、その賑やかな輪へ加わってみて。
 手にした枕をいざ、意気揚々と……放っては、みたものの。
 運動音痴な付喪神の腕から繰り出されたのは、へろへろ枕。
 そして次の瞬間、飛んできた枕が藍花の顔面に、ぼふんっと直撃!
 そのまま、ぺしょりと倒れ込んでしまったのである。
 ということで。
「枕投げちょっとしたけど……藍花、やっぱりおやつにしようよ。顔面クリティカルは継戦不能だよ」
 これ以上の続行は危険と判断したふたりは、大会から離脱。
 もふもふクッションにもふりと腰を下ろして、今度はおやつの時間を楽しむことに。
 とはいっても、会場に用意されたものだけではなくて。
「美味しそうなおやつたくさんだけど、今日は手作りしてみたんだ~」
 斗碧が差し出したのは、お手製のお菓子。
「これ、マーマレードクッキーなの。ちょ、ちょっと形は歪だけど大丈夫なはず!」
 形こそちょっぴり不揃いだけれど、甘く爽やかな柑橘の香りがするクッキー。
 そして、そんな手作りお菓子を出してくれた雪豹の子にと。
「じゃあボクも……」
 藍花が取り出したのは、蜂蜜檸檬と炭酸の瓶。
 注げば、涼やかな泡がしゅわりと弾けて。
「藍花の蜂蜜檸檬ソーダ、シュワシュワ甘酸っぱくて美味しいね!」
 斗碧がごくごくと喉を潤す傍らで、藍花も彼女のお手製クッキーをぱくり。
「クッキーのお味はどうかな」
「ん、おいし……とっても、良き出来なのだわ♪」
 柑橘のほろ苦さがほどよく効いた焼き菓子は、手作りならではの優しい味わいで。
 そっと窺うようにお耳をぴこりと揺らしつつ見つめる斗碧に、こくりと大きく頷いて返して。
「美味しい? えへへ、それならよかったよ~」
 ほっとしたような笑みを宿す斗碧に、藍花もにこり。
「それにしても、会場にあったパンダさんパジャマかわいいね。私も今日は一旦ユキヒョウはお休みでパンダヒョウだよ!」
 今日の斗碧は、ユキヒョウならぬ可愛らしいパンダヒョウさん!
 藍花はクッキーをもぐもぐ味わいつつ、豹耳ごとその頭をなでなで。
 そしてお揃いのパンダパジャマに身を包んだふたりの傍らには、ころりん転がるこぱんだ妖怪たち。
 そんなこぱんだたちよりもちょっと大きい|シャオラン《小蘭》も、一緒に並んで。
 ぱしゃりと皆で記念写真を撮れば、画面に残るのは、今夜だけの愛らしい一枚。
 それから、改めてもっふりと。
「もふもふクッションもあるしこれは眠たくなっちゃうなあ。あ! でもおしゃべりしたいからうとうとしてたら起こしてね!」
 もふもふに埋まりつつ、始まるのはわくわくお喋り……ではあるのだけれど。
「……んー」
 瞼がとろんと落ちてきて——お腹いっぱい、ウトウトユキヒョウの出来上がり?
 でも、夜はまだこれから。
 藍花はそっと斗碧を起こしてあげつつ、楽しくちょっぴり夜更かし。
 こぱんだたちと寄り添いながら、まだまだふたりの楽しいお喋りの時間は続きそう。

神隠祇・境華
シンシア・ウォーカー

 会場には、丸い耳と小さな尻尾がついた、ふわふわのこぱんだパジャマがずらり。
「私はホテルでも備え付けの寝間着をありがたく借りるタイプでして」
 そう語りつつ、シンシア・ウォーカー(放浪淑女・h01919)はそのうちの一着を手に取って。
「ということで……じゃーん! もふもふこぱんだパジャマ!」
 早速、すちゃりと袖を通してみれば、ふわふわもこもこ!
 こぱんだパジャマ姿で、丸い耳と小さな尻尾を楽しげに揺らしてみせる。
 そしてそんなシンシアの話を聞いて頷きながら、神隠祇・境華(金瞳の御伽守・h10121)も同じように。
 用意されたパジャマを纏って、丸い耳と尻尾にそっと触れてみる。
 今夜のふたりは揃って、白黒もふもふのこぱんださん。
 それから、シンシアは境華の姿に頷きつつ、こう提案を。
「耳と尻尾が可愛いですね。境華さんともお揃いです! せっかくです写真撮っときましょ!」
「はい。後で、私にも送ってください」
 ということで、境華はシンシアの傍にそっと並んで。
 足元へ集まったこぱんだたちと一緒に——ぱしゃり。
 画面に残った愛らしい一枚を覗き込んで、瞳を細める。
 それから記念撮影の後、ふたりが興味を引かれたのは、もっふり大きなこぱんだクッション。
「これが人もパンダもダメにするクッション……」
 ふたりなかよくぐでーっとして……なんて。
 シンシアが境華と揃って身を預ければ、ぼすん。
 ふかふかの中へと、身体がずぶずぶと沈み込んでいって。
「……これは、確かに立ち上がるのが難しくなりそうですね」
「だ、ダメです境華さん! これは危険すぎます!」
 境華が実感を込めて呟く間に、シンシアはそう危険性を訴えるも。
 柔らかなクッションにもっふり包まれれば、立ち上がる気力はますます奪われていく。
 ゾディアック・ミラーへ映る数秒先にも、そんなクッションへ沈むふたりや、周囲を行き交うこぱんだたちの姿が次々と映し出されている。
 ただ寛いでいるのか、それとも何かの策へ繋がる動きなのか。
 食鉄大師が警戒を続ける間にも、ふたりの意識は、今度は甘いおやつへ。
「甘いものが欲しくなってきました。杏仁タピオカパフェ、いきましょう!」
 パフェをうきうきと受け取れば——ふたりで一緒に、いただきます!
「杏仁とタピオカの異なる甘さや食感が楽しいですねっ」
「ふふ……美味しいですね」
 なめらかな杏仁豆腐にひと匙入れれば、もちもちとしたタピオカや彩り豊かな果物が顔を覗かせて。
 口に運ぶたびに変わる食感と、重なり合う果物の香り。
 境華もその味わいをゆっくり楽しみつつ、改めて隣のシンシアへ金の瞳を向けて。
 シンシアと目が合えば、穏やかな笑みを深めて告げる。
「シンシアさん。その姿、とても可愛らしいと思います」
「ふふ、可愛いですか耳付きパジャマ! 境華さんも似合ってますよ」
 お揃いの丸い耳を揺らしながら、シンシアも嬉しそうに微笑み返して。
「いつかまた、こういった寛ぎの時間をご一緒できると良いですね」
「ええ、今度は作戦だとかを抜きにお泊まり会しましょうね!」
 今夜は食鉄大師を惑わせるためのパジャマパーティーだけれど。
 次に過ごす夜は、そんなことも気にせずに。
 お揃いの寝間着と甘いおやつをまた用意して、ふたりで心ゆくまで寛ぐ楽しいお泊まり会の約束を。

