HOME

ダゴール・トムテの日記帳

ダゴール・トムテ 3月3日12時
●七・ザネリ
【1:1】どこかのくらがり #1
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=12062
街中のくらがりで、オレはあいつに一本の煙草と、火をくれてやった。
煙の力で頭を曇らせなくても、オレは忘れるべきことを忘れることができるんだが。ニンゲンはそうもいかないらしいので、こういうときにいい煙草をひと箱持っておくと喜ばれるのだ。しかし、あれは自分の吸ったものが盗品だと知っても気にしなかったかもしれないな。
なにせ、いらないものを集めているっていう変人だ。そういう稼ぎもあるだろうが、それにしたって子どもの描いた宝の地図なんて1ペンスにもなりゃしないだろう。
オレたちはお互いを変な奴だと思っただろう。案外似た者なのかもしれない。
よかったな、トム。お前の地図は、少なくともふたりもの男を楽しませたぜ。
0
ダゴール・トムテ 3月6日12時
●リリアーニャ・リアディオ
【1:1】どこかのくらがり # 2
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=12616
今日という日はこれまでの一生の中で、3番目……いや、2番目に最悪の日だ。
インクは滲むし紙は破れるし、あとから読み返せるだろうか。いや、読み返したいとは思わないだろう。
二日月の夜の高い場所に、あの魔女は降り立った。結末に後悔はないが、あのとき声をかけたことだけは本当に最悪の選択だ。まさかこのオレが、魔女と契約を交わすことになるなんて!黒い森のプーカが知ったら指をさしてオレを笑うだろうし、赤い屋根のニッセに話したら恐怖で泡を食うだろう。
だがそれでも。呪いが解けた暁に、最初に舌へ乗せるものを考えられるくらいには、ようやく希望が見えてきた。シュトレン、グラッセ、アップルパイ……いやいややはり、リーシプーロだろう。
1
ダゴール・トムテ 3月8日12時
●ヘレボルス・ヘイズ
【1:1】どこかのくらがり # 3
妙なやつと出会った。
見たところ同郷なのだが、エデンで学徒さんをやっているらしい。悪だくみをしているのに、親に叱られるのが怖いらしい。女の格好をしているのに、ニオイは男だ――まあそれは珍しくもない。
そんな”へるちゃん”と、オレは友達になったそうだ。この友人は舐めくさった態度を取りやがるがたいそう即物的なので、こちらとしても都合がいい。
そういえば他にも持て余した魔具を処分しようとしていたのだ。次に会うときいくらか渡してしまおうか。
――以前読んだ本に、今のオレを表す適切な表現があったな。ミツグくんとかいう。
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=13039
0
ダゴール・トムテ 3月20日13時
●夢橋・千世
❖誰のための花❖
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=13492
青い中に厚い雲がひとつ流れてたもんだから、影をおっかけてその店を見つけたんだ。古いものの匂いはすぐにわかる。特に紙は最高だ。
古書やアンティークばかりに目を取られていたせいで、中にいた黒猫に気付かなかったのは迂闊だったぜ。あの店主、オレが猫と睨みあうのを微笑ましそうにしやがって……見逃してないからな。
猫はともかく、面白そうな古書を見つけられたのはよかった。続巻がなかったのは残念だが、あの変な物語好きの店主ならきっと続きを買い付けてくるだろう。いつ頃に来いと言ってたっけ?まあ、次にふとっちょの雲を見つけたときでいいか。
0
ダゴール・トムテ 3月22日15時
●ナギ・オルファンジア
【1:1】どこかのくらがり # 4
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=13256
解剖機関のニンゲンは腑抜けと油断ならない奴が極端だ。ナギは初め、後者だと踏んで様子を見ていた。纏っている雰囲気は測りかねるものがあるし、あのイラつく魚には驚かされたが――本当に物心ついたばかりのガキなんじゃないか?というのが総評。記憶がないというから間違っていないのかもしれないが、見た目とは裏腹に素直でかわいらしいやつだ。家畜用の仔犬を思わせる。どうかまっすぐに育ってほしいものだね。あの環境では望むべくもないが。あの監視員が、自分のおやつが消えてしまったことに気付かないのを祈るばかりである。
0
ダゴール・トムテ 3月25日14時
●東雲・夜一
【1:1】どこかのくらがり # 5
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=13373
オレは幽霊にはともだちが多いんだ。本当だぜ?
