シナリオ

⑪無限の駅舎グルメ迷宮~ご当地駅弁、探索隊!

#√妖怪百鬼夜行 #秋葉原荒覇吐戦 #秋葉原荒覇吐戦⑪

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⚔️王劍戦争:秋葉原荒覇吐戦

これは1章構成の戦争シナリオです。シナリオ毎の「プレイングボーナス」を満たすと、判定が有利になります!
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(毎日16時更新)

 旅立つ前の駅といえば、皆はまず何を買うだろうか。
 そう――それは駅弁!! 旅の、最初の楽しみであるといえよう。
 それに大きな駅で売られている駅弁は、多種多彩なものが勢ぞろい。
 大きな駅ほど、全国各地から集結した、話題のご当地駅弁が買えるわけである。
 というわけで、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な駅だと、どうなる??
 そう、無限駅弁のグルメ駅舎の誕生です!

 そして邪悪な古妖達の妖力によって、旧万世橋駅の遺構が「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまい、駅弁屋さんも無限に増殖している状態になっているのだというが。
 そんな無限駅舎迷宮の中でほくそ笑む、ヒヨコの存在が。
『EDENはこんな迷宮を難なく攻略するだろうから。駅弁屋に立ち寄ったり、のんきに弁当食べてるようなやつらは、√能力者じゃないはず! だから√能力者だと確定したやつを効率的に狙って、罠を張って待ち構える……ぼくの作戦はカンペキ!』
 というわけで、古妖と取引をした悪の組織の傭兵怪人は、駅弁屋の駅弁のラインナップを今一度、ざっと確認しておく。

 まずはやはり肉系!
 ボリューム満点の焼肉弁当は、大人気だから外せないだろうし。
 とんかつ弁当やカツサンドも、満足感が高い定番のもの。
 鶏そぼろや牛タン弁当などは老若男女に愛されているし。
 牛すき弁当やステーキ弁当やローストビーフ弁当等は、ちょっぴり豪華な気分に。

 そして、魚系!
 こぼれるほどのいくらやサーモンやうにが乗っている海鮮丼系の駅弁は完売必至。
 寿司系も、ますやエンガワや鯵や海老などの押し寿司や、SNSでも話題の映え映えなチラシ寿司も人気で。
 タコメシ、イカメシ、アサリメシ、あなごメシ等々……各種海鮮メシも見逃せない。
 シンプルな焼きシャケ弁当や焼きサバ弁当なども、何気に需要があるだろう。

 それから、その他!
 電車のカタチをした容器に入った、おこさま駅弁は、おこさまと名前がついているが年齢問わず味わえて。ハンバーグやケチャップライスや唐揚げなどが詰められた、子供はもちろん、大人の心だって擽る駅弁であるし。
 たくさんの食材を使った色とりどり釜めし、おかずが豊富な幕の内弁当、焼売弁当や麻婆弁当などの中華系、あの名店のカレー弁当等々……あげればきりがないほどだ。
 そして駅弁屋には、おにぎりやサンドイッチや稲荷寿司など軽く食べられるものや、お菓子やおつまみ、お茶やソフトドリンクやアルコール類などの各種飲み物も、当然揃っている。

 ここまで魅力的なご当地駅弁が揃っていれば、√能力者ではない者はたちどころに駅弁につられて……あれ、ここはどこ?? といった具合に迷子になるという「駅迷うあるある」が多発することだろう。
 その間に、√能力者を罠に仕掛ける……それがヒヨコな怪人の狙いのようだが。
 しかしヒヨコはこの時、頭から抜けていたのだ。
 腹が減っては戦はできぬ――こんな言葉があるということを。

●食べよう、ご当地駅弁!
「皆はもう言えるだろうか? 『|秋葉原荒覇吐戦《あきはばらあらはばきのいくさ》』に『|禍津鬼荒覇吐《まがつおにあらはばき》』――」
 楪葉・伶央(Fearless・h00412)は、前に別件を星詠みした妹と同じ事を言いつつも。
「皆には連日、戦場に赴いて貰っているが。旧万世橋駅の遺構が邪悪な古妖達の妖力によって、「無限の駅舎迷宮」に姿を変えてしまった」
 そう戦争で起こっていることを告げ、さらに説明を続ける。
 そんな伶央の言う「無限の駅舎迷宮」であるが、万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込み、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成であるという。
「しかし敵は、EDENは「この迷宮を難なく攻略する」と予想し罠を張っている。なのであえてめちゃくちゃ迷いまくり、敵が「こいつは√能力者じゃないな」と油断した所を奇襲する、という作戦が有効だろう」
 皆に今回向かってもらう迷宮は、駅弁の売店が増殖しているという場所。
 しかもご丁寧に、食べる椅子やテーブルもふんだんに用意されており、シートを敷ける広場などもあるという。
 そしてヒヨコな見目の敵は、駅弁につられる者はEDENではないと予想しているので。
 駅弁を購入し、美味しくいただいていれば、油断するだろう。
 なので敵を欺くために目いっぱい、この「無限の駅舎迷宮」で駅弁を楽しんでほしいというわけだ。
 そして、のこのこと駅弁の在庫チェックなど様子を見にやってきた敵を倒す、そのような作戦である。
「ご当地駅弁は魅力的なものが多いが、いくつか買って誰かとシェアしてもいいだろうし、ひとりでいくつも贅沢に食べても勿論いいだろう。飲み物やお菓子なども売店に売っているので、一緒に買っておくといいな」
 伶央はそう言って、皆を送り出す。
 「無限の駅舎グルメ迷宮」と化した、駅弁探索という名の戦場に。

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第1章 ボス戦 『ベンジャミン・バーニングバード』


八手・真人
オメガ・毒島

 邪悪な古妖達の妖力によって、「無限の駅舎迷宮」と化したという旧万世橋駅の遺構。
 そして同時に、誕生したのである――無限駅弁のグルメ駅舎が!
 というわけで!
「駅弁は素晴らしい。駅弁は世界です!」
 食欲旺盛で美味しい物に目がないオメガ・毒島(サイボーグメガちゃん・h06434)は、颯爽とこのグルメ迷宮に嬉々とやって来て。
 八手・真人(当代・蛸神の依代・h00758)も、無限に増えた駅弁屋に並ぶ、沢山の駅弁をそわりと見回して。
「わァ……いっぱいあって迷っちゃう……。駅弁って、こういう機会でもないと出会えないですからね……」
 色々と悩んだ末に、こくりと大きく頷いてその手を伸ばす。
「……決めたッ、『カニめし』にしますっ」
 それから、手の中のカニめしの駅弁をまじまじと見つめた後。
「エヘヘ、たまには……いいよね。贅沢しても。あったかいお茶も買っちゃお」
 やはり駅弁には必須のお茶も忘れずに。
 そんな、どの駅弁にしようかと悩んでいる姿は、まさかこの迷宮を攻略するためにやってきたEDENだとは思われないだろう。
 それから真人は、同じようにどの駅弁にしようかと吟味しているオメガへと、ふと目を向ければ。
「メガくんは……」
「どうにか絞りました。本日の役者を」
 焼売、牛すき、イカ飯、エンガワの押し寿司などなど……数々の魅力的な駅弁を見送って選んだのは、これ!
 ――『焼き鯖の押し寿司』ッッッ。
 真人は、そんなオメガが選んだ駅弁へとちらり、目を向けてみるけれど。
「へえ、鯖のお寿司……」
「ああなんて潔い……元々光り物には目がないのですが、今日は香ばしい炙り具合が光って見えましたのでね。ええ、ええ。間に挟んだ甘酢生姜がまた憎い」
「ウワッすごい語ってくれる」
 何故鯖のお寿司をチョイスしたのかを、めっちゃ語っています、ええ。
 というわけで、悩んで選び抜いた鯖のお寿司の駅弁――の、1つで終わる筈もなく。
「ふっくらとした柔らかな身に甘辛いタレ! そして決め手は骨せんべいが付いてくる所ですよね」
 すちゃっと再び伸ばした手の行く先は、『あなごめし』。
 先程あんなに語っていたのに、軽率にふたつ目の駅弁を手にしたオメガに、真人はぱちりと瞳を瞬かせて。
「エッ、まだ買うんですか!?」
「無論カップ酒もありますので無敵の布陣」
「……お酒も!?」
 食い意地が張っている……いえ、食を楽しむ事で人間性の喪失を防いでいるらしいオメガは、真人にも骨せんべいを差し出しつつ。
「私のを分けてあげますので」
「アッ、お弁当分けてくれるのは嬉しいケド。ありがとうございます、メガくん」
「真人のもください」
 しれっと、カニめしのお裾分けを要求して。
「……俺の分も〜? ひとくちだけ、ほんとにひとくちだけですからね」
 完全にフラグとしか思えない返事しつつ、そっとカニめしを差し出せば。
「アッ…………」
 案の定、さも当然かのようにガッツリと――ひとくちはひとくちでも、クソデカ一口で食べられてしまう真人。
 そして、美味しそうにもぐもぐ味わうオメガの様子を、なんとも言えない顔で眺めていれば。
「そうだ、デザートもありますよ」
「わァ、デザートまで――」
 その言葉に、ほんの一瞬だけ心躍った真人だったのだけれど。
「はい、カツサンド」
「|カツサンド《お弁当》じゃないですか!!」
 駅弁のデザートはそう、駅弁なのです……??

ヴェーロ・ポータル
北條・春幸

 王劍戦争の発令より、ついに開始された『秋葉原荒覇吐戦』によって、秋葉原とその周辺が戦場と化していて。
 そして旧万世橋駅の遺構も、古妖の力によって迷宮になってしまったというのだ。
 そんな戦場へと、颯爽と足を運んだ北條・春幸(汎神解剖機関 食用部・h01096)は、共にやって来た親友へと、これから自分達が成すことを告げる。
「さあヴェーロ、駅弁グルメの攻略行くよ」
 ……折角だし楽しませてもらおうよ、なんて。
 無限駅弁グルメ駅舎巡りを満喫するべく、気合十分!
 ヴェーロ・ポータル(紫炎・h02959)も表情筋は相変わらず固めではあるが、こくりと頷いて返して。
 早速、足を向けた駅弁屋をくるりと見回してみつつも紡ぐ。
「駅で買える食がここまで充実している国は他にありませんね。それにどれも彩りが豊かで健康的……|祖国《英国》との文化の違いを感じます」
 色々とこの地に来てからは、祖国の英国との違いに若干のカルチャーショックを受けることも多々あるものの。
 ヴェーロにとっては、駅弁も知的好奇心を擽るものには違いない。
 ということでいざ、駅弁グルメの攻略! ……と、いきたいところなのだけれど。
「思った以上に種類が多い。目移りしちゃうねえ」
 どれもこれも魅力的で、しかも無限にあるのではないかと思うほど種類が豊富なご当地駅弁。
 どれにするか決めろだなんて、至難である。
 だから春幸は、こんな作戦を親友に持ち掛ける。
「ヴェーロ何買う? どうせならシェアしようよ」
「シェアも良いですね、試してみたいものが多すぎる」
 ヴェーロもシェア作戦には勿論賛成し、改めて駅弁へと目を向けてみるも……やはり、その種類は沢山で。
 春幸は、目について気になる駅弁を見つけては、次々とあげてみて。
「焼いた鯖を使った寿司は外せない。すき焼き弁当もね。ボリュームのあるカツサンドもいいし、牛タン美味しいよね」
「私は好き嫌いはありませんから、春幸のお勧めを全部試してみましょうか」
「あ、フルーツサンドもあるじゃないか」
 甘党として、甘い系のものにも目移りしてしまう春幸。
 そんな駅弁を求めてうろうろと、駅弁屋をはしごしては巡ってみたのだが。
「ううむ、かなり歩いたような。余りにも売り場が大きすぎて全商品を見られる気がしない」
 まさに傍から見たら、駅弁を購入するべく迷宮で迷子になった一般人にしか見えないだろう。
 けれど、それはそれとして、無限駅弁屋を全て見て回ることは不可能だから。
 ヴェーロはそれを解決するべく、その力を振るわんとする。
「ダンジョンでもカードは使えるのだろうか? もういっそ全部まとめて買ってしまえば……」
 これぞ、貴族の財力!
 けれど、すぐにヴェーロは気づくのだった。
「……その前に食べきれないか」
 全部おかねぢからで買ったとしても、おなかのほうが全然無理だということに。
 だからとりあえず、先程春幸が言っていた駅弁を見つけては、購入してから。
 やはり駅弁を食べるのならば、飲み物も必要だと、売り場のドリンクコーナーを見てみれば。
「ビールが欲しいけど戦闘前だしお茶にし……」
「ビールもあるのですか? 素晴らしい、購入しましょう」
 折角だから、ビールも購入します!
 そしてなんか、戦闘っていう言葉が聞こえた気がしたヴェーロであるが。
「……ん? 戦闘? まぁ一杯ぐらいは問題ありませんよ」
「そうだね一杯ぐらい構わないよね。乾杯!」
 春幸もそうすぐに頷いて返して、ビールで乾杯!
 というわけで、ご丁寧にも無限駅舎のいたるところに用意されている、適当なベンチにふたり並んで座れば――お待ちかね、駅弁ランチタイム!
 春幸は、まずは外せないと謳った、焼いた鯖を使った寿司をはむりと頬張ってみれば。
「うーん、美味しいねえ」
 そしてヴェーロも彼とシェアしつつ、半分こしながらも。
 焼いた鯖を使った寿司を春幸と一緒に味わいながら、ふと首を傾ける。
「……というか何のために来たのだったか」
 そういわれれば、何のために此処に、と。
 駅弁グルメの攻略ほかに、何かするべきことがあったような気がしたヴェーロだけれど。
 構わず駅弁を味わっていれば、黄色い物体がうろちょろしているのが見えて。
 春幸はその姿を目にして、ようやく思い出すのだった。
「ん?何かデカいヒヨコ……そう言えば戦闘に来たんだったねえ」
 でも今は駅弁を食べているし、デカいヒヨコには、美味しき駅弁をいただいている自分達がEDENだとは全く気付かれていないようだから。
 駅弁を食べ終わってビールを美味しく飲み干した後に、あのデカいヒヨコはしばきます、ええ。

シリウス・ローゼンハイム
プロキオン・ローゼンハイム

 邪悪な古妖の力によって、「無限の駅舎迷宮」に姿を変えてしまったという旧万世橋駅の遺構。
 そしてそこは同時に、無限駅弁のグルメ駅舎と化してしまっていると聞いたから。
「駅弁? 腹が減ってはなんとやらだな」
 ちょうどお腹もすいてきた時間だから、シリウス・ローゼンハイム(吸血鬼の|警視庁異能捜査官《カミガリ》・h03123)は誘いの声をかけたのだ。
 ……ロキも誘ってみよう、と。
 絶対防衛領域での救助活動の応援で秋葉原にきている、弟のプロキオン・ローゼンハイム(シリウス・ローゼンハイムのAnkerの弟・h03159)のことを。
 そして、休み時間に駅弁食べないかって兄に誘われたプロキオンだけれど。
 一応、絶対防衛領域からは出てしまうし、敵もうろちょろしているようであるものの。
 でも、プロキオンはわかっているから、兄と一緒に行くことにしたのだ。
(「いざってときは、守ってくれるっていうし、一般人も紛れ込んでいたほうがよりそれらしいからね」)
 そしてシリウスも、いつも通りに。 
(「いざという時は守るし、一般人が混ざってるほうが「らしく」なるだろう」)
 弟のことは、いつだって守るのだから。
 ということで、兄と共に駅舎迷宮に足を踏み入れたプロキオンは、視線をくるりと巡らせてみて。
「駅弁、いろんな種類あるね。今日は魚の気分かな」
 お目当ては、魚系の駅弁!
 そして迷宮となって無限に広がる駅舎には、駅弁屋も無限にあるのだけれど。
 シリウスは、弟と広大な駅舎内を暫く歩けば。
(「……店が多すぎるし、似たような見た目の店が多くてどう回ったか混乱してきたな……」)
 迷子のふりをして敵を欺く作戦――というよりは、本当に迷ってしまいそうに。
 そして当然、共に歩いているプロキオンも。
(「……気のせいかな、道もお弁当も迷いすぎて同じ場所を何度もぐるぐる回った気がする……」)
 軽い気持ちで誘いに応じたものの、やはり兄と一緒にぐるぐる迷子に。
 でも、このままではらちが明かなそうだから。
「歩き回って疲れてきたし、この辺で決めてしまおうか」
 すぐ近くにあった無限駅弁屋へと入ってみて、そこで決めることに。
 そして散々迷宮を廻ってお腹も減ったシリウスが選んだ駅弁は。
「ブランド牛の肉が多く乗せられた弁当を頼もう。ついでにデザートの甘味も」
 ちょっぴり贅沢でがっつりな肉系の駅弁! 食後のデザートも忘れずに。
 プロキオンは初志貫徹、魚系の駅弁に。
「この添え物がカラフルなご当地うなぎ弁当にしよう」
 そして肉と魚、それぞれようやく駅弁を購入すれば。
 近くにあったベンチにふたりで並んで座って、いただきますをすれば、駅弁タイム。
「ロキ、肉も少し食べるか?」
「兄さん、僕のうなぎもいる?」
 勿論、シリウスは自分の肉を少しロキにシェアするし。
 プロキオンだって、折角だしと兄とうなぎをシェアし合っこします。
 そしてお互い肉も魚も、美味しく一緒にふたりで駅弁を食べていたのだけれど。
 シリウスの視界にふと入ったのは、大きなヒヨコ。
 だがヒヨコは、仲良く駅弁を並んで食べている兄弟がまさかEDENだとは、思ってもいないようで。
「敵? 楽しい時間を邪魔しないでくれ……こほん。目的が逆になってしまってるな」
 シリウスはプロキオンを守るように位置取りながら。
 ――……始めるぞ。
 楽しい駅弁タイムに水を差したヒヨコへと、血漆錬金術で錬成した血漆錬成槍を繰り出して。
『!? なっ……ふぎゃ!』
 プロキオンも朱殷の魔導書による魔法で、兄さんを支援する。
 まだ駅弁も全部食べていないし、早いところヒヨコを叩いた後、デザートも一緒に食べたいから。

天王寺・ミサキ
轟・豪太郎

 現在勃発しているのは、王劍を掌握した簒奪者の大侵攻から√EDENを守る戦い。
 そして、邪悪な古妖によって「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまったのだという、旧万世橋駅の遺構にやって来たのは。
「オレっ娘番長天王寺ミサキちゃんでっす」
「ワシが剛拳番長轟豪太郎である!」
 そう、天王寺・ミサキ(我思う故に・h05991)と轟・豪太郎(剛拳番長・h06191)である。
 というわけで、ミサキは戦場と化している駅舎内をくるりと見回してみて。
「ねぇ豪太郎さん駅弁だよ駅弁!」
 目に飛び込んできたのは、沢山の駅弁!
 何せ無限の駅舎迷宮と化した旧万世橋駅は今、無限駅弁のグルメ駅舎となっているのだから……!
 そして、無限駅弁屋がそこかしこにあるのだけれど。
 ミサキは迷わずに、豪太郎へと声を掛ける。
「すっごい数あるし……直進でいこっか!」
 わかりやすく直進します!
 いえ、だってミサキは思うのだから。
「何せ両サイドにずらりと並んだ駅弁の誘惑がすごいから、真っ直ぐ進んでも十分迷える」
 そんな直進しているのに尚も迷っちゃえるような自分達を、まさか敵がEDENだとは見破れないだろうし。
「自分でも何言ってるのかはわからないけど」
 何を言っているか、ミサキ自身もわからいけれど……それはともかく!
「オレは胃袋の限界を考えると二個ぐらいかな?」
 駅弁は沢山あるのに、なかなかお腹のキャパシティは悩ましい。
 だが、豪太郎は妥協など決してしない。
 肉系・魚系・その他系の弁当を予算の許す限り購入して。
「美味い! 美味い!」
 ガッツリ貪り喰らいつつも、ミサキと共に直進行!
 そんな彼の姿に、ミサキはぱちりと瞳を瞬かせつつ。
「わっ完全に食べる気満々だ、流石豪太郎さん!」
 豪太郎はさらに直進する――障害物は剛拳で破壊し、クライミングでよじ登って。
 けれど、ミサキはそんな剛拳番長にツッコミを入れる。
「でも多分そっちじゃないね!?」
「地球は丸いからな、たとえ逆方向だったとしても、進み続ければいずれ目的地にたどり着けるものだ!!」
「というか地球が丸いのとこの迷宮は関係ない気がするよ……!?」
 だって現に、本当にあさっての方向に進んでいたから。
 でも、彼女からツッコまれれば、素直にくるりと方向転換。
 そんな軌道修正した豪太郎と一緒に、ミサキは駅弁屋を覗いてみて。
「海鮮系! こういうのってご当地じゃないと売ってないのも多いから、初めて見るのが多いかも」
 見つけたのはそう、ご当地駅弁でも大人気の海鮮系!
 折角だから、ミサキは海鮮系の駅弁にしてみようと思うのだけれど。
「どれがいいんだろう? うにとかいくら気になるなぁ」
 ひとことに海鮮系といっても、そのご当地によって色々な種類があって。
 色々と悩んでいた……その時だった。
「むう、なにやら鳥っぽい敵が現れたな」
 豪太郎が見つけたのは、様子を窺いにきた大きなヒヨコ。
 駅弁を補充しながらEDENを探しているようだが、駅弁に夢中になっている自分達がEDENだとはまだばれていないようだから。
「いっけー!」
「貴様が! 焼き鳥になるまでッ! 殴るのをやめないッッ!」
 とりあえず殴って解決! と足払いしなんかすっごい注連縄で捕縛して拳で殴るミサキと連携して。
 豪太郎も番長億裂拳でどつき殴りしばき倒しながらも。
「〆は焼き鳥弁当といこうか!!」
『えっ、EDEN!? ぎゃあ!!』
 今更気づいたところで、焼却で焼き鳥にしてやります!
 でも、ミサキは眼前のヒヨコを豪太郎とぼこりつつも、思うのだった。
 ……この鳥、食べれるの? って。

黒木・摩那

 邪悪な古妖の妖力によって、迷宮と化したという旧万世橋駅。
 そして、そんな戦場へとやって来た黒木・摩那(異世界猟兵『ミステル・ノワール』・h02365)であるが。
 旧万世橋駅に無限に広がる迷宮内部の状況を耳にしたから。
 そう……今、この場所は。
「無限駅弁のグルメ駅舎の誕生ですと!」
 無限駅弁屋があっちにもこっちも存在する、無限ご当地駅弁が買える、グルメ駅舎と化しているのです!
 そんな無限駅弁の話を聞けば、世界の食を堪能せんと日々している摩那が赴かないわけはなくて。
「それはすごいです。まさに夢の空間じゃないですか!」
 そんな場所ならば、例え新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な駅でも、行くという選択肢一択。
 当然迷子になるのだって、駅弁のためならば上等なのです。
 けれど、一応スマートグラスのおかげで迷路はマッピングできるから、きっとそれはどうにかなりそうであるし。
 なんと言っても!
「ともかく駅弁です」
 それから改めて、売店に並ぶ駅弁を眺めてみて。
「肉も魚も色々あって迷いますね。お弁当やさんの創意工夫が詰まってますからね」
 そう紡ぎつつも、駅弁を満喫するための作戦はばっちり。
「いろいろな種類をバランスよく食べたいです」
 きちんと偏ることなく、あれもこれも、色々食べちゃいます!
 お腹の容量は大丈夫……何とかなります!?
 というわけで、マイ唐辛子を取り出しつつ、いただきます!
 そしてはむはむと駅弁を堪能していた摩那だけど……駅弁屋に駅弁を補充しにきた大きなヒヨコを発見。
 駅弁を堪能しまくっている自分が√能力者だとは、微塵も疑っていないようだから。
 ――駆けろ、エクリプス!
『この駅弁は人気だな……って、うぎゃあっ!?』
 駅弁を存分に味わいつつも、紅月疾走を発動して、ヨーヨーでちゃんとヒヨコもぶん殴ります!