不忍・ちるは
六合・真理

 夏夜の境内に、ぱっと大きな赤い野点傘が開いた。
 その下へ並ぶのは、ほうじ茶の入った水筒と、自家製のいぶりがっこや胡瓜の一本漬けを詰めた保冷バッグ。
「『ぱぢゃまぱぁてぇ』もこんな可愛らしい寝巻を着るのも初めてだよ」
 ――神仙、初のパジャマパーティにて極意を授からんと、ちるはに教えを乞い欲す、と。
 それらを持参したのは、初めてのパジャマパーティーへ臨む六合・真理(ゆるふわ系森ガール仙人・h02163)。
 そして、丸い耳と小さな尻尾のついたこぱんだパジャマ。
 不忍・ちるは(ちるあうと・h01839)と同じ寝間着に着替えれば、今夜はお揃いのこぱんだ姿である。
 それから、真理は早速ちるはに教えを乞う。
「今日はちるはのお嬢ちゃんがお師匠様だね。さてさて、和みの時間とは聞いたけど何をしたら良いんだい?」
「何をする……と聞かれると自由行動ですかね……?」
 のんびりまったり、好きなように寛ぐことこそ、パジャマパーティーの極意。
 というわけで、真理と“ぱぁてぇ”をめいっぱい楽しむために。
 ちるははもふもふのクッションを抱っこしたまま——ごろん。
 真理の隣へ転がり、そのまま甘えるようにぴたりとくっついた。
 周囲ではこぱんだたちも、ころころ、ぐでぐで。
「ぱんだのようにごろごろ……ほうほう」
 神仙は教えに納得したように頷いて、自らもクッションへ身体を預ける。
 というわけで、おそろいのパジャマを着てごろごろ。
 ゾディアック・ミラーに映るのは、身じろぎしたり、こぱんだを撫でたり、ただ気ままに寝返りを打ったりする数秒先。
 食鉄大師が見極めようとする間にも、ふたりのぱぁてぇは穏やかに続いていく。
 そしてお菓子をつまみ、ジュースを飲んでいたちるはの視線が、真理の持参した保冷バッグへ。
「……謹製のお茶請けいぶりがっこ……!」
 それならば、冷たい飲み物ではなく。
「これは温かなほうじ茶を用意してほっこりしましょう」
 ほうじ茶を注げば、香ばしい湯気がふわりと立ち昇って。
 いぶりがっこの燻した香りやぱりぱりの歯応えも、優しい味わいのほうじ茶によく合う。
 胡瓜の一本漬けにも手を伸ばし、ふたりとこぱんだが赤い野点傘の下でまったりすれば。
「なんだか夏休みのおばあちゃんちのような心穏やかな気分です」
「うふふ、夏休みは田舎でって奴だね」
 涼しい日陰でお茶と漬物を味わうひとときは、何だか長閑な夏休み気分。
 そして心もすっかり穏やかになり、クッションを抱くちるはの瞼も少しずつ重くなって。
 ゆるっとしたまま、あわよくば寝てしまえそうな心地よさ。
 けれど、ふと真理は境内を見回して。
「しかし天神様……学問の神様を祀る場で寝ちまって大丈夫かい?」
「え、ここって学問の神様なんですか?」
 それを聞けば、ちるはも一瞬だけ姿勢をぴしっと正す。
 けれど、睡魔に包まれた頭でしばし考えれば、ひとつの答えに辿り着いて。
「つまりは……睡眠学習ということで……」
「……ほう、睡眠学習。そういうのがあるなら……良いのかもねぇ?」
 それならば、きっと問題なし……?
 野点傘の下で、ちるはと真理は再びゆるりと身体を寄せ合って。
 こぱんだたちも一緒に、もふもふの中へもっふり埋もれて、うとうと。
 温かなほうじ茶の余韻に包まれながら、もう少しだけ一緒に。
 穏やかな眠りにほわほわ誘われつつ、ふたりののんびりとした時間は続いていくのだった。

フルール・ペタル
物部・真宵

 白と黒のもふもふの山から、短くてまんまるなもふもふがふたつ、ぴょこん。
 物部・真宵(憂宵・h02423)が淡く微笑みながら視線を向けたのは、パジャマの後ろで揺れる、フルール・ペタル(花揺籠・h05932)の小さな尻尾。
「今日はマヨイちゃんもこぱんだね! かわいいわ?」
「フルールさんもとってもお似合いですよ。短いしっぽがふわもこでかわいいですねぇ」
「そうなの! しっぽもついていて、すてきよね」
 丸い耳も尻尾もお揃いの、今夜だけのこぱんだ姿。
 そして、そんなふたりの前に並んでいるのは。
「パフェにパンダまんに、パンダまつりね!」
 杏仁タピオカパフェと蒸したてのパンダまん、それに香り高い凍頂烏龍茶。
 フルールがパフェをひとすくいすれば、真宵へあーん。
 杏仁豆腐のなめらかな甘さともちもち弾むタピオカを味わえば、真宵も嬉しそうに目を細める。
 それから今度は真宵が匙を差し出して、フルールもぱくり。
 可愛らしい顔をしたパンダまんには、食べてしまうことを少しためらいつつも。
 半分こにして頬張れば、口いっぱいに広がるのは、温かくて優しい餡の甘み。
 そのおともに、凍頂烏龍茶をゆっくりといただいて。
 華やかな香りとすっきりした味わいを楽しみ、人もパンダもダメにするクッションに埋もれて寛ぎながらも。
 フルールはこてりと首を傾ける。
「のんびりしているだけでいいのかしら? すこぅしそわそわしちゃうのよ」
「まさかこんなにのんびりできるなんて……ちょっといけないことをしている気分」
 ここは一応戦場のはずなのに、今しているのはお揃いの寝間着で甘いものを囲むこと。
「確かに、まさかパジャマパーティーをすることになるなんて思いもしませんでしたね?」
 けれど、寛ぐふたりの動きも食鉄大師のゾディアック・ミラーには数秒先の未来として映っている。
 そのひとつひとつを見極めさせることも、立派な攪乱となるのだ。
 そんなふたりの傍に、一匹のこぱんだがころん。
「まぁ! こぱんだちゃんものんびりしたい? きもちいいものね、どうぞどうぞ!」
「あら、クッションが気になる? 一緒にのんびりしたい子はいらっしゃい」
 真宵が両手を広げれば、こぱんだは迷わずちょこんとその腕の中へ。
 フルールも柔らかな身体をもふもふ抱っこして、ふたりで優しく毛並みを撫でていく。
「ふわふわはいいですね……心がほぐれます」
 温かなもふもふへ触れていれば、感じていた僅かなそわそわもすっかり解けていって。
 ふと目を遣れば、境内で楽しげに飛び交っている白黒のパンダ枕。
「ねぇねぇ、マヨイちゃんまくらなげはしたことがある? とてもたのしそうなの」
「実はないんです!」
 そして、そう返す真宵に、フルールはこんなお誘いを。
「ごいっしょに、わーっ! ってしにいかない?」
「まぁっ……わーっ! ですか! せっかくですものね、行きましょうか!」
 というわけで、枕投げ大会へ参戦!
 ……しようと、クッションから立ち上がろうとしたのだけれど。
 フルールは思わずぱちりと瞳を瞬かせてしまう。
 だって、もっふりと。
「……マヨイちゃんたいへん、立ちあがれないの……!」
「たいへん! 大丈夫ですか?」
 慌てて真宵がその手を取るも、フルールの身体は心地よいもふもふに沈んだまま。
 その様子に、真宵は事情を察して。
「……もしかして、気持ち良くて立ち上がれない……?」
「おうちにあったらいけない子だわ……!」
 そう問い掛けながらも、楽しそうに笑っちゃう。
「もう、フルールさんったら。ふふふ」
 結局もう少しだけ、こぱんだも一緒にふかふかの中でダメになりながら。
 枕投げに参戦する未来すら曖昧にして、ふたりはもふもふを目一杯満喫するのだった。