奴らは妖精と同じように、時間の波を感じるのが下手なやつが多いからな。あと、変人が多い。過去に強い執着があるか、忘れちまってるかのどちらかだ。夜一は後者のタイプだった。
帰り道を見失うようなぼうっとした奴だったが、幸いにもオレは”夜鳩の道”の呪文を知っていたから、あいつの思念を抜き出して道案内してやった。あいつは自分の家を見つけたようだったが、今もあの辺りにいるだろうか。たまにいるんだ、目的の場所に帰り着いたら消えちまう幽霊が。
商売をやってると言っていたし、また近くに行くことがあれば様子を見に行ってやろう。
0
ダゴール・トムテ 3月29日15時
●フォー・フルード
【1:1】どこかのくらがり # 6
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=14148
別に機械が苦手なわけじゃない。だって原理はともかく、機構を整えて命令を走らせるだけだろう?魔術と同じじゃないか。まあ電流と気が合わないことは認めよう。あいつらは規則だ摂理だとお堅すぎる。
それに話してみたらなかなかあたたかいやつだったぜ。コッペリアよりずっと穏やかで話せる男だ。……と書いたところで、奴が男なのか聞いていなかったと思い至った。いや、直接聞いたら失礼かも。まあ大した問題ではない。兵器の体で彼は、どうやってヒトと親しんでいくつもりだろうか。オレとしちゃあ、栓抜きがないときに瓶の口を撃ち抜いてくれるだけで充分なんだが。とりあえず祈っておこう、その辺の路傍の花にでも。
1
ダゴール・トムテ 4月14日14時
●夜白・千草
【1:1】邂逅、悪戯妖精の場合【RP】
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=12497
澄んだ水が常に流れている場所ってのは、生き物が暮らすのに一番都合がいい。流れが澱んだり濁ったりしてる場所には、悪いモノも溜まっていくものだ。バンシーとかケルピーとかな。
ここはオレが最近気に入ってる町で、河口に近く人の営みの中にあるくせに不思議なほど水が綺麗だ。だから暮らしてるやつらにも活気がある。千種のお嬢ちゃんはあの町を体現するような女だった。ヒトも水も、淀みから離れて正常な流れの中でにあるべきだ。……もちろん妖精も。
生きる場所ってのは自分で選ばないとな。
0
ダゴール・トムテ 4月18日13時
●蓬平・藍花
~歓談編~朧月夜の誘い
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=14800
オレの故郷じゃ、モノは自分から魂を獲得することはない。道具はどこまでも道具で、動くとしたら魔術で意思を吹き込まれるか、悪魔が取り憑くかのどちらかだ。だから付喪神って存在はとても面白い。
トムテは灰の中から生まれるが、ヒトと交わることで存在を強くしてきた。付喪神は用途としての道具が先にあって、ヒトと交わることで生まれる。オレは主人に灰を着せて家を出たが、藍花は自分の主人から店を譲り受けた。まるで反対のオレたちだ。
それでも同じ酒を楽しむことができる程度には、我らは近いところにあるらしい。彼女がお茶請けを思いつく頃に、また訪ねて行ってみよう。
1
ダゴール・トムテ 4月19日17時
●ジャン・ローデンバーグ
【1:1】傘屋
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=13728
傘を使う妖精なんてのは珍しい。なんてったって屋根の下に住んでるようなのはそもそもが外に出ないし、それ以外は雨を除けるという発想すらない。だがオレは家出中のトムテなので、文明的に傘を持ち歩くこともある。まあ濡れるのは嫌いじゃないし、その気になれば魔法でなんとかできるので、結局ささないんだが。
この店は傘の王様が数多くの臣下たちを従えていて、小さいながらも立派な国だった。オレはここならばメアリーの傘が亡命しているかもしれないと期待したんだが、どうやら当てが外れたようだ。もう、会えることはないのだろうか。この失意は、姦しい黄色のお嬢さんに慰めてもらうことにしよう。
0
ダゴール・トムテ 4月29日14時
●野分・時雨
【呼出】ひとつのくらがり # 2
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=14704
オレってやつは優れた妖精だが、優秀なことと力が強いってのは別だ。例えばかけっこで馬に勝とうと思えば、道を分からなくしてやればいい。トロールにレスリングを挑まれたら、逆に小さくなって股の下を潜れば、相手は自分の股を覗き込んで勝手にこける。
オレは”勝ち”に拘らない。勝負は勝つか負けるかのふたつじゃないんだと、知っているやつが強いんだ。