土方・ユル

 今回向かう現場は、古妖によって「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまったという旧万世橋駅の遺構。
 そしてこの案件を耳にして駆け付けた、土方・ユル(ホロケウカムイ・h00104)であるが。
 周囲の状況を確認すれば、尻尾がゆらり。
「刑事と言う職業柄全国を飛び回る事が多いけどご当地の駅弁を選ぶのは良いよね」
 そう、駅舎内のあちこちで売られているのは、無限ご当地駅弁!
 駅弁は、色々な地に任務で赴くユルにとって、移動の際の楽しみであるし。
 広大な迷宮となっている旧万世橋駅は今、無限駅弁グルメ駅舎状態。
 全国各地のご当地駅弁が集結しているのだという。
 ということで、幸か不幸か万世橋駅が凄い事になっているから。
「思い出の駅弁を探しながら、ついでにベンジャミン・バーニング何某も倒そうか」
 駅弁ではなく、敵のヒヨコの方がついでです。
 それから、きょろりと視線を巡らせてみるも、駅弁の種類もすごいことになっているし。
 取り敢えず自分の記憶だけだと、気になる駅弁の正式な名称は判らないから。
 ――此れより警視庁刑事部第零課特別捜査本部を設置するよ。
(「こういう時は、特別捜査本部で|頼れる事務員《妹》に連絡を取りながら探して行こうか」)
 内部に召喚した、捜査第零課の|敏腕事務員《妹》から情報を貰いつつ、グルメ駅舎を進んで。
「先ず鉄板なのは唐揚げとチキンライスが入った貴き御方も愛するチキン弁当だね」
 定番で大人気な、チキン弁当は買っておきたいところであるし。
「後は故郷の北海道の海鮮系を選びたい所なんだけど……此処はお肉系も良いよね」
 魚か肉か、どちらも捨てがたくて悩みどころだ。
 だが刹那――ユルは、狼耳をぴこり。
「ところで気付いたんだけど……」
 そう、あることに気づいてしまったのだから。
 ――此処なら既に販売を終了してる幻のお弁当とかも買えるんじゃないかな? って。
 そしてそうと気づけば早速、幻の駅弁確保のために。
 特別捜査本部の|頼れる事務員《妹》に、嬉々と連絡を入れるユルであった。

玉響・刻

 足を踏み入れた旧万世橋駅の遺構は、星詠みで聞いた通りに。
「普段でも難解で迷い易いのに、更に百倍とは……」
 そう、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な駅――「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまっているという。
 そんな駅舎迷宮を、玉響・刻(探偵志望の大正娘・h05240)はきょろりと見回してみてから。
 ひとつ頷いて、迷宮内を歩きだす。
「まあ、あっちから来るなら、駅弁を食べて待ってましょう!」
 なんたって今、この旧万世橋駅は無限迷宮と化していると同時に。
 そこかしこに駅弁屋が存在し、ご当地駅弁が集結している、無限駅弁グルメ駅舎でもあるのだ……!
 というわけで、刻も駅弁をゲットするべく、駅弁屋を巡ってみるも。
 大きな難題にぶつかってしまうのだ。
 それは、駅弁を買う際に、少なからず誰もが直面する悩み。
「それにしても……こんなに沢山しかもどれも美味しそうで一つになんて選べません!」 
 普通の駅弁屋でもなかなか選べないというのに、それが無限駅弁グルメ駅舎ならば、なおのこと。
 刻はそんな悩ましすぎる状況を、うーんうーんと熟考してみるけれど。
「決めましたっ! 悩んだ結果3つに絞りましたっ!」
 絞った結果……3つ??
 いえ、名探偵は名推理をしたのだ。
「駅弁は意外と量が無いので大丈夫、……の筈ですっ!」
 というわけで、うきうきとまず手にするのは。
「肉系はステーキ弁当ですっ! やっぱりお肉と言ったらステーキですっ! 豪華に行きますっ!」
 折角だから、豪華なステーキ弁当に!
 それから、魚系枠として選んだのは。
「そして魚系はエンガワ寿司! この食感がいいんですよねっ!」
 予約しないとなかなか買えないと噂のエンガワ寿司も、この無限駅弁グルメ駅舎ではすんなり買えます!
 それから、最後に選んだのは。
「お子様駅弁、子供っぽくても良いんですっ! 特にケチャップライスがポイントですっ!」
 唐揚げやハンバーグなどの弁当定番なおかずが満載の、大人だって心擽るお子様駅弁を購入して。
 お茶をお供に、いざ――いただきます!
 でも、食べようとした矢先に、刻は見つけてしまう。
 挙動不審な、いかにもあやしい大きなヒヨコのことを。
 だから、自分が√能力者であることがバレていない、今のうちに。
 ――黒い胡蝶は死を告げる蝶、ですっ!
『えっ、何……ふぎゃあ!!』
 淡く光る無数の黒い霊蝶を纏い、閃刃・告死蝶でヒヨコ攻撃します!

ネメシア・ヘリクリサム

 やって来た旧万世橋駅の遺構、今そこは「無限の駅舎迷宮」と化していて。
 戦場となってしまった駅舎へと足を踏み入れたネメシア・ヘリクリサム(剣と共に歩み、息づき、愉しむ人生・h08297)は、思わず瞳を瞬かせてしまう。
「なんかいろ〜んな美味しい匂いが集まってないかな!?」
 無限迷宮内に漂う、おなかがすいてしまいそうな沢山の魅力的な美味しそうな匂いに。
 いや、この旧万世橋駅は今。
「なになに、無限に広がった駅舎に、いろんな地域のお弁当がいっぱい……?」
 そう――無限の駅舎迷宮であり、そして無限駅弁グルメ駅舎でもあるのだという……!
 無限に広がる駅弁屋には、無限にご当地駅弁が集結していて。
 無限に駅弁を購入できるという話だから。
「行く先々の名物を食べずにいられない私、探索、参戦、待ったなしでしょ!」
 ネメシアは気合十分、早速嬉々と、無限駅弁巡りに参戦です!!
 だがそんな無限駅弁状態だからこそ、闇雲に探したところで、お目当ての駅弁はなかなか見つけられないだろう。
 だからネメシアは、ばっちり情報収集!
「えーと、みんなの情報網だと北口の方に豚重系、西口の方にお茶ご飯とか……」
 というわけで、まずは豚重系駅弁を目指して――。
「……え、この場合北ってどっち?」
 北にあるのはわかっても、北口がどっちなのかがわかりません……!?
 いえ――実はこれは、敵を欺く作戦。
「普段のダンジョンより道に特徴ないから道に迷っちゃうなー!?」
 うろうろしながら、そう口にしつつも。
「でも進んでいけばどっかに出るかなー!?」
 これでもかと、わざとらしい声で迷子アピールしてみるネメシア。
 いや、うろうろしているのは、敵を油断させるべく迷子を装うためでもあるのだけれど。
(「……実際問題、普段食べられないお弁当なら、いくつだって食べたいからね!」)
 各地の名物を食べずにいられない彼女にとってはむしろ。
「さぁ惹かれたやつみんな買っちゃうぞ食べちゃうぞ、戦場だね!」
 美味しい駅弁にいかに出会えていくつ食べられるかの、グルメ大戦争です!?
 だから、駅弁をできるだけ多く、美味しく食べるためにも。
「合間合間の腹ごなしに誰か来るならかかってこーい!」
 ヒヨコみたいな輩を見つけたら、消化を早める運動がてら、ちゃんとしっかりボコります!

ニーモ・イオナ

 王劍戦争の発令より、戦場と化した秋葉原とその周辺の地。
 そして、旧万世橋駅の遺構も、戦場となってしまったのだという。
 古妖の妖力によって「無限の駅舎迷宮」に……そして、無限駅弁グルメ駅舎に!
 というわけで、旧万世橋駅へとやって来たニーモ・イオナ(シールド・オブ・イージス・h00616)は、無表情ながらも周囲をくるりと見回して。
「……とりあえず、お弁当を食べていいんだね」
 迷宮内に点在する駅弁屋に足を運べば、並ぶ駅弁をじいと見つめてみる。
 そんなニーモは、知らない人が見たら、ただ迷っているだけに見えるひとりの少女であるが。
 迷ってしまったからひと休み……の体で、お弁当を食べることにする。
 そして気になった駅弁をいくつか購入してから、近くのベンチにちょこんと座って。
(「温かいわけじゃないのにちゃんとそれに合わせた味付けがしてある……」)
 無表情だから表向きはわからないけれど、心の中ではそう駅弁に感心していて。
 早速まずはと、はむりと食べてみるのは、炭火焼ステーキ弁当。
(「合成の肉じゃないし炭火焼っぽい香料を振りかけてるわけじゃなくちゃんと炭で焼いてる味だなー」)
 それから次にぱくりと食べてみるのは、押し寿司御膳。
(「ちゃんと駅弁向けの押し寿司だなー」)
 さらに、新幹線の弁当箱に入っているお子様駅弁も、はむはむ味わってみれば。
(「新幹線弁当とか変わった形のお弁当箱でちゃんと味もしっかりしてるなー」)
 空想の未来世界では、味わえないようなものがいっぱい。
 そして表情は変わらずもくもくとだけれど、美味しい駅弁をこれでもかとめっちゃ満喫していれば。
 自分が√能力者だとはまだ思ってもいないヒヨコをふと見つけて。
 ――……ちょっと、変わって。
『えっ、駅弁めちゃ食べてるのに、まさか√能力者!?』
 そう気づいたヒヨコから距離をとるべく、ニーモは駅弁を抱えつつ、極低温の銀河でインビジブルとすかさず入れ替われば。
『ちょっ、ふぎゃ!?』
 リボルギアシューターで背後から遠慮なくヒヨコを撃ちます!

伊藤・ 毅

 何せ、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な駅。
 そんな「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまったという、旧万世橋駅の駅舎内で。
 いかにもちょっと間違えちゃいました、といったような大柄の男性が周囲をきょろり。
(「さて、うっかり秋葉原と間違えて降りたわけだが……時間的にも……腹が、減った……」)
 想定していない駅で降りてしまい、現在地がわからなくなる――ふりをするのは、伊藤・ 毅(空飛ぶ大家さん・h01088)。
 そしてうろうろと、広大な駅舎をしばらく歩いていれば。
 ふと足を止めたのは、ある駅弁が売っている駅弁屋さん。
 今、この旧万世橋駅は迷宮となっているが、同時に駅弁屋も無限に増えて。
 色々な駅弁が此処に集結しているのだというが。
(「駅弁か……いいじゃないの……」)
 そうふと足を止めて、毅が気になって購入したのは。
「すみません、この弁当とお茶を1つづつ」
 せっかくなのでと、皇室御用達とのうわさもある洋食系の駅弁。
 そしてコンコースのベンチにすとんと座り、蓋をぱかりと開けてみれば、思わず頷いてしまうラインナップ。
(「内容物は、グリンピースと炒り卵がのったチキンライス、フライドチキンと口直しのスモークチーズ、いいじゃないの、思ったよりわんぱくで」)
 上品な雰囲気でもありながら、なかなか意外なわんぱくさ。
 そして一緒に買ったお茶とともに、そっと手を合わせてから。
 ひとり静かに、もくもくと食べ始める毅。
 そんな彼は傍から見れば、うっかり駅を降り間違えちゃったけれど、美味しい駅弁を買って美味しく食べている一般人だと思われるだろう。
 現に、駅弁の補充にきた大きなヒヨコも、あ、一般人ね、といったような反応で。
 毅がまさか、うっかりを装った√能力者だなんて、思ってもいないようだから。
 はむりと駅弁を食べている間に近寄ってきた敵へと、すかさず仕掛けるのは関節技!
『!? え、ちょっと……いたっ、いたた、ぐえっ!』
「弁当を食う時はね、邪魔されずに、満たされなきゃいけないんだよ……」
 大食漢な身長180cmを超える大柄な体格を存分に活かして。
 早く駅弁の残りも食べたいから、じたばたもがくヒヨコを締め落とします!

千堂・奏眞

 勃発している王劍戦争の影響で戦場と化したという、旧万世橋駅。
 その駅構内へと降り立って、周囲をふと見回してみた千堂・奏眞(千変万化の錬金銃士アルケミストガンナー・h00700)は。
 数えきれないほど沢山の種類がある、『それ』を見遣る。
「駅弁………なるほど、そういうのもあるんだな」
 今、この旧万世橋駅は、古妖によって「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまっていて。
 そしてそれに伴い、様々なご当地の駅弁が集まり、駅弁屋さんも無限になって、無限駅弁グルメ駅舎と化しているのだ。
 だが奏眞は首を小さく傾けつつ、改めて駅舎内をきょろり。
(「|故郷《ウォーゾーン》で|支援《ボランティア》活動してばっかだから、駅の中とか気にもしてなかった」)
 でもよく見てみれば、美味しそうな駅弁が沢山あるようだから。
「じゃぁ、順番に買い食いして行くか」
 |支援《ボランティア》活動をして、ちょうどおなかもすいた気もするし。
 それに、今日も周囲に沢山いる『皆』にも、奏眞は声を掛ける。
「|皆《精霊たち》も、気になったのがあったらつまんでいいからな?」
 そんな言葉にくるり、周りにいる9人の精霊たちが各々「OK」して。
 気になった駅弁をとりあえず抱えられる程度に買ってみて、|皆《精霊たち》と一緒に食べ始めれば。
『あー! |火の精霊《ファム》、それあたしが食べようとしてた奴―!』
『まだ残ってるんだからそっちを食えよ、|光の精霊《ルミィ》』
 |光の精霊《ルミィ》が取っておいたタコさんウインナーを、|火の精霊《ファム》が横から摘まんで、ひょいぱくっ。
 思わず声をあげた|光の精霊《ルミィ》の前で、|火の精霊《ファム》はタコさんウインナーを美味しくはむはむ。
 そんな駅弁を囲んで賑やかな精霊たちの様子を見つつ、奏眞はひたすら買った駅弁をもぐもぐ。
 実は彼は、燃費が超絶最悪がゆえの大食漢だから――無限駅弁も、ほぼ無限に食べられちゃうのです……!

エアリィ・ウィンディア
夜久・椛
青空・レミーファ
エレノール・ムーンレイカー
冬月・楠音
篠宮・燦華
ルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシル

 古妖の妖力によって、「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまった旧万世橋駅。
 それと同時に駅弁屋も無限になり、無限駅弁グルメ駅舎と化しているのだという。
 そしてそんな駅舎でEDENを罠に嵌めようとしている敵をまずは欺くために、駅弁を満喫している一般人を装う――これが今回の作戦である!
 というわけで。
「おー、駅弁がいっぱいだね」
 きょろりと無限駅弁屋さんを見回してみる夜久・椛(御伽の黒猫・h01049)に、尻尾のオロチもゆらゆら。
「こう、沢山とあると、どれにするか悩むな」
「ん、目移りするね、オロチ」
 一応これは戦争で、此処は戦場ではあるのだけれど。
「これは……見渡す限りの駅弁! いや、なんとも胸が躍りますね……」
「わぁー、えきべん! おべんとーがいっぱいだー!」
「腹が減ってはなんとやらってやつだね」
 エレノール・ムーンレイカー(蒼月の|守護者《ガーディアン》・h05517)も、古今東西から集まったご当地駅弁の数々を目にすれば、わくわく心も踊っちゃうし。
 冬月・楠音(氷原より貫く一閃・h01569)も、バディの篠宮・燦華(太陽より熱くキラメく魂☆・h02673)と一緒に、並ぶ駅弁にうきうき。
 ルナ・ルーナ・オルフェア・ノクス・エル・セレナータ・ユグドラシル(|星樹《ホシトキ》の言葉紡ぐ|妖精姫《ハイエルフ》・h02999)の言うように、戦いに備えての腹拵えは大事!
 なのでそれはそれ、これはこれ。いえ、駅弁を楽しむことも、れっきと作戦なのです。
 エアリィ・ウィンディア(精霊の娘・h00277)もそんな作戦を、世界樹の博物館の仲間達と実行するべく。
「ふむ、駅弁を堪能って何でもありだね。まぁ、せっかくの機会、楽しんで行っちゃおー♪」
「うんうん、たべよ、いっぱいたべよー♪」
 はしゃぐように頷く楠音や皆と一緒に、駅弁を堪能します!
 ということで、まずは。
「お弁当屋さんでわくわくタイムっ♪」
 無限駅弁屋さんには、無限に駅弁が並んでいるけれど。
 青空・レミーファ(ややこしい子・h00871)が即決したのは、やはりこれ!
「ステ〜キ〜!」
 いい感じに焼かれた美味しそうなお肉がどーんと並べられている、豪華でボリューム満点なステーキ駅弁。
 勿論他の肉系の駅弁も堪能するつもりのレミーファだけれど。
 でもやはりとりあえずまずは、大好きなステーキ弁当から食べます!
「やっぱり、食べるならお肉のやつかな」
 そして椛が選んだ駅弁も、肉系ではあるのだけれど。
「ボクはこのとりめし弁当にしよう」
 手に取ったのは、定番で人気も高い、とりめしの駅弁に。
 そして楠音も、おにくにおさかな、ちゅーかによーしょくー♪ と沢山の種類の駅弁をうきうき見回しながらも。
 やはり選んだのは肉系だけれど、レミーファは椛とはまたまた違って。
「どれもおいしそーできになるけど、この「牛タン弁当」にしよっかなー」
 そんな肉系は勿論、駅弁の鉄板であるのだけれど。
「さて、何にしましょうか……」
 エレノールも色々な種類がある駅弁を前に悩みつつも。
「そうですね……わたしはウニいくら丼を選びましょう」
 ご当地駅弁の花形、新鮮な海鮮が楽しめるウニいくら丼をチョイス。
 そして……ふふ、ボクの選んだお弁当はコレ、と。
「かの有名な妖怪研究家の描いた漫画をモチーフにしたお弁当だよ」
 ルナが見つけた駅弁は、駅弁だからこそ楽しめるような、まさにご当地もの。
「まさかこんなところで買えるとは思ってなかったから、無限の駅舎迷宮様様だね」
 無限に駅弁が集まった売店で出会えたことはラッキーである。
 そして、弁当系も豊富だけれど。
 きょろりと視線を巡らせていた燦華が見つけたのは、やはりご当地感のある、これ。
「あ、そだ! 天むす数種類をたんまりくださーい♪」
 エアリィも、まず目についたのは、鶏系の駅弁だったのだけれど。
「あ、鳥さん……。でも、椛さんが鳥さんかぁ……」
 折角だから別のものがいいのではと、改めて他の駅弁も見てみれば。
「あ、サーモンといくらの親子丼がある。これにしようかなー。でも、壺に入ったタコ飯も捨てがたい……」
 海鮮系に心惹かれるけれど、どれにするか悩んじゃうのだけれど。
「……よし、今回はタコ飯にっ♪ 壺可愛いー♪」
 駅弁だからこそ買える、蛸壺の容器にはいったタコ飯にしました!
 そして、自分の分は当然ながらも。
 皆とシェアすることを見越して、燦華はその為の弾薬を確保。
 いや、沢山天むす数種類を買うのは、分けあいこできるからということもあるけれど。
「それにボク、もともとおむすびも好きだもんね」
 いっぱいのおむすびがあったら、やはりテンションも上がるから。
 そして椛も、家族へのお土産やシェア用のも含めて、複数駅弁を買っていくことにして。
 それぞれ駅弁を買い終われば、近くのテーブルに座って、皆と一緒にいただきます!
 楠音もわくわく、いっただっきまーすと、早速牛タンをはむりと口にしてみれば。
「んー♪ にくあつでかみごたえもあっておいしー! ごはんにもすごいあうー」
 椛もぱかりと、とりめしのふたを開けば。
「ご飯の上に鶏の照焼きや、鶏そぼろ、軟骨つくねが乗って中々豪華。下のご飯も、タレと鶏の出汁で味付けされてて美味しそう」
「冷めていても美味しそうだな」
 オロチの言葉にこくりと頷きつつ、まずはひとくち。
「……ん、鶏肉にもちゃんとタレが染みてて美味しい。具材も多くて飽きないね」
 エアリィも、可愛い蛸壺に入った大きなたこをごはんと一緒にぱくっと食べてみれば。
「煮だこもしみしみでおいしいし、ご飯もタレが染みておいしいし。タコ柔らかーいっ♪」
「ウニとイクラを贅沢に散らしている、実に豪勢な弁当です! 見た目でもう優勝です、これは」
 エレノールの海鮮丼は、見た目からすでに優勝……!
 でも、それを口に運んでみれば、勿論。
「では早速一口……んんっ、美味しい! 口の中が幸せに満ちますね、これは……!」
 幸せいっぱい、もっと優勝です!
 そして皆が選んだ駅弁は多種多彩だから。
「う、みんなのもおいしそー……」
「うん、ウニいくら丼、牛タン弁当、てんむす、すてーき……。みんなおいしそう……」
 楠音の言葉に、エアリィは同意するように頷いてから。
 皆へと提案するのは、やはりこの作戦!
「ね、せっかくだからシェアしよ? みんなのも食べたーい!」
「なるほどねー、みんなでシェアはいいかんがえー」
 楠音もうんうんと、当然賛成!
 いや、勿論楠音だけでなく、ルナとエレノールも自分の駅弁を喜んで差し出して。
「みんなでシェアをするなら、ボクのも一口どうだい? 牛のしぐれ煮のかかったご飯が美味しいよ」
「ん、シェアですか? どうぞどうぞ! この美味しさは他の人にも味わってほしいですし」
「そんな駅弁もあったんだね、どのへんにあった?」
 レミーファも、仲間たちと駅弁をシェアしながら、他の美味しい駅弁情報もゲット。
 色々な駅弁を皆と一緒に、まだまだ食べまくります!
「ん、シェアするなら、とりめしも食べる? シェア用のも買っといたよ」
 椛と燦華はシェア用のものも買っていたから、たくさんその分をお裾分け。
 そして燦華はありがたく皆の駅弁をいただきつつ。
「ん、どの駅弁もおいしいね♪ あ、余った天むすはもちろんボクが……むぐむぐ☆」
「さっちゃんのてんむすは……「のーきん?」」
 楠音が思わずいっちゃった言葉に、ほっぺたぷくり。
「……ぶー、ボク『のーきん』じゃないもんっ」
 でもぷんすかしているわけじゃないから、楠音にぎゅっとハグして怒ってない表明もしつつ。
 でも、「のーきん」ではないことも抗弁しておきます!
 そんな微笑まし気なやり取りに、ルナは瞳を細めながらも。
「食べ終わった後の容器も素敵なものだし、これは持ち帰らなきゃだ」
 ご当地駅弁ならではの、食べた後の楽しみもばっちり堪能します。
 そしてエレノールは皆が買った駅弁を少しずつ貰いながらも。
「他の人の選んだのも美味しいですね……。あとで買い増しできるでしょうか?」
 他の駅弁も美味しかったから、追加購入を考えちゃうし。
「さて、ここからどうしようかな。稲荷寿司なんかイイかも」
 レミーファも駅弁を食べまくりつつ、今度は稲荷寿司を買いに行く気満々。
 此処は無限駅弁グルメ駅舎だから、買い足しだって何度もできるし。
 それに何度も行き来すれば、より迷子に見えて、きっと効果的……!
「そういえば敵倒さないとか」
 そう、エアリィがふと思い出したように、駅弁を全力で楽しんでいるのは、敵の目を欺くためでもあるのだ。
 というわけで、楽しく美味しく駅弁を食べていれば。
 のこのこと駅弁を補充にやってきたのは、大きなヒヨコ。
 わいわいと駅弁を食べている自分達がまさか√能力者であるとか、思ってもいない様子だから。
「さて、これだけゆっくりしていれば敵も油断してくれてるかな?」
『……えっ、何!?』
「新緑の縛鎖で縛り上げておくから後はよろしくね」
 完全に油断しているヒヨコを、ルナがすかさず蔓でぎゅっと縛り上げれば。
「それじゃふっ飛べーっ!」
「冬の魔女よ、眼の前の敵に災厄を与えよ」
 エアリィが精霊六属性の魔力砲撃を容赦なくぶっ放せば、椛も不意打ちで凍らせんと御伽術式「氷雪の災厄」を展開して。
「そういえば、代金は?」
 レミーファは駅弁代と、あと体重とかもちょっぴり心配に思いつつ……まあ今日は一日楽しみたいね、と。
 ――光を!
 駅弁タイムを邪魔するヒヨコへと、両眼から謎の光を放つ閃光フラッシュをお見舞いしてやって。
「ん? 目標の敵が在庫の様子を見に来たようですね?」
 エレノールも慌てるヒヨコに気づけば、すかさずダッシュで接近して。
『ふぎゃっ!? な、なんでEDENが駅弁を……ぎゃあっ!』
 光り輝く闘気を纏った拳を放ち、ヒヨコを全力でぶっ飛ばせば。
「ってわけで、きっちり食後の運動しないと……さ、ボコボコにしてあげるっ♪」
「さいご、ウォーゾーンにのってー……いけーっ!」
 追い打ちは、燦華と楠音のコンビ打ち!
 食後のいい運動になったし、ヒヨコをぼこぼこにぶっ飛ばし終わればまた心置きなく、追い駅弁を買いに行けます!