矢神・霊菜
ノイル・リースロス
見下・七三子

 白黒もふもふの寝間着に、小さな尻尾。
 水鏡天満宮の境内には、可愛らしいこぱんだ姿の人たちがいっぱい。
「あら、まさか敵陣でパジャマパーティになるとは思わなかったわね」
 だがここは、矢神・霊菜(氷華・h00124)の言うように、ゾディアック・ミラーを巡る戦場。
 もふもふパンダ教主の食鉄大師は、数秒先を映す鏡のオーラ越しにこちらの動きを窺っている。
 けれど、パーティーに参加して相手を攪乱するのも作戦のうち。
 霊菜は境内を埋める愛らしい光景に楽しげな笑みを浮かべて。
「でも、そうね。せっかくみんなで来てるのだし、楽しまないと損かしら」
 そう言うなり、会場に用意されたこぱんだパジャマをひとつ手に取って。
 期待を隠さない眼差しを、ノイル・リースロス(|闇に揺蕩い影に詠う《ニュイ・エ・ノワール》・h08142)と見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)へじっと向ける。
「ぱんだパジャマ、可愛いわね。二人もきっと似合うと思うのだけど……」
「パジャマパーティか面白いね。今迄寝る時に何かを着たりして来なかったから……いや最近は着てるんだけど……」
 そう言いながら、ノイルも並んだ白黒の寝間着から一着を手に取ってみて。
「パーティに合いそうなのは持ってないから着るよ、ぱんだパジャマ」
「えっ、ぱんだパジャマ? えっ、……おふたりも、着るなら?」
 霊菜とノイルが袖を通すならばと、七三子もおずおずと着ることにする。
 こうして三人揃って、白黒もふもふのこぱんだ姿となったなら。
「あ、髪型お揃いにしたいです! パンダの耳みたいにお団子にするんです。……だめ?」
 七三子はそう口にしつつ、ふたりをちらり。
 その提案に、ノイルは楽しそうに笑う。
「ふふ、じゃあ皆で髪を結い合いっこしようか」
「髪の結い合いっこも楽しそうね、良いわよ」
 ひとりの髪に作る、ふたつのお団子。
 左右から残るふたりがひとつずつ結って、くるり。
 そして次はまた別のひとが結われる番。
 髪へ触れる指先を順番に交わしながら、三人揃ってパンダの耳を思わせるお団子髪へと仕上がっていく。
 鏡のオーラへ映る数秒先には、髪へ伸ばす手や結び目を整える指先、頭を傾け合う三人の姿。
 食鉄大師が警戒する間にも、可愛らしいパンダ耳のようなお揃いのお団子姿が完成した。
 そして、もふもふクッションへと、もふりと身を預けながら。
 こぱんだをちょこんと膝に乗せた霊菜は桃まんを摘まんで。
 ノイルは傍らの一匹を撫でながら、玻璃の器に杏仁と果実の彩りが重なるタピオカパフェをひと匙。
 七三子も、もふもふこぱんだを腕に抱いて。
「パジャマパーティといえば女子会。女子会といえばお喋り。そして内容は恋バナが定番……」
 三人で女子会を始めれば、やはりお喋りの話題は恋バナ……!?
「すごい論法が飛んできた……!」
「そんなわけで、二人はどうなのかしら?」
 反論する間もなく、霊菜の楽しげな視線がまずは七三子へ向けられて。
「恋バナ、ええと、うちは、普通……? その、ちゃんと仲良くしてます、よ?」
「なるほど、此が女子会のコイバナ……。うんうん七三子嬢の処は仲良しで何よりだ」
 霊菜とノイルから注がれる生温かな眼差しに、七三子は腕の中のこぱんだをもふもふと抱き締める。
「あっ、二人の視線が生あったかい! 見ないでください……」
 そのまま柔らかな毛並みへ顔をぽふりと埋めれば、ぴたりとこぱんだも寄り添って。
「何かあったら……いやもう自分で締めてそうだけど、云うんだよ。皆で『こらっ』てしに行くからね」
 穏やかな調子ながら、ノイルの言葉は頼もしい。
 それから霊菜は、今度はそんなノイルへと視線を向けて。
「ノイルさんはどうかしら?」
「私? に、コイバナはなくて……? いや、本当に何も無くて……。それ以前の問題と云うか……」
 ちょっぴり言葉を濁す声に、七三子は事情を察したように小さく頷く。
「ノイルさんとこってことは、相手は……ですよね、うん……」
 けれど、すぐに七三子はちらりと視線を向けて。
「ふふ、大丈夫です、私はこういう話題を一番語れる人を知っていますから、ちょっと夜が明けちゃう可能性も、ありますけど……」
 霊菜は膝のこぱんだを撫でながら、桃まんをひと口。
「ふふ、ゆっくりお話しする時間はありそうよね」
 そんな様子に、今度は七三子がここぞとばかりに話題を振る番。
「霊菜さんこそ、疾風さんとどうなんですか!」
「あら、私?」
 そして、そう声を向けられれば。
 待ってましたとばかりに、霊菜は得意げに胸を張る。
「ふふん、いくらでも語ってあげましょう。寝かせないわよ?」
 そこから始まるのは、止まる気配のない夫への愛語り。
 出会った頃のことから、今も変わらぬ想い、日々の何気ない出来事まで。
 まさに寝る隙もないほどに嬉々と霊菜が語り始めれば。
「わ、わあ、愛が! 愛の情報量が、すごい……!」
 その話を聞きながら七三子が圧倒される傍らで、ノイルはこぱんだを撫でつつ、にこにこと耳を傾けている。
「ふふ、夜が明けるまで語れるのは凄いね。霊菜女史の愛情が滝の様に溢れ出てくるなぁ」
 鏡に映る三人の未来は、女子会の恋バナともふもふで埋め尽くされて。
 三人の女子会はこぱんだたちに囲まれたまま、まだまだ当分続きそう。
 どうやら今夜は本当に誰も眠れそうにない、楽しくて長い夜の予感。