時雨はそれを知っているように見えたんだがな。どうして自分を攻撃してみろなんて言うのだろう。戦い方を知ることが好きなのか、自分の頑丈さを誇りたいのか。もしかしたら、単に痛めつけられるのが好きだったのかもしれない。だとしたら悪いことをした。
0
ダゴール・トムテ 5月9日14時
●リリアーニャ・リアディオ
‎1:1 ܀ 暗がりの中の暗がり
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=14138
魔女に詳しいなんて思われたら心外だが、妖精と魔女にも似たところがある。腹立たしいことに同一と扱われることだってあるのだ。本当に乱暴な括りだぜ。
オレたちは記録という機能を持たないために時間から認識されない(オレは特別だ)。一方で魔女は、過去を固定し未来を殺す。あれがいつ魔女としての自覚を持ったのか知らないが、魔女は永遠の少女だ。これほど哀れで醜悪なものが他にあるだろうか。
だからオレは、決してあの女に同情しない。憐れんだが最後、あの瞳に吞み込まれて意のままにされてしまうだろう。
憐れんではいけないのだ。決して。
1
ダゴール・トムテ 6月6日15時
●蓬平・藍花
いつもの藍蘭堂 夜の部
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=15565
愛。オレは愛が好きだ。"愛は目で見るものではなく、心で見るもの"。さて、オレの心に愛は見えているのだろうか。
甘味を失くして以来、オレはこの灰色の世界を面白くする鍵は、酒と愛だと気付いた。お堅い役人も酒を飲ませれば陽気に踊りだすし、醜く退屈な女も愛を知れば花のように輝きだす。
神はきっと、自分の創った世界が美しいだけでは気に入らなかったに違いない。見世物として楽しむために、酒と愛を落としていったんだ。愛で育む者。愛で争う者。愛で死ぬ者。愛に泣く者。創作だろうが現実だろうが、愛は不可欠なものだ。
さて、このオレはどうかというと。今のところ観客側で充分だね。
1
ダゴール・トムテ 6月6日16時
●七・ザネリ
【1:1】どこかのくらがり # 7
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=14832
オレが文字を読むようになったのは、坊ちゃんの産まれた屋敷でのことだった。まだ幼かったあいつがオレをベッドの下に見つけて、絵本を読み聞かせた。あの頃は坊ちゃんもまだ文字が読めなくて、奥様の読み聞かせた内容をうろ覚えで暗唱してただけだったんだ。ところどころ自分で作り上げたお話に脱線していくものだから、その都度横で訂正してやってるうちに、オレの方が先に文字が読めるようになっていた。
そうでなければ魔術を習得するのにもっと時間がかかっていただろうし、そうなれば願いを叶える幸運の妖精にもなれなかっただろう。
文字を発明してくれた、面白くてくだらないニンゲンに感謝だ!
0
ダゴール・トムテ 6月28日15時
●白・とわ
【1:1】どこかのくらがり # 9
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=16897
ヒトは身勝手で自由な存在であると、とわは言った。しかしあれが怒りを買った神という存在だって、似たようなものだ。こんなことを言うと俺も神から敵視されるのだろうか。
俺だって常に神を身近に感じているわけじゃないが、その力を畏れる程度の信心はある。なにせ本当に気まぐれで扱いにくくて、常に気を配っていないとどんなことで癇癪を起されるかわかったものじゃない。まあとわに於いては、あいつが愚かだった。
しかしとわにしたって俺にしたって、いい加減赦されて然るべきだ!気まぐれなくせに執念深いとは、これだから本当に、神ってやつは!力があるなら、それなりの器ってもんを見せて欲しいものだね。なあ、どうせ聞いてるんだろう。
0
ダゴール・トムテ 7月15日14時
●ツェイ・ユン・ルシャーガ
【1:1】どこかのくらがり # 10
https://tw8.t-walker.jp/thread/club_thread?thread_id=17419
永いこと”幸運の妖精”なんてもんをやってるが、俺だって本当は神どころか魔術師としたって半人前にも足りないちっぽけな存在だ。他人の願いを叶えるってのがどれだけ悍ましいことなのか、いい加減わかってきたさ。
それをちゃんと承知しているやつは、俺からの提案にも慎重に答えたり、敢えてなんでもないような、くらだらないことを願う。
だとすると、俺のやっていることは何だ?苗木が大樹に育って、更に朽ちて土に戻るほどの時間、俺はいったい何をさせられているんだ。たった数十年そこら生きただけのお前の考えにすら、まだ至れない。
ツェイ殿は、俺がくれてやった「時間」を上手く使ってくれることを願う。
0