静寂・恭兵
アダン・ベルゼビュート

 王劍を掌握した簒奪者の大侵攻から√EDENを守る王劍戦争、秋葉原荒覇吐戦。
 秋葉原とその周辺が戦場と化し、連日激しい戦いに身を投じているEDEN達であるが。
 邪悪な古妖達の妖力によって、旧万世橋駅も「無限の駅舎迷宮」となってしまったのだという。 
 故に今の万世橋駅は、古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮となり、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な駅舎と化している。
 そんな駅舎迷宮に足を踏み入れたアダン・ベルゼビュート(魔焔の竜胆・h02258)は、戦場と化した駅の光景に視線を巡らせて。
「此れは……ある意味、嬉しい誤算だな?」
 そう見遣るは、無限に増えている無限駅弁屋。
 古今東西の駅舎の特徴を取り込んだことにより、その分、各地の駅弁屋が出現しているのである!
「無限駅弁のグルメ駅舎とは。敵ながら、中々に面白い事をするではないか」
「……敵としては全く意図してなかったのだろうが……古今東西の駅弁があつまりちょっとした駅弁祭り状態になってるな」
 相棒の言葉に、静寂・恭兵(花守り・h00274)も、すっかり全国ご当地駅弁祭りの様相を見せている駅舎内を見回してみつつ。
 今回の作戦を実行するべく、駅弁屋へと足を向けてみることにする。
 この迷宮内にいる敵は、まさかEDENが駅舎で迷ったり、駅弁に気を取られたりなどするはずはないと思っているようだ。
 だから、それを逆手にとって、攻撃を仕掛ける……というわけで。
「腹が減っては戦は出来ぬ! よし、恭兵! 俺様達も早速、駅弁を――」
 そう駅弁屋へと意気揚々と入店したアダンなのだけれど。
「──と思ったのだが、想像以上に多過ぎるのではないか!?」
 何せ今の万世橋駅構内、古今東西・ご当地駅弁祭り状態。
 どれだけあるかわからない駅弁の数に、思わず瞳をぱちりと瞬かせて声を上げる。
 定番のものからちょっと珍しいもの、アイディアが光るもの、そのご当地でしか手に入らないもの。
 量も、ボリューム満点から小腹を満たす軽食まで、多種多彩。
 そんな無限駅弁を前に、恭兵は相棒へと声を向けつつ。
「アダンはどれを食べたい?」
 並ぶ駅弁を見ていけば、やはり悩ましい。
「肉を勧めたいところだが海鮮も魅力的でな……」
 とはいえ、駅舎や駅弁屋は無限でも、お腹のキャパシティは当然ながら有限だから。
「流石に全制覇も無理だろうし選りすぐりを食べるしかない……」
「選りすぐりの駅弁を食べる事は賛成だ。胃袋の容量的に一つ……或いは、軽食も含めて二つか?」
 慎重に自分達が美味しくいただける量を見極めるべく熟考する相棒ふたり。
 量も大事であるし、何を食べたいかを、よく吟味して。
「肉や魚、其れ以外も美味そうだな。では、俺様は海鮮丼と、軽食になりそうなカツサンドを」
「ふむ……アダンが海鮮丼を買うなら俺はちょっと贅沢にローストビーフ弁当に」
 肉系と海鮮系、そして気軽に摘まめるサンドイッチ系をふたり合わせてチョイス……いや。
「後は稲荷寿司も美味しそうだ……」
 稲荷寿司も追加で!
 そして、駅弁を購入するついでに。
「取り皿と取り分け用のスプーン等あれば、恭兵とシェア出来るな、是非そうしよう」
「うん、これならアダンとも半分こ出来るし肉も海鮮も食べられるな」
 取り皿やスプーンも少し多めに入れて貰えば、準備も万端。
 各駅弁やカツサンドや稲荷寿司をそれぞれ半分ずつ、取り皿に分けて半分こ。
 というわけで、早速――いただきます!
 選りすぐっただけあり、北のご当地海鮮丼は新鮮で具材も零れそうなほどたっぷり、味も当然絶品で。
 ローストビーフは柔らかく、ソースもよく合っていて、とろけるような美味しさ。
 カツサンドも食べ応えがあり、稲荷寿司も思った通りに味が染みていて美味!
「恭兵、どの弁当も美味いな?」
 アダンは恭兵と並んで、もぐもぐ駅弁を堪能していたのだけれど。
 丁度、ご馳走様をしたその時、見つけたのだ。
 駅弁をうきうきもぐもぐ楽しんでいる自分達が√能力者だと気づいていない、大きなヒヨコに。
 というわけで!
「ご馳走様……腹ごしらえも終わったし後は奇襲の一撃だな」
『EDENはこんなところにはきっといないな……って!? ぎゃあ!!』
 のこのこ駅弁を補充しにきたヒヨコへと、いざ――御馳走様でした、からの奇襲を仕掛けます!

七々手・七々口
細小波・望

 現在、秋葉原とその周辺が戦場と化している、王劍戦争の真っ只中。
 そして旧万世橋駅の遺構も「無限の駅舎迷宮」に変えられ、戦場と化しているとのこと。
 そう……戦場では、あるのだけれど。
 万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮となった駅舎は、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成で。
 その分、駅弁屋も無限増殖してしまったのだという。
 そんな駅弁屋がずらりと並びまくる万世橋駅へと足を踏み入れた、七々手・七々口(堕落魔猫と七本の魔手・h00560)の目的は。
「にゃふふ、最近は古妖どもをしばき回るのに忙しかったからねぇ。ここらでリフレッシュと行こうか」
 激戦の合間の、リフレッシュ! お弁当タイムはひとときの癒しですから。
 そして細小波・望(総てに変わりて総てを弔う者・h09122)も、彼の言葉にこくりと頷いて返す。
「七々手君が楽しからむとし何よりなり」
 とはいえ、望も何気にいつも腹ペコだから。
「よっしゃ、望も準備はええか?」
「うむ。かくし誘はれけり。腹の満つまでは楽しむとせむ」
 ――レッツ、食い倒れ!
 無限駅弁を存分に堪能します!
 それから望は、気合十分な七々口に、こうも付け加えておく。
「とはいえ、げに食ひすぎにえ動かずならぬやう憂へよ」
 ええ、腹八分目、大事です。
 というわけで、売店にずらりと並ぶ、全国津々浦々なご当地駅弁を眺めてみるふたり。
 駅弁とひとことに言っても様々で、目移りしてしまうほど膨大な種類があるのだけれど。
 七々口が心に決めている駅弁は勿論これ。
「オレの狙いはもちろん海鮮丼。海の幸を存分に味合わせて貰おうか」
 魚の刺身が好物な七々口にとって、これしかない選択です!
 それに、もうひとつの好物にも手が伸びる。
「にゃふ、酒も飲んじゃうかなー? 美味そうな酒もある様だしねぇ」
 酒も、ビールや日本酒など各種揃っているし、駅弁と共にいただけるほど良いサイズで。
 古今東西の駅弁屋が取り込まれているのだから、ご当地の地酒などもいただけるようだ。
 そしてうきうき海鮮丼と酒を購入する七々口に、望は微か首を傾けて訊ねる。
「能ひあらばより多くのたぐひを楽しままほしければぞ。小わにの弁当やあらむ?」
 ひとつの駅弁を楽しむのもいいけれど、折角だから小さめのものを沢山買ってみるのも楽しみ方のひとつだし。
「あ、魔手達も好きなもん食っちゃったらー? ほら、望も好きなもん食いな?」
 心なしかそわりとしている気がする魔手達の分もあるし、七々口の言うように、気になるものを味わいたいところ。
 というわけで、望も気になった焼魚駅弁を買ってみれば。
 ふたり並んで――いただきます!
 そしてはむりと駅弁を口に運びながら、思わず笑み零す望。
 いい塩梅に焼かれた魚が美味だからなのは勿論のこと。
「ふふっ、かく誰かとともに食をとる、といふは初めてなれど……よきものかな」
 誰かとこうやって一緒に食べる駅弁の味は、何だか格別。
 それから望は、自分の焼魚駅弁を差し出して。
「あな、七々手君。こなたの焼き魚も美味なり。きみも是非に食すべし」
「お、焼き魚? 普段食わんけどもチャレンジしてみっか」
 焼いたり煮たりは普段は好まないのだけれど、望の食べている焼き魚は不思議と美味しそうに見えるから。
 はむりと、お裾分けしてもらって挑戦です!
 そんな香ばしい焼き魚の味わいは酒にもぴったりで、望から貰った焼き魚ならば、焼いていても悪くないかも……?
 だが、そう駅弁をふたりで楽しんでいた刹那。
「敵のさまはひよこと聞く」
 ふと紡いだ望の視線の先には――まさにヒヨコ。
 だがヒヨコは、駅弁を満喫している自分達がEDENとは気が付いていないようなので。
「無粋なる敵は神より借り受けき食屍鬼どもに任せなむや」
「敵は嫉妬ちゃんが呼んだ蛇くん達が、なんかこう上手いことやってくれると信じておこう。がんばー」
「食屍鬼どもの腹を満たすには足らぬやもしれんが……まぁよからむ」
『!? え、何でEDENが!? うぎゃあ!』
 引き続きふたりは駅弁をもぐもぐ美味しくいただきながら。
 足りないかもだし美味しいかはわからないけれど――召喚した食屍鬼と大蛇達もごはんの時間です!

柳・芳

 邪悪な古妖の妖力によって、「無限の駅舎迷宮」と化したのだという旧万世橋駅の遺構。
 そんな駅舎内は、万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮となっているのだという。
 そしてそんな駅構内へと足を踏み入れたのは、柳・芳(柳哥哥・h09338)。
 いや、無限駅舎となったと同時に、全国津々浦々の駅弁屋が無限に出現したという話だし、一応戦争の戦場だから、やって来てみたのだけれど。
 きょろしと視線を巡らせながら、芳はこう紡ぐ。
「でかい駅ってさぁ、何番出口とか明確な目的地が決まっているうちはどうにかなるけど、ちょっと寄り道しよ〜って油断するとめちゃくちゃ迷わない?」
 ――こんな風にさ……、と。
 美味しそうな無限駅弁に釣られてふらふらしていたら迷子になった顔で。
 けれどまぁ、迷ったものは仕方ないし、迷子になっても駅弁が美味しそうなことに変わりはないから。
「う〜ん、これだけあるとどれ食べようか迷っちまうけど俺は天丼弁当が気になっちゃったな!」
 早速買ってみたのは、天丼弁当。
 いや、天丼弁当だと謳っているにもかかわらず。
 ぱかりとうきうきふたをあけてみた芳は、思わず瞳を見開いてしまう。
「え、海老や穴子の天ぷらこんなでかいの入ってんの! すげー!! 野菜も旬のもの使ってて季節を楽しめるのがまた良いな」
 ぷりっぷりで大きな海老天だけではない、種類豊富な各種天ぷら入り。
 それをひとくち、はむっと口にしてみれば。
「そして丼タレがかかったご飯がまた美味……! これだけでもいくらでも食べれるってもんだ……」
 思わずその美味しさを語ってしまう。いわゆる食レポである。
 そんな美味な物語を紡げば――刹那発動するのは、妖術「鏡花水月」。
 そう、食レポもまた、今までに経験した語りだから発動条件になるのだから!
 そして語りの内容が反映された美味しい空間がさらに広がる中。
『えっ、これは……!?』
「さーて、腹ごなしの運動始めますかね!」
 めちゃめちゃ何気に迷子になりまくりつつも駅弁を嬉々と食べては食レポしている自分のことを、まさか√能力者だとは思わず、すっかり油断している様子のヒヨコも空間に取り込んで。
『なっ、EDENが何で駅弁の食レポを……ふぎゃあ!!』
 おなかも舌も満足、あとはヒヨコに必中の攻撃をたっぷり味わって貰います!

ヴォルケ・ナクア

 王劍戦争の発令より、ついに開始された√EDENへの各勢力の大侵攻。
 それにより、秋葉原やその周辺が戦場と化しているが。
 邪悪な古妖達が、その妖力で旧万世橋駅の遺構を「無限の駅舎迷宮」に変えてしまったという。
 同時に、無限駅舎内に無限に増殖した駅ナカの店、それは。
「へえ……各地の駅弁を好きなだけ食えるんだって? 職業柄、駅弁ってのはなかなか食う機会が無かったんだよな」
 戦場となった万世橋駅に足を踏み入れたヴォルケ・ナクア(慾の巣・h08435)が見遣る先には、大量の駅弁屋が。
 万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮と化した無限駅舎には、古今東西の駅弁屋が集結しているのだという。
 大食いであるヴォルケにとって、こんな美味しい話はない……?
「……費用は自腹? ……チッ」
 何かの経費でもしかして落ちる……かもしれないし、落ちないかもしれないので、領収書は一応貰っておくといいかもしれない。
 とはいえ、無限駅弁グルメ駅舎の話を聞いた時から、ヴォルケは今回の案件に向かうにあたり、抜かりがない。
「前もってネットで調査してリストは用意済み」
 やはり此処は戦場、備えあれば憂いなし――。
「何のリストって、食うもん全部のリストだ」
 全て駅弁情報です!
 いえ、敵はまさかEDENが駅弁屋に寄り道するとは思っていないようなので、結果的には正しい行動といえよう。
 というわけで、リストの最重要事項といえば、やはりこれ。
「まずは肉が無きゃ始まらねえ。腹減ってる時は一番重いとんかつ弁当から食うに限る」
 そう、肉です!
 作戦としては、最初にがっつりとんかつ駅弁。
 それから箸休めに牛タン弁当、小休止に焼肉弁当!
 十分これでも普通の人にはヘビーなラインナップであるが、顔色ひとつ変えずに黙々と平らげていくヴォルケ。
 そんな彼は、わざわざ美味いとは口にしない。
 だが、そう言わずとも、食べ終わった空の駅弁がちゃんとそれを物語っているのだ。
 ……米粒一つも残さなきゃ筋は通せる筈、と。
 そして肉系駅弁を3つ難なく完食したヴォルケは、さらにリストに視線を落とす。
「……まだ全然足りねえな」
 肉系はそれなりに食べたから、次に目を付けるのは、海鮮丼に焼売弁当!
 それらは、事前に調べておいた情報によれば――。
(「もうリスト見るのも面倒だ、目に付くもん全部食って帰る」)
 というわけで、駅弁屋に並んでいるものを片っ端から食べていきます!
 そんな駅弁をこれでもかと食べているヴォルケのことを、駅弁を補充しにのこのこやってきたヒヨコがまさか√能力者だとは思わないだろう。
 なので、食後の運動がてら。
『……!? ぎゃっ、うぎゃあ!!』
 油断しまくっているヒヨコを回し蹴りで奇襲し、鋼鉄の蜘蛛の糸で縛り上げては膝蹴りしたりしつつも。
 ヴォルケはふと腹を擦りながら、こう呟きを落とすのだった……また腹減ってきたな、なんて。

アレクシア・ディマンシュ
雪願・リューリア

 訪れたのは戦場、邪悪な古妖の力により「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまった万世橋駅。
 だが、雪願・リューリア(願い届けし者・h01522)が密かにそわりと少し緊張しているのは、此処が戦場だからというわけではなくて。
(「幼馴染と神聖竜以外の子とお出かけするのは何気に初めてだったりするからな」)
 今回この場に共に訪れたのが、アレクシア・ディマンシュ(ウタウタイの令嬢・h01070)とであるから。
 そんなリューリアに誘われたアレクシアも、彼女に関してはこう思っていたのだ。
(「リューリアは気になるチェンジリングでしたからね」)
 だから、声をかけられれば応じ、ふたりでこの万世橋駅の駅舎迷宮へと赴いたわけだが。
(「それに、王劍戦争の事もありますからね」)
(「……と仕事だということは忘れていないぞ」)
 この場に足を運んだ目的は、当然ながらアレクシアは確りと把握しているし。
 リューリアも、現在戦争の真っ只中であり、此処が戦場であることはきちんと心には留めている。
 それに――今回の作戦も。
 リューリアは無限駅舎と化した構内をくるりと見回しながらも、アレクシアに訊ねてみる。
「本当の駅で迷子になった事もあるし気を付けないとな。アレクシアは道に迷う事はあるのか?」
「道に迷う事……あまり無いですかね。どちらかと言うと、音を頼りにして空間を把握しているので」
 この迷宮となった無限駅舎内でも、アレクシアがその落ち着きと優雅さを損なわないのは、そういうわけであるから。
 だが敵も、EDENはこの迷宮で迷ったりはしないだろうと思っているらしいので。
「油断させる為にも駅弁を選ばねば」
 リューリアが言うように、迷宮攻略よりも駅弁を楽しむ姿をみせれば、敵は自分達を一般人と思うだろう。
 ということで、ふたりが足を運んでみるのは、やたら沢山ある駅弁屋のうちのひとつ。
「駅だけでなく駅弁屋さんも無限増殖しているとは。食いしん坊な古妖なのだろうか」
 古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮は、古今東西の駅弁屋も取り込んだのだという。
 それから、ずらり並ぶ駅弁を前に、再びリューリアは訊ねる。
「アレクシアはどんな駅弁が好みなのか」
「わたくしはサーモンにいくらの海鮮親子丼にしましょうか……」
「我は海鮮弁当がいいだろうか」
 アレクシアの選択を聞きながら、リューリアはそう言いつつも……ちらり。
 何気に海鮮弁当と交互に目を向けるのは、器が電車型になっている「おこさま駅弁」。
 そして、そんな彼女の視線に気づいて。
「リューリア、こういう時は心のままに選ぶ、というのが肝要ですわよ」
 アレクシアはそう言葉を向ける。
 海鮮弁当もおこさま駅弁も、気になるものを食べることが最良の選択だろうから。
 ということで、そう背中を押されながら、リューリアはアレクシアとともに無事に駅弁を購入して。
「丁寧に飲み物やスペースもあるみたいだし、そこで二人で食事させてもらおう」
「飲み物はジンジャエールを貰いましょう」
 食べる場所も飲み物も確保すれば、綺麗に拭いた手をきっちり合わせて、買った駅弁を行儀よくいただくアレクシア。
 そして、そんな令嬢らしく品の良い所作で食べ進めていく彼女の様子をちらりと見ながらも。
(「人前だしアレクシアを見習ってお行儀よくにだな」)
 リューリアも気持ち姿勢をピンとして、アレクシアに倣って、タコさんウインナーを上品に口に運んでみるのだった。
 それからふたりで駅弁を美味しくいただいて、ちょうど御馳走様をした――その時であった。
 アレクシアは、さて……と後片付けまで終わらせれば、ふいに歌い始める。
 ――世界を変えなさい、我が歌よ。我が歌声は人々を震わせ、精神を震わせ、世界を震わせ、現実を震わせる。
 聖歌絶唱・万象を変転させ給え我が歌よ、と……世界√の現実を改竄する歌を。
『えっ!? 何でEDENが駅弁を……ぎゃっ!』
 そして完全に不意をつかれたヒヨコへと、リューリアもすかさずお見舞いし味合わせてやる。
 ――我の攻撃はここからでも届く。
 アレクシアの歌が響く中、霊能波と電撃の力が込められた無数の弾丸、波動弾を容赦なくたっぷりと。