番田・陽葉
天總・アリア
香柄・鳰
ラデュレ・ディア

 ふわりと揺れる柔らかな布地に、触れ合うもこもこの袖。
 ふかふかの布団やクッションが並ぶ水鏡天満宮の一角で、今宵限りの賑やかな催しが始まろうとしていた。
「みんなでパジャマパーティー! むふふ、女子会だべね。一度経験してみたかったんだべさ」
 番田・陽葉(はぐれ|熊猫《パンダ》純情派・h10140)は、集まった三人を前に嬉しそうに声を弾ませて。
 香柄・鳰(玉緒御前・h00313)も柔らかく笑えば、夢見ていたひとときの始まりに胸を躍らせる。
「実は、いつか皆さんパジャマパーティーをしてみたかったの。ふふ」
 そしてラデュレ・ディア(迷走Fable・h07529)は、そっと手にしたパジャマに腕を通す。
「もこもこのパジャマをお借りいたしましょう。とても気持ちがいいのです」
「こぱんだパジャマをお借りします。もこもこ可愛らしく肌触りが良いです。まあるい尻尾がとてもキュート」
 天總・アリア(溟涙のマリアンヌ聖女・h12919)も、もふもふこぱんだパジャマの心地よい感触を楽しみながら、ころんと丸い尻尾へ目を向けて。
 しっかりフードまで被って、そのままちょこんと腰を下ろしてみれば。
「フードを被って座った後ろ姿は、もこもこぱんだ」
 後ろから見れば、愛らしいこぱんだが一匹増えたよう。
「これで、わたくしもこぱんださん」
 ラーレも満足そうに、もこもここぱんだの仲間入り。
「こぱんだパジャマを着込んでパンダまんも沢山用意。準備は万端!」
 同じくこぱんだパジャマに身を包んだ鳰がたくさんのパンダまんを並べれば、パジャマパーティーの準備はばっちり。
「鳰ちゃん、ラーレちゃん、アリアちゃん。みんなこぱんだのパジャマでとっても可愛いべ〜」
 陽葉もうきうきと瞳を細めながら、三人のお揃い姿を順番に眺めれば。
「ラーレさんもアリアさんのパジャマなお姿、可愛い……!」
「鳰さま、アリアさまもよくお似合いです……!」
 鳰も、もこもこのふたりへ柔らかな眼差しを向けて。
 ラーレからもすぐに、嬉しそうな褒め言葉が返ってくる。
 でも、もふもふかわいいということももちろんなのだけれど、何よりも嬉しいのは。
「陽葉さまと同じパンダさんの仲間入りですね」
「陽葉さんやこぱんださんとお揃いになれたのも嬉しい」
 鳰が頷く傍らでは、こぱんだたちも仲間が増えたと喜ぶように、ころころと寄ってきて。
「見てるととても嬉しい気持ちでいっぱいになるべ」
 互いの姿を褒め合う様子に、陽葉の胸も温かな気持ちで満たされていく。
「ふふ、皆さんとお揃いなのが、何よりとてもうれしいのです。今日は一日、ぱんださんとして過ごしましょう……!」
 アリアの言葉に笑顔を交わせば、鏡のオーラへ映る数秒先ももこもこパンダ姿で楽しむ四人ばかり。
 食鉄大師が警戒して見つめるほど、その未来は可愛らしい光景で埋まっていく。
 そして元々パンダである陽葉は、こぱんだパジャマを着る必要はないから。
 三人のこぱんだ姿とは少し違う、視線が集まるようなひらりとした華やかな装い。
「ところで陽葉さんは素敵な夜着ですね……!」
「わだすはピンクのふわふわネグリジェで女子力マシマシ!」
 陽葉はふんわりと広がる裾を披露しながら、そう胸を張って。
「まあ、陽葉さま……! ふわふわなネグリジェ、お可愛らしいのです」
 ラーレも目を輝かせ、愛らしい桃色の装いを眺めれば。
「成程これが女子力。勉強になります」
 増し増しな女子力を目の当たりにした鳰は感心したように頷き、しっかりと今後の参考にするのだった。
 ということで、今夜パンダな皆で楽しむのは、待望の女子会!
「さて! ここは恋バナでもするだべか?」
 女子会らしい話題を切り出したかと思えば、並んだお菓子へと陽葉の視線が移って。
「あ、でもその前におやつだべね」
「皆さんの恋バナも気になるけれど、先ずはティータイムですね!」
 鳰も異論はないとばかりに、パンダまんを皆の前へ並べていく。
「お菓子もお話も楽しみにしておりました。楽しいパジャマパーティーといたしましょう」
 ラーレの声も弾む中、四人はもふもふのクッションを囲んで座れば。
「パーティーのお供はパンダまんと馬拉糕にするだべか。お茶には熊笹茶を用意。笹の香りがするノンカフェインのお茶なんだべよ。アリアちゃんどうぞ」
 陽葉が差し出した温かな一杯からは、爽やかな笹の香りがふわり。
「パンダまんに陽葉さんの熊笹茶をいただきます」
「私も熊笹茶を頂きます。落ち着く香りがパンダまんにピッタリ」
 アリアは陽葉から茶を受け取ると、可愛らしいパンダまんと一緒に味わって。
 鳰も茶器から立つ湯気へ顔を寄せ、穏やかな香りに表情を和らげる。
 それから、きょろりと視線を巡らせてアリアが見つけたのは。
「杏仁タピオカのパンダパフェもありました」
 玻璃の器に盛られた、白黒の彩りが愛らしい甘味。
「こぱんだ杏仁タピオカパフェをいただきましょう」
 ラーレもさっそくスプーンを手に、杏仁豆腐とタピオカを一緒にひと匙。
「タピオカ、もちもちで美味しいです……!」
 幸せそうに頬を緩める姿に、アリアもパフェを眺めながら微笑む。
「杏仁豆腐の白と黒いタピオカがパンダさんの柄みたい。上にはパンダさんのクッキーと抹茶味の笹型のチョコレート」
 味だけではなく、見た目までパンダ尽くしで。
「甘いお菓子にさっぱりとしたお茶は相性ぴったり」
「熊笹茶、はじめていただきます。本当に笹の香りがするのですね。とてもいい香り……ほっといたします」
 ラーレも温かな茶を口にして、心地よさそうに息をつく。
「気持ちよく眠ることが叶いそう」
 そんな心地良さにほわりと紡いだラデュレへと鳰は勧める。
「ラーレさん、眠い時はこのクッションをお使い下さいな……あら。既にこぱんださんが沈み込んでます」
 でもそのクッションには、ひと足先に小さなこぱんだがもふり。
 柔らかな布地へ半ば埋もれながら、すっかり寛いでいた。
 そんな可愛らしい先客に、陽葉はほっこり和みながら。
「こぱんだは小さくて可愛いべ。わだすも小さい頃はこんくらいで……」
 眠たげな一匹をそっと愛で、幼い頃を懐かしむように目を細める。
「陽葉さんは子供時代もきっと可愛いでしょうね」
 鳰の言葉に、ラデュレもこくりと頷きつつ。
「眠る前に、たくさん楽しむのです」
 もふもふに気持ち良く埋もれながらも、まだまだ今夜を終えるつもりはない。
 けれど、こくり、こくりと。
「いっぱい遊んでこぱんださんもお眠さんみたい」
 船を漕ぐこぱんだにアリアが気付けば、その瞼が閉じてしまう前にこんな提案を。
「微睡む前によかったら、記念にお写真を撮りませんか? きっと素敵な思い出の一頁になります」
 鳰がもちろんと頷けば、陽葉も写真は喜んで! と同じく賛成。
「お写真はもちろん、喜んで……!」
 ラーレも皆の傍に身を寄せ、もこもこのパンダたちが仲良く並んで。
 桃色のネグリジェをふわりと広げて、愛嬌満点のキメ顔を披露する陽葉。
 鏡が映す未来いっぱいに皆の笑顔が広がったところで——ぱしゃり。
 軽やかなシャッター音が響いた。
「ステキな思い出が重なりました」
「楽しい想い出が増えました!」
 写真を見つめるラーレの隣で、鳰も嬉しそうに笑えば。
 素敵な一頁を残したあとは、いよいよ先ほど後回しになった恋バナの時間……?
 お菓子と熊笹茶を囲むパジャマパーティーは、こぱんだたちがすやすや眠りに落ちても、まだまだ賑やかに続いていく。