ノア・キャナリィ

 新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な駅舎。
 今の旧万世橋駅の遺構は、古妖の力によってそんな「無限の駅舎迷宮」に変えられていて。
 そんな迷宮内をふわりと彷徨うノア・キャナリィ(自由な金糸雀・h01029)が悩まし気に首を傾けているのは、この駅構内が広大で複雑になっているから……ではなく。
「……どれも美味しそうで迷う」
 どの駅弁を購入するか、であった。
 古妖の妖力によって、古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮と化した万世橋駅であるが。
 同時に、古今東西の駅弁屋も取り込んでしまったのだという。
 そして敵は、EDENは駅弁に気を取られずに迷宮を難なく攻略すると思って罠を張っているというので。
 ならば駅弁を美味しくいただき、一般人と思わせよう! というのが、今回の作戦なのだが。
 無限駅弁屋に並ぶ無限駅弁を見れば、ノアはきょろりと目移りしてしまって。
「うーん、贅沢にいくなら海鮮丼……いやでも正直おこさま駅弁も気になる……」
 そう口にすれば、ハッとして一応続ける。
「お子様じゃないですけど。お子様じゃないんですけどね?」
 お子様ではないのです、ええ。
 しかし、ちらりと視線を向ければ、こうも思うのだ。
「年齢問わずらしいし、こういう時くらい……でもなぁ……」
 お子様じゃないけれどいいじゃないという気持ちと、ささやかなプライドの狭間で、散々揺れ動きまくった彼の心だが。
 こういう時の一番の解決法にノアは落ち着くのだった
「……両方買います」
 とはいえ、おこさま駅弁の方はお持ち帰りに。
「家に|妹《姉》がいるので」
 ……|妹《姉》のためだと思えばおかしくない、よし、と。
 今日だけ妹ということにした姉がいるからと、無理矢理自分を納得させて両方の駅弁をノアは購入した後。
 飲み物にとストレートのアイスティーを買って、駅舎内に用意されたテーブル席へ。
 そしてぱかりと海鮮丼の駅弁のふたを開けば、一口一口を噛み締めるようにゆっくりといただくことに。
 味が美味しいのは勿論のこと、零れ落ちそうな海鮮たちの見映えもつややかで色鮮やかで。
(「すぐに食べ終わっちゃうのは勿体無いから」)
 それから贅沢な味わいに、ほっこり幸せを感じていれば。
 見つけたのは、駅弁を補充しにきたヒヨコさん。
 海鮮丼に舌鼓を打つ自分のことは、完全に一般人だと思っているようだから。
『――っ、!?』
 ノアがそっと展開するのは、柔い光を放つ夢蛍。
 これもお仕事だから――浄化の破魔の光球で攻撃を。
 可愛いヒヨコさんへとふわふわゆうらり、痛くないように優しく――と。

空廼・皓
白椛・氷菜

 王劍戦争の発令より、ついに開始された戦争。
 そして「無限の駅舎迷宮」へと変えられた旧万世橋駅の遺構も戦場と化して。
 古今東西の駅舎が取り込まれた万世橋駅構内では、同時に駅弁屋も無限に増殖してしまったというのだ。
 というわけで全国津々浦々、駅弁も様々な種類が並んでいるとの話だが。
 空廼・皓(春の歌・h04840)は尻尾をゆうらり、こてんと首を傾けつつも、白椛・氷菜(雪涙・h04711)に訊ねる。
「氷菜氷菜。駅弁って電車で遠くにおでかけしないと買えないもの、だよね?」
 氷菜も、駅弁なのね……とくるりと周囲を見回しながらも、皓へと返す。
「……えと……ご当地だとそうかもだけど。お出掛けする時に良いお弁当、でもあるのかも」
 そんなお出かけの際に食べるお弁当、駅弁であるが。
 今回の作戦は、まずは駅弁を買って、美味しくいただくことなのだという。
 それは、迷宮内にいる敵を欺くため。
「駅弁食べたら油断、する……なんておとく……」
「……まあ、ヒヨコだし」
 EDENがまさか駅弁を満喫するなんて思っていない、敵のヒヨコの油断を誘うためである。
 そんなヒヨコはまだいないから置いておいて。
 氷菜は改めて、無限売店の無限駅弁を見回してみて。
「……流石無限、沢山あるわね」
「こんなにあったら電車の時間までに選ぶの、大変そう……だね」
 全部見て回ろうとしたらそれこそ無限にかかりそうな膨大な数のご当地駅弁に、ふたりも目移りしちゃうけれど。
「氷菜は何に、する? いくら……しゃけ……お魚おいしそう」
 皓がお耳をぴこぴこ見つめるのは、海の幸系の駅弁。
「ん-、どうしようかな……」
 美味しそうな駅弁がいっぱいだけれど、氷菜が悩ましく思うのは、気になっても、食べ切れるかなぁというお腹のキャパシティもだし。
「あれ釜? 容器面白い」
「……あっちにお菓子もある。更に悩むわ」
 やはり、見れば見るほど、気になっちゃうものも増えてしまうのだけれど。
 氷菜が、サンドイッチが良いかな、なんてそう思った時。
「晧は決まった?」
「えぇと……駅に迷う前、に……弁当迷子……」
 作戦的には迷子上等なのであるが、駅で迷う前に、駅弁迷子になっちゃっています。
 そんな迷子状態に途方に暮れたのか、しょぼんと垂れてしまった皓の尻尾であったのだけれど。
 ふとある駅弁を見つければ再び、ぴんっ。
「あっ! あれ、電車のカタチ、してる……!」
 それは心擽る、電車の入れ物に入った駅弁!
 それをじいと皓は見つめてみるのだけれど。
「おこさま駅弁……おこさまじゃ、なくてもいいん、だよね?」
 そうこてりと氷菜見て首傾げ、訊いてみれば。
「ボリューム的にも、大人が食べても良いと思うわよ」
 年齢制限などもないし、おかずもなかなか豊富なようだから、氷菜もこくりと頷いて返した後。
「氷菜は?」
「私はハムサンドと卵サンド」
「ほうほう……足りる?」
「ん? 足りるわよ。あと、マフィンを買うの」
 逆に訊かれれば、決めた購入品を告げる。
 量的にも食べられそうなサンドイッチと、あとは甘いものも忘れずに。
 そして食後のデザートといえば、皓も。
「あっみかん……冷たっ」
 目についたみかんを手にしてみれば、何だか予想外にキンキンに冷たくて。
 一瞬びっくりしつつも、ふと氷菜へと目を向ける。
「これ……凍ってる! 氷菜凍らせた?」
「晧は蜜柑……それは冷凍ミカンね。凍らせて売っているのよ」
「……元々? 面白いコレも買う」
 母譲りの雪女としての特性が強い彼女が、もしかして凍らせたのかとも思ったのだけれど。
 それは冷凍ミカン。最初から凍っているなんてちょっぴり興味がわいて、皓は追加で一緒に購入を決めれば。
 設置してあるベンチに並んで座って、駅弁を広げて……ふたりで一緒に、いただきます。
 それぞれ、まずはひとくち、はむりと口に運んでみれば。
「ハムサンド美味しい……」
「唐揚げおいしい」
 ふたりでその美味しさに頷き合えば。
「氷菜もどれか食べる?」
「ケチャップライスが一口欲しいかな。晧もどれか食べる?」
「卵かマフィン?」
 今度はお互い、お裾分けの交換こ。
 それから、お茶と一緒にマフィンもぱくり、それも氷菜がお裾分けすれば。
 皓も凍ったみかんをしゃりしゃり、一房差出して。
「おいしい、よ」
 お互い分けあいこして、はむはむもぐもぐ。
 ふたりで一緒に食べたり分け合いこする駅弁は、何故だかとても。
「……ん、どれも美味しい」
 不思議といつもより、美味しい気がする。

ルミ・マエンパー
サミ・マエンパー

 現在、王劍を掌握した簒奪者の大侵攻から√EDENを守る戦争の真っ只中であり。
 訪れた旧万世橋駅の遺構は、古妖の手により「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまっているのだという。
 それと同時に、古今東西の駅舎が取り込まれたこの場に現れたのは、無限駅弁売り場。
 そして、派遣された悪の組織の傭兵怪人はこの無限駅舎に罠を仕掛けたというのだ。
 駅弁に気を取られることなどなく、無限迷宮を難なく突破してくるだろうEDEN達を。
 だが、サミ・マエンパー(機械仕掛けの凶剣・h07254)とルミ・マエンパー(永久の歌姫・h07251)は、そう思い込んでいる敵――ベンジャミン・バーニングバードとやらの予想に、揃って飽きれたように首を微か横に振る。
「あのなぁ……√能力者はそんな立派なもんじゃねぇぞ……所詮はヒヨコか……」
「EDEN は駅弁如きで釣られないとか…所詮はヒヨコの発想ですわね」
 無限駅舎となったと同時に、駅弁売り場も無限になり、沢山の数の駅弁がずらり並んでいるのを見れば。
 EDENだって美味しそうで食べたいと普通に思うし、何より、腹が減っては戦だってできません!
 ということで、ふたりは敵を油断させるべく、いざ駅弁を選ぶべく無限駅弁売り場へと向かいながらも密かに思う。
(「とにかく、ルミが誘ってくれたイベントだ、断る訳にはいかねぇな」)
(「これはお兄様と一緒にお弁当を食べる千載一遇のチャンスですわ❤️」)
 というわけで、うっきうきで。
「……沢山ありますわね、お兄様はどれになさいます?」
 何気にそう訊きながらもルミは、駅弁だけでなく兄もさりげなくガン見して。
 やたら種類が豊富な無限駅弁をサミも悩まし気にぐるりと見回せば。
「レパートリーだけは無駄に多いな……俺はなん」
 そこまで言った瞬間、ふと目に飛び込んできたのは。
「ん? トリプルカツサンド? トンカツ、チキンカツ、メンチカツ……決まりだな」
 ボリュームもあって食べやすい、トリプルカツサンド!
 そんなどれにするか決定した兄と同時に、ルミも見つけるのだった。
「フィッシュフライサンド? 白身魚のフライに加えてサーモンと……マグロ?」
 というわけで、目に留まったフィッシュフライサンドをその手に取れば。
「これとアイスレモンティーをお願いしますわ」
 飲み物もばっちり一緒に買って、購入完了です!
 それからふたり並んでベンチに座って、買ったものを美味しくいただくことに。
 いえ……口に運んでみたフィッシュフライサンドも、とても美味しいし。
「外でお兄様と二人で食事もいいですわね♪」
 そう紡ぎつつ、やはりサミを野獣の如き目でガン見するルミ。
 そんな、自分をギラギラ肉食感溢れる目で見つめる妹に、サミはふと視線を返して。
「やはり肉はいいな、?」
 肉々しいトリプルカツサンドを頬張りながらも刹那気づく。
「ルミ、口元に何かついてるぞ」
 眼前の彼女の口元に、パンくずが付いていることに。
 だから、ふいにその手を伸ばして、さりげなくルミの口元のパンくずをそっと取ってあげれば。
 大好きな兄の不意打ちな指の感触に、ルミは思わず瞳を大きく見開いてしまいつつ。
「な、何でもありませんわ!」
 慌てて誤魔化すように言いながらも、フィッシュフライサンドをはむり。
 色々な意味で、とても美味しいです……!

シーネ・クガハラ

 やって来たのは、旧万世橋駅の遺構。
 いや、今やこの場所は、古妖によって変えられた「無限の駅舎迷宮」という戦場であって。
 万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込むと同時に、全国の駅弁屋をも取り込んでしまったのだ。
 そんな、無限駅弁屋が出現する駅舎内で。
「駅弁、いいよねー」
 こくりとひとつ頷きながらも紡ぐのは、シーネ・クガハラ(魑魅魍魎自在の夢幻泡影・h01340)。
 弁当と言えば、コンビニであったり街のお弁当屋であったり、手軽に買えるものでもあるが。
 それが、駅弁となれば、また話は別だ。
「あれだけ特別感のある、お弁当って言うのも珍しいよ」
 旅の最初の楽しみと言っても過言ではないだろう。
 内容も、少し豪華なものであったり、その地でしか買えないレアなご当地のもの、物珍しい趣向が凝らされたもの等々。
 買えばわくわく、食べれば美味しい、何だか非日常的な特別感。
 そして、改めてずらりと無限に並ぶ駅弁を見れば。
「それが無限にあるって言うなら、食べない手はないよねー」
 それに此処は今、駅舎迷宮と化してはいるのだけれど。
(「大きな駅なんて普通に歩いても迷うのだから駅弁を食べつつ、ゆったりと攻略しよっか」)
 作戦的には迷ってなんぼ、まさかEDENが駅で迷ったり駅弁を堪能しているなんて、敵は思ってもいないようだから。
 それを逆手に取って、油断している敵を攻撃し、迷宮を攻略する算段である。
 というわけで、駅弁なのであるのだけれど。
「とはいえ病室に居た時期が長いから、あんまり駅弁に詳しくないのだよねー」
 だから、近くにいる人にお勧めとかを聞いてみたいって、そう思ったのだけれど。
 皆、無限にある駅弁を前に、どれにするか決められず悩みまくっているようで。
「フギンとムニンに選んでもらおっか? 情報を集めるのが得意な貴方達なら、こういう物を選ぶのに最適だろうからねー」
 名前を刻んだスケッチから飛び出した二羽のお喋りカラスに色々調べて貰えば。
 一番人気の駅弁はどうやら、牛そぼろと牛肉煮をのせたご当地牛肉駅弁らしい。
 そして駅弁を選んでいたシーネは、ふと見つける。
 牛肉駅弁……ではなく、駅弁の在庫チェックをしにきたらしいベンジャミン・バーニングバードを。
 だが、駅弁屋で駅弁を買っている自分を、ヒヨコはまさか√能力者だとは思っていないようだから。
「貴方の力、使わせてもらうねー」
『え? なっ、まさか√能力者……うわ、まぶしい!? うぎゃあ!』
 刹那、炎が放つ光を鏡の破片で反射してヒヨコ目をくらましつつ。
 駅弁も早く食べたいから、衝撃で何度も砕けては乱れ飛ぶ鏡の破片で容赦なく攻撃していきます!

夜鷹・芥
雨夜・氷月
咲樂・祝光
戀ヶ仲・くるり
降葩・璃緒
千木良・玖音

 邪悪な古妖達がその妖力で「無限の駅舎迷宮」に変えてしまったという、旧万世橋駅の遺構。
 万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮は、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成なのだという。
 その話を聞いただけで、戀ヶ仲・くるり(Rolling days・h01025)はふるりと首を横に振る。
「普通の駅でも迷子になるのに迷宮とか詰みですが!?」
 いや、無限になったのは何も、駅舎だけではない。
 古今東西の駅弁屋まで取り込んだ、無限駅弁グルメ迷宮となってしまったのです……!
 咲樂・祝光(曙光・h07945)はそんな無限に増殖している駅弁屋を目にしつつも紡ぐ。
「駅弁かぁ。あまり電車には乗ったことがなくてね、駅弁というのにも馴染みがなくて楽しみにしていたんだ」
 確かに、電車で遠出することがない人にとっては、駅弁は無縁だろうし。
 くるりと視線を巡らせ、祝光は首を傾けつつ続ける。
「それにしても、駅ってこんな複雑だったんだな。電車に乗る人達も大変だ……」
 ……俺は目当ての場所に行ける気がしないけど、それもまた旅かな、なんて。
 駅で迷子になっちゃうのもまた、旅なのです……!?
 そんな一見すると哲学的な風に聞こえるかもしれない祝光の言葉に。
「祝光さん……ふつうの駅はこんな広くないです……!」 
 きちんとツッコミを入れるくるり。
 けれど、駅に馴染みが薄いのは祝光だけではなくて。
「駅ってこういう所なんですね? いろんな名前がいっぱい並んで書いてあるです……」
 千木良・玖音(九契・h01131)も、ぱちりと瞬かせた瞳できょろきょろ。
「お店もいっぱいで道もいっぱい……? これは迷うですなの…」
 何て言ったって色々無限ですから、今の万世橋駅は。
 いや、駅に不慣れな面々だけでなく、降葩・璃緒(花ひらり・h07233)や雨夜・氷月(壊月・h00493)も、複雑に迷宮化した駅舎を見渡して。
「想像してたよりもすごい迷路なんだよ……! これはみんな迷っても仕方ないよね」
「うーん、これは確かに逸れたら合流できなさそう」
「此れは規格外。迷子案内は得意な方だがお手上げだ」
 夜鷹・芥(stray・h00864)はそれから、これからの作戦を口にするのだった。
「迷いながら駅弁探しに行こう」
 そう、EDENは迷宮で迷わないし、駅弁に目もくれずに迷宮を突破するだろうと、敵のヒヨコは思っているようだ。
 なのでその思い込みを逆手に取り、駅弁を美味しくいただいていれば、一般人と思い込んで油断するだろう。
 そこをついて倒す……というのが、今回の作戦ということで。
 くるりは改めて、無限駅舎を見遣った後。
「駅弁食べてたら敵が油断するなら……はぐれず楽しみたい!」
 ――玖音ちゃーん! 璃緒ちゃーん! 先輩と手、繋いでぇ!?
 後輩たちに手を差し伸べて、迷子防止のヘルプ!
「くるり先輩勿論なんだよっ。繋ご繋ご」
 璃緒はそんなくるりの右手を、玖音は左手をぎゅっと握って。
「わぁい両手にやさしくてかわいい後輩〜!」
 くるりはまさに両手に花、これでばっちり逸れません!
 そして氷月は、手を繋ぐ女性陣を見て。
「咲樂と芥も手繋いどく?」
 そう悪戯っぽく首を傾けつつ、ほら、と手を差し出してみるのだけれど。
「仕方ないな、氷月が不安なら繋ぐか?」
「あ、意外とイケるんだ」
 芥の悪戯返しの言葉に、氷月は笑って。
 そんなじゃれるようなふたりのやりとりに、ぱちりと瞳を瞬かせる祝光。
「……? 芥と氷月と手を繋ぐの?」
 氷月はそんな声を聞けば、うんうんと大きく頷いてみせて。
「そうそう、迷宮抜けられなくて苛々して。うっかりどこか爆破しちゃいそうで不安なんだ!」
「まぁいいけど……」
 なんでだろうと祝光は首を傾げながらも、こくりと了承する。
 でも、ふと見れば、女性陣も手を繋いでいて。
「くるりや玖音、璃緒も手を繋ぐのか。仲が良くて微笑ましいね」
 そう芥と氷月と手を繋がんとする祝光に、くるりは瞳を見開いて。
「えっ男性陣も? 写真撮っていいですか?」
 思わずスマートフォンを取り出して、男性陣が仲良くお手を繋ぐさまを連射するつもりです!
 そんな思わぬ展開に、芥は思わず苦笑して。
「なー、祝光。冗談であってくれ」
「嘘、冗談だよ?」
 愉快犯である氷月も笑いながらそう言うのだけれど。
「男性陣も繋ぐの?逸れたら大変だもんね!」
 そう璃緒に言われれば……繋ぐしか、もうありません??
 そして女性陣の期待の眼差しに負けて、何故かそっと一度繋いでみれば。
「おにいさんたちも繋いでるです。これならきっとみんなはぐれないの!」
 激写するシャッター音がすかさず響く中、玖音もそうにこにこ。
 みんなおてて繋いで、いざ出発です!?
 そして自分で始めた物語とはいえ、さすがにすぐに、さり気なく男性陣で繋いだ手は外しはしつつも。
 氷月は改めて、無限駅弁屋に並ぶご当地駅弁を見遣って。
「ご当地系は食べに行くの手間だし色々気にはなるね。とは言え、流石に選択肢多すぎて選ぶの大変」
 ……食えはするし気になるの全部買っても良いんだけど、なんて首を傾けるのだけれど。
 それにしても、全国津々浦々の駅弁まで集結してしまったのだ、その数は半端なくて。
 そこかしこから漂ってくる美味しそうな匂いに、くるりも瞳をキラキラ。
「駅弁すごーい! いい匂い!」
「お弁当も種類がたくさんでぐるぐる迷っちゃうです……」
 玖音はそう、駅弁選びの迷子になっちゃいそうで。
 璃緒も何を食べるか、決めていたはずなのに。
「うう、最初は海鮮……と思ってたけど、いざ見ると悩んじゃうんだよ!」
 海鮮もだけれど、お肉も美味しそう……釜めしも捨てがたいし……と軽率に揺らいでしまって。
 芥も同じく、悩んでしまうのだけれど。
「牛タン……いや牛すき焼き……いや、押し寿司も……」
 もういっそ、決められないのならば、これしかありません?
「……全部いくか」
 悩んでしまうのは、その数の膨大さも勿論なのだけれど。
 芥は改めて、駅弁ひとつひとつを見つめてみて。
「コンビニ弁当とは違ってさすが豪華だな」
 皆が気になっているものも覗いてみようと思いつつも。
 ふと、ある駅弁が目につく。
「なぞもの駅弁展開してたのか」
「あっなぞものキャラ弁……ね、これかわいいよねぇ!」
 くるりの言葉に、玖音も一緒に目を向けてみれば。
「キャラ……べん? わ、なぞものさんのお顔になってるの……! すごいです!」
 なぞものが車掌さんになっているパッケージのキュートな駅弁に、瞳を輝かせて。
 他にもと眺めてみれば、珍しかったり、面白いものも沢山。
「入れ物もいろんなのあるですね!」
 よく見れば、タコ壺に入ったものだったり、牛の顔のカタチであったり、笹の葉でくるんであったり等々、お弁当箱もパッケージも色々で。
 だから余計に迷っちゃうけれど……ふと目に飛び込んできた駅弁を、玖音はそっと手に取ってみる。
「わ、これなんだかお花みたい……!」
 まんまる可愛いお花が詰まっているような、手まり寿司の駅弁を見つけて。
「お、千木良のやつもカワイイね」
「わぁ、玖音さんの手毬寿司綺麗だねっ」
「玖音の手毬寿司華やか。良いの見つけたな」
 氷月や璃緒、芥の声に、こくりと頷きつつもほわほわ。
「一個ずつなっててみんなにあげれるですね!」
 そして祝光も、駅弁は食べたことがないのだけれど、ご当地のものがずらり並んでいるのを見れば心躍って。
「俺は旅先でその土地の名物なんかを食べるのが好きなんだ」
 牛タンも豚カツも……イカめしもいいな、なんて口にしながらも。
 手にしたのは、電車の容器に入った「おこさま駅弁」……?
 そんな彼の選択に、璃緒は意外そうに瞳をぱちくり。
「祝光さんは可愛いのを買うんだねぇ……」
「この電車のはミコト用だ」
「……あ、ミコトちゃんの! なるほど、それは大事なんだよ」
 でも、もふもふでふくよかな食いしん坊の子のだと聞けば、うんうんと納得して。
 ミコトのおこさま駅弁をしっかり確保した後、他の駅弁にも手を伸ばす祝光。
「気になるのは全部買っていこう」
 折角なので、やはり欲張りたいところ!
 玖音も、皆が選んでいる駅弁を眺めていれば、思わずおなかが鳴りそうで。
「みんなが選んだのもどれも美味しそうで……お腹がすく匂いなの……」
「芥さんの持ってるやついいな、祝光さんのも……璃緒ちゃんのも……え、選べない!」
 くるりもすっかり、駅弁選びの迷子に。
 そんな様子に氷月は笑って。
「何くるり、そんな色々食べたいの」
 くるりは大きく頷いて返しながらも口にするのは、こんな作戦!
「はい、食べたいやつばっかですよぉ……みんなでシェアしませんか!」
 芥は勿論、そんなくるりの欲張りさん大作戦に、早速乗って。
「種類買って色々全員で摘まんだ方が楽しそうじゃねぇ? ご当地系なら旅気分も味わえるし」
 やったぁ! と声を上げるくるりに、祝光も駅弁をいくつも手にしつつ頷けば。
「シェアも醍醐味かな」
「あ、ボクもシェアしたいですっ」
 璃緒も当然、バッと挙手!
「お、シェアいいね。んじゃ、皆存分に選びなよ」
「氷月さんは意外と大食いさん?」
 璃緒はそう言う氷月に目を向けて、こてりと小さく首を傾けるも。
 ふふ、と笑みとともに氷月はこう返しておく。
 ……大食いかどうか? お楽しみに! って。
 それから、皆でシェアするならと、それに合わせた駅弁選びを。
「俺も一個、カニ寿司あたり選んでおこうかな」
 そして悩みつつも初志貫徹、海鮮丼を選んだ璃緒へと、芥はこう持ち掛ければ。
「璃緒、悩んでたなら俺の肉とシェアするか?」
「良いの? じゃあボクの海鮮をどうぞなんだよ!」
 交渉成立、肉と海鮮、両方楽しんじゃいます!
 それから、美味しそうな駅弁を見遣りながらも、ふと呟きを落とせば。
「普段食わないし食い溜めしとこう」
「芥さんは普段から食べてください」
 そんな芥に、くるりはびしっと言って聞かせるのだけれど。
「ぐ……善処はする。じゃあくるりが弁当作って」
「え? 萬花でお昼作ります……?」
 出張萬花お弁当屋さんが誕生……?
「芥はくるりお手製のお弁当を作ってもらうのか。それはいい」
「芥さんはくるり先輩が作ってくれるなら安心だね」
 祝光と璃緒も、うんうんと頷いてほっこり。
 それから、あれもこれも、と皆で駅弁選びの迷子になりまくりながらも。
 ようやくそれぞれ駅弁を購入すれば、用意されているテーブルにずらり並べてみて。
「並べて見るとだいぶ買ったね。んじゃ、イタダキマース」
「それじゃ、いただきます」
「へへ、いただきまーすっ」
「いただきまーす!」
 皆で手を合わせて、お待ちかねの――いただきます!
 自分が気になったものは勿論、他の皆が買ったものとわいわい交換こ。
 駅弁に馴染みのなかった祝光と玖音も、美味しく楽しく駅弁を味わって。
「皆で食べると美味しいな」
「えへへ、みんなでいろんなの分けっこして食べるのも楽しいです!」
 ちょっぴり張り切っちゃって買いすぎたかも……なんて思う量になっちゃったのだけれど。
「これ、他に食べるヒトいない? 食べきっちゃうよ」
「えっ氷月さん……その量、どこに入って……!?」
 それこそ無限にはむはむ食べていく氷月の胃袋に、くるりはびっくり。
 そして芥も、机いっぱいに広げた駅弁を皆と一緒に口に運びながら。
 ヒヨコが遠くからやって来るのを横目に、腹拵えをまずは万全に。
 駅弁を存分に満喫している自分達が√能力者だと全然気づいていないヒヨコも、食べ終わったらちゃんと皆でぼこります!