雨夜・氷月
夜鷹・芥

 鏡のオーラが映し出す数秒先に、白黒もこもこの影がふたつ。
 その片方、雨夜・氷月(壊月・h00493)はこぱんだパジャマを身に纏うと、頬へ手を添えてきゅるんと首を傾げてみせた。
「どうどう、似合う?」
 夜鷹・芥(stray・h00864)はぱんだパジャマのフードを深く引っ張って顔を隠しつつ、周囲をじとりと盗み見て。
「お前は似合ってるんだけど。俺は居たたまれない……大丈夫かコレ」
「んふふ、芥も似合ってるよ」
 自分の姿には落ち着かない芥も、氷月に太鼓判を押されれば、こぱんだ姿のまま付き合うほかない。
 姿形は可愛らしくとも、ここは食鉄大師の未来視を惑わせるためのパジャマパーティー。
 鏡へ映る先々を、もふもふと戯れるふたりの姿で埋めてしまう作戦だ。
 ということで。
「ね、おやつ食べよ」
 氷月が手を伸ばしたのは、蒸したてのパンダまん。
「パンダまん、出来立て美味そうだな」
 芥が眺める前で、ふかふかの頭を少し千切って。
「ほら、あーん」
「あ、氷月容赦ねぇ」
 早くも顔が割られたパンダまんが、そのまま芥の口許へ運ばれる。
「……恥ずかしいんだけど」
「えー初めてでもないのにー?」
 言いながらも差し出されたひと口をはむりと食べれば、温かな生地と餡の甘みが広がって。
「ん、うまい」
「んふふ、蒸したてでほかほかだね。他のも食べる?」
「俺も食べさせてやるからほら」
 今度は芥が、ぱんだ胡麻団子をひとつ手に取る。
 そしてそのまま、氷月の口元へ押し当てれば。
 ん、と声を漏らし頷き返した後、氷月は遠慮なく、ぱくり。
「共食いだな」
「んは、既に頭千切ってるから今更〜」
 どちらもこぱんだ姿のまま言葉や甘味を交わしつつ、芥は改めてもぐもぐ味わっている氷月に紡ぐ。
「美味いだろ?」
「うん、美味し」
 食鉄大師が鏡越しに見張る未来には、こぱんだ男子たちが互いに甘味を食べさせ合う姿と。
 次々に減っていくおやつばかりが映り続けていた。
 そして何気に大量の甘味を堪能した氷月は。
「お腹が膨れたらおやすみタイムだよね!」
 ふと芥の手を取り、彼を連れていく。
 一度身を預ければ自力では立ち上がれないという巨大なもふもふクッションの前へ。
 そして。
「おい、引っ張って何処に……ぶっ、」
 その背を、どーん!
 押されるまま飛び込んだ芥の身体が、ぼふっ。
 ふかふかの中へと、もっふり深く沈みこむ。
「どうどう? 気持ちイイ?」
 だが柔らかさに全身を包まれてみれば芥も、満更でもないかもなんて。
「これなら芥も休めそう?」
「……寝れそうだが働くのも嫌になりそう」
 向けられた声にそう答えれば。
「もう俺動けないなー」
 楽しげに覗き込む氷月へと、クッションに埋もれつつ芥は片手を差し出す。
 ——氷月も来いよ、って。
「うん?」
 刹那、その手が握られれば、今度は氷月もお返しの道連れに。
 ふたり揃って同じクッションにもふんと埋もれれば、さらにもふもふの中へと沈んで。
「あは、狭くない?」
 すっかり動く気配を失っている芥の隣で、笑いながらもふもふに身体を預ける氷月。
「このまま俺までダメになりそ」
 人もパンダもふたりも、ダメになっちゃいそう。
 そして未来を読もうとする鏡に映るのは、クッションから立ち上がれなくなったこぱんだふたり。
 これが攪乱なのか、本当に駄目になっているだけなのか。
 食鉄大師が見極められない間にも、もふもふクッションに完全に身を委ねながら。
 ふたりで一緒に、ますます深い至福の心地良さに、ふわふわ沈んでいくのだった。

メイア・フルエーレ
ミューレン・ラダー

 ぼふん、ころころ、もふもふ。
 布団にクッション、あちらこちらを歩き回るこぱんだたち。
 視界いっぱいに広がる柔らかな光景に、ミューレン・ラダー(ご機嫌日和・h07427)の胸は早くもうきうきと弾んでいて。
 パジャマパーティーといえば、やはり最初はパジャマ選びから。
「メイアちゃんはパジャマどうする? ミューはこぱんだ一択!」
 でも、こんなもふもふ状態を前にすれば、選択肢など最初から決まっているようなもの。
 ということで、すちゃり。
 練習してきた早着替えを披露すれば、あっという間にこぱんだパジャマ姿の出来上がり。
「ミューレンさん可愛らしい、お似合いですよ」
 そんな素早くこぱんだになったミューレンに、メイア・フルエーレ(呪いの檻・h06776)はそう頷いたあと。
「せっかくですので、私もこぱんだパジャマにしました」
 メイアもお揃いのもふもふな一着へ袖を通して、柔らかな生地をそっと撫でる。
「もふもふの触り心地、癖になりそうです」
「メイアちゃんは白黒系のお洋服が多いけど、きれい・格好良い系だから可愛い系はとても新鮮だね」
 いつもとは少し違う可愛いパンダ姿もよく似合う。
 満足げに頷いたミューレンは、そのままふかふかの布団目掛けて勢いよく、ぼふん!
 転がる身体でもふもふこぱんだを集めながら、ころころ、ころころ。
「ここではそれが作法なのですね」
 ならば自分も倣ってみようと、メイアも控えめながら布団へと、ぽす、とダイヴ。
 鏡のオーラに映る数秒先にも、転がるこぱんだ姿と集まってくる本物のこぱんだたちばかり。
 食鉄大師が見る未来はどんどんもふもふに埋もれていく。
 そうして遊んでいるうちに、気付けばメイアのすぐ傍にも一匹、ころん。
 こぱんだパジャマ姿の自分達を仲間だと思ったのか、それとも単に遊びたいだけなのか。
「悪戯っ子ですね。遊んでほしいのなら、受けて立ちますよ」
 ちっちゃくてまんまるな悪戯っ子と、もふもふ遊んであげる。
 一方、ミューレンは。
「このこぱんだちゃんが枕を離さないにゃーうぷ」
 しっかり枕を抱えたこぱんだとの攻防が……!?
 その向こうでは、ぱんだパジャマ姿の参加者たちが枕を手に、ぽふぽふ賑やかな投げ合いの真っ最中。
「うん? 勝負?」
 楽しげな気配を察したミューレンの瞳が、きらり。
「こぱんだちゃんVSミューたち? それともアレ?」
 ちらりと示す先にいるアレとは、もちろん食鉄大師。
 ならば、せっかく周囲には武器になりそうなものが山ほどあるし。
 一番効きそうなのは、やはりこれ?
「人をダメにするクッションも枕認定しちゃっていいよね! って事で投げていいかにゃ?」
「クッションを頭の下に敷いて眠る人を見た事ありますから、枕として扱ってよいのでは?」
 至極真面目な顔で、メイアはその理屈を肯定する。
 というわけで。
「食鉄大師にも遠慮せずに、投げてしまっていいと思います」
「よーし、じゃあ思いっきり投げちゃお!」
 話が決まれば早い。
 人やパンダがダメになるふっかふかのクッションやパンダ枕を抱えて、狙う先は食鉄大師。
 ぽふん、ぼふんと柔らかな弾幕を降らせれば。
『水鏡天満宮よ、星神ドロッサス・タウラスの集めたゾディアックを……ぶほっ!?』 
「周りに積もったふかふか枕の魅力にめろめろになればいいと思う! 気を付けないとミューも負けそうだけど!」
 食鉄大師へと容赦なくふかふかがヒットし、周囲には次々ともふもふの山が築かれていく。
 ただ、敵を陥れるはずの魅惑的なもふもふの罠に、自分まで飛び込みたくなるのが最大の難点だ。
「人やパンダをダメにするという力……この柔らかさでは大したダメージも出ないでしょうに」
 メイアはクッションを確かめるようにもふもふしてみつつ、そのあまりの柔らかさに静かに考え込む。
「精神攻撃の類でしょうか、侮れませんね。私たちも油断できません」
 衝撃自体はもふんと小さそうなのに、立ち上がる意志そのものを奪うのだという、抗えぬほどのもふもふの心地良さ。
 そして鏡が映す未来には、枕とクッションに埋もれていく食鉄大師と、自分たちまでふかふかへ吸い寄せられそうになるこぱんだ姿のふたり。
 敵をダメにするのが先か、自分たちがダメになるのが先か……?
 そんな負けられない、至福のもふもふ勝負は、まだしばらく賑やかに続きそう。

セレネ・デルフィ
ララ・キルシュネーテ
夕星・ツィリ
椿紅・玲空
鴛海・ラズリ
躑躅森・花寿姫

 ふわふわのこぱんだパジャマに、それぞれの色を添えるリボンが揺れる。
 六人揃えば、お揃いの白黒に、それぞれの彩りがふわりと重なって。
 桜色のこぱんだパジャマに赤いリボンを飾ったララ・キルシュネーテ(白虹迦楼羅・h00189)は、得意げに胸を張る。
「むふふ、今日のララはこぱんだなのよ。似合う?」
 もちろん、そんなララを含めて誰も彼も、今宵は皆がこぱんだに。
 そして、水色のこぱんだパジャマには空色のリボン。
 髪をふわりとふたつの三つ編みに纏めたセレネ・デルフィ(泡沫の空・h03434)は、皆の姿を見渡して。
「ふわふわ……皆さんとても愛らしい、です」
「色違いのこぱんだ女子! みんな可愛いー! とっても似合ってる!」
 ほんのり青みがかったパジャマに、海色の青いリボンを合わせた夕星・ツィリ(星想・h08667)も嬉しそうに声を弾ませる。
 薄紫のパジャマに瑠璃色リボンを添えた鴛海・ラズリ(✤lapis lazuli✤・h00299)も、ふふ、と笑って。
「お揃いの可愛いこぱんだちゃん! ふふ、皆似合ってて集まると特別感があるの」
 躑躅色のリボンを結んだ躑躅森・花寿姫(照らし進む万花の姫・h00076)が見れば、それはまさしく。
「花のこぱんだ大集合ですね。皆さん可愛いです!」
「お揃いでも少し色が違うだけで個性がでるな」
 海棠色と濃藍色、ふたつのリボンを彩りにした椿紅・玲空(白華海棠・h01316)も尻尾を揺らしつつ、六人を見渡して頷いた。
 同じこぱんだでも、仲良く並べば、それぞれが違った彩りで。
「ん、みんなよく似合っている」
 そんな色違いこぱんだ女子たちで、今宵は心ゆくまでパジャマパーティー!
 ということで、ララは早速、もふもふぱんだクッションへぽふりと身体を沈めると、ぱんだまんをぱくり。
 パジャマ女子会といえば、やっぱりお菓子は必須だから。
「ララ自慢のぱんだマシュマロを皆にあげるのよ」
 ころんと可愛らしいマシュマロを皆の前へ。
「このままでも良いし、ココアに浮かべてもおいしいの」
 それから楽しげに……さて、他には何があるのかしら、なんて。
 くるりと視線を巡らせて、笑み咲かせる。
「お前達はどんなぱんだ菓子をもってきたのかしら?」
 それから玲空はぱんだクッションをもふりと抱えながら、持ち寄ったお菓子を皿へと並べて。
「私のはぱんだのマドレーヌだ」
 白と黒のチョコレートで彩られた顔は、笑ったり、きょとんとしていたり、ひとつとして同じ表情はない。
 セレネも、皆さんどうぞとパンダクッキーを差し出してから。
 そのままもふもふクッションをぎゅっと抱き締めて、並んでいくお菓子をそわりと眺めて。
「クッキーにサブレに……それからマドレーヌもパンダさん」
「皆さんのも美味しそうで……どれから食べようか悩みます、ね」
 クッションをもちもち捏ねながら目移りするラズリの隣で、一緒に迷ってしまう。
「皆さんのお菓子も素敵!」
 花寿姫はララのマシュマロをほろ苦いココアにぷかりと浮かべ、それをお供にセレネのクッキーをひと口。
 そして、甘いものはもちろんのこと。
「私からはこれ! 甘じょっぱいものもあるといいかなって思って」
 クッションを抱いたツィリが元気よく披露するのは、甘じょっぱい系。
「パンダサブレもってきました! 甘いの小休憩にどうぞ!」
 ララもツィリのサブレをひとつ貰って、むふふとご満悦。
 けれどやっぱり。
「でも他の甘味の誘惑にも抗えないので!」
 ツィリは、セレネのクッキーへララのマシュマロを挟んで、ぱくり。
「ツィリのマシュマロをサンドするの素敵……!」
 その食べ方にラズリが瞳を輝かせれば、セレネも真似してひと口。
「クッキーにマシュマロ挟むの美味しい……! ツィリさん、すごいです」
 ふわっと、さくっと、ふたつの食感を一緒に楽しんで。
「サブレも塩気がちょうど良く」
 続いてサブレも味わえば、甘いものの合間に嬉しい味わい。
「みんなのも美味しそうだ」
 玲空が並んだ甘味を見回す中、花寿姫が差し出したのは。
「私はぱんだ大福を持ってきました。中身はつぶあんとカスタードの2種です」
 ふたつの味が楽しめる、もちもちぱんだ大福。
 玲空はカスタードへひとつ手を伸ばして、はむり。
 ラズリはころんとした大福と、暫しじっと見つめ合って。
「かわ……おいしそう……いただきます!」
 可愛い。けれど、美味しそう。
 ということで、覚悟を決めて思い切って食べてみれば。
「あ、カスタードなの」
 セレネはきょろりとふたつを見比べた末に。
「花寿姫さんのぱんだ大福はつぶあんをいただこうかな……」
 そしてツィリは、どちらも選ばない。
 つぶあんもカスタードも両方しっかりいただく、欲張りこぱんだなのであった。
 それから、お菓子を楽しむ皆を眺めながら。
「好きなもののお話はどうかしら。人でも食べ物でもいいわ」
 ララが次なる話題を投げかける。
 ——『おいしい』話がききたいの、って。
 ふわりと笑みを皆へ向けつつ、玲空のぱんだマドレーヌも頬張るララ。
 そのマドレーヌをじっと眺めていたラズリは、ふと気付いたように玲空へ顔を向けた。
「これは玲空の手作りだったり?」
「ん? ああ、私が作った」
 うむ、と玲空が頷けば、ツィリも手作りの一個をしっかりいただいて。
 セレネの視線は可愛いマドレーヌから、また別の甘味へ。
「マドレーヌもミルクプリンも可愛くて」
「私からはぱんだミルクプリンをどうぞっ」
 ラズリが披露したミルクプリンも、チョコレートで描かれたぱんださん。
「揺らすとぷるぷるするんだよ」
 そして、みてみてーって揺らしてみれば——ぷるぷる、ぷるぷる。
 まるでパンダプリンが激しく頭を振っているみたい。
「わ、すごい、ぷりんパンダさんぷるぷるしてます……!」
 セレネが瞳をぱちり、思わず声を上げる横で。
「む! ラズリのぱんだぷりん……いいヘドバンね!」
「ラズリちゃんのプリンがヘドバン……! 可愛いロックだ」
 ララのお墨付きまで出れば、ツィリの瞳もきらきら。
「ミルクプリンも良い弾力だな」
「プリンもぷるぷる!」
 ラズリが揺らすぷるぷるに合わせて、花寿姫と共に玲空も思わずヘドバンして。
 パンダプリンとこぱんだ女子が一緒に頭を振って、盛り上がれば。
 玲空は今度はセレネのクッキーを一口。
「ん、クッキーは風味も食感もいい」
 それからセレネはふと、ララの言葉を思い返して。
「好きなもの、美味しいもの。沢山あって悩んでしまいます」
 考えてみたけれど、とてもひとつには絞れそうにない。
 ツィリもこくりと頷いて同意して。
「すきなもの……美味しいものは何でも大好き」