ラデュレ・ディア
花途・過日
夕星・ツィリ
熊・蕾蓮
ココ・ロロ

 皆で訪れたのは、旧万世橋駅の遺構。
 だが此処は今、古妖によって「無限の駅舎迷宮」へと変えられてしまって。
 万世橋駅のみならず、古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮となってしまったのだという。
 それと同時になんと、全国の駅舎の駅弁屋さんも、この駅舎迷宮に取り込まれてしまいました……!
 そしてこの迷宮にいる敵を欺くための、今回の作戦とは。
「わ~い! みんなでおべんと!」
 もふもふ尻尾をゆらゆら、はしゃぐようにココ・ロロ(よだまり・h09066)が言うように、お弁当大作戦なのです!
 でも、お弁当はお弁当でも、普通のお弁当ではなくて。
「駅弁……! 様々なお弁当を味わえるのですね」
「駅弁アルか……! ご飯がお弁当になるとワクワク度UPするのは何故アルか」
 迷宮化と一緒に無限に増殖してしまったという、駅弁屋さんに並ぶ駅弁。
 ラデュレ・ディア(迷走Fable・h07529)と熊・蕾蓮(熊猫獣人の|鉄拳格闘者《エアガイツ》・h08184)も、沢山の駅弁に勿論わくわくで。
「お弁当はどんな時でも美味しいけど、みんなで食べるともっと美味しいよね!」
 夕星・ツィリ(星想・h08667)はそんな駅弁を皆で食べるのがとても楽しみ。
 というわけでいざ、ラデュレは並ぶ駅弁たちへと目を向けてみるも。
「聞いたことがあるもの、ないもの。どれも美味しそうで迷ってしまうのです」
 何せ、古今東西の駅舎の駅弁屋が取り込まれてるのだから、その種類は星の数のよう。
 けれど、花途・過日(かいがらの|ゆめ《Regret》・h09026)は、早速ふらりと。
「……おいしそうな匂いが、あちこちからする」
 美味しそうな匂いを辿って購入したのは、焼きシャケ弁当とカツサンド。
 そして次は、甘い香りに誘われて。ついついおやつまで買ってしまいました。
 そんな過日に続いて、ラデュレも購入する駅弁を決定!
「わたくしはこの、押し寿司にいたしましょう」
 中身の見本を見てみれば、心擽るサイズ感で。
「ひとくちサイズで可愛らしい……! お寿司、食べてみたかったのです」
 皆で分けられるよう、ふたつお買い上げ。
 そして、蕾蓮が眺めるのは、やはり。
「ワタシは中華系お弁当が気になるネ」
 中華系といっても、色々な種類があるのだけれど。
 その中で選んだのは、人気も高いこれ。
「この焼売弁当に決めたアル!」
 ツィリも、ふたつの駅弁を交互に見つめて、にらめっこ。
「鶏そぼろと海鮮どっちにしようかな」
 甘辛い鶏に玉子が鮮やかな鶏そぼろか、こぼれるように新鮮な海の幸いっぱいの海鮮か。
 それはなかなか究極の選択であったのだけれど。
 ツィリはこくりと頷いて、決断を。
「うん、決めたここは鶏そぼろで! あとはこの厚焼き玉子も一緒に!」
 鶏そぼろに、ふっくら玉子焼きも添えて。
 そしてココも、買うものを決めたのだけれど。
「ココはおこさまえきべんとひとくちフルーツサンド、かっこよおべんとばこはおかし入れにするのです!」
「弁当箱をお菓子入れに……ココ天才アル?」
 蕾蓮にそう言われれば、ちょっぴり得意気に尻尾をゆらりらしちゃう。
 けれど、ココにはちょっぴり欲張っちゃう量になってしまうから。
「でもまだたくさんたべられないからみんなとたべる~」
 一緒に食べたくて、皆に訊ねてみる。
「みんなのすきなフルーツなんでしょう?」
 そんなココの問いにまず答えたのは、ラデュレとツィリ。
「わたくしはベリーでしょうか。イチゴもブルーベリーも、甘酸っぱくて大好きなのです」
「フルーツは桃が好きかなぁあと苺と葡萄!」
 それを聞いて、蕾蓮は微笑まし気に笑み宿して。
「んふー、ラーレとツィリの苺お揃いは素敵な発見アルね」
「わ、ココもいちごだいすき!」
「苺すきなの一緒だね。フルーツサンド貰ってもいいの? ありがとう」
 ツィリはやっぱり同じ苺好き仲間だというココに、礼を告げれば。
「フルーツサンド……いっしょに食べていいのか? おれはりんごが好きだな」
「果物は何でも好きアルがパイナップルが甘酸っぱくて特に好きヨ」
 過日と蕾蓮も、好きなフルーツをそれぞれ口にして。
「モモとベリーとりんごとパイナップルも!」
「ベリー系も林檎もパイナップルも美味しいよね!」
 ツィリの言葉に頷きながらも、ココはきょろりと視線を巡らせてみれば。
「えっとね~……わ~い!ぜんぶあったー!」
 皆の好きなフルーツのサンドイッチ、全部ありました!
 というわけで、それぞれが駅弁を購入し終われば、テーブルにずらりと並べてみて。
「こうして出揃うと本当にお見事なのです」
 ラデュレはわくわくしながらも、皆と一緒に、いただきます!
 ぱかりとふたを開ければ、蕾蓮も思わず嬉々と声を上げて。
「おお、焼売ミチミチに詰まってるアルヨ……太っ腹ネ」
「えへへ、すきなのどうぞ!」
 ココは皆に自分の買ったものを差し出して続ける――おかずこうかんなのです、って。
 それを聞いたツィリは、こくりと頷いて。
「そっかおかず交換したら他の美味しい物も食べられるもんね」
 ――ナイスアイデア! なんて、ココの声に勿論乗って。
「ひゃ~皆からいいニオイするアル。全部美味しそう、思てたから交換は渡りに船ネ」
「交換こ、大歓迎です」
 蕾蓮とラデュレも、自分の駅弁をお裾分け!
「わたくしの押し寿司も、どうぞ!」
「焼売も沢山あるから持ってくヨロシ!」
 押し寿司も焼売も、皆でわけるのに最適なサイズ感だし。
「押し寿司も焼売も気になってたから嬉しい。私の厚焼き玉子もどうぞ!」
「押し寿司に厚焼玉子も遠慮なく頂くアル」
 ツィリの玉子焼きを、蕾蓮もぱくり。
「おしずしとあつやきたまごとしゅーまい……? わあ~、どれもたべたことない…!ココもたべる~!」
「厚焼き玉子に押し寿司、焼売というものも、全部いい匂い」
 ココと過日も、皆のおかずのお裾分けに、一緒にお耳をぴこり。
 過日は交換こはしてくれた皆にお礼を伝えてから、はむりと食べてみれば。
 ふわりと口に広がるいっぱいの美味しさに、ほわほわ。
 ……初めて食べるおかずたちに頬が落ちそうだ、って。
 そしてラデュレも勿論美味しく駅弁を交換こしながらいただきつつ、改めてこう思う。
「皆さまと食べるお弁当は、こんなにも美味しいのですね」
「みんなで「おいしい」を分け合うから、もっともっとおいしく感じるんだろうな」
 過日もこくり頷きながら、味わうようにはむはむ。
 けれど刹那、ハッとして。
「……しまった。交換をするのに、おいしくて自分のお弁当を全部食べてしまっていた」
 焼きシャケ弁当もカツサンドも、美味しくてぺろりと食べちゃいました。
 それに気づけば、少し不思議な毛色のくま耳をへちょり。
 まだ食べていなかった甘いおやつをそっと差し出して。
「がう……代わりにおやつの方でもいいか? 限定のカステラというものらしい」
 申し訳なさそうに皆へとそっと視線を向ける過日だけれど。
「おやつ交換も大歓迎!」
「もちろんおやつもだいかんげいですよ。カステラもだいすき……!」
 ココとツィリはむしろ、食後のデザートに大喜び。
「過日の美味しくて全部食べちゃった、は、お弁当屋がすっごく喜ぶ言葉アルよ。おやつカステラも嬉しいアル」
 蕾蓮もそう、有難くカステラをいただいて。
「桃のフルーツサンドに限定のカステラ、どっちも美味しそう……!」
「ふんわり厚焼き玉子に、ジューシーな焼売。限定カステラに、ベリーのフルーツサンド。おいしい幸せたちがたくさん……!」
 ツィリとラデュレは交換こし合って豪華になった駅弁タイムを楽しみつつ、幸せな気持ちでいっぱいに。
 そしてやっぱり、ココと蕾蓮はお耳をぴこぴこ、改めて感じるのだ。
「ふふ~、みんなでたべるのたのしいですね」
「んふーお腹いっぱいアル。皆でご飯は幸せネー」
「おいしいしあわせのわけっこで、こころもおなかもいっぱいなのです」
 美味しいおかずも、楽しい嬉しい幸せも……みんなで交換、分け合いっこ。
「今日はみんなとご一緒できて良かった!」
 ツィリもそう満面の笑顔を咲かせて、デザートもはむり。
 過日は、そんな皆のにこにこした顔を見れば、安心して。
(「すっかりしあわせでお腹いっぱいだ」)
 ご馳走様も揃って一緒に――おなかも心も、満腹の大満足。

ルスラン・ドラグノフ
リュドミーラ・ドラグノフ
瀬堀・秋沙
玖老勢・冬瑪
星宮・レオナ

 王劍戦争の発令より、秋葉原とその周辺が戦場と化した今。
 古妖の妖力によって、「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまった旧万世橋駅。
 そして無限駅舎と化すと同時に、駅弁屋も無限に増殖してしまい、全国各地のご当地駅弁が今此処に集結したのだという。
 そんな駅舎に足を踏み入れたルスラン・ドラグノフ(лезгинка・h05808)が、まず皆に提案したのは。
「腹が減っては戦はできぬと言いますし、先ずは何か食べましょう」
 そう、今は戦争真っ只中で、何気にここは戦場。まずは腹拵えから!
 お誂え向きに周囲には、これでもかと駅弁屋が無限にあるのだから、食べないなんて選択肢はありません。
 瀬堀・秋沙(都の果ての魔女っ子猫・h00416)と玖老勢・冬瑪(榊鬼・h00101)も、そんな沢山並ぶ駅弁屋へと目を向けて。
「にゃっ! 猫が住んでた島には、電車の駅がなかったからにゃ! 駅弁なんて初めてにゃ! たのしみ!」
「俺のところも、電車も無ければバスの存続も危ういくらいの田舎だもんで、駅弁は初めてだよ」
 わくわく心躍らせながらも、これが駅弁初体験。
 星宮・レオナ(復讐の隼・h01547)も、そう頻繁に食べることはないものの。
「実際に駅で駅弁買った事は片手で数える程だけど、スーパーのイベントとかでは割とあったりするよー」
 スーパーで駅弁フェアなんかはよくやっているのを見かけるから、駅弁の人気が窺える。
 ということで、近くの駅弁屋へと、とりあえず皆で入ってみれば。
 何せ全国津々浦々の駅弁が無限駅弁屋に集結しているのだ、その選択肢は半端なく多いし。
「さて、どんなものがあるのかもわからんが……皆はどんなものを食うのかや?」
 駅弁が初めてな冬瑪は、そう皆へと訊ねてみれば。
 リュドミーラ・ドラグノフ(Людмила Драгунова.・h02800)はくるりと視線を巡らせながら、こう答える。
「駅弁ね! あたしは赤いのにするわ!」
「リューダ、赤い弁当ってなんだよ。激辛系か?僕は食べないぞ」
 そんな兄の言葉に、リュドミーラはこてりと首を傾げてみせて。
「激辛系? そんなのないで……あったわ!」
 激辛系の駅弁なんてそんな――ありました!?
 いや、此処は無限駅弁グルメ駅舎なのだ、あってもおかしくは……ない?
 というわけで、赤い弁当を手にしてみたリュドミーラであるが。
「激辛駅弁! 真っ赤ね!」
 これでもかと言わんばかりに、めちゃ真っ赤です!
 それからリュドミーラは、その真っ赤な激辛駅弁をじいと見た後。
「でも辛いのは苦手だから、これはレオナさんにあげるわ!」
 さくっとレオナに押し付けました!
 いえ、レオナは絶望的な辛党故に激辛系は大好きだから、まさにうってつけ。
 リュドミーラから渡された激辛弁当は勿論ありがたく受け取ます、ええ。
 そして冬瑪はやはり、色々目移りしてしまうけれど。
「普通の幕ノ内弁当も美味そうだが、肉がたっぷり入った弁当が食いたいな!」
 探してみるのは、ボリューム満点な肉系の駅弁!
「冬瑪さんは焼肉や牛しぐれ煮とかどうです?」
 ルスランおすすめの、焼肉や牛しぐれ煮も、こってり味で食べ応え抜群。
 そしてふとひとつ駅弁を手に取れば、レオナは満を持してプッシュする。
「お勧めは加熱式容器を使ったこの牛タン弁当!!」
 駅弁と言えば、冷めても美味しい、というようなイメージがあるが。
 これであれば、ほっかほかあったかい駅弁を食べられるのだ。
 その加熱方法も単純明快。
「紐を引っ張って少し待てば暖かい弁当の出来上がり!!」
 そう、テンション高めになりながらも、同じくレオナもお肉系の駅弁を中心に買っていって。
 冬瑪は今回はそんなレオナのお勧めに従って、加熱式の牛タン弁当を買ってみることに。
 それから尻尾をゆらゆら、うきうきで秋沙が選んだのはこれ。
「猫は北の国には行ったことないから、北の海の海鮮弁当を食べるのにゃ!」
「秋沙さんも海鮮ですか。僕も蟹の身が乗った稲荷寿司にしました」
 ルスランも秋沙と同じく、海鮮系をチョイスしてみて。
 リュドミーラが選んだ駅弁は、やはり赤いのに……!?
「あたしはこの真っ赤な蟹づくし弁当にするわ!」
 赤は赤でも、激辛ではなくて、真っ赤な蟹づくしの海鮮駅弁です!
 というわけで、皆それぞれ駅弁を選び終われば。
「みんなでシェアして食べましょう」
 駅舎に用意されている席に座って、楽しく皆で分け合いっこしながらの、うきうき駅弁タイム!
 秋沙は早速ぱかりと、北の海の海鮮弁当のふたを開ければ、お耳がぴこりっ。
「いくら! うに! 本物を見るのも食べるのも初めてにゃ! おいしい!」
 はむっとひとくち頬張ってみれば、さすが北の海、蕩けるような絶品の美味しさ!
 それに、皆へと秋沙が差し出すのは。
「あ、シューマイもあるから、みんなで食べるにゃ!」
 シェアするにもぴったり、定番で人気の、名店のシューマイ。
 そして冬瑪は牛タン弁当の紐を、しゅっと引っ張ってみれば。
「おおお!? あっという間に、熱々じゃんね! レオナさん、お勧めしてくれて、ありがっさま」
「温かくなる弁当とか便利ですね」
 ルスランもぷしゅーと音を立ててあたためられている牛タン弁当を見つつも、蟹入り稲荷寿司をぱくり。
「こうしてみんなでお弁当を食べるなんて新鮮ね!」
 リュドミーラも赤い蟹づくし弁当を味わいながらも、楽しくて美味しい時間を存分に満喫します!
 それから、駅弁をひと通り味わった後。
 これでご馳走様ではありません、そう――食後のデザートも必須。
 というこで、ルスランがSNSで得た情報によれば。
「西口方面の駅弁ストアでは高級フルーツのサンドイッチが売ってるそうですよ。スイーツ弁当もあるとか」
 そしてそれを聞いたリュドミーラと秋沙も勿論、甘いものは全然別腹だから。
「フルーツのサンドイッチはデザートにいいわね! 探しに行きましょう!」
「それじゃ、西口へれっつごーにゃ!」
 いざ、高級フルーツサンドが売っているという駅の西口方面へ!
 この迷宮にはヒヨコな敵もいるとのことだが、√能力者が駅弁を楽しんだり迷子になったりしているとは思ってもいないらしいので。
 うろうろしている一般人だと思わせて、敵を油断させる作戦にもなるから。
 ルスランは、駅弁と一応敵のヒヨコを探し求め、駅構内を皆と共に彷徨う。
「案内板の通りに行けば着く……はず」
 そして冬瑪も、ルスランと共に、駅の表示板を見てみるのだが。
「そも、看板がよくわからん。U字やらL字やらで矢印が複雑過ぎる」
 ……皆と逸れたら、脱出も出来なくなりそうだ、と。
 ひとり迷子にならないように、せめてしっかりと皆と共に歩くことにして。
 西口方面という案内板を見つけたものの、こてりと大きく首を傾げてしまう秋沙。
「にゃ? 出口はAだけで何番あるにゃ? それがBとかCまであるにゃ?」
「それに乗り換えの表示も500mとかザラにあって、自動車社会に浸っとる田舎より、都会の人たちは日々よぉ歩いとるのでは……」
 冬瑪も、何だかぐるぐる看板に歩かされているような気がしつつ、そう思うのだった。
 それに、ただでさえ広いのに、さらに歩くことになるのは。
「あっちに行きたいのに、改札口で塞がれてていけないにゃ? なら、こっちは……エレベーター専用改札口!?」
 思っていた通りに進めなかったということ、駅迷うあるある!
 そして完全に、案内しているはずの色々な表示に翻弄されて、頭の中もぐーるぐる。 
「何がどうなってるにゃ!? ここはどこにゃ!」
 完全に今どこにいるかわからず、秋沙はすっかり迷子に。
 リュドミーラも、こう思わずにはいられない。
「駅の図表は分かりづらいわね! 地下で空も見えないのに方角なんて分かるわけないわ!」
 ――ひょっとしてこの矢印はあたしたちを惑わすための罠なのでは? なんて。
 それならば、やはり最後に頼りにするのは、これです!
「あたしの勘はこっちよ! たぶんあってるわ!」
 何かのフラグか、不安しかないやつ……!
 ということで、西口を目指して駅舎内を歩いていた面々であるが。
 冬瑪は先程から、こう思わずにはいられないのである。
「ところで、この道で本当に合っとるのかや?」
 そしてレオナは再び美味しそうな駅弁を見つけては、フラフラと引き寄せられつつ。
 それを繰り返していれば、案の定。
「あれ、これ迷った?」
 いや、でもフルーツサンドの情報を再度SNSで確認しているルスランもいるから――。
「ん? 北口? ナンデ?」
 何ででしょうか――辿りついたのは西口ではなく、北口?? 
 けれど、とりあえず周囲をくるりと見回してみて。
「……まぁここは落ち着いてそこの玉子サンド弁当でも……」
 玉子サンドもきっと美味しいですから、多分。
 レオナも、迷子にはなってしまったとはいえ、特に大して気にせずに。
「まぁ、皆と逸れてないなら問題無し」
 という事で、多少予定とは違ったものの――とりあえず、玉子サンドでデザートタイム。
 そして、ふと通りかかったのは、敵のヒヨコ怪人。
 だがヒヨコは、迷いまくっている皆のことは、完全に一般人だと思っているようだから。
 レオナはすぐさま変身して、エレメンタルバレット『流水一閃』でまずは援護射撃!
『え、何……ぶはっ!?』
 思い切り圧縮された水弾の爆発をもろに顔にぶつけられ、ヒヨコがあわあわしている間に。
「迷った鬱憤も込めて、特大鯨弾を発射するにゃ!」
 秋沙も、海水で出来た、巨大な抹香鯨の形をした海属性の弾で、ばっしゃーん!
 冬瑪も敵の頭に鉞を叩き付ければ、リュドミーラもヒヨコをやっつけるため紅姫の眼の視線を向けて。
 ルスランもヒヨコを氷結させるべく氷属性の弾丸を射出し、皆とともにヒヨコへと連携攻撃。
 今度こそ西口フルーツサンドチャレンジを成功させるためにも、早いところ敵を倒します!

ウィズ・ザー
鬼島・祥子
黒辻・彗
レナ・アステリウム

 話は聞いていたのだ、旧万世橋駅の遺構が「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまったことを。
 そして、万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮は、同時に、古今東西全国津々浦々の駅弁屋をも取り入れたのだという。
 そう――そんな、万世橋駅に出現した迷宮は。
「おー! まさに無限駅弁迷宮って感じだな!」
 鬼島・祥子(武装少女レティシア・h02893)の言うように、無限駅弁グルメ駅舎と化しているのである!
「駅弁迷宮か……古今東西の駅弁がここに?」
 見た目はクールに見える黒辻・彗(|黒蓮《ブラック・ロータス》・h00741)も、くるりと無限駅弁迷宮を見遣ればそわり。
 そしてウィズ・ザー(闇蜥蜴・h01379)は、嬉々とゴキゲンで人型に変化して。
「でかしたベンちゃん気ィ利くぜェ♪♪ 鬼島のお誘いに感謝だなァ」
 皆と張り切って、無限駅弁グルメ駅舎を勿論巡りまくるつもりです!
 そして、レナ・アステリウム(星の精霊・h01045)も。
「駅弁をたくさん食べられるって聞いたわ」
 そう心躍らせながらも、祥子へと視線を向けて礼を告げる。
「誘ってくれた祥子に感謝よ。とても良い人ね」
 美味しいことに誘ってくれる彼女は、絶対良い人。
 そして、そんなちょろいレナを後目に、彗が紡めば。
「こんな状況でも息抜きは大事だからね。ゆっくりしようか」
「ああ、せっかくの機会だ。戦争の腹ごなしのつもりで思いっきり満喫しようぜ!」
 腹が減っては戦もできないから、祥子は目一杯皆と一緒に、無限駅弁駅舎を堪能します!
 ということで、無限に増殖している駅弁屋へと足を運んでみて。
 彗は幕の内弁当を選びつつ、レナにも訊ねてみるのだけれど。
「それじゃあ俺は定番の幕の内弁当を一つ……レナは何が良い……」
「全部よ」
「全部。……|本気《マジ》?」
「全部食べるわ。あるだけ持ってきて」
 |本気《マジ》で、全部です!?
 いや、問題は、レナのおなかのキャパシティではなくて。
「……って、いやその、全部は流石に。予算も心許ない……うん」
 彗のお財布の中身である。
 そう言われれば、レナも渋々妥協して。
「……仕方ないわ。駅弁10個で勘弁してあげる」
 駅弁10個にしておいてくれました……!?
 そしてウィズは、財布を握る彗の肩をポン――頑張れ大黒柱、って。
「今度何か差し入れするわ」
「……ウィズさんの応援が心に染みるよ」
 彗もある意味慣れっこではある。生活費の大半が、彼女の食費に消えているのだから。
(「後でまたダンジョン潜って財宝探しかな……」)
 頑張れ、大黒柱……!
 けれどこうなったらもう、駅弁はせめて存分に楽しみたいから。
「それじゃあ、早速頂きます」
 彗は幕の内弁当に色々入っているおかずを、はむはむ。
 口に運ぶたびに、こくりと小さく頷いて。
「うん、美味しい。玉子焼きはダシが効いてるし、煮物もしっかりと味が染みてる」
 駅弁ならではな味わいを堪能しながら……これを食べて遠くまで旅行に行けたらな、なんて。
 ちょっぴりだけ楽しいい旅気分も味わうのだけれど。
「とても美味しいわ。ずっとこの迷宮を彷徨っていたいぐらいよ。お財布事情だけが最大の障害ね」
「予算は、うん」
 10個の駅弁を堪能しているレナに祥子はそれだけ返しつつも、やはりそっと彗の肩をポン。
 いや、祥子自身も食べようと思えば、沢山食べられるのだけれど。
「アタシもフードファイトならかっこめるけど、一つにしておくか」
 選りすぐりの駅弁をひとつだけ購入することにして。
「そうだな、この釜めし弁当にするか。器の形も独特で面白いし!」
 容器が釜のカタチになっている、釜めし弁当をチョイス。
 そして見目も楽しいけれど、味だって盛りだくさん。
「バランスよく詰められた色とりどりの具材に、出汁が染み込んだ米が美味いぜ!」
「祥子さんの釜めしも美味しそうだ。持ち帰りもできるのかな?」
 彗もお持ち帰り用に買ってかえりたいと思うくらい、豪華で美味しそう。
 そしてウィズが、わくわくふたを開くのは。
「弁当は、海鮮と肉系両方だァ。イクラと鮭の海鮮親子丼や柿の葉寿司は鉄板だよなァ?」
 肉も海の幸も、どっちも欲張りさん!
「ちょっとしたおつまみの、とびっこ昆布帆立は外せねェ」
「ウィズさんもすごい食べるね」
「酒は呑まんが飯に合う! ほら、乗せてみろよ」
 ウィズは彗にもそう、お勧めしつつも。
 まだまだ、これだけではありません……!
「肉は鶏と牛がメインになるがたまーに馬もあるンだよなァ。牛タン美味いンだよ。シェアでもするか?」
「肉に魚に、より取り見取りだなぁ。おお、ウィズもレナも健啖だね!」
 色々な種類の肉系の駅弁も、当然外せないし。
 祥子の声に頷くウィズもやはり。
「まだまだ余裕で食えるぜ。本当は全種類回りたく……」
 食べたいのは全部、なのです!
 それに、折角の機会なのだから。
「……可能な限り回るか! ついでに敵にも会えンだろ」
 皆でわいわい楽しく食べつつ、全力で無限駅弁グルメ駅舎巡りもしちゃいます!
 そう、そしてそういえば、ウィズが口にした敵、であるが。
 祥子は、ペットボトルのお茶を飲んで一息ついて――と。
『このへんには√能力者はいなさそうだし、駅弁の補充しなきゃなー……、って!?』
 ふと見つけたベンジャミン・バーニングバードをルートブレイカーで鷲掴みにすれば。
「420本あるから皆の援護もするぜェ♪」
「まあ蓮の花びらが良いように簒奪者をやっつけてくれると信じよう」
 √能力を封じてから、一同で袋叩きです!
 そして、レナも集中!
「私はたくさんの種類の駅弁を堪能することに集中するわ」
 現れたヒヨコさんにではなく、駅弁に。
「だって、私は本当に√能力者じゃないもの」
 とはいえ、支援が必要ならば、各属性の魔力を駆使して全力魔法でヒヨコさんの牽制も一応しようと思ってはいるのだけれど。
「でも……」
 もぐもぐ。
「駅弁を……」
 もぐもぐ。
「食べるのを……優先するわ」
 もぐもぐ、もぐもぐ。
 皆が、完全に油断していたベンジャミン・バーニングバードをぼこっている間も、駅弁を堪能しまくります!

一戸・藍
逝名井・大洋
吉住・藤蔵

 今回の現場は、旧万世橋駅の遺構。
 いや……古妖の妖力によって出現した、「無限の駅舎迷宮」。
 そして古今東西の駅舎の特徴を取り込み、同時にこの迷宮は、全国津々浦々の駅弁屋も取り込んでしまったというのだ。
 そんな無限の駅弁駅舎迷宮へと足を踏み入れ、これから吉住・藤蔵(毒蛇憑き・h01256)がおこなうことは。
(「おん。みんなで駅弁買いに来たべよ」)
 そう――駅弁です!
 折角、全国各地のご当地駅弁が食べられる機会なのだから。
「持ち寄って見せ合いっこ、楽しみだァな」
 気になる駅弁をそれぞれ買って、見せ合いこしちゃおうと。
 そわりとしつつも、でも、藤蔵はちゃんと忘れていません。
(「一応コート着て、一般人に紛れるようにするだよ」)
 駅弁を純粋に楽しむということも勿論なのだけれど、一応今回の作戦は。
「新幹線に搭乗予定の乗客を装って潜入開始ぃ!」
 逝名井・大洋(TRIGGER CHAMPLOO・h01867)の言うように、潜入調査!?
 駅弁を楽しむ一般人に扮して欺いて、敵を油断させよう! というものなのです。
 そして一戸・藍(外来種・h00772)は、さすがに50cmオーバーのボディと藍色の発色が見事な藍底過背金龍のアロワナのままだと確実に目立つので。
「私、普段はあまり電車は使わないので、こういう大きな駅は初めて来ました」
 擬人化装置で人型になって、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成だという、広いにもほどがある駅舎をくるりと見回してみつつ。
 やはり気になっちゃうのは、やっぱり。
「どの駅弁もおいしそうですね〜。迷ってしまいます」
 これでもかと無限駅弁屋に並んでいる、駅弁です!
 といいわけで、まずは3人それぞれでお買い物をすることにして、後で合流を。
 大洋は改めて、どんな駅弁があるのか、わくわく見てみれば。
「うっわめっちゃ種類あるじゃん……肉と肉……肉とカニ……どうしよ……!」
 めちゃ種類があって、めちゃ悩んだのですけれど。
 どうせならと、普段買えないような、珍しいものをチョイス。
 というわけで迷った結果、ギミック付弁当にすることに決めて。
 藍が見つけたのは、新幹線……??
 いや、年齢問わず買えるという、おこさま駅弁もとても気になったのだけれど。
「新幹線型の容器に心惹かれつつ……釜めしにしましょうかね」
 藍が選んだのは、釜めしの駅弁。
「土釜の容器が可愛いですし、具沢山で食べ応えがありそうです」
 具材も沢山で色鮮やかで、美味しそうなことは勿論なのだけれど。
 やはり見た目が可愛いと、うきうき気持ちもあがります。
「俺はそうだな……海鮮系の駅弁があったらそれを買うべよ」
 藤蔵が探してみるのは、海鮮系の駅弁。
(「海とは縁遠いからよ。やっぱり海のものは欲しくなんだ」)
 ひとことに海鮮系といっても、うにやいくらが乗った海鮮丼から、各種押し寿司、イカメシやタコメシ等々。
 種類もいっぱいなのだけれど、その中で藤蔵が手にしたのは。
「このホタテが入ってるやつなんかええな。一つくれ」
 ホタテがぎゅっと詰まった駅弁に心擽られて、それをひとつ。
 というわけで改めて、売り場からちょっと離れた待合広場に再集合すれば――お弁当公開ターイム♪
 買ったものを見せっこしながらの、食事タイムです!
 藍は、ぱかりと駅弁のふたを開いた藤蔵のホタテな駅弁に思わず声を上げて。
「おお〜、海鮮の駅弁ですか、豪華ですね~!」
「吉住さんの海の幸もおいしそうだし、藍ちゃんのメチャかわ容器でイイなぁ!」
「一戸のは釜を模したやつけ。ええな。見てるとほっこりするべよ」
 藍が手にしている釜型の容器の駅弁のかわいさに、ほこほこ。
 それから藍は今度は、大洋の駅弁へと目を向けてみれば。
「大洋さんの駅弁は……」
「ボクのはこの紐を引くと…音楽が流れて、お弁当がほかほかになる仕組みなんです!」
「えっ、温かいだけじゃなく音楽も? いろいろあるんですね~、びっくりです」
「逝名井のはおもしれえな。どういう仕組みなんだか……」
 紐が引かれれば、しゅーっと温かくなるだけでなく音楽が鳴る、大洋のギミック満載の駅弁に。
 藍と藤蔵は、揃って瞳をぱちり。
 それから藤蔵は、大きくてぷりっぷりなホタテを嬉々と頬張りながらも思う。
「見せ合いっこしながら食べるの、それはそれでピクニックみてえでええな」
「本当、ピクニックみたいで楽しいですね」
 そうこくりと頷く藍に、藤蔵はこうも続けるのだった。
 ……なんなら69課でほんとにピクニックとかしちまうけ?  なんてな、って。
 というわけで、皆で見せ合っこしながら、美味しくキャッキャと駅弁を楽しんでいれば。
 ふいに現れたのは、一応今回の標的であるヒヨコ。
 でも、駅弁をめっちゃ楽しんで食べている自分達が√能力者だとは思ってもいないようだから。
「公安69課でーす! お縄につこっか、ヒヨコちゃん!」
『!? えっ、何でこんなところに√能力者が……ぎゃっ!?』
 大洋は速攻で狙撃し、振動付与で逃亡阻止しながらも。
 大洋はヒヨコをふん捕まえつつも笑んでみせる――カモフラはボクらが一枚上手だったね、って。

和紋・蜚廉
不忍・ちるは

 ふたりやって来た旧万世橋駅は今や古妖の力で「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまっていて。
 古今東西の駅舎の特徴が取り込まれた迷宮になると同時に、各駅の駅弁屋も集結してしまったのだという。
 だから、敵を油断させるためにも、和紋・蜚廉(現世の遺骸・h07277)は早速駅弁を購入して。
 不忍・ちるは(ちるあうと・h01839)へと、それをお披露目。
 カツサンド。イカめし。焼売弁当――そんな大人買いした駅弁3種を。
 それを見て、ちるはは瞳をぱちり。
「……蜚廉さんいつもと比べて買い過ぎてません?」
 でも最初こそこてりと首を傾けてそう聞いたものの、すぐにハッとして。
「これはこれはもしや、私が美味しそうと思うものが加味されているのでは……!?」
 そう気づけば、思わずちょこりと正座し直してしまう。
 そんな彼女の様子に、蜚廉は」こくりと頷いて。
「勿論だ。ちるはの顔は分かり易い。我ばかり、食べたい物を買ってもな」
 だから――分け合える物を選ばせて貰った、と。
 そして、ちるはも駅弁を買ってきているのだけれど。
「私が買ったのはですね、じゃーん牛タンの加熱式のです」
 紐を引っ張れば、ほかほかあったかくなる加熱式の駅弁です!
「しゅーってするの面白そうだなと思いまして」
 そんなしゅーにわくわくする姿に、蜚廉もほっこり和みつつ。
「はは、その選び方もちるはらしい。火傷には気をつけるのだぞ?」
 買ってきた駅弁を並べれば、仲良く並んで一緒に――イタダキマス!
 そして駅弁の味も、勿論とても美味しいのだけれど。
 蜚廉が思った以上に心地よさを感じるのは、ふたりで並んで味を確かめ合う時間。
(「温度も匂いも違う4つを前に、旅の途中でこんな贅沢が出来るとはな」)
 ちるはも、勧められて断る選択肢は持ち合わせていないから。
「はー……おいしいはしあわせ」
 蜚廉の駅弁ももぐもぐ味わえば、ぱあぁっと幸せいっぱいの笑顔。
 半分こに分け合って、美味しそうに食べている彼女の幸せな顔を噛み締めながらも、蜚廉もほっこり一時の休息を。
 それから美味しく駅弁をふたりで堪能した後、やはり欲しくなるのは、別腹のデザート。
 そんな〆へ向かうのは自然の理だから。ふたり逸れ無いように手と手を繋いで、再び売店へ。
 そして、ちるはが気になっているデザートといえば、これです!
「車内販売もあるスゴイカタイアイス、次のお店で見かけたら買ってみましょうか」
「まるで武器になりえる固さのアレだな」
「溶けるのに数時間かかるらしいですけど……」
「ちるはといれば、溶ける時間も直ぐだろう」
 蜚廉の言葉に、ちるはもこくりと頷いて。
「お話ししてたらすぐですしね」
 おてて繋いでいざ、スゴイカタイアイスを求めて、駅弁迷路の2回戦へ!
 そして蜚廉は妙にふわり、背筋が軽い気がするのだった。
 こうやってちるはとふたり並んで歩く――ただそれだけで。

緇・カナト
八卜・邏傳

 現在戦争真っ只中で、訪れた旧万世橋駅の遺構も戦場ではあるのだけれど。
 今、この旧万世橋駅は古妖によって「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまっていて。
 古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮内には、古今東西のご当地駅弁まで集結しちゃっているという話だから。
「お弁当、お弁当〜」
「おべんといっぱーい! 見ちょんだけでわくわくしちゃうね!」
 うっきうきで駅弁迷宮に足を踏み入れたのは、緇・カナト(hellhound・h02325)と八卜・邏傳(ハトでなし・h00142)。
 いえ、腹が減っては戦はできぬ、ですから!
 そしてこれから食べてみるのは、弁当は弁当でも、駅弁。
「駅弁って列車旅行とかしないと、あんまり食べる機会ないよねぇ」
 カナトはそう言った後、邏傳へとこう訊ねてみる。
 ……邏傳君にご経験は? なんて。
 そんな問いに、邏傳が返したこたえは。
「そいえば長い時間な列車は乗ったことないかも」
 ――だから、そ! 初駅弁ちゃん♡ って。
 そして、駅弁初体験なのだと聞けば。
「初駅弁だとしたら、好きなのいっぱい見つかりますようにー」
 カナトは、邏傳の好きな駅弁探しのお手伝い。
「オレは牛タン弁当好きなんだよねぇ。あっためられるのとか」
「牛タン弁当?確かに美味そー!」
「常温でも美味しいお肉色々で〜。あと手軽に食べ易いカツサンドやがっつりトンカツ弁当も、肉系で美味しいからオススメ」
「カツサンドも惹かれちゃうんよ」
 邏傳は、うんうんっと頷きながらも、刹那カナトの言葉でハッと気が付く。
「そか! お弁当なら温か状態でなくても美味いんね」
 加熱式のものもあるのだけれど、そう、駅弁は冷めても美味しいのです!
 そんな気付きを得た邏傳に、さらにカナトはおすすめを。
「普段は魚系あんまり見ないから、そっちも覗いてみようか〜」
 何て言ったって、ご当地駅弁が今、ここには勢ぞろいしているのだから。
 邏傳の心をきゅんと掴んだのは。
「あ、海鮮丼すんごい! きらきらしちょんよ? 俺、めちゃ誘惑されちょる!」
 零れるような具材が盛られた、北の海の海鮮丼。
「タコメシ、イカメシ、アサリメシ〜。偶にはお寿司系も食べてみたいかも」
「タコイカアサリなメシも気になりつつ、あなごメシて食べたことねから食べてみたぁい」
 それに、定番の肉や海鮮の駅弁だけでなく、ちょっと珍しいものも沢山。
「おこさま駅弁のも中身も種類も豊富そう」
「電車なカタチの容れ物も面白いね♡」
 おこさまと名前がついていても大人もオッケーな「おこさま駅弁」は見た目もキュートインパクトあるし、中のおかずだって凝っていて。
 カナトは一緒に駅弁を見ていきながらも、再び訊ねてみる。
「邏傳君が気になる駅弁当は見つかったかい?」
 はたして、邏傳のはじめての駅弁は、どの駅弁に……?
 そして満を持して告げられた、ファースト駅弁は!
「いっぱい迷っちゃう。からいっぱい買っちゃっても良いよね!」
 ――カツサンドも海鮮も中華も。カナトちゃん一緒なら無問題!余裕しょ☆
 どれも美味しそうで迷っちゃうから……それなら全部の、欲張りさんに!
 それにいくら沢山買っても、カナトの胃袋への信頼は絶大だから、量の心配も問題もなし。
 ということで、わくわく気になる駅弁をあれもこれも買ってみて。
「カナトちゃん、これも美味しから食べてみてー」
 ふたりでこうやって分け合いこして食べるのもまた、余計に美味しく感じて。
 邏傳の初駅弁は――楽し嬉しで美味しなおべんとグルメ最高♡
 カナトも一緒に、お裾分けしたり味見したりしつつ。
 はむりとひとくち食べるたびに、駅弁のご当地に旅だっているような気分に。
 ――お弁当旅行みたいに楽しめたら何より、って。