 だからこそ、皆をくるりと見回して続ける。
「みんなの美味しいお話聞きたいです」
「ララはうな重が好きよ」
 ララが真っ先に挙げた好物はやはり、香ばしく焼かれた鰻のうな重。
 そして、もうひとつ。
「あと蛇チップスも」
「! 蛇チップスなるものが……!」
 突如として現れた未知の名前に、ツィリが即座に反応する。
「ララさんの蛇チップス、実は少し気になってて……」
 セレネも以前から興味はあったらしい。
 それならば、話は早いと。
「蛇チップス、何処から出したんだ」
 玲空から至極もっともな疑問が飛ぶ中、ふいに取り出した蛇チップスをララはお裾分け。
「ツィリもセレネも食べてみる? ほら、あーん」
「わーい! ありがとうララちゃん」
「いただいていいんですか……?」
 ツィリは躊躇なく、ぱくり。セレネは少し恐る恐る口を開けて、あーん。
「ララの蛇ちっぷすそういえば食べたことないのよ」
 その様子を見れば、ラズリだってちょっぴりそわり。
 そしてもちろんララは、ラズリと花寿姫にも気前よく差し出して。
「蛇チップス……! 一枚いただけますか」
「はーい! 私も! 気になりますっ」
 花寿姫とラズリも、仲良く蛇チップス体験隊の仲間入り。
「芳ばしいでしょう?」
「成程、確かに良き香りがいたします」
 花寿姫がそうじっくり味わって納得すれば、ララは嬉しそうに笑う。
「ふふ……ララはいつも蛇チップスを持ち歩いているの」
 ……ファンが増えるわ、なんて。
 いつでも布教できる準備は万端なのである。
 そして玲空も、ほろ苦マシュマロココアを飲み、次はサブレ、それが終われば蛇チップスへと手を伸ばして。
「……これは、食べる手を止められないな」
 花寿姫も玲空の可愛いマドレーヌを食べて、今度はツィリのサブレをぱくっ。
「甘さと塩気で無限ループできちゃいます」
 そしてもちもちのクッションに、もっふりと身を預ければ。
「ああ、クッションももちもち……極楽です」
 食べて、寛いで、まさに極楽。
 そして女子会のお喋りは、お菓子を摘まむ手と同じく止まらない。
「好きなもの……ふむ」
 今度は玲空がふと考えてみて。
「アヴァロンの林檎を使ったアップルパイが美味しい」
「アップルパイも良いですね、サクっと生地にとろっと甘い林檎のハーモニー!」
 想像しただけで、花寿姫の声も弾む。
「アップルパイ……! 玲空ちゃんあとで売ってるお店教えてください!」
「玲空さんのアップルパイ……! 是非とも食べたいです」
 ツィリもすぐさま身を乗り出して、セレネも期待にキラキラと瞳を輝かせる。
「店? もちろん、案内もするぞ?」
 玲空はそんな皆の声に、快く請け負って。
「今度みんなにも持ってくるよ」
 次の女子会に、美味しいものがまたひとつ増えそう。
 ラズリも好きな味を思い浮かべながら、ふと続ける。
「甘いものはみんな好きだけど、苺やベリーのタルトが好きかなぁ」
 ……好きな人が食べてるものは好きになっちゃうかも、なんて。
 そして、美味しい好きもたくさんだけれど。
「好きなものは矢張りパフェです! あの美しい層を見るのが特に好きですね」
 花寿姫が選ぶのは、色とりどりの美しい層を重ねるパフェ。
「ツィリさんともパフェがご縁で出会いましたね」
「花寿姫ちゃんのパフェのご縁懐かしいね」
 ツィリも思い出して、にこり。
 それに、甘い思い出と一緒に思い浮かぶのは——。
「パフェは甘くて……恋も、甘いものです」
 花寿姫の頬がふいに、ほんのりと色づく。
 そしてその様子や表情を見れば、女子たちは一斉に改めて視線を向けて。
「花寿姫さんは気になる方が……?」
 セレネがそわそわとしちゃうその横では、ツィリも甘酸っぱい気配をしっかり察知して。
 わくわくした顔でじぃっと見つめる。
「花寿姫? 浮かんだ人がいるのかしら」
「好きな人に心当たりがある人がいるようだな?」
 ラズリも興味津々に口にすれば、玲空はそっと思うのだった。
 ……いつかその話も詳しく聞けたらいいな、なんて。
 そして、皆の恋模様が気になるツィリだけれど。
「……好きな人はまだ……出来たことなくて」
 自身には、まだそんな相手はいなくて。
「好きな人は……私もまだ、わからないですね」
 セレネも少し考えながら首を傾げる。
 そしてララも、皆に続いて口を開くも。
「好きな人は……」
 一瞬誰かが浮かんだような……なんて、気がしながらも。
「……それより、枕投げしましょ」
 ——ぽふん!
 恋バナからくるりと一変、ララが枕を投げて宣戦布告!
 もちろん、壊れない程度に楽しく、と。
 突如始まるのは、枕投げ大会!
「枕投げ? これ、投げていいのか?」
 玲空は手にした枕をもちもちと捏ね、少し考えてから。
(「……全力で投げるのはやめておこう」)
 うむ、と頷いたところで、ぽーんと。
 緩く放った枕が飛んでいった先。
「わっ!」
 ツィリがぎりぎりで、ぽふりとそれを受け止めた。
 そして、初めての遊びに笑顔を輝かせて。
「枕投げ一度してみたかったんだ!」
 そのまま近くにいる誰かへ、ぽいっ。
 ラズリも同じく、弾む枕を追いながら楽しそうに笑う。 
「憧れの枕投げ、青春っぽくて……やってみたかったんだよ」
 セレネは飛び交う枕に瞳を瞬かせたあと。
「枕投げ……できるかな」
 巻き込まれないよう、ぱたりと翼を小さく畳んで。
「すぐ当たって倒れてしまいそうですけど……」
 ちょっぴり不安はあるけれど、枕を手にしてみる。
 ……折角なら楽しみたいな、って。
 そして。
「枕投げ! 全力! ……で怪力の私がやると大惨事になるので鋭意努力して加減します」
 花寿姫も、きっちり加減して——えいっ。
 びゅんっ!!
『ぶほっ!?』
 ふかふかの枕とは思えないその衝撃に、偶然枕の軌道上にいた食鉄大師の巨体が大きく仰け反った。
 いえ……これでも花寿姫なりには、かなり加減しているのだけれど。
 誰に当たったかも知らぬまま、飛び交うもちもちの枕を追いかけては投げ、当たってもにこにこ。
 その横ではラズリがふんわり、枕をセレネへパス!
「えいっ!」
 こんな感じ……? と手を振る先で。
「わっ」
 飛んできた枕を受け止め、セレネも翼を小さくしたまま笑って。
「えいっ」
「上手く受けてちょうだいね」
 今度はラズリへふんわり投げ返して、ララからもまたひとつ枕がぽふんっ。
「まだまだふわもふなひとときはこれからなの!」
 あちらからもこちらからも枕が飛び交い、笑顔と楽しげな声が入り混じって。
 ラズリも飛んできた枕をきゃっちして、次は誰へ投げようかと笑う。
「楽しい時間はまだこれからね」
 そんな色違いのこぱんだ女子たちの賑やかな夜は、楽しい笑い声と共に続いてゆく。