花篝・桜良
鴛海・ラズリ

 新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成。
 そう、話には聞いていたのだけれど。
「すごい、駅が迷宮なの……!」
 鴛海・ラズリ(✤lapis lazuli✤・h00299)は足を踏み入れた旧万世橋駅――いや、今は「無限の駅舎迷宮」となっている光景にくるりと瞳を巡らせて。
 敵を油断させる作戦で駅弁を買いつつ迷子のフリはしなきゃいけないけれど、でも本当に迷ったら大変だけれど。
「でも今日は鼻が利くわんこも一緒だから安心」
 頼りになるのは、今日も一緒な、まんまるふわふわ白ポメラニアンの白玉。
「ラズリちゃん、白玉ちゃん。一緒にきてくれてありがとう」
 花篝・桜良(天使嗓音・h01208)はそうふたりに告げながら、わふっとご挨拶する白玉をふわふわ撫でてあげれば。
 えっへん白玉は撫で撫でされれば、尻尾をふりふり。
 そして今日は、桜良も一緒にいる子をご紹介。
「この子は、さゆりさん。いっぱい食べる子です」
 桜良の頭の上へと視線を向ければ――目をギラギラさせている、黒い翼を持った猫さんがちょこん。
 桜良曰く、好奇心旺盛で、狩りの本能が強めな猫なのだという。
 そんなさゆりさんにラズリはそっと近づいて。
「桜良の猫ちゃん……さゆりさんは初めましてだねっ。白玉とも仲良くしてくれる?」
 そう声を掛ければ、黒の翼がお返事するように微かぱたり。
 というわけで、無限駅舎に無限に増えちゃった駅弁屋に、皆で足を運んでみれば。
「駅弁悩んじゃうね。桜良とさゆりさんは気になるのあるかな?」
「白玉ちゃんもいっぱい食べる? 二匹にも、好きなお弁当が見つかるといいねえ」
「白玉はなんでも食べれる食いしん坊だよう」
 ラズリは桜良とお喋りしながらも、白玉へと目を向ける。
 そして、待ちきれなくて今もラズリの服をはむはむ甘噛みしている白玉へラズリは紡ぐ――兎は食べれませんよ、なんて。
 そんなお喋りしながら楽しく選んでいた桜良は、ふとひとつの駅弁が目について。
「このお弁当、猫のキャラ弁みたいになってる。かわいいからこれにしようかな」
「わ、猫なお弁当可愛い……!」
「ラズリちゃんは、どうする?」
「私は釜めしと……おかずの種類沢山を選びたいな」
 そうこたえて返したラズリは、ハッとする。
「あ、こっちの犬のキャラ弁も……!」
 そしてついいっぱい買っちゃうのは、こうラズリは目論んでいるから。
「ふふ、桜良と交換こしたいの」
「うんっ、交換こしよう」
 でも、交換こするのは何も、ふたりだけではなくて。
「あ、ペットのお弁当もあるよ」
「ペット用なら白玉はお魚もりもりかなあ」
 ふと、これまでは頭の上でじっとしていたさゆりが、ぐいぐいっ。
「さゆりさん、痛いよ、引っ張らないで~っ。このお肉がいっぱいの、だね」
「さゆりさんはお肉すきなんだね」
 おねだりされたペット用の駅弁を買ってあけてあげれば、再びてしてしっ。
「さゆりさんも白玉ちゃんと交換こしたいの?」
 器用にお弁当の蓋にお肉をちょこりとのせているさゆりに、桜良はこてりと首を傾けつつ。
 ラズリは瞬間、ぱちりと瞬いてしまう。
「し、白玉……!嬉しくてぐるぐる回ってる!」
 まんまるもっふりな白玉がぐるぐる……!
 わふっと嬉しそうにはしゃいでいるその姿のを見て。
 というわけで皆それぞれ、美味しい戦利品をゲットすれば。
「いただきまーす。ん~っ、おいしい」
「いただきますっ」
 桜良に続いて、買った駅弁をはむりと口に運ぶラズリ。
 そして、頬が落ちちゃいそうって思うのはきっと。
「皆で食べるとおいしいね」
 こうやって皆で一緒に過ごす今が――嬉しくて美味しくて、幸せだから。

アリエル・スチュアート
シンシア・ウォーカー

 やって来たのは、古妖によって迷宮化した旧万世橋駅。
 そして古今東西の駅舎の特徴が取り込まれて広大化すると同時に、全国各地の駅弁屋も一緒に取り込まれたようで。
 ずらりと無限に並ぶのは、さまざまな駅弁が集結した売店。
 そんな無限駅弁グルメ駅舎となった駅構内を、シンシア・ウォーカー(放浪淑女・h01919)は見回してみて。
「こうも駅弁が並ぶと壮観ですね」
 ふと目に入ったのは、人気駅弁を集めた特設コーナー。
「この辺は有名所特集? 私こういうお肉のど真ん中な物大好きで!」
 シンシアが大好きな駅弁は、さすがの一番人気で。
 早速、とても心惹かれるのだけれど。
「でもまだ先は長いです、一旦ステイ」
 折角こんなに全国の駅弁が一堂に会しているのだから、じっくり他のも見てみたいところ。
 そしてアリエル・スチュアート(片赤翼の若き女公爵・h00868)も、全国津々浦々なご当地駅弁を順に見ていって。
「えーと、米沢牛……釜めし……だるま……あら、あっちは海鮮系かしら」
「海鮮系も良いですね、こういう押し寿司なんかはいかにも駅弁感があって旅情があります」
 シンシアはその中で、ひとつの駅弁に手を伸ばす。
「私はコレにします、サーモンとえんがわの押し寿司!」
 そんなシンシアが心に決めている時、アリエルもちょっぴり気になる駅弁を見つけて。
 手にとって、改めて眺めてみたのだけれど――。
「へえ、石狩……あら、新千歳空港……? 美味しそうだけど、駅弁なのこれ?」
 ……飛行機の絵もついてるし、って。
 そう呟けば、すかさず教えてくれる、レギオンAIティターニア。
『空港版駅弁、空弁と言う奴らしいですね』
 空弁……これは果たして駅弁なのか? という疑問が生じないわけではないけれど。
「でも結構おいしそうよね、これ。蟹と鮭が載っていて……あ、こっちのはいくらもプラスされてるのねっ」
 私はこれにしておくわ、とアリエルが手にした駅弁ならぬ空弁をシンシアも見つめて。
「空弁、大変に魅力的……!」
 そうちょっぴりだけ心が揺らぎそうになるも、ここはちゃんと我慢――いや、既に心は決めたので、と。
 だが、空弁は我慢するけれど。
「でも機内食風ミニカップうどんは食べます」
 ミニだから、これはオッケーということでひとつ。
 それから無事に空弁を購入したアリエルなのだけれど。
 サービスで貰ったものをじいと見つめつつも、首を傾ける。
「所でお店の人が何故か落花生をサービスでつけてくれたんだけどなぜかしら……」
 空弁についてきたのは、落花生……?
 ……アリエルさんは何にしました? と弁当を購入した彼女に視線を向けていたシンシアも思わず瞳をぱちり。
 だって、落花生と言えば。
「め、珍しいサービス。初対面が落花生ダンジョンですし、私達何かと落花生に縁がありますね……」
「やっぱりあの時の呪いが……」
 思い出すのは、いつぞやの落花生ビーチダンジョン。
 その時のことをふたり思い返しつつ、選んだ弁当と謎のサービスで貰った落花生を手に。
「それじゃあそこのラウンジみたいな所で食べましょうか、シンシアさん」
「ともあれ美味しく頂くとしましょう! いただきまーす!」
 テーブル完備なスペースに座って、美味しそうな戦利品を並べて。
『!? ぎゃあっ!』
 のこのこやって来たベンジャミン・バーニングバードを見つければ、フェアリーズ達のミサイルと死霊たちで攻撃!
 その間にふたりは、ご当地弁当や落花生を、美味しく楽しくいただきます!

五十鈴・珠沙
浮石・尾灯

 今いるこの旧万世橋駅は、古妖の力で「無限の駅舎迷宮」に変えられているけれど。
 浮石・尾灯(ウキヨエ・妖怪・ヒーロー・h06435)は、複雑に入り組んだ駅舎内を見遣りつつも紡ぐ。
「都会の駅はどこも迷うよね」
 ……多分迷宮として作られてると思うんだ、と。
 古妖の力など関係なくても、大きな駅だと普通に迷子になってしまうことも珍しくないし。
 五十鈴・珠沙(Bell the cat・h06436)も、うんうんと先輩の声に頷きながらも、二又の尻尾をゆうらり。
「渋谷駅や池袋駅の迷い具合もすっごいと思うけど……うわあ、こんなすごい駅に一面の駅弁屋さん!」
 そう、この迷宮化している旧万世橋駅が無限になったのは駅舎だけでなく、駅弁屋も一緒に無限に増えてしまったのだ。
 珠沙はそんな迷宮内で、思うのだ。
「それはもう、迷っちゃうこと間違えなしだよね」
 迷っちゃうって言っても―― 勿論、お弁当の種類にですけれど!
 尾灯も、同意するようにこくり。
「お弁当も迷うね、なんなら僕は毎日食べる物も悩んでるよ」
 実は、結構な優柔不断……?
 ともあれ、今回の作戦は、迷宮内にいるヒヨコな敵に、一般人だと思われるようふるまうこと。
 そのためには、駅弁を楽しむ必要があるから。
「先輩は育ち盛りだからお肉かな?」
「お肉もいいんだけどね。駅弁って魚系の方が美味しい気がしてねぇ」
 早速ふたりは、どの駅弁にするかを吟味して。
 珠沙が心惹かれたのは、やはり海鮮……かと思いきや。
「珠沙さんは猫なのでやっぱりお魚が魅力的だけど、でもあの釜飯の釜もかわいいよねえ。おこさま用のお弁当のラインナップも最高」
「わ、ウニ弁当なんてのもある」
 尾灯と並んで、どうしても迷って決めきれられなそうだから。
 ふたりは顔を見合わせて、同時に告げる。
「確かに絞れないからせめて二人でシェアしようか」
「先輩、シェアしよう、シェア」
「どれにしようかなっと」
「あたし2個買っても欲しいもの全部買えない!」
 分け合いこしても、まだまだ食べたい駅弁は沢山あるのだけれども。
 尾灯が結局選んだ駅弁の焼売を、珠沙はひょいと勝手に摘まんだりもするも。
(「沢山焼売並んでるのがポイント」)
 その為に何個も有るお弁当にしたから、尾灯は気にしない。
 それに珠沙もちゃんとシェアをと、ちょこんと焼売の仲間入りをさせるのは。
「先輩にはこのタコさんウィンナーをあげるね」
「はい、タコさんウインナーありがとう」
 それから、ふたりで美味しく駅弁を食べていたのだけれど。
 やって来たのは、敵だというヒヨコ怪人。
 けれど駅弁をゆったり味わってはシェアしあうふたりのことを、一般人だと思っているみたいだから。
「親子丼にしてるやるぞー!」
「親子丼も食べたいなぁ……あ、ひよこさんに本気にされそう」
『えっ、まさかボクを!? ……って、うぎゃっ!』
 さくっと攻撃をお見舞いして、ヒヨコを追い払えば!
「まぁいいか、お弁当お弁当」
 再び珠沙は、尾灯と一緒に引き続きもぐもぐ。
 尻尾もお耳もご機嫌に大きく揺らしながら――あー、お弁当しあわせー! って。

マリー・エルデフェイ
ララ・キルシュネーテ

 古妖の妖力で、「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまった旧万世橋駅。
 そして、それと同時に。
「無限に増殖する駅弁屋さんですって」
「無限に増殖する駅弁屋さん! あれもこれも美味しそうです」
 ララ・キルシュネーテ(白虹迦楼羅・h00189)とマリー・エルデフェイ(静穏の祈り手・h03135)がうきうきと向かうのはそう、無限駅弁屋さん!
 様々な駅舎が取り込まれて迷宮化する際に、全国津々浦々の駅弁屋も一緒に取り込まれたらしい。
 だからふたり、こくりと顔を見合わせてから。
「マリー! いくわよ」
「行きましょうララさん!」
 いざ、美味しい駅弁を買いにいきます!
 そんな駅舎は今、広大な迷宮となっているのだけれど。
「駅? ララはよくわからないわ。迷子になったことなんてないの」
「迷子になったことが無いなんて、とても心強いです。今でこそ迷いにくくなりましたが、私は昔はよく迷っていたので」
「いつの間にか知らないところにいるだけで新天地を開拓したの」
 迷子にならないどころか、新天地まで開いちゃったというララ。
 そして――ほら、マリー、って。
「お前が迷子になると大変だわ。一緒に駅弁を食べられなくなるし、ね」
 小さな手を差し出してララは告げる。
「手を繋いで行きましょう」
「手を繋ぐのは名案です。ララさんはお優しいですね」
 マリーも手を伸ばして、ララと繋げば。
「そのお優しさに感謝を込めて、駅弁代は全部私がだしちゃいます!」
 今日の駅弁代は、マリーが全部持ちます!
 そんな相変わらずな資金ぶりのマリー。
 ララは改めて無限駅弁屋に並ぶ数えきれない駅弁を見回してから。
「むふふ……何から食べようかしら」
 気になる駅弁を、早速ピックアップして。
「牛すき弁当、ステーキ弁当とローストビーフ弁当は外せないし、海鮮丼もいいわ。うな重弁当もあるかもしれないの」
 勿論、こう続ける――全部買いよ、って。
 マリーも、あれもこれもと目移りしちゃうのだけれど。
「特産野菜を使ったスペシャルサラダ弁当にカツサンド、極厚卵焼きサンド。熱々担々麺にぶっかけさぬきうどん」
 でもやはり同じく、迷った時の解決方はこれ――全部買っちゃいましょう、と。
 そしてララは、うず高く積んだ駅弁を手にしながらも。
「マリーは何にしたの? あら美味しそう。それだけで足りるのかしら?」
 こてりと首を傾げて訊ねつつも。
「あっちでシートを敷いて駅弁パーティーをしましょ」
 はじめるのはそう、駅弁パーティー!
 それから早速、いただきます、と手を合わせながらも。
「駅で迷うのも悪くないわ。次はあのお弁当をおかわりよ」
 もうすでに、おかわりの計画まで立っています……?
 それからマリーは、先程ララに訊ねられたことにこたえつつ。
「足りるかって? 私的には一度で食べきれない量かもしれません」
 だから、頼れる食いしん坊なララへと、こんな提案を。
「なので、ララさん、シェアしながら食べませんか?」
 それを聞けば、花一華の双眸を細めて。
「シェア? 名案ね、マリー」
 はむりと大量の駅弁を美味しそうに難なく平らげていきながら……急ぐわよ、って。
 おかわりも勿論気の済むまで何度でも、まだまだ無限駅弁を存分に楽しむつもり。

ドクター・トーマス
インディアナポリス・ノーベンバー・サーティーン・ワン

 何せ、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成。
 旧万世橋駅の遺構が、そんな広大な「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまったというが。
 実際に現地に赴いたインディアナポリス・ノーベンバー・サーティーン・ワン(旧レリギオス・ランページ所属 11-13部隊初号・h07933)は周囲を見回してみつつ、改めて感じる。
「おー、こんなでっかい、そんでもって複雑な駅。何の対策もなかったら二度と出られへんやろな」
 ただでさえ大きな駅は普通でも迷宮のようなのに、それが迷宮化したとなれば、迷子は必至である。
 そして、古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮が生じると同時に、古今東西の駅舎の駅弁屋も無限になっているという。
 つまり、今の万世橋駅は「無限の駅舎迷宮」であると同時に。
「さあやって参りました、謎のグルメ駅舎ー!」
 ドクター・トーマス(『博士』・h07991)の言うように、無限駅弁グルメ駅舎でもあるのだ……!
 というか。
「で、無限駅弁? どういう理屈やねん、それ。飯の材料どうやって調達しとるんや?」
 インディアナポリスは思わずそうツッコミを入れるのだけれど。
 それも多分、古妖の妖力のせいなのです、多分きっと……?
 そんな無限駅弁状態の迷宮に、トーマスはふとこんなことを思う。
「これ、√ウォーゾーンに接続出来たら兵糧問題解決できへんやろか……
「気持ちは理解するけど、わしら機械周りじゃ制御難しいんとちゃう?」
「……難しいかなぁ」
 確かに、無限に駅弁が並ぶ駅弁屋を、食料が常に不足している√ウォーゾーンに繋げられたら良いのだけれど。
 やはり古妖の力が及んでいる迷宮だから、残念だがそれは無理そう。
 でもそれならと、トーマスは気を取り直して。
「ま、妖怪周りのノウハウは専門家に任せて、うちらはがっつり食らうターンや!」
「はいはい、わしも有機物をエネルギーにできる炉ぉがあるって博士トーマス言うてるし。かっ食らおうか」
 ――いくでぇインディ!
 ――はいよぉ!
 ふたりも駅弁に夢中になって迷子になっている一般人を装うべく、いざ駅弁屋へ!
 そしてトーマスは折角だから豪勢に、と。
「肉系の米もパンも仕入れるでぇ、ローストビーフやらとんかつやら豪勢になぁ!」
 そして勿論、肉系だけではありません。
「魚系も抜かりはない、新鮮な海の幸は普段食えへんレア食材やからな、海鮮も寿司も仰山買うで!」
 いえいえ、肉や魚のような定番だけでは終わりません。
「もちろんその他も忘れとらん! 特別感のある容器型も、名店自慢の中華にカレーにご当地シリーズも逃す手はないでぇ!」
 片っ端から気になった駅弁をすごい勢いで買い回って。
 いざ、それらをいただきます――ではなく。
 今食べるのは幾つかだけにして、残りはごっつあん!
 『葉月』に積載してお持ち帰りです!
 そんなトーマスに、やはりインディアナポリスは。
「山ほど買い漁っとる思たらテイクアウトかい」
 こうツッコミを入れずにはいられないのだけれど。
「まあ、|地元《√ウォーゾーン》の連中に配ったら、きっと士気爆上がりするやろうし。
(「チャンスを逃さんのは大事やろなぁ」)
 インディアナポリスはそうお持ち帰りのものを買い漁っているトーマスを見守りつつも。
「わしはスシ食っとくわ」
 寿司をはむりと口に運べば、こくりとひとつ頷く……手軽でええな、これ、って。
 ――で。
『えっ、なんで√能力者がのんきに寿司を……ぐわっ!?』
 すっかり自分達を一般人だと思い込んで油断している敵を見つければ――浮遊型飛輪武装『アラバマ』を用いた攻撃でちゃんとブッた切っておきます!

ガザミ・ロクモン
神楽・更紗

 邪悪な古妖達によって「無限の駅舎迷宮」へと変えられてしまった旧万世橋駅。
 しかも、万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ迷宮は、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成であるのだという。
 同時に、古今東西全国津々浦々の駅弁屋も取り込んでしまい――その結果。
「果て無き駅弁ロード。素晴らしい!」
「ほう、まるで駅弁の万博のようだ」
 ガザミ・ロクモン(葬河の渡し・h02950)と神楽・更紗(深淵の獄・h04673)が口にするように、無限に駅弁屋が増えて。
 その店の数だけ、ご当地駅弁がずらりと並ぶ、無限駅弁グルメ駅舎となってしまっているのだ。
 そんな果て無き駅弁ロードにガザミはわくわくしながらも。
「お肉系いいなぁ。こちらはお魚系ですね」
 早速、どの駅弁を食べようかを吟味することに。
 駅弁を楽しめば、まさか√能力者が駅弁を満喫するとは思ってもいない敵を欺けるからだ。
 更紗は弁当選びはガザミに任せ、一声かけてから、飲み物を選びに。
 駅弁屋が増殖しているということは、取り扱っている酒類だって無限になっているわけで。
「ふむ、酒も全国、いや、世界制覇も夢ではないくらい充実してそうだ」
 そう満足そうに酒を選んでいれば、狐耳をぴこり。
「わぁ、スイーツの種類みてくださいよー……あれ? 更紗さん、どこいったの! 迷子っ!?」
 聞こえてきたのは、慌てたようなガザミの声。
 なので、そんな騒ぎ声を頼りに、更紗は再びガザミと合流しつつも。
「妾は迷子になっていたのか、気づかなかった」
「もう、どこかに行くときはちゃんと言ってください」
 この広大な無限駅舎で迷子になったら、大変なことに多分なりそうだから。
「一声かけたが、確認不足だったな。すまぬ」
「聞こえてませんでした。ごめんなさい」
 ガザミは再び逸れないように、ふと思案してから。
「本気で迷子になりそうです……更紗さん、お手」
「お手?」
 右手を差し出せば、ぽふ。
 ふいに手を乗せられ、さらに彼に握られれば、思わず赤面してしまう更紗だけれど。
「迷子防止に手を繋ごうかなって」
「迷子防止、仕方ないな!」
 そう大きくこくこくと頷く更紗のもふもふな九尾も、盛大にゆらゆら。
 それからガザミは、自分が選んだ駅弁を更紗にも伝えながら。
「ふわふわたまごサンドイッチとビーフフィレカツサンド。三角が可愛い稲荷のミミ寿司と箸休めに梅おにぎり」
「稲荷のミミ寿司、なるほど、似ている。箸休めがおにぎりとは、さすが、不屈の胃袋だ」
 今度は迷子にならないように、一緒に飲み物選びを。
「駅限定なつかしのお茶パック。百鬼夜行では現役ですが?」
 なつかしどころか、日常的に今も見慣れているお茶を見つけては、√の違いを感じつつも。更紗は、唯一味がわかる地酒を制覇するつもり。
 そしてガザミは彼女と一緒に、並ぶお酒を眺めながら。
「お酒も豊富ですね。日本酒もいいけど……これ、いかがですか」
 そう手に取ってみたのは、蜂蜜酒。
「蜂蜜のお酒なんてあるんですね、名前からして甘そう」
 そして……ふむ、蜂蜜酒の意味わかってなさそうだな、なんて。
 更紗はガザミを見つつ思いながらもこう返す――ああ、甘いぞ。どびっきりな、と。
 それからガザミが選んだ蜂蜜酒も購入すれば。
 彼が調達した駅弁を一緒にシェアして、いただきます。

見上・游
渡瀬・香月

 駅にはそこかしこに、道案内の表示が沢山あるから。
 その矢印の通りに進んで、目的の出口の方へ……向かっているとばかり、思っていたのだけれど。
 渡瀬・香月(Gimel店長・h01183)はふと足を止めて、首を傾けてしまう。
「あれ? 下の広い出口の方に行きたかったはずなのに気が付いたら違うホームに……なんでだろう」
 そんなお手本のような「駅迷うあるある」をしながら、もう一度、お目当ての出口があると思われる方向へと歩き出す。
 ……やっぱ知らない駅ってスムーズに歩くの難しいな、なんてそっと肩を竦めながら。
 同じ頃、見上・游(いちりんそう・h01537)は真剣に考えていた。
「何個食べれるかな、3つ……4つ行ける?」
 そう自分のおなかと相談しながら、作戦会議中。
 そんな彼女の手には、有名駅弁メモが。
 そして駅弁メモと睨めっこしていたら案の定。
「やば、ここダンジョンだった……」
 ――お弁当どこ? ここどこ?
 敵を欺くための迷子のフリ、ではなく……本当に迷ってしまいました!?
 何せ、この旧万世橋駅は今、「無限の駅舎迷宮」へと古妖の妖力によって変えられていて。
 ただでさえ大きな駅は複雑で迷ってしまうというのに、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な駅舎になっているのだという。
 しかも、古今東西の駅舎の特徴を取り入れた駅舎迷宮だが、同じように古今東西の駅弁屋さんも取り込んでしまったようで。
 今や旧万世橋駅は全国の駅弁が一堂に会する、無限駅弁グルメ駅舎にもなっているのだ。
 そしてあっちにこっちにと、駅舎内を彷徨った游であったが。
「よかったたどり着いて……」
 何とか、お目当ての駅弁屋さんに到着できた模様?
 ということで早速、並ぶ駅弁とメモを照らし合わせてチェック! なのだけれど。
「サーモンたっぷりの海鮮ミルフィーユ丼かな。あ、牛丼弁当のレア塩味なんてあるの? 焼売弁当スペシャル版も……え、好き」
 チェックしていなかった駅弁にも魅力的なものがいっぱいすぎて、今度は駅弁選びの迷子に……!
 それから、いまだ目標の出口には全然至っていない香月であるが。
 迷いながら歩いてたら――美味そうな駅弁がいっぱい!
 というわけで、もうすでに半分迷子なのだから、駅弁屋へと足を運んで。
 これは食べるしかないだろうと、早速物色。
 駅弁は、普通の弁当とは違って、その地域ごとの特色が色濃く出ているし、冷めても美味しく食べられるような工夫がしてあるから。
 料理を客に振舞う身としては、気になっても当然なのだ。
「ご当地銘柄牛を使ったガッツリな焼肉弁当もいいし、海の幸たっぷりな北の国弁当も捨てがたい……」
 そうくるりと沢山の種類がありすぎる駅弁を眺めていた香月であるが。
 あっちは何があるんだろうと顔を上げると――見知った顔が。
「あれ、小料理屋さんの……?」
 そしてそう声を掛ければ、游も香月のことに気づいて。
「わぁお兄さんだ、こんな素敵タイミングで……お兄さん神様」
 游は偶然出会った香月へとキラキラ瞳を向けつつ、こんなお願いを。
「よかったらご一緒しませんか? シェアに抵抗なければ、お弁当半分こにして色々食べませんか?」
 だって、おなかと相談した結果、食べられそうな駅弁はせめて頑張って3つか4つ。
 なのに、気になる駅弁はいっぱいなのだから……!
 そしてそれは、香月だって同じだから、勿論弁当シェアの提案も願ったり叶ったりで喜んで、交渉即成立!
 ということで今度はふたりで、どの駅弁にするかの作戦会議を。
「はらこ飯弁当もすき焼きエビフライ弁当も、トロトロに炙ったエンガワ寿司弁当も全部食べたい……食べよ?」
「はらこもすき焼きもエビフライも全部いいね、食おう食おう!」
 それも全部食べるつもりだけれど、でも香月がそわりと見つめる駅弁。
「個人的にはその炙りエンガワ弁当がめっちゃ気になるわ」
 本来ならば予約しないとなかなか買えないという、炙りエンガワ弁当!
 売っている駅も限られていて、本来ならばなかなか食べられない駅弁も、この無限駅弁グルメ駅舎では食べられちゃうんです。
 そしてそんな彼の声に、游は小さく首を傾けるも。
「お兄さんエンガワ好きなの」
「寿司行っても一番好きなのはエンガワなんだよな。君は何が好き?」
「私はいわしとサーモンかな」
 そう寿司談義をしつつ、買ってみた炙りエンガワ弁当をシェアし合いつつ、ぱくり。
 口に運んでみれば、思わず見開いた瞳を瞬かせてしまう。
「……炙りエンガワ寿司美味しいね、これは好きになるよ」
 予約必至で人気なのもわかるほどに美味しくて。
 そして美味しそうなたくさんの弁当に二人して目を奪われて、分けっこしながらあれもこれも味わうことに夢中になって。
 途中でまだ名前を知らない事に気付いて聞こうと思った香月だけれど、駅弁を前にすればウッカリ聞き忘れてしまったし。
 自分達を√能力者だと気づいていない、ウロウロしている敵のヒヨコも見つけたから。
 香月はその包丁捌きでしゅばっと、游は召喚した御霊・佐保姫にお任せして。
『人気の駅弁はすぐに数が減るから補充を……、えっ、ふぎゃっ!?』
 何となく攻撃してダメージを与えればあわあわと去っていったから、深追いなど毛頭する気もないし、引き続き駅弁を楽しんだ後。
 ふたりで食べ比べが楽しすぎて、游のお腹はパンパンに。
 でも、駅弁は綺麗にふたりで平らげたのだけれど……まだご馳走様ではありません。
 駅弁屋さんにはそう、全国津々浦々のご当地スイーツも沢山!
 というわけで、甘いものは当然別腹だから。
「デザート最高、プリンがいいな」
「プリンも固めとトロトロ系と派閥分かれるよなー」
 今度はプリンの会話で盛り上がりつつ、どっちを買うかの話し合いを……するまでもなく。
「硬めと柔らかめ買って分けよう?」
 駅弁と同じように、どっちも買ってシェアして、両方食べちゃいます!
 それからデザートを食べ終えれば、手を振ってわかれた後に、游も気づく。
 彼の名前を、また聞きそびれたことを。
 でも、それでいっか、とも思うのだ。
 だって、名前は知らなくても、游は知っているから。
 一緒に笑ってごはんを食べてくれたお兄さんは、めちゃくちゃ素敵な人なんだ、って。
 それに、きっとまた近いうちに会えるだろう、って――そんな縁という予感が、何となくするから。

シュネー・リースリング

 赴いた旧万世橋駅は今、古妖の妖力によって「無限の駅舎迷宮」に変えられてしまっているけれど。
 複雑に古今東西の駅の特徴が取り込まれ入り組んでいる駅舎内を歩きながらも。
「戦う前から敵が迷走してるわね……」
 シュネー・リースリング(受付の可愛いお姉さん・h06135)はふるりと小さく首を横に振って続ける。
「√能力者だからって新宿駅で迷わないなんてことはないのよ」
 敵のヒヨコ『ベンジャミン・バーニングバード』はどうやら、√能力者ならばこのような迷宮も容易く突破すると思っているようだが。
「この前行ったらまた工事で道が変わっていたわ」
 古妖の力で迷宮化されていない新宿駅でも、正直普通に迷う。
 広大で複雑に入り組んでいるだけでなく常にどこか工事していて、頻繁に道や風景も変わるものだから、いつまでたっても迷うのだ。
 そんな通常状態の新宿駅でもそうであるというのに。
「その100倍の複雑さなんて行き倒れが出るわね」 
 新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成だという「無限の駅舎迷宮」ともなれば、尚のことお察しである。
 だが今回はそんな、√能力者ならば迷子になどならないという敵の先入観を今回は利用しようという作戦だから。
 ……それはともかくとして、とシュネーは気を取り直しつつ。
 話に聞いた作戦通りに、今やるべきことを行うべく駅舎迷宮内を歩き出す。
(「敵が出てくるまでのんびり駅弁を食べながら待ちましょうか」)
 そう、駅弁です!
 何せ、今の万世橋駅は古今東西の駅舎の特徴を取り込んでいるのだから、当然ながらも、古今東西の駅舎にある駅弁屋も取り込んでいて。
 全国津々浦々の駅弁が並ぶ、無限駅弁グルメ駅舎となっているのだ。
 なのでとりあえず目についた駅弁屋さんに入ってみたシュネーは、沢山並んでいる駅弁を見てみれば。
「定番のから見たこともないようなイロモノまで無駄に品揃えが豊富だわ」
 その種類は様々、それぞれ趣向が凝らされたご当地弁当のラインナップだ。
 そしてご当地駅弁は何も、日本のご当地だけには限りません……??
 シュネーはふと目に入った駅弁を見て、思わず瞳を瞬かせてしまう。
「え、『本格ジャーマン弁当』……?」
 ドイツの国旗の彩りを前面にあしらった、まさかのドイツのご当地駅弁??
 いや、じいとそれを見た後、シュネーはそっとその手を伸ばしつつも思う。
「果てしなく地雷感がするけどここ以外じゃ食べられそうにないからこれにしてみようかしら」
 地雷臭はものすごいが、しかし何せ本格と謳っているのだ、物は試しにと買ってみて。
 いざ、ぱかりと『本格ジャーマン弁当』の蓋を開いたシュネーは瞳を見開いて。
「中身は|フランクフルト《ソーセージ》に厚切りのベーコン、付け合わせにザワークラウトとジャーマンポテト、デザートに……バウムクーヘン!?」
 そして首を大きく横に振れば、こういわずにはいられない。
「これ作った奴、絶対ドイツ人じゃないでしょ!」
 そう、ドイツを全然知らない日本人がイメージする本格、という意味としか思えない雑さ。
 とりあえずこれいれとけば何かドイツっぽくない? みたいな中身である。
 そしてシュネーはそんな『本格ジャーマン弁当』を見遣れば、心に決めるのだった。
「あの|焼き鳥《ヒヨコ》、ただじゃおかないからね!」
 というわけで、色々と駅弁にツッコミながらもきちんと食べつつも|焼き鳥《ヒヨコ》を待っていれば。
 暫くすると、のこのこやって来たのだ。
『こんなところに√能力者がいるわけないけど、駅弁は補充しとかないと』
 在庫補充に現れたヒヨコ『ベンジャミン・バーニングバード』が。
 作戦通り、そんな油断している敵を倒すのは勿論のこと。
 ……とっとと始末してドイツへの誤解が広まらないようにしなきゃ、と。
 この『本格ジャーマン弁当』を補充されるのも許しがたいから。
 刹那、純白のローブデコルテを纏った姿へと変じれば。
「小細工するならちゃんと勉強してからすることね!」
『え!? る、√能力者!? うぎゃっ!』
 ちゃっちゃと片付けてヒヨコを焼き鳥にするべく、シュネーは手にしたSchwerd der Vampirinを振るう。
 ……ドイツにだって|焼き鳥料理《ローストチキン》くらいあるのよ! って。

メイド・メイド

 王劍を掌握した簒奪者の大侵攻から√EDENを守る、大規模な戦い。
 王劍戦争の発令より、ついに戦争が開始され、連日激しい戦いが繰り広げられているが。
 秋葉原とその周辺が戦場となり、旧万世橋駅の遺構も、邪悪な古妖達の妖力で「無限の駅舎迷宮」と化してしまった。
 だが勿論、EDENはそんな旧万世橋駅へも足を運び、この戦場にいる敵を倒すべく。
 万世橋駅のみならず古今東西の駅舎の特徴を取り込み、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成な迷宮に挑むのだ。
 いや、敵も、EDEN達の脅威をよくわかっているようで。
 このような迷宮も、EDEN達ならば、脇目もふらずに突破するだろうと思っているようだ。
 だが、メイド・メイド(学名:霊長目ヒト科メイド属メイド・h00007)はそんな敵の予想に思うのだ。
「今回の敵は知らなかったようでございますね。たしかに|EDEN《わたしたち》はダンジョンを踏破する力に秀でているかもしれません」
 普段から数々の迷宮を攻略しているのだから、そう思われても不思議ではない。
 しかし、自分達の強みはそこではないのだ。 
「ですがそれよりも、「なんか楽しそうなことがあったら作戦中であっても全力楽しむ」のが我々の性分にございます」
 今回の作戦だって、そう。
 メイドは無限の駅舎迷宮内を歩みながらも続ける。
「というわけで|当機《わたし》も例に漏れず、お呼ばれいたしましょう」
 ……ええ、これも作戦のうちだから仕方のないことです、と。
 そう言いつつも足を運んだのは、駅弁屋さん!
 迷宮化し古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ万世橋駅であるが、その際に古今東西の駅舎の売店も取り込んだのである。
 よって、今の万世橋駅は、無限駅弁グルメ駅舎と化していて。
 EDENならば迷わず真っ直ぐに迷宮を攻略するだろうと思い込んでいる敵の裏をかく、それが今回の作戦ということで。
 メイドも勿論、そんな無限駅弁グルメ作戦を行うべく、やって来たわけだ。作戦です、作戦。
 ということで、並ぶ全国津々浦々のご当地駅弁を見回してみつつ。
「駅弁というのはどうしてこう魅力的なのでしょうか。どこのお弁当も美味しそうでございますね」
 メイドはそのラインナップをひとつずつ確認しつつも、駅弁というものに関して思うことを紡いでいく。
「実のところ昨今の駅弁はホームのコンビニ、キオスクが普及するようになって、ホームではないところで買えるようになっていることが多くあるのですよね。|当機《わたし》は経験ございませんが「電車の停車中にちょっと弁当だけ!」というのはなかなかできなくなってしまいました」
 スーパーやデパートの催事などでもよく駅弁フェアがやっているのも見かける。
 それに、電車には乗っても、長旅でなければそうそう食べるものではないものだという印象はあるが。
「ですがそれ故に車内で食べるだけでなく持ち帰って食べやすいようにもこの頃はなっております」
 そう、長旅の車内ではない場所で食べるために、人々が駅弁を買い求める機会が多くなっているのだ。
 それはすなわち、何を意味をするかといえば、メイドはこう考えるのだ。
「駅弁を買ってから改札をくぐろうという方々が多いのはそれだけ魅力的で「旅の当たり前」や「旅のお土産」となっているからでございますよね」
 それだけ駅弁を買うことが旅の最初の楽しみとして当然のものとなっており、また、長旅の電車内でなくとも駅弁を食べたいという人の需要も高く。
 その味はもちろんのこと、ご当地色強い駅弁を食べることで、旅気分も味わえる……そんな人々を惹きつけるような魅力が、駅弁にはあるのだということを。
 そしてメイドも今回の作戦に則り、早速駅弁を選んでみることに。
 無限駅弁グルメ駅舎だというだけあり、様々な駅弁が目移りしてしまうほど並んでいるが。
「|当機《わたし》はまずは定番から食べたい性分です」
 メイドが手に取るのは、シュウマイ駅弁に、カツサンド、タコ飯に牛タン弁当――そのような定番で人気のものから。
 そして、普段はその地にいかないと買えないものも多いのだから。
「せっかくみんなみんな揃っているのですから、遠慮なく全て買わせていただきましょう」
 結局は珍しいものやレアなものも、片っ端から購入します、ええ。
 そして用意されたテーブルにずらりと並べて見れば、駅弁尽くしで壮観な眺めで。
 見る人に「どこの業者だ」なんて思われてしまうかもしれないが、メイドは気にせずに。
「はわ……こんな贅沢許されて良いものでしょうか」
 ぱかりとふたをあければ、思わずそう感嘆の声を漏らしてしまう。
「どれも地域ごとの特産を使っているのですから、こんなの美味しくないわけがございません」
 気軽に買えるようにはなった駅弁だけれど、それでもやはり、ちょっぴり特別な旅の楽しみのひとつなのだから。
 手を合わせ、そしてゆっくり味わっていただくことにする。
 そしてはむりと美味しく駅弁を堪能していれば、ふと目に入ったのは、うろうろしているヒヨコの姿。
 だがこの敵であるヒヨコは、思ってもいないようだ。
 まるで業者かと思われるほど駅弁を並べ、目一杯楽しんでいるメイドが、まさかEDENであるだなんて。
 だがそれこそが、今回の作戦。
「此度は、このような食の祭典の如き無限駅舎にお招きいただき、大変感謝いたします」
『え、どうしたしまして……って、なんでEDENが!? ぎゃあっ!』
 ノコノコと現れた敵に丁寧にお礼を言い、そして切り払うメイド。
 だって、ご当地の駅弁が一堂に会する無限駅弁グルメ駅舎だなんて。
「こんな幸せ迷宮、一般の方が迷われると大変ですから」
 それから、よろよろとよろけながら慌てて逃げていくヒヨコには十分ダメージを与えた手応えはあったし、深追いはせず。
 まだまだ沢山楽しめる駅弁を、引き続きメイドは堪能することに。
 次の駅弁を嬉々と開きながら……決して独り占めしたいわけではございませんよ、えぇ、と。

ジズ・スコープ

 何せ、現在の旧万世橋駅の遺構……いや、足を運んだ万世橋駅は、邪悪な古妖達の妖力で。
 古今東西の駅舎の特徴を取り込んだ、「無限の駅舎迷宮」へと変えられていて。
 それと同時に、古今東西の駅舎の駅弁屋も取り込んだ、無限駅弁グルメ駅舎と化しているのだという。
 そのような戦場があると聞けば、現場へと足を向けてみたのは、ジズ・スコープ(野良|古代語魔術師《ブラックウィザード》・h01556)。
 聞いた話を思い返すだけでも、尻尾がゆうらゆら。
「なんと……全国各地から? 色々な地域の駅弁が買えてしまいますね!」
 普段ならばそのご当地の駅でしか買えないものだって、今ここには集結しているのだ。
 そんな無限駅弁グルメ駅舎内をわくわくと歩んで、見かけた駅弁屋さんへと入ってみれば。
「沢山種類が御座いますので迷うところではありますが……さて、どれから頂きましょうか」
 何せ無限駅弁、魅力的な駅弁がずらりと並び、その種類も数えきれないほど。
 そしてジズがまず手を伸ばしてみるのは……お肉系は買っておきたいところ、と。
「そうですね、お肉が巻き巻きされてるおにぎり、甘辛タレのがとても美味しそうです」
 くるりと贅沢に肉が巻かれ、食欲をそそる甘辛いタレがかけられたおにぎり。見るからに美味しいに違いない逸品。
 それから、駅弁といえば定番で人気で、しかも食べやすいこれ。
「あとはカツサンドも良いですね。肉厚じゅーしーな美味しいやつを」
 大きなお口を開けないと食べられそうにないほど分厚くてジューシーなカツが挟まったカツサンド。
 そんなやはり心そそられる肉系の駅弁を購入すれば、きょろりと周囲を見回してみて。
「すぐ近くに食べる場所が用意されているのはありがたいですね」
 親切にもすぐに食べられるテーブルや椅子が用意されているスペースを見つければ、早速駅弁を並べて。
 ちゃんと手を合わせていただきますをしてから――がぶっ! とひとくち。
 そしてもぐもぐ味わえば、自然としっぽゆらゆらり。
 おくちいっぱいに、おいしいがほわぁっと広がって。
 それから肉巻きおにぎりもカツサンドも勿論、もぐもぐごくん!! と綺麗に平らげれば――さぁ次へ!
 先程は肉系にしたから、今度は勿論これ。
「お魚系はもう心が決まっております」
 駅弁の中でも人気の高い、海鮮系!
 そして、ジズのお目当てはといえば。
「薄紅色のますの乗ったお寿司、これは外せません」
 迷わず嬉々と手にしたのは、ますのお寿司の駅弁!
「この木製わっぱに、笹で包まれたまぁるい見た目。切って食べるのも楽しい物で御座います」
 駅弁は見目もそれぞれ拘りが感じられ、見るだけで食べるのが楽しみになって、わくわくしてしまうし。
 当然、うきうきとふたを開いて口にしてみれば、その味も絶品です!
 けれど勿論、海鮮系はこれだけで終わりなわけではなく。
 ジズは再びご馳走様をしたあと、きょろりと視線を巡らせる。
「さて、一面に蟹身の入った蟹の形のお弁当箱のは……何処にありますでしょうか」
 次は、蟹型の弁当箱に入った蟹尽くしな駅弁を探して、うろうろ。
 何せ此処は、新宿駅の100倍複雑で横浜駅の100倍未完成だという広大な駅舎であるから。
 傍からみれば迷子かと思われても不思議ではないほどに、あちこち歩いて探しつつ。
 お目当ての駅弁を目指しながらも、その途中で見かけて気になったものを購入しては、食べてみるジズ。
「嗚呼、ふかふかパオで角煮を挟んだものも大好きです」
 そして見つけた、角煮をパオで挟んだものにお耳もぴこり。
(「あれは何個あっても良いですから、すぐ食べる分と、更に持ち帰り用を持てるだけ買い込みたいところ」)
 そう思ったものの、伸ばそうと思った手をふと止める。
「……いえ、あの美味しさを楽しみになさっている方々は大勢いらっしゃるはず」
 ――買い占めてしまってはいけません、と。
 ここは、ぐっっと我慢……しようと思えば。
「定期的に在庫は補充しますので、いくつでもどうぞ!」
 普段の駅では売り切れ必至なものでも、ここは無限駅弁グルメ迷宮。
 無限に駅弁屋だって増殖して並んでいるのだから、在庫だって切れることはないのです。
 ということでちゃんと在庫があることを確認すれば、そう勧めてくれた売店の人のお言葉に甘えて、折角だからお持ち帰りも購入して。
 ジズはほくほく尻尾を揺らしつつ、再び駅舎内を歩きながらも思い出す。
「そういえば、有名シウマイも購入しなければなりませんね」
 お弁当のものも良いのだけれど……今回買いたいと思っているのは、昔ながらのシウマイのみのもの。
「あと季節限定のきのこのシウマイを購入致しましょう」
 限定のものも勿論外せません、ええ。
 ということで。
「……お店はいずこ」
 敵だってまさか迷子のように彷徨っているジズが√能力者だって微塵も思わないだろうし。
 目的のシウマイも無事にゲットすれば、はむはむ。
 それから、お腹いっぱい美味しいを堪能した後、再びご馳走様をした――その時であった。
「おや? あそこにいらっしゃるのは」
 ジズがそう見つけて、そっと近付くのは。
『ぐ、EDENも駅弁を食べて寄り道するとは……ボクとしたことが、腹が減っては戦ができぬという言葉を忘れていた』
 沢山の√能力者にこれまでもぼこられ、よろよろしている敵のヒヨコ。
 けれど、もうそれにヒヨコが気づいても、時遅し。
「悪だくみは感心致しませんよ」
『え、またEDENが駅弁を……ふんぎゃあ!!』
 やはり自分がEDENだとは思っておらず油断していた敵を――ぺちこん!
 駅弁を楽しむのは勿論、敵もきっちりと倒しました!
 そしてジズは、こてんと倒れたヒヨコへとこうちゃんと告げておく――お弁当はとても美味しかったです、と。

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