ジズ・スコープ

 ころん、と転がった白黒の影が、こぱんだの群れへするりと紛れ込む。
 ひとつ、ふたつ、みっつ——さて、その中のどれが本物のこぱんだで、どれがジズ・スコープ(野良古代語魔術師ブラックウィザード・h01556)なのやら。
 今日ばかりは見分けがつかなくたって、まったく困らない。
 何しろ、ここへやって来た目的のひとつは。
(「こぱんださんを思う存分もふもふ出来る! と、おうかがい致しまして」)
 その願いを叶えるべく、ジズもすっかりこぱんだ姿。
 群れの中へ潜り込めば、右にも左にも、ふわふわの毛並み。
 寄り添った一匹をもふり、また別の一匹にもふられながら、ふかふかクッションへ一緒にころんころん。
「嗚呼、なんたる幸せ……ふわふわもふもふ……」
 とても幸せ、ご満悦。
 鏡のオーラに映る数秒先まで、こぱんだとこぱんだとこぱんだ。
 食鉄大師がその中から何か怪しい動きを見出そうにも、この至福の光景から意図まで読むのは難しいだろう。
 けれど、もふもふだけを堪能しているのも勿体ないから。
「さて、美味しいも堪能致しましょう、折角なので!」
 蒸したてのパンダまんをひとつ、続いて桃まんもひとつ。
 ほかほかの生地をはむはむもぐもぐと味わいながら、順番に舌鼓を打っていく。
 そして食べるだけではなく、周囲へ配るのも忘れない。
「……おや? そこのパンダさんも、如何でしょうか? とても美味しゅう御座いますよ」
 誰へともなく差し出した手には、まだ湯気の立つパンダまん。
「ほら、蒸したてで御座いますから、お早めに。こちらの月餅も如何でしょう?」
 次の瞬間には、こぱんだ姿が別の場所へ。
 移動能力と見せかけて使うのは、|交代《スイッチ》。
 視界に捉えた、どこにでも潜むインビジブルと自らの位置を入れ替えて。
 あちらへ、こちらへ、うろちょろうろちょろ。
 食べ物を運び、飲み物を届け、ついでにふかふかのクッションまで抱えて現れる。
「さぁどうぞ、さぁさぁ、どうぞどうぞ」
 いつの間にか別の場所へいたかと思えば、また次の瞬間には違う場所から現れて。
 鏡に映る数秒先すら、こぱんだ姿のジズが右へ左へ忙しなく行き交っている。
「クッションは沢山あればあるほど良いですよね。ふかふかです」
 ひとつ運べば、もうひとつ。またひとつ、さらにひとつ、と。
 うろちょろうろちょろするたび、境内のあちらこちらには柔らかな居場所が増えていく。
 その途中で自分まで誘われるように、ふかふかへころんと身を預けてしまうのはご愛嬌。
 こぱんだたちが寄ってくれば、もちろん再びもふもふすることだって忘れない。
 そんな和やかな時間の中でも、食鉄大師の言葉には耳を傾けていた。
『ゾディアック・ミラーが完成した暁には、昼夜問わず『強者』を襲撃し、片っ端から叩きのめしてくれましょう』
 その理屈を聞けば、ジズはこぱんだ姿のまま、ふむ、と首を傾げる。
「強者を叩きのめす……なるほど?」
 少し考えるような間を置いてから、至極当然のことを確かめるように続けた。
「しかし、強者を襲撃出来るのは更なる強者。であれば、強者として叩きのめされるのが道理ではないでしょうか?」
 己が強者を狙うというのなら、自らもまた強者として狙われる側になる。
 そこに異論はございませんでしょう、とでも言いたげに。
 ならば、その道理に従っていただきましょう、と。
 ——こちらへ。
 |交代《スイッチ》で位置を入れ替えれば、残されたインビジブルが食鉄大師へと触れ、一撃を叩き込む。
『!? 何……っ』
 その身がぐらりと揺らいだ、ほんの一瞬。
 ジズはゾディアック・ミラーをするりと奪い取り、再び|交代《スイッチ》。
 次の瞬間にはもう、こぱんだたちの群れの中。
 確保した鏡を傍らに、何事もなかったようにふかふかクッションへころんころん。
 こぱんだと一緒にもふもふ、ころころ。
『……!』
 鏡を失った食鉄大師は、もう数秒先の未来を視ることはできない。
 そんな大師を後目に、こぱんだとこぱんだがもふもふ、ころころ。
 こうして水鏡天満宮に残ったのは、至福のパジャマパーティーの光景であった。

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト

開く

読み物モードを解除し、マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を表示します。
よろしいですか?